JPS5940409B2 - 吸液芯 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は吸上式加熱蒸散装置に用いられる新しい吸液芯
に関する。

従来より殺虫等の目的で薬剤を加熱蒸散させる装置とし
ては、電気蚊取器に代表されるように殺虫剤を繊維板等
の多孔質基材（固型マット）に吸着させ、該マットを加
熱する装置が知られている。

しかしながらこの装置では一枚のマットに吸着させ得る
薬剤量は自づと制限を受け、使用剤マットの廃棄及び取
替えが必須となる不利があり、しかもマットに吸着させ
た薬剤の揮散率は経時的に低下し更に使用済マット中に
薬剤が約１０％以上も残存するという欠点がある。

近年上記電気蚊取器に見られるマットの取替えの問題を
解消するものとして吸液芯利用による吸上式加熱蒸散装
置が種々提案されている。

これらは適当な容器に薬剤の溶剤溶液を入れ、これを吸
液芯を利用して吸上げつつ吸液芯上部より加熱蒸散させ
るべくした装置であり、これは上記電気蚊取器と対比す
ると確かに数十倍もの薬剤を加熱蒸散させ得ることが考
えられる。

しかしながら上記種々提案された吸上式加熱蒸散装置に
は、吸液芯として専らフェルト等が用いられており、こ
れは実際に使用した場合いずれも加熱により薬剤液中の
溶剤が速やかに揮散し、該芯内部で薬剤液が次第に濃縮
され樹脂化して目づまりを起したり、芯材が燻焼したり
して、引き続く薬剤液の吸上げ及び蒸散を不能とし、揮
散率の経時的低下は避は難（、また薬剤液中の薬剤の残
存率の減少は計り得ないものであった。

本発明者らは上記吸上式加熱蒸散装置に認められる弊害
が、用いられる吸液芯の材質に依存する。

と考え、該芯材として広く各種の多孔質物質を検討した
。

しかしながら例えば電気蚊取器用マットに汎用されるパ
ルプや木粉等の繊維質材料では、長時間加熱により２等
材質が燻焼し、引き続く薬剤液の吸上げ及び蒸散を困難
とし、また多孔質磁性物質等の鉱物質材料では、総じて
芯材中での薬剤液の濃縮及びこれに引き続く樹脂化、目
づまり等が惹起され、やはり吸液芯としては使用に耐え
ないことを確認した。

しかるに引き続く研究において上記の通り夫々単独では
実用不適な特定の鉱物質材料と木粉とを所定の割合で併
用し、しかも之等を吸油速度が４０時間以下となるよう
に糊剤で固着した芯材によれば、該芯材は木粉を配合し
ているにもかかわらず薬剤液を蒸散できる高温下に長時
間加熱しても全く燻焼が起らずしかも上記加熱による薬
剤液の蒸散と平衡する所定速度で薬剤液を良好に吸い上
げ得、更に驚くべきことに薬剤揮散率の経時的低下を全
（惹き起すことなく、長期に亘り安定して薬剤を揮散し
、その残存率も極めて少ないことを見い出した。

本発明はこの新しい知見に基づいて完成されたものであ
る。

即ち本発明は活性白土、叶い藻土、メルク、クレー、パ
ーライト、ガラス質火山岩焼成粉末およびガラス質火山
灰焼成粉末から選ばれた少なくとも１種の鉱物質粉末１
００重量部および木粉または木粉に等重量までの戻粉お
よび（または）活性炭を混合した混合物１０〜３００重
量部を糊剤で固着してなり、吸油速度が４０時間以下で
あることを特徴とする吸液芯に係る。

本発明において鉱物質粉末のひとつとして用いられるガ
ラス質火山岩焼成粉末を構成するガラス質火山岩として
は、例えば真珠岩、黒曜石、松脂岩等を例示できる。

また同様にガラス質火山灰としては例えばシラス、赤ボ
ヤ等を例示できる。

之等は通常５００℃程度以上の温度で焼成することによ
って所望の焼成微粉末とすることができ、またこれは更
に粉破して本発明に用いることもできる。

本発明においては鉱物質粉末１００重量部に対し木粉ま
たはこれと戻粉および（または）活性炭との所定割合混
合物１０〜３００重量部を用いることを必須とする。

木粉またはこれを主成分とする上記混合物を１０重量部
より少ない量で用いる時には併用の効果が発現されず、
得られる吸液芯を用いて薬剤を充分な濃度で継続的に蒸
散させることは困難となり、有効揮散率の向上は期待で
きない。

