JPS5933773B2 - ブレ−キ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、シュークリアランス自動調整装置を備えたブ
レーキに関する。

互いに対向する２つのブレーキシューと、該２つのブレ
ーキシューを外方に付勢してブレーキドラムと係合させ
るためのアクチュエータと、前記２つのブレーキシュー
間に延び長さが調節可能なストラットを有するシューク
リアランス自動調整装置とを含むシュードラム型のブレ
ーキであって、前記ストラットは、該ストラット上に装
架されて回転することにより該ストラットの長さを伸長
可能なナツトを有しており、該ナツトは複数の歯からな
るラチェットを外周に備えており、前記シュークリアラ
ンス自動調整装置は、前記２つのブレーキシューの一方
に枢動可能に装架されている爪レバーを有しており、該
爪レバーは、通常状態で前記ラチェットと係合するよう
に付勢されている爪を備えており、また前記爪レバーは
、前記ブレーキシューの移動に基いて前記ナツトの接線
方向へと移動可能となされ、また、前記ブレーキシュー
の移動が過大であるときには前記ナツトを回転させて前
記ストラットの長さを増大させるには十分な距離だけ前
記ナツトの接線方向へと移動可能となされているブレー
キは知られている。

この種のブレーキは、例えば特公昭４８−１５８２０号
公報、特開昭５１−３５８５９号公報、特公昭４９−４
６０２１号公報などに開示されている。

このような構成により、ブレーキシューのライニングの
摩耗が進行してライニングとブレーキ・ドラム面との間
隙すなわちシュークリアランスが大きく増加した場合で
も、ブレーキ作用時のブレーキシューの過大な移動に基
いてストラットの長さが自動的に伸長され、シュークリ
アランスは常に最適な値に調整されるのである。

ところが、シュークリアランスの増加は、ライニングの
摩耗によってのみ生ずるのではなく、ブレーキ加熱時に
おけるブレーキ・ドラムの膨張によっても一時的に生ず
る。

例えば車輌が長い坂を降下するとき、ドライバーは繰返
してブレーキ操作を行ない、そのためブレーキ・ドラム
は発熱により膨張し、シュークリアランスは一時的に増
加するのである。

しかしながら前述した従来のブレーキにおけるシューク
リアランス自動調整装置は、シュークリアランスの増加
がライニングの摩耗によるものなのか、それともブレー
キ・ドラムの膨張によるものなのかを識別することがで
きず、どちらも補償すべき「ゆるみ」として感知される
。

したがってブレーキ・ドラムの膨張時にはストラットが
過度に伸長され、その結果、ブレーキ・ドラムが冷却し
てシューに対して収縮したときに、ブレーキ操作を解除
しているにもかかわらず、ライニングとブレーキ・ドラ
ムとが係合してブレーキが作用した状態になるという非
常に重大な事態をもたらすおそれがある。

このような過度の調節を防止するたみ、ブレーキが加熱
されてドラムが膨張したときに爪レバーの爪をラチェッ
トとの係合から離すように変位させる力を爪レバーに与
えるよう変形するバイメタル帯片をシュークリアランス
自動調節装置に組込み、ブレーキが冷却してバイメタル
帯片の変形かもとどおりになることによって初めて爪レ
バーの爪がラチェットと再係合するよう復帰するまでは
、シュークリアランス自動調整装置が全く作用しないよ
うにさせるようにしてもよい。

しかし、ドラムが高温になるときはライニングが最も摩
耗しやすいときでもあり、したがってブレーキ加熱時に
シュークリアランス自動調整装置を完全に不作用するこ
とは好ましくない。

ドラムの膨張による過剰調節の問題は避けられるが、ブ
レーキ加熱時のライニングの急激な摩耗によるシューク
リアランスの増加に対して調節が行なわれないことにな
るからである。

そこで本発明は、ブレーキ加熱時におけるドラムの膨張
によるシュークリアランスの見せかけの増加分に対して
は調節は行なわず、しかもブレーキ加熱時においてもラ
イニングの摩耗によるシュークリアランスの真の増加分
については調節を行な・うことのできるシュークリアラ
ンス自動調整装置を備えたブレーキを提供することを目
的とする。

