JPH11512928A - ニュールツリンおよび関連成長因子 - Google Patents

ニュールツリンおよび関連成長因子

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Abstract

(57)【要約】 新しい成長因子ニュールツリン(Neurturin)を開示し、ヒトおよびマウスのアミノ酸配列を識別する。ヒトおよびマウスのニュールツリンゲノムDNA 配列をクローンして配列決定し、各々のcDNA配列を識別した。ベクターへのサブクローンおよび、ベクターで安定した形質転換が行われた細胞の調製も開示した。また、変性状態の治療法、腫瘍細胞と肥満、遺伝子組換えの検出方法、ニュールツリンの患者レベルの検出およびモニター方法も記載した。成長因子のニュールツリン-GDNF ファミリーの追加構成因子を識別する方法も記載した。

Description

【発明の詳細な説明】 ニュールツリンおよび関連成長因子 政府助成金について 本発明は助成金番号NS24679 およびCA53524 の政府助成を受けて行われた。政 府は本発明に関与する権利を有する。 発明の背景 (1) 発明の分野 一般論として本発明は栄養因子または成長因子に関するものであり、具体論と しては新種の成長因子ニュールツリン(Neurturin)に関する。 (2) 関連技法の解説 複合有機体における組織の発達と維持には細胞の増殖、分化、生存、および機 能の過程で精密な管理が要求される。これらの過程を管理する主要なメカニズム は「 成長因子」として知られるポリペプチドの作用に依存している。こうした構 造的に多様な分子は特殊な細胞表面のレセプタを介してこのような作用をもたら す。 近年、成長因子がいくつかのクラスに分類されることが明らかとなった。つま り、アミノ酸配列の近似性に依存するファミリーまたは上位ファミリーである。 認識されたこうしたファミリーの例には、繊維母細胞成長因子ファミリー、神経 栄養ファミリー、および形質変換成長因子−ベータ(tgf-β)ファミリーなどが ある。 特に重要なのは「 神経栄養因子」と称するこうした成長因子で、ニューロンの 分化、成長および生存を促進し、神経系もしくは神経刺激組織に存在している。 神経成長因子(NGF)は最初に認識と性格定義が行われた神経栄養因子である(Levi -Montalciniほか、J.Exp.Zool.116:321,1951参照により本文に採用)。NGF は非共有結合ホモダイマーとして存在する。この因子は、交感神経系で神経堤 由来の感覚性基底前脳コリン性ニューロンの生存と成長を促進する。交感神経系 ニューロン内で、この物質は生体内において軸索増殖物を生成し、また生体内に おいて軸索および樹枝状突起の増殖を促進する。NGF の生理的作用として、抗体 中和を管理する機能があるらしいことが生体内実験によって早くから知られてい たし(Levi-Montalcini and Booker,Proc Nat'l Acad Sci 46:384-391,1960; J ohnsonほか、Science 210: 916-918,1980 参照により本文に採用)、これらの研 究成果は、NGF 欠如の遺伝子導入マウスに遺伝子のターゲット化実施による分析 を行って裏付けられた(Crowleyほか、Cel1 76:1001-12,1994参照により本文に 採用)。NGF は認識作用とニューロンの可塑性に影響を及ぼし、多様な物理的、 化学的、ウイルス性、または免疫性の傷害が原因となって損傷を受けたニューロ ンの生存を促進する(Snider and Johnson,Ann Neurol 26:489-506,1989; Hef ti,J Neurobiol 25:1418-35,1994参照により本文に採用)。NGF は内分泌系を 対象として、また免疫、炎症の進行過程で広範囲にわたって影響を与え合うこと でも知られている。(Scully and Otten,Cell Biol Int 19:459-469,1995 の観 察による; Otten and Gadient,Int.J.Devl Neurosci 13:147-151,1995 参照 により本文に採用)。例えば、NGF は肥満細胞の生存を促進する。(Horigome ほ か、J Biol Chem 269:2695-2707,1994参照により本文に採用)。 発見されることになる本ファミリー第2 の構成要素であった脳由来神経栄養因 子(BDNF)の発見およびクローニングによって、NGF が神経栄養因子ファミリーの 原形であることが明らかになった(Liebrock ほか、Nature 341:149-152,1989参 照により本文に採用)。BDNFのNGF に対する関係は、NGF モノマーの3 種の体内 二硫化物を構成する6 種のシステインすべてが維持されていることによって明白 である(Barde,Prog Growth Factor Res 2:237-248,1990参照により本文に採用 )。2つの因子の保存度のよい部分のBDNFが提供する 情報を利用することによって、この神経栄養ファミリーの追加構成要素(NT-3、N T-4/5)がいくつかのグループによって迅速に発見されることになる(Klein,FASE B J 8:738-44,1994参照により本文に採用)。それらの分布および作用に関する 情報と、それらが欠乏した場合の生理的結果( 遺伝子ターゲット化による)はニ ューロン発達についての我々の知識を大いに高めることになった( 観察について はJelsmaほか、Curr Opin Neurobiol 4:717-25,1995; Lindsayほか、Trends Ne urosci 17:182-90,1994; および Johnsonほか、Curr Biol 4:662-5,1994 参照 により本文に採用)。例えば、各種ニューロトロフィンが非重複性ニューロン個 体( 運動性ニューロン、知覚ニューロンの下位個体など)を主な対象として作用 し、NGF について当初説明されたのと同様の方法で非重複性ニューロン個体の生 存と代謝を調整していることが現在明らかになっている。ニューロトロフィンが 確認されたことによって、ニューロンが成長過程でそのニューロトロフィンの生 存条件を変更できるという証拠が累積してきたため、神経栄養仮説の精密な再構 成も可能になった(観察についてはDavies,Curr Biol 4:273-6,1994参照によ り本文に採用)。 最近、神経栄養因子NGF ファミリーのレセプタの存在確認によって、神経栄養 因子への信号導入メカニズムの理解が進んだ。チロシン・キナーゼ・レセプタ、 NGFレセプタとして知られるtrkA、BDNFとNT-4/5の信号動作の仲介をするレセプ タtrkB、およびNT-3の効果を伝達するtrkCによって、こうしたニューロトロフィ ンによって利用される信号導入経路の分析が可能になった(観察についてはTuszy nski ほか、Ann Neurol 35:S9-S12,1994参照により本文に採用)。NGF による信 号動作に関与するものに、リン酸化trkAレセプタと直接的に影響を与え合うタン パク(e.g.Shc,PLCγ 1,PI-3 kinase)、SNT のようなその他のtrkA基質(Rabin ほか、Mol Cell Biol 13:2203-13,1995 参照により本文に採用)、および下流の キナーゼ・エ フェクター(例、ras 、raf1、MEK 、およびMAP キナーゼ)がある。特異的成分 が、軸索生成への条件としてのShc および PLCγ1 のようなNGF の特異的作用(L oeb ほか、J Biol Chem 269:8901-10,1994; Stephens ほか、Neuron 12:691-70 5,1994 参照により本文に採用)、および生存条件としてのPI-3キナーゼに関連 する場合がある(Yao and Cooper,Science 267:2003-6,1995参照により本文に 採用)。NGF に関連した分子以外に、組織的には無関係の神経栄養因子も最近発 見されている。このなかには、非ニューロン機能の結果として原始分離された他 の要素とともに、毛様態神経栄養因子(CNTF)(Lin ほか、Science 246:1023-5, 1989参照により本文に採用)、IGF-I(Kanje ほか、Brain Res 486:396-398,198 9 参照により本文に採用)白血病抑止因子(Kotzbauer ほか、Neuron 12:763-773 ,1994 参照により本文に採用)のような「神経栄養的機能」に基づいてまず最 初に分離された因子がある。 グリア由来神経栄養因子(GDNF)は、NGF とは組織的に関連しないこうした神経 栄養因子のひとつである。したがって、GDNFは因子のいずれかの下位ファミリー に属していることが現在まで知られなかった特異的因子であった。GDNFの発見、 精製およびクローニングは、パーキンソン氏病で変性する中脳ドパミン起因性ニ ューロンの生存に不可欠な因子を検索したことによって実現した。GDNFはラット のB49 グリア細胞で調整された培地から精製された(Linほか、Science 260:1130 -2,1993参照により本文に採用)。配列分析によって、GDNFが変性成長因子β(TG F- β)の上位ファミリーの遠縁であり、ほぼ20% の共通性の根拠は主として7 種 のシステイン残基の特異的配列に求めることができることが明らかにされた(Lin ほか、Science 260:1130-2,1993参照により本文に採用)。したがって、GDNFはT GF-β上位ファミリー内における新種の下位ファミリーの代表的存在と考えられ る。 GDNFには、TGF-β上位ファミリーの他の因子と同様、前駆体分子 が存在し、一定の信号配列と、通常RXXXサイトに固着し134 アミノ酸成熟タンパ クGDNFを放出する各種サイズの前部位が存在する。したがって、GDNFは前駆体タ ンパクとして合成される。 後続処理によって約35-40 kDの成熟したグリコシル化ホモダイマーが生成され る。7 種のうち6 種のシステインが連鎖内ジスルフィド結合を生成し、水素連結 のシスチン結節されたβシートを接合し、システィン結節と称する硬直組織を生 成するが(McDonald ほか、Cell 73:421-4,1993 参照により本文に採用)、この 組織もニューロトロフィンの性格を持っていることは興味がある。残余のシステ ィンはもうひとつのモノマーとジスフィド結節を作り生物学的活性があるヘテロ ダイマーとモノダイマーを形成する。この組成はドデシル硫化ナトリウム(SDS) のような変性剤、熱およびpH極限値に対するGDNFの強い耐性の根拠とも考えられ る。 バクテリアで生成した組み換えGDNFは、なかんずく中脳神経培養基におけるド パミン起因ニューロンの生存および形態学的分化を促進する(Linほか、Science 260:1130-2,1993参照により本文に採用)。これら初期の体外実験は現在では体 内の各種モデルに拡張され、それによってGDNFが成熟した齧歯類動物の脳に存在 するMPTPまたは軸索切断を誘因とするドパミン起因ニューロンの病変を強力に保 護し再生させる効果を持つことが実証されている(Tomacほか、Nature 373:335-9 ,1995 and Beck et al.,Nature 373:339-41,1995 参照により本文に採用)。G DNFは結節性知覚副交感神経の体外生存を促進し、にわとりの交感神経ニューロ ンのNGF 喪失による死亡を防止することができるが、このためにはドパミン起因 ニューロンへの影響に必要とされるそれ以上の大量の投与が必要となる(Ebendal ほか、J Neurosci Res 40:276-84,1995参照により本文に採用)。注目すべきこ とに、GDNFは運動性ニューロンによって後退移行され、運動性ニューロンの生存 を促進することが知られており、このことは、GDNFで治療を受けた動物が、未治 療の動物またはCNTF、BDNF、 NT-3、NT-4/5など他の栄養因子で治療を受けた動物に比べて病変への反応として の運動性ニューロンの喪失が著しく少ない事情を説明している(Hendersonほか、 Science 266:1062-4,1994; Yan et al.,Nature 373:341-4,1995; and Oppenh eim ほか、Nature 373:344-6,1995参照により本文に採用)。総体的に、GDNFは 他の因子に比べて運動性ニューロンの生存を促進するより強力な因子であり、こ れらの病変に対する反応としてのニューロン萎縮を防止し、それによってGDNFを 運動性ニューロン疾患の有望な治療物質として位置づける唯一の因子であった。 ニューロンの変性と死をもたらすのは、発達、老化の過程であり、生涯の病理 学的事件の結果としてである。現在では一般的に、胎児の生存および発達や成人 期の組織の健全性と可塑性などの分野で、神経栄養因子がニューロン因子の数多 くの側面を調整するものと信じられている。慢性神経変性疾患と同様急性神経系 障害の特徴は組織破壊と、可能性として疾患由来のアポプトシスであるため、神 経栄養因子がこれらの症状に何らかの役割を演じていることが考えられる。実際 、膨大な証拠によって、神経栄養因子が、現在ヒト社会を直撃している社会的、 経済的に恐らく最も破壊的なこうした神経変性症状の治療にとり貴重な治癒効果 を持つ物質となるかもしれない可能性が示唆されている。ただし、多様な神経栄 養因子が選択的に多様なレセプタを経由し、各種のニューロン細胞に作用するた め、神経系の各種の急性・慢性疾患の診断と治療に使用するためには神経栄養因 子ファミリーの新種を常時確認する必要がある。 発明の要約 従って要約すれば、本発明はニューロンの生存と成長を促進するような十分に 精製された因子の識別と分離を意図している。かくして発明者は、本文でニュー ルツリンと称する新奇なタンパク成長因子の発見に成功したのである。この成長 因子は、各種哺乳類における相同配列間では最低85% の配列一致を示すのに対し 、鳥類のよう な非哺乳類では配列の相同がわずか65% であることを示すと考えられている。本 文でニュールツリンタンパクと称するものには配列番号(SEQ ID NO):1(図5 ; 図7 、アミノ酸残基96〜197)に述べるヒト配列および、配列番号(SEQ ID NO):2 (図5 ;図8 、アミノ酸残基96〜195)に述べるマウス配列がある。 ニュールツリンはチャイニーズハムスターの卵巣細胞のDG44CHO-pHSP-NGFI-B 細胞(以下CHO 細胞と呼ぶ)の調整済培地にて識別され採取された。またこれら の細胞から分離されたこの因子の分子量は約20-30 kDと推定される。この分子量 は、非還元状態下でのドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳 動(SDS-PAGE)および、約10 ng/ml未満の上方頚部神経節のアッセイのEC50で測定 して求めた。チャイニーズハムスターの卵巣細胞から分離されたタンパクは、ホ モダイマータンパクで、そのモノマーは約10-15 kDの分子量を持つと推定される 。 ニュールツリンはCHO 細胞による調整済培地から分離された因子の部分的消化 の後に得られる断片断片を基にしても識別することができる。この調整済培地に アミノ酸残基の一部が存在することは以前は確定されていなかった。このような 断片には、N 末端基断片、Ser-Gly-Ala-Arg-Pro-Xaa-Gly-Leu-Arg-Glu-Leu-Glu- Val-Ser-Val-Ser(うちXaa は未知アミノ酸)配列番号(SEQ ID NO):3、内部のア ミノ酸断片、Xaa1-Cys-Ala-Gly-Ala- Xaa2-Glu-Ala-Ala-Val(うちXaa1は未知ア ミノ酸、Xaa2はSer または Cys)配列番号(SEQ ID NO):4、Xaa1- Xaa2-Val-Glu -Ala-Lys-Pro-Cys-Cys-Gly-Pro-Thr-Ala-Tyr-Glu-Asp-Xaa3-Val-Ser-Phe-Leu-Se r-Val(うちXaa1およびXaa2は未知、Xaa3はGln またはGlu)配列番号(SEQ ID NO) :5、およびTyr-His-Thr-Leu-Gln-Glu-Leu-Ser-Ala-Arg 配列番号(SEQ ID NO ):6がある。 ニュールツリンの前駆形状は分化して、成熟タンパクと前駆領域を含むヒト前 駆形状を形成し、ヒトの成熟ニュールツリン配列は配 列番号(SEQ ID NO):7に記述した通りである(図7 、アミノ酸残基1 〜197)。マ ウスの前駆形状は配列番号(SEQ ID NO):8 の記述にしたがっている(図8 、アミ ノ酸残基1 〜195)。 この発明はまた、配列番号(SEQ ID NO):1 のアミノ酸配列に記述するような ヒトニュールツリンをコード化するヌクレオチド配列および、配列番号(SEQ ID NO):2 に記述するようなマウスニュールツリンのアミノ酸配列を呈示する。 