JPS643857Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、機械式リーデイングトレーリングブ
レーキにおけるオーバアジヤスト防止機能を有す
る間隙自動調整装置に関する。

オートバイ等の車両に装備される機械式リーデ
イングトレーリングブレーキは、車体側に固定さ
れたバツキングプレートに一対のブレーキシユー
を対峙して配置し、該ブレーキシユーの一端をア
ンカーにて支承し、他端にてブレーキ操作により
回動するカムを挟装する基本的構造を有する。

この種のドラムブレーキにあつても、ブレーキ
シユーのライニングの摩耗によりブレーキ操作ス
トロークが過大となつて制動が遅れたり、非制動
状態となつて制動性能が低下するのを防止するた
めに、ライニングの摩耗量に応じてブレーキシユ
ーとドラムとの間隙（シユー間隙）を所定範囲に
自動的に調整する装置、つまり間隙自動調整装置
の装備が望まれている。

しかし、機械式のドラムブレーキでは、シユー
間隙は手動にてケーブル長さ等を調整するものが
一般的で、従来の間隙自動調整装置を備えた機械
式リーデイングトレーリングブレーキは大型かつ
コストの嵩むものとなつていた。

而して本考案は、小型かつ安価にして機械式リ
ーデイングトレーリングブレーキに容易に組込み
得る、オーバアジヤスト防止機能を備えた信頼性
の高い間隙自動調整装置の提供を目的としてい
る。

以下本考案について図示の実施例を参照して説
明する。

図中において符号１は車体側に固定されるバツ
キングプレートで、対峙して配置した一対のブレ
ーキシユー２，３の一端はカム４を挟装してい
る。該カム４は、バツキングプレート１の裏側に
設けられた入力レバー５の矢印方向の引き作動に
より回動してブレーキシユー２，３の一端を拡開
するようになつている。

ブレーキシユー２，３の他端は、第２図に詳示
するようにバツキングプレート１に設けられたア
ンカーピンたるウエツジスクリユー６に各々リン
ク７，８を介して接続して揺動自在に位置保定さ
れている。

ウエツジスクリユー６は、螺杆部９、円錐面を
なすウエツジ部１０、および外周にラツチ歯１１
ａを形成した円部１１を各々軸線を一致させて
結合して構成される。かかるウエツジスクリユー
６は、バツキングプレート１にその螺杆部９を螺
合させると共に戻り止め機構１２を介在させて植
立してある。戻り止め機構１２としては、バツキ
ングプレート１に固設した弾性爪１３をウエツジ
スクリユーのラツチ歯１１ａの一方向の回動（第
１図において時計方向）を許容して螺杆部９の端
部に形成した歯部１４に係合させてカバー１５に
て覆い、或は螺杆部９の端部と所定の摩擦力にて
接触する摩擦材をバツキングプレート１側に固着
させたものであつてもよい。

リンク７，８は、各々外端を凸球面に形成する
と共に内端をウエツジ部１０と広く適合する凹曲
面にて形成して、ウエツジスクリユー６と軸線を
直交させて該凹曲面をウエツジ部１０に当接さ
せ、凸球面を両ブレーキシユー２，３の端部凹球
面に係合させて両シユー２，３を揺動自在として
ウエツジ部１０に接続する。そしてリンク７，８
は、バツキングプレート１側の支持部１６を挿通
させて各々軸線方向の移動つまみ両リンク７，８
の間隔を拡大（又は縮小）させる移動のみを許容
して位置保定されている。

１７は第一アジヤスタレバーであり、バツキン
グプレート１に立設され、ブレーキシユー３と遊
挿状態にあるピン１８にて中央部が回動自在に軸
支され、該ピン１８に中央部が巻回されて一端部
をブレーキシユー３に係止し、他端を第一アジヤ
スタレバー１７の内側縁に弾性的に当接するリタ
ーンスプリング１９により一端がカム４に当接す
るように付勢されている。

