JPH1187281A - シリコンウエーハの洗浄方法 - Google Patents

シリコンウエーハの洗浄方法

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JPH1187281A
JPH1187281A JP24252797A JP24252797A JPH1187281A JP H1187281 A JPH1187281 A JP H1187281A JP 24252797 A JP24252797 A JP 24252797A JP 24252797 A JP24252797 A JP 24252797A JP H1187281 A JPH1187281 A JP H1187281A
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wafer
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Teruaki Fukami
輝明 深見
Tsutomu Takaku
勉 高久
Isao Uchiyama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属不純物の電気化学反応を伴った付着が心配
される工程において、従来より存在する洗浄の順番を工
夫することにより、今までに問題であった歪みの発生、
この歪みに伴う酸化膜耐圧の低下が抑えられるようにし
たシリコンウエーハ洗浄方法を提供する。 【解決手段】シリコンウエーハ表面に電気化学的に析出
した金属を除去する第1ステップと、シリコンウエーハ
表面に形成されたSiO2 を除去する第2ステップと、
更にシリコンウエーハ表面の歪みを除去する第3ステッ
プとを有することを特徴とするシリコンウエーハの洗浄
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンウエーハ
(以下、Siウエーハ又は単にウエーハということがあ
る)の洗浄方法に係り、特に研磨(ポリッシング)直後
のシリコンウエーハの洗浄方法に関する。
【従来の技術】
【0002】シリコンウエーハの洗浄方法としてはKe
rnらが提唱したRCA洗浄が、現在でも基本となって
いる。このRCA洗浄は、アンモニア:過酸化水素:水
の容積配合比=1:1〜2:5〜7の洗浄液〔SC−1
洗浄液又はAmmonia-HydrogenPeroxide Mixture (AP
M液)〕に、75〜85℃、10〜20分の洗浄処理
(SC−1 洗浄)で有機物とパーティクルを除去し、1
%フッ酸水溶液〔希釈液、Diluted Hydrofluoric acid
(DHF液)〕に室温で数十秒の洗浄処理(HF洗浄)
で自然酸化膜と共に金属不純物を除去し、最後に塩酸:
過酸化水素:水の容積配合比=1:1〜2:6〜8の洗
浄液〔SC−2洗浄液又はHydrochloric acid-Hydrogen
Peroxide Mixture (HPM液)〕に75〜85℃、1
0〜20分の洗浄処理(SC−2洗浄)でシリコンに付
着した金属を除去しながらクリーンな自然酸化膜を形成
させるという洗浄方法である。
【0003】SC−1洗浄によるパーティクル除去はシ
リコンウエーハがSC−1洗浄液のエッチング作用によ
りパーティクルがエッチオフされることに基づいてい
る。また、SC−2洗浄による金属不純物除去は低p
H、高酸化電位溶液による金属不純物のイオン化によっ
てなされるとしている。この際、SC−2洗浄液にシリ
コンウエーハをエッチングする能力は無いことが一般に
知られている。
【0004】一方、従来の洗浄方法には、先に示したS
C−1+HF+SC−2の他に、デバイス製造工程で用
いられる硫酸と過酸化水素水の混合液〔Sulfuric acid-
Hydrogen Peroxide Mixture (SPM液)〕を組み合わ
せた洗浄法も有る。この洗浄法はSPM(レジスト除
去)+HF(自然酸化膜除去)+SC−1(パーティク
ル除去)+HF(自然酸化膜除去)+SC−2(金属除
