JPS6029941B2 - 複合型の電子写真板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、電子写真による画像作成に有効な電子写真板
に関係し、特に電荷発生物質および電荷搬送物質から構
成される複合型の電子写真板に関する。

従釆、複合型の電子写真板の電荷発生物質としては、有
機第１ァミン類に可溶なモノアゾ染料、ジスアゾ染料お
よびスクアリン酸議導体染料、またキノシァニン顔料、
銅フタロシァニン顔料などの有機物が多数提示されてい
る。

一方、テルル〜ヒ素〜ガラス状セレン系、特公昭４９一
１４２７２号‘こ示されるィミド結合を有する重合体〜
無定形セレン系などの無機物も提示されている。さらに
電荷搬送物質としては、トリニトロチオキサントン、ポ
リビニルカルバゾール系の材料、ピラゾリン誘導体、ト
リニトロフルオレノン、ニトロおよびシアノ置換の各種
化合物などが提示されている。これらを用いた電子写真
板は、いずれも良好な電子写真特性を有するが、電子写
真方法を複写装置などに実用化するために不可欠な要件
である耐久性、くり返し特性に劣り、また特定の波長域
の光にしか高い感度を示さない等の欠点を有しており、
製品化の大きな妨げとなっていた。本発明の目的は、上
記従来物質の欠点を克服し耐久性、くり返り特性に優れ
、かつ極めて広い波長城の光に感度が高く、剛性もしく
は柔軟性および多くの異なる形状の広範囲の基板上に使
用するのに適している複合型の電子写真板を提示するに
ある。

電荷発生物質には、電荷搬送層を通過した光により、電
子一正孔を形成し、発生した正孔を雷場により、電荷搬
送層中に注入しなければならないことが要求される。

また電荷搬送物質には、光照射により電荷発生物質に生
ずる光キャリャが有効に注入されうろこと、電荷発生物
質の吸収する波長を妨害しない適当な吸収域を有するこ
となどの諸条件が必要で、良好な物質を作成するのは、
極めて困難である。光キャリャの有効な注入と電荷搬送
層のイオン化ポテンシャルには、明確な相関々係がある
。例えば電子がキヤリャの場合には、電荷発生物質より
も電荷搬送物質のイオン化ポテンシャルが高いこと、逆
に正孔がキヤリヤの場合は、低いことが必要であるとの
研究結果が公表されている。しかしながら電子写真板と
して重要な耐久性、くり返し特性の向上に対しては、明
確な指針が得られていない。本発明者等は、上託した既
知の事実を基に種々検討を行った結果、本発明に示す如
き、極めて好適な電荷発生物質と電荷搬送物質の組合せ
を見し、出した。

本発明は、８型鋼フタロシアニン顔料と下記構造式Ａを
有するモノアゾ系レーキ顔料の混合物を電荷発生物質と
し、下記構造式Ｂを有する化合物を電荷搬送物質とした
複合型の電子写真板を用いることに関する。

但し、ＭはＣａ，Ｂａ，Ｍｇであり、Ｒ，及びＲ２は、
水素、メチル基、メトキシ基又はハロゲンを示している
。

選ばれた１種のへテ。

環基（但しＺは、０またはＳを示し、ヘテｏ環基は置換
されていてもよい）を示し、ｎは０，１または２を示し
ており、Ｒ３とＲ４は炭素数が３以下のアルキル基であ
る。このようなへテロ環基の置換基としては、一ＣＨ３
、−Ｃ２日５、一Ｃ３日７などの低級アルキル基、一Ｃ
Ｉ、−Ｂｒなどのハロゲン基、一Ｎ（ＣＨ３）２、一Ｎ
（Ｃ２＆）２、一Ｎ（Ｃ３日７）などのジアルキルアミ
ノ基、一ＯＣＨ３、一ＯＣ２氏などのアルコキシ基、更
にフェニル基等を挙げることができるが、これらに限定
されるものでない。このような化合物の一部を構造式に
より下記に列挙する。二種以上の電荷発生物質を混合し
て、用いる方法は、知られている。

そして、異なるスペクトル領域で比較的長波長及び比較
的短波長で吸収する少なくとも二種類の顔料または色素
を用いて、感光波長城の広い感光体を作成する方法であ
る。ここで示されている電荷発生物質として、赤色スペ
クトル領域での感光性を高めるためにフタロシアニン顔
料、青色スペクトル領域での感光性を高めるためにべリ
レン系顔料、キナクリドン顔料、多核キノン顔料、チオ
ィンジゴ色素等が示され、これら領域の異なる二つの物
質を組合せて用いることにより、感光波長域の広い感光
体が得られるとされている。本発明は、上記の事実を基
に、種々検討した結果、電荷発生物質の組合せとして、
赤色スペクトル領域‐乙の感光性を高めるためにＢ型鋼
フタロシアニン、青色スペクトル領域での感光性を高め
るためにモノアゾ系レーキ顔料が最適なことを見し、出
した。

