JPH11197384A - ボビンおよびそれを用いたミシンのかま - Google Patents

ボビンおよびそれを用いたミシンのかま

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JPH11197384A
JPH11197384A JP10005094A JP509498A JPH11197384A JP H11197384 A JPH11197384 A JP H11197384A JP 10005094 A JP10005094 A JP 10005094A JP 509498 A JP509498 A JP 509498A JP H11197384 A JPH11197384 A JP H11197384A
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JP
Japan
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bobbin
flange
bobbin thread
thread
winding drum
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JP10005094A
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English (en)
Inventor
Hiromitsu Shimizu
浩充 清水
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Hirose Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Hirose Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボビン糸の張力を安定させて糸締まりのむら
を防ぎ、品質を向上することができるミシンのかまを提
供する。 【解決手段】 ボビン40の他方のフランジ97bをボ
ビンケース31の周壁60に弾発的に嵌着させて、ボビ
ン40の一方のフランジ97aの最外周部121aとボ
ビンケース31の周壁60との間にボビン糸が通過でき
る第1空隙122を形成するととも前記一方のフランジ
97aの端壁61との間に第2空隙123を形成する。
また一方のフランジ97aを巻胴98に対して回転自在
な構成にする。ボビン糸62をボビンケース31の端壁
61の中央部から外部へ導く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内かま内に保持さ
れ、ボビン糸が巻回されるボビン、およびそれを用いた
垂直全回転かまなどのミシンのかまに関する。
【0002】
【従来の技術】図15は典型的な従来技術の垂直全回転
かま22の全体の構成を示す分解斜視図であり、図16
は垂直全回転かま22の水平断面図である。水平な回転
軸線L1まわりに回転駆動される外かま4には、内かま
3が回り止めされた状態で収納され、内かま3には、ボ
ビンケース1が着脱自在に装着され、ボビンケース1に
は、ボビン糸5が巻回されたボビン2が収納される。ボ
ビンケース1に収納されるボビン2は、一対のフランジ
11a,11bと、各フランジ11a,11bに一体的
に形成され、各フランジ11a,11bを連結する直円
筒状の巻胴12とから成る。この垂直全回転かま22
は、ボビン2がボビンケース1の筒部17がボビン2の
巻胴12に回転自在に挿通された状態で、ボビンケース
1に収納されており、ボビン2のボビン糸5が、ボビン
ケース1の糸調子ばね10と周壁6との間を通って仮想
線5aで示されるように外部へ引出され、所定の張力で
縫製することができるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の技術
では、縫製時にボビン糸5の張力によって前記ボビン2
が回転しながら、ボビン糸5がボビンケース1から引出
されるので、ボビン糸5のたるみが発生して張力にばら
つきが生じ、その結果、糸締まりにむらが生じ、縫い質
が低下してしまうという問題がある。
【0004】本発明の目的は、ボビン糸の張力を安定さ
せて糸締まりのむらを防ぎ、縫い質を向上することがで
きるようにしたボビンおよびそれを用いたミシンのかま
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明に
従えば、ボビンは巻胴と2つのフランジとを有し、巻胴
には各フランジ間でボビン糸を巻回することができ、こ
のボビンの一方のフランジの少なくとも最外周部は、巻
胴の軸線まわりに回転自在である。このようなボビン
は、巻回されるボビン糸が、前記一方のフランジの最外
周部に巻掛けられて巻胴の軸線まわりに回転しながら巻
きほどかれる状態で用いても、ボビン糸の前記軸線まわ
りの回転に伴って一方のフランジの少なくとも最外周部
を回転させ、ボビン糸を滑らかに引出すことができる。
これによってボビン糸が巻回される巻胴を回転させるこ
となく、一方のフランジの少なくとも最外周部を回転さ
せてボビン糸を滑らかに引出すことができるので、上述
した従来技術のようにボビン糸の引出しに伴って回転す
る構成と比較して、ボビン糸の張力にばらつきが生じる
ことを防止することができる。
【0006】請求項2記載の本発明に従えば、内かま内
には、ボビンが、ボビンケースに収納され、かつ巻胴の
回転が阻止された状態で保持される。このボビンに巻回
されるボビン糸は、内かまの開口端側に配置されるボビ
ンのフランジの最外周部とボビンケースの周壁の内周面
との間、およびボビンケースの端壁の内面とこの内面に
臨むボビンの一方側面との間に形成される空隙を通過し
て、ボビンケースの端壁に形成されるボビン糸取出孔か
ら外部へ導かれる。縫製動作の開始によって前記ボビン
糸が引出されると、ボビン糸取出孔から前記内かま開口
端側のフランジの最外周部とにわたって張架された状態
で、巻胴の軸線まわりに回転して巻きほどかれ、ボビン
糸が大きな張力変化を生じることなく円滑に引出される
ので、ボビン糸の張力の変化を防止して糸締まりのむら
を無くすことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態の内
かま30およびボビンケース31を備えた垂直全回転か
ま32を下方から見た一部の断面図であり、図2は垂直
全回転かま32を示す斜視図である。水平な回転軸線L
10まわりに回転駆動される下軸200に固定され、同
一の回転軸線L10まわりに回転される外かま34に
は、その内周面34aに周方向に延びる軌溝35が形成
され、この軌溝35に内かま30の外周面37に形成さ
れる軌条36が嵌まり込んだ状態で、内かま30が外か
ま34に対して回転自在に収納されている。外かま34
は、たとえば鋼鉄製またはステンレス鋼製である。
【0008】内かま30は、回り止め凹所38にミシン
の機体に設けられる回り止め部材39が嵌まり込んで回
り止めされている。このような内かま30には、ボビン
ケース31が着脱自在に装着され、ボビンケース31に
はボビン糸62が巻回されたボビン40が収納される。
また外かま34の周壁には剣先59が形成されており、
この剣先59は、外かま34の回転と同期して回転軸線
L10に垂直な上下方向に往復駆動される図示しない針
によってもたらされる針糸を捕捉する。この剣先59に
よって捕捉された針糸は、外かま34の回転に伴ってル
ープを形成しながら内かま30のまわりを一周し、内か
ま30を糸越しする。このような動作の繰返しによっ
て、内かま30内に保持されたボビン40に巻回される
ボビン糸62と、針糸とが相互に巻き掛けられ、縫目が
形成される。
【0009】内かま30には、その内周面42から半径
方向外方に凹んだ係合凹所43が形成され、ボビンケー
ス31には、その外周面44から半径方向外方に弾発的
に突出する係合突起45が設けられる。この係合突起4
5には、係合面47が形成されており、この係合面47
は、ボビンケース31の開口部寄り(図1の左方)にな