去)+HF(自然酸化膜除去)を基本としている。
【0005】半導体デバイスの製造は、大雑把に分け、
デバイスの基板を製造する為のウエーハ製造工程とこの
ウエーハ上に各種パターンを形成するデバイス製造工程
がある。
【0006】SPM洗浄液は酸化性が非常に強い洗浄液
であるため取り扱いに危険を伴う。デバイス製造工程で
はレジストを使用しているためSPM洗浄を行わざるを
得ない。しかしウエーハ製造工程ではSPM洗浄液を使
用しなければ除去できないような有機物を使用していな
い。したがって、ウエーハ製造工程ではSPM洗浄及び
それに続いたHF洗浄を省略した洗浄法を行っている。
【0007】すなわち、一般的に研磨後のウエーハに対
しては、SC−1洗浄が行われ、HF洗浄の有無に差は
あるが、その後SC−2洗浄が施されている。例えば、
図6に示すようなSC−1洗浄52及びSC−2洗浄5
4からなる洗浄方法がおこなわれている。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】ところで、ウエーハ製造工程には自然酸化
膜がない状態のSiウエーハを水中保管することがあ
る。例えば、研磨直後のウエーハが洗浄工程に送られる
までの待ち時間には、研磨剤がウエーハ上に固着するの
を防ぐため、研磨直後のウエーハを水中保管する場合が
ある。この時、水中にシリコンよりもイオン化傾向が小
さい金属が存在するとその金属がウエーハ表面に析出す
る。
【0009】例えば、Cu2+やAg+やPd2+が存在す
ると、これらはSiとの電気化学反応によってウエーハ
表面に析出する。これを模式的に表したのが図7であ
る。シリコンウエーハ1上に、イオン化傾向が小さい金
属が付着し電気化学反応によって金属不純物2を析出す
る。この析出に伴い不純物金属の下にSiO2 の酸化物
3が生成し、その生成に伴いSiO2 とSiとの界面に
歪み4が発生する。
【0010】この歪み4は、従来のウエーハ製造工程で
行われている図6に示すような従来の洗浄方法では除去
することが出来ない。図6の洗浄方法によって洗浄した
シリコンウェーハの洗浄前と洗浄後の状態を図8(a)
(b)として示した。シリコンウエーハ表面に析出した
金属不純物は、SC−1洗浄で除去できる金属、例えば
CuやAgが付着した場合、これらはSC−1洗浄で除
去されるが、その後のSC−2洗浄でSiO2 や歪みを
除去することは不可能である[図8(b)]。
【0011】また、SC−1洗浄とSC−2洗浄の間に
HF洗浄を入れてSiO2 を除去してもSC−2洗浄自
体にはエッチング力がないために歪みが残存する。すな
わち、ウエーハ製造工程で行われている洗浄では、金属
の付着に伴って生じた歪みを除去することが出来ない。
【0012】歪みが残ったウエーハをデバイス製造工程
に供した場合、デバイス工程の洗浄法によっては歪みが
残存したまま酸化膜が形成されることとなる。この場
合、酸化膜の歪みの影響により、酸化膜の特性(酸化膜
耐圧)が劣化し、デバイス不良の発生が増える。つま
り、ウエーハ表面に歪みが存在する場合、この歪みに起
因した酸化膜耐圧不良が発生する。
【0013】通常の水中保管では、十分な純度を有する
純水を使用しているため汚染は皆無である。しかし、設
備等からの不慮の汚染により水中にSiよりもイオン化
傾向の小さな金属のイオンが混入する可能性も考えられ
る。
【0014】特にCu2+が水中にある場合、1ppb以
下の濃度でも歪み起因の酸化膜耐圧不良が発生すること
がある。このように低レベルのCu濃度を常時モニタリ
ングすることは非常に困難である。
【0015】すなわち、従来のウエーハ製造工程におけ
る洗浄方法は金属汚染による酸化膜耐圧劣化に対してマ
ージンが少なく、良質のウエーハを確実に提供すること
ができないことがあった。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した従来
技術の問題点に鑑みなされたもので、特に金属不純物の
電気化学反応を伴った付着が心配される工程において、
従来より存在する洗浄の順番を工夫することにより、今
