JPS59475Y2 - 建物用避難装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、床埋設式の建物用避難装置に関し、特に避
難梯子に安全に乗り移れる避難装置に関する。

一般のこの種避難装置は、上下階を貫通する孔部に、不
使用時には折り畳まれてこの孔部内に収納され、使用時
にはその直下の階まで伸張降下する避難梯子を設け、孔
部の少なくとも上端開口部を開閉可能な蓋体（上蓋）で
閉塞しである。

ところが、従来のこの種避難装置においては、避難梯子
へ誘導するための手段が施されているものが少なく、そ
のため、火災等の非常時において、下階へ避難する場合
に、孔部の縁に手を掛けるなどして避難梯子に乗り移っ
ている。

しかし、このように身を屈めて床部に手を置くという姿
勢は極めて不安定であって、恐怖心を生じさせ、特に婦
女子等が避難する場合には危険が伴ない、二次災害を惹
起するという問題がある。

よって、現状ではこの点の安全対策が望まれている。

この考案は、上記事情にかんがみなされたもので、避難
梯子を下階へ伸張降下する上蓋の開放とほとんど同時に
開放する下蓋の開放動作に伴なってリンク機構を介して
取手を上階の床面より上方位置に保持させることにより
、避難梯子への乗り移り動作時の恐怖心をなくすととも
に、安全にかつ素早く乗り移れるようにした建物用避難
装置を提供しようとするものである。

以下にこの考案の実施例を図面に基づいて説明する。

図中、１は建物の床スラブあるいはベランダの床スラブ
Ａに穿設された孔部であって、床面Ｂとその直下の階の
天井面Ｃとを貫通している。

そして、この孔部１内には収納わく２が嵌装固定されて
おり、この収納わく２の一側にはブラケット３を介して
伸縮可能な避難梯子４が取り付けられるとともに、上端
開口部２ａ及び下端開口部２ｂにおける避難梯子取り付
けがわの一側にはピン５，５′をもって上蓋６及び下蓋
７がそれぞれ開閉可能に装着されている。

前記避難梯子４は、複数個の中空摺動体４ａ、４ａ・・
・・・・を順次入子式に嵌合連接するとともに、各中空
摺動体４ａに横さん４ｂを装着して戊り、基端部の中空
摺動体４ａがピン８によってブラケッ１−３に枢着され
、上蓋６又は下蓋７の開放と同時に避難梯子４が下方に
向けて伸張降下されるようになっている。

また、上蓋６又は下蓋７を開放した後に、下階の安全を
確認した上で避難梯子４を伸張降下させることも可能で
ある。

この場合、避難梯子４を入子式としであるが、この形式
以外に、金属製の折り畳み可能な梯子やなわ梯子あるい
は階段等を用いてもよい。

なお、下蓋７は収納わく２の内側に装着されたロック装
置９によって閉塞保持されるようになっている。

すなわち、収納わく２の内側に突設された保持体９ａに
回転可能に支承されるバンドル９ｂの下端に設けたロッ
ク片９Ｃと、下蓋７の上方裏面に突設した保合片９ｄと
を互いに係合させて下蓋７の閉塞位置を保持させ、これ
らロック片９Ｃと係合片９ｄの係合を解くことにより、
下蓋７がその自重で開放するようになっている。

上記のように構成される避難装置において、この考案で
は下蓋７の開放と同時に取手を上階の床面Ｂより上方に
保持させるようにしたもので、その構造は、まず、第３
図及び第４図に示すように、孔部１すなわち収納わく２
の内側に突設された突子１０を遊嵌する長孔１１を長手
方向に沿って設けた起立リンク１２を、前記突子１０に
係合させて、収納わく２に対して直線及び揺動変位可能
に支承させるとともに、この起立リンク１２の上方端部
に取手１３を装着し、かつ、下方端部を収納わく２の内
側に横方向にのびて穿設された案内溝１４内に摺動可能
に嵌装し、また、起立リンク１２の案内溝がわ端部にピ
ン１５をもって一端を枢着する操作リンク１６の他端を
ピン１７をもって下蓋７の上方裏面に枢着して成る。

そして、ロック装置９の保合が解かれて下蓋７が開放す
ると、操作リンク１６の一端すなわち下蓋７と枢着する
端部は下蓋７の開放に伴なって下降するとともに、他端
は案内溝１４内に沿って下蓋７の開閉中心がわへ移動し
、同時に起立リンク１２の下方端部を下蓋７の開閉中心
がわに移動させるとともに、起立リンク１２の長孔１１
を利用して起立リンク１２を反時計方向に揺動させなが
ら起立させ、起立リンク１２と操作リンク１６を枢着す
るピン１５が案内溝１４の端部に設けた係止凹所１４′
内に落ち込むことによって、起立リンク１２は起立保持
され、取手１３は上階の床面Ｂの上方位置に保持される
のである。