２０はオーバトラベルスプリングであり、中央
部をピン１８に巻回して一端を第一アジヤスタレ
バー１７の一端側に係止し、他端折曲部２０ａを
第一アジヤスタレバー１７の他端に形成した長孔
１７ａに遊嵌させ、該長孔１７ａの端面（第１図
上にて右端）に常態にて弾性的に当接係合させて
第一アジヤスタレバー１７と若干の相対移動を許
容して設けてある（第４図参照）。

２１は第二アジヤスタレバーであり、オーバト
ラベルスプリング２０の他端折曲部２０ａに回動
自在に軸支され、一側縁にウエツジスクリユーの
ラツチ歯１１ａに噛合し得るラツチ歯２１ａが形
成され、その噛合関係を第二アジヤスタレバー２
１の他端部と第一アジヤスタレバー１７との間に
張設したスプリング２２により付勢されている。
なお該スプリング２２に代えて、第二アジヤスタ
レバー２１とブレーキシユー２との間にスプリン
グを張設することができる。またラツチ歯２１ａ
および１１ａのピツチは、常用シユー間隙の変動
許容量に対応させて形成される。

２３はシユーリターンスプリングである。

次の本考案の作動を説明する。

制動時に入力レバー５に矢印方向の引動を与え
てカム４を時計方向に回動させ、ブレーキシユー
２，３の一端を拡開すれば、ブレーキシユー２，
３の他端はリンク７，８の凸球面部を支点として
揺動し、両シユー２，３が車輪と共に回転する図
外のドラムに摺接して機械式リーデイングトレー
リングブレーキとして作用して制動力を生ずる。
カム４の回動に伴つて第一アジヤスタレバー１７
はリターンスプリング１９の弾撥力に抗してピン
１８の周りに反時計方向に回動する。これにより
オーバトラベルスプリング２０は、スプリング２
２によりウエツジスクリユー６のラツチ歯１１ａ
に係合習性を与えられている第二アジヤスタレバ
ー２１を、他端折曲部２０ａによつて第１図中右
方向に移動させる。その際、ブレーキシユー２，
３のライニングが摩耗してシユー間隙が常用シユ
ー間隙を越えていると、ラツチ歯２１ａ，１１ａ
にてウエツジスクリユー６は一ピツチ以上回動さ
せられ、螺杆部９の作用によりウエツジスクリユ
ー６を第２図中上方に螺出する。その結果、リン
ク７，８はウエツジ部１０の作用にて間隔を広げ
てシユー間隙を常用シユー間隙とする。このよう
に、シユー間隙の自動調整時には、スプリング２
２は、その引張力によつて第二アジヤスタレバー
２１のラツチ歯２１ａとウエツジスクリユー６の
ラツチ歯１１ａとの係合を付勢し、またオーバト
ラベルスプリング２０は、第一アジヤスタレバー
１７と一体に回動する。

ブレーキシユー２，３がドラムに摺接して、リ
ンク７，８のウエツジ部１０への押圧力が強くな
ると、カム４の回動に伴つて第一アジヤスタレバ
ー１７はピン１８の周りに更に回動するが、ウエ
ツジスクリユー６の回動は停止し、オーバトラベ
ルスプリング２０が弾性的に変形し、その他端折
曲部２０ａは第一アジヤスタレバーの長孔１７ａ
に逃げてラツチ歯１１ａの回転を止めてドラムの
変形を埋めるオーバアジヤストを防止する。その
際、スプリング２２は若干伸長する。

入力レバー５を復帰させて制動を解除すれば、
両シユー２，３がシユーリターンスプリング２３
力にて復帰し、カム４が元位置に復帰すると共
に、第一アジヤスタレバー１７はリターンスプリ
ング１９力にてまた第二アジヤスタレバー２１は
オーバトラベルスプリング２０力にて各々復帰す
る。オーバアジヤスト防止時に伸長したスプリン
グ２２も復帰する。その際、ウエツジスクリユー
６は第１図中反時計方向の回動を戻り止め機構１
２にて拘束されて、第二アジヤスタレバー２１は
そのラツチ歯２１ａがウエツジスクリユーのラツ
チ歯１１ａをスプリング２２の付勢力に抗して乗
り越えて移動し、次位の歯と噛合する。

