JP6745259B2 - 飲料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、飲料組成物に関する。
非重合体カテキン類はポリフェノール化合物の1種であり、様々な生理活性を有することから、飲食品への応用が注目されている。中でも、生活習慣として手軽に摂取できることから、非重合体カテキン類を高濃度で含有させた飲料が多数上市されているが、飲用時に強い渋味を伴うことがある。従来、このような非重合体カテキン類由来の渋味をマスキングする技術として、例えば、環状デキストリンを配合する方法が提案されている(特許文献1、2)。
一方、シネオールは、環状エーテル構造を有するモノテルペノイドの1種であり、さわやかな香りを有する香気物質として知られている。従来、シネオールを鼻粘膜、口腔粘膜又は肺から吸収させて投与すると、低濃度で、かつ速効性をもって単純作業中に生ずる眠気を抑制できることが報告されている(特許文献3)。また、シネオールを麦芽飲料に添加すると、光による味の毀損を抑制できることが報告されている(特許文献4)。
特開2006−180711号公報 特開2008−118873号公報 特開平6−40906号公報 特開昭59−179058号公報
本発明者らは、非重合体カテキン類を含有する飲料組成物にデキストリンを一定量添加すると、デキストリンの独特の味が非重合体カテキン類由来の味と相俟った異味を生じ、嗜好性が低下することを見出した。
本発明の課題は、非重合体カテキン類及びデキストリンを含有しながらも、非重合体カテキン類とデキストリンとによる異味が抑制された飲料組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定量の非重合体カテキン類及びデキストリンを含有する飲料組成物に、香気物質として知られるシネオールを含有させ、デキストリンとシネオールとの質量比を特定範囲内に制御することで、意外なことに、非重合体カテキン類とデキストリンとによる異味を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)非重合体カテキン類 0.01〜0.2質量%
(B)デキストリン 0.1〜10質量%、及び
(C)シネオール
を含有し、成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]が5×10-8以上1×10-4以下ある、液体飲料組成物を提供するものである。
本発明はまた、次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)非重合体カテキン類
(B)デキストリン、及び
(C)シネオール
を含有するインスタント飲料組成物であって、
(A)非重合体カテキン類の濃度を0.03質量%となるように水で溶解したときに、下記の(1)及び(2);
0.1 ≦ X ≦ 10 (1)
5×10-8≦ Y ≦ 1×10-4 (2)
〔式中、Xは成分(B)の含有量(質量%)を示し、Yは成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]を示す。〕
の関係を満たす、インスタント飲料組成物を提供するものである。
本発明によれば、非重合体カテキン類及びデキストリンを含有しながらも、非重合体カテキン類とデキストリンとによる異味が抑制された飲料組成物を提供することができる。
<液体飲料組成物>
本明細書において「液体飲料組成物」とは、液体で還元する必要なしにそのまま飲用に供する液状食品を意味する。液体飲料組成物の形態は、常温(20℃±15℃)において液状であれば特に限定されず、例えば、液体、ゲル状、ゼリー状、スラリー状等を挙げることができる。
本発明の液体飲料組成物は、成分(A)として非重合体カテキン類を含有する。ここで、本明細書において「(A)非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン及びエピガロカテキン等の非ガレート体と、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のガレート体を併せての総称である。本発明においては、上記8種の非重合体カテキン類のうち少なくとも1種を含有すればよい。
成分(A)は、飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、非重合体カテキン類を含有する植物から抽出したものでもよい。
本発明の液体飲料組成物中の成分(A)の含有量は0.01〜0.2質量%であるが、非重合体カテキン類の強化、生理効果の観点から、0.012質量%以上が好ましく、0.015質量%以上がより好ましく、0.018質量%以上が更に好ましく、0.02質量%以上が殊更に好ましく、また渋味抑制の観点から、0.18質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましく、0.12質量%以下が更に好ましく、0.08質量%以下が殊更に好ましい。成分(A)の含有量の範囲としては、本発明の液体飲料組成物中に、好ましくは0.012〜0.18質量%であり、より好ましくは0.015〜0.15質量%であり、更に好ましくは0.018〜0.12質量%であり、殊更に好ましくは0.02〜0.08質量%である。なお、成分(A)の含有量は、上記8種の非重合体カテキン類の合計量に基づいて定義される。また、成分(A)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、液体クロマトグラフィで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明の液体飲料組成物は、成分(B)としてデキストリンを含有する。成分(B)は、各種の糖がグリコシド結合によって連結した化合物であり、グリコシド結合は、鎖状に結合していても、環状に結合していても、これらの混合物であっても構わない。中でも、シネオールによる異味抑制の観点から、デキストリン中の環状デキストリンの割合は、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.01質量%以下がより更に好ましく、鎖状デキストリンのみであることが殊更に好ましい。なお、糖の結合方式としては、1,4−結合、α−1,6結合、β−1,2結合、β−1,3結合、β−1,4結合、β−1,6結合等が挙げられ、単一の結合方式のみでも、2種以上の結合方式でも構わない。
