JPS6019729Y2 - 建物用避難装置における上蓋係止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、床やベランダ等のスラブに穿設された孔部
を上蓋で開閉させるとともに、この孔部内に避難器具を
装備させたいわゆる床埋設式の建物用避難装置における
上蓋係止装置に関するもので、例えば、火災等の非常時
に開蓋された上蓋を開放維持するリンクの係止が避難者
の接触により解除されて、上蓋が不用意に閉じるのを防
止するとともに、その解除操作を容易にした上蓋係止装
置を提供することを目的とするものである。

一般に、この種の避難装置において、上蓋の開閉を助長
する手段として種々のリンク機構が使用されており、こ
のリンク機構により上蓋の開放状態が維持されるように
なっている。

しかし、この上蓋の開放維持は、開放動作における限界
点以降の動作を阻止するだけあって、復帰側への動作を
阻止することは含まない。

したがって、非常時に開蓋された上蓋を開放維持するリ
ンクの係止が避難者の接触により解除されて、上蓋が不
用意に閉じるおそれがあり、避難動作の遅延を招くばか
りか、避難者が怪我をしたり、階下へ転落するという危
険性もある。

一方、このような点に鑑みて上蓋を収納する収納ケース
内に上蓋の開蓋状態を維持する第２の係止手段を装着し
たものも提案されているが（実公昭５３−３４７４０号
公報）、このようなものにあっては、上記第２の係止手
段が収納ケース内に位置しているため、該避難装置を使
用した後で再び上蓋を収納する時は身体を屈めて上記第
２の係止手段を解除する必要があり、誤って下階に転落
する等の危険を有していた。

この考案は上記事情に鑑みなされたもので、上蓋の開蓋
時におけるリンクの開放方向の限界点以降の動作を阻止
する第１の係止手段と、リンクの閉蓋状態への復帰動作
を阻止する係脱可能な第２の係止手段とを具備して戊り
、開蓋時において第１の係止手段と第２の係止手段とに
よって上蓋の係止保持を行うとともに、上蓋の開蓋状態
においては、収納ケースから突出して位置する第２の係
止手段を解除させることにより、上蓋の閉蓋を行うこと
ができるようにしたことを特徴とする上蓋係止装置を提
供しようとするものである。

以下にこの考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図はこの考案の係止装置を装備した避難装置の一例
を示すもので、床やベランダ等のスラブＡに穿設された
孔部１内にほぼ方形状の収納ケース２を嵌装固定腰この
収納ケース２の床面側開口２ａ及び天井面側聞口２ｂに
それぞれ上蓋３ａ及び下Ｍ３ｂを開閉可能に枢着し、ま
た、収納ケース２の内方の一側にはブラケット４を介し
て避難器具５の基部の一端を枢着して戊る。

この避難器具５は、順次径の異なる複数の中空摺動杆５
ａ、５ａ・・・・・・を伸縮可能に嵌装連接するととも
に、各中空摺動杆５ａにそれぞれ足掛は用の横桟５ｂを
形成して成り、前記上蓋３ａ及び下蓋３ｂの開放後、階
下の安全を確認してからラチェット機構（図示せず）の
解除によ・り階下に伸張降下されるようになっている。

なお、６は最上位に位置する中空摺動杆５ａと収納ケー
ス２の側壁部との間に張設されるワイヤロープで、避難
器具５が伸張降下されたとき、避難器具５の左右方向へ
の揺動を防ぎ、かつ、避難器具５に僅かの傾斜角を与え
て避難者の降下を容易ならしめるものである。

上記のように構成される避難装置における上蓋３ａは後
述するリンク機構７によって開閉が助長され、かつ、開
放状態が維持されるようになっている。

前記リンク機構７は、上蓋３ａの裏面に突設されたブラ
ケット８にピン９をもって一端が枢着される上部リンク
１０と、収納ケース２の側壁にピン１１をもって揺動可
能に装着される下部リンク１２との端部をピン１３をも
って互いに枢着して戊り、かつ、下部リンク１２の上部
リンク１０との枢着部と反対側の端部に連結されたリン
ク装置１４によって上部リンク１０と下部リンク１２と
が直線変位して上Ｍ３ａの開放が行われるようになって
いる。

そして、上部リンク１０と下部リンク１２が開蓋時にな
す直線状態を保持する第１の係止手段１５と、これら上
部リンク１０と下部リンク１２とが屈曲側へ復帰しよう
とする動作を阻止する係脱可能な第２の係止手段１６と
を具備している。

