JPS5928785B2 - 機械式ドラムブレ−キの制動間隙自動調整装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はバックプレートに基端を枢支した一対のブレー
キシューの遊端部間にバックプレートを貫通してカム部
材を介在し、このカム部材をブレーキアームによって回
転せしめ、これによりブレーキシューを拡開させてブレ
ーキドラム内周面に圧接して制動を行ない、この繰り返
しの制動によるライニングの摩耗によって生じるライニ
ングとブレーキドラム内周面との間の制動間隙をカム部
材に係合したカムカラーによりブレーキシューを拡開し
て自動的に常に一定になるように調整する機械式ドラム
ブレーキの制動間隙自動調整装置に関するものである。

本発明の特徴はこの種の機械式ドラムブレーキの制動間
隙自動調整装置において、ブレーキアームの回転によっ
てブレーキシューを拡開するカム部材のカム部にシュー
ウェブの遊端部が対向する対向面を形成し、かつこの対
向面のシュー押動部に溝底部をテーパ状に形成したカム
カラー溝を作、苦ｔ：ｓを挾んで形成し、アジャスト機
構にを螺動して前記カムカラー溝に嵌合 したカムカラーを押動し、シュー拡開方向に突出せしめ
ブレーキシューを拡開して制動間隙を自動的に調整でき
るようにしたことにあり、その目的とするところは、カ
ム部材のカム部の幅を小さくして特に小型の機械式ドラ
ムブレーキに適用することができるとともに制動解除の
際のブレーキシューの戻り特性を良好にし、更に制動時
カム部材の回動力がカム部の対向面のシュー押動部に嵌
合したカムカラーからシューウェブに伝達されカム部材
の回転ロスが生ぜず確実に応動することができ、しかも
制動の繰り返しによってブレーキ操作ワイヤが伸びるこ
とがあってもこの伸び量をもアジャストすることができ
る機械式ドラムブレーキの制動間隙自動調整装置を提供
するにある。

以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。

バックプレート１の内側には、一対のブレーキシュー２
，２′がその基端部２ａ、２ａ’をアンカーピン３に枢
支して設けられ、このブレーキシュー２．２′は中間部
４ａをアンカーピン３に支持したＵ字状のシューリター
ンスプリング４によって常時近接する方向に付勢されて
いる。

カム部材５は大径のカム部５ａと、取付軸部５ｂおよび
セレーション軸部５ｃとからなっており、このカム部材
５はブレーキシュー２，２′のシューウェブ遊端部２ｂ
、２ｂ’間においてワッシャー６を介してバックプレー
ト１に貫通され、カム部５ａを両シューウェブ遊端部２
ｂ 、 ２ ｂ’に対向し、取付軸部５ｂがバックプ
レート１に回転可能に設けられ、この取付軸部５ｂに形
成されているグリス溜５ｄにグリスを充填してカム部材
５が円滑に回転できるようにしている。

ブレーキアーム７はバックプレート１の外側に突出して
いるカム部材５のセレーション軸部５ｃに固定され、ブ
レーキ操作ワイヤ８によって回動しカム部材５を回転さ
れる。

カム部材５のカム部５ａには、シューウェブ遊端部２ｂ
、２ｂ’と対向する側を切欠いて、この遊端部２ ｂ
、 ２ ｂ’が対向する一対の対向面５ｅ、５ｅ’が形
成されており、これによりカム部５ａは小幅になってい
る。

そして、この対向面５ｅ、５ｅ’のシュー押動部にカム
カラー溝９，９′が作動部材挿通孔１０を挾んで上下対
称位置で対向面５ｅ、５ｅ’に対して直角方向に形成さ
れている。

このカムカラー溝９，９′はその溝底部がテーパ状で、
カム部５ａの後端から先端にかけて傾斜して深くなり、
先端においては作動部材挿通孔１０を挾んで一部が重な
り合っている。

作動部材１１は軸部１１ａの端部に形成された右ねじ１
１ｂを作動部材挿通孔１０に挿通し、雌ねじ１０ａに螺
合してカム部材５に取付けられており、その頭部１１ｃ
はカムカラー溝９，９′に嵌合している一対のカムカラ
ー１２ 、１２’にワッシャー１３を介して当接してい
る。

