JPH1164323A - 硬度指示薬 - Google Patents

硬度指示薬

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JPH1164323A
JPH1164323A JP9247829A JP24782997A JPH1164323A JP H1164323 A JPH1164323 A JP H1164323A JP 9247829 A JP9247829 A JP 9247829A JP 24782997 A JP24782997 A JP 24782997A JP H1164323 A JPH1164323 A JP H1164323A
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Junichi Nakajima
純一 中島
Masazumi Yamashita
正純 山下
Katsufumi Isshiki
克文 一色
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健 福村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微量のCa2+に対して反応性が良く、また5
0℃以上の高温環境下において、劣化速度の遅い硬度指
示薬を提供する。 【解決手段】 EBT,pH緩衝剤およびマスキング剤
を主成分とし、Mg−EDTAを混入して成る。また、
EBT,pH緩衝剤およびマスキング剤を主成分とし、
Mg−EDTAの水和物から水分子を取り除いたMg−
EDTAを混入して成る。また、EBT,pH緩衝剤お
よびマスキング剤を主成分とし、Mg−EDTAの水和
物から水分子を取り除いたMg−EDTAおよび還元剤
を混入して成る。また、EBT,pH緩衝剤およびマス
キング剤を主成分とし、Mg−EDTAおよび還元剤を
混入して成る。さらに、EBT,pH緩衝剤およびマス
キング剤を主成分とし、還元剤を混入して成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、サンプル中に存
在する硬度分を検知するための新規な硬度指示薬に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、水道水は、飲用には適していて
も、ボイラー用水や食品工業用水としては、種々の不純
物(たとえば、カルシウム,マグネシウム等の硬度成
分)が含有されているため、不適である。
【0003】このような水道水をそのままボイラー用水
として使用すれば、スケール付着や腐食の原因となるの
で、通常、硬水軟化装置や純水装置等を用いて、これら
の不純物を取り除いた水を供給している。この種の硬水
軟化装置には、たとえば強酸性陽イオン交換樹脂のう
ち、Na型のものが用いられており、これによって原水
中の硬度分(Ca2+とMg2+)をNa+ に置換して軟水
としているが、前記イオン交換樹脂の劣化あるいは再生
が不十分である等、装置の不備如何によっては、硬度漏
れを起こすことになる。したがって、常に処理水をチェ
ックし、硬度漏れを起こしていないかどうかを判別する
必要がある。
【0004】そのための判別方法として、硬度指示薬を
軟水に加え、その色の変化で判別する方法を採用する場
合、検知は人間の目で行われるため、色の変化は少しの
硬度漏れでも大きく出ることが望まれる。
【0005】通常、前記硬度指示薬の主成分は、EBT
(エリオクロムブラックT)であるケースが多いが、そ
の水溶液は、pH8〜10では青色を呈しているけれど
も、Mg2+が混入すると、速やかに赤色の水溶液に変化
する性質を持っており、この性質を利用して、軟水中に
Mg2+,すなわち硬度分が混在していないかをチェック
できるようになっている。
【0006】このタイプの硬度指示薬は、Ca2+に対し
ても水溶性化合物を作るが、Mg2+との化合物に比べる
と安定しておらず、変色は鈍い。
【0007】また、前記硬度指示薬は、ボイラ室等の5
0℃以上の高温環境に放置されると、EBTが酸化され
て、劣化する速度が早くなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、EBT
は、Mg2+に対しては鋭敏な変色を呈する反面、Ca2+
に対しては変色は鈍く、条件によっては、その感度に十
数倍の差が生じる。ところが、通常、原水中のCa2+
Mg2+の濃度は、地域によって差はあるが、圧倒的にC
2+の方が多く、Mg2+のほぼ3〜10倍は存在するの
で、Ca2+が軟水中に漏れる可能性は高く、このCa2+