ヒトニュールツリンの配列は、配列番号(SEQ ID NO):9 のヌクレオチドによ るコーディングによっても識別され( 図7 、核酸286 〜591)、マウスの配列も、 配列番号(SEQ ID NO):10(図8 、核酸286 〜585)のヌクレオチド配列によるコー ディングによっても識別され得る。この発明はさらに、配列番号(SEQ ID NO):7 のアミノ酸配列に記述するようなヒトのプレ−プロ ニュールツリン(pre-pro Neurturin)および、配列番号(SEQ ID NO):8 のアミノ酸配列に記述するような マウスのプレ−プロ ニュールツリンをコード化するヌクレオチド配列を呈示し ている。ヒトプレ−プロ ニュールツリン配列は、配列番号(SEQ ID NO):11の ヌクレオチド配列によるコーディングで識別され(図7 、核酸1 〜核酸591)、マ ウスのニュールツリン配列は配列番号(SEQ ID NO):12(図8 、核酸1 〜核酸585) のヌクレオチド配列によるコーディングで識別される。 発現ベクターおよび、安定した形質転換が行われた細胞も呈示する。形質転換 細胞はニュールツリンの生成法に使用することができる。 もう1つの実施例では、本発明は、ニュールツリンを必要とする患者に対し治 療効果のある量のニュールツリンを投与することによって、ニューロンの変性を 予防または治療する方法を呈示している。患者の治療は、ニュールツリンまたは DNA 配列を発現する形質転換細胞を患者に移植することによっても可能である。 これにより、患者またはニュールツリンの中で培養され増殖された患者の細胞へ ニュールツリンのコード化を行うことができる。 他の実施例では、腫瘍細胞の治療法を呈示している。その方法として、細胞の 成熟と分化を起こすため、有効量のニュールツリンまたはDNA 配列をコード化す るニュールツリンからなる組成を投与することである。 また他の実施例では、本発明は、分離され精製されたニュールツリンアンチセ ンス・ポリオクレオチドを呈示している。 さらに他の実施例では、ハイブリッドの汎成長因子を呈示している。ハイブリ ッド・ポリペプチドは、ニュールツリンのタンパクとほぼ同一の第1配列および 、ニュールツリン以外のTGF-β上位ファミリーの一部とほぼ同一の第2配列から 構成されている。汎成長因子はニュールツリンの活性領域およびニュールツリン 以外の最低1個の成長因子から構成されている。 本発明はまた、ニュールツリンの組成と検出方法を呈示している。1つの方法 はニュールツリン抗体に基づくもので、もう1つの方法は組換えDNA 技術を用い て、ニュールツリンのmRNAを検出することに基づくものである。 したがって、本発明で達成されたことが明らかになったいくつかの利益で注目 に値する点は、ある種の細胞、特にニューロンの萎縮や退化、壊死の現状を維持 し予防することができる新しい成長因子ニュールツリンの呈示、成長因子のニュ ールツリン-GDNF ファミリーの構成因子を検出できる新しい方法を利用できるよ うにすることによる、このファミリーのその他の因子の呈示、組換え技術と分離 により、細胞からニュールツリンを採取する方法の呈示、細胞退化、特にニュー ロンの退化をもたらす疾病の予防または治療方法の呈示、患者のニュールツリン レベルを検出しモニターできる方法の呈示、ニュールツリン遺伝子における変性 を検出できる方法の呈示などである。 図の説明 図1 は、CHO(チャイニーズハムスターの卵巣)の細胞からニュールツリンを調 製するための精製方法を示す。 図2 は、ニュールツリンの精製過程でモノS カラムから溶離した分留の特性を 示し、(a)SDS- ポリアクリルアミド・ゲル上の各分留の電気泳動および、シルバ ー染色法によるタンパクの視覚化および、(b)上方頚部神経節の生存アッセイの 各分留に見られる神経親和性活動を示している。 図3 は、培養組織中の上方頚部神経節細胞の生存を維持するニュールツリンの 能力を示し、(a)神経成長因子(NGF)によって維持された陽性対照細胞、(b)抗NGF 抗体によって処理された陰性対照細胞で生存減衰を示すもの、(c)抗NGF とニュ ールツリン(約3 ng/ml)によって処理された細胞でニューロンの生存を示すもの を示している。 図4 は、上方頚部神経節生存アッセイでニュールツリンの濃度反応効果を示し ている。 図5 は、ボックス内に示す同一アミノ酸残基と、成熟した成長因子、ヒトのニ ュールツリン(hNTN)、マウスのニュールツリン(mNTN)、ラットのGDNF(rGDNF)、 マウスのGDNF(mGDNF)および、ヒトのGDNF(hGDNF)とのアミノ酸配列の相同性を示 している。 図6 は、21日目のラットの胎児および成熟ラットから得られたRNA サンプルの RT/PCR分析で得られたニュールツリンのmRNAとGDNFのmRNAの組織分布を示してい る。 図7 は、ヒトのプレ−プロ ニュールツリン のcDNAおよびコード化されたア ミノ酸配列を示している(配列番号(SEQ ID NO):11)。これは核酸1 〜57(配 列番号(SEQ ID NO):17)からのプレ(pre)領域、核酸58〜285(配列番号(SEQ ID NO):20)からのプロ(pro)領域、核酸286 〜591(配列番号(SEQ ID NO):9)からの ヒトのニュールツリン、そして核酸1 〜169(配列番号(SEQ ID NO): 27)と170 〜594(配列番号(SEQ ID NO):28)からの2 つのエクソンのコード化配 列部分を定義する核酸169 と170 との間のスプライス部位を表している。 図8 は、マウスのプレ−プロ ニュールツリン(配列番号(SEQ ID NO):20) のcDNAおよびコード化されたアミノ酸配列を示す。これは核酸1 〜57(配列番号 (SEQ ID NO):18)からのプレ領域および核酸58〜285(配列番号(SEQ ID NO):21 )からのプロ領域、核酸286 〜585(配列番号(SEQ ID NO):10)からのマウスのニ ュールツリン、そして核酸1 〜169(配列番号(SEQ ID NO):29)および170 〜588( 配列番号(SEQ ID NO):30)からの2 つのエクソンのコード化配列部分を定義する 核酸169 との170 の間のスプライス部位を表している。 図9 はマウスのCDNA配列で、5'の非コード化部位(配列番号(SEQ ID NO):13)と 3'(91cm)の非コード化部位(配列番号(SEQ ID NO):14)を内包し、それぞ れが前駆ニュールツリンのコード化部位に隣接している配列を示す。 図10は、平板培養の24時間後、NTN 、GDNF、BDNF、NGF およびAMO で処理され たE18 ラットの結節性神経節ニューロンの生存率を表している。 図11は、平板培養の24時間後、NGF 、NTN およびGDNFで処理されたE15 ラット の後根神経節細胞の生存率を表している。 図12は、交感神経系ニューロン内におけるニュールツリンまたはGDNFによるMA P キナーゼのERK-1 およびERK-2 アイソフォームの活性化を表している。この場 合(a)燐酸化 MAPキナーゼ特定の抗体または、(b)燐酸化および非燐酸化MAP キナ ーゼの両方を認識する抗体が利用される。 図13は、Lan-5 ヒト神経芽腫細胞の顕微鏡写真で、(A)は無処理(B)は3日間50 ng/ml のニュールツリンで処理されたものを示す。 図14は、ニュールツリンおよび神経芽腫細胞系における MAPキ ナーゼ活動の活性化を示す。ここで神経芽腫細胞系とは(a)SK-NSH 神経芽腫(ナ イーブ)、(b)NGP 神経芽腫(RA tx)および、(c)SY5Y神経芽腫(RX tx)を指す。 図15は、後根神経節ニューロン中のニュールツリン逆輸送を示す。この方法と して、標識のない100 倍の過剰ニュールツリンまたは標識のない100 倍の過剰GD NFの存在または不在のなかで、125I放射性同位元素による標識付きニュールツリ ンかGDNFを使用する。 図16は、クラスタル法を用いて一列に並べたTGF-βの上位ファミリー構成因子 の配列を示す。 最初の基準枠であるシステインから配列の末端まで、形質転換 成長因子β1(TGF-β1)、形質転換成長因子β2(TGFβ2)、形質転換成長因子β 3(TGFβ3)、インヒビンβA(INHβA)、インヒビンβB(INHβB)、結節遺伝子(NOD AL)、骨形態発生タンパク2 および4(BMP2 and BMP4)、ショウジョウバエデカペ ンタプレジック(decapentaplegic )遺伝子(dpp)、骨形態発生タンパク5 −8( BMP5 、BMP6、BMP7およびBMP8)、ショウジョウバエ60A 遺伝子ファミリー(60A) 、骨形態発生タンパク3(BMP3)、Vgl遺伝子、成長分化因子1 および3(GDF1および GDF3)、ドルサリン(dorsalin)(drsln)、インヒビンα(INHα)、MIS 遺伝子(MIS) 、成長因子9(GDF-9)、グリア由来神経栄養成長因子(GDNF)、およびニュールツ リンの順に配列されている。 図17はクラスタル法を用いて一列に並べたTGF-βの上位ファミリー因子の配列 を示すもので、最初の基準枠であるシステインから第4 基準枠システイン形質転 換成長因子β 1(TGFβ1)を含まずその直前まで、形質転換成長因子β2(TGFβ2) 、形質転換成長因子β 3(TGFβ3)、インヒビンβ A(INH βA)、インヒビンβ B( INH βB)、結節遺伝子(NODAL)、骨形態発生タンパク2 および4(BMP2 and BMP4) 、ショウジョウバエデカペンタプレジック遺伝子(dpp)、骨形態発生タンパク5 −8(BMP5 、BMP6、BMP7およびBMP8)、ショウジョウバエ60A 遺伝子ファミリー (60A)、骨形態発生タンパク3(BMP3)、 Vg1 遺伝子、成長分化因子1 および3(GDF1およびGDF3)、ドルサリン(drsln)、イ ンヒビンα(INHα)、MIS遺伝子(MIS)、成長因子9(GDF-9)、グリア由来神経栄 養成長因子(GDNF)およびニュールツリンの順に配列されている。さらに、 図18はクラスタル法を用いて一列に並べたTGF-βの上位ファミリー因子の配列 を示す。第4 の基準枠システインから配列の末尾まで、変態成長因子β 1(TGF β1)、変態成長因子β 2(TGF β2)、変態成長因子β 3(TGF β3)、インヒビンβ A(INH βA)、インヒビンβ B(INH βB)、結節遺伝子(NODAL)、骨形態発生タン パク2 および4(BMP2 and BMP4)、ショウジョウバエデカペンタプレジック遺伝子 (dpp)、骨形態発生タンパク5 −8(BMP5 、BMP6、BMP7およびBMP8)、ショウジ ョウバエ60A 遺伝子ファミリー(60A)、骨形態発生タンパク3(BMP3)、Vg1 遺伝子 、成長分化因子1 および3(GDF1およびGDF3)、ドルサリン(drsln)、インヒビンα (INHα)、MIS遺伝子(MIS)、成長因子9(GDF-9)、グリア由来神経栄養成長因子( GDNF)、およびニュールツリン(NTN)の順に配列されている。 好適な実施例の説明 本発明は、新種の成長因子ニュールツリンの識別、分化および配列に基づいて いる。驚くべきことには、この物質が細胞の生存、特にニューロンの生存を促進 することが判明した。本発明以前は、ニュールツリンは未知の存在で、確然とし た生物学的に活性を示す1つの物質として識別されてもいず、純粋の形で単離さ れてもいなかった。 発明者は、CHO 細胞の調整済培地からニュールツリンを発見し分離することに 成功した。ニューロン生存促進の活性は、最初にCHO 調整済培地の部分的に精製 された調製物質を用いて識別された。一定の細胞系の調整済培地の調製は本技術 の分野ではよく知れれている。(例ReidによるMethods in Enzymology Vol.LVI II,Cell Cul ture,、Jakoby&PastanによるEds.,Academic Press,San Diego,pp 161-164 ,1979; Freshney によるCulture of Animal Cells in A Manual of Basic Tech nique,2d Ed.,Wiley-Liss,NY,p.84,1987 参照により本文に採用)。した がって本実施例では、CHO細胞は、精製された形でニュールツリンを識別し採取 するのに用いられる調整済培地であったが、この技術に熟練した者なら、ニュー ルツリンを発現するどんな細胞も採取源になり得ることを即座に理解するであろ う。ニュールツリンを発現する細胞のいくつかを例11で採り上げている。発明者 は、ニュールツリンを発現すると識別されたどのような細胞も、調整済培地を得 るのに使用でき、そこからニュールツリン を分離できると考えている。 CHO 細胞の調整済培地からニュールツリンを分離する場合、最初の調整済み未 精製培地は遠心分離および/またはろ過によって細胞屑を除去して採取できる。 純度をさらに高めるには、本技術の熟練者は、本技術で周知の数々の方法の1つ を用いて、アフィニティクロマトグラフィイ、イオン交換クロマトグラフィ、予 備電気泳動法などにより、生物学的サンプルからニュールツリンを分離し精製す ることができるが、これらの方法は単独でも組み合わせて用いてもよい。ニュー ルツリンの細胞生存促進効果は細胞の生存を評価する適切なシステムで決定する ことができる。発明者は、異なる多様な組織においてニュールツリンが生存を促 進すると信じる。この信念は、他の成長因子によって知られている事実に基づき 、またニュールツリンが数々の組織において発現され、その組織の生存促進に効 果があるという観察にも基づいている。本文に報告した研究では、交感神経ニュ ーロン生存アッセイ(交感神経頚部神経節=SCG)を用いてニューロン活性を評価 した。このアッセイは広く特徴づけられている(Martin ほか、J Cell Biol 106: 829-844,1989; Deckwerth and Johnson,J Cell Biol 123:1207-1222,1993 参 照により本文に採用)(図3 参照)知覚ニューロンに及ぼすニュールツリンの生 存促進効果も示している(図10参照)。 SCG アッセイを簡単に述べると、ラットの胎児の上位頚部神経節から採取した 細胞を、神経成長因子(NGF)を含む培地で5 日間37℃で培養することが含まれる 。培地は次に、NGF を含まず抗NGF 抗血清を含む培地と交換される。NGF の除去 によってニューロンは普通24-72 時間で死滅する。7-8 日目に顕微鏡下でニュー ロンの生存を観察して評価した。ニューロンの最大生存率の尺度のひとつは、ニ ューロン細胞体にも軸索にも変性が見られないことである。細胞体の変性は、ニ ューロン細胞体のサイズの縮小、膜の不規則な膨張、小胞の含有、または屈折性 の欠失などで示される。軸索領域は、腫脹とブレブ(小気泡)が軸索の束に沿っ て現れた場合に解体の兆候を示すものと見られされた。生存の判定には、NGF(陽 性対照)が存在する場合または不在の場合のニューロン成長と、NGF 抗血清(陰 性対照)との比較が用いられた。 活性の定量化は「生存単位」の算出によって行った。サンプル中の総生存単位 は、サンプルのアリコート(部分)の最小量と定義された。これは同サンプルの 総量を最大限生存数で除して算出した。例えば、600 mlの分量がヘパリン・アガ ロース・カラムとこの溶離物から溶離されるとき、12.5μlが最大量を促進した 最少量であった。したがって、ヘパリン・アガロース・カラムからの溶離物中の 生存単位は48,000であった。特定活性は生存単位を総タンパク量(mg)で除して 算出した。本文では、ニュールツリンの内因性の活性は、最大か最大の半分量の 生存を促進するpg/ml またはpMの濃度単位で示している。図5 の通り、精製ニュ ールツリンタンパクの濃度反応曲線は、EC50として表現されたニュールツリンの 内因性活性度が約1.5 ng/ml または約50pMで、EC100 は約3ng/mlまたは約100pM であることを表している。 生存単位は、0.5ml の培養アッセイの中で約1200のニューロンを用いるアッセ イで測定され、培養期間は分留を加えた後48時間で あった。48時間後に観察で生存のアセスメントを行った。図4 に示した内因性の 活性は、約2700のニューロンと72時間の培養期間を用いるアッセイにより決定し た。生存のアセスメントは、ニューロンの固定化と生存ニューロン数をカウント して行った。活性度の半減期によって査定されるように、ニュールツリンの安定 性はニューロン数の増加とともに低下するため、内因性の活性の測定値は、固有 活性度測定によって予測された値よりも低くなることが予見できる。固有活性度 測定値も固有活性度によって予測値よりも低くなることが予想される。