そして、この作動部材１１は反対側からカム部材５に挿
通されたアジャストギア１４の軸部１４ａの先端の平板
部１４ｂを作動部材１１のすり割り溝１１ｄに係合し、
アジャストギア１４を回転することによって一体に回転
し螺動するようになっている。

カムカラー１２，１２’は板状を呈した直角三角形状に
形成されており、その斜面１２ａ、１２ａ’はカムカラ
ー溝９，９′の底部テーパ面９ ａ 、 ９ ａ’に当
接し、垂直面１２ｂ、１２ｂ’がシューウェブ遊端部２
ｂ、２ｂ’に当接し、カム部材５と一体に回転するとと
もに作動部材１１の螺入により押動されカム軸方向に移
動し、これによりカム部５ｂの対向面５ｅ、５ｅ’から
突出しブレーキシュー２゜７を拡開する。

バックプレート１の外側には隔壁１５がブレーキアーム
７の取付部を覆うように設けられており、カム部材５の
カム軸５ｆはシール部材１６を介してこの隔壁１５から
突出している。

そして、ダストカバー１７はシール部材１８を介して一
端はアクセル軸ボス１９に嵌合し、他端は隔壁１５にビ
ス２０により２箇所締付固定され、隔壁１５の上部を覆
っている。

ストッパレバー２１は一端に穿設された大径孔２１ａと
他端に穿設された小径孔２１ｂと弾性爪部２１ｃとを有
しており、大径孔２１ａをカム軸５ｆに嵌挿し、他端を
隔壁１５とダストカバー１７との間に挾みビス２０を小
径孔２１ｂに挿通し共線して固定されている。

そして、弾性爪部２１ｃの先端はアジャストギア１４の
歯１４ｃにブレーキアーム７を第２図において入方向の
作動一方向に引いたときアジャストギア１４の回転を規
制するように噛合している。

アジャストレバー２２は中心部に嵌合孔２２ａを有して
おり、この嵌合孔２２ａの内周面にはカム軸圧接片２２
ｂが嵌合方向と反対方向に折り曲げて形成されている。

そして、このアジャストレバー２２はカム軸５ｆに軸方
向に形成されている面取り部５ｇにカム軸圧接片２２ｂ
を圧接係合して嵌着されており、その弾性爪部２２ｃを
周縁よりアジャストギア１４の歯１４ｃに噛合し、ブレ
ーキアーム７の作動方向への回動によりカム部材５と一
体に回転し、ライニング２ｃ、’ｌｃ’が所定量摩耗す
るとアジャストギア１４の次の歯１４ｃと噛合し、ブレ
ーキレバー７の復帰の際にアジャストギア１４を回転し
て一歯送り、ストッパレバー２１の弾性爪部２１ｃをア
ジャストギア１４の次の歯１４ｃと噛合してアジャスト
作用が完了する。

次に、この実施例の作用について説明する。

ブレーキシュー２，２′の組付は第６図に示す如く、シ
ューウェブ遊端部２ｂ、２ｂ′をカム部５ａの対向面５
ｅ 、 ５ ｅ’に当接するとともにカムカラー１２
、１２’の垂直面１２ｂ、１２ｂ’に当接して組付け
る。

この組付初期においては、カムカラー１２．１２’はカ
ムカラー溝９，９′に浅く嵌合して一部が重なり合って
オーバラップしているため、カムの幅が少さくシューウ
ェブ遊端部２ ｂ 、 ２ ｂ’は近接している。

そして、ブレーキレバーあるいはブレーキペダルを操作
して制動を行なうとブレーキ操作ワイヤ８によってブレ
ーキアーム７が第１図および第２図においてＡ方向に回
動し、このブレーキアーム７の回動に伴いカム部材５が
一体に第１図および第６図に示す如く反時計方向に回転
し、カム部５ａがシューウェブ遊端部２ ｂ 、 ２
ｂ’を開き、これによりブレーキシュー２，２′はシュ
ーリターンスプリング４に抗して拡開しライニング２
ｃ、２ ｃ’をブレーキドラム（図示せず）の内周面に
圧接して制動を行なう。