成分(B)は、でん粉を低分子化したものが好ましく、低分子化する方法としては、例えば、でん粉を酸又は酵素で分解する方法、でん粉をばい焼する方法等を挙げることができる。成分(B)は、低分子化の度合いによってグレード分けされており、その指標にデキストロース当量(DE)が用いられる。ここで、「デキストロース当量(DE)」とは、デキストロース(ブドウ糖)の還元力を「100」とした場合の相対的な尺度であり、「0」に近いほどデンプンに近い特性を示し、「100」に近づくほどデンプンの加水分解が進み平均分子量が小さくなり、ブドウ糖に似た特性となる。本明細書における「デキストロース当量(DE)」は、LANE−EYNON法により測定するものとする。
本発明で使用する成分(B)は、DE値が、異味抑制の観点から、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、25以下が更に好ましく、20以下がより更に好ましく、16以下が殊更に好ましく、そして2以上が好ましく、4以上がより好ましく、8以上が更に好ましく、10以上が殊更に好ましい。かかるDE値の範囲としては、好ましくは2〜40であり、より好ましくは2〜30であり、更に好ましくは2〜25であり、更に好ましくは4〜20であり、より更に好ましくは8〜16であり、殊更に好ましくは10〜16である。
本発明の液体飲料組成物中の成分(B)の含有量は0.1〜10質量%であるが、風味の観点から、0.15質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましく、0.35質量%以上がより更に好ましく、0.4質量%以上が殊更に好ましく、また異味抑制の観点から、7質量%が好ましく、5質量%以下がより好ましく、4質量%以下が更に好ましく、2.5質量%以下がより更に好ましく、2質量%以下が殊更に好ましい。かかる成分(B)の含有量の範囲としては、好ましくは0.1〜7質量%であり、より好ましくは0.15〜5質量%であり、更に好ましくは0.2〜4質量%であり、更に好ましくは0.3〜2.5質量%であり、より更に好ましくは0.35〜2質量%であり、殊更に好ましくは0.4〜2質量%である。なお、成分(B)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明の液体飲料組成物は、成分(C)としてシネオールを含有する。ここで、本明細書に係る「シネオール」は、1,8−シネオールとも呼ばれ、IUPAC系統名は1,3,3−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタンである。成分(C)は、原料に由来するものでも、新たに加えられたものでもよい。また、成分(C)は、飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、シネオールを含有する植物の抽出物又は精油でもよい。
本発明の液体飲料組成物中の成分(C)の含有量は、異味抑制の観点から、0.1質量ppb以上が好ましく、0.3質量ppb以上がより好ましく、0.5質量ppb以上が更に好ましく、0.7質量ppb以上がより更に好ましく、0.9質量ppb以上がより更に好ましく、1.5質量ppb以上が殊更に好ましく、またシネオール臭の観点から、700質量ppb以下が好ましく、500質量ppb以下がより好ましく、250質量ppb以下が更に好ましく、150質量ppb以下が更に好ましく、80質量ppb以下が更に好ましく、50質量ppb以下が更に好ましく、15質量ppb以下がより更に好ましく、10質量ppb以下が殊更に好ましい。成分(C)の含有量の範囲としては、本発明の液体飲料組成物中に、好ましくは0.1〜700質量ppbであり、より好ましくは0.3〜500質量ppbであり、更に好ましくは0.5〜250質量ppbであり、更に好ましくは0.5〜150質量ppbであり、更に好ましくは0.7〜80質量ppbであり、更に好ましくは0.9〜80質量ppbであり、更に好ましくは0.9〜50質量ppbであり、より更に好ましくは0.9〜15質量ppbであり、殊更に好ましくは1.5〜10質量ppbである。なお、成分(C)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、GC/MS法で分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明の液体飲料組成物は、成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]が5×10-8以上1×10-4以下であるが、異味抑制の観点から、8×10-8以上が好ましく、1.2×10-7以上がより好ましく、1.5×10-7以上が更に好ましく、1.8×10-7以上が殊更に好ましく、またシネオール臭の観点から、5×10-5以下が好ましく、1×10-5以下がより好ましく、5×10-6以下が更に好ましく、1.5×10-6以下が更に好ましく、1×10-6以下がより更に好ましく、8×10-7以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(C)/(B)]の範囲としては、好ましくは8×10-8以上5×10-5以下であり、より好ましくは1.2×10-7以上5×10-5以下であり、更に好ましくは1.2×10-7以上1×10-5以下であり、更に好ましくは1.5×10-7以上5×10-6以下であり、更に好ましくは1.5×10-7以上1.5×10-6以下であり、より更に好ましくは1.8×10-7以上1×10-6以下であり、殊更に好ましくは1.8×10-7以上8×10-7以下である。なお、質量比[(C)/(B)]の算出は、成分(B)及び成分(C)の含有量について同一の単位に揃えて行うものとする。
本発明の液体飲料組成物は、成分(D)としてロイシンを含有することができる。ここで、本明細書に係る「ロイシン」は、4−メチル−2−アミノペンタン酸であり、L体でも、D体でもよく、これらの混合物であっても構わない。中でも、L−ロイシンが好ましい。L−ロイシンは、苦味を有することが知られているが、本発明者らは、微量のL−ロイシンを含有させることにより、意外なことに、非重合体カテキン類とデキストリンによる異味をより一層抑制できることを見出した。なお、成分(D)は、原料に由来するものでも、新たに加えられたものでもよい。また、成分(D)は、飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されない。