るにつれて半径方向外方へ延び、ボビンケース31の周
壁60から外側に突出している。ボビンケース31が内
かま30に装着された状態では、係合突起45は係合凹
所43に嵌まり込み、この状態で係合面47は内かま3
0の開口端側のフランジに形成される係合部分46に弾
発的に当接している。また係合突起45には、係合面4
7の最も半径方向外方に突出した部分48からボビンケ
ース31の開口部寄りになるにつれて、ボビンケース3
1の半径方向内方に向って少なくとも係合部分46の内
方端49よりも半径方向内方に延びる挿入案内面50が
形成される。
【0010】図3は、内かま30を示す斜視図である。
図1をも併せて参照して、内かま30は、周壁52と、
この周壁52の軸線方向一端部を塞ぐ底部である底壁5
3とを有する。この内かま30は、たとえば鋼鉄製、ス
テンレス鋼製または合成樹脂製である。周壁52には、
その外周面37から突出し、周方向に延びる前記軌条3
6が形成される。また周壁52の周方向1箇所には、開
口端付近で、厚み方向に貫通する針落ち穴54が形成さ
れ、図示しない針の往復運動の妨げとならないようにす
ることができる。さらに周壁52にはこの針落ち穴54
と周方向の同一位置で、軸線方向に底壁53側に隣接し
て、内周面42から突出する位置決め突起55が形成さ
れるとともに、内かま30のフランジ部には針落ち穴5
4の内かま開口端側に隣接して、回り止め凹所38が形
成されている。
【0011】前記係合凹所43は、周壁52に、針落ち
穴54とは周方向に開口端側から見て時計まわりに約9
0度ずれた位置で、開口端付近に形成されている。この
係合凹所43は、周壁52に厚み方向に貫通する透孔に
よって実現されている。
【0012】図4は、ボビンケース31の斜視図であ
る。前記内かま30に着脱自在に装着されるボビンケー
ス31は、周方向に分断された略C字状の周壁60と、
この周壁60の軸線方向一端部を塞ぐ端壁61とを有す
る。このようなボビンケース31は、鋼鉄製またはステ
ンレス鋼製である。前記周壁60には、ボビン糸62が
嵌まり込むボビン糸嵌合凹部64が周壁60の厚み方向
に挿通して形成されるとともに、周壁60の外周面44
に弾発的に当接して前記ボビン糸嵌合凹部64を塞ぐ糸
調子ばね65が設けられる。この糸調子ばね65の基端
部66は、固定ボルト67によって周壁60に固定され
るとともに、調整ボルト68によって遊端部81側の周
壁60への押圧力を調整することができるように構成さ
れる。
【0013】端壁61には、ボビン糸62が挿通する円
形状のボビン糸取出孔70が周壁60および端壁61の
中心軸線を含む中央部に形成される。このようなボビン
糸取出孔70からボビンケース31の外方へ引出された
ボビン糸62は、前記周壁60に形成されるボビン糸案
内溝71に嵌まり込み、ボビン糸嵌合凹部64に導かれ
る。このようなボビン糸案内溝71を設けることによっ
て、ボビン糸62に作用する張力または弛みなどによっ
て、ボビン糸62が糸調子ばね65と周壁60の外周面
44との間から抜け出てしまうことが防がれる。
【0014】端壁61にはまた、ラッチ76が設けら
れ、ラッチ76は、その長手方向一端部が前記ボビン糸
案内溝71から離反する方向となる後述する突出方向B
1、およびその逆方向であって、ラッチ76の長手方向
一端部が前記ボビン糸案内溝71に近接する方向となる
後述する退避方向B2に変位自在である。このラッチ7
6には、前記ボビン糸取出孔70に連通する第1透孔7
5が形成されている。端壁61にはさらに、操作片78
が設けられ、この操作片78は、前記ラッチ76の長手
方向一端部付近を角変位中心として矢符C1,C2方向
に角変位自在に、ラッチ76に連結されている。この操
作片78には、ラッチ76に積重した状態で前記第1透
孔75に連通する第2透孔77が形成されている。前記
周壁60と端壁61とによって、大略的に有底直円筒状
のボビンケース本体79が形成され、このボビンケース
本体79と、前記糸調子ばね65と、ラッチ76と、操
作片78とを含んで、ボビンケース31を構成する。
【0015】図5は、ボビンケース31の分解斜視図で
ある。糸調子ばね65の遊端部81には、この糸調子ば
ね65を周壁60に取付けた状態で、外かま回転方向A
上流側になるにつれて外周面44から離反する方向に角
度θ1を成して傾斜するボビン糸挿入部分82が形成さ
れるとともに、端壁61側に半径方向内方にほぼ直角に
屈曲したボビン糸抜止め部分83が形成される。このボ
ビン糸抜止め部分83のボビン糸挿入部分82側には、
糸調子ばね65を周壁60に取付けた状態で、半径方向
内方寄りになるにつれて遊端部81から基端部66側に
角度θ2を成して傾斜するボビン糸案内面84が形成さ
れる。前記角度θ1は、先端部分が0.2〜0.5mm
程度の直径を有するボビン糸62を挿入し得る角度、た
とえば3〜10度に選ばれる。また前記ボビン糸案内面
84の角度θ2は、5〜30度に選ばれる。周壁60に
はまた、前記ボビン糸抜止め部分83が嵌まり込む凹溝
85が周方向に延びて形成されており、図4に示される
状態からボビン糸62が抜出てしまうことが防がれる。
【0016】図4に示される状態にボビン糸62を配置
するには、まずボビン糸取出孔70および各透孔75,
77を通して引出されたボビン糸62を後述するボビン
糸挿入孔92を介して操作片78のラッチ76側に導
く。さらにこの状態で、ボビン糸62をボビンケース3
1の外方で遊端部81側に導き、ボビン糸挿入部分82
よりも外かま回転方向A上流側から、周壁60の外周面
44に摺動させながら外かま回転方向A下流側に移動さ
せて、外周面44とボビン糸挿入部分82との間に介在
させる。この状態からさらに、ボビン糸62を外かま回
転方向A下流側に移動させるように図4の矢符E方向に
回動させて基端部66側に引張る。このとき糸調子ばね
65の遊端部81のボビン糸抜止め部分83には、ボビ
ン糸案内面84が形成されるので、ボビン糸62がボビ
ン糸案内面84に案内されて移動し、ボビン糸62がボ
ビン糸抜止め部分83を容易に糸越しすることができ
る。
【0017】このように糸越しさせた後、さらにボビン
糸62を基端部66側に引張り、ボビン糸案内溝71に
嵌まり込ませる。次にボビン糸62をこのボビン糸案内
溝71の角部86に引掛けた状態で、遊端部81側へ引
張って、図4の矢符D方向に回動させて遊端部81側に
移動させ、これによってボビン糸62をボビン糸挿入部
分82側へ導いて、図4に示されるように遊端部81と
基端部66との間の当接部87と、周壁60の外周面4
4との間に介在される状態で、ボビン糸挿入部分82側
から引き出する。
【0018】前記ボビン糸62は、ボビン糸案内溝71
およびボビン糸嵌合凹部64内に嵌まり込んだ状態で、
外部から糸調子ばね65によって覆われた状態に配置
し、ボビン糸62を糸調子ばね65の遊端部81側に引
戻すことによって、ボビン糸62をボビン糸嵌合凹部6
4から糸調子ばね65の遊端部81にわたって周壁60
の外周面44上に配置し、糸調子ばね65によって弾発
的に押圧することができる。このときボビン糸62は、
ボビン糸案内溝71およびボビン糸嵌合凹部64内に嵌
まり込んだ状態であるので、周壁60の外周面44上で
ボビン糸62が当接部87によって押圧されず、したが
ってボビン糸62の張力が縫製中に不所望に変化せず、
質のよい縫目を形成することができる。このようなボビ
ンケース本体79には、従来のボビンケース1のような
筒部27(図16参照)は形成されていない。
【0019】前述したように係合突起45を有するラッ
チ76には、第1透孔75が形成される。このラッチ7
6の前記操作片78に対向する外表面89には、第1透
孔75およびボビン糸案内溝71間に一直線状に延びる
第2のボビン糸案内溝90が形成される。この第2のボ
ビン糸案内溝90によって、ラッチ76と操作片78と
がほぼ平行に積重して配置された状態で、ラッチ76と
操作片78との間にボビン糸62が挟まれてしまうこと
が防がれ、したがって不所望な張力やたるみが発生せ
ず、円滑にボビン糸62を周壁60のボビン糸案内溝7
