JPS6221151Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はリターンスプリングにより近接方向に
付勢される一対のブレーキシユー間に、ストラツ
トとアジヤストボルトからなるアジヤスタ機構を
備えた内部拡開式ドラムブレーキの制動間隙自動
調整装置に関するものである。

従来のこの種のドラムブレーキの制動間隙自動
調整装置におけるアジヤスタ機構は、一対のスト
ラツトの一方にアジヤストギアを有するアジヤス
トボルトのねじ軸部を螺合し、このアジヤストボ
ルトのストレート軸部を他方のストラツトに挿通
し、アジヤストギアの側面をこのストラツトの開
口端に当接させ、この一方のストラツトの端面を
シユーウエブに、他方のストラツトの開口端部を
ブレーキ力伝達レバーに受嵌合して取付けられて
いる。そして、走行中あるいは停車時にロツドま
たはワイヤによる機械的操作によつて、ブレーキ
力伝達レバーを作動し、アジヤスタ機構を介して
一方のブレーキシユーをブレーキドラムに圧接
し、この反力によつて他方のブレーキシユーをブ
レーキドラムに圧接し両ブレーキシユーを拡開し
て制動を行なつている。この制動の際に、ブレー
キシユーが摩耗するとアジヤストレバーによりア
ジヤストボルトを回動して両ストラツトを伸長
し、ブレーキシユーとブレーキドラムとの間の制
動間隙を自動的に調整している。

この制動のとき、ブレーキ力伝達レバーによつ
てアジヤスタ機構のストラツトがシユーウエブを
押動するために、ストラツトとシユーウエブとの
受嵌合部にスライド力が生じ、両接触面にこじり
による変形や損傷が発生することがある。また、
アジヤストギアの側面とストラツトの開口端部が
面接触しているため、摺動抵抗が大きくアジヤス
ト作動時にアジヤストボルトが円滑に回転するこ
とができない不具合がある。更に、一対のストラ
ツト間にアジヤストボルトを組付けた後に、両ス
トラツトの端部をシユーウエブおよびブレーキ力
伝達レバーに組付けなければならず、部品点数も
多く製作コストが嵩むとともに組付作業に手数を
要する等の問題点があつた。

本考案はかかる実情を背景にしてなされたもの
で、ブレーキ力伝達レバーに当接したストラツト
に、アジヤストギアを有するアジヤストボルトの
一端を螺合し、このアジヤストボルトの他端に形
成された球面部を、前記一方のブレーキシユーの
シユーウエブに形成された球面凹部に当接せしめ
たことを特徴としている。

そして、本考案の目的は、ブレーキ力伝達レバ
ーによる機械的操作において、ブレーキシユーの
拡開作動が円滑で安定した制動が得られるととも
にアジヤストボルトの追随性が向上しアジヤスト
作動が確実であり、またこれらの作動によつてシ
ユーウエブ等に変形や損傷が生じることがなく、
しかも部品点数が削減され製作コストが節減で
き、かつ組付作業が容易である前記内部拡開式ド
ラムブレーキの制動間隙自動調整装置を提供する
にある。

以下、本考案の一実施例を図面に基いて説明す
る。

車体に固定されるバツクプレート１上には、一
対のブレーキシユー２，２が配置され、このブレ
ーキシユー２，２はシユーウエブ２ａ，２ａとシ
ユーリム２ｂ，２ｂとがダイカストにより軽合金
で一体に形成され、シユーリム２ｂ，２ｂにはブ
レーキライニング２ｃ，２ｃが固着されている。
そして、このブレーキシユー２，２はシユーウエ
ブ２ａ，２ａの一端をアンカー３に当接し、他端
に張設されたリターンスプリング４と前記アンカ
ー３の近傍に張設されたアンカースプリング５と
によつて互いに近づく方向に付勢されている。

トレーリング側のブレーキシユー２には、その
シユーウエブ２ａの下部にブレーキ力伝達レバー
６がアジヤストレバー７とともに枢軸８を支点と
して回動自在に設けられている。そしてこのブレ
ーキシユー２とリーデイング側ブレーキシユー２
との間には、ストラツト９とアジヤストボルト１
０とからなるアジヤスタ機構１１が配置されてい
る。このストラツト９はその開口端部９ａがブレ
ーキ力伝達レバー６を跨ぐようにして受嵌合し、
その回転が規制されて取付けられている。アジヤ
ストボルト１０は中央部に一体に形成されたアジ
ヤストギア１０ａを挟み、一方にねじ軸部１０ｂ
を、他方にストレート軸部１０ｃをそれぞれ有し
ており、更にこのストレート軸部１０ｃの先端に
は球面部１０ｄが形成されている。そして、この
アジヤストボルト１０のねじ軸部１０ｂはストラ
ツト９に螺合し、ストレート軸部１０ｃの球面部
１０ｄはリーデイング側のシユーウエブ２ａの内
側端面に形成された球面凹部１２にリテーナ１３
を介して当接している。リテーナ１３はその球面
凹部１３ａでシユーウエブ２ａの球面凹部１２を
覆つてシユーウエブ２ａに圧着されており、この
リテーナ１３は耐摩耗性の優れた金属で形成さ
れ、シユーウエブ２ａが軽合金等で成形されてい
る場合のこじりによる変形をより有効に防止して
いる。そして、シユーウエブ２ａの球面凹部１２
の曲率半径は、アジヤストボルト１０の球面部１
０ｄの曲率半径より大きく形成され、これにより
アジヤストボルト１０の球面部１０ｄがリテーナ
１３の球面凹部１３ａに点接触し、アジヤストボ
ルト１０の摺動抵抗や回転抵抗が下がり、作動時
における追随性を良くしている。