このとき、ブレーキアーム７の回転に伴いカム部５、カ
ムカラー１２．１２’、アジャストギア１４および作動
部材１１は一体に回転し、その回転角度はアジャストレ
バー２２の弾性爪部２２ｃ及びストッパーレバー２１の
弾性爪部２１ｃがアジャストギア１４の歯１４ｃの各々
同一歯の斜面をスライドする範囲である。

そして、制動を解除すると、ブレーキシュー２゜２′は
シューリターンスプリング４によって復帰し、これによ
ってカム部材５、カムカラー１２ 、１２’、作動部材
１１、アジャストギア１４およびアジャストレバー２２
はそれぞれ一体となって時計方向に回転して元の位置に
復帰する。

この復帰の際第６図に示す如くカム部５ａのカム幅が小
さく、カム軸心０とカムカラー１２，１２’とシューウ
ェブ２ ｂ 、 ２ ｂ’の当接点Ｍとの関係に基づ＜
ｂ ／ ａが小さくなっているので、制動を解除する
とリターンスプリング４による付勢力によってカム部材
５は簡単に回転し元の位置に戻り、ブレーキシュー２．
２′の戻り特性が良好で、固着したり戻り不良等が生じ
たりすることはない。

ライニング２ｃ、２０′がこの制動作用によって、摩耗
し、ブレーキドラムの内周面とライニング２ｃ、２ｃ’
の表面に設定値以上の制動間隙が生じると、制動時に一
体に回転するカム部材５、カムカラー１２．１２’、作
動部材１１、アジャストレバー２２およびアジャストギ
ア１４の回転量が大きくなるが、アジャストギア１４は
ストッパレバー２１の弾性爪部２１ｃによってその回転
が規制されているため、カム部材５、カムカラー１２゜
１ｚおよびアジャストレバー２２のみがその制動間隙の
増大分回転する。

これにより、アジャストギア１４と作動部材１１が一体
的に回転することとなり、アジャストレバー２２の弾性
爪部２２ｃはアジャストギア１４の一歯を乗り越えて次
の歯１４ｃと噛合するとともに作動部材１１は第３図に
おいてカム部材５に螺入して左方へ移動し、カムカラー
１２．１２’が作動部材１１の頭部１１ｃによりバック
プレート１側へ押動される。

これによりカムカラー１２．１２’はカムカラー溝９，
９′を軸方向に摺動するとともにカム部５ａの対向面５
ｅ 、 ５ ｅ’からシュー拡開方向に突出し、シュ
ーウェブ遊端部２ ｂ 、 ２ ｂ’を押し広げて制動
間隙を調整する。

そして、制動作用を解除すると、ブレーキア−ム７、カ
ム部材５、カムカラー１２，１２’、アジャストギア１
４および作動部材１１は一体に第１図および第２図にお
いてＢ方向に回転する。

このとき、アジャストレバー２２によりアジャストギア
１４はカム部材５と一体に確実に回転し、これにより、
ストッパレバー２１の弾性爪部２１ｃがアジャストギア
１４の一歯を乗り越えて次の歯１４ｃと噛合してアジャ
ストが完了し元の初期位置に復帰する。

このように、ライニング２ｃ、２ｃ’の摩耗につれてア
ジャストギア１４が回転し、アジャストレバー２１の弾
性爪部２１ｃが順次アジャストギア１４の歯１４ｃと噛
合していき、カムカラー１２．１２’は第７図に示す如
くシュー拡開方向に突出して制動間隙が常に一定になる
ように自動的に調整する。

そして、ブレーキシュー２，２′のシューウェブ遊端部
２ｂ、２ｂ’はカム部５ａのシュー押動部に設けられた
カムカラー１２ 、１２’によって拡開し、カム部５ａ
の対向面５ｅ、５ｅ’から離間した状態でアジャストさ
れるから、ブレーキシュー２，２′がライニング２ ｃ
、 ２ ｃ’の摩耗につれてアンカーピン４を支点と
して拡開し、シューウェブ遊端部２ ｂ 、 ２ ｂ’
の外周側が内周側ｊリカム部５ａの対向面５ｅ、５ｅ’
より離間することがあっても、カムカラー１２はリーデ
ィング側のシューウェブ遊端部２ｂの外周側に当接し、
又カムカラー１７はトレーリング側のシュー、ウェブ遊
端部２ ｂ’の内周側に当接しているため、制動時にカ
ム部材５の回転力はこのカムカラー１２．１２’からリ
ーディング及びトレーリング側のブレーキシュー２，２
／に適確に伝達され、ブレーキシュー２，２′の拡開に
ロスが生じない。