までに問題であった歪みの発生、この歪みに伴う酸化膜
耐圧の低下が抑えられるようにしたシリコンウエーハの
洗浄方法を提供することを目的とする。
【0017】本発明のシリコンウエーハの洗浄方法の第
1の態様は、シリコンウエーハの表面に電気化学的に析
出した金属を除去する第1ステップと、シリコンウエー
ハの表面に形成されたSiO2 を除去する第2ステップ
と、更にシリコンウエーハの表面の歪みを除去する第3
ステップを有することを特徴とする。
【0018】本発明のシリコンウエーハの洗浄方法の第
2の態様は、シリコンウエーハの表面に電気化学的に析
出した金属をSC−1洗浄で除去した後、シリコンウエ
ーハの表面に形成されたSiO2 をHF洗浄で除去し、
更にSC−1組成を有した洗浄液によりシリコンウエー
ハの表面をエッチングすることを特徴とする。つまり、
第1ステップとしてSC−1洗浄を施した後、第2ステ
ップとしてHF洗浄を施し、さらに第3ステップとして
SC−1洗浄を施す洗浄方法である。
【0019】上記した本発明の第1及び第2の態様の洗
浄方法は、CuやAgの様にSC−1洗浄で除去できる
金属がシリコンウエーハ上に電気化学的に付着している
場合に有効である。
【0020】本発明のシリコンウエーハの洗浄方法の第
3の態様は、シリコンウエーハの表面に電気化学的に析
出した金属をSC−2洗浄で除去した後、シリコンウエ
ーハの表面に形成されたSiO2 をHF洗浄で除去し、
更にSC−1組成を有する洗浄液によりシリコンウエー
ハの表面をエッチングすることを特徴とする。この洗浄
方法は、SC−1洗浄では除去できないがSC−2洗浄
で除去できる金属、例えば、Pdが電気化学的に付着し
ている場合に有効である。
【0021】本発明のシリコンウエーハの洗浄方法の第
4の態様は、シリコンウエーハの表面に電気化学的に析
出した金属をSC−1洗浄及びSC−2洗浄で除去した
後、シリコンウエーハの表面に形成されたSiO2 をH
F洗浄で除去し、更にSC−1組成を有する洗浄液によ
りウエーハ表面をエッチングすることを特徴とする。こ
の洗浄方法においては、研磨スラリー除去のためにSC
−1洗浄を行い、その後、SC−2以降の洗浄を行うも
のであるが、この場合にも同様の効果が得られる。
【0022】本発明の洗浄方法は、シリコンウエーハの
製造工程において、好ましくは、シリコンウエーハの研
磨(ポリッシング)直後実施される。また、本発明の洗
浄方法は、研磨直後のシリコンウエーハを水中保管した
後、実施されるのが好適である。さらに、本発明の洗浄
方法は、研磨直後と同じような状態のシリコンウエー
ハ、即ち表面に自然酸化膜がない状態のシリコンウエー
ハを水中保管した後、実施されるのが好ましい。
【0023】本発明の洗浄方法の各態様はいずれも初段
の洗浄で金属不純物を除去し、つづいて金属不純物の直
下にあるSiO2 を除去、最後にSiO2 直下の歪みを
除去することを目的として構成されている。
【0024】前述したごとく、RCA洗浄で用いられる
SC−1洗浄は、アンモニアと過酸化水素水とをNH4
OH:H2 2 :H2 O=1:1〜2:5〜7の割合で
混合したSC−1 洗浄液を用いて75〜85℃で、10
〜20分間行われる。
【0025】本発明で用いられるSC−1組成を有する
洗浄液としては、上記した従来のSC−1 洗浄を適用す
ることも可能であるが、低い薬液濃度を用い、低温で短
時間の洗浄を行うこともできる。即ち、NH4 OH:H
2 2 :H2 O=1:1〜2:5〜40という広い割合
で混合したSC−1 洗浄液を用い常温〜85℃の温度範
囲で2〜30分間の洗浄処理を行うことができる。SC
−1洗浄液の薬液濃度が低い場合にはヘイズの悪化がな
い上、薬液使用を減らしてコストダウンを図ることがで
きる利点がある。
【0026】RCA洗浄で用いられるHF洗浄は、1%
フッ酸水溶液を用いて室温で数十秒間行われる。
【0027】本発明で用いられるHF洗浄としては、酸
化膜が完全に除去できる条件であればよく、上記した従
来のHF洗浄を適用することも可能である。即ち、0.