なお、固定手段としては係止凹所１４′に起立リンク１
２と操作リンク１６の枢着部を落し込んで起立保持する
以外、例えばフック等のロック手段を起立リンク１２又
は操作リンク］６と係合させて、起立リンク１２の起立
保持を行わせるようにしてもよい。

第５図及び第６図はこの考案の別の実施例を示すもので
、収納わく２の内側に装着された回転体１８の筒体１８
Ｈに起立リンク１２′を摺動可能に嵌装させることに
よって、起立リンク１２′を孔部１に対して直線及び揺
動可能に支承させるようにしたものである。

この場合、回転体１８は、第７図に示すように、収納わ
く２に固着される固定片１８ｂと、この固定片１８ ｂ
に回転可能に支承される回転軸１８ Ｃと、この回転軸
１８ Ｃの端部に直交状に装着される筒体１８ ａとで
構成されて、筒体１８ ａ内に摺動可能に嵌装される起
立リンク１２′を前述のように直線及び揺動変位可能に
支承するのである。

なお、その他の構造は前記第一実施例と同一であるので
、ここでは同一符号を付してその説明を省略する。

上記のように構成される起立リンク１２．１２’、操作
リンク１６及び案内溝１４は、収納わく２の一側に配設
してもよく、あるいは、対向する両側に配設してもよい
。

以上に説明したように、この考案による建物用避難装置
によれば、下蓋７の開放と同時に起立リンク１２．１２
’を起立させて、取手本体１３を上階の床面Ｂより上方
位置に保持させることができるので、形手１３を把持し
て避難梯子４へ素早くかつ安全に乗り移ることができ、
しかも、身を屈める不安定な姿勢とならないので、避難
者に恐怖心を与えることなく、速やかに避難誘導させる
ことができるなどの優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の建物用避難装置の使用状態を示す側
断面図、第２図は不使用時の側断面図、第３図及び第４
図はこの考案の第一実施例の作動態様を示す概略断面図
、第５図及び第６図はこの考案の第二実施例の作動態様
を示す概略断面図、第７図はこの考案における回転体の
断面図である。 １・・・・・・孔部、２・・・・・・収納わく、２ａ・
・・・・・上端開口部、２ｂ・・・・・・下端開口部、
３・・・・・・ブラケット、４・・・・・・避難梯子、
４ａ・・・・・・中空摺動体、４ｂ・・・・・・横さん
、５゜５’、８，１５．１７・・・・・・ピン、９・・
・・・・ロック装置、９ａ・・・・・・保持体、９ｂ・
・・・・・バンドル、９Ｃ・・・・・・ロック片、９ｄ
・・・・・・係合片、１０・・・・・・突子、１１・・
・・・・長孔、１２．１２’・・・・・・起立リンク、
１３・・・・・・取手、１４・・・・・・案内溝、１４
′・・・・・・係止凹所、１６・・・・・・操作リンク
、１８・・・・・・回転体、１８ ａ・・・・・・筒体
、１８ ｂ・・・・・・固定片、１８Ｃ・・・・・・回
転軸。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）上下階を貫通する孔部を設け、この孔部に嵌装固
   定された収納わくに、不使用時に折り畳まれてこの収納
   わく内に収納され、使用時にはその直下の階まで伸張降
   下する避難梯子を設けるとともに、この収納わくの上端
   及び下端開口部を開閉する上蓋及び下蓋を設けて成る建
   物用避難装置において、前記収納わくに対して直線及び
   揺動変位可能に支承され上方端部に取手を形成するとと
   もに下方端部を前記収納わくの側面に横方向にのびて穿
   設された案内溝内に摺動可能に嵌装した起立リンクを設
   け、前記起立リンクの案内溝がわ端部に一端が枢着され
   るとともに他端が前記下蓋に枢着された操作リンクを設
   け、前記下蓋の開放動作に伴なって前記操作リンクを介
   して前記起立リンクを起立させて、前記取手を上階の床
   面より上方位置に保持させるようにした建物用避難装置
   。
2. （２）前記起立リンクにこの起立リンクの長手方向に沿
   う長孔を設けるとともに、前記収納わくから突出する突
   子をこの長孔内に遊嵌させて、前記起立リンクを収納わ
   くに対して直線及び揺動変位可能に支承させるようにし
   たことを含む実用新案登録請求の範囲第１項記載の建物
   用避難装置。
3. （３）前記収納わくからこの収納わくに対して回転可能
   に突出する回転軸に装着する筒体に、この筒体に対して
   摺動可能に前記起立リンクを嵌装させて、起立リンクを
   収納わくに対して直線及び揺動変位可能に支承させるよ
   うにしたことを含む実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の建物用避難装置。