本発明によれば、互いに対向する２つのブレーキシュー
と、該２つのブレーキシューを外方に付勢してブレーキ
・ドラムと係合させるためのアクチュエータと、前記２
つのブレーキシュー間に延び長さが調節可能なストラッ
トを有するシュークリアランス自動調整装置とを含むシ
ュードラム型のブレーキであって、前記ストラットは、
該ストラット上に装架されて回転することにより該スト
ラットの長さが伸長可能なナツトを有しており、該ナツ
トは複数の歯からなるラチェットを外周に備えており、
前記シュークリアランス自動調整装置は、前記２つのブ
レーキシューの一方に枢動可能に装架されている爪レバ
ーを有しており、該爪レバーは、通常状態で前記ラチェ
ットと係合するように付勢されている爪を備えており、
また前記爪レバーは、前記ブレーキシューの移動に基い
てて前記ナツトの接線方向へと移動可能となされ、また
、前記ブレーキシューの移動が過大であるときには前記
ナツトを回転させて前記ストラットの長さを増大させる
に十分な距離だけ前記ナツトの接線方向へと移動可能と
なされている、ブレーキにおいて、前記シュークリアラ
ンス自動調整装置は、前記爪レバーに取付けられたバイ
メタル帯片を有しており、該バイメタル帯片は、加熱さ
れたときに該バイメタル帯片の当接部を前記ラチェット
に押当てるように付勢して前記爪レバーの前記爪を持上
げ該爪を前記ラチェットとの保合から外すように変形可
能であり、前記バイメタル帯片の前記当接部は、前記ナ
ツトを回転させようとする前記爪レバーの移動方向に関
して前記爪の前方に位置づけられており、それによって
、加熱状態でのライニング摩耗に基づき前記爪レバーが
過度に移動したときに前記バイメタ帯片が前記ラチェッ
トの外周に沿って移動し又は前記ラチェットから離れる
ことにより、前記爪は前記ナツトを回転させるために前
記ラチェットと再び保合可能となることを特徴とするブ
レーキが提供される。

このように構成された本発明のブレーキでは、ブレーキ
加熱時にドラムが膨張することによってシュークリアラ
ンスが増加しても、当接部をラチェットに押当てながら
爪レバーを持上げるように変形するバイメタル帯片によ
り、爪レバーの爪がラチェットとの保合から外されるの
で、ドラムの膨張に起因するシュツクリアランスの見せ
かけの増加分に対してはストラットの長さ調整は行なわ
れない。

しかしながら、ブレーキ加熱時に促進されるライニング
の摩耗に起因するシュークリアランスの真の増加があっ
たときには、その分だけ爪レバーが過度に移動すること
になる。

バイメタル帯片は、爪レバーに取付けられ爪レバーとと
もに移動し、また、ストラットのナツトを回転させよう
とする爪レバーの移動方向に関して爪レバーの爪よりも
前方に上記当接部を位置づけされているので、爪レバー
が過度に移動することによりラチェットの外周に沿って
移動し、やがてラチェットから離れる。

それによって爪レバーの爪はラチェットと再び係合して
ナツトを回転させることができ、本来補償すべきシュー
クリアランスの真の増加分を補償する。

本発明によるブレーキの望ましい実施例については、添
付図面を参照しつつ以下に説明する。

本発明によるブレーキは、ウェブ２と、摩擦ライニング
４が取付けられたプラットフォーム３とを有するブレー
キシュー１を含む。

シュー１は、戻りばね５によってもうひとつのシュー（
図示せず）に向って偏倚され、ブレーキドラム（図示せ
ず）から離されている。

液圧により作動されるブレーキアクチュエータ（図示せ
ず）は、互いに対向する２つのブレーキシューを外方に
付勢してブレーキドラムと係合させることにより制動作
用を行なう。

２つのブレーキシュー間に延び長さが調節可能なストラ
ット６は、シューが制動作用の後に戻るときのストッパ
の役割を果たす。

このストラット６はまた、シューを機械的にかしてドラ
ムに押圧させるハンドブレーキ・リンク装置（図示せず
）の一部を構成する。

ストラット６は、該ストラット上に装架されて回転する
ことにより該ス］・ラットの長さを伸長させることので
きるナツト８を有しており、該ナツト８の外周にはラチ
ェットが設けられている。

図示した実施例では、ストラット６は、ねじロッド７と
、該ねじロッド７上に螺装されたナツト８と、ねじロッ
ド７の内方自由端部を収容し且つナツト８の側面に当接
する内方端部を有する筒胴９とを含んでいる。

シュー１には枢着ピン１０により爪レバー１１が枢着さ
れている。

このレバーの突起１２は、爪レバー１１を枢着ピン１０
の周囲に時計方向に押圧する爪ばね１３を受止めている
。

戻りばね５は爪ばね１３よりも強いばね力を有し、その
ため、ブレーキが作用しない時、シュー１がロッド７の
ス田ントの底部１４に堅く係合し、爪レバー１１のフッ
ク１５はロッド７の受部１６と係合するようになってい
る。