本発明の液体飲料組成物中の成分(D)の含有量は、異味抑制の観点から、0.2質量ppm以上が好ましく、0.5質量ppm以上がより好ましく、0.8質量ppm以上が更に好ましく、1質量ppm以上が殊更に好ましく、また風味の観点から、100質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、40質量ppm以下が更に好ましく、30質量ppm以下が殊更に好ましい。かかる成分(D)の含有量の範囲としては、本発明の液体飲料組成物中に、好ましくは0.2〜100質量ppmであり、より好ましくは0.5〜50質量ppmであり、更に好ましくは0.8〜40質量ppmであり、殊更に好ましくは1〜30質量ppmである。なお、成分(D)の含有量は、通常知られている分析法のうち測定試料の状況に適した分析法、例えば、液体クロマトグラフィにより測定することができる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
本発明の液体飲料組成物は、所望により、甘味料、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、pH調整剤、酸化防止剤、香料(シネオールを除く)、ミネラル、ビタミン、pH調整剤、エステル、乳化剤、保存料、調味料、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、希釈剤、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
本発明の液体飲料組成物は、原料茶葉以外の植物原料、例えば、果汁エキス、果実片、果実粉末、野菜エキス、野菜片、野菜粉末、花蜜エキス等を含有することができる。
中でも、原料茶葉以外の植物原料の使用量は、原料茶葉の総量に対して、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、殊更に好ましくは1質量%以下とすることが本発明の効果を享受しやすい点で好ましい。
本発明の液体飲料組成物のpHは、風味の観点から、3以上が好ましく、3.5以上がより好ましく、4以上が更に好ましく、4.5以上がより更に好ましく、5以上が殊更に好ましく、そして7以下が好ましく、6.8以下がより好ましく、6.6以下が更に好ましく、6.4以下が殊更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3.5〜6.8であり、更に好ましくは4〜6.6であり、より更に好ましくは4.5〜6.6であり.殊更に好ましくは5〜6.4である。なお、pHは、20℃に温度調整しpHメータにより測定するものとする。
本発明の液体飲料組成物は、茶飲料組成物でも、非茶飲料組成物であっても構わないが、本発明の効果を享受しやすい点から、茶飲料組成物であることが好ましい。ここで、本明細書において「茶飲料組成物」とは、Camellia属の茶葉を原料茶葉として含むものをいう。Camellia属の茶葉としては、例えば、C.sinensis.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.sinensis.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶葉(Camellia sinensis)が挙げられ、その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に分類することができる。Camellia属の茶葉は、1種又は2種以上を使用することができる。なお、茶葉の茶品種及び採取時期は特に限定されず、また茶葉は火入れ加工が施されていてもよい。不発酵茶としては、例えば、煎茶、深蒸し煎茶、焙じ茶、番茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶が挙げられる。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が挙げられる。更に、発酵茶としては、例えば、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が挙げられる。
また、茶飲料組成物は、原料茶葉としてCamellia属の茶葉を使用していれば、Camellia属の茶葉以外の茶葉や、穀物を茶原料として1種又は2種以上使用することができる。穀物としては、例えば、大麦、小麦、ハト麦、ライ麦、燕麦、裸麦等の麦;玄米等の米;大豆、黒大豆、ソラマメ、インゲン豆、小豆、エビスクサ、ササゲ、ラッカセイ、エンドウ、リョクトウ等の豆;ソバ、トウモロコシ、白ゴマ、黒ゴマ、粟、稗、黍、キヌワ等の雑穀を挙げることができる。また、Camellia属以外の茶葉としては、例えば、イチョウの葉、柿の葉、ビワの葉、桑の葉、クコの葉、杜仲の葉、小松菜、ルイボス、クマザサ、ドクダミ、アマチャヅル、スイカズラ、ツキミソウ、カキドオシ、カワラケツメイ、ギムネマ・シルベスタ、黄杞茶(クルミ科)、甜茶(バラ科)、キダチアロエ等が挙げられる。更に、カモミール、ハイビスカス、ペパーミント、レモングラス、レモンピール、レモンバーム、ローズヒップ、ローズマリー等のハーブも用いることができる。
中でも、本発明の効果を享受しやすい点から、原料茶葉として不発酵茶葉又は半発酵茶葉を使用したものが好ましく、その使用量は原料茶葉の総量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、殊更に好ましくは99質量%以上である。とりわけ、半発酵茶葉の使用量が原料茶葉の総量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、殊更に好ましくは99質量%以上であると、本発明の効果を更に享受しやすい。なお、抽出方法としては、例えば、ニーダー抽出、攪拌抽出(バッチ抽出)、向流抽出(ドリップ抽出)、カラム抽出等の公知の方法を採用することができる。また、抽出条件は特に限定されず、抽出方法により適宜選択することができる。
また、非茶系飲料組成物としては、例えば、炭酸飲料、果汁ジュース、野菜ジュース、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、エンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、ニアウォーター、コーヒー飲料、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の非アルコール飲料;ビール、ワイン、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類等のアルコール飲料が挙げられる。