これは生 存の測定を48時間後でなく72時間後に行ったためである。 ニュールツリンの精製については以下の例1 で詳しく説明している。調整済培 地の開始物質は、DG44チャイニーズハムスターの卵巣細胞DG44CHO-pHSP-NGFI-B の誘導体から調製した(Dayほか、J Biol Chem 265:15253-15260,1990 参照によ り本文に採用)。発明者はまた、DG44チャイニーズハムスターの卵巣細胞のその 他の誘導体の調整済培地からも、ニュールツリンを部分的に精製した形で分離し た。これらの細胞も、DG44CHO-pHSP-NGFI-B 細胞や、親のDG44チャイニーズハム スターの卵巣細胞と同様に使用でき、また他種動物からの卵巣細胞や、ニュール ツリンを発現することが知られている組織(例10参照)などの他の組織からの細 胞も同じく使用できる。調整済培地を調製するには、血清を全く含まない培地に 細胞を2 日間入れた後、調整済培地を採取し、培地を補給しなおす。このサイク ルを繰り返し、CHO 細胞の各バッチから調整済培地を5 回採取する。採取した培 地から細胞屑を除くため遠心分離機にかける。 CHO 細胞の調整済培地からニュールツリンを精製する第一の手順は、ヘパリン ・アガロース・カラムとカラムから採取された部分的に精製されたニュールツリ ンの溶離物へ、調整済培地を導入することであった。この手順の結果、タンパク の内因性の活性および精製が111 倍も増加した。培地をカラムへ加えるため用い た緩衝液には 0.5MのNaClが含まれている。このNaClの濃度で、ニュールツリンをヘパリン・ア ガロース基質へ結合させる。発明者は、ニュールツリンとヘパリン・アガロース 基質の等電点を根拠として、LIFおよびCNTFはヘパリン・アガロース基質に結合 されないか、あるいは0.5MNaClを含む緩衝液により基質から洗い落とされると信 じる。したがって、このステップでは、LIF やCNTFなどの成長因子からニュール ツリンを単離することを期待している。カラムの洗浄後、1.0MNaClを使用するカ ラムからニュールツリンを溶離させた。 NJ)が入っているカラムへ移入した。このカラムから溶離した物質を、Cu++で負 荷されたキレーティング スーパロース(Chelating Superose)HR 10/2カラム(Ph armacia,Piscataway,NJ)上で高速タンパク液クロマトグラフィ(FPLC)を使って 精製した。Cu++スーパロース(Cu++ superose)カラムから溶離した抽出物分留 を、モノS(Mono S)HR 5/5カチオン交換カラム(Pharmacia,Piscataway,NJ)へ 入れ、FPLCの精製をさらに高める。モノ(Mono)S分留内のタンパクの構成は、 非還元性SDS-PAGEと銀染色を用いて分析した。 精製の各ステップにおいてカラムから採取された分留に対し、ニューロン生存 アッセイを用いた生物学的活性のアッセイ並びに、ブラッドフォード色素拘束法 (Anal Biochem 72:248-254,1976参照により本文に採用)を用いたタンパクの内 容のアッセイを行った。試薬はバイオラド・タンパクアッセイ色素試料(Bio-Rad Laboratories,Inc.,Hercules,CA)を使用した。 上記のステップを使用した段階的精製を表1 に示した。 a.タンパクは(mg)ブラッドフォード色素結合法によって測定した(Anal Bioche m 72:248,1976)。 b.サンプル中の総活性単位または生存単位は、同サンプルの総量を最大生存数 で除して求めたサンプルのアリコートの最少量として定義した。 c.調整済培地の活性は、ヘパリン・アガロース分留から100%の活性を得たとい う推論に基づいている。これは直接アッセイを行うには調整済培地の活性が低す ぎたからである。 d.特異活性は総タンパク量を活性単位で除したものである。 この分析の結果ならびに分留のニューロン生存アッセイの結果、約25kDの分子 量を有するタンパクが交感神経ニューロン生存活性とともに精製されたことが明 らかになった。 CHO 細胞による調整済培地から分離された精製物質は、CHO 細胞による調整済 培地中のタンパクのアミノ酸タンパクの配列の一部を 決定するのに使用され、続いて異なる種における配列を決定する基準として使用 された。N 末端基アミノ酸の配列決定には自動タンパク/ ペプチド・シーケンサ ーが用いられ、最初の16個のアミノ酸は(位置6 は不確定)、Ser-Gly-Ala-Arg- Pro-Xaa-Gly-Leu-Arg-Glu-Leu-Glu-Val-Ser-Val-Ser であると考えられる。(う ちXaa は不明アミノ酸を表す)(配列番号(SEQ ID NO):3)。内部アミノ酸の断片 は、プロテアーゼ酵素による消化および配列が決定された後、精製物質から得た 。こうして採取した断片は以下の通りであった。(1)(1、2 、6 の位置は不確実 )Xaa1-Cys-Ala-Gly-Ala-Xaa2-Glu-Ala-Ala-Val 、うちXaa1は不明アミノ酸、Xa a2はSer またはCys であった(配列番号(SEQ ID NO):4)。(2)(1、2 、4 、10 、17および22の位置は不確定)Xaa1-Xaa2-Val-Glu-Ala-Lys-Pro-Cys-Cys-Gly-Pr o-Thr-Ala-Tyr-Glu-Asp-Xaa3-Val-Ser-Phe-Leu-Ser-Val、うちXaa1およびXaa2は 不明、Xaa3はGln またはGlu)(配列番号(SEQ ID NO):5)。(3)Tyr-His-Thr-Leu -Gln-Glu-Leu-Ser-Ala-Arg(配列番号(SEQ ID NO):6)。これらの部分アミノ酸配 列に基づき、DNA のプローブおよびプライマーを行い、異なる哺乳類からのcDNA クローンを得るのに用いることができる。これは哺乳類間における配列の恒存率 の高さに基づいている。ヒトのcDNAおよびアミノ酸の推定配列を図7 に示し、マ ウスのcDNAおよびアミノ酸の推定配列を図8 に示した。 マウスのcDNAクローンは1.0 kbで、585 個のクレオチド(配列番号(SEQ ID NO ):12)の開放読取り枠を有し、マウスのプレ−プロ ニュールツリンタンパク をコード化する(配列番号(SEQ ID NO):8 、図8)。さらに非コード化領域は、図 9 に示すごとく、コード化領域の5'と3'の両端で認識された(配列番号(SEQ ID N O):13、5'の非コード化領域、核酸-348〜-1;配列番号(SEQ ID NO):14、3'の 非コード化領域、核酸589 〜675)。マウスのニュールツリン配列は他の種からの 相同部分を識別するためのPCR プライマーを得る ため用いることができる。ヒトゲノムのDNA からのヒト192 ヌクレオチド断片を この方法で増幅し、さらにヒトゲノムライブラリーの選別に使用して、ヒトニュ ールツリンゲノムの位置を持つクローンを得た。ヒトcDNAの配列をこれらのクロ ーンの配列から推定した。(図7 、ヒトプレ−プロ ニュールツリンのcDNA配列 )。 本文でニュールツリンに言及するのは、本文でその特徴付けおよび記述を行っ たニュールツリンと起源は異なっても著しく相同で、生物学的に同じ成長因子が 含まれていると解釈されることを意図している。このような著しく相同な成長因 子はどんな組織や種にも特有であると考えられ、同様に生物学的活性も、種々の 生物学的アッセイで特徴付けることが可能である。本文においてニュールツリン を論じたわけは、プレ−またはリーダーまたはシグナル配列領域および、本文で 定義したニュールツリンを含むプレ−プロ成長因子が含まれるいると解釈される ことを意図している。 「生物学的に同様」という表現は、本発明の構成により同じ成長特性の一部ま たは全部を類似の方法で実証することができることを意味するものである。この ことは、必ずしも本文のCHO 細胞で調整された培地から分離されたニュールツリ ンまたは、組換えにより生成されたヒトもしくはマウスのニュールツリンと同じ 程度に実証できることを意味しない。 「著しく相同」の意味は、ヒト・マウスニュールツリンの他の任意の種からの ニュールツリンとの相同の程度が、ニュールツリンと既述のあらゆるTGF-β上位 ファミリーかGDNFとの相同の程度よりも大きいということである。(TGF- β上位 ファミリーの相同性の解説についてはKingsley,Genes and Dev 8:133-46,1994 を参照により本文に採用)。 「配列の識別」または「パーセント識別」とは、2つの配列間の同じ残基のパ ーセント(%)を表すことを意図しており、ヒト以外のニュールツリンでパーセン ト識別を決定する場合はヒトニュールツ リンを指し、非ニュールツリン成長因子でパーセント識別を決定する場合はニュ ールツリンを指し、また非ニュールツリン成長因子とGDNFでパーセント識別を決 定する場合はヒトニュールツリンを指す。この場合、レーザーゲン(Lasergene) バイオコンピューティング・ソフトウエア(DNASTAR,INC,Madison,WI)を使用 する多重配列クラスタル法(Higgins et al,Cabios 8:189-191,1992)で、2つ の配列を一列に並べる。この方法で多重の配列を次第に数珠つなぎ(アラインメ ント)に並べてゆく。一連のペア方向のアラインメントから算出された類似スコ アを用いて、この過程で大きさを増していく一連のアラインメント集団が集めら れる。好適な配列アラインメントは好適なアラインメントのスコアを見出して得 ることができ、そのスコアはアラインメント内の独立した残基間の合計スコアの 平均である。これは、一定の進化期間にわたって2 つの関連タンパク間で起こる 一定のアミノ酸変化の確率を表す残基量表から決定することができる。列のアラ インメントのギャップを広げて伸ばすことによるペナルティはスコアに加えられ る。本プログラムで使用するデフォルトパラメータは以下の通りである。多重ア ラインメントのギャップペナルティ=10;多重アラインメントのギャップ長ペナ ルティ=10;ペア方向アラインメントのk−ツプル(k-tuple)値=1 ;ペア方向 アラインメントのギャップペナルティ=3 、ペア方向アラインメントのウインド ー値=5 ;ペア方向アラインメントで保存された対角線=5 。アラインメント・ プログラムに使用される残基量表はPAM250である(Dayhoffほか、in Atlas of Pr otein Sequence and Structure,Dayhoff,Ed.,NBRF,Washington,Vol.5,su ppl.3,p.345,1978)。 パーセント保存は、同一の残基パーセントを、2 つの残基の保存置換(PAM250 残基重量で0.3 以上の対数確率値を有すると定義される)を表すパーセント位置 に加算することにより、上記のアラインメントから算出される。「保存」とは、 非ヒトニュールツリンで パーセント保存を決定する場合はヒトニュールツリンを指しており、非ニュール ツリン成長因子でパーセント保存を決定する場合はニュールツリンを指しており 、またGDNFを有する非ニュールツリン成長因子のパーセント保存を決定する場合 はヒトGDNFを指している。 この条件を満たす保存的なアミノ酸の変化は以下の通りである。R-K; E-D、Y- F 、L-M; V-I、Q-H。成熟ヒトと成熟ラットニュールツリン(それぞれhNTN,mNT N)間の識別(identltiy)(I)と保存(conservation)(C)、ならびに、上記のhNTN, mNTNの各々と、成熟ヒト、成熟ラット、成熟マウスのGDNF(それぞれhGDNF 、rG DNF およびmGDNF)間の識別(I)と保存(C)の計算を表2 に示す。 成熟マウスと成熟ヒトニュールツリンタンパク間との相同の程度は、配列の識 別性が約90% であり、ヒト以外の哺乳類のすべてのニュールツリンのヒトニュー ルツリンとの相同性は、配列の識別性が約85% 以上であると考えられている。鳥 類などの非哺乳類では、ヒトニュールツリンとの相同性が約65% 以上の配列同一 であると考えられている。比較方法としてニュールツリンとGDNFを比較すると、 成長因子のニュールツリン-GDNF ファミリーのファミリー構成因子 間の変動を理解できる。ヒトとマウスのニュールツリンは約40% の配列の識別性 をもち、ヒト、マウスおよびラットのGDNFの配列保存は約50% である。同様に、 異なるファミリー構成因子は、ニュールツリンの配列同一性の約40% 、GDNFの配 列同一性の約40% の配列同一性をもち、ニュールツリンとの同一性は約30% から 85% までの範囲にあり、GDNFとの同一性は約30% から85% の範囲にあると考えら れている。したがって、1 つの種からの一定の非ニュールツリンおよび非GDNFフ ァミリー因子は、ヒトニュールツリンおよびヒト以外の哺乳類ニュールツリン間 の配列に比べる場合、同種からのニュールツリンおよびGDNFの配列との方が配列 同一性が少ないが、ヒトニュールツリンとGDNF上記(上記のKingsley)を除くTG F-β上部ファミリー因子のその他の既知因子との間の配列と比べた場合、配列同 一性がはるかに大きいことを示すことが期待されている。プレ−プロ ニュール ツリンの場合、ヒト以外の哺乳類の種のプレ−プロ ニュールツリンの相同性は 、ヒトのニュールツリンと約85% 以上の配列同一性を持つアミノ酸配列のニュー ルツリン部分によって確認することができる。非哺乳類の種のプレ−プロ ニュ ールツリンの相同性は、ヒトニュールツリンと約65% 以上の相同性をもつアミノ 酸配列のニュールツリン部分によって確認することができる。 ニュールツリンには、融合タンパクやニュールツリン断片、バイブリッドや一 時異変形を含むハイブリッドおよびニュールツリンの一時変異形も含めることが できる。ハイブリッドや一時変異形では、ある種のアミノ酸が削除されるか置き 換えられる。ニュールツリンにはまた、ハイブリッドや一時変異形がニュールツ リンの生物学的活動を維持する限り、1つ以上のアミノ酸が一時変異アミノ酸か 異常アミノ酸、グリコソレーション(glycosolation)などの一時変異形に置き換 えられるなどの一時変異も含めることができる。これは生物学的活性の維持によ り、ニューロンの生存率が促進されることを意味する。しかしこれは必ずしも、 CHO 細胞による調整済培地ま たは組換えで生成されたヒトまたはマウスニュールツリンの細胞調整済培地から 分離されたニュールツリンの効能と同じレベルの活性度を意味するものではない 。 「実質的に相同」という意味には、本文に記載するニュールツリン抗体との相 互反応性により分離することができるあらゆるニュールツリン、またはゲノムDN A 、mRNA、cDNAを含むコード化ヌクレオチド配列の補足的な配列を、ゲノムもし くは副ゲノムヌクレオチドまたはニュールツリンのcDNAかその断片との補完的配 列のハイブリダイゼーションにより分離することができるあらゆるニュールツリ ンを含める。またこの技術に習熟した者なら、変性DNA 配列がヒトニュールツリ ンをコード化することができること、且つニュールツリンの対立遺伝子変種と同 様、これらの配列を本発明に含めることを意図していることを理解されるであろ う。プレ−プロ ニュールツリンの場合、プロ領域のコーディング配列に位置す るイントロンから得られる交互にスプライシングされたタンパク生成物が存在す るかもしれない。イントロンはマウスとヒトのプレ−プロ ニュールツリン配列 のアミノ酸57内の位置に相応するCDNA 核酸169 と170 間の配列に相応する位置 のゲノム配列に存在すると思われる(図7および図8参照)。 したがって、この位置の交互スプライシングは、本文で識別したヒトとマウス のプレ−プロ ニュールツリン(それぞれ配列番号(SEQ ID NO):11および配列 番号(SEQ ID NO):12)配列とは、1つ以上のアミノ酸の追加および/または除 去により識別されたアミノ酸の部位において、異なる配列を生み出すかもしれな い。本文中で使用した用語「プレ−プロ ニュールツリン」には、すべての交互 スプライシングのプレ−プロ ニュールツリンを含めることを意図している。 発明者は本文中でいかなる理論によっても影響されていないが、本文に識別さ れているヒトおよびマウスのタンパクならびに他の組 織および種からの相同体が、TGF-β上位ファミリーの他の因子として知られるも のと矛盾しない方法で、生物学的にアクティブな形のダイマーとして存在する可 能性があると思われている。 ホモダイマーの他に、ニュールツリンダイマーのモノマー単位を使用して、ニ ュールツリンから得られる最低1 個のモノマー単位を含む安定した成長因子のヘ テロダイマーあるいはヘテロマルチタイマーを構築することができる。