更に、このような制動の繰り返しによりブレーキ操作ワ
イヤ８が伸びることがあっても、第８図に示す如くブレ
ーキシュー２，２′はリターンスプリング４によって常
に近接する方向に付勢されているからカム部材５のカム
部５ａに両側より押圧力がかかり、カム部５ａはブレー
キ操作ワイヤ８の伸び量に応じて時計方向に逆転した状
態で保持される。

これによって、ライニング２ ｃ 、 ２ ｃ’とブレ
ーキドラム内周面との間の制動間隙は大きくなるが、制
動の際、ブレーキアーム７の回転に伴うカム部材５の回
転量が大きくなり、これにより前記したアジャストギア
１４の相対的な回転量が増大し、アジャストレバー２２
およびストッパレバー２１はブレーキ操作ワイヤ８の伸
びを含み、アジャストギア１４の歯１４ｃを乗り越えて
噛合して制動間隙を一定に調整する。

このように本発明によれば、組込み初期においてカムカ
ラーをオーバラップしカム部材のカム部のカム幅を極力
小さくしたので、特に小型の機械式ドラムブレーキに最
適であるとともに、ブレーキシューの制動解除の際の戻
り特性が良好で、カム部が固着したり、戻り不良が生じ
ることがなく常に円滑かつ確実な制動が得られる。

また、カム部の対向面のシュー押動部に嵌合したカムカ
ラーを常にシューウェブ遊端部に当接せしめたから、制
動の際のカム部材の回転力はカムカラーからシューウェ
ブ遊端部にロスなく伝達され、ブレーキアームの回動に
即応してブレーキシューが拡開し迅速かつ確実な制動が
得られる。

しかも、制動の繰り返しによってブレーキアームを作動
するブレーキ操作ワイヤが伸びることがあっても、この
伸び量をも含めてカム部材の回転量を増大せしめたから
、ブレーキ操作ワイヤの伸びをもアジャストすることが
でき制動間隙は常に一定となる等の効果を有している。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図は正面図
、第２図は背面図、第３図は第２図の■−■断面図、第
４図は平面図、第５図はカム部材、カムカラー、作動部
材、ワッシャー、アジャストギア、ストッパレバーおよ
びアジャストレバーの分解斜視図、第６図は制動間隙調
整前の要部の断面図、第７図は制動間隙調整後の要部の
断面図、第８図はブレーキ操作ワイヤが伸びカム部材が
逆転した状態を示す要部の断面図である。 １はバックプレート、２．７はブレーキシュー、５はカ
ム部材、７はブレーキアーム、９，９′はカムカラー溝
、１０は作動部材挿通孔、１１は作動部材、１２ 、１
２’はカムカラー、１４はアジャストギア、２１はスト
ッパレバー、２２はアジャストレバーである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ バックプレートに基端を枢支した一対のブレーキシ
   ューの遊端部間にバックプレートを貫通してカム部材を
   介在し、このカム部材をブレーキアームによって回転せ
   しめ、これによりブレーキシューを拡開させてブレーキ
   ドラム内周面に圧接することにより制動を行なう機械式
   ドラムブレーキにおいて、前記カム部材のカム部にシュ
   ーウェブの遊端部が対向する一対の対向面を形成すると
   ともに、この対向面のシュー押動部に溝底部をテーパ状
   に形成したカムカラー溝を作動部材挿通孔を挾んで形成
   し、このカムカラー溝に前記シューウェブの遊端部に当
   接するカムカラーをシュー拡開方向に突出するように摺
   動自在に嵌合し、更にこのカムカラーの端面に係合しカ
   ムカラーを押動する作動部材を前記カム部材の作動部材
   挿通孔に螺合し、アジャスト機構によりこの作動部材を
   螺動して前記カムカラーをシュー拡開方向に突出せしめ
   ることを特徴とする機械式ドラムブレーキの制動間隙自
   動調整装置。