5〜6%のフッ酸水溶液を用い常温で10秒〜5分の洗
浄処理を行うことで充分である。
【0028】また、前述したごとく、RCA洗浄で用い
られるSC−2洗浄は、塩酸と過酸化水素水とをHC
l:H2 2 :H2 O=1:1〜2:6〜8の割合で混
合したSC−2洗浄液を用いて75〜85℃で、10〜
20分間行われる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面中、図1〜4に基づいて説明する。
【0030】図1は本発明のシリコンウエーハの洗浄方
法の一例を示すフローチャートである。図2はシリコン
よりイオン化傾向が小さい金属が付着したシリコンウエ
ーハを図1の洗浄方法で洗浄したときのウエーハ表面状
態を模式的に示した説明図である。図3は本発明のシリ
コンウエーハの洗浄方法の他の例を示すフローチャート
である。図4は本発明のシリコンウエーハの洗浄方法の
別の例を示すフローチャートである。
【0031】研磨直後のシリコンウエーハのように自然
酸化膜がない状態のシリコンウエーハを水中保管した場
合、水中にシリコンよりもイオン化傾向が小さい金属が
存在すると、図7に示したようにその金属がウエーハ表
面に析出する。
【0032】本発明のシリコンウエーハの洗浄方法の一
つの態様は、上記したような研磨後のシリコンウエーハ
の表面に電気化学的に析出した金属を除去する第一ステ
ップと、シリコンウエーハ表面に形成されたSiO2
除去する第2ステップと、シリコンウエーハ表面の歪み
を除去する第3ステップとから構成される。
【0033】本発明のシリコンウエーハの洗浄方法の一
例について、更に具体的に言えば、図1に示すごとく、
第1ステップとして第1のSC−1洗浄12、第2ステ
ップとしてHF洗浄14そして第3ステップとして第2
のSC−1洗浄16を用いる工程が好適である。
【0034】SC−1洗浄は、前述のごとく、アンモニ
アと過酸化水素水の洗浄液(SC−1洗浄液)を用いる
洗浄である。シリコンウエーハの表面に電気化学的に析
出した金属のうちでSC−1洗浄液で除去される金属、
例えばCuやAgが第1ステップとして採用される第1
のSC−1 洗浄12によって除去される[ 図2(b)]
【0035】第1のSC−1洗浄12は前述した従来の
SC−1洗浄と同様の条件で行えばよい。
【0036】上記第2ステップとしては、図1に示すご
とく、HF洗浄が好適に用いられる。HF洗浄はフッ酸
水溶液を用いる洗浄をいう。HF洗浄14によってシリ
コンウエーハ表面に形成されたSiO2 が除去される[
図2(c)] 。
【0037】HF洗浄14は常法により、少なくとも酸
化膜が除去される条件で行えばよい。
【0038】上記第3ステップとしては、図1に示すご
とく、第2のSC−1洗浄16としてSC−1洗浄が再
び適用される。この第2のSC−1洗浄16により、金
属不純物がシリコンウエーハ表面に存在しない状態でエ
ッチング力のある洗浄が行われ、SiO2 生成に起因し
たシリコンウエーハ表面の歪みが除去される[ 図2
(d)]。
【0039】第2のSC−1洗浄16は歪を除去できる
条件であればよいが、前述した従来のSC−1洗浄と同
様の条件で行えば充分である。
【0040】一方、従来の洗浄方法によっては、図8
(b)に示したように、シリコンウエーハ表面の歪みは
除去できない。
【0041】本発明のシリコン洗浄方法の他の具体例に
ついていえば、図3に示すごとく、第1ステップとして
SC−2洗浄22、第2ステップとしてHF洗浄24及
び第3ステップとしてSC−1 洗浄26からなる工程を
用いることもできる。
【0042】ここで、SC−2洗浄は、前述のごとく、
塩酸と過酸化水素水の混合液(SC−2洗浄液)を用い
る洗浄である。シリコンウエーハの表面に電気化学的に
析出した金属でSC−1 洗浄液で除去されないがSC−
2洗浄液で除去される金属が付着している場合に第1ス
テップとしてSC−2洗浄22が有効に実施される。