また木粉またはこれを主成分とする上記混合物を３００
重量部を越えて用いる時には、得られる吸液芯は比較的
短時間に炭化、目づまりを起し、やはり所期の目的は達
成できない。

また本発明において上記木粉は、その等量までを戻粉及
び活性炭におき替えることも可能であり、以下これら戻
粉及び活性炭を配合した混合物をも木粉と総称する場合
がある。

本発明の吸液芯は、上記所定量の鉱物質粉末及び木粉を
糊剤で固着させることにより製造される。

上記固着は代表的には鉱物質粉末と木粉との混合物に糊
剤及び水を加えて練合し、押出成型後乾燥することによ
り行なわれる。

この際用いられる糊剤としては、通常のデキストリン、
澱粉、アラビアゴム、合成糊ＣＭＣ等を利用できる。

その使用量は上記各成分を固着保形できしかも得られる
吸液芯の吸油速度を４０時間以内とする量とする。

これは鉱物質粉末と木粉との使用割合や用いる糊剤の種
類により異なるが通常得られる吸液芯中に５〜２５重量
係含まれる程度の量とするのが適当である。

糊剤の使用量が多く吸油速度が４０時間を越える時には
、得られる吸液芯は薬剤の吸上げ速度が遅くなりすぎ該
薬剤の揮散率の向上は期待できない。

吸液芯の吸油速度は通常１〜４０時間好ましくは８〜２
１時間とするのが適当である。

同上記において吸液芯の吸油速度とは、液温２５℃のｎ
−パラフィン液中に直径７Ｔ１ｍｌＸ長さ７０ｍｍの吸
液芯をその下部より１５ｍｍまで浸漬し、芯頂にｎ−パ
ラフィンが達するまでの時間を測定することにより求め
られた値を意味するものとする。

また本発明の吸液芯中には上記鉱物質粉末、木粉及び糊
剤の他更に必要に応じてマカライトグリーン等の色素、
ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸等のカビ止め剤
やカオリン、ベントナイト等を配合することもできる。

カオリンやベントナイト等は、混合粉末の成型加工性を
向上させる働きがある。

かくして本発明の吸液芯を得る。

これは従来より殺虫、殺菌、賦香等の目的で、各種殺虫
剤、殺菌剤、香料等の有効成分薬剤を加熱蒸散させるべ
くした吸上式加熱蒸散装置に用いて該装置の所期の目的
である長期に亘る薬剤の継続的蒸散を可能とするのみな
らず、薬剤の有効揮散率を常に８０チを越えるものとで
きる。

本発明の吸液芯の適用できる吸上式加熱蒸散装置として
は、薬剤の溶解溶液を収容するための適当な容器と、該
容器内にその上部を突出して挿入される吸液芯の上側面
部を間接的に加熱するための発熱体とを有する公知の各
種装置のいずれでもよい。

上記装置に利用される発熱体としては、通常通電により
発熱する発熱体が汎用されているが、これに限定される
ことなく、例えば空気酸化発熱材、白金触媒等を利用し
た発熱材等の公知のいかなる発熱体であってもかまわな
い。

本発明吸液芯の適用に適した装置の好ましい具体例を図
面に示す。

第１図は本発明吸液芯を適用した吸上式加熱蒸散装置の
一具体例を示す縦断面図であり、第２図は第１図のＡ−
Ａ’線に沿う横断面図である。

各図において１は直径７ ｍｍ Ｘ長さ７０１１Ｉ［Ｉ
］の本発明吸液芯、２は該吸液芯支持体、３は薬剤液収
容容器、４は内径１０ｍｍ及び厚さ１０ｍｍの中空内板
状発熱体、５，６及び７は発熱体４を支持するための支
持部、支持脚及び支持台、及び８は発熱体４に通電する
ためのコードである。

上記装置は、これを例えば殺虫の目的に用いる場合、容
器３内に殺虫剤の溶剤溶液を入れ、コード８を通じて発
熱体４に通電することにより用いられる。

殺虫剤の溶剤溶液としては好ましくは脂肪族炭化水素に
ｄｌ −３−アリル−２−メチルシクロペンタ−２−エ
ン−４−オン−１−イルｄｌ−シス／トランスークリサ
ンテマート（一般名７レスリン、商品名ピナミン、住友
化学工業株式会社製、以下ピナミンとよぶ）及び（又は
）その異性体の１〜１０重量係を含有させた液を用い得
る。