本発明の液体飲料組成物は、容器詰液体飲料組成物とすると本発明の効果を享受しやすく好ましい。容器としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器を挙げることができる。
また、本発明の液体飲料組成物は、加熱殺菌済とすると本発明の効果を享受しやすく好ましい。加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されるものではない。例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。また、容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、金属缶のように、飲料組成物を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌できる場合にあってはレトルト殺菌を採用することができる。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、飲料組成物をあらかじめ上記と同等の殺菌条件で加熱殺菌し、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、ホットパック充填等を採用することができる。
本発明の液体飲料組成物は適宜の方法により製造することができるが、例えば、成分(A)、(B)及び(C)、必要により他の成分を配合し、成分(A)及び(B)の各含有量、成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]を調整して製造することができる。
(インスタント飲料組成物)
本明細書において「インスタント飲料組成物」とは、液体にて希釈溶解して飲用に供する還元食品を意味する。
インスタント飲料組成物の形態は、固形でも濃縮液状でもよく、特に限定されない。例えば、固形としては、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状等を挙げることができる。濃縮液状としては、濃縮液、ゲル状、ゼリー状、スラリー状等を挙げることができる。中でも、ハンドリング性の観点から、粉末状が好ましい。
また、本発明のインスタント飲料組成物が固形である場合、インスタント飲料組成物の固形分量は、防腐・防菌やハンドリングの観点から、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上、更に好ましくは94質量%以上、殊更に好ましくは95質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であっても構わない。ここで、本明細書において「固形分量」とは、固形インスタント飲料組成物を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。
希釈に使用する液体は、所定の希釈倍率にしたがって還元飲料を調製できれば特に限定されず、例えば、水、炭酸水、牛乳、豆乳等が挙げられ、液体の温度は問わない。希釈倍率は、所定の用法にしたがえばよいが、インスタント飲料組成物の形態が固形の場合は通常質量換算にて20〜600倍、好ましくは30〜500倍、更に好ましくは50〜250倍、殊更に好ましくは100〜200倍であり、インスタント飲料組成物の形態が濃縮液状の場合は通常質量換算にて1.5〜100倍、好ましくは1.5〜50倍、更に好ましくは1.8〜30倍、殊更に好ましくは2〜10倍である。
本発明のインスタント飲料組成物は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有するものであって、成分(A)の濃度を0.03質量%となるように水で溶解したときに、前記不等式(1)に係るX、即ち成分(B)の含有量が0.1質量%以上10質量%以下となるものである。風味の観点から、前記不等式(1)に係るXは、成分(A)の濃度を0.03質量%となるように水で溶解したときに、0.15質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましく、0.35質量%以上がより更に好ましく、0.4質量%以上が殊更に好ましく、また異味抑制の観点から、7質量%が好ましく、5質量%以下がより好ましく、4質量%以下が更に好ましく、2.5質量%以下がより更に好ましく、2質量%以下が殊更に好ましい。かかるXの範囲としては、好ましくは0.1質量%以上7質量%以下であり、より好ましくは0.15質量%以上5質量%以下であり、更に好ましくは0.2質量%以上4質量%以下であり、更に好ましくは0.3質量%以上2.5質量%以下であり、より更に好ましくは0.35質量%以上2質量%以下であり、殊更に好ましくは0.4質量%以上2質量%以下である。
また、本発明のインスタント飲料組成物は、成分(A)の濃度を0.03質量%となるように水で溶解したときに、前記不等式(2)に係るY、即ち成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]が5×10-8以上1×10-4以下となるものである。異味抑制の観点から、前記不等式(2)に係るYは、8×10-8以上が好ましく、1.2×10-7以上がより好ましく、1.5×10-7以上が更に好ましく、1.8×10-7以上が殊更に好ましく、またシネオール臭の観点から、5×10-5以下が好ましく、1×10-5以下がより好ましく、5×10-6以下が更に好ましく、1.5×10-6以下が更に好ましく、1×10-6以下がより更に好ましく、8×10-7以下が殊更に好ましい。かかるYの範囲としては、8×10-8以上5×10-5以下であり、より好ましくは1.2×10-7以上5×10-5以下であり、更に好ましくは1.2×10-7以上1×10-5以下であり、更に好ましくは1.5×10-7以上5×10-6以下であり、更に好ましくは1.5×10-7以上1.5×10-6以下であり、より更に好ましくは1.8×10-7以上1×10-6以下であり、殊更に好ましくは1.8×10-7以上8×10-7以下である。なお、質量比[(C)/(B)]の算出は、成分(B)及び成分(C)の含有量について同一の単位に揃えて行うものとする。