そして、アジヤスタ機構１１は両ブレーキシユ
ー２，２の間隙を一定に保持するとともに、アジ
ヤストレバー７によりアジヤストギア１０ａを回
動するとアジヤストボルト１０がストラツト９か
ら螺出して伸長し、ブレーキシユー２，２の間隙
を広げブレーキライニング２ｃ，２ｃとブレーキ
ドラム（図示せず）との間の制動間隙を一定にす
る。このアジヤストレバー７はアジヤストスプリ
ング１４によつてブレーキ力伝達レバー６と連動
して回転するようになつており、爪部７ａは下方
からアジヤストギア１０ａに噛合している。

次に、この実施例の作用について説明する。

ロツドまたはワイヤ等による機械的操作により
ブレーキ力伝達レバー６を第１図においてＡ方向
に回動すると、ストラツト９とアジヤストボルト
１０とからなるアジヤスタ機構１１が右方へ移動
し、リーデイング側のブレーキシユー２が拡開し
てブレーキライニング２ｃをブレーキドラムに圧
接する。この反力によつて、トレーリング側のブ
レーキシユー２が左方へ移動し、ブレーキライニ
ング２ｃをブレーキドラムに圧接して制動する。
そして、ブレーキライニング２ｃ，２ｃの摩耗に
つれて、ブレーキ力伝達レバー６に連動するアジ
ヤストレバー７の回動量が大きくなり、アジヤス
トギア１０ａを回転する。これにより、アジヤス
トボルト１０が回転しストラツト９から螺出して
伸長し、ブレーキシユー２，２を広げ制動間隙が
常に一定になるように調整する。

このブレーキ力伝達レバー６によりブレーキシ
ユー２，２を拡開する際に、アジヤストボルト１
０の球面部１０ｄとリーデイング側のシユーウエ
ブ２ａの球面凹部１２にこれを覆うリテーナ１３
の球面凹部１３ａとの接触部とにおいてスライド
力が生じるが両者は点接触しているので、摺動抵
抗が小さくブレーキシユー２，２を円滑に拡開す
ることができる。また、アジヤスト作動時におけ
るアジヤストボルト１０の回転抵抗も同様に小さ
く、アジヤストレバー７の作動によつてアジヤス
トボルト１０は円滑に回転することができる。そ
して、このような繰り返しの作動によつても、ア
ジヤストボルト１０の球面部１０ｄとリテーナ１
３の球面凹部１３ａとの接触部に摺動や回動作動
による変形や損傷が発生することが軽減される。

前記実施例においては、シユーウエブ２ａにア
ジヤストボルト１０の球面部１０ｄをリテーナ１
３を介して当接しているが、リテーナ１３を用い
ることなくアジヤストボルト１０の球面部１０ｄ
をシユーウエブ２ａの球面凹部１２に当接しても
よい。また、ストラツト９は開口端部９ａをブレ
ーキ力伝達レバー６に受嵌合しているが、ストラ
ツト９の端部に回り止めを考慮した球面部を形成
し、これをブレーキ力伝達レバー６に当接せしめ
てこじりを防止するようにしてもよい。

本考案は前記のように、一対のブレーキシユー
間に配置したアジヤスト機構のアジヤストボルト
の球面部をシユーウエブの球面凹部に当接したか
ら、この両者の接触部におけるアジヤストボルト
の摺動抵抗と回転抵抗が下がり、ブレーキ力伝達
レバーによるブレーキシユーの拡開作動が円滑で
安定した制動が得られる。また、アジヤスト作動
時におけるアジヤストレバーによるアジヤストボ
ルトの回転が円滑で、確実に制動間隙の調整をす
ることができる。更に、これらの作動によつて、
アジヤストボルトとシユーウエブとの接触部にお
いて変形や損傷が発生することも有効に軽減する
ことができる。また、従来のアジヤスタ機構に比
し、アジヤストボルトを支持する一方のストラツ
トが不要になるから、製作コストを削減すること
ができるとともに組付が容易になる等の効果を有
している。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は正面図、第２図は第１図の−断面図であ
る。 ２はブレーキシユー、２ａはシユーウエブ、２
ｂはシユーリム、２ｃはブレーキライニング、６
はブレーキ力伝達レバー、７はアジヤストレバ
ー、９はストラツト、１０はアジヤストボルト、
１０ａはアジヤストギア、１０ｂはねじ軸部、１
０ｃはストレート軸部、１０ｄは球面部、１１は
アジヤスタ機構、１２は球面凹部、１３はリテー
ナである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リターンスプリングにより近接方向に付勢され
   る一対のブレーキシユー間に、ストラツトとアジ
   ヤストボルトからなるアジヤスタ機構を備えた内
   部拡開式ドラムブレーキの制動間隙自動調整装置
   において、ブレーキ力伝達レバーに当接したスト
   ラツトに、アジヤストギアを有するアジヤストボ
   ルトの一端部を螺合し、このアジヤストボルトの
   他端に形成された球面部を、前記一方のブレーキ
   シユーのシユーウエブに形成された球面凹部に当
   接せしめたことを特徴とする内部拡開式ドラムブ
   レーキの制動間隙自動調整装置。