この構築 は、ニュールツリンのホモダイマーをその構成モノマー単位に分離させ、第2 ホ モダイマー成長因子のモノマー単位のあるところで、再び結合させることにより 行うことができる。この第2 ホモダイマー成長因子は、多様な成長因子から選択 することができる。例えば、NGF 、BDNF、NT-3、NT-4/5などのGDNFやNGF ファミ リー構成因子、またはTGF-βの上位ファミリー、血管内皮成長因子またはCNTF/L IFファミリーなどが第2 ホモダイマー成長因子として挙げられる。 成長因子は特定の受容体に作用すると考えられている。例えば、TGF-βおよび アクチビン(activins)の受容体が確認されており、Ser/Thr キナーゼ・トラン スメンブレンタンパクのファミリーを構成する(Kingsley,Genes and Dev 8:133 -146,1994; Bexk et al Nature 373:339-341,1995 参照により本文に採用)。N GF ファミリーではNGF は、末梢知覚および交感神経ニューロンならびに基底前 脳ニューロンにおいてTrkA受容体に結合する。BDNFとNT-4/5は、trkB受容体に結 合する。さらにNT-3は、主としてCNS(中枢神経系)中に明確に分布するtrkC受容 体に結合する(Tuszynskiほか、Ann Neurol 35:S9-S12,1994)。発明者は、GDNF 、ニュールツリンおよび成長因子ファミリーの未知因子が、他の成長因子ファミ リーで示されたような明確な分布をもつ特殊な受容体を通じて活動していると考 えている。したがって、ニュールツリンのヘテロダイマーもしくはヘテロマルチ マー、およびその他の成長因子を1 つ以上組成することにより得られる成長因子 は、異なる組織分布をもつ最低2 つの 明確な受容体タイプに結合できると考えられる。こうして得られたヘテロダイマ ーまたはヘテロマルチマーは、細胞の拡大スペクトルを示すことが予想されてい る。ヘテロダイマーまたはヘテロマルチマーは細胞に作用するか、より大きな効 能を提供することが可能である。また、ヘテロダイマーまたはヘテロマルチマー は、ホモダイマーまたはホモマルチマーには見られない相乗効果を提供すること も可能である。例えば、異なるクラスの因子の組み合わせは、神経膠細胞の長期 の生存を促進することが明らかにされたのに対し、同じクラス内の単一の因子や その組合わせは短期の生存しか促進しなかった(Barres ほか、Development 118: 283-295,1993)。 ヘテロダイマーは多くの方法で構成することができる。例えば、解離/展開試 薬などの使用により解離/展開を起こすホモダイマーを混合して、コンディショ ニング(前処理)をほどこす。次にモノマーの再結合とヘテロダイマー形成を可 能にするコンディショニングにさらす。解離/展開試薬には、タンパクの解離を 促進することが知られるあらゆる試薬が含まれる。代表的な試薬には、塩酸化グ アニジン、尿素、チオシアン酸カリウム、HCl 緩衝液など、pH値を下げる試薬、 さらにアセトニトリルまたはアルコール(プロパノール、イソプロパノールなど )など極性がある水混和性の有機溶剤などがある。さらに、二硫化結合で電子対 結合されたホモダイマーについては、TGF-βファミリー因子の場合と同じく、解 離/展開および再結合を促進することが知られているジチオールトレイトールや β−メルカプトエタノールなどの還元剤を、解離/展開や再結合/再重複に用い ることができる。 またヘテロダイマーも、ニューロトロフィンで行ったように、形質転換された 細胞がヘテロダイマーを生成するような方法で、2 つ以上の因子で細胞のトラン スフェクションを行なって作ることができる(HeymachおよびSchooter,J Biol C hem 270:12297-12304,1995)。 ヘテロダイマーを作る別の方法は、ニュールツリンホモダイマーと第二成長因 子からのホモダイマーを組み合わせ、混合物を37℃で培養することである。 ホモダイマーからヘテロダイマーを生成する場合、予備的な非変性ポリアクリ ルアミド・ゲルからの溶離などの本技術に熟達した者が利用できる方法を用いて 、ホモダイマーからヘテロダイマーを分離することができる。別の方法として、 モノS カチオン交換カラムまたは段階的免疫親和性カラムなどの高圧カチオン交 換クロマトグラフィーを用いて、ヘテロダイマーを精製することができる。 成熟タンパクの配列のN 末端にあるシグナル配列をもつ細胞内で、多くのタン パクが合成されることが本技術分野ではよく知られている。そのようなリーダー 配列を運ぶタンパクは、タンパクのプレ部分と呼ばれる。タンパクのプレ部分は タンパクの細胞処理の間に分裂する。プレリーダー配列のほかに、多くのタンパ クが、成熟タンパクの安定した前駆物質であるタンパク上の領域を示す明確なプ ロ配列を含んでいる。プレ領域およびプロ領域の両方で合成されたタンパクは、 プレ−プロタンパクと呼ばれる。他のTGF-βファミリー因子および本文で決定さ れた配列で起きることが知られている処理イベントをかんがみ、発明者は細胞内 で合成されるニュールツリンタンパクの形は、プレ−プロ ニュールツリンであ ると信じる。プレ−プロ ニュールツリンはN 末端の19個のアミノ酸シグナル配 列を含むと考えられている(ヒトプレシグナル配列、配列番号(SEQ ID NO):15 、図7 、アミノ酸1 〜19は配列番号(SEQ ID NO):17によってコード化される。 図7 、核酸1 〜57; マウスプレシグナル配列、配列番号(SEQ ID NO):16、図8 、アミノ酸1 〜19は配列番号(SEQ ID NO):18によってコード化される。図8 、 核酸1 〜57)。リーダー配列の全長はシグナル配列として作用するためには必ず しも必要な配列ではないことが知られており、したがって、ニュールツリンのプ レ領域の 定義にはその断片(普通はN 末端断片)が含まれていない。これはシグナル配列 として機能できる性質を有し、ミトコンドリア、ゴルジ、血漿メンブレンやその 他このような1つ以上の細胞器官のメンブレンへの翻訳・挿入を容易にすること を意味する。 シグナル配列のあとには、成熟ニュールツリンのN 末端のアミノ酸配列直前の RXXRタンパク分解処理部位を含むプロ領域が続く。(ヒトプロ領域配列、配列番 号(SEQ ID NO):19、図7 、アミノ酸20〜95は核酸配列、配列番号(SEQ ID NO): 20によってコード化。図7 、核酸58〜285;マウスのプロ領域、配列番号(SEQ ID NO):22、図8 、アミノ酸19〜95は核酸配列、配列番号(SEQ ID NO):21によって コード化。図8 、核酸58〜285)プレ領域およびプロ領域はともに、ヒトプレ−プ ロ配列(配列番号(SEQ ID NO):23,図 7,アミノ酸 1〜95は配列番号(SEQ ID NO ):25によりコード化、核酸1〜285)および、マウスプレ−プロ配列(配列番号(S EQ ID NO):24,図8,アミノ酸 1〜95配列番号(SEQ ID NO):26でコード化。核酸 1 〜285)として識別したプレ−プロ配列を構成する。プレ領域配列およびプロ領 域配列ならびにプロ−プロ領域配列は、本文に定義のプレ−プロ ニュールツリ ンの内部に包含されている配列に基づいて、非ヒト哺乳類および非哺乳類の種と して識別し採取することが可能である。 上記の標識を利用して、分泌された成熟ニュールツリン分子は約11.5kDと推測 され、TGF-βファミリーの他の構成因子からの類推によって、二硫化物でつなが った約23kDのホモダイマーを形成していると見られる。予測された約23kDのタン パクは、ホモダイマーであるCHO 細胞で調整された培地から精製された25kDのタ ンパクと一致している。発明者は、ニュールツリン発現ベクター(pCMV-NTN-3-1) でトランスフェクションを行ったチャイニーズハムスターの卵巣細胞の調整済培 地から、約11.5kDのタンパクを検出した。その方法には、モノマーであると考え られるSDS-PAGEを還元条件の下で用いた。 プレおよび/またはプロ領域のヌクレオチド配列も、他の成長因子またはタン パクのコード配列でキメラ遺伝子を構成するのに用いることができる。同様にキ メラ遺伝子は、他の成長因子またはタンパクの遺伝子のプレおよび/またはプロ 領域をコード化する配列に結合されたニュールツリンのコーディング配列からも 構成することができる。(Boothほか、Gene 146:303-8,1994; Ibanez,Gene 146 :303-8,1994; Storiciほか、FEBS Letters 337:303-7,1994; Sha ほか J Cell Biol 114:827-839,1991参照により本文に採用)。こうしたキメラタンパクは、 活性タンパク種の生成または発現の変更を示す可能性がある。 本発明の好適なニュールツリンは、CHO 細胞で調整された培地中に識別され、 同培地から精製され分離された。また好適なニュールツリンには、組換えDNA 技 術によって調製されるニュールツリンもある。「純粋な形」、「精製された形」 または「実質的に精製された形」とは、ニュールツリン組成にはニュールツリン 以外の他のタンパクが実質的には存在しないことを意味する。 組換え型ヒトニュールツリンは、適切に形質転換された宿主細胞の中でニュー ルツリンをコード化するDNA 配列を発現することによって生成することができる 。本技術分野で周知の方法を用いて、ニュールツリンをコード化するDNA を発現 ベクターに結合し、宿主細胞内へ形質転換する。こうして形質転換された細胞に よるニュールツリンの発現に適した条件を設定することができる。 適切な発現ベクターならどんなベクターも組換え型ヒトニュールツリンの生成 に使用することができる。一例をあげると、哺乳類の発現ベクターpCB6(Brewer ,Meth Cell Biol 43:233-245,1994)や、E.コイル pET発現ベクターなどがある が、特にpET-30a(Studier ほか、Methods Enzymol 185:60-89,1990 参照により 本文に採用)はよく知られている。本文では上記のベクターを用いている。哺乳 動物とバクテリア細胞内の発現に好適なその他の発現ベクターで、本 分野で知られているのは、イーストか昆虫の細胞で使用するための発現ベクター である。また、バクロウイルス発現系を使うこともできる。 ニュールツリンはモノマー単位で発現させることもできる。またはそのような モノマー形を還元状態下の調整によって生成することができる。このような事例 では、タンパクの再結合と復元は、タンパク類の解離/結合を促進することで知 られている上記因子の1つを使用してこれを達成することができる。例えば、モ ノマー形をまずジチオトレイトールによって培養し、次に酸化グルタチオン二ナ トリウム塩による培養、続いて尿素などの再結合試薬を含む緩衝液による培養で 生成する。 CHO 細胞による調整済培地から精製されたニュールツリンのN 末端の配列と内 部断片からの類推によって成熟マウスの配列を推定し、この配列からヒト遺伝子 から得た配列を用いて成熟ヒト形を予測した。 成熟ヒト形のアミノ酸配列を図5に示した(hNTN,配列番号(SEQID NO):1)。 CHO 細胞による調整済培地から精製された物質は、成熟ニュールツリンである と考えられ、ダイマーか他のマルチマーかとして存在しており、他の方法で糖化 されているか化学的に変更されていることも考えられる。上述のように、マウス およびヒト核酸配列が示唆するのは、ニュールツリンが初めにプレ−プロポリペ プチドとして翻訳されたこと、そしてシグナル配列およびこの分子のプロ領域の タンパク分解処理が、本文中で「成熟ニュールツリン」と称され、CHO 細胞によ る調整済培地から採取され、かつ相同形のヒトおよび非ヒト種内に存在する、と 記載されている成熟配列を生成することである。したがって本発明は、ヒトおよ び非ヒト種に由来するあらゆる「成熟ニュールツリン」配列を含み、かつニュー ルツリン遺伝子から翻訳可能なあらゆるプレ−プロ ニュールツリポリペプチド を含む。 プレ−プロ ニュールツリンポリペプチドのコーディング配列は、クローンの 5'末端においてメチオニンをコード化する最初のATG コドンで開始されると考え られる(図9のポジション1)。このクローンの5'末端は、精製ニュールツリンか ら得たアミノ酸配列をコード化する配列と同じ読取り枠内に存在する。最初のコ ドンの下流には、プレ−プロ領域用のコーディング配列を含む大きな読取り枠内 があり、その後に成熟マウスのニュールツリン 用のコーディング配列が続く。 マウスニュールツリンゲノムクローンの配列分析によって、cDNAクローンから のプレ−プロ ニュールツリンのヌクレオチド169 と170 との間に、0.5kb のイ ントロンを確認した。このイントロンはプレ−プロ ニュールツリンタンパクの プレ領域のコーディング配列内に存在する。したがって、マウスのニュールツリ ン遺伝子は少なくとも2 つのエクソンを含むと考えられ、その1つがスプライシ ング部位の上流にコーディング配列を含み、もう1つも下流にコーディング配列 を含んでいると考えられる(図8、配列番号(SEQ ID NO):29,配列番号(SEQ ID NO):30)。GDNF遺伝子の相同部位にはイントロンがあることが知られており、 GDNFの交互スプライシング形をRT-PCR実験によって検出した(Suter-Crazzolara & Unsicker,Neuroreport 5: 2486-2488,1994 参照により本文に採用)。この 交互形は、当初報告されたスプライシング部位の3' 端の78bpにある第二コーデ ィング・ エクソン内のスプライシング部位を用いて得られる。交互にスプライシ ングされた形は、当初報告された形から26個のアミノ酸を削除することにより、 GDNFタンパクをコード化する。2つの形が異なった組織内で異なった比率で表現 される。マウスのP1脳とP1肝臓cDNAs を用いたRT-PCRおよびRACE実験では、ニュ ールツリンの交互スプライシング形は検出されなかった。しかしながら、ニュー ルツリン遺伝子の交互スプライシング部位が異 なった組織内で利用できる可能性が存在している。 ヒトニュールツリンのcDNAのコーディング配列は、ヒトニュールツリンゲノム クローンの配列から推定された。ヒトcDNAのコーディング配列は、マウスのcDNA 配列と同じく、コーディング配列のヌクレオチド169 と170 との間のイントロン によって切断される。したがって、ヒトニュールツリン遺伝子は少なくとも2 つ のエクソンを含み、その1つがスプライシング部位の上流にコーディング配列を 含み、もう1つは下流にコーディング配列を含むと考えられる(図7、配列番号 (SEQ ID NO):27,配列番号(SEQ ID NO):28)。スプライシング部位は、ヒトお よびマウス遺伝子のイントロンおよびエクソンが交差する接点に保存されている 。 こうして推定したヒトニュールツリンのアミノ酸配列から、位置286 と339 の 間にN 末端の配列が横たわることを早期に予測し、また位置385 と417 との間、 位置474 と533 との間、および位置547 と576 との間に、内部配列が横たわるこ とを予測した。位置592-594 にあるTGA 停止コドンは読取り枠を終了させる。 精製プレ−プロ ニュールツリンの予測長は、ヒトプレ−プロニュールツリン の場合、197 個のアミノ酸残基(配列番号(SEQ ID NO):7)であり、マウスの プレ−プロ ニュールツリンの場合、195 個のアミノ酸残基(配列番号(SEQ ID NO):8)である。このポリペプチドの予測分子量はマウスの場合、22.2kDで、 ヒト場合、22.4kdである。精製ニュールツリンの予測長は、100 個のアミノ酸残 基であり、予測モノマー分子量は11.5kDである。しかし、N-結合の糖付加部位は なく、ヒトニュールツリンの位置18、26、80、86および95にあるアミノ酸残基で 、潜在的O-連結の糖付加部位が発現する。これらの部位の1つか組合わせた部位 は分子の分子量を増加させるだろう。プレ−プロ ニュールツリン配列には異な る開裂部位が存在するかもしれない。成熟マウスのニュールツリンのアミノ酸配 列(図5、配列番号(SEQ ID NO):2)は、精製チャイニーズハ ムスターニュールツリンのN-末端のアミノ酸配列のアラインメントから予測され る。4残基RRAR開裂部位(アミノ酸92-95)は、成熟マウスニュールツリンの予測N -末端アミノ酸のすぐ前に発見される。このRRAR配列はRXXR共通配列に一致する 。この共通配列ではTGF-βの上位ファミリー構成因子がふつう開裂する。推測に よるこのRRAR開裂配列はヒトニュールツリンに保存される。しかし、この配列で 開裂される場合、成熟ヒトニュールツリンは、成熟したマウスのニュールツリン に比べて、アミノ酸のN-末端に2 個の残基を余分にもつことが予測される。