JPS5837351B2 - 水溶性抗酸化剤およびその組成物 - Google Patents

水溶性抗酸化剤およびその組成物

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JPS5837351B2
JPS5837351B2 JP53091442A JP9144278A JPS5837351B2 JP S5837351 B2 JPS5837351 B2 JP S5837351B2 JP 53091442 A JP53091442 A JP 53091442A JP 9144278 A JP9144278 A JP 9144278A JP S5837351 B2 JPS5837351 B2 JP S5837351B2
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登 佐仲
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Description

【発明の詳細な説明】 魚介乾製品、魚介冷凍品および魚介塩蔵品等の魚介類製
品は保存食品として大量に製造消費されているが、これ
らに含まれる油脂は非常に酸化されやすく、一旦酸化さ
れると味が悪くなり酸敗臭を発し、ひいては食中毒の原
因ともなるので、これに対しては従来、抗酸化剤を添加
してこれを防止している。
魚介類製品の酸化は魚介類に含まれている油脂中の不飽
和脂肪酸の不飽和部分に酸素ラジカルが付加してパーオ
キサイドを形成し、次にこの部分で分解してアルデヒド
、ケトンおよび酸等を生ずるためであり、微量存在する
金属が酸化分解を促進すると考えられている。
従来、魚介類製品用の抗酸化剤としては合成抗酸化剤で
ある没食子酸イソアミルエステル、BHAおよびBHT
のみが用いられているが、最近、合或食品添加物の安全
性が問題となっており、合成抗酸化剤も例外ではなく、
その安全性が懸念され使用上種々の制限が付けられてい
る。
魚介類製品に抗酸化剤を添加するには、抗酸化剤を水に
懸濁し、この懸濁液に原料の魚介類を浸漬する方法が採
られているが、上記従来の合成抗酸化剤は水に分散しに
くいので乳化剤などを用いて水に懸濁しなければならず
、しかも懸濁液は長期間放置すると分離する欠点がある
天然資源の抗酸化成分については、最近、ローズマリー
やセイジをpH7〜11.5の塩基性水溶液で抽出し、
不溶性部分を分離したのち、沢液を濃縮乾燥して水溶性
酸化防止物質を得る方法が発表されている(特開昭50
=74580号公報)。
しかし、本発明者が同公報記載の方法を追試したところ
、これにより得られる水溶性酸化防止物質はその抗酸化
能(ことに後述する電子供与能。
)が非常に低く、従って該方法の実用化には多くの困難
を伴うことが認められた。
本発明者は天然香辛料中の抗酸化成分について種々研究
を重ねた結果、天然香辛料のローズマリーおよびセイジ
に水溶性の抗酸化或分と非水溶性の抗酸化成分との二種
類があることを見出し、またこの水溶性抗酸化或分を抽
出しかつ安定化する新規なことに成功した。
即ち、本発明は天然香辛料のローズマリー、セイジまた
はそれらの混合物から抽出された水溶性抗酸化剤、およ
びその組或物に関するもので、水溶性抗酸化剤およびそ
の組成物の調整方法は、天然香辛料のローズマリー、セ
イジまたはこれらの混合物を含水率40〜60%のメタ
ノールまたはエタノールで処理してその抗酸化成分を抽
出(以下この操作を単に「処理抽出」という。
)し、得られた抽出液に水を加えて非水溶性抗酸化成分
を析出させ、更にこれに活性炭を加えて攪拌した後、こ
の溶液を涙過して得たP液またはこのr液に安定化剤を
加えたものから溶媒を留去乾燥して水溶性抗酸化剤また
はその組成物となすものである。
本発明で調製した水溶性抗酸化剤またはその組成物は魚
介類製品および食肉製品の酸化防止に顕著な効果があり
、安価でしかも天然起源であるから安全性が高い。
以下に本発明について更に詳しく説明すると、第1表は
種々の含水率のエタノールでローズマリーを抽出して得
た抽出液に水を加えて非水溶性の抗酸化或分を析出させ
、更にこれに活性炭を加えて攪拌した後、この溶液から
非水溶性抗酸化成分と活性炭との混合物を沢刑し、得ら
れたf液から溶媒を留去して得た水溶性抗酸化成分区分
(固体)につき、その抽出率(出発原料に対する重量%
)および電子供与能を示したものである。
上記水溶性抗酸化成分区分の調製の具体的データは次の
とおりである:ローズマリー1001に40〜60%含
水エタノール1lを加えて3時間加熱還流し、温時沢過
して抗酸化成分を含む沢液を得る。
残渣を600rrLlの同じ溶媒で同様に処理抽出する
操作を更に二回繰返し、夫々得られた沢液を合わせる。
この油出液に水500〜1000mlを加えて非水溶性
杭酸化成分を析出させ、更に活性炭101を加えて攪拌
し、この溶液を一夜冷所に放置した後、沢過して沢液を
得る。
この沢液を減圧下濃縮して水溶性抗酸化戒分区分(固体
)を得る。
この水溶性抗酸化成分区分は淡褐色を呈し、臭いは無く
クロロフィル類を含まないが、少し吸湿性であるので、
放置するとアメ状になる。
しかしこれはそのまま魚介類製品の抗酸化剤として使用
に供することができる。
また、上記の実験で各区分の抗酸化能は電子供与能の価
を指標として比較した。
電子供与能はラジカル部分を有する化合物の1,1−ジ
フエニル2−ピクリルヒドラジルが還元されると、その
還元度合により吸光度が変化することを利用して測定し
た。
電子供与能の価が高い程還元能力が強く、また同一また
は同種の物質ではその電子供与能は抗酸化能と相関関係
がある。
具体的な測定方法は次のとおりである:試料約50■を
正確に秤量し、少量の50%含水エタノールを加えて加
温溶解し、さらに50%含水エタノールを加えて全量を
501Llとしたものを試験用原液とする(0.1%溶
液)。
これを0.51nl,1rrLlおよび1,5献とり、
それぞれに含水エタノールを加えて5TLlとしたもの
を試験溶液とする(0.01%,0.02%および0.