本発明のインスタント飲料組成物は、成分(A)の濃度を0.03質量%となるように水で溶解したときに、成分(C)の含有量が、異味抑制の観点から、0.1質量ppb以上が好ましく、0.3質量ppb以上がより好ましく、0.5質量ppb以上が更に好ましく、0.7質量ppb以上が殊更に好ましく、0.9質量ppb以上が殊更に好ましく、1.5質量ppb以上が殊更に好ましく、またシネオール臭の観点から、700質量ppb以下が好ましく、500質量ppb以下がより好ましく、250質量ppb以下が更に好ましく、150質量ppb以下が更に好ましく、80質量ppb以下が更に好ましく、50質量ppb以下がより更に好ましく、15質量ppb以下が殊更に好ましく、10質量ppb以下が殊更に好ましい。かかる成分(C)の含有量の範囲としては、好ましくは0.1質量ppb以上700質量ppb以下であり、より好ましくは0.3質量ppb以上500質量ppb以下であり、更に好ましくは0.5質量ppb以上250質量ppb以下であり、更に好ましくは0.5質量ppb以上150質量ppb以下であり、より更に好ましくは0.7質量ppb以上80質量ppb以下であり、より更に好ましくは0.9質量ppb以上80質量ppb以下であり、より更に好ましくは0.9質量ppb以上50質量ppb以下であり、殊更に好ましくは0.9質量ppb以上15質量ppb以下であり、殊更に好ましくは1.5質量ppb以上10質量ppb以下である。
本発明のインスタント飲料組成物は、成分(D)としてロイシンを含有することができる。本発明のインスタント飲料組成物は、成分(A)の濃度を0.03質量%となるように水で溶解したときに、成分(D)の含有量が、異味抑制の観点から、0.2質量ppm以上が好ましく、0.5質量ppm以上がより好ましく、0.8質量ppm以上が更に好ましく、1質量ppm以上が殊更に好ましく、また風味の観点から、100質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、40質量ppm以下が更に好ましく、30質量ppm以下が殊更に好ましい。かかる成分(D)の含有量の範囲としては、好ましくは0.2質量ppm以上100質量ppm以下であり、より好ましくは0.5質量ppm以上50質量ppm以下であり、更に好ましくは0.8質量ppm以上40質量ppm以下であり、殊更に好ましくは1質量ppm以上30質量ppm以下である。
なお、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の具体的な態様、並びに好適な態様については、前述の液体飲料組成物において説明したとおりである。
本発明のインスタント飲料組成物は、所望により、甘味料、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、pH調整剤、酸化防止剤、香料(シネオールを除く)、ミネラル、ビタミン、pH調整剤、エステル、乳化剤、保存料、調味料、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、品質安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増量剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
本発明のインスタント飲料組成物は、原料茶葉以外の植物原料、例えば、果汁エキス、果実片、果実粉末、野菜エキス、野菜片、野菜粉末、花蜜エキス等を含有することができるが、原料茶葉以外の植物原料の使用量は、原料茶葉の総量に対して、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、殊更に好ましくは1質量%以下とすることが本発明の効果を享受しやすい点で好ましい。
本発明のインスタント飲料組成物は、成分(A)の濃度が0.03質量%となるように水で溶解したときのpHが、風味の観点から、3以上が好ましく、3.5以上がより好ましく、4以上が更に好ましく、4.5以上がより更に好ましく、5以上が殊更に好ましく、そして7以下が好ましく、6.8以下がより好ましく、6.6以下が更に好ましく、6.4以下が殊更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは3以上7以下であり、より好ましくは3.5以上6.8以下であり、更に好ましくは4以上6.6以下であり、より更に好ましくは4.5以上6.6以下であり.殊更に好ましくは5以上6.4以下である。
本発明のインスタント飲料組成物は、インスタント茶飲料組成物でも、インスタント非茶飲料組成物であっても構わないが、本発明の効果を享受しやすい点から、インスタント茶飲料組成物が好ましく、インスタント不発酵茶飲料組成物又はインスタント半発酵茶飲料組成物が更に好ましい。また、インスタント茶飲料組成物は、原料茶葉としてCamellia属の茶葉を使用していれば、Camellia属の茶葉以外の茶葉や、穀物を原料茶葉として1種又は2種以上使用することができる。Camellia属の茶葉、Camellia属の茶葉以外の茶葉の具体的構成は、前述の液体飲料組成物において説明したとおりである。
本発明のインスタント飲料組成物は適宜の方法により製造することが可能であるが、例えば、成分(A)、(B)及び(C)、必要により他の成分を、成分(A)の濃度を0.03質量%となるように水で溶解したときに、前記不等式(1)及び(2)を満たすように混合して製造することができる。成分(A)、(B)及び(C)の混合順序は特に限定されず、任意の順序で添加しても、3者を同時に添加してもよい。混合方法としては、例えばインスタント飲料組成物が固体の場合、撹拌、震盪等の適宜の方法を採用することができるが、混合装置を使用しても構わない。混合装置の混合方式は、容器回転型でも、容器固定型でもよい。容器回転型として、例えば、水平円筒型、V型、ダブルコーン型、立方体型等を採用することができる。また、容器固定型として、例えば、リボン型、スクリュー型、円錐形スクリュー型、パドル型、流動層型、フィリップスブレンダ−等を採用することができる。また、公知の造粒法により造粒物としてもよい。造粒方法としては、例えば、噴霧造粒、流動層造粒、圧縮造粒、転動造粒、撹拌造粒、押出造粒、粉末被覆造粒等が挙げられる。なお、造粒条件は、造粒方法により適宜選択することができる。
また、本発明のインスタント飲料組成物は、包装体に充填することができる。包装体としては、例えば、ビン、缶、箱型容器、スティック型包装体、ピロー型包装体、カップ1杯分毎に小分け包装したポーションタイプ等を挙げることができる。なお、本発明の粉末飲料を包装体に充填する際には、市販の充填機を使用してもよい。
1.非重合体カテキン類の分析
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフィ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラムL−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度40℃にてグラジエント法により分析した。非重合体カテキン類の標準品として、栗田工業製のものを使用し、検量線法で定量した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。なお、グラジエントの条件は、以下のとおりである。