【0043】SC−2洗浄22は前述した従来のSC−
2洗浄と同様の条件で行えばよい。
【0044】上記HF洗浄24は前記したHF洗浄14
と同様にSiO2 を除去する作用を行う。上記SC−1
洗浄26は前記した第2のSC−1 洗浄16と同様にエ
ッチング作用によりシリコンウエーハ表面の歪みを除去
する。HF洗浄24の洗浄条件は前記HF洗浄14と同
様である。また、SC−1洗浄26の洗浄条件は前記S
C−1洗浄16と同様である。
【0045】本発明のシリコン洗浄方法の別の具体例に
ついていえば、図4に示すごとく、第1ステップとして
SC−1 洗浄30及びSC−2洗浄32、第2ステップ
としてHF洗浄34及び第3ステップとしてSC−1 洗
浄36からなる工程を用いることもできる。
【0046】SC−1洗浄30は前述した従来のSC−
1洗浄と同様の条件で行えばよい。SC−2洗浄32も
前述した従来のSC−1洗浄と同様の条件で行えば充分
である。
【0047】なお、上記第1ステップはシリコンウエー
ハの表面に電気化学的に析出した金属を除去するもので
あり、SC−2洗浄32を先に行い、その後SC−1洗
浄30を行うようにしても同様の作用効果が達成される
ことは勿論である。
【0048】HF洗浄34の洗浄条件は前記HF洗浄1
4と同様である。また、SC−1洗浄36の洗浄条件は
前記SC−1洗浄16と同様である。
【0049】この工程において、SC−1 洗浄30は、
研磨スラリー除去のために導入され、このSC−1 洗浄
30の後にSC−2洗浄32、HF洗浄34及びSC−
1 洗浄36が行われる。この場合も同様の効果が達成さ
れる。
【0050】このシリコンウエーハ表面の歪みを除去す
ることにより、その後のデバイス工程で重要な酸化膜耐
圧の劣化が抑制できる。
【0051】有機物の除去及び重金属の除去にはデバイ
ス工程で用いられているSPM洗浄も使用可能である。
しかしこの洗浄はデバイス工程等で使用されるレジスト
の除去が目的であり、直接シリコンウエーハに作用する
ものではない。また取り扱い易さの観点から今回の洗浄
には望ましくない。今回の洗浄対象がデバイスを形成す
る前の状態、すなわちウエーハ製造工程の研磨直後のウ
エーハであることから簡便なSC−1洗浄またはSC−
2洗浄が望ましい。
【0052】本発明の洗浄方法は工程中にシリコンウエ
ーハが金属によって汚染された場合に特に大きな効果を
示すが、汚染以外にも何らかの理由で酸化膜とSi基板
の間に歪みが残っている場合にも、本発明の洗浄方法を
適用することにより酸化膜耐圧等の酸化膜の特性を改善
することができる。
【0053】このように本発明の洗浄方法は金属汚染が
予想される工程を通った後でも、最終的に要求される酸
化膜耐圧等の品質(歩留まり)を下げることのない洗浄
方法である。しかも本発明洗浄方法における個々の洗浄
ステップは従来より知られているものであり、従来の設
備をそのまま利用できる為、手軽に実施できる利点があ
る。
【0054】以上のように、洗浄の組み合わせを工夫し
たことにより、微量の不純物金属がシリコンウエーハに
析出しても、酸化膜耐圧不良を回避できることがわか
り、歩留まりを向上するという効果がある。
【0055】
【実施例】以下に本発明の洗浄方法について実施例をあ
げてさらに具体的に説明する。
【0056】実施例1及び比較例1及び2 チョクラルスキー(CZ)法で製造された鏡面研磨ウエ
ーハでHF洗浄仕上がりのもの(表面に酸化膜がないウ
エーハであり、研磨直後と同様な状態)を1ppbのC
2+水溶液中に浸漬し、30分間放置した。この状態で
シリコンウエーハの表面にはCuが析出し、その直下に
SiO2 が形成される。また、このSiO2 とSiとの
間には歪みが発生する。
【0057】このウエーハを本発明の洗浄方法(実施例
1)と一般的な研磨直後のウエーハの洗浄方法(比較例
1)を用いて洗浄した。
【0058】1.実施例1の洗浄工程 SC−1 NH4 OH:H2 2 :H2O=1:1:5、温度80