03%溶液)。
各試験溶液0.51Llに0. 1 Mのリン酸緩衝液
(pH6.5;以下P液という。
)5.0mlおよび2XIO−4Mの1,1−ジフエニ
ル−2−ピクリルヒドラジルーエタノール溶液(以下D
液という。
)4. 5 mlを加えて混合し、25℃で30〜40
分放置し、50%エタノール含有P液に対して525m
μにおける吸光度〔以下0.D. 525 (samp
le )という。
〕を測定する。上記の測定法で試験溶液に代えて50%
含水エタノール0.5TLlを用いたものを対煕とし、
D液に代えて50%含水エタノール4.5mlを用いた
ものをブランクとしてそれぞれについて同様に525m
μにおける吸光度〔以下0.D, 525 ( C O
n ’L r0 1)および0.D. 525 (bt
ank)という。
〕を測定する。前記各濃度における電子供与能を下記式
で算出し、その平均値を試料の電子供与能とする。
そして更に、第1図は上記の実験で得られた本発明の水
溶性抗酸化成分(ただしエタノールの含水率50%のも
の)についての薄層クロマトグラムであって、即ち9ス
ポットとして現われている。
実験方法は、薄層板としてキーゼルゲルF254(商品
名、メルク社製)を、溶媒系としてトルエンーギ酸エチ
ルーギ酸(5:4:1)を用いて展開し、メタバナジン
酸アンモニウム50%硫酸水溶液で呈色させた。
また、第2図は同じく上記の本発明の水溶性抗酸化成分
の0.005%水溶液について日立EPS一3T型分光
光度計を用いて測定した紫外部吸収スペクトルであって
、極大吸収帯(λmax)が2 8 0 nmおよび3
3 0 nmにあった。
以上に説明した本発明の水溶性抗酸化剤はそのままでは
やや吸湿性であるが、この水溶性抗酸化剤を水に溶解し
た溶液に安定化剤を加えて濃縮乾燥するときは、吸湿性
のない安定な粉末状の水溶性抗酸化剤組成物が得られる
これはまた、前記製造過程における水溶性抗酸化剤を含
むP液、即ち非水溶性抗酸化成分と活性炭との混合物を
分離した沢液に直接安定化剤を加えて溶媒を留去乾燥す
ることにより、同様の組成物を得ることができる。
安定化剤としては乳糖、デキストリン、マルトース、ア
ラビアガム等の糖類、イノシット、ソルビット等の糖ア
ルコール類、アミノ酸類が挙げられる。
乾燥方法としては凍結乾燥、スプレー・ドライ等が挙げ
られる。
この組或物は魚介類製品および食肉製品の酸化防止に優
れた効果を示した。
本発明の水溶性抗酸化剤およびその組或物の調製方法に
おける各工程の操作条件については、溶媒による抗酸化
成分の抽出操作としては通常の抽出操作を用いることが
できるが、抽出溶媒の沸点で2〜5時間行うのが最も効
率が良い。
沸点以下の温度でも抽出可能であるが長時間を要する。
抽出液から溶媒を留去するには通常の濃縮操作を用いる
ことができるが、減圧濃縮が最も簡便である。
非水溶性抗酸化或分を析出させるのにまた好ましくは水
を加えた溶液を10℃以下に冷却する。
活性炭の量は原料の天然香辛料1重量部当り0.05〜
0.2重量部で、特に0.1重量部程度が好ましい。
0.05重量部未満では効果が少なく、0.2重量部を
越えると抽出率が低下する。
本発明で抽出に用いたメタノールまたはエタノールは回
収して再使用することができる。
本発明で天然香辛料としてセイジを用いた場合に得られ
る水溶性抗酸化剤およびその組成物の効果はローズマリ
ーを用いた場合の効果の約80%であり、ローズマリー
とセイジとの混合物から得られた水溶性抗酸化剤および
その組成物の効果は配合比率にもよるがローズマリーと
セイジの効果の中間の価であった。
実施例 1 セイジ100fに60%含水メタノール1lを加えて5
時間加熱還流し、温時沢過して沢液を得た。
残渣を60%含水メタノール500rfLlで同様に処
理抽出する操作を更に二回繰返して沢液を得た。
これらの沢液を合わせ、水400mlを加えると沈殿が
析出した。
この溶液を10℃以下に冷却し、活性炭15?を加えて
1時間攪拌し、一夜冷所に放置した後、f過してP液を
得た。
このP液から減圧下に溶媒を留去して水溶性抗酸化或分
区分(または水溶性抗酸化剤)12L?を得た。
上記と同様の方法で得た水溶性抗酸化剤100tを魚肉
すり身10.0kg、食塩0.25k9、殿粉0. 3
0 kg、砂糖0.40kg、グルタミン酸ソーダ0
.20]i1グリシン0.40kgおよびアラニンQ.
