JPS597860B2 - 動力伝動用ベルト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は，１個のブーりから他のブーりに動力伝達用ベ
ルト，特に，駆動軸と被動軸に取付けたブーり間に大き
な動力を伝達する如き所謂、多本掛Ｖベルトの改良に係
り、駆動時に発生していたベルトの振動、転覆などの事
故を防止し、且つ各ベルト長さの不揃いによる動力伝達
の損失を皆無にすると共にベルト寿命を向上せしめ、更
にベルト下面の屈曲性を良好ならしめ、ベルトとブーリ
間の滑りを良くしてベルト引抜きを容易にし，また高速
回転時に発生していた騒音を著しく減少せしめる事を目
的とするものである。

従来の多本掛け■ベルトの駆動に於では、複数個の■溝
を有するブーりに複数本のベルトを各々個別に巻掛け、
多本掛けで使用しているため、クラッシャー、コンプレ
ッサーなどの如き衝撃力の大きい機械の駆動用に使用し
た場合には、各々ベルトが単独で振動し易く，従って、
そのベルト振動により隣接するベルトと接触し，ベルト
の転覆、離脱現象を起し、早期破損に至る傾向があり、
しかも■ベルトは通常、摩擦伝動であるため伝達馬力に
応じベルト初張力を付与する必要があるが，従来の多本
掛け■ベルトでは長さ不揃いによりベルト張力が不均一
になり、その結果、ベルト振動やベルト寿命低下の原因
になり易い問題があった。

そのため、この様な問題を解消すべく個々のＶベルト本
体の上面を広角度帆布のタイバンドで連結せしめた伝動
ベルト、及びタイバンドとしてナイロン横スダレを使用
した伝動ベルトが提案されてきたが、前者の場合は、広
角度帆布を用いているため、縦方向の伸びは大きく良好
であるにしても横方向は逆に角度が小さくなるため伸縮
性が乏しくなり、ベルトとブーりとの嵌台状態が悪く、
タイバンドとベルトが剥離しやすくなるし，又、後者の
場合も縦方向の伸縮性は良好であるが、小ブーり径で使
用した場合にはスダレのコードに介在するゴムが極度に
伸縮され，ゴムに亀裂を生じ易く、しかも横方向にナイ
ロンスダレコードを使用しているため伸縮性に乏しく、
前者と同様嵌台状態が悪くなるという問題がある。

本発明は前記の如き問題に留意し、それらを解消すべく
かねてより本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、漸く到
達したものであり、複数本の■ベルト本体の上面を縦方
向のみに高伸度を有するタイハンドで連結一体化した構
成とすることによって縦方向の高伸度と相俟ってタイバ
ンドの横方向の巾の変化代を少なくしベルトとブーりと
の嵌合状態を良好ならしめることを特徴とするものであ
る。

以下，本発明の具体的内容を更に添付図面を参照しつつ
詳細に説明する。

第１図は、本発明に係る動力伝動用ベルトの一例で、図
においてＡは横方向に互いに離隔された複数本のＶベル
トからなるベルト、１はポリエステル、ナイロン、レー
ヨン、芳香族ポリアミドなどの高強力繊維からなる各Ｖ
ベルト本体の抗張体、２はその圧縮ゴム層、３は上芯ゴ
ム層であり、夫夫のＶベルト本体は綿糸のバイアス状ゴ
ム付帆布６で被覆されていると共にそれらＶベルト本体
の頂部は高伸度を保有する帆布５の上下面にゴムを被覆
した一枚のタイバンドＴで連結一体化されている。

タイバンドＴは経糸５ａに伸度８０係以上の低配向ポリ
エステル糸を，又緯糸５ｂに綿糸，ナイロン糸、ポリエ
ステル糸等を用いた帆布５をＶベルト本体のゴム２，３
と同質の柔軟性ゴム４中に埋設して構成したものであり
、本発明の要部をなすもので，このように縦方向に伸度
を有する帆布はその組織として通常、平織帆布を用いる
のが好適である。

しかし更にベルト寿命向上の目的で綾織帆布を使用する
こともでき、かつ有効である。

ここで本発明に使用する前記低配向ポリエステル糸とは
、ポリエステル繊維原糸を熱延伸する際、延伸条件を緩
く、即ちリラックス状態で処理したもので、このような
処理により伸度８０係以上に結晶配列をゆるくした残留
伸度の高いポリエステル糸を容易に得ることができる。

なお、本明細書において以後、前記の如き高伸度特性に
起因する伸張及び収縮を単に伸縮性という。

第３図、第４図は上記伝動ベルトのタイバンドとして使
用する帆布の例を示す組織構成図であり、前述の如く伸
度８０係以上を有する低配向付与により伸縮性が付与さ
れたポリエステル糸よりなる経糸５ａ及び通常のナイロ
ン糸、綿糸又はポリエステル糸等よりなる緯糸５ｂによ
って綾織組織に織成されている。