上記ピナミンの異性体としては具体的には下記化合物を
例示できる。

・ ｄｌ −３−アリル−２−メチルシクロペンタ−２
−エン−４−オン−１−イルｄ−シス／トランスークリ
サンテマート（商品名ピナミンフォルテ（登録商標）住
友化学工業株式会社製、以下ピナミンフォルテとよぶ）
、 ・ ｄ−３−アリル−２−メチルシクロペンタ−２−エ
ン−４−オン−１−イルｄ−１ランスークリサンテマー
ト（商品名エキスリン、住友化学工業株式会社製、以下
エキスリンとよぶ）、・ ｄｌ −３−アリル−２−メ
チルシクロペンタ−２−エン−４−オン−１−イルｄ−
ｉランスークリサンテマート（商品名バイオアレスリン
（登録商標）ルセン・ユクラフ社製、以下バイオレスリ
ンとよぶ） また殺虫剤有効成分は、特に上記ピナミン及びその異性
的に限定されず、他のピレスロイド系殺虫剤（例えばペ
ーパースリン等）、カーバイト系殺虫剤（バイボン等）
、有機リン系殺虫剤（ピリダフェンチオン等）等をも用
いることができる。

上記ペーパースリンには以下の化学名で呼ばれる化合物
が包含される。

■−エチニルー２−メチルー２−ペンテニル２゜２．３
．３−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート １−：Ｉ−ｆニル−２−メチル−２−ペンテニル２゜２
−ジメチル−３−（２’、 ２′−ジクロルビニル）
−シクロプロパン−１−カルボキシレート１−エチニル
−２−メチル−２−ペンテニル２゜２−ジメチル−３−
（２’−メチル−１′−プロペニル）−シクロプロパン
−１−カルボキシレート脂肪族炭化水素としてはより好
ましくは１８０〜３００℃の沸点範囲を有するｎ−パラ
フィン、イソパラフィン又は之等の混合物を使用できる
。

また吸液芯１の上側面部を加熱するための発熱体４とし
ては通常の通電により発熱する発熱体等を利用でき、該
発熱体４による吸液芯１の間接加熱は、好ましくは１３
０〜１４０℃の温度範囲で行ない得る。

上記本発明吸液芯を適用した吸上式加熱蒸散装置によれ
ば、上記吸液芯の利用に基でいて充分な殺虫効果を奏し
得る殺虫剤濃度をもって殺虫剤を長期間継続して揮散さ
せ得、しかもその有効揮散率は実に８０％を上回るもの
とできる。

上記殺虫効果を奏し得る殺虫剤濃度は、殺虫剤の種類に
応じて例えば殺蚊を例にとれば、ピナミンでは３．５［
１］ｇ／ｈｒ−以上、ピナミンフォルテでは１．５ ｍ
ｇ ／ ｈｒ以上、バイオアレスリンでは１．０ ｍｇ
／ｈｒ以上及びエキスリンでは０．７ ｔＱｇ ／ ｈ
ｒ以上とされている。

以下本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。

実施例 下記第１表記載の割合で鉱物質粉末及び木粉を使用し、
之等を糊剤としてデンフツ又はＣＭＣの所定量を用いて
水と練合後押出し成型及び乾燥して本発明の吸液芯を得
た。

第１表にはまた得られた吸液芯の吸油速度を併記する。

同表中木粉使用量（ｗｔ％）の欄における※印は戻粉を
５重量係配合したもの及び※※印は活性炭を５重量係配
合したものをいみするものとする。

また吸液芯試料Ｉ６．２５における火山岩は、真珠岩、
黒曜岩及び松脂岩をｌ：１：１（重量比）で含む火山岩
を１０００℃以上で焼成して得た焼成微粉末を意味する
ものとする。

実験例 １ 上記実施例で得た各種の吸液芯を用いて次の実験を行な
った。

即ち添附図面に示す吸上式加熱蒸散装置の薬剤収容容器
３内に、各種溶剤で希釈した４係のピナミンフォルテ溶
液１０ｒｆＬｌを入れ、発熱体４に通電して、吸液芯１
の上側面部を温度１３５℃に加熱し、該加熱による殺虫
剤液中のピナミンフォルテの揮散量（ｍｇ／ｈｒ）及び
有効揮散率（係）を次の方法により測定した。