1に導くことができる。
【0020】操作片78には、第2透孔77が形成され
る。この操作片78には、第2透孔77および操作片7
8の外側面91間にわたって連通するボビン糸挿入孔9
2が形成される。本実施の形態では、前記ボビン糸挿入
孔92は、長手方向に対して角度θ3を成して前記第2
のボビン糸案内溝90に平行であり、外面93から前記
ラッチ76に対向する内面94寄りになるにつれて、積
重状態におけるラッチ76の第2のボビン糸案内溝90
に近接する方向に、角度θ4(図2参照)を成して傾斜
している。前記角度θ3はたとえば30〜60度に選ば
れ、前記角度θ4はたとえば45〜60度に選ばれる。
これによってボビンケース31内から前記ボビン糸取出
孔70、第1透孔75および第2透孔77を介して外部
へ引出されたボビン糸62を、ボビン糸挿入孔92に嵌
め込んで押し込むことによって第2のボビン糸案内溝9
0に容易に導くことができる。したがって操作片78を
ラッチ76から離反する方向C1(図4参照)に角変位
させた状態で、操作片78とラッチ76との間にボビン
糸62を挿通して第2のボビン糸案内溝90に嵌合させ
る必要がなく、ボビン糸62の第2のボビン糸案内溝9
0への装着作業を容易に行うことができる。
【0021】またボビンケース31のボビンケース本体
79には、周壁60の分断された分断部99からボビン
ケース31を端壁61側から見て時計まわりに約90度
ずれた位置に、周壁60から端壁61にわたって、周壁
60および端壁61を厚み方向に貫通する切欠き100
が形成されている。また端壁61には、周壁60の分断
部99から、周方向両側に約90度ずつそれぞれずれた
位置、すなわち切欠き100が形成される位置とその反
対側とを結ぶように、一直径線方向に延びる案内溝10
1が形成されている。案内溝101は、その長手方向と
交差する幅方向両側部102a,102bが、突出部1
03a,103bによってボビンケース31の開口部と
は反対側から覆われている。また端壁61には、案内溝
101の切欠き100とは反対側の長手方向一端部付近
において、案内溝100と周壁60内の空間とを連通す
るように、端壁61を貫通する係止孔104が形成さ
れ、この係止孔104は、案内溝101の長手方向一端
部寄りの幅狭部104aと案内溝101の長手方向他端
部寄りの幅広部104bとを有している。
【0022】ラッチ76は板状であり、長手方向一端部
105に係合突起45が一体的に形成され、この係合突
起45は、厚み方向一方側に湾曲している。この係合突
起45の係合面47および挿入案内面50を含む外周面
は、円弧状に形成される。ラッチ76は、係合突起45
がボビンケース31の開口部側に湾曲するようにした状
態で、案内溝101に嵌まり込んでいる。この状態で、
ラッチ76の長手方向と交差する幅方向両側部106
a,106bは、突出部103a,103bによって係
止され、ラッチ76は、ボビンケース31の軸線方向へ
の変位が阻止された状態で、案内溝101に沿って、係
合突起45が半径方向外方に突出する突出方向B1およ
びその逆で係合突起が半径方向内方に退避する退避方向
B2に移動自在に設けられている。
【0023】またラッチ76は、長手方向一端部105
寄りの幅方向一側部106aに、前記幅方向外方に突出
するばね受部107が形成されている。また端壁61に
は、案内溝101の長手方向他端部寄りに、幅方向一側
部102aに沿って、ばね収納凹所108が形成され、
圧縮コイルばね109が収納されている。ラッチ76
は、案内溝101に嵌まり込んだ状態で、圧縮コイルば
ね109による突出方向B1へのばね力を受けて、係合
突起45を周壁60の外周面44から半径方向外方に弾
発的に突出させている。
【0024】またラッチ76には、長手方向他端部11
0付近に、厚み方向に貫通する係止片挿通孔111が形
成される。この係止片挿通孔111は、ラッチ76の長
手方向一端部105寄りの幅広部111aとラッチ76
の長手方向他端部110寄りの幅狭部111bとを有し
ている。
【0025】操作片78は、長手方向一端部112に係
止片113を有し、この係止片113は、厚み方向一方
側に湾曲し、幅狭の延出部113aと、その先端の幅広
の係止部113bとを有する。この係止片113の延出
部113aの幅は、ラッチ76の係止片挿通孔111の
幅狭部111bの幅よりも小さく選ばれるとともに、係
止片113の係止部113bの幅は、ラッチ76の係止
片挿通孔111の幅狭部111bの幅よりも大きく、か
つ幅広部111aの幅よりも小さく選ばれている。また
係止片113の延出部113aの幅は、端壁61の係止
孔104の幅狭部104aの幅よりも小さく選ばれると
ともに、係止片113の係止部113bの幅は、端壁6
1の係止孔104の幅狭部104aの幅よりも大きく、
かつ幅広部104bの幅よりも小さく選ばれている。
【0026】このような係止片113は、その長手方向
一端部112の係止部113bが、ラッチ76の係止片
挿通孔111を挿通し、端壁61の係止孔104に挿入
されている。このように係止片113を挿通した状態
で、外力が作用していない場合には、係止片113は、
係止部113bが係止孔104の幅広部104bに嵌ま
り込み、延出部113aは係止片挿通孔111の幅狭部
111bを挿通した状態となっている。これによって、
ラッチ76は、係止部113bが係止孔104の周縁部
114に係止された状態にある操作片78の係止片11
3の延出部113aと当接して、圧縮コイルばね109
のばね力に抗して、突出方向B1への変位が阻止される
とともに、操作片78は、係止片113の係止部113
bがラッチ76の係止片挿通孔111の幅狭部111b
の両側周縁部に当接して、抜出てしまうことが阻止され
ている。このように、相互に抜止めされて、操作片78
は、ラッチ76に積重した状態で、係止片113の係止
部113bの長手方向一端部112側の端部を角変位中
心として、長手方向他端部115がラッチ76から離反
する引起こし方向C1およびその逆に長手方向他端部1
15がラッチ76に近接する伏倒方向C2に角変位自在
に、ラッチ76に連結される。
【0027】ボビンケース31に外力が作用していない
状態では、ラッチ76が突出方向B1にばね力を受けて
いるので、ラッチ76は、操作片78の係止片113の
延出部113aを押圧した状態で、係合突起45を周壁
60の外周面44から弾発的に突出させ、このとき操作
片78は、ラッチ76に沿って伏倒した状態にある。こ
の状態から、操作片78を引起こし方向C1に角変位操
作すると、操作片78は係止片113の係止部113b
の長手方向一端部112側の端部を角変位中心として、
引起こし方向C1に角変位するので、係止片113の延
出部113aが退避方向B2と同一方向へ変位し、これ
によってラッチ76を退避方向B2へ変位させることが
できる。このとき、周壁60から端壁61にわたって切
欠き100が形成されており、係合突起45が退避する
ことを許容することができる。また係止片113は、そ
の延出部113aが係止孔104の幅狭部104aに嵌
まり込むことによって引起こし方向C1に角変位でき
る。
【0028】このように、内かま30に、内周面42か
ら半径方向外方に凹んだ係合凹所43が形成され、ボビ
ンケース31に、外周面44から半径方向外方に弾発的
に突出する係合突起45が設けられ、この係合突起45
は、ボビンケース31が内かま30に装着された状態
で、係合凹所43に嵌まり込む。この係合突起45に
は、係合面47が形成されており、係合面47は、ボビ
ンケース31が内かま30に装着された状態で、係合凹
所43の開口周縁部の内かま開口端側の係合部分46に
弾発的に当接する。この弾発力によって、ボビンケース
31を、その一直径線方向および内かまの底壁53に近
接する方向に弾発的に付勢することができる。
【0029】再び図1を参照して、ボビンケース31内
には、ボビン40を収納することができる。ボビン40
は、2つのフランジ97a,97bと、各フランジ97
a,97bとを連結する筒状の巻胴98とを有する。こ
のボビン40には、各フランジ97a,97b間で、巻