この綾織組織の帆布５は、第４図の組織図に示す如く、
経糸イは先ず緯糸イ′を押えてその上に浮き、次の緯糸
α，バの下に沈んで、それから布面に現われ次段の糸二
の上に浮き、又右隣の経糸口′は、緯糸イ′の下に沈ん
でから次の緯糸ばの上に浮き、緯糸バ，ヨの下に沈み、
更に経糸ハは緯糸イ′，口′の下に沈んでから緯糸バの
上に浮くという組織となっている。

そして，この組織によるものは緯糸の方からいえば、緯
糸イ′は経糸イの下に沈み、経糸口，八の上に連続して
浮き、緯糸げは経糸イの上に浮いて経糸口の下に沈み、
次に経糸ハ，二上に浮き、次の緯糸バは、経糸イ，口の
上に連続して浮き、次の経糸ハの下に沈み、このように
経糸と緯糸を組み合せると，経糸の浮きと緯糸の浮きと
が少しづつ右肩上がりに出ていて、布面には左下から右
上の方・＼走る斜文線が現われて見えるようになる。

なお上記第３図、第４図に示される如き組織からなるタ
イバンドＴの■ベルトとの連結態様については、タイバ
ンドＴの伸縮性帆布５の経糸５ａが伸縮性を有する低配
向ポリエステル糸であるため、従来のタイバンドの如く
広角度に配置する必要はなく、第１図の切欠部に示す如
く伸縮性帆布５を各ベルトの長手力向に対し９０°に配
置するが効果的であり、更に、タイバンドＴは伸縮性帆
布５を埋設するゴム４が■ベルト本体のゴム２，３と同
質のゴムよりなるため接着剤で接着することも出来るが
、加硫時に加硫一体化して強固な連結を行うのが望まし
い。

一方、第２図は、前記本発明に係る動力伝動用ベルトの
別の実施例で、タイバンドＴの構成，連結態様は前記第
１図の場合と同様であるが、Ｖベルト本体の底部に１〜
複数層の経緯綿糸よりなるゴム付バイヤス帆布、若しく
は伸度８０係以上有するポリエステルの低配向糸の経糸
と綿糸、ナイロン糸又はポリエステル糸よりなる緯糸で
織成されたゴム付伸縮性帆布６を積層貼着したローウエ
ッジタイプの■ベルトを連結したもので，この構成例の
■ベルトにあってはベルト下面に゛ゴム付帆布６を積層
貼着することにより摩擦係数の低い帆布で滑り易くシて
ベルトのブーりから引抜きを容易にし、ベルト駆動時に
発生する騒音を減少サしめる事が出来る有利さがある。

本発明は叙上の様な構成からなる動力伝動用ベルトであ
り、複数の■ベル１・本体を、経糸に伸度８０チ以上有
する低配向糸のポリエステル糸を用い、緯糸に綿糸，ナ
イロン糸、ポリエステル糸を用いて織成した波形状交錯
点の少ない帆布をゴム中に埋設したタイバンドによって
ベルト方向に対して９０°方向に配置連絡しているため
、従来の多本掛け■ベルトならびにタイバンドで連結し
た伝動ベルトに比し、縦方向の伸縮性が極めて良好であ
り、従来発生していた振動、転覆、離脱などの事故を防
止することが出来ると共に、ベルト寿命を著しく向上せ
しめ、更に伝達力を増大せしめる効果を有し、緯糸５ｂ
は剛性の大きい綿糸、ナイロン糸又はポリエステル糸よ
りなるため、ベルトの使用条件，特に熱や水による影響
でベルト巾が変化し、その結果ベルトとブーりとの嵌合
状態が悪くなる場合があるが、かかる現象を防止してベ
ルト横方向即ち、タイバンド方向の幅の変化代を少なく
することが出来る。

かくして本発明動力伝動用ベルトは従来の多本掛けベル
トの性能を大巾に改善し、動力伝達の損失を皆無ならし
め，実用性を著しく高めることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、本発明ベルトの各例を示す一部切
矢部分斜視図、第３図は本発明伝動ベルトのタイバンド
ならびにローエッジタイプＶベルト底面に使用する伸縮
性帆布の概要平面図、第４図は同帆布組織図である。 Ｔ・・・・・・タイバンド，５・・・・・・帆布、５ａ
・・・・・・経糸、５ｂ・・・・・・緯糸。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 横方向に互いに隔離し、かつ、全面をゴム付バイア
   ス帆布で被覆するか、又は底面のみをゴム付帆布で被覆
   し、側面を露出せしめた複数本のＶベルトを１個のブー
   りで同時に駆動させる動力伝動用ベルトに於で、前記複
   数本のＶベルト本体上面を伸度８０％以上の低配向ポリ
   エステル糸からなる高伸度保有糸と、綿素、ナイロン糸
   又はポリエステル糸等からなる非伸縮性糸で平織又は綾
   織された１〜複数層のゴム付帆布で前記高伸度保有糸が
   ベルト長手方向になるように配置して連結一体化したこ
   とを特徴とする栃一力伝動用ベルト。