揮 散 量：揮散蒸気を毎時間シリカゲルカラムに吸引
捕集し、このシリカゲルをク ロロホルムで抽出し、濃縮後ガスク ロマトグラフにて定量分析した。

有効揮散率：揮散量が実質上〇 （０，５ｍｇ／ｈｒ以
下）になるまでの総揮散量を上記方法に より求める。

また上記時点での容器残液の濃度及び残留有効成分量（
Ａ ■とする）を求める。

更に吸液芯の増加重量を求め、これに上記で求め た残液濃度を乗算し、吸液芯に残っ ている有効成分量（Ｂ■とする）を 算出する。

使用前の容器内の有効成分量をＣｍｇとすると有効揮散
率（係） は次式により算出される。

上記により測定されたピナミンフォルテの揮散量（［Ｉ
！ｇ／ｈｒ）及び有効揮散率（チ）を、用いた溶剤と共
に下記第２表に示す。

同第２表中用いた溶剤は次の記号で表わす。

溶剤Ａ・・・沸点２１０〜２４０°Ｃ／７６０ｍｍＨｇ
の脂肪族炭化水素 ｔｔＢ−・・沸点２４０〜２７０°Ｃ／ ７６０ ｍｍ
Ｈｇの脂肪族炭化水素 ／／Ｃ−−−沸点２７０〜３００℃／ ７６０ ｍｍ
Ｈｇの脂肪族炭化水素 伺第２表中吸液芯試料屋比較１〜比較３は夫々次のもの
を示す。

く比較１〉 パーライト１５重量係及び木粉７０重量係をデンプン１
０重量係とＣＭＣ５重量係とを併用して固着して得た吸
油速度が６時間４０分の吸液芯。

く比較２〉 パーライト８５重量係単独を上記比較１と同様の糊剤で
固着した吸油速度が４２時間１０分の吸液芯。

く比較３〉 木粉８０重量係単独をデンプン２０重量係で固着した吸
油速度６時間５０分の吸液芯。

また上記第２表中比較１及び比較３における揮散量及び
有効揮散率は、加熱開始後数時間で吸液芯が炭化し測定
できなかった。

実施例 ２ 吸液芯として試料Ａ１及び７、並びに薬剤溶液としてピ
ナミンフォルテを４係含有する沸点２４０〜２７０°Ｃ
／ ７６０ ｍｍＨｇの脂肪族炭化水素溶液を用い、芯
の加熱温度を１３０〜１４０℃の範囲で変化させた以外
は実験例１と同様にした。

結果を下記第３表に示す。

実験例 ３ 実験例１において薬剤溶液としてピナミンフォルテを所
定濃度で含有する沸点２４０〜２７０°Ｃ／ ７６０ｍ
ｙｎＨｇの脂肪族炭化水素溶液を用い且つ吸液芯として
試料Ａ２を用い、同様にして下記第４表記載の結果を得
た。

実験例 ４ 吸液芯として試料厘６を用いた以外は上記実験例３と同
様にして第５表に示される結果を得た。

実験例 ５ 実験例■において薬剤溶液として下記各種薬剤を所定濃
度で含有する沸点２４０〜２７０℃／７６０ｍｍＨｇの
脂肪族炭化水素溶液を用い且つ吸液芯として試料Ａ１，
４及び７を夫々用いて同様にして下記第６表に示す結果
を得た。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法を実施するに適した装置の一具体例
を示す縦断面図であり、第２図は第１図のＡ−Ａ’線に
沿う横断面図である。 各図中１は吸液芯、３は薬剤液収容容器及び４は発熱体
を夫々示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １（Ａ）活性白土、けい藻土、タルク、クレー、パーラ
   イト、ガラス質火山岩焼成粉末およびガラス質火山灰焼
   成粉末から選ばれた少なくとも１種の鉱物質粉末１００
   重量部および ［Ｆ］）木粉または木粉に等重量までの戻粉および（ま
   たは）活性炭を混合した混合物１０〜３００重量部を糊
   剤で固着してなり、吸油速度が４０時間以下であること
   を特徴とする吸液芯。