濃度勾配条件
時間(分) A液濃度(体積%) B液濃度(体積%)
0 97% 3%
5 97% 3%
37 80% 20%
43 80% 20%
43.5 0% 100%
48.5 0% 100%
49 97% 3%
60 97% 3%
2.デキストリンの分析
(1)定量法
試料、及び各濃度の標準溶液1.5mLに、1N−NaOH水溶液を250μLと0.5MのPMP(3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン)−メタノール溶液を500μL加え、70℃で30分加熱する。得られた溶液に対し、1N−HCl水溶液を250μLにて中和し、5mLのクロロホルムを加え分配し、水層を測定試料とする。上記操作により得られた測定試料について、高速液体クロマトグラフィ質量分析を用い、下記条件にて測定する。なお、各濃度の標準溶液は、Grain Processing Corp.(US)製のMALTRIN MO40を標準物質として、0.8質量%、1.0質量%、1.2質量%及び1.4質量%にそれぞれ濃度調整した水溶液を用いる。
分析条件
・HPLC装置:型式ACQUITY UPLC、Waters製
・MS装置 :型式SYNAPT G2−S HDMS型、Waters製
・イオン化 :ESI
・質量範囲 :m/z 100−2500
・カラム :型式Unison UK−C18 UP(2.0×100mm,3μm),インタクト社製
・移動相 :E液:ギ酸0.05%水溶液、F液:アセトニトリル(%B=15→90)
・流量 :0.6mL/min
・注入量 :1μL
(2)デキストロース当量
(I)分析は、デキストリンに含まれているぶどう糖、麦芽糖などの還元糖分をぶどう糖として定量する場合に適用し、次の手順にしたがって行う。
・水分の定量
・レイン・エイノン法による還元糖分の定量
・ぶどう糖として計算した還元糖の含有率(DE値、%)の計算
(II)試料の調製及び力価の標定
(II-A)試料の調製
(II-1)標準転化糖溶液
しょ糖(試薬)4.75gを正確に量り取り、90mLの水を使用して500mL容メスフラスコに移し入れる。これに塩酸(比重1.18)5mLを加え、20〜30℃で3日間放置した後、水を加えて定容し、冷暗所に保存する。その50mLを200mL容メスフラスコにとり、フェノールフタレインを指示薬として1mol/L水酸化ナトリウム溶液で中和した後、水を加えて定容する。これを転化糖溶液としてフェーリング溶液の力価の標定に用いる。
(II-2)メチレンブルー溶液
1%メチレンブルー1gを水に溶かして100mLとする。
(II-3)フェーリング溶液
A液:硫酸銅(CuSO4・5H2O)34.639gを水に溶かして500mLとし、2日間放置後ろ過する。
B液:酒石酸カリウムナトリウム(KNaC4H4O6・4H2O)173gと水酸化ナトリウム50gを水に溶かして500mLとし、これを2日間放置後ろ過する。
(II-B)フェーリング溶液の力価の標定
フェーリング液A液5.0mL及びB液5mLを200mL容三角フラスコにとり、50mL容ビュレットを用いて標準転化糖溶液19.5mLを加える。電熱器上で2分間沸騰させた後、メチレンブルー溶液4滴を加え、沸騰しながら標準転化糖溶液を滴下し、青色が消失したところを終点とする。滴定は沸騰し始めてから3分以内に終了する。この滴定を3回行い、平均値を求める。但し、3回の平均値を滴定値とするが、各滴定値の差は0.1mL以内とする。また、力価の小数点以下第4位を四捨五入し、1±0.02の範囲内に収める。
Figure 0006745259
〔式中、Aは、消費した標準転化糖溶液の量(mL)を示す。〕
(III)試料の調製
分析試料は、試料の性状に応じて、次により調製する。
(III-1)液体試料
液体中に結晶又は塊状物が析出している場合には、密閉容器に入れ、60〜70℃の水浴に浸漬して溶解し、よく振り混合した後、室温に冷却する。
(III-2)固体試料
粉末又は結晶状とし、塊がある場合には砕き、よく混合する。
(IV)水分の定量
水分の定量は、試料の性状により、次の方法で行う。
(IV-1)液体試料
乾燥助剤として、予め秤量瓶に海砂を約15g取り、ガラス棒とともに105℃の乾燥機中で乾燥して恒量を求める。次に、前記(III)で調製した均一試料を固形分として約2gに相当する量を正確に量り取り、必要があれば少量の水を全体が浸るまで加え、時々ガラス棒でかき混ぜながら水浴上で加熱して大部分の水を揮散させる。更に、105℃の乾燥機内で時々かき混ぜ、ほとんど乾燥するまで乾かした後、真空乾燥機に移し、70℃で4時間乾燥する。デシケータ中で室温まで放冷した後、重量を量る。1時間ずつ真空乾燥を繰り返して恒量を求める。減量が、2mg以下の変化になった時を恒量に達したとみなす。
(IV-2)固体試料
前記(III)で調製した均一試料約2gを予め恒量にした秤量瓶に正確に量り取り、真空乾燥機で70℃、4時間乾燥する。次に、デシケータ中で室温まで放冷した後、重量を量る。更に、1時間ずつ真空乾燥を繰り返して、減量が2mg以下の変化になった時を恒量に達したとみなす。
(IV-3)水分の計算
試料中の水分は、次式により算出する。数値は小数点以下第2位を四捨五入する。
Figure 0006745259
〔式中、W0は試料の採取量(g)を示し、W1は乾燥後の試料の重量(g)を示す。〕
(V)DE値の定量
(V-1)検液の調製
前記(III)で調製した均一試料約10gを正確に量り取り、水に溶かして500mL容メスフラスコに移し入れ、水を加えて容定し検液とする。
(V-2)滴定操作
フェーリング溶液A液5.0mL及びB液5mLを200mL容三角フラスコに採り、50mL容ビュレットを用いて、(V-1)で調製した検液15mLを加え、(II-B)の要領にしたがって滴定し、これを予備滴定とする。更に同様にして、予備滴定で得た滴定数より約1mL少ない量の検液を加え、(II-B)の要領にしたがって滴定する。ここで得た検液の消費量にフェーリング溶液の力価を乗じ、この数値から表1に示すレイン・エイノン糖量表(ぶどう糖)を用いて還元糖濃度(DE値,mg/100mL)をぶどう糖として求める。
(V-3)DE値の計算
試料の乾燥状態におけるぶどう糖として計算したDE値は、次式により算出する。数値は、小数点以下第2位を四捨五入する。
Figure 0006745259