なお、ラツチ歯１１ａおよび２１ａの歯形状を
変えてウエツジスクリユー６に第１図中反時計方
向の回動を許容すれば、ブレーキシユー２，３の
復帰時にシユー間隙を調整するネガテイブ型とす
ることができる。

以上説明したように本考案は上述の構成とした
ため、機械式リーデイングトレーリングブレーキ
において、小型かつ簡素な構造の安価な間隙自動
調整装置が提供され、またシユー間隙に相応して
回動するカムの回動量を直接に間隙調整装置への
入力とするため、その調整量が正確となり、更に
アンカーたるウエツジスクリユーの反力が大きく
なるとオーバトラベルスプリングが弾性的に変形
して第一アジヤスタレバーおよび第二アジヤスタ
レバーの破壊並びにオーバアジヤストを防止する
ので該装置の信頼性が向上すると共に、常用シユ
ー間隙を小さめに設定することが可能となり、ブ
レーキの応答性を向上させることができるという
効果を生ずる。また、シユー間隙は、アンカーた
るウエツジスクリユーの螺出によつて調整され、
カム及び入力レバーの復帰位置は不変である。こ
のため、カムの復帰位置が次第に変化するタイプ
の間隙自動調整装置と比べ、カムと入力レバーと
の一方向の相対回動を許容する連結機構が不要で
あり、この点で構造が簡素になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る間隙自動調整
装置の正面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面
図、第３図はラツチ歯の噛合関係を示す拡大図、
第４図は第１図のＢ−Ｂ線拡大断面図である。 １：バツキングプレート、２，３：ブレーキシ
ユー、４：カム、５：入力レバー、６：ウエツジ
スクリユー６、７，８：リンク、９：螺杆部、１
０：ウエツジ部、１１：円部、１１ａ：ラツチ
歯、１２：戻り止め機構、１６：支持部、１７：
第一アジヤスタレバー、１７ａ：長孔、１８：ピ
ン、１９：リターンスプリング、２０：オーバト
ラベルスプリング、２０ａ：折曲部、２１：第二
アジヤスタレバー、２１ａ：ラツチ歯、２２：ス
プリング、２３：シユーリターンスプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体側に固定されたバツキングプレートに拡開
   可能に対峙して配置された一対のブレーキシユー
   と、該ブレーキシユーの相対向する一端にて挟装
   され、ブレーキ操作に連動して前記ブレーキシユ
   ーを拡開するカムとを有する機械式リーデイング
   トレーリングブレーキにおいて、螺杆部とウエツ
   ジ部と円部とを各々軸線を一致させて有し、該
   円部外周にラツチ歯が形成され、バツキングプ
   レートに戻り止め機構を介在させて該螺杆部にお
   いて螺合させ、両ブレーキシユーの他端を該軸線
   方向の位置保定をしてウエツジ部に接続させる一
   対のリンクを付属させたウエツジスクリユーと、
   バツキングプレートに固定されたピンにて中央部
   が回動自在に軸支され、一端が前記カムに当接す
   るようにリターンスプリングにて付勢されてカム
   と連動する第一アジヤスタレバーと、中央部を該
   ピンに巻回して一端部を第一アジヤスタレバーに
   係止すると共に他端折曲部を第一アジヤスタレバ
   ーに相対移動可能に弾性的に係合させたオーバト
   ラベルスプリングと、オーバトラベルスプリング
   の他端折曲部に回動自在に軸支され、一端部側縁
   にラツチ歯が形成され、該ラツチ歯を前記ウエツ
   ジスクリユーのラツチ歯と一方向にのみ送り可能
   に噛合するようにスプリングにて付勢された第二
   アジヤスタレバーとを有することを特徴とする間
   隙自動調整装置。