JPH0228933Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、床埋設式の建物用避難装置におけ
る取手に関するものである。

一般にこの種の避難装置は、上下階を貫通する
孔部に、不使用時には折り畳まれてこの孔部内に
収納され、使用時にはその直下の階まで伸張降下
する避難梯子を設け、孔部の少なくとも上端開口
部を開閉可能な蓋体（上蓋）で閉塞してある。と
ころが、従来のこの種の避難装置においては、避
難梯子へ誘導するための手段が施されているもの
が少なく、そのため、火災等の非常時において、
下階へ避難する場合に、孔部の縁に手を掛けるな
どして避難梯子に乗り移つている。しかし、この
ように身を屈めて床部に手を置くという姿勢は極
めて不安定であつて、恐怖心を生じさせ、特に婦
女子等が避難する場合には危険が伴ない、二次災
害を惹起するという問題がある。よつて、現状で
はこの点の安全対策が望まれている。

この考案は、上記事情にかんがみなされたもの
で、避難梯子を下階へ伸張降下する蓋体の開閉と
同時に、リンク機構を介して取手を上階の床面よ
り上方位置に持させることによつて、避難梯子へ
の乗り移り動作時の恐怖心をなくすとともに、安
全にかつ素早く乗り移れるようにした建物用避難
装置における取手を提供しようとするものであ
る。

以下にこの考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

図中、１は建物の床スラブあるいはベランダの
床スラブＡに穿設された孔部であつて、床面Ｂと
その直下の階の天井面Ｃとを貫通している。そし
て、この孔部１内には収納枠２が嵌装固定されて
おり、この収納枠２の一側側にはブラケツト３を
介して伸縮可能な避難梯子４が取り付けられると
ともに、上端開口部２ａ及び下端開口部２ｂにお
ける避難梯子取り付け側の一側にはピン５，５′
をもつて上蓋６及び下蓋７が開閉可能に装着され
ている。

前記避難梯子４は、複数個の中空摺動体４ａ，
４ａ……を順次入子式に嵌合連接するとともに、
各中空摺動体４ａに横桟４ｂを装着して成り、基
端部の中空摺動体４ｂがピン８によつてブラケツ
ト３に枢着されるとともに、図示しない操作リン
ク機構を介して上蓋６と連結され、上蓋６の開放
と同時に操作リンク機構が動作して避難梯子４が
下方に向けて伸張降下されるようになつている。

この場合、避難梯子４を入子式としてあるが、
この形式以外に、金属製の折り畳み可能な梯子や
なわ梯子あるいは階段等を用いてもよい。

上記のように構成される避難装置において、こ
の考案では上蓋６の開放と同時に取手を上階の床
面Ｂより上方に保持させるようにしたもので、そ
の構造は、まず、第３図及び第４図に示すよう
に、自由端部に取手本体９を有する起立リンク１
０の基部を回転軸であるビン１１をもつて孔部１
すなわち収納枠２の内側における上蓋開閉中心側
に枢着するとともに、一端をピン１２をもつて上
蓋６に枢着した第１のリンク片１３ａと、中間部
を回転軸１４により収納枠２の内側に枢着し、か
つ一端を収納枠２に形成され上記収納枠２との枢
着部を中心とする円弧状案内溝１５内に嵌装した
第２のリンク片１３ｂとをピン１６をもつて連結
して操作リンク１３を形成し、上記第２のリンク
片１３ｂの一端と起立リンク１０とを支持リンク
１６により連結して構成されている。