ブレーキが作動されると、シュー１は左方に移動してシ
ューとス田ント底部１４との間に間隙を形成スる。

従って、レバー１１はばね１３の作用により時計方向に
回転し、レバー１１のアーム１７はナツト８に対し接線
方向に運動する。

レバー１１にはシューのウェブ２に対する接近および離
反方向にある程度の遊びを設けており、ばね１３はアー
ム１７をナツト８のラチェツト歯部と係合させるように
引張る作用を有する。

爪レバー１１は第２図に示すように、アーム１１の端部
に形成された爪１８を有する。

アーム１７にはバイメタルの帯片１９が枢着され、この
帯片の大部分はアーム１７に沿っており、帯片のアーム
に最も近い方の側部に膨張率の大きな金属が設けられる
。

爪１８および帯片１９のナツト８上のラチェツト歯部に
対する位置関係は第３図乃至第５図に示され、シューク
リアランス自動調整装置の作用についてもこれに関連し
て説明する。

ブレーキが作用すると、爪１８の先端２０は右方に移動
し、ナツト８の外周に形成されるラチェットを構成する
複数の歯のひとっである歯２２の元部を滑って次の歯２
４の縁部２３に接近する。

爪の先端２０が縁部２３に完全に達しないものとすれば
、仮にブレーキを繰返しかけてもナツト８は回転せず、
従って調節作用は生じない。

もし、ライニングの摩耗によりシュークリアランスが増
加し、ブレーキ作用時にシューが過大に移動することに
より爪の先端２０が縁部２３に達して僅かな距離だけ更
に移動すれば、歯２４はこの距離だけ右方に引寄せられ
てナツトを時計方向に回転させる。

ブレーキが解放されると爪は戻るが、ナツトが時計方向
に僅かに回転したため、戻った爪の先端は歯の元部２１
の先縁２５に丁度かかる。

次のブレーキの使用と同時に爪が再び右方に移動する時
、次の縁部２６が爪の先端により引掛けられて爪により
右方に引寄せられ、その結果ナツトはラチェットの１枚
の歯のピッチ分に相当する角度だけ回転する。

この回転運動によりナツト８は、ストラット６の長さを
伸長せしめる方向へとねじロッド７に沿って螺進せしめ
られる。

その結果、シューの移動量は減少し、したがって爪の移
動量も減小するようになる。

ブレーキを作用させるごとに爪の移動量がラチェット−
肉分のピンチを越える場合には、ナツト８はブレーキ作
用時ごとに回転される。

この動作は、ナツト８の回転によりストラット６が十分
に伸長されてブレーキ作用時のシューの移動量が減小し
、それによって爪の移動量がラチェット−肉分のピンチ
を越えなくなるまで継続する。

シューが大きく移動するのは、ライニングが摩耗した場
合だけに限らず、ドラムがブレーキ摩擦熱により膨張し
たがためにシューがドラム内面と接触するまでに長い距
離を動かねばならなくなる場合も同様である。

したがって、ライニングが摩耗していなくとも、ドラム
膨張時に十分なブレーキを効かせようとすればシューは
大きく移動し、爪はラチェットの歯の１ピツチを越える
距離だけ動かされてナツトを回転させることにより調節
作用を行なってしまう。

これは必要とされない過度の調整となり、ドラムが冷却
されて収縮したときにはシューはドラム内面から完全に
離れることができなくなり、このためブレーキペダルを
離してもブレーキは作用したままになってしまう。

この問題点はバイメタル帯片１９の動きで解消される。

バイメタル帯片１９はドラム発熱時に加熱され、第４図
に示すように先端の当接部をラチェットに押当てるよう
に変形する。

その変形の程度は、ラチェットからの反作用力により爪
の先端をラチェットとの係合から外すように付勢するに
′充分なものとされる。

このようにして、ドラムが加熱されて膨張した場合には
ナツト８の回転、したがってストラットの長さ調節は行
なわれず、ドラム膨張時の過調節が防止される。

しかし、ドラム発熱時にはむしろライニング摩耗が促進
されるので、その摩耗した分は調節して補償する必要が
ある。

本発明は、この点も解決している。

もし、ドラム発熱膨張時にライニングが摩耗すれば、ブ
レーキ作用時のシューの動きは非常に大きくなり（ドラ
ム膨張分の間隙とライニング摩耗分の間隙とを合せた距
離を動かねばならないためである）、したがって通常の
（ドラムが膨張していない場合の）ライニング摩耗補償
時と比較して爪は過大に移動する。