胴98から各フランジ97a,97bの最外周部121
a,121b付近までボビン糸62を巻回することがで
きる。
【0030】各フランジ97a,97bは、円板状に形
成される。各フランジ97a,97bのうち、内かま3
0の開口端側に配置される一方のフランジ97aは、ス
テンレス鋼製であり、巻胴98の軸線方向一端部98a
に、巻胴98の中心軸線まわりに回転自在に支持され
る。図6に拡大して示すように、巻胴98の軸線方向一
端部98aは、巻胴98の軸線方向一端部98a以外の
残余の領域よりも小径に形成される。この巻胴98の軸
線方向一端部98aの外周面130および残余の領域の
外周面132は、巻胴98の中心軸線に平行な円筒状の
面であり、各外周面130,132は、巻胴98の半径
方向に段差を有し、巻胴98の中心軸線に垂直な段差面
131によって連なっている。一方のフランジ97a
は、上述したように円板状の形状を成し、その中心部分
には、軸孔133が形成され、この軸孔133は、巻胴
98の軸線方向一端部98aの外周面130の外径より
もわずかに大きく、かつ残余の領域よりも小さく選ばれ
ている。この一方のフランジ97aの軸孔133に、巻
胴98の軸線方向一端部98aが挿通する。この巻胴9
8の軸線方向一端部98aには、一方のフランジ97a
が挿通した状態で、前記軸線方向一端部98aの一方の
フランジ97aよりも外側(図6では右側)に突出した
部分には、周方向全周に延びる嵌合溝135が形成され
ている。この嵌合溝135にたとえばステンレス鋼製の
Eリング136が嵌合され、一方のフランジ97aは、
巻胴98に抜止めされる。Eリング136が嵌合溝13
5に嵌合した状態で、Eリング136と巻胴98の段差
面131との間隔は、一方のフランジ97aの厚さT1
1よりもわずかに大きくなるように構成されている。こ
のようにEリング136を用いて一方のフランジ97a
を巻胴98に装着し、巻胴98の軸線方向一端部98a
の外周面130の外径が一方のフランジ97aの軸孔1
33の内径よりもわずかに小さく、かつEリング136
と巻胴98の段差面131との間隔が一方のフランジ9
7aの厚さT11よりもわずかに大きく選ぶことによっ
て、一方のフランジ97aを巻胴98に回転自在に支持
させて設けることができる。
【0031】一方のフランジ97aの最外周側121a
の表面138(図1参照)は、滑らかに形成される。こ
こで、本発明の実施形態において「滑らか」とは、つる
つるとしているとともに、角部が無い状態を意味する。
前記表面138は、ボビン糸62に対する摺動摩擦抵抗
が、ボビン糸62の張力変化を無視し得る程度に小さ
く、ボビン糸62の移動経路上に凹凸のない一様な連続
面となるように形成される。一方のフランジ97aの最
外周部121aは、前記軸線を含む断面において、一方
のフランジ97aの軸線を長軸とする略楕円形状を成
し、かつこの軸線に垂直な断面において、軸線を中心と
する円形に形成される。
【0032】内かま30の開口端側に配置される一方の
フランジ97aの外径、すなわち一方のフランジ97a
の外周側の表面138の最も半径方向外方に位置する部
分の外径は、ボビンケース31の周壁60の内径よりも
小さく選ばれる。この一方のフランジ97aは、他方の
フランジ97bに対して半径方向外方になるにつれて近
接する方向に、ボビン40の中心軸線に垂直な平面から
角度αを成して傾斜して形成される。この角度αは、た
とえば3〜15度に選ばれる。
【0033】内かま30の底壁53側に配置される他方
のフランジ97bの外径は、ボビンケース31の周壁6
0の外径よりもやや大きく、かつ内かま30の周壁52
の内径よりもやや小さく選ばれる。他方のフランジ97
bは、巻胴98の長手方向他端部98bに一体的に形成
される。他方のフランジ97bおよび巻胴98は、一方
のフランジ97aと同様にステンレス鋼製である。この
他方のフランジ97bの最外周部121bには、図7に
拡大して示すように、一方のフランジ97a側に周方向
全周にわたって延びる嵌合溝201が形成されている。
この嵌合溝201は、他方のフランジ97bの半径方向
外方および厚み方向一方、すなわち一方のフランジ97
aに近接する方向に開放している。このような嵌合溝2
01を形成することによって必然的に、他方のフランジ
97bの最外周部121bには、嵌合溝201の厚み方
向他方側に半径方向外方に突出する突出部分203が形
成される。
【0034】このようなボビン40は、一方のフランジ
97a側からボビンケース31に収納され、ボビンケー
ス31の周壁60の開口端部127が、他方のフランジ
97bの嵌合溝201に弾発的に嵌まり込むことによっ
て、ボビンケース31に弾発的に嵌着される。さらに詳
しく述べると、他方のフランジ97bの嵌合溝201に
半径方向内方側から臨む部分202の外径は、ボビンケ
ース31の周壁60の内径よりもわずかに、たとえば
0.1〜0.2mm大きく選ばれており、ボビンケース
31の周壁60の開口端部127が嵌合溝201に嵌ま
り込むときに、ボビンケース31の周壁60が分断部9
9を利用して拡径しながら嵌まり込み、ボビンケース3
1の周壁60の復元力によって、ボビンケース31の周
壁60の内周面と他方のフランジ97bの嵌合溝201
に半径方向内方側から臨む部分202の外周面とが弾発
的に当接している。この状態で、ボビンケース31の周
壁60の開口端部127は、他方のフランジ97bの突
出部分202に当接している。このようにしてボビン4
0は、ボビン40の中心軸線とボビンケース31の中心
軸線とを一致させた状態で、ボビンケース31に収納さ
れる。
【0035】このようにボビン40がボビンケース31
に収納された状態で、一方のフランジ97aの最外周部
121aの表面138と、周壁60の内周面との間に
は、ボビン糸62が遊通することができる間隔T1を有
する第1空隙122が形成される。またボビン40の巻
胴98の軸線方向長さは、内かま30の底壁53の開口
端に臨む内面53aと、ボビンケース31の端壁61の
前記底壁53に臨む内面61aとの間隔よりも短く選ば
れる。これによってボビンケース31の端壁61の前記
内面61aと、巻胴98の最も軸線方向一端部寄りの先
端面138および一方のフランジ97aの外側面139
から成るボビン40の一方側面との間に第2空隙123
が形成される。巻胴98の長手方向一端部98aの外周
面130と端面138とが連なる部分は、ボビン糸取出
孔70付近に導かれるボビン糸62が引掛からないよう
にするために、丸みを帯びて形成される。さらにボビン
40の他方のフランジ97bには、図8に示すように周
方向1箇所に、半径方向内方に凹む凹所205が形成さ
れており、この凹所205とボビンケース31の周壁6
0の分断部99とを対応させて、ボビン40はボビンケ
ース31に収納される。
【0036】このようにボビン40が収納されたボビン
ケース31は、ボビンケース31の周壁60の分断部9
9に内かま30に形成される位置決め突起55が嵌まり
込んで、内かま30に対する位置決めがなされるととも
に、内かま30に対する周方向の変位が阻止された状態
で、ラッチ76の係合突起45を内かまの係合凹所43
に係合させて内かま30に装着される。前述のようにボ
ビン40の他方のフランジ97bには凹所205が形成
されており、ボビンケース31の内かま30への装着時
に、位置決め突起55にボビン40の他方のフランジ9
7bが干渉することがない。このようにして内かま30
内に収納されたボビン40は、他方のフランジ97bの
最外周部121aが、内かま30に装着されたボビンケ
ース31の周壁60の開口端部127に弾発的に嵌着さ
れて半径方向の変位が阻止されている。
【0037】ボビンケース31の端壁61には、前述し
たようにボビン糸取出孔70が形成され、ラッチ76に
は第1透孔75が形成され、さらに操作片78には第2
透孔77が形成される。これらの第1空隙122、第2
空隙123、ボビン糸取出孔70、第1透孔75、およ
び第2透孔77を含んで、ボビン糸62が通過する空隙
を形成する。ボビン40に巻回されるボビン糸62は、
