JPS5855589Y2 - 電圧非直線性抵抗素子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電圧非直線性抵抗素子に係り、更に詳しくは電
圧非直線性抵抗素子の電極配設構造に関する。

電圧非直線性抵抗素子はバリスタとも呼ばれ、印加電圧
によって抵抗値が非直線的に変化し、印加電圧がその素
子の持つバリスタ電圧（制限電圧）を超える範囲で、抵
抗値が激減する特異な性質を有する。

このような特異な性質に着目し、電圧非直線性抵抗素子
は、音響機器に関連する小形直流モータのノイズ防止、
リレー接点の保護、半導体素子の静電気に対する保護、
カラーテレビブラウン管回路の放電吸収などの手段とし
て広く利用されている。

本考案は、上述のような利用分野の内で、特に小形直流
モータのノイズ防止用として好適な電圧非直線性抵抗素
子に関する。

一般に小形直流モータは整流子片や、刷子の幅が小さく
、電機子コイル電流の時間的変化の割合が大きく、リア
クタンス電圧が大きくなることもあって、刷子が整流子
片間を移動する瞬間に、整流子面と刷子との間に火花が
発生する。

この火花はスパイク状のノイズ電圧の発生原因となり、
また整流子と刷子の摩耗を生じ、モータとしての寿命を
短縮する傾向を生じる。

前述のノイズ電圧は両極性の電圧で、その波高値が電源
電圧の数十倍にもなり、音響機器に悪影響を及ぼすもの
であるから、除去しなければならない。

そのようなノイズ防止手段として電圧非直線性抵抗素子
が使用され、ノイズ電圧がバリスタ電を超える範囲で、
これを短絡吸収するものである。

次に、電圧非直線性抵抗素子を使用した小形直流モータ
および従来の電圧非直線性抵抗素子を第１図、第２図を
参照して説明する。

第１図は、電圧非直線性抵抗素子１を装着した小形直流
モータの断面図を示すもので、２は電機子コイル、３は
回転軸、４は整流子、５ａ、５ｂは刷子、６ａ、６ｂは
界磁である。

電圧非直線性抵抗素子１は電機子コイル２と整流子４と
の間の軸上に嵌着され、後述する如く、電極を整流子に
接続して設けられる。

第２図Ａ、Ｂは従来の電圧非直線性抵抗素子の平面図お
よび下面図をそれぞれ示している。

この従来例は、整流子４の片数が３個である場合に対応
する電極構造の電圧非直線性抵抗素子を示すもので、中
心部に取付孔７を有する円板状の焼結体８の片面に、３
個の電極９ａ、９ｂ、９Ｃをギャップｇ工を介して３等
配して設け、該電極９ａ〜９Ｃのそれぞれに、整流子４
の各片に各別に接続されるリード線１０ ａ 、１０
ｂ 、１０ Ｃをそれぞれ半田付は等により取付けて成
るものである。

この電圧非直線性抵抗素子は、焼結体８の片面のみに電
極９ａ〜９Ｃを形成したものであるから、キャップｇ１
を介して対向する各電極９ａ〜９Ｃの周方向端部間の焼
結体層がバリスタ作用をなすものである。

したがって第３図に示すように、リード線１０ ａ〜１
０ Ｃを整流♀４の各整流子片４ａ 、４ ｂ 、４
Ｃにそれぞれ接続すると、電極９ａ−９ｂ、９ ｂ ｉ
Ｃ１９Ｃ−９ａ間の各バリスタ層１９口。

八が、整流子片４ ａ 、４ ｂ 、４ Ｃを介して三
角結線されたと等価の回路構成となる。

なお、電機子コイル２ ａ 、２ ｂ 、２ Ｃは、こ
の例では三角結線としであるが、星形結線とされる場合
もある。

しかし上述のような電極構造であると、バリスタ特性を
発揮する個所が、ギャップｇ１を介して対向する電極９
ａ〜９Ｃの各端縁相互間だけに限定されるから、電極面
積が広い割合には、大きな電流が流せないという欠点が
ある。

本考案は上記する従来の欠点を除去し、電極面積を減少
させ、コストダウンを達成しながら、バリスタとして作
用する面積が大きくとれる電圧非直線性抵抗素子を提供
することを目的とする。

上記目的を達成するため、本考案に係る電圧非直線性抵
抗素子は、バリスタ素体となる焼結体の一表面に複数の
電極を有し、該複数の電極のそれぞれは、前記焼結体の
前記−表面の略同一円周上に配置された外側弧状部と、
該外側弧状部に隣接する他の電極の外側弧状部の内側に
、間隔を隔てて同心状に形成された内側弧状部と、該内
側弧状部の一端と外側弧状部の一端とを接続する接続部
とから成ることを特徴とする。

以下実施例たる添付図面を参照し、本考案の内容を具体
的に詳説する。

第４図は本考案に係る電圧非直線性抵抗素子の平面図を
示すもので、第２図と同様に、整流子片が３個である一
般的な小形直流モータに適用するものについて例示して
いる、９０，９１．９２は前述のように各整流子片にそ
れぞれリード線（図示していない）を介して接続される
電極であり、該電極９０〜９２は、焼結体８の片面に、
銀合金ペーストをスクリーン印刷法によって塗布し、か
つ焼付けることによって形成することができる。