〔式中、
Sは、表1に示すレイン・エイノン糖量表(ぶどう糖)を用いて求めた検液100mL中のぶどう糖量(mg)を示し、
Mは、(IV)で秤量した試料の水分(%)を示し、
Sは、(V-1)で秤量した試料の採取量(g)を示す。〕
Figure 0006745259
3.シネオールの分析
試料10mLをGC用ヘッドスペースバイアル(20mL)に採取し、塩化ナトリウム3gを添加した。バイアルに攪拌子を入れて密栓し、スターラーで30分間撹拌しながら、SPMEファイバー(シグマアルドリッチ社製、50/30μm、DVB/CAR/PDMS)に含有成分を吸着させる。吸着後、SPMEファイバーを注入口で加熱脱着し、GC/MS測定を行った。分析機器は、Agilent 6890N/5975C(アジレント・テクノロジー社製)を使用した。
分析条件は次のとおりである。
・カラム :VF―WAX(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
・カラム温度 :35℃(4min)→3℃/min→130℃→5℃/min→240℃(15min)
・カラム圧力 :定流量モード(31kPa)
・カラム流量 :l.5mL/min(He)
・注入口温度 :240℃
・注入方式 :スプリットレス
・検出器 :MS
・イオン源温度:240℃
・イオン化方法:EI(70eV)
購入試薬をエタノールで溶解し、段階希釈して標品を調製した。所定濃度の標品を試料に添加し、試料単体と同様にSPMEファイバーに吸着させ、GC/MS測定を行った。なお、シネオールの定量にはm/z154のイオンのピーク面積を用いた。
4.ロイシンの分析
ロイシンの分析は、次の方法にしたがい、アミノ酸自動分析計に供することにより行う。
<アミノ酸自動分析計操作条件>
・機種 :L−8800形高速アミノ酸分析計〔日立ハイテクノロジーズ社製〕
・カラム :日立カスタムイオン交換樹脂、φ4.6mm×60mm〔日立ハイテクノロジーズ社製〕
・移動相 :MCI BUFFER L−8500−PF(PF−1〜PF−4)〔三菱化学社製〕
・反応液 :ニンヒドリン試液〔和光純薬工業社製〕
・流量 :移動相0.35mL/min、反応液0.30mL/min
・測定波長:570nm
5.pH測定
検体100mLを300mLのビーカーに量り取り、pHメータ(HORIBA コンパクトpHメータ、堀場製作所製)を用いて、20℃に温度調整をして測定した。
製造例1
烏龍茶抽出物の製造
半発酵茶葉(武夷水仙 3級)6gを90℃の熱水400gに投入し、3分間抽出を行った。その後、液温5℃まで冷却し、凍結乾燥させて烏龍茶抽出物とした。得られた烏龍茶抽出物は、非重合体カテキン類の含有量が3.5質量%であり、シネオール及びロイシンは検出されなかった。
実施例1〜6、比較例1〜3及び参考例1
表2に示す各成分を配合してpH5.5の液体飲料組成物を調製し、得られた各液体飲料組成物について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は以下の手順で行った。その結果を表2に示す。
官能評価1
各液体飲料組成物の「異味の強度」について、専門パネル4名が飲用試験を行った。飲用試験は、各パネリストが「異味の強さの評価基準」を下記の評価基準とすることに合意したうえで、各液体飲料組成物について実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。
異味の強さの評価基準
比較例1の液体飲料組成物の異味の強さの評点を「1」とし、実施例1の液体飲料組成物の異味の強さの評点を「3」とし、参考例1の液体飲料組成物の異味の強さの評点を「5」として評価する。具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:異味がない(参考例1と同等である)
4:異味をほとんど感じない(参考例1に比べ異味がややあるが、実施例1に比べて異味がない)
3:異味をやや感じる(実施例1と同等である)
2:異味を感じる(実施例1に比べて異味がややあるが、比較例1に比べて異味がない)
1:異味を強く感じる(比較例1と同等である)
Figure 0006745259
実施例7及び比較例4
表3に示す各成分を配合して液体飲料組成物を調製し、得られた各液体飲料組成物について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、専門パネル4名が「異味の強さの評価基準」を下記の評価基準とすることに合意したうえで、各液体飲料組成物について実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。その結果を、参考例1の結果とともに表3に示す。
異味の強さの評価基準
比較例4の液体飲料組成物の異味の強さの評点を「2」とし、参考例1の液体飲料組成物の異味の強さの評点を「5」として評価する。具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:異味がない(参考例1と同等である)
4:異味をほとんど感じない(参考例1に比べて異味がややあるが、ほとんど感じない)
3:異味をやや感じる(参考例1に比べて異味が明らかにあるが、比較例4に比べて異味がない)
2:異味を感じる(比較例4と同等である)
1:異味を強く感じる(比較例4に比べて異味が強い)
Figure 0006745259
実施例8及び比較例5
表4に示す各成分を配合して液体飲料組成物を調製し、得られた各液体飲料組成物について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、専門パネル4名が「異味の強さの評価基準」を下記の評価基準とすることに合意したうえで、各液体飲料組成物について実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。その結果を、参考例1の結果とともに表4に示す。
異味の強さの評価基準
比較例5の液体飲料組成物の異味の強さの評点を「1」とし、参考例1の液体飲料組成物の異味の強さの評点を「5」として評価する。具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:異味がない(参考例1と同等である)
4:異味をほとんど感じない
3:異味をやや感じる
2:異味を感じる
1:異味を強く感じる(比較例5と同等である)
Figure 0006745259
実施例9〜11及び比較例6〜8