ニュ ールツリンには、RXXR共通配列(例えばアミノ酸90-93 の配列RRRR)に一致する 配列が他にもあり、この開裂にかかわるプロテアーゼの特異性が完全には理解さ れていないため、ある条件下ではニュールツリンがRRAR配列以外の部位で開裂さ れる可能性があり、成熟ニュールツリンタンパクは、マウスの配列(プレ−プロ タンパク)の場合ポジション101 、ヒト配列の場合ポジション103 にあるシステ イン残基に先行する部位に、可変数のアミノ酸をもつ可能性がある。このような 交互の開裂部位は、異なった生物間と同じ生物の異なった組織間では、異なった 利用の仕方がなされるであろう。TGF-βファミリー構成因子の成熟形にある7個 の保存システインの第1 番目に先行するN-末端アミノ酸は、長さにも配列にも著 しく変動がある。さらに、10個の残基からなるアミノ酸配列を、最初に保存され たシステイン残基の2 個上流に挿入することによって、1 つのファミリー構成因 子ドルサリンのよく知られた生物学的活動が影響を受けることはない(Basler, K.,Edlund,T.,Jessell,T.M.,and Yamada,T.,(1993)Cell 73:687-702)。 したがって、マウスのシステイン101 、ヒトのシステイン103 に先行する異なっ た長さの配列を含むニュールツリンタンパクは、生物学的な活性を維持すること が予想される。 発明者は本文で少なくとも、生物学的活性を示すニュールツリン配列はヒトニ ュールツリン(図7、配列番号(SEQ ID NO):31)の 場合、システイン103 で始まりシステイン196 で終わり、マウスのニュールツリ ン(図7 、配列番号(SEQ ID NO):32)の場合、システイン101 で始まりシステ イン194 で終わる配列を含むと考えている。したがって、本発明の請求範囲には 、配列番号(SEQ ID NO):31を含むアミノ酸配列および、配列番号(SEQ ID NO): 32を含むアミノ配列、ならびにこれらのアミノ配列をコード化する核酸配列を含 める。 本発明には、ヒトとマウスのニュールツリンをコード化する配列を含む核酸配 列を含める(図5)。また本発明の請求範囲には、ニュールツリンをコード化する 核酸配列と実質的に同じ配列が含まれている。例えば、このような実質的に同じ 配列は、周知の標準的手法に従って、E.コイルのなどの一定の宿主細胞の中でよ り容易に発現するコドンで置き換えられるかもしれない。そのような変更された 核酸配列も本発明の請求範囲の中に含められるであろう。 本技術に熟練した者は特定の核酸配列を変更することができる。したがって、 プレ−プロ ニュールツリンのアミノ配列、またはプレ領域またはプロ領域、ま たはニュールツリンのコード化を行うすべての核酸配列を同様に変更することが できる。したがって本発明にはまた、このようなすべての核酸配列(または適宜 、核酸配列の補体と呼ばれる)とハイブリダイゼーションを行い、また細胞生存 作用を促進するポリペプチドのコード化を行う核酸配列が含まれる。本発明には また、ニューロンの生存促進作用を有し、ニュールツリンに結合する抗体によっ て識別されるポリペプチドのコード化を行う核酸配列も含まれる。 また、本発明には、本発明の請求範囲に含めた核酸配列のいずれにも機能的に 結合する発現規制因子からなるベクターを含める。また本発明には、本発明の範 囲に含めた核酸配列のいずれにも機能的に結合する発現規制因子からなるベクタ ーによって形質変換されたあらゆる変種の宿主細胞を含める。 また本文には、ニュールツリンを生成する方法も述べている。標本は様々な細 胞タイプからの調節済培地からの分離によって調製することができる。ただし当 該細胞タイプがニュールツリンを生成することを条件とする。2番目に好適な方 法として、ニュールツリンをコード化する核酸配列を分離し、配列を適切な規制 配列と共に適切なベクターおよび細胞タイプ内へクローニングを行い、かつニュ ールツリンを生成するための配列を発現させることによる、組換え型利用の方法 がある。 4つの神経栄養因子--神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDGF)、ニュ ーロトロフィン(neurotrophin)-3(NT-3)、およびニューロトロフィン-4/5(NT-4/ 5)--から成る哺乳類の遺伝子ファミリーを確認した。これらの因子は約60のパー セントの核酸配列相同性を共有する(Tuszynski&Gage,Ann Neurol 35:S9-S12, 1994参照により本文に採用)。ニュールツリンタンパクは神経成長因子のNGF フ ァミリーに対しては顕著な相同性を示さない。ニュールツリンは成長因子のTGF- β上位ファミリーと20% 未満の相同性を共有するのみである。しかし、ニュール ツリンはGDNFと約40% の配列の相同性を示す。特に、ニュールツリンにもGDNFに もある7個のシステイン残基の位置は正確に保存される。発明者は本発明で、タ ンパクをコード化し、ニュールツリンおよびGDNFに対して著しいアミノ酸配列相 同性を有し、かつ同じか異なる組織および同じか異なる生物学的活性に対して選 択性を有する成長因子として機能する他の未確認遺伝子が存在するかもしれない と考える。影響を受ける組織および/または引き起こされる反応に関しては、異 なったファミリー構成因子による異なった受容体の優先的な活性化から、異なっ た多様な活動が生じる可能性がある。これは神経成長因子のNGF ファミリー構成 因子で起こることが知られている(上記 Tuszynski and Gage,1994)。 ファミリー構成因子のタンパク生成物の中に、アミノ酸配列の実 質的な保存を示す特定遺伝子ファミリーの構成因子の影響として、DNA レベルに おいて配列が相当保存されている。これはGDNFおよびニュールツリンが属する遺 伝子ファミリーの他の構成因子を確認するための新しい方法の基礎を形成する。 そのような識別に用いられる方法は、1つのファミリー構成因子から得られる核 酸プローブを使用するクロスハイブリダイゼーションである。この方法では、遺 伝子ファミリーの異なる構成因子から得た核酸配列を用いて、安定したハイブリ ッドの二重構造分子を形成することができる。または異なったファミリー構成因 子から核酸配列を増幅することができる。(Kaisho et al.,FEBS Letters 266:1 87-191,1990参照により本文に採用)。異なったファミリー構成因子からの配列 は、プローブと同じではないかもしれないが、プローブとのハイブリダイゼーシ ョンには、プローブ配列に十分類似していると考えられる。代替方法として、フ ァミリー構成因子をさらに確認するため、1つのファミリー構成因子からのプラ イマーを使用するPCR を使用することができる。 上記方法では、これまで1つのファミリー構成因子であるGDNFしか知られてい なかったため、他の遺伝子ファミリー構成因子の確認に成功していない。しかし 、ニュールツリンが本文で確認されたことで、この遺伝子ファミリーの保存部位 から配列を含むユニークで新しいプローブとプライマーを生成することができる 。特に、新しいプローブとプライマーを構築する基礎として使用できる3つの保 存領域が本発明で確認された。本発明で利用可能になった新しいプローブとプラ イマーにより、この強力な新しい方法が可能になり、いまでは他の遺伝子ファミ リー構成因子を成功裡に識別することができるようになった。この新しい方法を 用いて、GDNFとニュールツリンの分子中の保存領域に基づくDNA またはRNA のプ ローブを調製することにより、配列の相同なGDNFとニュールツリンに関連した遺 伝子の選別を行うことができる。したがって、本発明の実施例の1 つには、ヌクレオチド配列に固有またはそれらの配列に由来するプローブとプラ イマーが含まれる。上述の配列はこのような保存領域および識別方法のコーディ ングを行う。これはGDNF- ニュールツリン遺伝子ファミリーの構成因子をさらに 識別するためである。保存領域のアミノ配列には以下の配列が含まれる。Val-Xa a1-Xaa2-Leu-Gly-Leu-Gly-Tyr(うちXaa1はSer またはThr 、Xaa2はGlu またはAs p)(配列番号(SEQ ID NO):33); Glu-Xaa1-Xaa2-Xaa3-Phe-Arg-Tyr-Cys-Xaa4-Gly -Xaa5-Cys-Xaa6-Xaa7-Ala(うちXaa1はThr またはGlu,Xaa2はVal またはLeu,Xaa3 はLeu またはIle,Xaa4はAla または Ser,Xaa5はAla またはSer,Xaa6はGlu また はAsp,Xaa7はAla またはSer);(配列番号(SEQ ID NO):34);Cys-Cys-Arg-Pro-Xaa1 -Ala-Xaa2-Xaa3-Asp-Xaa4-Xaa5-Ser-Phe-Leu-Asp(このうちXaa1はThr またはVa l またはIle,Xaa2はTyr またはPhe,Xaa3はGlu またはAsp,Xaa4はGlu またはAsp, Xaa5はVal またはLeu)(配列番号(SEQ ID NO):35)。上記の保存配列または 上記の保存配列の断片のためのコーディング配列を含むヌクレオチド配列はプロ ーブとして使用することができる。模範的なプローブおよびプライマー配列には 、アミノ配列をコード化する次のような核酸配列がある:配列番号(SEQ ID NO) :33、配列番号(SEQ ID NO):36、配列番号(SEQ ID NO):37、配列番号(SEQ ID NO):38、配列番号(SEQ ID NO):39、配列番号(SEQ ID NO):40、配列番号(SEQ ID NO):41。次の核酸配列は特に好適である。配列番号(SEQ ID NO):42、配列 番号(SEQ ID NO):43、配列番号(SEQ ID NO):44、配列番号(SEQ ID NO):45、 配列番号(SEQ ID NO):46、配列番号(SEQ ID NO):47、配列番号(SEQ ID NO):4 8。 核酸配列の保存領域から得られた新しいプローブを使用するハイブリダイゼー ションは、還元状態の刺激の強い条件下で行なわれるだろう。刺激の強い条件の 決定に係わる要素は、本技術でよく知られている(例えばSambrookほか、Molecu lar Cloning,2nd Ed.,19 89参照により本文に採用)。選別用の核酸の供給源には、哺乳類またはcDNAライ ブラリーから得られるゲノムDNA ライブラリーが含まれる。このライブラリーは 、好適なベクター内へクローニングされた哺乳類の細胞から得られるRNA を用い て構築される。 PCR プライマーは低めのアニーリング(焼き戻し)温度のPCR 条件下で利用さ れる。アニーリングによりGDNFとニュールツリン以外の遺伝子ファミリー構成因 子からの配列の増幅が可能である。選別用の核酸の供給源には、哺乳類からの好 適なベクター内へクローニングされた哺乳類からのDNA ライブラリー、哺乳類の 細胞より得られたRNA から転写されたcDNA、そして哺乳類から採取されたゲノム DNA が含まれる。 ハイブリダイゼーションまたはPCR アッセイに基づいて識別されたDNA 配列の 配列を行った後、配列をGDNFおよびニュールツリンと比較する。すると本文に記 述するのと同じ方法で、新しい因子の全配列をコーディングするDNA 配列を得ら れる。また、ゲノムDNA またはゲノムクローンのライブラリーも鋳型として使用 できる。なぜならGDNFおよびニュールツリンのイントロン/エクソン構造は保存 されており、成熟タンパクのコーディング配列はイントロンによって中断されな いからである。 ニュールツリンは特定のニューロンタイプの生存を促す能力に基づいて精製さ れてはいるが、この因子は他のニューロン細胞タイプにも作用する。例えばニュ ールツリンは、結節性知覚神経節ニューロンの生存を促進するものとして本文で は説明している(例3参照)。またニュールツリンは、非ニューロン細胞の生存 を促進するかもしれない。事実、今日まで分離されたすべての成長因子は、多く の異なる細胞タイプに作用するものとして示されてきた(例えばScully&Otten ,Cell Biol Int 19:459-469,1005; Hefti,Neurotrophic Factor Therapy 25: 1418-1435,1994参照で引用)。NGF(神経成長因子)は、交感神経ニューロン、い くつかのタイプの知覚 ニューロン、および中枢神経ニューロンのある固体群に作用することが知られて いる。ニュールツリンに対してより密接な関係をもつGDNFは、ドパミン作用性ニ ューロン、交換神経性ニューロン、運動性ニューロン、その他いくつかの知覚ニ ューロンにも作用することが明らかにされている(Henderson et al,supra,199 4; Miles et al,J Cell Biol 130:137-148,1995; Yan et al,Nature 373:341 -344,1995; Lin et al,Science 260:1130-1132,1993; Trupp et al,J Cell Biol 130:137-148,1995; Martin et al,Brain Res 683:172-178,1995; Bowen kampほか、J Comp Neurol 355:479-489,1995 参照により本文に採用)。したが って、末梢交感神経知覚ニューロン以外にも、ニュールツリンは多種多様な中枢 神経ニューロンおよび末梢神経ニューロンの細胞タイプに作用する可能性がある 。 ニュールツリンはまた、非ニューロン細胞に作用して、それらの生存、成長ま たは機能を促進するらしいことが考えられる。このように期待する根拠は、既知 成長因子の活動である。NGF は原始型の神経栄養因子であるが、ラット新生児に 注入すると、この成長因子は宿主細胞に作用して宿主細胞を増殖させる(Aloe,J Neuroimmunol 18:1-12,1988)。さらに、宿主細胞はtrk 受容体を発現し、かつ NGF があたかも宿主細胞分泌促進物質であり、生存促進因子であるようにNGF に 反応する。(Horigome et al.,J Biol Chem 269:2695-2707,1994 参照により本 文に採用)。さらにTGF- β上位ファミリーの構成因子は、異なった機能と胚形成 起源の多くの細胞タイプに作用する。 発明者は本文にて、ニュールツリンが血液や骨髄、新生児の肝臓、マスト細胞 など、いくつかの非ニューロン組織に発現することを確認した。これはニュール ツリンが造血、炎症およびアレルギーにある種の役割を果していることを表す。 NGF ファミリーの神経栄養因子は、因子特有の親和性の高い受容 体を経由して作用すると考えられる(上記、Tuszynski and Gage,1994)。受容 体の結合には、受容体部位で作用するタンパクの特定部分だけが必要とされる。 そのような特定部分または不連続断片は、作用剤として機能することが考えられ る。作動剤ではそれらの物質が受容体を活性化して、細胞の生存や成長を促進す る作用をひき出す。またニュールツリンに対する拮抗剤として機能することも考 えられ、そこではその因子はレセプターに結合しても、生存や成長は促進しなか ったり、あるいは生存や成長を促進したりする。作動剤としてのそのような部分 /断片および、拮抗剤としての部分/断片も本発明の範囲に含める。 合成による汎成長因子も、ニュールツリンの活性領域を他の1つ以上の成長因 子の活性領域と結合させることによって構築することができる。(例えば、Ilag ほか、Proc Nat'l Acad Sci 92:607-611,1995 参照により本文に採用)。これ らの汎成長因子はニュールツリンと他の1 つ以上の成長因子を結合した作用を有 することが予想される。汎成長因子はそれ自体で強力な特効薬となる成長因子で あると考えられ、幅広い退行型の病気や病状を治療するのに役に立つ。活性領域 を親因子から得ることにより、これらの病気・病状はあらゆる親因子による治療 が可能であろう。また、そのような汎成長因子は親因子の活性以上の相乗効果を 発揮するかもしれない(上記Barresほか)。 本発明の範囲に含まれる汎成長因子には、少なくとも2つの成長因子の断片部 分から構成されるキメラまたはハイブリッドポリペプチドを含めることができる 。TGF- β上位ファミリーの成長因子は構造的に関連しており、高度に保存され た配列の標識をもち、ファミリー構成因子の識別に役立つ。特に、7 個の基準的 枠組みのシステイン残基は上位ファミリー構成因子中でほとんど不変である(Kin gsley,Genes & Dev 8:133-146,1994参照により本文に採用)(図17参照)。した がって、キメラのポリペプチド分子は、乗換点まで ニュールツリン分子部分と実質的に同じ配列、ならびに、もう片方のTGF-β上位 ファミリー構成因子部分と実質的に類似する配列で、片方のTGF-β上位ファミリ ー構成因子の対応乗換え点の反対側にのびる配列から構成することができる。