また焼結体８としては、粒子間の接触面でバリスタ特性
を得るシリコンカーバイト（ＳｉＣ）系のもの、焼結体
自身は直線性抵抗体であるがこれに付与される電極との
接触状態によってバリスタ特性を得る酸化スズ（ＳｎＯ
２）、酸化鉄（Ｆｅ２０３）系のもの、または焼結体自
身がバリスタ特性を有する酸化チタン（ＴｉＯ２）系の
ものなど、種々のものが利用し得るが、小形直流モータ
用として使用する場合には、低電圧範囲で優れたバリス
タ特性を示す酸化チタン（ＴｉＯ２）系のものが最も好
ましい。

電極９０，９１．９２はそれぞれ焼結体表面の外周側の
略同一円周上に形成された弧状部９０ａ、９１ａ。

９２ ａと、各外側弧状部９０ ａ 、９１ ａ 、９
２ ａの一端近傍の内周側から隣接する外側弧状部の内
側に形成された内側弧状部９０ ｂ 、９１ ｂ 、９
２ ｂと、各外側弧状９０ ａと内側弧状部９０ｂ、同
じく９１ａと９１ｂ。

９２ ａと９２ ｂとをそれぞれ接続する接続部９０
Ｃ９１Ｃ，９２Ｃとから構成されている。

このような電極配設構造とすれば、例えば電極９０と９
２との間に介在する非電極形成面は、斜線領域Ａに示す
ようになり、第２図に示す従来のものに比べ、電極間対
向長が長く、バリスタとして作用する面積が広いものが
実現できる。

しかも実施例に示すように、電極対向部分を一円周まわ
りに配列して行くことで、限られた焼結体８の表面積を
可及的に有効に利用することができる。

この結果、第５図の■−Ｉ特性図に示すように従来の電
圧非直線性抵抗素子の特性Ｂに比較して、飽和電流値が
高く、容量値の大きい特性Ｃのものが実現できる。

また、各電極９０，９１．９２は、はぼ同一円周上にあ
る内側弧状部９０ ｂ 、９１ ｂ 、９２ ｂを有し
ているから、当該電圧非直線抵抗素子を、第１図に示す
ように小形直流モータに装着する場合、回転軸３からほ
ぼ同一半径上にある内側弧状部９０ ｂ 、９１ ｂ
、９２ｂ（または外側弧状部９０ ａ 、９１ ａ 、
９２ ａ）を整流子片４ ａ 、４ ｂ 、４ Ｃに接
続することができるようになり、整流子４と電極９０，
９１．９２との間の接続リード線の配線、固着作業が単
純かつ容易になる利点も生じる。

なお、実施例では、電極は３個としであるが、２個ある
いは４個以上のものであってもよい。

また中心に貫通孔のないものあるいは円形以外の、例え
ば多角形のものにも適用し得る。

さらに直流モー以外の機器におけるノイズ防止または過
電圧防止にも採用し得る。

以上述べたように、本考案に係る電圧非直線性抵抗素子
は、バリスタ素体となる焼結体の一表面に複数の電極を
有し、該複数の電極のそれぞれは、前記焼結体の前記−
表面の略同一円周上に配置された外側弧状部と、該外側
弧状部に隣接する他の電極の外側弧状部の内側に、間隔
を隔てて同心状に形成された内側弧状部と、該内側弧状
部の一端と外側弧状部の一端とを接続する接続部とから
成ることを特徴とするから、バリスタとして作用する面
積部分が広く、容量が大きな、雑音防止作用の優れた電
圧非直線性抵抗素子を実現することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は電圧非直線性抵抗素子を装着した小形直流モー
タの構造を概略的に示す断面図、第２図Ａ、Ｂは従来の
電圧非直線性抵抗素子の平面図および底面図、第３図は
第２図の電圧非直線性抵抗素子を小形直流モータに接続
した場合の等価回路図、第４図は本考案に係る電圧非直
線性抵抗素子の平面図、第５図は本考案に係る電圧非直
線性抵抗素子と従来のものの特性を比較して示す特性図
である。 １・・・・・・電圧非直線性抵抗素子、２・・・・・・
電機子コイル、３・・・・・・回転軸、４・・・・・・
整流子、８・・・・・・焼結体、９０゜９１．９２・・
・・・・電極、９０ ａ 、９１ ａ 、９２ ａ・・
・・・・外側弧状部、９０ ｂ 、９１ ｂ 、９２
ｂ・・・・・・内側弧状部、９０ Ｃ，９１Ｃ，９２Ｃ
・・・・・・接続部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バリスタ素体となる焼結体の一表面に複数の電極を有し
   、該複数の電極のそれぞれは、前記焼結体の前記−表面
   の略同一円周上に配置された外側弧状部と、該外側弧状
   部に隣接する他の電極の外側弧状部の内側に、間隔を隔
   てて同心状に形成された内側弧状部と、該内側弧状部の
   一端と外側弧状部の一端とを接続する接続部とから成る
   ことを特徴とする電圧非直線性抵抗素子。