ボビン40の一方のフランジ97aの最外周部121a
とボビンケース31の周壁60との間の第1空隙12
2、およびボビンケース31の端壁61とボビン40の
前記端壁61に距む一方側面との間に形成される第2空
隙123を通過して、ボビンケース31の端壁61に形
成されるボビン糸取出孔70から外部へ導かれる。
【0038】さらに詳しく述べると、ボビン40に巻回
されるボビン糸62は、一方のフランジ97aの最外周
部121aに巻掛け、この一方のフランジ97aの最外
周部121aから端壁61のボビン糸取出孔70にわた
って張架された状態で、ボビン糸取出孔70から外部へ
導かれる。このときボビン糸62は、図1に示すよう
に、巻胴98に回転自在に軸支される一方のフランジ9
7aの最外周部121aに巻掛けられた状態にあり、こ
の最外周部121aの外周側の表面138の一部を摺動
面として、この摺動面に当接している。この摺動面は、
前述したように滑らかに形成される。
【0039】また前記最外周部121aは、略楕円形状
に形成されているので、ボビン糸62は、前記摺動面に
対してその接線方向に延びる状態で前記最外周部121
aに巻掛けられる状態となる。これによってボビン糸6
2は、屈曲されることなく、なだらかに巻掛けられた状
態となる。また端壁61のボビン糸取出孔70の内周面
126は丸く湾曲して形成されている。
【0040】縫製動作が開始されてボビン糸62が引出
されると、ボビン糸62はボビン糸取出孔70から一方
のフランジ97aの最外周部121aにわたって張架さ
れた状態で、前記巻胴98の軸線まわりに円滑に回転移
動しながら巻きほどかれる。これによって巻胴98慣性
力によって回転し、ボビン糸62がボビンケース31内
で過剰にたるんでもつれるなどの不具合を生じるおそれ
をなくし、円滑にボビン糸62を供給することができ
る。
【0041】またボビンケース31の軸線とボビン40
の軸線とを一致させた状態でボビン40を保持すること
によって、一方のフランジ97aの最外周部121aの
前記摺動面と、ボビンケース31の周壁60の内周面と
の隙間を周方向全周にわたって一定の間隔T1を確保す
ることが可能である。これによってボビン糸62が通過
するために必要とされる間隔T1の隙間を周方向全周に
わたって確保し、ボビン糸62が引っ掛かることを防止
して、糸切れなどの不具合を無くすとともに、ボビン糸
62の張力の変化を防止して糸締まりのむらを無くすこ
とができる。
【0042】端壁61のボビン糸取出孔70の内面61
aに臨む内周部126は丸く湾曲して形成されており、
この内周面126と内かま開口端側の一方のフランジ9
7aの最外周部121aとにわたってボビン糸62が張
架された状態で、その引出しに応じて巻胴の軸線まわり
に回転する。このとき、ボビン糸62が一方のフランジ
97aに作用する力が大きい場合には、ボビン糸62の
前記回転動作に一方のフランジ97aが従動回転し、こ
れによってボビン糸62が前記摺動面から受ける抵抗力
の増加を阻止することができる。またボビン糸62が一
方のフランジ97aに作用する力が小さい場合には、す
なわちボビン糸62が前記摺動面から受ける抵抗力が一
方のフランジ97aを従動回転させるために必要な回転
モーメントよりも小さい場合には、一方のフランジ97
aは回転せず、ボビン糸62は摺動面上を摺動する。
【0043】図9は、ボビン糸62の配置状態を説明す
るための図である。上述したように、ボビン糸62は、
一方のフランジ97aの最外周部121aに巻掛けら
れ、この最外周部121aからボビン糸取出孔70にわ
たって張架され、ボビンケース31の端壁61のボビン
糸取出孔70に連なって延びる第2のボビン糸案内溝9
0に案内される。ボビン糸62は、第2のボビン糸案内
溝90のボビン糸取出孔70側の端部90aを中心とし
て、巻胴98の軸線まわりに回転する。たとえば図9に
示すようにボビン糸62が巻回されている場合には、ボ
ビン糸62は、矢符G3方向に回転しながら巻きほどか
れる。
【0044】このとき、ボビン糸62の引出しに伴い、
ボビン糸62から一方のフランジ97aに伝えられる力
は、前記最外周部121aのボビン糸62が巻き掛けら
れる位置300で、矢符G4方向に作用する。この矢符
G4方向は、巻胴98の軸線に垂直な平面において、ボ
ビン糸62の前記ボビン糸62が巻き掛けられる位置3
00と第2のボビン糸案内溝90のボビン糸取出孔70
側端部90aとにわたって延びる部分62aと、前記ボ
ビン糸62が巻掛けられる位置300とボビン糸62の
巻回部分62cから延びる部分62bとが成す鋭角βを
2等分する方向である。ボビン糸62が回転するときに
中心となる端部90a、およびボビン糸62の巻回方向
に基づいて、第2のボビン糸案内溝90および巻胴98
の軸線を含む仮想平面140によって分割される各領域
を参照符S1,S2で示すと、ボビン糸62の各部分6
2a,62bが成す鋭角βは、第2のボビン糸案内溝9
0に関してボビン糸62が巻きほどかれるG3方向下流
側の領域S1においてボビン糸62が巻掛けられている
ときには、比較的大きく、第2のボビン糸案内溝90に
関してボビン糸62が巻きほどかれるG3方向上流側の
領域S2においてボビン糸62が巻掛けられているとき
には、比較的小さい。またボビン糸62が1週巻きほど
かれる期間で、ボビン糸62の部分62bが、一方のフ
ランジ97aの最外周部121aのボビン糸62の巻掛
けられる位置300を通る一半径線と成す角度は、ほと
んど変化しない。
【0045】すなわちボビン糸62から一方のフランジ
97aに力が作用する方向G4は、各領域S1,S2の
うち、領域S1においてボビン糸62が巻掛けられてい
るときには、一方のフランジ97aが最外周部121a
のボビン糸62の巻掛けられる位置300を通る一半径
線と成す角度が、比較的小さく、領域S2においてボビ
ン糸62が巻掛けられているときには、一方のフランジ
97aの最外周部121aのボビン糸62の巻掛けられ
る位置300を通る一半径線との成す角度が、比較的大
きい。このことは、ボビン糸62から一方のフランジ9
7aに作用する力のうち、一方のフランジ97aの周方
向の分力は領域S1では比較的小さく、領域S2では比
較的大きく、かつボビン糸62から一方のフランジ97
aに作用する力のうち、一方のフランジ97aの半径方
向の分力は、領域S1では比較的大きく、領域S2では
比較的小さいことを意味している。
【0046】したがってボビン糸62が巻きほどかれる
ときに、領域S1ではボビン糸62が一方のフランジ9
7aの最外周部121aから受ける抵抗が比較的大き
く、領域S2ではボビン糸62が一方のフランジ97a
の最外周部121aから受ける抵抗が比較的小さくな
り、このようにボビン糸62が一方のフランジ97aの
最外周部121aから受ける抵抗力が変化し、ボビン糸
62の張力が変化してしまうことがある。
【0047】またボビン糸62が1週巻きほどかれる期
間においてボビン糸62の単位時間当たりの引出し量は
ほぼ一定であるにもかかわらず、端部90aと前記位置
300との間の距離が、前記矢符G3方向下流側になる
につれて次第に大きくなる領域と、前記距離が矢符G3
方向下流側になるにつれて次第に小さくなる領域とで異
なり、これによってボビン糸62を引出すために必要な
力に差が生じ、ボビン糸62の張力が変化してしまうこ
とがある。これに対して、本発明の実施形態では、一方
のフランジ97aが回転自在に設けられるので、前述の
ようにボビン糸62が受ける抵抗力が変化しないよう
に、抵抗力が大きくなるときには、その抵抗力を一方の
フランジ97aの回転によって軽減することができ、ボ
ビン糸62の張力の変化を小さくし、縫い質を向上する
ことができる。
【0048】またボビン糸62が巻掛けられる摺動面は
滑らかに形成されるので、ボビン糸62が縫製動作に伴
って引出されるときに、ボビン糸62は摺動面132上
を軸線方向および周方向に円滑に摺動しながら引出され
る。これによってボビン糸62が前記摺動面から受ける
摺動抵抗の変化が少なく、したがってボビン糸62の張