の硬度漏れは、早期の検知が必要であり、微量のCa2+
に対しても、反応が速やかに行われなければならない。
【0009】また、前記のように、硬度指示薬は、高温
の環境において劣化する速度が早くなる。したがって、
硬度指示薬としての性能を維持するためには、この劣化
速度を低下させなければならない。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記課題を
解決するためになされたものであって、請求項1に記載
の発明は、EBT,pH緩衝剤およびマスキング剤を主
成分とし、Mg−EDTAを混入して成ることを特徴と
しており、また請求項2に記載の発明は、EBT,pH
緩衝剤およびマスキング剤を主成分とし、Mg−EDT
Aの水和物から水分子を取り除いたMg−EDTAを混
入して成ることを特徴としており、また請求項3に記載
の発明は、請求項2に記載の硬度指示薬であって、さら
に還元剤を混入して成ることを特徴としており、また請
求項4に記載の発明は、EBT,pH緩衝剤およびマス
キング剤を主成分とし、Mg−EDTAおよび還元剤を
混入して成ることを特徴としており、さらに請求項5に
記載の発明は、EBT,pH緩衝剤およびマスキング剤
を主成分とし、還元剤を混入して成ることを特徴として
いる。
【0011】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施の形態に
ついて説明する。この発明における硬度指示薬の主成分
として、EBTが適用される。これに、マスキング剤お
よびpH緩衝剤として、非水系のトリエタノールアミン
を添加したものを、非水溶媒であるエチレングリコール
に溶かすことにより、硬度指示薬のベースができる。
【0012】そして、前記硬度指示薬のベースに、さら
に市販のMg−EDTAを添加すると、微量のCa2+
鋭敏に反応する硬度指示薬が得られる。この市販のMg
−EDTAは、水分子を含んだ水和物の形となってい
る。この水分子は、EBTと反応して加水分解を起こ
し、前記硬度指示薬が劣化する原因となる。しかし、5
0℃以下の環境では、この加水分解の反応速度が極めて
遅い。トリエタノールアミンやエチレングリコールなど
も非水系であり、EBTの加水分解の問題を発生させな
い。したがって、前記硬度指示薬はほとんど劣化しない
ので、使用上問題はない。
【0013】一方、50℃以上の環境では、前記加水分
解の反応速度が比較的早いので、前記硬度指示薬の劣化
が早くなる。そのため、市販のMg−EDTAから水分
子を取り除き、これを前記硬度指示薬のベースに添加す
る。これにより、50℃以上の環境でも劣化速度の遅い
硬度指示薬が得られる。
【0014】また、前記硬度指示薬のベースに、還元剤
としてソルビン酸カリウムを添加すると、50℃以上の
環境において劣化速度の遅い硬度指示薬が得られる。
【0015】さらに、前記のとおり説明した実施の形態
を同時に実施しても、劣化速度の遅く、かつ微量のCa
2+に鋭敏に反応する硬度指示薬が得られる。すなわち、
前記硬度指示薬のベースに、市販のMg−EDTAの水
和物から水分子を取り除いたMg−EDTAと、ソルビ
ン酸カリウムとを添加することによっても、所望の硬度
指示薬が得られる。
【0016】
【実施例】つぎに、この発明の具体的実施例を詳細に説
明する。この発明における硬度指示薬の主成分として、
EBTが挙げられる。このEBTは、金属塩の存在を青
色から赤色に変色することで検知するようになってい
る。ただし、その際の変色は、pH8〜10の領域で顕
著に現れるので、この発明にあっては、試料溶液をpH
8〜10にするためのpH緩衝剤と、発色指示薬のマス
キング剤を必要とし、たとえばトリエタノールアミンを
適用すると、両方の機能を兼用できて、成分の数を減ら
せることができる。
【0017】さて、この硬度指示薬に適用される溶媒
は、たとえばエチレングリコールが挙げられる。硬度指
示薬を調合する際には、前記EBTと前記トリエタノー
ルアミンをこのエチレングリコールに溶かして行う。こ
れが、硬度指示薬のベースとなる。
【0018】この発明においては、前記硬度指示薬のベ
ースに、以下の説明のように種々の成分を添加すること
により、硬度指示薬が完成する。
【0019】まず、第一の実施例について説明する。第
一の実施例においては、前記硬度指示薬のベースに、市
販のMg−EDTAを添加する。この硬度指示薬は、試
料溶液に滴下すると、式1,式2のように反応する。 式1・・・・Ca2++Mg−EDTA → Mg2++Ca−EDTA 式2・・・・Mg2++EBT → Mg−EBT