この時、上記支持リンク１６の一端に突設され
るピン１７が起立リンク１０の上端方に穿設され
る長孔１０′内に摺動可能に嵌装され、起立リン
ク１０の揺動に伴なつて、支持リンク１６の一端
が起立リンク１０の長孔１０′内を摺動するよう
に形成されている。そして、この場合、案内溝１
５の上蓋開閉中心から離れた位置の端部に、支持
リンク１６と第２のリンク片１３ｂの枢着部と係
合し得る係止手段すなわちスプリング１８が配設
されており、常時案内溝１５内に向つて突入する
このスプリング１８により、支持リンク１６及び
第２のリンク片１３ｂを案内溝１５の端部に停止
保持するようになつている。なお、係止手段はス
プリング１８に限定されるものではなく、第５図
に示すようなフツク体１８′を使用してもよく、
任意に選定することができる。このように構成す
ることによつて、上蓋６を開放すると、不使用時
に収納枠２内に折り畳まれて格納されていた第１
及び第２のリンク片１３ａ及び１３ｂが第２のリ
ンク片１３ｂの回転軸１４を支点とする回動運動
に伴なつて一直線状に配置されると同時に、支持
リンク１６の一端が案内溝１５に沿つて移動し、
他端が起立リンク１０の長孔１０′に沿つて移動
しながら起立リンク１０を時計方向に揺動する。
そして、支持リンク１６と第２のリンク片１３ｂ
の枢着部が係止手段１８又は１８″と係合して、
上蓋６は操作リンク１３により開放保持され、
又、起立リンク１０は支持リンク１６により起立
保持されるのである。

以上説明したように、この考案の取手は、上蓋
の開放に伴なつて避難梯子を直下の階まで伸張降
下するとともに、起立リンクを起立させ、かつ、
支持リンクにより起立リンクを起立保持させると
ともに、操作リンクにより上蓋を開放保持させる
ことができるので、火災等の非常時において、下
階へ避難する場合に、上蓋の手前に位置する取手
本体を把持して避難梯子へ素早くかつ安全に乗り
移ることができる。しかも、身を屈める動作とな
らないので、避難者に恐怖心を与えることなく、
安定した姿勢で避難動作させることができるなど
の優れた効果を有し、その利用価値は顕著であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の取手を有する避難装置の使
用状態を示す側断面図、第２図は不使用時の側断
面図、第３図及び第４図はこの考案の作動態様を
示す概略断面図、第５図はこの考案における係止
手段の別の実施例を示す側面図である。 １……孔部、２……収納枠、４……避難梯子、
６……上蓋、９……取手本体、１０……起立リン
ク、１０′……長孔、１３……操作リンク、１３
ａ……第１のリンク片、１３ｂ……第２のリンク
片、１５……円弧状案内溝、１６……支持リン
ク、１８，１８′……係止手段。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上下階を貫通する孔部を設け、この孔部に、
   不使用時に折り畳まれてこの孔部内に収納さ
   れ、使用時にはその直下の階まで伸張降下する
   避難梯子を設けるとともに、この孔部の少なく
   とも上端開口部を開閉する上蓋を設けて成る建
   物用避難装置において、自由端部に取手本体を
   有するとともに、その上端方に長孔を穿設し、
   かつ、基端を上記孔部の内側に枢着する起立リ
   ンクと、一端を上蓋に枢着する第１のリンク片
   の他端と、中間を上記孔部の内側に枢着して回
   転支点とするとともに、一端を孔部の内側に設
   けられ、かつ、上記回転支点を中心とする円弧
   状案内溝内に摺動可能に嵌装した第２のリンク
   片の他端とを連結してなる操作リンクと、上記
   起立リンクの長孔内に一端を摺動可能に嵌装す
   るとともに、他端を上記第２のリンク片の一端
   に枢着した支持リンクとを有してなることを特
   徴とする建物用避難装置における取手。 (2) 前記円弧状案内溝における前記上蓋開閉中心
   から離れた位置の端部に、前記支持リンクと第
   ２のリンク片の枢着部と係合し得る係止手段を
   設け、この係止手段により前記支持リンクによ
   る前記起立リンクの起立保持及び前記第１及び
   第２のリンク片による上蓋の開放保持を行わせ
   るようにしたことを含む実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の建物用避難装置における取手。