力が不所望に変化することが防がれる。特に、縫製開始
時において、急にボビン糸62が引出されても、一方の
フランジ97aがボビン糸62の前記軸線まわりの回転
動作に従動して回転するので、ボビン糸62が摺動面か
ら受ける摺動抵抗に大きな変化が少なく、ボビン糸62
の張力が縫製継続状態と比較して大きく変化することが
ない。
【0049】また前記内周面126は丸く湾曲して形成
されるので、ボビン糸62が角部で損傷されるおそれは
なく、ボビン糸62の軸線方向、したがって引出される
方向に大きな摩擦力が作用せず、このボビン糸取出孔7
0の内周面による摺動抵抗が少なくてすみ、ボビン糸6
2の張力が不所望に変化してしまうことが防がれる。
【0050】さらにボビン40はボビンケース31に弾
発的に保持されるので、ボビンケース31がその開放端
を下方に向けて配置されても、ボビン40がボビンケー
ス31から不所望に脱落することが防がれる。したがっ
てボビン40を収納したボビンケース31の内かま30
への着脱時に、ボビンケース31の取り扱いが容易にな
り、作業性が向上される。またボビンケース31の内か
ま30への着脱時に、ボビン40がボビンケース31に
対して変位してしまうことがない。またボビン40の他
方のフランジ97bは、その外径がボビンケース31の
周壁60の外径よりも大きく選ばれており、すなわち他
方のフランジ97bの突出部分203はボビンケース3
1の周壁60よりも半径方向外方に突出した状態となっ
ており、ボビン40がボビンケース31に弾発的に嵌着
されていても、この突出部分203に指をかけるなどし
て、ボビン40をボビンケース31から容易に離脱させ
ることができる。
【0051】また一方のフランジ97aは、Eリング1
36を利用して巻胴98に着脱することも可能であるの
で、たとえば前記摺動面が摩耗したときなどに、容易に
交換することができる。上述した各実施形態では一方の
フランジ97aはステンレス鋼製であったけれども、ア
ルミニウム合金製または合成樹脂製であってもよい。こ
のような一方のフランジ97aはステンレス鋼製のもの
よりも軽量であるので慣性力が小さく、これによって一
方のフランジ97aの回転開始動作および回転停止動作
をボビン糸62の回転動作に良好に追従させることがで
きる。さらに複数種の材料の異なる一方のフランジ97
aを準備しておくことによって、ボビン糸62の材質に
応じて、最も摺動抵抗が小さくなる材質から成る一方の
フランジ97aを適宜選択して装着することも可能であ
り、利便性が向上される。
【0052】また上述した各実施形態では、ボビン40
は、外径が、一方のフランジ97aより大きい他方のフ
ランジ97bが、ボビンケース31の周壁60によって
内かま30の底面53a側で回り止めされるけれども、
ボビンおよび内かまを相互に磁気吸着する材料で形成し
て各フランジ97a,97bを同一径とし、回り止めさ
れてもよい。このようなボビンでは、各フランジの最外
周部に滑らかな摺動面をそれぞれ形成することによっ
て、ボビンをボビンケース内に収容するときに、内かま
開口端側に、滑らかな摺動面を有するフランジを確実に
配置することができる。
【0053】上述した本発明の各実施形態の構成では、
各フランジ97a,97b間の巻胴98上にボビン糸6
2が巻回された状態で一方のフランジ97aは、巻胴9
8の中心軸線まわりに回転することができるけれども、
本発明の他の実施の形態として一方のフランジ97aが
より円滑に回転することができるようにするために、ボ
ビン糸62の前記巻胴98上に積層した状態の巻回部分
62cと一方のフランジ97aの内側面134との間
に、ボビン糸62および一方のフランジ97aのうち少
なくともいずれか一方に対して摩擦抵抗が極めて小さい
材料から成る薄いシートを介在させてもよい。
【0054】また上述した各実施形態では、他方のフラ
ンジ97bおよび巻胴98はステンレス鋼製であったけ
れども、合成樹脂製、繊維強化合成樹脂製またはアルミ
ニウム合金製であってもよい。
【0055】また一方のフランジ97aの軸孔137お
よび巻胴98の軸線方向一端部98a上のいずれか一方
または両方にポリテトラフルオロチレン(商品名;テフ
ロン)などによって実現される高分子薄膜またはチッ化
チタンなどの硬い被膜を形成してもよい。このような構
成では、一方のフランジ97aと巻胴98との間に生じ
る摩擦抵抗を少なくして、一方のフランジ97aをボビ
ン糸62の回転動作に滑らかに従動回転させることがで
き、かつ一方のフランジ97aおよび巻胴98の接触回
転部分の耐摩耗性を向上させて、一方のフランジ97a
の回転動作をがたつくことなく長期にわたって保障する
ことができる。
【0056】図10は、本発明の実施の他の形態のボビ
ン40Aの一部を拡大して示す断面図である。上述の各
実施形態と同様の構成を有する部分には同一の参照符を
付し、説明を省略する。本実施形態のボビン40Aの巻
胴98Aの軸線方向一端部には、スナップフィット15
1が形成される。
【0057】スナップフィット151は、複数(本実施
形態では2)の軸部153および抜止め部154と、各
軸部153を連結する連結部153aとによって構成さ
れる。各軸部153は、巻胴98Aの軸線方向中間部に
連なって巻胴98の軸線に沿う方向に延び、かつ前記軸
線に垂直な平面において、一方のフランジ97aの軸孔
137の内径よりもわずかに小さな外径を有する一仮想
円の周方向に間隔をあけて延びる円弧状の外周面152
を有する。また各抜止め部154は、各軸部153の遊
端側(図10では右側)に一体的に連なり、この各軸部
153と連なる部分には、前記軸線に垂直な断面形状が
円弧状でかつ前記一方のフランジ97aの軸孔137よ
りも大きな外径を有する抜止め片155が形成される。
これによって一方のフランジ97aが軸孔137に軸部
153が挿通した状態において一方のフランジ97aを
確実に抜止めすることができる。抜止め部154の先端
部154aは、前記ボビン糸取出孔70付近に導かれる
ボビン糸62を引掛けないようにするために丸みを帯び
て形成される。
【0058】また各抜止め部154の前記軸部153か
ら最も遠去かった先端156間の間隔ΔL1は、前記一
方のフランジ97aの軸孔137の内径よりも小さくな
るように選ばれる。この抜止め部154には、前記先端
156から前記軸部153に近接するにつれて巻胴98
の軸線とは離反する方向に傾斜する傾斜面157を有す
る。スナップフィット151は、さらに各軸部153を
相互に連結する連結部153aを有し、この連結部15
3aは、巻胴98の軸線方向中間部から外側(図10で
は左側)に延びている。連結部153aの前記外側端面
153bは、巻胴98Aの端面151と前記巻止め部1
54との間に配置されるように選ばれる。
【0059】このようなスナップフィット151に一方
のフランジ97aを装着するときは、まず一方のフラン
ジ97aを、その中心線に垂直な平面から角度αだけ傾
斜した側の表面である内側面139が、他方のフランジ
97bに対向するようにして前記軸孔137を案内面1
57に当接させ、この状態で一方のフランジ97aを他
方のフランジ97bに近接する方向に押し込む。一方の
フランジ97aを押し込むと、前記傾斜面157が一方
のフランジ97aの軸孔137の前記内側面134に臨
む周縁部158によって案内されて軸部152が弾性変
形し、これに伴って各抜止め片155が相互に近接する
方向に変位する。さらに一方のフランジ97aを押し込
むことによって前記周縁部158が、抜止め片155の
最外角部159を乗り越え、その最外角部159に軸孔
137の内周面が摺動しながら他方のフランジ97bに
向けて移動する。
【0060】一方のフランジ97aの軸孔137の外側
面139に臨む周縁部160が、前記抜止め片155の
最外角部159を通過すると、抜止め片155は軸部1
53の弾性回復力によって前記軸線から離反する方向に
変位する。この状態では、一方のフランジ97aは抜止
め片155によって抜止めされて、前記軸部153に回
転自在に支持される。
【0061】このようなスナップフィット151を用い