本発明の物質を粗合せて用いる事によって、単に感光波
長城が広くなるばかりでなく、該電荷発生物質を単独で
用いた場合より、白色光に対する光感度が約１．５〜２
倍程度向上する。光感度は単に電荷発生物質の膜厚を大
きくすればよいというものではない。この光感度が向上
する理由について、詳細は不明であるが、両者の顔料の
相性が良く、均一に電荷発生層を形成する事ができ、露
光時の光キャリャの発生が良くなるからと推察できる。
電荷発生物質の混合割合は、Ｂ型鋼フタロシアニンが多
くなると感度は向上するが逆に脂減衰が悪くなるので、
モノアゾ系レーキ顔料１重量部に対して、Ｂ型銅フタロ
シアニン０．１〜１の重量部の範囲が特に好ましい。電
荷発生層の形成方方法としては、該物質がボールミルや
ロールミル等で微細（ｌＡｍ以下）に粉砕し、混合後導
電・性支持体上に塗工する。このようにして得られた電
荷発生層上に、さらに本発明の電荷移送層を形成するこ
とによって、高感度で感光波長域が広く、しかもくり返
し特性や耐久性の優れた複合型の電子写真板が得られる
。このような本発明の電荷発生物質および電荷搬送物質
の組合せが良好な特性を示すことの理由は明確でないが
、特に負帯電時に高い感度が示されることにより、電荷
発生物質より電荷搬送物質への正孔が効率よく注入され
ていることが予想される。

更に本発明の電荷搬送物質が比較的結晶化し難く、かつ
他の高分子化合物との配合が容易で、強固かつ均質な塗
膜が得易いこと、又これらの物質が比較的低いイオン化
ポテンシャル値を有し、特に正孔をキャリャとした場合
において、電荷発生物質からの光キャリャ注入が容易で
あることの相乗的効果と考えられる。本発明の電荷発生
物質である８型フタロシアニンとモノアゾ系レーキ顔料
は、それ自体単独あるいは、高分子化合物と混合した系
を用いて電荷発生層を形成する。

また電荷搬送材料も単独ないし高分子化合物と混合した
系を用いて電荷搬送層を形成する。電荷発生層を形成し
て電荷搬送層と積層することにより、複合型の電子写真
板を構成する。また必要に応じて、導電性支持体上ない
し電荷発生層と電荷搬送層との間に、バリャ層を設けた
りする。本発明の電荷発生層や露搬送層に用いられる高
分子化合物の種類は特に限定されず、既知の電子示真用
結合材料、例えばアクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリ
ケトンおよびポリウレタン樹脂等とこれらの混合物を適
宜使用することができる。

本発明における電荷発生層の膜厚は、要求される光感度
や電荷発生物質と高分子化合物との混合比によって決定
されるが、２０山肌以下が好ましく、これ以上では、光
感度が低下するばかりでなく、膜の可とう性がなくなり
、剥離を生じたりする。また電荷発生物質と高分子化合
物の配合量は、電荷発生材料１重量部に対し、高分子化
合物４重量部以下が良く、これ以上になると光感度が低
下し、実用に供しない。一方、電荷搬送層の膜厚は電子
写真板として必要な帯電特性により決定されるが、厚さ
を５〜１００山肌程度とするのが適当である。

又、電荷搬送物質と高分子化合物の配合量は、電荷搬送
物質１重量部に対して、高分子化合物０．５〜１の重量
部の範囲内とするのが適当である。本発明の複合型の電
子写真板を用いる導電性支持体としては、真ちゆう、ア
ルミニウム、金、銅等が用いられ、これらは適当な厚さ
、硬さ又は屈曲性のあるシート、薄板、円筒状であって
も良くプラスチックの薄層で被覆されていても良い。

又金属被覆紙、金属プラスチックシート又は、ョウ化ア
ルミニウム、ョカ化銅、酸化インジウム又は酸化スズの
薄層で被覆されたガラスであっても良い。通常支持体は
、それ自体導電性であるか又は、導電性の表面を持ち、
取扱うのに十分な強度のあることが望ましい。次に、本
発明を実施例により説明するが、本発明はこれらにより
、何ら限定されるものではない。