ニ ュールツリンのそのような部分は、好適には、約10〜約90個、より好適には約20 〜約80個、最も好適には約30〜約70の隣接するアミノ酸の鎖であり。非ニュール ツリンTGF-β上位ファミリー構成因子は、好適には約10〜約90個、より好適には 約20〜約80、最も好適には約30〜約70個の隣接するアミノ酸の鎖である。例えば 、3 番目のシステイン残基と4 番目の基準的枠組みのシステイン残基との間には 、特定の乗換え点があるかもしれない。このような模範的な1つの構造は、5'末 端にヒトニュールツリン配列から成る配列を含む。この配列は、残基1から第3 基準枠組みシステイン残基39を経て残基68までが含まれるが、第4基準枠組みシ ステイン残基69は含まれない。ハイブリッド構造の3'末端は、例えばGDNFのよう な他のTGF-β上位ファミリー構成因子に由来する配列を構成するだろう。このTG F-β上位ファミリー因子はニュールツリンに密接に関連している。GDNFをもう片 方のTGF-βファミリー因子として使用して、乗換え点からのハイブリッド構造を 構成することができる。その構造は、ヒトGDNFの第4 基準枠組みシステイン残基 101 で始まり、ヒトGDNFの3'末端の残基134 まで継続する配列から構成されるだ ろう。二番目の模範的なハイブリッド構造は、構造の5'末端で始まるヒトGDNFの 残基1 〜100 から成り、ヒトニュールツリンの残基69〜102 に継続的に結合させ ることができる。ニュールツリンおよびGDNFを有する上記構造体は、特定のTGF- βファミリー構成因子を有する事例のみを意図したものだが、この因子は以下に 述べる因子他を含むファミリー構成因子から選択される。形質転換成長因子β1 (TGFβ1)、形質転換成長因子β2(TGFβ2)、形質転換成長因子β3(TGFβ3) 、インヒビンβA(INHβA)、インヒビンβB(INHβB)、結節性遺伝子(NODAL) 、 骨形態発生タンパク類2および4(BMP2とBMP4)、ショウジョウバエ・デカペンタ プレジック(Drosophila decapentaplegic)遺伝子(dpp)、骨の形態発生タンパ ク類5-8(BMP5、BMP6、BMP7およびBMP8)、ショウジョウバエ60A 遺伝子ファミリ ー(60A)、骨形態発生タンパク3(BMP3)、Vg1 遺伝子、成長分化因子1と3(GDF1と GDF3)、ドルサリン(drsln)、インヒビンα(INH α)、MIS 遺伝子、成長因子9( GDF-9)、グリア由来神経営養成長因子(GDNF)およびニュールツリン(NTN)(図18 参照)。なお、乗換え点は、第1および第7基準枠組みシスティン分子と、特定 の片方ファミリー構成因子との間に存在する残基のいずれでも有り得る。 特定のキメラ分子を構成するには、ニュールツリンの一部と、もう片方の部分 つまり非ニュールツリン成長因子をPCR を用いて増幅し混合して、PCR 反応用の 鋳型として使用する。この反応にはキメラ分子の2つの構成部分の一方からの前 向きプライマーと、もう片方からの逆向きプライマーを使用する。そこで例えば 、前向きと逆向きのプライマーを選んで増幅を行うが、それには最初のプライマ ーから、選択した第3および第4基準システイン残基の間に存在する選択乗換え 点までのニュールツリンの一部のニュールツリンプラスミッドを鋳型として使用 する。次に、ニュールツリン配列の短い重複部分をもつ前向きプライマーと、逆 向きプライマーを用いて、もう片方の部分、つまり対応乗換え点から3'末端まで のTGF-β上位ファミリーの非ニュールツリン成長因子を増幅する。鋳型には非ニ ュールツリンTGF-βファミリー因子のコーディング配列を含むプラスミドを使用 する。2 つのPCR 反応から得られた生成物をゲルで精製し、混合して PCR反応を 行う。PCR 反応はアリコートを鋳型として、非ニュールツリン成長因子のニュー ルツリンの前向きプライマーおよび逆向きプライマーを用いて行う。次にこの生 成物をキメラ分子生産のため発現ベクターへクローニングする。 キメラ成長因子は細胞の成長と発達の促進に有効なことが予想さ れ、ニューロン特有の細胞の機能低下や変性、壊死の予防に使用できることが期 待される。また、キメラのポリペプチドは、キメラポリペプチドを構成する完全 な因子の同一受容体の拮抗剤として作用する可能性があり、また上述の受容体で 作用するその他の成長因子の拮抗剤としても作用する可能性がある。またこのよ うなポリペプチドは、食糧、可燃エネルギー源、および粘性を高める溶質として 使用することもできる。 また本発明には、細胞変性患者を有効量のニュールツリンで治療する治療法ま たは調剤、あるいは治療的に有効な量のニュールツリンを投与することを含む方 法を含めている。これらの組成および方法は多くの変性疾患の治療に有効である 。細胞変性がニューロンの変性に係わる場合、次のような疾病がある。末梢(ニ ューロパシー)神経障害、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソ ン氏病、ハンティントン病、虚血性発作、急性脳傷害、急性脊髄傷害、神経系腫 瘍、多発性硬化症、末梢神経外傷か負傷、神経毒由来傷害、糖尿病また腎不全の ような代謝不全症など。 細胞変性が骨髄細胞変性に係わる場合、好酸球減少お よび/または好塩基球減少などの血球欠乏症を含む以下のような疾病がある。リ ンパ球減少、単球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、上記疾病のいずれにも 共通する茎細胞欠乏など。また、上記の細胞と組織の機能低下も治療可能である 。 本組成と方法は、他の非ニューロン組織内の変性を防止するのみでなく、生存 の促進にも有効であろう。本技術の熟練者なら周知の様々なアッセイを使用して 特定の細胞タイプの生存や機能の促進にニュールツリンが有効か否かをただちに 判断できるはずである。 ある条件の下では、発現ニュールツリンの量を調整するか減少させるのが望ま しいかもしれない。例えば、発明者は、移植遺伝子によるマウスニュールツリン の過剰発現は皮下および肝臓に多量の脂肪の蓄積による肥満をもたらすことを発 見した。ヒトにおけるニ ュールツリンのそのような生産過剰は新陳代謝を変えてしまい、過剰の脂肪組織 を生成してしまうと考えられている。このような病状の場合、組織に存在するニ ュールツリンの量を調整するか減少させることが望ましい。ニュールツリンを調 節ないし減少させる治療法として、ニュールツリン抗体(ポリクローンか単クロ ーンのいずれか)の投与、ニュールツリン発現を調整させるアンチセンスポリヌ クレオチドの使用、拮抗性を有するハイブリッドかキメラの使用などがある。 したがって、本発明のもう1つの側面には、単離し精製されたニュールツリン アンチセンス・オリゴノヌクレオチドを生産し、細胞のニュールツリン発現のレ ベルを減らすための方法を利用するがある。これは1 つ以上のニュールツリンア ンチセンス・オリゴノヌクレオチドの投与からなる。「ニュールツリンアンチセ ンス・オリゴノヌクレオチド」とは、ヌクレオチド配列を持ち、塩基対の組合せ を通じて、特定の相補的核酸配列と相互作用するオリゴノヌクレオチドを意味す る。この相補的核酸配列はニュールツリンの発現が抑制されるような仕方でニュ ールツリンの発現にかかわる。好適には、ニュールツリンの発現にかかわる特定 の核酸配列には、ニュールツリンをコード化するゲノムDNA 分子かmRNA分子があ る。このゲノムDNA 分子には、ニュールツリン遺伝子の規制領域、ニュールツリ ン遺伝子のプレ領域またはプロ領域、ニュールツリンタンパクのコーディング配 列などが含まれる。したがって、ニュールツリンアンチセンス・オリゴノヌクレ オチドおよび生産方法に関連して用いられるヌクレオチド配列に「相補的である こと」という用語は、ヌクレオチド配列に対して十分相補的であるため、生理的 条件下で細胞内の当該配列へのハイブリダイゼーションを可能にすることを意味 する。ニュールツリンアンチセンス・オリゴノヌクレオチドは好適には、オリゴ ノヌクレオチドが約8〜約100 個のヌクレオチドを含む配列からなり、より好適 には、約15〜約30個のヌクレオチドか ら構成されることである。またニュールツリンアンチセンス・オリゴノヌクレオ チドには、まざまな一時変異を含む誘導体を含めることができる。この誘導体に より、変異したヌクレオシドの相互結合、変異さた核酸塩基、および/または糖 などの核小体の分解に対して抵抗力が与えられる(Uhlmann&Peyman,Chemical R eviews 90:543-584,1990; Schneider& Banner,Tetrahedron Lett 31:335, 1 990; Milligan et al,J Med Chem 36:1923-1937,1993; Tseng et al,Cancer Gene Therap 1:65-71,1994; Miller et al,Parasitology 10:92-97,1994参照 により本文に採用)。そのような誘導体には以下のような主要な一時変異が含ま れるがこれに限定されない。りん酸トリエステル、ホスホロチオエート(phospho rothioate)、メチルホスホネート(methylphosphonate)、ホスホラミデート(phos phoramidate)、ホスホロジチオエート(phosphorodithioate)、ホルムアセタール 、モルフォリノ(morpholino)、ペプチド核酸類似体とジチオ酸塩の繰り返しユ ニット。本発明のニュールツリンアンチセンス・ポリヌクレオチドは、肥満の治 療や組織異常増殖の抑制などのニュールツリンの過剰発現、またはニュールツリ ンの不適切な発現などの治療に使用することができる。また、そのような治療は 細胞の体外処置を含む場合もある。 本発明の治療法ないし調製は、医学上適切な経路で実施できる。例えば、その 経路には静脈、皮下、筋内、経皮、硬膜下腔内、大脳内などがあり、または体外 処置プロトコルで細胞に投与することもできる。投与は注射のように迅速な場合 と、一定の期間に及ぶ輸液とか低速放出剤による投与のいずれかに分かれる。中 枢神経系で組織を処置するために、投与は脳脊髄液(CSF)の中に注射か注入を使 用することができる。ニュールツリンを中枢神経系の細胞に投与する場合、投与 は血液脳関門を越えてニュールツリンの浸透を促進することができる1種以上の 薬剤を同時に使用することができる。 ニュールツリンはまた、好適な処方上または薬理的特長を供与す る薬剤に結合させることができる。例えば、ニュールツリンは、本技術で周知の どんな薬物とも結合し、抗体など血液脳関門を越えたトランスフェリン受容体へ の浸透または移送を促進することが知られている。ニュールツリンは静脈注射に よって投与することができる。(Friden ほか、Science 259:373-377,1993 参照 により本文に採用)。さらに、ニュールツリンをポリエチレングリコールのよう な高分子に安定した結合を行い、溶離度、安定性、半減期などの望ましい特性、 その他薬学的に有利な特性を獲得することができる。(Davis ほか、Enzyme Eng 4:169-73,1978; Burnham,Am J Hosp Pharm 51:210-218,1994参照により本文 に採用)。 一般に本組成は製薬過程に採用されている。こうした調製は製薬技術でよく知 られている方法で行われている。1 つの一般的な調製法では、生理的食塩水を賦 形剤として利用するが、その他の薬学的に妥当な担体も検討されている。例えば 、その他の非毒性塩の生理的濃縮剤、5パーセントのグルコース溶液、無菌水な どを使用することができる。また、適当な緩衝液が組成に存在することも望まし いかもしれない。このような溶液は、必要に応じて凍結乾燥させたうえ無菌アン プルに保存し、無菌水の添加によっていつでも再形成し、ただちに注射できるよ うに用意することができる。主要な溶液は水である、代わりに非水を溶液として 用いる場合もある。また、処置を必要とする組織に埋め込むことができる固形や 、生物学的に対応する準固形のマトリクスにニュールツリンを組み入れることも できる。 また、担体には薬学的に許容される他の賦形剤を用いて、薬剤のpH、容量オス モル濃度、粘性、透明度、カラー、無菌性、安定性、溶離速度、臭気の変更ある いは維持を行うこともできる。同様に、担体に他の薬学的に許容できる賦形剤を さらに採り入れ、血液脳関門を越えて徐放、吸収または浸透を変更したり維持す ることができる。そのような賦形剤は、単独投与か複数投与のいずれかによる非 経口投与、継続的または周期的な注入によって脳脊髄液中に直接注入を行うべく 調剤する場合に、一般に慣習的に使用される。 投与量の定式化の薬物力学的パラメータおよび使用される投与経路に応じて、 投与量を繰り返すことができる。 また、ニュールツリンを含むある種の調剤には経口投与も検討されている。そ のような調製薬は、固形状の適当な担体と共に調製され、カプセルに入れられる ことが望ましい。好適的な担体、賦形剤および希釈剤には、ラクトース、ブドウ 糖、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、ガムアカシア、りん 酸カルシウム、アルギン酸塩、けい酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニ ルピロリドン、セルロース、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース、メチルお よびプロピルヒドロキシベンゾアート、タルク、マグネシウム、ステアリン酸、 水、ミネラルオイル、その他の類似物質。そのほか調製薬には、潤滑剤、湿潤剤 、甘味剤または芳香剤を用いることもある。薬剤の調製においては、本技術でよ く知られている手順をもちいて、患者へ投与を行った後、急速な放出、持続的な 放出、徐々の放出など有効成分の放出スピードを調節するように調製することが できる。また、調製薬にはタンパク分解による変性を減少させる物質や、例えば 表面活性剤などのように吸収を促進する物質も使用することができる。 特定の投与量は、患者のおおよその体重、身体の表面積または身体の体積に従 って計算される。また、投与量は選択された投与経路を考慮しても計算される。 治療のための適切な投与量を決定するのに必要な計算の精度の向上は、本技術に 熟練した者により日常的に行われている。このような計算は、標的細胞のアッセ イ準備に関し本文で開示した実施例に照らして、過度の実験でなければ本技術に 熟練した者1人で行うことができる。正確な投与量は標準の投与量対反応の実験 と関連して決定する。実際の処方は医師によってなされ、治療される患者の病状 、投与される薬剤の選択、年齢、体重、 および各患者の反応度、患者の症状の程度など、情況を適切に考慮して決定され ることは理解されるであろう。 本発明の1つの実施例として、ニュールツリンを患者のベクターまたは細胞に 治療的に移植することにより投与することである。ベクターまたは細胞は生物学 的に活性を示すニュールツリンまたはニュールツリンの前駆体の形を生み出すこ とができる。ニュールツリンまたはニュールツリンの前駆体は体内で生物学的に 活性を示すニュールツリンを生成できる細胞である。1つの方法では、ニュール ツリンを分泌する細胞を半透過性のメンブレンに包んで患者に移植される。細胞 は一般にニュールツリンかニュールツリンの前駆体を発現する細胞を用いてもよ く、ニュールツリンまたはニュールツリンの前駆体を発現させるため形質転換さ れた細胞を用いてもよい。患者がヒトである場合、ヒト起源の細胞であること、 またニュールツリンがヒトのニュールツリンであることが望ましい。しかし、本 文に記載する調製薬と方法は、獣医学的治療にもヒトの治療にも応用することが でき、本文に使用される用語の「患者」は人間および動物の患者を意図している 。 細胞は体外で増殖することが可能で、例えば患者への移植に使用することがで きる(Muench ほか、Leuk & Lymph 16:1-11,1994参照により本文に採用)。細胞 の成長と分化を引き出すためにニュールツリンを細胞に投与することができる。 したがって、この発明の別の実施例では、移植用の細胞の体外増殖を促進させる ため、ニュールツリンを使用することができる。本方法では、エリスロポイエチ ン、コロニー刺激因子、幹細胞因子およびインタロイキンなどの因子を含むバイ オリアクタ培養法を使用し、赤血球、単球、好中球、およびリンパ球のための造 血先祖細胞を増大させた(Verfaillie,Stem Cells 12:466-476,1994参照により 本文に採用)。これらの幹細胞はヒトドナーの骨髄、または、ヒト末梢血液、へ その緒の血球から分離することができる。