℃、時間15分 HF洗浄 1%HF、温度 常温(25℃)、時間60秒 SC−1 NH4 OH:H2 2 :H2 O=1:1:38、温度8
0℃、時間15分 SC−2 HC1:H2 2 :H2 O=1:1:6、温度80℃、
時間15分 IPA乾燥
【0059】ここで:本発明の洗浄方法の第1ステッ
プ、:本発明の洗浄方法の第2ステップ、:本発明
の洗浄方法の第3ステップである。
【0060】2.比較例1の洗浄工程 SC−1 NH4 OH:H2 2 :H2O=1:1:5、温度80
℃、時間15分 HF洗浄 1%HF、温度 常温(25℃)、時間60秒 SC−2 HC1:H2 2 :H2 O=1:1:6、温度80℃、
時間15分 IPA乾燥
【0061】上記した実施例1及び比較例1の洗浄工程
でウエーハを洗浄後、通常の熱酸化処理前の洗浄を行
い、25nmの熱酸化膜を形成した。
【0062】洗浄の効果は酸化膜品質で評価した。具体
的にはCuデコレーション法で行った。Cuデコレーシ
ョン法はNTTの逸見氏らによって考案された酸化膜品
質評価法である。本評価法はCu2+が溶存する液体の中
で、熱酸化膜に電位を印可すると、酸化膜が劣化してい
る部位に電流が流れ、Cu2+がCuとなって析出するこ
とを利用している。すなわち、Cuデコレーション後の
Cu析出物が多いほど酸化膜欠陥が多いことを示す。
【0063】実施例1と比較例1による洗浄を行ったウ
エーハについて、Cuデコレーション法で評価した。使
用したCuデコレーション法の条件は次の通りである。 印可電圧:酸化膜にかかる電界強度で5MV/cm 処理時間:15min 処理薬液:メタノール Cu2+濃度:Cu電極の溶解を利用 評価方法:光学顕微鏡を用い倍率50倍でCu析出個数
を数える。視野をスキャンさせながら全観察面積が1c
2 になるようにする。
【0064】評価の結果を図5に示す。比較例1の従来
の洗浄方法ではCu析出物が数百個あるのに対し、実施
例1の本発明の洗浄法では析出物の数が十個程度であ
る。
【0065】上記の実施例1及び比較例1では、故意に
金属不純物により汚染を行ったものであり、電気化学的
に金属不純物が析出し、不純物金属の下にSiO2 が生
成され、SiO2 とSiとの界面に歪みを発生させたも
のである。
【0066】ここで、比較の為、比較例2として金属汚
染のない状態で従来の洗浄方法で洗浄を実施し、同じよ
うに評価した結果を図5に示す。これらの結果をみる
と、本発明の洗浄方法を行うことにより、例え工程中に
金属汚染があったとしても、汚染の無い時と同様の酸化
膜品質に回復していることがわかる。
【0067】なお、実施例1ではCu汚染であるため、
第1洗浄ステップとしてCuを除去できるSC−1洗浄
を金属不純物除去のための洗浄としたが、SC−1洗浄
で除去が不可能な金属、例えばPdの場合は、図3に示
したように、第1洗浄ステップとしてSC−2洗浄を行
ったが同様の結果が得られた。
【0068】また、図4に示したように研磨スラリー除
去のためのSC−1洗浄を入れた後にSC−2以降の洗
浄を行っても、同様な効果が得られた。
【0069】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明のシリコンウ
エーハの洗浄方法によれば、微量の不純物金属がシリコ
ンウエーハ表面に析出しても、酸化膜耐圧不良を回避す
ることができ、良質のウエーハを確実にデバイス工程に
提供することができるという著大な効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリコンウエーハの洗浄方法の一例を
示すフローチャートである。
【図2】シリコンよりイオン化傾向が小さい金属が付着
したシリコンウエーハを図1の洗浄方法で洗浄したとき
のウエーハ表面状態を模式的に示した説明図で、(a)
は洗浄前の状態、(b)はSC−1洗浄後の状態、