実施例 １ Ｂ型鋼フタロシアニン（大日本インキ■製、ファースト
ゲンプルーＦＧＦ）１重量部、モノアゾ系Ｃａレーキ顔
料（通称ウオッチングレッド、４・西顔料■製、レジノ
レッドＢＸ）１重量部とブチラール樹脂（ユニオンカー
バイト社製、ＸＹＨＬ）１重量部をキシレンを溶剤とし
た６重量％の溶液になるようにして、ボールミル（日本
化学陶業社製、三寸ポット）で５時間濠練して、電荷発
生物質塗液とし、この液を膜膜１００仏ののアルミ箔上
に、オートマチックアプリケータ（東洋精機社製）で塗
工し、乾燥して電荷発生物質の層を形成した。

この層の膜厚は、約３仏凧である。次に本発明における
電荷搬送材料のうち、下記構造式を有する化合物（日本
感光色素研究所製、ＮＫ−１３４７）０．１５夕、ポリ
カーボネ−ト樹脂（三菱瓦斯化学社製、ューピロンＳ・
２０００）０．３２９およびジクロルメタン３の‘、１
，２−ジクロルタン１机を混合して、電荷搬送物質塗液
を調合した。

調合はまず、樹脂分を完全に熔解し、しかる後に電荷搬
送物質を加える方法が均質な塗膜を得るのに必要である
。この塗液を前記電荷発生物質層上に、オートマチック
アプリケータを用いて塗工した。塗膜厚は、約１０ムの
である。この実施例より構成された複合型の電子写真板
は、静電言己銀紙試験装置 Ｏｉｌ口電機社製、ＳＰ−
４２８）を用いて電子写真特性の評価を行った。この場
合、負歌Ｖのコロナ放電を１町段、間行って帯電させ（
１０秒間帯電直後の表面電位Ｖｏ（Ｖ）を初期電位とす
る）、３０秒間階所に放電後（この時間の表面電位Ｖ３
。（Ｖ）で表わし、Ｖ３ｏ／Ｖｏ×１００％を隠滅衰と
する）、タングステンランプで表面の照度が２０ルック
スになるように露光し、この時の表面電位の減衰および
時間を記録し、Ｖ３。が１／２になるまでの時間ｔ（秒
）と照度との積で感度（半減露光量、Ｅ則（ルックス・
（秒）を表わした。このような関係は、第１図により示
すことができる。その結果、本実施例の電子写真板の特
性は、初期電位約６２０Ｖ、晴減衰６５％、感度４．２
ルックス・秒といずれも実用上問題のない値を示した。

更に、帯電露光を繰返して特性の変化を調べたところ、
１０００回繰返し後も、初期電位の低下率は１０％以下
、脂減衰の低下率は約１０％程度であり、１０００回以
上の繰り返し‘こ耐えることが判明した。実施例 ２実
施例１と同質な電荷発生物質、すなわちファーストゲン
ブル．ＦＧＦとしジノレツドＢＸの混合割合の比（重量
比）を変え、電荷発生物質２重量部に対して、ブチラー
ル樹脂１重量部をキシレンを溶剤とし、実施例１と同機
な方法により、電荷発生層を形成した（膜厚３仏の）。

さらに、下記する構造式を有する電荷搬送物質０．３夕
、飽和ポリエステル樹脂（東洋紡穣社製、バイロン２０
０）０．３夕及びジクロルメタン２の【と１，２ージク
ロルエタン１のＺの混合液を配合して電荷搬送物質塗液
を調合した。

この塗液を前記電荷発生物質層上にアプリケータにより
塗工し、乾燥して電荷搬送物質層を形成した（膜厚ｌｏ
Ａｍ）。このようにして作成した複合型電子写真板につ
き、実施例１と同様にして電子写真特性評価を行った。

その結果を第１表に示す。なお、比較対照例として、電
荷発生物質のファーストゲンブル−ＦＧＦとしジノレッ
ドＢＸ単独で電荷発生物質層とした場合の特性について
も合せて付した。このように、電荷発生材料を混合して
用いることにより、感度が良くなる。