増殖させた血球は、特殊な病状の結果 、 または悪性疾患治療のための大量投与化学療法の結果、これらの血球が欠乏して いる患者の治療に使用される(George,Stem Cells 12(Suppl 1):249-255,1994 参照により本文に採用)。化学療法後の細胞移植の場合、化学療法の前に骨髄細 胞を採取し、悪性細胞を取り除く機能を有する方法を使用して体外で細胞を増殖 させ、化学療法後に増殖させた細胞を患者に移植することによって、自系移植を 行うことができる(詳細については、Rummel & Van Zant,J Hematotherapy 3:2 13-218,1994参照により本文に採用)。ニュールツリンは発達中の動物の血液、 骨髄および肝臓など先祖細胞の増殖と分化が起こる組織に発現するため、ニュー ルツリンが造血幹細胞の増殖および、成熟した造血細胞の分化を調整する機能を 有することができると信じられる。したがって、細胞の体外増殖に使用される培 養系へニュールツリンを付加することによって、細胞数の増殖または分化の速度 が刺激され、移植に必要な細胞を生み出すこれらの増殖系の効率を向上させる。 また、神経系での前駆体細胞の体外増殖にもニュールツリンを使用することが できると思われる。細胞の移植は現在、例えばパーキンソン氏病における場合と 同様、ニューロンの一定数が変性のため失われる疾病の療法として研究されてい る(Bjorklund,Curr Opin Neurobiol 2:683-689,1992 参照により本文に採用) 。ニューロン前駆体細胞を動物、ヒトドナーまたはヒト胎児の組織から採取し、 次にニュールツリンまたは他の成長因子を使用して培養で増すことが可能である 。またこれらの細胞を患者に移植することができ、患者の体内で変性のため失わ れた細胞部分に代って機能する。ニューロトロフィンは、例えば交感神経神経芽 細胞のNT-3刺激などのニューロンの前駆体細胞の生存と増殖を刺激することが実 証された(Birren et al.,Develop 119:597-610,1993 参照により本文に採用) 、ニュールツリンはまた、神経系の発達期間に同様の方法で機能することがわか り、ニューロン細胞の体外増殖に役立つかもしれ ない。 多くの病状において、患者のニュールツリンレベルを測定することが望ましい であろう。ニュールツリンの識別およびニュールツリンが組織の数によって表現 されるという本報告は、ニュールツリンの存在が細胞の成育および生存に関連し て、正常な生理学的機能を補助するという結論の根拠を提供している。事実、他 の神経栄養因子はニューロンと非ニューロン組織の機能においてある種の役割を 果たすことが知られている。(詳細についてはScully& Otten,Cell Biol Int 1 9:459-469,1995; Otten and Gadient,Int J Devl Neurosciences 13:147-151 ,1995を参照により本文に採用)。また、内因栄養的に作られたニュールツリン も、ある種の病状において何等かの役割を果すかもしれない。特に神経変性状態 や疾患などにおける細胞変性がある場合はそうである。他の神経栄養因子は疾病 の間に変化することが知られている。例えば多発性硬化症の場合、脳脊髄液にお けるNGF タンパクのレベルが疾病の急性段階で増加する(Bracci-Laudiero et al .,Neuroscience Lett 147:9-12,1992 参照により本文に採用)。さらに全身性 紅斑性狼瘡の場合、炎症性のエピソード(症状の出現)と、血清中のNGF レベル との間には相関関係がある(Bracci-Laudiero et at.,NeuroReport 4:563-565, 1993参照により本文に採用)。 ニュールツリンが血球、骨髄およびマスト細胞の中で発現するとすれば、ニュ ールツリンのレベルが様々な病状で変異することが考えられ、ニュールツリンレ ベルの定量化が臨床的に有益な情報を提供するであろうことは否定できない。さ らに変性的病状の処置において、ニュールツリンを含む組成を投与することがで き、さらに血清、脳脊髄液または任意の必要な組織の部分においてニュールツリ ンの一定目標レベルを達成することは望ましいに違いない。したがって患者のニ ュールツリンのレベルをモニターできることは有益であろう。以上の理由で、本 発明は患者からのサンプルからニュー ルツリンの存在を検出する方法も提供する。 本文に使用される用語「検出」とは、患者内のニュールツリンの存在を検出す ることで、以下の項目を含めることを意図している。患者内のニュールツリン量 の測定または患者内でニュールツリン量を発現する能力、またニュールツリンを その他の成長因子から見分けること、変性的疾病の予後の見通しと回復の見込み 、病状の目安としての一定期間にわたるニュールツリンレベルのモニター実施お よび患者のための最適の治療を目的とした生活規則などである。 患者内のニュールツリンの存在を検出するため、患者からサンプルを採取する 。サンプルは組織生検サンプルか血液、プラズマ、血清、CSF のサンプルまたは 類似のものでもよい。ニュールツリンは例10に示すように様々な組織の中で発現 される。これらの組織のいずれからもニュールツリンを検出するサンプルを採取 することができる。末梢部分のニュールツリンレベルを評価するとき、サンプル が血液、プラズマまたは血清のサンプルであることが望ましい。中枢神経系のニ ュールツリンのレベルを評価するとき、望ましいサンプルは脳脊髄液から採取さ れるサンプルである。 いくつかの例では、ニュールツリン遺伝子が患者体内か、患者の組織か細胞系 で何らかの影響を受けていないかどうか調査することが望ましい。「無垢のニュ ールツリン遺伝子」とは、遺伝子に点変異、削除、挿入、染色体折損、染色体の 配列換え、その他の変化が起きていないことを意味する。このような変化によっ てニュールツリンの生産が変更されたか、その生物学的活性や安定性などが変え られ、疾病か細胞変性状態につながるものを指す。したがって、本発明の1つの 実施例では、ニュールツリン遺伝子のいかなる変更も検出し、特徴付ける方法を 提供している。この方法の内容は、ニュールツリンcDNA、ゲノムDNA ないしその 断片またはその誘導体を含むオリゴヌクレオチドを供与することである。「オリ ゴヌクレオチドの誘導体」とは、抽出された配列が、オリゴヌクレオチドが抽 出された配列と実質的に同じであることを意味し、この場合、抽出された配列は 、ニュールツリン遺伝子とハイブリダイセイションを行うために、オリゴヌクレ オチドが抽出された起源配列と十分に補完的な配列を有する。抽出されたヌクレ オチド配列は必ずしも物理的にヌクレオチド配列から抽出されるとは限らず、化 学合成、DNA 複製、逆転写過程または転写などの方法でも生成することができる 。 通常は、患者のゲノムDNA は患者からの細胞サンプルから分離され、例えばTa qIやAluIなどの1つ以上の制限エンドヌクレアーセで消化される。本技術でよく 知られているサザンブロット法を用いて、このアッセイでは、患者ないし患者の 特定組織に正常なニュールツリン遺伝子または異常ニュールツリン遺伝子のいず れが存在するかを判定する。 ニュールツリン遺伝子とのハイブリダイゼーションには、一本鎖のDNA を採取 するための染色体DNA 変性が伴うだろう。そのほかにも、ニュールツリン遺伝子 配列に関連した遺伝子プローブによる一本鎖のDNA への接触、さらに、最低ヒト ニュールツリン遺伝子の一部を含む染色体DNA を検出するハブリダイズされたDN A プローブを確認することが伴うであろう。 本文で使用される用語「プローブ」とは、プローブ配列が標的部位において配 列と相補であるため、目標配列とハイブリッド構造を形成するポリヌクレオチド から成る構造を指している。また、プローブとしての使用に適したオリゴマーは 最低約8-12個の連続したヌクレオチドを有し、このヌクレオチドは標的配列に対 して相補性をもつ。好適には最低約20個までのヌクレオチドをもつ。 本発明のニュールツリン遺伝子プローブは、DNA かRNA オリゴノヌクレオチド であることが予想され、例えば、切り出し、転写または化学合成など本技術で知 られているいずれの方法によっても生成することができる。プローブは、例えば 放射性または蛍光ラベルまたは酵素のマーカーのような本技術で知られている任 意の検出可能 なラベルによって標識化することができる。プローブの標識化はPCR 、ランダム ・プライミング、末端のマーク付け、ニック翻訳などの技術で知られるいずれか の方法によっても達成することができる。また、この技法に熟練した者であれば 、ハイブリダイゼーションを決定するのにラベル化されたプローブを使わない他 の方法を使用しも可能なことを認識するであろう。ハイブリダイゼーションを検 出するのに使用することができる方法の例にはサザンブロット法、蛍光による現 場での(in situ)ハイブリダイゼーション、およびPCR増幅による1本鎖の立体配 座多型現象などがある。 ハイブリダイゼーションは通常、25〜45℃、より好適には32〜40 ℃、最も好 適には37〜38℃で実行される。ハイブリダイゼーションに必要な時間は約0.25〜 約96時間までで、より好適には約1〜約72時間、最も好適には約4〜約24時間ま でである。 また、PCR 法、およびニュールツリン遺伝子内で側接触するか存在するプライ マーを使用することによってもニュールツリン遺伝子異常を検出することができ る。PCR方法は本技術でよく知られている。簡潔に言えば、この方法は2つのオ リゴヌクレオチドプライマーを使用して実行されるが、こうしたオリゴヌクレオ チドプライマーはニュールツリン遺伝子内部に存在する標的配列に側接触し、標 的配列を増幅する核酸配列にハイブリダイズすることができる。本文に使用され る用語「オリゴヌクレオチドプライマー」は、約8〜約30個の塩基の長さをもつ DNA かRNA の短い鎖を指す。上流および下流プライマーは、通常約20〜約30個の 塩基対の長さで、側接触領域にハイブリッド形成をしてヌクレオチド配列を模写 する。重合は、デオキシヌクレオチド三リン酸塩かヌクレオチド類似体が存在す る場合、DNA ポリメラーゼによる触媒作用を受けて、二本鎖のDNA 分子を生産す る。次に、二重鎖は、物理的、化学的または酵素の作用を利用する変性法により 切り離される。一般的に、物理的変性法では通常約80℃〜105 ℃で約1分〜約10 分間核酸の加熱を行う。 この過程は必要な数のサイクルに見合うよう繰り返される。 プライマーは増幅されるDNA 鎖に実質的に相補的であるように選択される。し たがって、プライマーは、鋳型の正確な配列を表す必要はないが、増幅されるDN A 鎖と選択的にハイブリダイズするために十分相補的でなければならない。 PCR 増幅の後に、ニュールツリンまたはプレ−プロ ニュールツリンまたはそ の断片を包含するDNA 配列を、続いて直接配列し、本文で明らかにされている配 列と比較分析する。これは活動、発現レベルまたは同様のものを変えるかもしれ ない変異を確認するためである。 別の実施例として、ニュールツリンの検出法を呈示するこれはニュールツリン 遺伝子を発現する組織の分析を根拠としている。以下の例10で確認された組織と 同様のある種の組織は、ニュールツリン遺伝子を発現することが判明した。同方 法では、ポリヌクレオチドを、通常ニュールツリン遺伝子を発現する組織のサン プルからのmRNAにハイブリダイズされる。サンプルは、ニュールツリン遺伝子か 特定の細胞のニュールツリン遺伝子に異常を持つと疑われる患者から入手される 。ポリヌクレオチドには配列番号(SEQ ID NO):11または誘導体またはその断片 が含まれる。ニュールツリンタンパクをコード化するmRNAの存在を検出するため 、患者からサンプルを採取する。サンプルは血液または組織生検サンプルからも 得られる。サンプルはそこに含まれる核酸を抽出するため処理してもよい。サン プルから採取された核酸はゲル電気泳動か他のサイズ分離機にかけられる。 サンプルのmRNAを、ハイブリッド二本鎖を形成するプローブとして機能するDN A 配列と接触させる。既述のマークされたプローブの使用によって生成する複式 の検出が可能になる。 ニュールツリンタンパクをコード化するcDNAまたはcDNAの誘導体をプローブと して使用する場合、非常に厳格な条件を作り出して疑 陽性を防ぐことができる。疑陽性とは実際には完全で機能しているニュールツリ ン遺伝子が存在しない場合に起こる、ニュールツリンヌクレオチド配列のハイブ リダイゼーションおよび見かけの検出のことである。ニュールツリンcDNAから得 られる配列を使用する場合は、さほど厳しくない条件を用いることができる。し かしこの方法では擬陽性が起こりがちなのであまり勧められない。ハイブリダイ ゼーションの厳格さはハイブリダイゼーションおよび洗浄過程においていくつか の要素で決定される。例えば、温度、イオン濃度、時間の長さおよびホルムアミ ドの濃度などである。これらの要素は例えば、Sambrookほかで概説されている。 (上記、Sambrookほか、1989)。 ニュールツリンタンパクをコード化するmRNAのサンプルの検出の精度を増加さ せるため、逆転写過程/重合連鎖反応(RT/PCR)の技法を使用して、ニュールツリ ンタンパクをコード化するmRNAから転写されるcDNAを増幅することができる。RT /PCR法は本技術でよく知られている(例10と図6を参照)。 RT/PCR法は以下の通り実行することができる。総細胞RNA は、例えば、標準の グアニジウム(guanidium)イソチオシアン酸法によって分離でき、総RNA が逆転 写される。逆転写過程方法では、逆転写酵素と3'末端プライマーを使用して、RN A の鋳型上でDNA の合成を行うことができる。 通常は、プライマーにはオリゴ (dT)配列が含まれる。次に、このようにして生成されたcDNAを、PCR 法とニュー ルツリン固有のプライマーを使用して増幅する。(Belyavsky ほか、Nucl Acid Res 17:2919-2932,1989; Krug and Berger,Methods in Enzymology,Academic Press,N.Y.,Vol.152,pp.316-325,1987 参照により本文に採用)。 ポリメラーゼ連鎖反応法は上記の通り実行されるが、使用されるのは増幅され るDNA セグメント2ヶ所の側結合領域を実質的に相補する2つのオリゴヌクレオ チドプライマーである。 増幅に続いて、PCR 生成物は電気泳動された後、エチジウムブロミド染色法ま たはリン酸造影法によって検出される。 本発明はさらに、患者から採取されるサンプル中のニュールツリンタンパクの 存在を検出する方法を提供する。本技術で知られているタンパク検出方法のいず れも使用することができる。そのような方法には、免疫拡散法、免疫電気泳動、 免疫化学法、バインダー配位子分析評価、免疫組織化学技法、凝集および補体測 定法などがあるが、これらに限られない。(例として、Basic and Clinical Imm unology,Sites and Terr,eds.,Appleton & Lange,Norwalk,Conn.pp 217-2 62,1991参照により本文に採用)。望ましいのは、バインダー配位子免疫検定法 で、内容はニュールツリンタンパクのエピトープと抗体を反応させること、およ びマークされたニュールツリンまたはその誘導体を競争的に置き換えることであ る。 本文で用いられたように、ニュールツリンタンパクの誘導体にはポリペプチド を含めることを意図しており、ポリペプチド中ではある種のアミノ酸は削除、置 換、変異で異常なアミノ酸に変化しており、そこではニュールツリン誘導体は生 物学的にニュールツリンに相当し、またポリペプチド誘導体はニュールツリンタ ンパクに対立する抗体と交差反応する。「交差反応」とは、抗体が、その生成を 誘発した抗原以外の抗原と反応することである。 多数の競合的・非競合的タンパク結合イミュノアッセイは本技術ではよく知ら れている。そのようなアッセイで用いられる抗体は、例えば凝集テストでの使用 のためにマークされない場合や、様々なアッセイ法での使用のためにマークされ ることもある。使用できるマークの例として、放射性核種、酵素、フルオレッサ ー(fluorescers)(蛍光剤)、ケミルミネセッサー(chemiluminescers)(化学 発光剤)、酵素基質、補因子、酵素抑制剤、粒子、染料などがあり、ラジオオミ ュノアッセイ(RIA)法、酵素イミュノアッセイ法(例:酵素結合免疫吸着アッセ イ(ELISA)法)、蛍光免疫検定などを用い てマークする。 本技術で知られているいずれの方法によっても、ニュールツリンタンパクに対 応するポリクローン抗体または単クローン抗体またはそのエピトープをイミュノ アッセイ法に使用することができる。「エピトープ」とは、ポリペプチドの抗原 のデターミナント(決定基)のことである。