(c)はHF洗浄後の状態及び(d)はSC−2後の状
態をそれぞれ示す。
【図3】本発明のシリコンウエーハの洗浄方法の他の例
を示すフローチャートである。
【図4】本発明のシリコンウエーハの洗浄方法の別の例
を示すフローチャートである。
【図5】実施例1、比較例1及び2における酸化膜品質
をCuデコレーション法により評価した結果を示すグラ
フである。
【図6】従来のシリコンウエーハの洗浄方法の一例を示
すフローチャートである。
【図7】酸化膜のないシリコンウエーハをシリコンより
イオン化傾向が小さい金属を含む水に浸漬したときのウ
エーハの表面状態を模式的に示した説明図である。
【図8】シリコンよりイオン化傾向が小さい金属が付着
したシリコンウエーハを従来の洗浄方法で洗浄したとき
のウエーハ表面状態を模式的に示した説明図で、(a)
は洗浄前の状態及び(b)は洗浄後の状態をそれぞれ示
す。
【符号の説明】
1 シリコンウエーハ、2 不純物金属の析出物、3
SiO2 、4 歪み 12,16,30,36,52 SC−1洗浄、22,
32,54 SC−2洗浄、14,24,34 HF洗
フロントページの続き (72)発明者 内山 勇雄 福島県西白河郡西郷村大字小田倉字大平 150番地 信越半導体株式会社半導体白河 研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコンウエーハの表面に電気化学的に析
    出した金属を除去する第1ステップと、シリコンウエー
    ハの表面に形成されたSiO2 を除去する第2ステップ
    と、更にシリコンウエーハの表面の歪みを除去する第3
    ステップとを有することを特徴とするシリコンウエーハ
    の洗浄方法。
  2. 【請求項2】シリコンウエーハの表面に電気化学的に析
    出した金属をSC−1洗浄で除去した後、シリコンウエ
    ーハの表面に形成されたSiO2 をHF洗浄で除去し、
    更にSC−1組成を有する洗浄液によりシリコンウエー
    ハの表面をエッチングすることを特徴とするシリコンウ
    エーハの洗浄方法。
  3. 【請求項3】シリコンウエーハの表面に電気化学的に析
    出した金属をSC−2洗浄で除去した後、シリコンウエ
    ーハの表面に形成されたSiO2 をHF洗浄で除去し、
    更にSC−1組成を有する洗浄液によりシリコンウエー
    ハの表面をエッチングすることを特徴とするシリコンウ
    エーハの洗浄方法。
  4. 【請求項4】シリコンウエーハの表面に電気化学的に析
    出した金属をSC−1洗浄及びSC−2洗浄で除去した
    後、シリコンウエーハの表面に形成されたSiO2 をH
    F洗浄で除去し、更にSC−1組成を有する洗浄液によ
    りシリコンウエーハの表面をエッチングすることを特徴
    とするシリコンウエーハの洗浄方法。
  5. 【請求項5】シリコンウエーハの製造工程において、シ
    リコンウエーハの研磨直後、実施されることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか1項記載のシリコンウエーハ
    の洗浄方法。
  6. 【請求項6】シリコンウエーハの製造工程において、研
    磨直後のシリコンウエーハを水中保管した後、実施され
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の
    シリコンウエーハの洗浄方法。
  7. 【請求項7】シリコンウエーハの製造工程において、表
    面に自然酸化膜がない状態のシリコンウエーハを水中保
    管した後、実施されることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項記載のシリコンウエーハの洗浄方法。
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