て一方のフランジ97aを軸支する構成では、上述した
各実施形態と比較して、Eリング136を嵌着するため
のペンチなどの工具を必要とせずに一方のフランジ97
aを巻胴98に容易に取付けることができるとともに、
各軸部153が前記軸孔137に沿う一仮想円の周方向
に間隔をあけて設けられるので、一方のフランジ97a
と接触する部分が少なくなり、これによって摩擦損失を
小さくすることができる。またスナップフィット151
から一方のフランジ97aを取外すには、傾斜面157
を手指で押圧して、前記最外角部159を一方のフラン
ジ97aの軸孔137よりも半径方向内方に退避させ
て、スナップフィット151から抜き取ればよいので、
取外す作業も容易である。また本発明の実施形態では、
各軸部153間に連結部153aが配置されるので、一
方のフランジ97aは各軸部153によって軸支した状
態で、ボビン糸62の引出し動作によって一方のフラン
ジ97aががたついてしまうという不具合をなくすこと
ができる。
【0062】図11は、本発明のさらに他の形態のボビ
ン40Bの一部を拡大して示す断面図である。上述の図
1〜図10に示される各実施形態と同様の構成を有する
部分には同一の参照符を付し、説明を省略する。
【0063】ボビン40Bの一方のフランジ97Bの軸
孔137Bは、巻胴161の軸線方向一端部162の外
周面163の外径よりもわずかに大きな内径を有する第
1軸孔部分164と、巻胴161の軸線方向一端部16
2以外の残余の領域の外周面の外径よりもわずかに大き
な内径を有し、第1軸孔部分164に段差面165を介
して連なる第2軸孔部分166とから成る。第2軸孔部
分166と巻胴161の残余の領域の外周面との間の隙
間は、第1軸孔部分164と前記軸線方向一端部162
の外周面163との隙間よりも、巻胴98の半径方向に
小さく選ばれる。
【0064】このような軸孔137Bを有する一方のフ
ランジ97Bを図11に示すように巻胴161に装着す
ると、巻胴161の前記残余の領域の外周面を第2軸孔
部分166によって部分的に覆い、かつ一方のフランジ
97Bの前記軸線方向の位置決めを第1軸孔部分164
を有する小径部分164aによって成された状態とな
る。したがって本発明の実施形態では、上述した図1〜
図10に示される各実施形態と同様の効果を達成するこ
とができるとともに、ボビン糸62を巻胴98の前記残
余の領域の外周面上に巻回する際に、第2軸孔部分16
6と巻胴161の残余の領域の外周面との間の隙間が、
ボビン糸62が前記巻回される方向に対してほぼ直角を
成して延びているので、ボビン糸62の繊維が前記隙間
に入り込んでしまうといった不具合をなくすことができ
る。
【0065】図12は、本発明の実施のさらに他の形態
であるボビン40Cの一方のフランジ97Cの最外周部
を示す断面図である。上述した図1〜図11に示す各実
施形態と同様の構成を有する部分は、同一の参照符を付
し、説明は省略する。本実施形態のボビンの構成におい
て、一方のフランジ97Cは、巻胴98と一体的に形成
されるフランジ本体170と、このフランジ本体170
の外周部に嵌着されるフランジカバー171とを有す
る。すなわち一方のフランジ97Cには、その最外周部
分にフランジカバー171が設けられている。
【0066】フランジ本体170は巻胴98の軸線に垂
直な平面に対して他方のフランジ97bに近接する方向
に角度αを成して傾斜している。このフランジ本体17
0の外周面172は、前記軸線に平行に形成されてい
る。フランジカバー171は、リング状の形状を有する
ステンレス鋼製の部材であって、その軸線を巻胴98の
軸線と一致させて枢着される。このフランジカバー17
1は、基部173と、基部173の軸線方向(図12の
左右方向)一端部から半径方向内方(図12の下方)に
突出する凸部174と、基部173の軸線方向他端部か
ら半径方向内方に突出する支持部175とを有し、軸線
を含む平面で切断した断面の形状は、大略的にJ字状で
ある。
【0067】基部173の内周側の表面176はフラン
ジカバー171の軸線と平行またはほぼ平行に形成さ
れ、この表面176の内径は、フランジ本体170の外
周面172の外径よりもわずかに大きく選ばれている。
【0068】このようにフランジカバー171は、基部
173の軸線方向両端部から半径方向内方にそれぞれ突
出する凸部174および支持部175を有し、これによ
って半径方向内方側に凹所177が形成される。この凹
所177の幅、すなわち凸部174と支持部175との
軸線方向の距離は、フランジ本体170の軸線方向の幅
よりもわずかに大きく選ばれている。このような凹所1
77にフランジ本体170の外周部を嵌まり込ませるよ
うにして、フランジ本体170にフランジカバー171
が枢着される。このようなフランジカバー171を設け
ることによって、一方のフランジ97Cの最外周部が巻
胴98の軸線まわりに回転自在な構成にすることができ
る。
【0069】またフランジカバー171は、基部173
の外周側の表面178が略楕円形状に形成される。これ
によって上述した図1〜図11に示される各実施形態と
同様に滑らかな摺動面を形成し、かつ基部173の厚み
を小さくすることが可能であり、これによって既存のボ
ビンに枢着して用いることができる。すなわち既存のボ
ビンおよびボビンケース31の寸法を変更することな
く、ボビンにフランジカバー171を枢着しても、摺動
面とボビンケース31の周壁60との間にボビン糸62
の通過可能な空隙を形成することが可能である。このよ
うにフランジカバー171を設けることによって、既存
のボビンの最外周部分を回転自在な構成にすることが可
能である。
【0070】フランジカバー171は、上述したように
ステンレス鋼製であったけれども、本発明ではこれに限
定されることはなく、たとえば合成樹脂、繊維強化性合
成樹脂またはアルミニウム合金から成っていてもよい。
図12に示す実施形態のボビン40Cのフランジカバー
171を除く残余の部分の材料には、フランジカバー1
71をフランジ本体170に枢着した状態において、フ
ランジカバー171との間に発生する摩擦抵抗を少なく
するために、フランジカバー171に対する摩擦係数が
小さい材質に選択することが好ましい。またフランジカ
バー171の材料としては、ボビン糸62に対する摩擦
係数が小さい材料が好ましい。
【0071】またフランジカバー171は、上述したよ
うに巻胴98に一体的に形成されるフランジ本体170
に枢着されているけれども、これに限定されることな
く、さらに他の形態として上述した図1〜図11に示さ
れる一方のフランジ97a,97Aに枢着されてもよ
い。このような構成では、縫製動作中においてボビン糸
62が回転しながら引出される際に、一方のフランジ9
7a,97Aとともにその最外周部121aに枢着され
るフランジカバー171も巻胴98の軸線まわりに回転
するので、ボビン糸62の回転動作に対する追従性を向
上させることができる。これによって上述した図1〜図
11に示される各実施形態と比較して、ボビン糸62が
糸切れを生じることがなく、かつボビン糸62の張力を
安定させて糸締まりの無駄を防ぎ、縫い質を向上すると
いう効果をより高い信頼性で達成することができる。
【0072】またフランジカバー171の前記フランジ
本体170に対する回転をより円滑に行うために、フラ
ンジカバー171の凹所177およびフランジ本体17
0の外周面172のいずれか一方または両方にチッ化チ
タンなどによって実現される硬い被膜を形成してもよ
い。
【0073】図13は、本発明の実施の他のさらに形態
のボビン40Dを示す側面図である。上述の各図1〜図
12に示される各実施形態と同様の構成を有する部分
は、同一の参照符号を付し、説明は省略する。本実施形
態のボビン40Dは、上述の図12に示される実施形態
のボビン40Cの一方のフランジ97Cに代えて、一方
のフランジ97Dを有する。上述の実施形態の一方のフ
ランジ97Cのフランジ本体170は、巻銅98に固定
される円板状の形状を成して構成されたけれども、本実
施形態のフランジ97Dのフランジ本体170Dは、巻