この理由をより正確に把握するために、これら電子写真
について、分光感度を測定した。その結果を第２図に示
す。電荷発生材料としてファーストゲンブル−ＦＧＦの
のみを用いたものが曲線Ａ、ファーストゲンブル−ＦＧ
Ｆ：レジノレツドＢＸ＝３：１（重量部）のものが曲線
Ｂ、２：２のものが曲線Ｃ、１：３のものが曲線Ｄ、レ
ジノレツドＢＸのみのものが曲線Ｅで表わす。これらか
らわかるように、電荷発生材料を単独（曲線ＡとＥ）で
用いた場合は感光波長城が狭い。しかし、電荷発生材料
を混合して用いると感光波長城が広くなるばかりでなく
、感度も高くなり、特に６０仇ｍ以上の波長で、ＡとＥ
は低感度なのに、Ｂ，Ｃ，Ｄでは感度が向上する。この
ように、Ｂ型フタロシアニンとモノアゾ系レーキ顔料（
ウオッチングレッド）とを紐合せて、電荷発生材料とし
た場合の特性が向上する理由については、両者の顔料の
相性が良く、均一に顔料粒子が塗工され、露光時に光キ
ャリャの発生が良くなるためと考えられるが、詳細は不
明である。実施例 ３ ａ型銅フタロシアニン（ＢＡＳＦ社製、ヘリオゲンフル
ー７０８０）１重量部、下記構造を有するモノアゾ系Ｃ
ａレーキ顔料（大日精化社製、ブリリアントカーミン船
）１重量とアクリル樹脂（デュポン社製、ェルバサィト
２０４５）０．５重量部をキシレンを溶剤とし、実施例
１と同様な方法により、電荷発生物質塗液を調合して、
電荷発生物質の層を形成した。

この層の薄厚は、約２．５山肌である。次に、下記第２
表に示す構造式で表わされる電荷搬送物質０．３夕、ポ
リカーボネート樹脂（帝人社製、パンラィト）０．３夕
及びジクロルメタン２泌と１，２ージクロルェタン１机
の混溶液を配合して塗液を調合し、これを電荷発生物質
層上にアプリケータにより塗工し、乾燥して、電荷搬送
物質層を形成した。この層の膜厚は、約１０仏のである
。このようにして作成した複合型の電子写真板の白色光
に対する半減露光量感度は、下記第２表に示すように、
いずれも１０ルックス秒以下と良好な特性を示した。第
２ 表 実施例 ４ Ｂ型フタロシアニン（大日本インキ社製、シアニンフル
−ＬＣ）１．５重量部、下記構造を有するモノァゾ系Ｂ
ａレーキ顔料（小西顔料社製、レジノレツドＫ）０．５
重量部に、ジェチルアミンを加え、電荷発生物質濃度を
７重量％にした。

この液をさらに、超音波を用いて電荷発生物質の充分な
分散を行った後、実施例１と同様にアプリケータを用い
て、アルミ箔上に塗工を行い、充分乾燥させ電荷発生層
を得た。この層の膜厚は、約２仏肌である。次に、下記
構造を有する電荷搬送物質０．３夕、飽和ポリエステル
樹脂（東洋紡績社製、バイロン２００）０．２９、アク
リル樹脂（デュポン社製、ェルバサィト２０４５）０．
１夕及びジクロルメタン３叫の配合で、電荷搬送物質塗
液を調合した。この塗液を、実施例１と同機にアプリケ
ータを用いて、電荷発生層上に電荷搬送層を形成した。

この層の膜厚は、約１３山肌である。このようして作成
した複合型の電子写真板の電子写真特性は、初期電位約
６７０Ｖ、脂減衰６３％、感度５．２ルックス・秒とい
ずれも実用上問題のない値を示した。更に、帯電露光を
繰返して特性の変化を調べたところ、１０００回繰り返
し後も、初期電位の低下率は１０％以下、階減衰の低下
率は約１０％であり、１０００回以上の繰返し‘こ耐え
ることが判明した。

【図面の簡単な説明】

第１図は、複合型の電子写真板の経時表面電位の変化を
示したグラフ、第２図は実施例２及び比較対照用の複合
型の電子写真板における光波長と感度との関係を示した
グラフである。 第１図 第２図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 導電性支持体上に、電荷発生物質と電荷搬送物質と
   からなる層を設けた複合型電子写真板において、電荷発
   生物質としてβ型銅フタロシアニン顔料と下記構造式Ａ
   で表わされるモノアゾ系レーキ顔料の混合物を用いるこ
   とを特徴とする複合型の電子写真板。 ▲数式、化学式、表等があります▼ 但し、Ｍは、Ｃａ，Ｂａ，Ｍｇであり、Ｒ＿１及びＲ
   ＿２は、水素、メチル基、メトキシ基又はハロゲンを示
   す。