すると第５図に示すように、バイメタル帯片１９はラチ
ェツト歯列から離れようとする方向（第５図において右
方）に動き、ラチェツト歯列とバイメタル帯片１９との
係合点はナツト８上のラチェットの外周曲線に沿って次
第に下がり、やがてバイメタル帯片１９はラチェットか
ら離れる。

このようなバイメタル帯片１９の下降移動ないしラチェ
ットからの離脱により、爪１８も下方に下がり、爪１８
はラチェツト歯列と再び係合する。

この時点から更に爪が右方に移動すればラチェットは回
転され、ライニング摩耗を補償するための調節が行なわ
れることになる。

この作動は、バイメタル帯片１９の先端における当接部
が、ナツト８を回転させようとする爪レバー１１の移動
方向（第３図ないし第５図における右方）に関して爪１
８の前方に位置づけられていることにより達成される。

少くとも理論的には、ドラムの膨張を無視するよう構成
要素の相互の配置を正確に配置して、ドラムの膨張量と
丁度等しい爪の運動量に対して歯列から離れるように爪
を持上げ、次にもし爪がこれ以上の距離を移動するなら
ば、爪を歯列の上に降ろすようにすることが可能である
。

ドラムが熱い間ライニングが摩耗するならば、爪はこの
余分の距離だけ移動してブレーキの調節を可能にする。

しかし、補償作用は十分でありさえすれば完全でなくて
もよいため、このような精確さは必須ではない。

【図面の簡単な説明】

第１図はシュークリアランス自動調整装置を備えたドラ
ム・ブレーキの一部を示す斜視図、第２図は第１図のブ
レーキの一部を示す斜視図、および第３図乃至第５図は
第１図のシュークリアランス自動調整装置の作用段階を
示す図である。 １・・・・・・ブレーキシュー、２・・・・・・ウェブ
、３・・・・・・プラットフォーム、４・・・・・・ラ
イニング、５・・・・・・戻りばね、６・・・・・・ス
トラット、７・・・・・・ロッド、８・・・・・・ラチ
ェットを外周に備えたナツト、９・・・・・・筒胴、１
０・・・・・・枢着ヒン、１１・・・・・・爪レバー、
１２・・・・・・突起、１３・・・・・・爪ばね、１７
・・・・・・アーム、１８・・・・・・爪、１９・・・
・・・バイメタル帯片、２２，２４・・・・・・歯。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 互いに対向する２つのブレーキシュと、該２つのブ
   レーキシューを外方に付勢してブレーキドラムと係合さ
   せるためのアクチュエータと、前記２つのブレーキシュ
   ー間に延び長さが調節可能なストラット６を有するシュ
   ークリアランス自動調整装置とを含むシュードラム型の
   ブレーキであって、前記ストラット６は、該ストラット
   ６上に装架されて回転することにより該ストラット６の
   長さを伸長可能なナツト８を有しており、該ナツト８は
   複数の歯からなるラチェットを外周に備えており、前記
   シュークリアランス自動調整装置は、前記２つのブレー
   キシューの一方１に枢動可能に装架されている爪レバー
   １１を有しており、該爪レバー１１は、通常状態で前記
   ラチェットと係合するように付勢されている爪１８を備
   えており、また前記爪レバー１１は、前記ブレーキシュ
   ーの移動に基いて前記ナツト８の接線方向へと移動可能
   となされ、また、前記ブレーキシューの移動が過大であ
   るときには前記ナツト８を回転させて前記ストラ′ット
   ６の長さを増大させるに十分な距離だけ前記ナツト８の
   接線方向へと移動可能となされている。 ブレーキにおいて、前記シュークリアランス自動調整装
   置は、前記爪レバー１１に取付けられたバイメタル帯片
   １９を有しており、該バイメタル帯片１９は、加熱され
   たときに該バイメタル帯片１９の当接部を前記ラチェッ
   トに押当てるように付勢して前記爪レバー１１の前記型
   １８を持上げ該爪１８を前記ラチェットとの保合から外
   すように変形可能であり、前記バイメタル帯片１９の前
   記当接部は、前記ナツト８を回転させようとする前記爪
   レバー１１の移動方向に関して前記型１８の前方に位置
   づけられており、それによって、加熱状態でのライニン
   グ摩毛に基づき前記爪レバー１１が過度に移動したとき
   に前記バイメタル帯片１９が前記ラチェットの外周に沿
   って移動し又は前記ラチェットから離れることにより、
   前記型１８は前記ナツト８を回転させるために前記ラチ
   ェットと再び保合可能となることを特徴とするブレーキ
   。