この場合、第１の係止手段１５は、上部リンク１０の下
端部における上縁からほぼ直角に折曲されて上Ｍ３ａの
開放時に下部リンク１２の上端部の上縁に係合するスト
ッパ片１５′によって形成され、一方、第２の係止手段
１６は、第２図及び第３図に示すこの考案の第一実施例
においては、上部リンク１０と下部リンク１２との連結
部位が上蓋３ａの開蓋状態において、収納ケース２の上
端縁より上方に位置するように上下のリンク１０．１２
の長さを設定するとともに、下部リンク１２の上端部に
設けた凹状の係止部１６ａと、上部リンク１０の下端部
にピン１６ｂをもって回動可能に枢着されて係止部１６
ａと係合しうる爪体１６ｃとで構成されており、また、
第４図及び第５図に示す第二実施例においては、上部リ
ンク１０の上端側の適宜部位から下方に向って突出する
フック１６ｄと、上蓋３ａの裏面に突設された前記ブラ
ケット８にピン１６ｅをもって回動可能に枢着されてフ
ック１６ｄと係合しうる鉤体１６ｆとで構成されている
。

なお、第二実施例において、鉤体１６ｆの鉤部１６ｆ′
と反対側に設けたストッパ１６ｆ“が上蓋３ａの裏面に
当接することによって鉤体１６ｆがフック１６ｄと係合
する位置以降の回動を阻止するようになっている。

上記のように構成されるこの考案の上蓋係止装置は、上
蓋３ａの開蓋時に上部リンク１０と下部リンク１２とが
ほぼ直線状となってそれ以降の動作を第１の係止手段す
なわちストッパ片１５′によって阻止して上蓋３ａの開
放維持が行われるとともに、第２の係止手段である係止
部１６ａと爪体１６ｃとの係合（第３図参照）、あるい
は、フック１６ｄと鉤体１６ｆとの係合（第５図参照）
によっても上Ｍ３ａの開放維持が行われるので、非常時
に避難者が上部リンク１０と下部リンク１２との係止部
に接触しても第２の係止手段１６によってその係止は解
除されることがない。

したがって、避難者は迅速かつ安全に階下に避難するこ
とができるのである。

又、このように上蓋３ａを開いた状態では、第２の係止
手段１６の爪体１６ｃあるいは鉤体１６ｆは収納ケース
２の上端縁より上方に突出しているので、開蓋された上
蓋３ａを再び閉蓋する場合には上記第２の係止手段１６
をあまり身体を屈めずに解除することができるのである
。

以上に説明したように、この考案の上蓋係止装置によれ
ば、上蓋の開蓋時に第１の係止手段と第２の係止手段に
よってリンク機構の開放方向における限界点以降の動作
と屈曲側に復帰しようとする動作とを阻止することがで
きるので、非常時において不用意に上蓋が閉じるという
危険性がなく、迅速かつ安全に避難者を階下の安全な場
所に避難させることができ、また、第２の係止手段は係
脱可能になっており、しかも、上蓋を開いた状態では、
第２の係止手段は収納ケースの上端縁より上方に突出し
て位置しているので、この第２の係止手段を解除するに
はあまり身体を屈める必要がなく簡単に行うことができ
るので、従来とほとんど同様の操作によって閉蓋を行う
ことができるなどの効果が得られ、その利用価値は顕著
である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の上蓋係止装置を装備した避難装置の
一例を示す使用状態時の側断面図、第２図及び第３図は
この考案の第一実施例を示すもので、第２図は閉蓋時の
要部拡大断面図、第３図は開蓋時の要部拡大断面図、第
４図及び第５図はこの考案の第二実施例を示すもので、
それぞれ閉蓋時の要部拡大断面図及び開蓋時の要部拡大
断面図である。 １・・・・・・孔部、２・・・・・・収納ケース、３ａ
・・・・・・上蓋、５・・・・・・避難器具、７・・・
・・・リンク機構、１０・・・・・・上部リンク、１２
・・・・・・下部リンク、１３・・・・・ピン、１５・
・・・・・第１の係止手段、１５′・・・・・・ストッ
パ片、１６・・・・・・第２の係止手段、１６ａ・・・
・・・係止部、１６ｂ・・・・・・ピン、１６ｃ・・・
・・・爪体、１６ｄ・・・・・・フック、１６ｅ・・・
・・・ピン、１６ｆ・・・・・・鉤体、１５ｆ’・・・
・・・鉤部、１６ｆ″・・・・・・ストッパ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 床面側開口及び天井面側開口を有する収納ケースと、少
   なくとも前記床面側開口を開閉するようにこの収納ケー
   スに枢着される上蓋と、この上蓋と前記収納ケースにそ
   れぞれ枢着されるとともに、その一端が互いに枢着され
   て上蓋の開閉を助長する上部及び下部リンクと、前記収
   納ケース内に装備されて前記上蓋の開蓋時に階下に向っ
   て伸張降下する避難器具とからなる建物用避難装置にお
   いて、前記上蓋の開蓋時における前記上部リンクと下部
   リンクとがなす直線状態を保持する第１の係止手段と、
   前記上蓋の開蓋時に前記収納ケースから突出する位置に
   装着され、これら上部リンクと下部リンクとが屈曲側へ
   復帰しようとする動作を阻止する係脱可能な第２の係止
   手段とを具備して威る建物用避難装置における上蓋係止
   装置。