【0020】式1のように、試料溶液中のCa2+は同モ
ルのMg2+に置換された後、式2のように、EBTと反
応して、変色が鋭敏になる。
【0021】つぎに、第二の実施例について説明する。
第二の実施例では、第一実施例と同様に、市販のMg−
EDTAを適用するが、この市販のMg−EDTAは、
通常、水分子を含んだ水和物の形で販売されている。こ
れを、そのまま硬度指示薬として調合すると、50℃以
上の高温環境下では、水分子と前記EBTとが反応(加
水分解)して、硬度指示薬が早く劣化する原因となる。
したがって、市販のMg−EDTAを使用する場合、調
合前に120℃で加熱し、脱水処理を行う。これによ
り、50℃以上の高温環境下において、劣化速度が遅く
なる。
【0022】ところで、この第二実施例の硬度指示薬
を、試料溶液に滴下した場合の反応は、式1,式2と同
じになる。したがって、ここでの詳細な説明は省略す
る。
【0023】つぎに、第三の実施例について説明する。
第三の実施例では、前記硬度指示薬に、還元剤,たとえ
ばソルビン酸カリウムを添加する。このソルビン酸カリ
ウムは、前記EBTが、50℃以上の高温環境下におい
て酸化して、劣化する速度を低下させる作用がある。
【0024】また、第四の実施例として、前記第二およ
び第三の実施例を組み合わせた成分によっても、所望の
硬度指示薬が得られる。すなわち、市販のMg−EDT
Aから水分子を取り除いた後、前記硬度指示薬のベース
に添加する。さらに、還元剤としてソルビン酸カリウム
を添加することにより、一層劣化速度の遅い硬度指示薬
が得られる。
【0025】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、EB
T,pH緩衝剤およびマスキング剤を主成分とし、Mg
−EDTAを混入したので、処理水中の微量のCa2+
対しても、反応が速やかに行われる硬度指示薬を提供す
ることができる。また、EBT,pH緩衝剤およびマス
キング剤を主成分とし、Mg−EDTAの水和物から水
分子を取り除いたMg−EDTAを混入したので、処理
水中の微量のCa2+に対しても、反応が速やかに行われ
るとともに、50℃以上の高温環境下にあっても、劣化
速度の遅い硬度指示薬を提供することができる。さら
に、前記硬度指示薬に還元剤を混入したので、処理水中
の微量のCa2+に対しても、反応が速やかに行われると
ともに、50℃以上の高温環境下にあっても、より一層
劣化速度の遅い硬度指示薬を提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 武智 貞利 愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式 会社内 (72)発明者 中島 純一 愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式 会社内 (72)発明者 山下 正純 愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式 会社内 (72)発明者 一色 克文 愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式 会社内 (72)発明者 福村 健 愛媛県松山市堀江町7番地 三浦工業株式 会社内 (72)発明者 浮穴 雄二 愛媛県松山市堀江町7番地 株式会社三浦 研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 EBT,pH緩衝剤およびマスキング剤
    を主成分とし、Mg−EDTAを混入して成ることを特
    徴とする硬度指示薬。
  2. 【請求項2】 EBT,pH緩衝剤およびマスキング剤
    を主成分とし、Mg−EDTAの水和物から水分子を取
    り除いたMg−EDTAを混入して成ることを特徴とす
    る硬度指示薬。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の硬度指示薬であって、
    さらに還元剤を混入して成ることを特徴とする硬度指示
    薬。
  4. 【請求項4】 EBT,pH緩衝剤およびマスキング剤
    を主成分とし、Mg−EDTAおよび還元剤を混入して
    成ることを特徴とする硬度指示薬。
  5. 【請求項5】 EBT,pH緩衝剤およびマスキング剤
    を主成分とし、還元剤を混入して成ることを特徴とする
    硬度指示薬。
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