胴98の軸線方向一端部98aにEリング136によっ
て回転自在に連結される基部179と、基部179から
放射状に突出する複数、本実施形態において8つの突出
部分180とから成る。このフランジ本体170Dは、
外周部に向かうに連れて、巻胴98の軸線に垂直な平面
から角度αを成して、他方のフランジ97bに近接する
方向に傾斜して形成されており、各突出部分180は、
周方向に等角度θ5、本実施形態では45度毎に設けら
れている。このような突出部分180の先端部分に、上
述したフランジカバー171が枢着されて、フランジ9
7Dの最外周部にボビン糸62を巻掛けることができ
る。
【0074】このようなボビン40Dは、上述の図1〜
図12に示される各実施形態と同様に、縫い質を向上す
る効果を達成することができるとともに、各突出部分1
80とフランジカバー171との間にフランジ97Dの
厚み方向に貫通する貫通孔181が形成され、これによ
って一方のフランジ170Dを軽量にすることができ
る。
【0075】図14は、本発明の実施のさらに他の形態
のボビン40Eを示す側面図である。上述の図1〜図1
3に示す各実施形態と同様の構成を有する部分は、同一
の参照符号を付し、説明は省略する。本実施形態のボビ
ン40Eは、上述した図12,図13に示す各実施形態
のボビン40C,40Dの一方のフランジ97C,97
Dに代えて、フランジ97Eを有する。フランジ97E
のフランジ本体170Eは、円板状であり、かつ巻胴9
8に回転自在に軸支され、外周部に向かうに連れて、巻
胴98の軸線に垂直な平面から角度αを成して、他方の
フランジ97bに近接する方向に傾斜して形成されてい
る。フランジ本体170Eには、半径方向に2列の同心
円上で、周方向に間隔をあけて複数の透孔182と半円
状の切欠き183とがそれぞれ形成されている。このよ
うなボビン40Eのフランジ本体170Eには、フラン
ジカバー171が枢着される。このようなボビン40E
も、上述した図12の実施形態のボビン40Dと同様に
軽量にすることができる。
【0076】このように一方のフランジを軽量化して慣
性力を小さくし、一方のフランジの前記ボビン糸62の
回転動作に対する追従性を向上することができる。
【0077】また図13および図14に示す各実施形態
のように、一方のフランジ97D,97Eに孔81;8
2,83を貫通孔、透孔および切欠きとして、それぞれ
形成することによって、ボビン糸62を、一方のフラン
ジ97D,97Eの最外周部に巻掛けて引出すとき、一
方のフランジ97D,97Eに接触した位置から巻きほ
どく際に、ボビン糸62がフランジ本体に巻回方向に周
方向全周にわたって接触する場合に比べて、フランジ本
体170D,170Eと接触する領域が少ない。これに
よって、この一方のフランジ170D,170Eに接触
した位置に巻回されるボビン糸62の部分が巻きほどか
れるときに、残余の部分が巻ほどかれるときに比べてボ
ビン糸62の張力が大きく変化しない。
【0078】さらに、フランジカバー171によってボ
ビン糸62から摺動する摺動面を形成することができる
ので、図13および図14に示すように、フランジ本体
170D,170Eの半径方向外方に開放する孔18
1,183を形成することができ、これによってフラン
ジカバー171の摺動抵抗による摩擦損失を軽減するこ
とができる。また各孔181;182,183によって
ボビン糸62の巻回量の残量をボビンケース31に装着
したままで外部から確認することも可能であり、利便性
が向上される。
【0079】さらに他の形態として、上述した他方のフ
ランジ97bの突出部分203の外周面が周壁60の外
周面と面一になるように構成してもよい。このような場
合には、突出部分203を指で挟むなどしてボビン40
をボビンケース31から離脱させることができるととも
に、突出部分203の引っ掛かりを少なくして、ボビン
ケース31の内かま30への装着時などに、この突出部
分203が、ミシンの他の構成部品などに引っ掛かっ
て、ボビン40が不所望にボビンケース31から脱落す
る不具合を防ぐことができる。
【0080】また上述した図1〜図14に示される各実
施形態では、ミシンのかまは垂直全回転かまであったけ
れども、本発明はこれに限定されることはなく、たとえ
ば外かまの回転軸線と針の移動経路とが垂直以外の角度
を成すような構成であってもよい。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、ボビン糸が巻回される
巻胴を回転させることなく、一方のフランジの少なくと
も最外周部を回転させてボビン糸を滑らかに引出すこと
ができるので、ボビン糸の張力のばらつきの発生を防止
することができる。
【0082】また本発明によれば、上述した請求項1記
載の発明のように、ボビンの巻胴はその回転が阻止され
ることがないので、ボビンケース内でボビン糸がたるみ
を生じて張力にばらつきが発生することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の垂直全回転かま32の
一部を示す下方から見た水平断面図である。
【図2】図1に示す垂直全回転かま32の外観を示す斜
視図である。
【図3】内かま30の斜視図である。
【図4】ボビンケース31の斜視図である。
【図5】ボビンケース31の分解斜視図である。
【図6】ボビン40の一方のフランジ97aおよび巻胴
98の軸線方向一端部98a付近を拡大して示す断面図
である。
【図7】ボビン40の他方のフランジ97bの最外周部
121bおよびボビンケース31の周壁60の開口端部
127付近を拡大して示す断面図である。
【図8】ボビン40の他方のフランジ97bの一部を示
す正面図である。
【図9】ボビン糸62がボビン40の一方のフランジ9
7aの最外周部121aを回転動作する様態を説明する
ためのボビン40の正面図である。
【図10】本発明の実施の他の形態のボビン40Aの一
部を拡大して示す断面図である。
【図11】本発明の実施のさらに他の形態のボビン40
Bの一部を拡大して示す断面図である。
【図12】本発明の実施のさらに他の形態のボビン40
Cの最外周部を拡大して示す断面図である。
【図13】本発明の実施のさらに他の形態のボビン40
Dを示す側面図である。
【図14】本発明の実施のさらに他の形態のボビン40
Eを示す側面図である。
【図15】典型的な従来技術の垂直全回転かま22の分
解斜視図である。
【図16】垂直全回転かま22の水平断面図である。
【符号の説明】
30 内かま 31 ボビンケース 32 垂直全回転かま 34 外かま 40,40A〜40E ボビン 97a,97b;97A〜97E フランジ 98,98A,161 巻胴 121a,121b 最外周部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻胴と、巻胴の軸線方向両端部にそれぞ
    れ設けられるフランジとを有し、一方のフランジの少な
    くとも最外周部は、巻胴の軸線まわりに回転自在である
    ことを特徴とするボビン。
  2. 【請求項2】 巻胴と、巻胴の軸線方向両端部にそれぞ
    れ設けられるフランジとを有するボビンを、内かまに着
    脱自在に装着されるボビンケースに収納した状態で内か
    ま内に保持し、 ボビンの各フランジのうち内かま開口端側に配置される
    一方のフランジの少なくとも最外周部は、内かま内で回
    転が阻止された巻胴の軸線まわりに回転自在であり、 ボビンの内かまの開口端側に配置される前記一方のフラ
    ンジの最外周部とボビンケースの周壁の内周面との間、
    およびボビンケースの端壁の内面とボビンの前記ボビン
    ケースの内面に臨む一方側面との間には、ボビンに巻回
    されるボビン糸が通過する空隙が形成され、ボビンケー
    スの端壁には、前記空隙に連通するボビン糸取出孔が形
    成されることを特徴とするボビンを用いたミシンのか
    ま。
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