表5に示す各成分を配合して液体飲料組成物を調製し、得られた各液体飲料組成物について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、専門パネル4名が「異味の強度の評価基準」を官能評価1と同一基準で行うことに合意したうえで、実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。その結果を、実施例2、比較例1及び参考例1の結果とともに表5に示す。
Figure 0006745259
実施例12〜14
表6に示す各成分を配合して液体飲料組成物を調製し、得られた各液体飲料組成物について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、専門パネル4名が「異味の強度の評価基準」を官能評価1と同一基準で行うことに合意したうえで、実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。その結果を、実施例2、比較例1及び参考例1の結果とともに表6に示す。
Figure 0006745259
実施例15
表7に示す各成分を配合して液体飲料組成物を調製し、得られた各液体飲料組成物について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は、専門パネル4名が「異味の強度の評価基準」を官能評価1と同一基準で行うことに合意したうえで、実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。その結果を、実施例2、比較例1及び参考例1の結果とともに表7に示す。
Figure 0006745259
実施例16、17、比較例8及び参考例2
表8に示す各成分を配合してインスタント茶飲料組成物を調製し、得られた各インスタント茶飲料組成物について分析及び官能評価を行った。得られたインスタント粉末茶飲料の固形分量はいずれも96質量%であり、また還元飲料としたときのpHはいずれも5であった。なお、官能評価は以下の手順で行った。その結果を表8に示す。
官能評価2
各インスタント茶飲料組成物1.1gを、80℃の熱水100mLに溶解して還元飲料を調製した後、還元飲料の「異味の強度」について、専門パネル4名が飲用試験を行った。飲用試験では、各パネリストが「異味の強さの評価基準」を下記の評価基準とすることに合意したうえで、各還元飲料について実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。
異味の強さの評価基準
参考例2の還元飲料の異味の強さの評点を「5」とし、比較例8の還元飲料の異味の強さの評点を「1」として評価する。具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:異味がない(参考例2と同等である)
4:異味をほとんど感じない
3:異味をやや感じる
2:異味を感じる
1:異味を強く感じる(比較例8と同等である)
Figure 0006745259
実施例18、19、比較例9及び参考例3
表9に示す各成分を配合して液体飲料組成物を調製し、得られた各液体飲料組成物について分析及び官能評価を行った。なお、官能評価は以下の手順で行った。その結果を表9に示す。
官能評価3
各液体飲料組成物の「異味の強度」について、専門パネル4名が飲用試験を行った。飲用試験では、各パネリストが「異味の強度の評価基準」を下記の評価基準とすることに合意したうえで、各液体飲料組成物について実施した。その後パネリストの評点の平均値を求めた。なお、評点の平均値は、小数点以下第2位を四捨五入するものとする。
異味の強さの評価基準
参考例3の液体飲料組成物の異味の強さの評点を「5」とし、比較例9の液体飲料組成物の異味の強さの評点を「1」として評価を行った。具体的な評価基準は以下のとおりである。
5:異味がない(参考例3と同等である)
4:異味をほとんど感じない
3:異味をやや感じる
2:異味を感じる
1:異味を強く感じる(比較例9と同等である)
Figure 0006745259
表2〜9から、特定量の非重合体カテキン類及びデキストリンを含有する飲料組成物に、シネオールを含有させ、デキストリンとシネオールとの質量比を特定範囲内に制御することで、非重合体カテキン類とデキストリンとによる異味を抑制できることがわかる。また、表6、8及び9から、更に微量のL−ロイシンを含有させると、非重合体カテキン類とデキストリンとによる異味の抑制効果が高められることが分かる。更に、表9から、酸性飲料においても、非重合体カテキン類とデキストリンとによる異味の抑制効果が奏されることがわかる。

Claims (6)

  1. 次の成分(A)、(B)及び(C);
    (A)非重合体カテキン類 0.0150.15質量%
    (B)DE値が2〜30であるデキストリン 0.2質量%、及び
    (C)シネオール 0.3〜500質量ppb
    を含有し、
    成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]が5×10-8以上1×10-4以下であ
    pHが3〜7である、
    液体飲料組成物。
  2. 成分(D)としてロイシンを含有し、該成分(D)の含有量が0.2〜100質量ppmである、請求項1記載の液体飲料組成物。
  3. 液体茶飲料組成物である、請求項1又は2記載の液体飲料組成物。
  4. 次の成分(A)、(B)及び(C);
    (A)非重合体カテキン類
    (B)DE値が2〜30であるデキストリン、及び
    (C)シネオール
    を含有するインスタント飲料組成物であって、
    成分(A)の濃度を0.03質量%となるように水で溶解したときに、
    下記の(1)及び(2);
    0.1 ≦ X ≦ 10(1)
    5×10-8 ≦ Y ≦ 1×10-4(2)
    〔式中、Xは成分(B)の含有量(質量%)を示し、Yは成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]を示す。〕
    の関係を満た
    成分(C)の含有量が0.3〜500質量ppbであり、
    pHが3〜7である、
    インスタント飲料組成物。
  5. 成分(D)としてロイシンを含有し、成分(A)の濃度を0.03質量%となるように水で溶解したときに、該成分(D)の含有量が0.2〜100質量ppmである、請求項4記載のインスタント飲料組成物。
  6. インスタント茶飲料組成物である、請求項4又は5記載のインスタント飲料組成物。
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