02kgと共に良く混和してすり潰し、型内に充填して
90〜95℃で40分間蒸煮し、冷却した後、型から外
してかまぼこを製造した。
1週間後に、このかまぼこと抗酸化剤を添加しないで製
造したかまぼことの過酸化物価を測定したところ、試験
かまぼこの過酸化物価は8.5、対照品の過酸化物価は
55であった。
実施例 2 ローズマIJ−1kgに50%含水エタノール10lを
加えて3時間加熱還流し、温時沢過して沢液を得た。
残渣を50%含水エタノール6lで同様に処理抽出する
操作を更に二回繰返してP液を得た。
これらの沢液を合わせ、水5lを加えると沈殿が析出し
た。
この溶液に活性炭100vを加えて1時間攪拌し、一夜
冷所に放置した後、P過してp液を得た。
この沢液にデキストリン120vを加えて攪拌し、スプ
レー・ドライして粉末状の水溶性抗酸化剤組成物240
tを得た。
上記の水溶性抗酸化剤組成物20S’を飽和食塩水10
k9に添加溶解し、これにサンマ開き2均を2時間浸漬
した後乾燥した。
このサンマ干物は2週間後にも油焼けが認められなかっ
たのに対し、抗酸化剤を添加しない飽和食塩水を使用し
たサンマ干物は製造3日目に油焼けを生じた。
実施例 3 ローズマリー501およびセイジ50Pに40%含水エ
タノール1lを加えて3時間加熱還流し、温時沢過して
p液を得た。
残渣を40%含水エタノール500dで同様に処理抽出
する操作を更に二回繰返してP液を得た。
これらの沢液を合わせ、水500mlを加えると沈殿が
析出した。
この溶液に活性炭121を加えて1時間攪拌し、放冷し
た後、汗過してP液を得た。
このr液から減圧下溶媒を留去して水溶性抗酸化剤11
.5rを得た。
実施例 4 安定化剤としてデキストリンに代えてマルトースを用い
たほかは実施例2と同様に操作して、水溶性抗酸化剤組
或物240グを得た。
実施例 5 安定化剤としてデキス} IJン120?に代えてイノ
シット、乳糖またはアラビアガムを各々801用い、ま
たスプレー・ドライに代えて凍結乾燥を用いた以外は実
施例2と同様に操作して、水溶性抗酸化剤組成物を各々
200t得た。
実施例 6 原料としてローズマリーに代えてセイジを用いた以外は
実施例2と同様に操作して、水溶性抗酸化剤組成物24
0グを得た。
上記の水溶性抗酸化剤組成物200?、水5kg、食塩
550?、シヨ糖1251、硝石501、グルタミン酸
ソーダ2(1,コショウ3f?および口−レル31の組
戒の塩浸液を調製し、この液に血絞りの終ったバラ肉1
0kgを2〜4℃の室において2週間漬けた。
塩漬の終った肉を常法により水漬、ケーシングてん充、
乾燥、燻煙、水煮および包装してボイルドプレスハムを
製造した。
このハムの製造時の過酸化物価は3.2であったのに対
し、抗酸化剤を添加しないで製造したハムの製造時の過
酸化物価は8.7であった。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は夫々本発明による水溶性抗酸化剤
の薄層クロマトグラムおよび紫外部吸収スペクトルを示
す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ローズマリーもしくはセイジまたはこれらの混合物
    を含水率40〜60%のメタノールまたはエタノールで
    処理してその抗酸化或分を抽出し、得られた抽出液に水
    を加えて非水溶性抗酸化成分を析出させ、更にこれに活
    性炭を加えて攪拌した後、この溶液を枦過して得た炉液
    から溶媒を留去することにより調製された水溶性抗酸化
    剤。 2 ローズマリーもしくはセイジまたはこれらの混合物
    を含水率40〜60%のメタノールまたはエタノールで
    処理してその抗酸化成分を抽出し、得られた抽出液に水
    を加えて非水溶性抗酸化或分を析出させ、更にこれに活
    性炭を加えて攪拌した後、この溶液を炉過して得た枦液
    に、デキストリン、マルトース、イノシット、アラビア
    ガムおよび乳糖からなる群から選ばれる一以上の安定化
    剤を加えたものから溶媒を留去乾燥することにより調製
    された水溶性抗酸化剤を含有する組成物。
JP53091442A 1978-07-28 1978-07-28 水溶性抗酸化剤およびその組成物 Expired JPS5837351B2 (ja)

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