1個のエピトープは、エピトープ特 有の空間立体配座の中の3個のアミノ酸によって構成される。一般にエピトープ はそのような5個以上のアミノ酸から成る。アミノ酸の空間立体配座を決定する 方法は本技術で知られており、例えばエックス線結晶学と二次元核磁気共鳴など がある。 タンパクに対応する抗体を調製する1つの方法には、配列を化学的に合成して 、合成した配列を通常ウサギかマウスなどの適切な動物に注入し、タンパクのす べてまたは一部のアミノ酸配列を選択、調製することが含まれる(例11参照)。 オリゴペプチドはニュールツリンタンパクに対応する抗体を生成するための候 補として選択することができる。これはオリゴペプチドが親水性領域に存在する ため、成熟タンパクの中で露出しているという事実にもとづいている。 本文に記述した1 ヶ所以上の保存部位を内包するオリゴペプチドに対して、ニ ュールツリン抗体を使用することもできる。その場合、抗体は他のファミリー構 成因子と交差反応させるような仕方で行う。こうした抗体は他のファミリー構成 因子の確認や分離に使用することができる。 ニュールツリンタンパクまたはそのエピトープの調製のための方法には、化学 合成、組換え体DNA 技法または生物サンプルからの分離その他がある。例えば、 固相ペプチドの化学合成は、古典的なメリーフィールド(Merrifeld)法(Merrifel d,J Am Chem Soc 85:2149,1963 参照により本文に採用)、または迅速自動化複 合ペプチド合成装置を用いたFMOC法などで行うことができる(DuPont Company, Wilmington,DE)(Caprino and Han,J Org Chem 37:3404,1972参照により本文 に採用)。 ポリクローナル抗体は、ウサギか他の動物に抗原を注入し、続いて適切な間隔 をおいたブースター注入を行うことにより免疫性を与えて調製できる。その方法 は通常ELISA またはバイオアッセイを用いて、動物から採取された血清のアッセ イをニュールツリンタンパクに対して行う。これはニューロンまたは他の細胞に およぼすニュールツリンの作用をブロックする能力に基づくものである。鳥類、 例えば、にわとり、七面鳥などを使用するときには、卵の卵黄から抗体を単離で きる。単クローン抗体の調製はMilsteinとKohlerの方法にしたがって行うことが できる。これは骨髄腫やリンパ腫細胞などの腫瘍細胞を絶え間なく複製すること によって免疫マウス脾細胞を溶断する方法である。(Milstein and Kohler Natu re 256:495-497,1975; Gulfre and Milstein,Methods in Enzymology:Immunoc hemical Techniques 73:1-46,Langone and Banatis eds.,Academic Press,19 81参照により本文に採用)。次にこうして形成されたハイブリドーマ細胞抗体の クローン生成を行う。その方法には、ELISA 、RIA 、バイオアッセイなどで生成 された抗体をアッセイする限界希釈法やスーパネート(supernates)がある。 標的タンパクを認識し限定結合する抗体のユニークな能力によって、タンパク の過剰発現を処置する方法が得られる。したがって本発明の別の面は、ニュール ツリンタンパクの過剰発現が関与する疾病を予防する方法や、ニュールツリンタ ンパクに対して特異抗体をもつ患者を治療する方法を提供することである。 ニュールツリンタンパクに特異性を示すポリクローン抗体またはモノクローン 抗体などの特異抗体は、本技術で知られる既述の適切な方法によって生成するこ とができる。例えば、ネズミまたはヒト単クローン抗体はハイブリドーマ技術に よって生成することができる。その他、ニュールツリン タンパク、その断片で 免疫学的に活 性のあるもの、抗イデオティピック(idiotypic)抗体、その断片などを動物に投 与することにより、ニュールツリンタンパクを識別できそれに結合できる抗体を 生産する方法もある。こうした抗体はどのようなクラスの抗体からも得られ、例 としてIgG 、IgA 、IgM 、IgD 、IgE 他があり、鳥類の場合、IgY および抗体の どのようなサブクラスからも得られる。 本発明の好適な実施例は以下に続く例に記述されている。本請求の範囲に含ま れるその他の実施例は、本文に開示されているような請求の範囲の検討または発 明の実施により、本技術に熟練した者には明らかにされるであろう。この特許請 求の範囲およびその実施例はともに模範例としての開示のみを意図しており、請 求範囲と発明のスピリットをあらわすものに過ぎない。実施例を以下に示し続い て請求の範囲を示す。 例1 本例はCHO 細胞による調整済培地からのニュールツリンの分離と精製を例示す る。CHO 細胞による調整済培地の準備: DG44チャイニーズハムスターの卵巣細胞の誘導体、DG44CHO-pHSP-NGFI-B(CHO) 細胞を使用した(Dayほか、J Biol Chem 265:15253-15260,1990 参照により本文 に採用)。前出のように、発明者はまた、DG44チャイニーズハムスター卵巣細胞 の他の誘導体から部分的に精製されたneurturin を得た。CHO 細胞は150cm2フラ スコ(Corning Inc.,Corning NY)内の20ml培地に維持された。この培地は 10%の ウシ胎児の血清(Hyclone Laboratories,Logan,UT)、2mM l-グルタミン、100U/ ml のペニシリン、100 μg/mlのストレプトマイシンおよび25nMメトトレキセー トを含有する最低必須培地(Minimum Essential Medium,MEM)アルファ(Gibco-BR L No.12561,Gaithersburg, MD)である。通過と増殖を改善するため、当該融合フラスコからの培地を吸引し た。細胞は10mlリン酸塩緩衝食塩水(PBS)(濃度:KH2P04 0.144g/l 、Na2HPO4 0. 795g/l、NaCl 9.00g/l)にて洗浄し、次に、フラスコを2〜3分間、2ml の0.25% トリプシンでPBS の中で培養した。続いて、細胞をフラスコ表面から振り落と し8ml の培地を加えたあと、ピペットで何度か粉砕した。次に、細胞を5分の1 か10分の1に分け、CO25%を含む大気中で37℃で3〜4日間培養して癒合させた 。 次に、培養細胞を850cm2のローラーボトルの中で増殖させた(Becton Dickinso n,Bedford,MA)。150cm2の融合フラスコのトリプシン化を行い、上述のMEM 培 地からメトトレキセートを除いた変更培地240ml が含まれるローラーボトル(1本 の)に移植した。水素イオン濃度(pH)の維持は、5%のCO2を含有する空気でおおう か、または培地を25mM HEPES(pH7.4)で(Sigma,St.Louis,MO)調製することに より行った。ローラーボトルは1分間に0.8 〜1.0 の回転数で回転させた。細胞 は4 日で融合状態に達した。 調製培地を採集するため、無血清CHO 細胞(SF-CHO)培地を使用した。SF-CHOは 1:1 DME/F12 を主成分とする培地を用いて準備した。それには1:1(v/v)DMEM(Gib co-BRL product No.11965,Gibco-BRL,Gaithersburg,MD)をHam のF12(Gibco- BRL product No.11765)と混合して調製した。最終的なSF-CHO培地には以下のよ うな因子が存在する。15 mM HEPES(pH7.4)(Sigma,St.Louis,MO)、0.5mg/ml のウシ血清アルブミン(BSA,Sigma,St.Louis MO)、25μg /ml のヘパリン(Sig ma,St.Louis,MO)、1Xインシュリントランスフェリン亜セレン酸塩剤(ウシの インシュリン 5μg /ml 、ヒトのトランスフェリン 5μg /ml 、ナトリウム亜セ レン酸塩5 ng/ml)(Sigma,St.Louis,MO)、2mMl- グルタミン、100U/ml の ペニシリン、および100 μg /ml のストレプトマイシン。融合ローラーボトルか ら培地を取り出し、細胞を30mlSF-CHO培地で1回洗浄して血清タンパ クを取り除いた。次に、細胞を80mlSF-CHO培地中で37℃で16〜24時間培養して、 血清タンパクをさらに取り除いた。こうして80mlの培地を取り除き廃棄した。SF -CHO培地120ml をフラスコに加え、細胞を37℃で培養した。その後は、48時間毎 に120ml を採取し、同量のSF-CHO培地と取り替えた。採取した培地を集めて、ポ リプロピレン製円錐管の中で4℃で遠心分離して細胞くずを取り除き、上澄みは -70 ℃で保存された。培地は10日間で5 回集められ、ローラーボトル1本当り合 計約600ml の調整済培地を得た。 精製の各段階でカラムから集められた分留の生物学的活性を調べるため、ニュ ーロン生存アッセイを行った。タンパクの含有量についてはブラッドフォード法 (染色結合アッセイ)(Anal Biochem 72:248 et seq.,1976 参照により本文に 採用)。調整済培地の開始量(一般に50リットル)中のタンパクの総質量(mg) を決定した。上頚部神経節生存アッセイ: 前述した上頚部神経節生存アッセイ法(Martin ほか、J of Cell Biology 106: 829-844; Deckwerth and Johnson,J Cell Bio 123:1207-1222,1993参照により 本文に採用)を用いて、CHO 調整済培地の開始材料の神経親和性活動および様々 な段階における精製を評価した。上頚部神経節(SCG)からの交感神経ニューロン の初代培養を準備した。その方法としてまず受胎後20〜21日目のラットの胎児(E 20-E21)から得た組織を解剖した。SCG をl-グルタミン培地(Cat #11415-023 Gib co-BRL,Gaithersburg,MD)と共にLeibovitz のL15 培地に入れ、Leibovitz のL 15 培地の中で1mg/mlのコラゲナーゼ(Cat #4188 Worthington Biochemical,Fre ehold,NJ)で37℃で30分間消化させた。次にトリプシン低圧下凍結乾燥および放 射線照射により30分間消化させた(Type TRLVMF Cat #4454 Worthington Biochem ical,Freehold,NJ)。続いて、一部変更されたHanks のバランスド ソルト ソリューション(Balanced Salt Solution)(平衡食塩水)(Cat #H-8389 Sigma Ch emical Co.,St.Louis,MO)に再 懸濁した。消化の停止に用いた材料は以下の通りである。Earle の塩を含みl-グ ルタミンを含まないMEM 培地を含むAM50(Cat#11090-016 Gibco-BRL)、10% のウ シ胎児血清(Cat#1115 Hyclone Laboratories、Logan 、UT)、2mM l-グルタミン( Cat #G5763 Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)、20μM FuDr(F-0503 Sigma C hemical Co.,St.Louis,MO)、20μM ウリジン(Cat #3003 Sigma Chemical Co. ,St.Louis,MO)、100U/ml のペニシリン、100 μg/mlストレプトマイシン、お よび50 ng/ml 2.5SNGF。シラン化され炎でつや出ししたパスツールピペットを用 いて細胞を解離させ、単独細胞として溶液に懸濁させた。次に、ナイテックス(n itex)フィルタ(サイズ3-20/14、Tetko Inc.,Elmsford,NY)を用いて懸濁液を ろ過させた後、非ニューロン細胞数を減らすため、細胞を上記の通りAM50培地に 入れ、100mm のファルコン(Falcon)またはプリマリア(Primaria)培養皿(Bec ton Dickinson Labware,Lincoln Park,NJ)で再び平板培養した。空電解された 。2時間後に、互いに付着していないニューロン細胞を含む培地を取りだし、シ ラン化され炎でつや出ししたパスツールピペットを用いて再び粉砕した。単独細 胞の浮遊液を、あらかじめ二層のコラーゲンでコーティングされた(第1層では コラーゲンがアンモニアと化合しており、第2層ではコラーゲンが空気乾燥させ られた)24ウエル培養プレート(Costar,Wilmington,MA)上で平板培養した。こ うした層は30分から2 時間付着が可能であった。生存可能な特定数の細胞(1ウ エル当りの細胞数は約1200〜約3000個)または特定割合の神経節(通常、1神経 節当り得られる細胞量の25%)を各ウエルに移し平板培養した。細胞カウントを行 う場合は、上述の通り24ウエル培養プレートに置くか、または代替方法として2 ウエルのチャンバスライド上に置いてもよい(Nunc,Naperville,IL)。次に、 倍養液を5〜6日間37℃で5% CO2/95%空気とAM50培地で培養した。同培地をNGF を欠く培地および0.05% のヤギ抗NGF と交換することによって、培養ニューロン の壊死を招い た(ウエル中の最終タイターは 1:10)。このようにしてNGF を枯渇させることに より24〜72時間後にニューロンの壊死が起こった。NGF 除去の時点で、部分的ま たは完全に精製された因子のアリコートまたは適切な対照を培養に加えて、ニュ ーロンの壊死を防ぐ能力を決定した。 ニューロンの壊死を防ぐカラム分留、ゲル溶離液または精製因子の能力評価は 、位相差顕微鏡の下で倍養液を直接観察することにより行った。生存可能なニュ ーロンは完全な軸索を維持し位相が明るいままで残っていたが、壊死したニュー ロンはしなびて位相は暗く、不規則な細胞膜を持ち、軸索は断片になっていた( 図3)。生存ニューロンの正確な数量化が必要な場合には、PBS の中で培養を4%の パラホルムアルデヒドか10% のホルマリンで固定し、ゲンチアナ・バイオレット 溶液で染色した(Huntoon Formula Harleco E.M.Diagnostics Systems,Gibbsto wn,NJ)。24ウエル培養皿を使用する場合は、10% ホルマリンを含有する各ウエ ルに1μlのゲンチアナ・バイオレット溶液を加えた。そして位相差顕微鏡下で 細胞のカウントを行った。2ウエルのチャンバスライドを使用する場合は、培養 を固定し、ゲンチアナ・バイオレットで染色した後、水で脱色し、続いて対トル エン濃度の高いエタノール中で培養を脱水させた。そしてトルエンベースのスラ イド用溶液で固めて顕微鏡用のスライドを作った。ニューロンに透明な核小体お よび核が存在し、ゲンチアナ・バイオレットで明瞭に染色された場合はそのニュ ーロンは生存していると判定した。 72時間後のニューロンの壊死を図3(B)で示した。また、同図には(A)神 経成長因子で維持された陽性対照細胞、(C)ニューロンの生存を示す抗NGF お よびニュールツリン(約3ng/ml)で処置された細胞も示した。 活性度は「生存ユニット」の計算で数量化した。サンプル中の総生存ユニット はサンプルのアリコートの最少量と定義され、それは サンプルの総ボリュームを最大生存で割って算出した。比活性度は生存ユニット を総タンパク(mg)で除して算出した。 「生存ユニット」は、約1200の個の生存可能なニューロンを0.5ml の培養アッ セイの中で、48時間培養させた後、分留を加えるというアッセイにより算出した 。生存は48時間後に顕微鏡下で観察した。図4で示す本質的な活性度は、約2700 個のニューロンおよび72時間の培養期間のアッセイで決定した。生存の評価は、 ニューロンを固定した後、生存ニューロンの数を数えて行った。活性度の半減期 から予想されるように、ニュールツリンの安定度は、ニューロンの数が増加する に従って減少するので、固有活性度の測定値は、「比活性度」の測定値から予測 される数値よりも低いことが予想される。また、固有活性度の測定値は、生存が 48時間でなく72時間後に測定されたため、比活性度によって予測される活性度よ りも低いことが予想される。 これらの活性ユニットのアッセイの再現性を確保するため、最初のニューロン 倍養を再現可能な細胞濃度で培養する必要があった。これはニューロンの密度が 増加するに従い、活性度の安定性が著しく減少するからである。細胞濃度の範囲 は、1ウエル当り約1200〜2700個であった。アッセイ培地中の可溶ヘパリンの存 在は、生存活性度の短期の(3日以内)安定性にはなんら影響がなかった。ニュールツリンの精製: プールされた調整済培地を0.2 μl孔ボトルトップフィルタ(セルロースアセ テートメンブレン、Corning Inc.,Corning,NY)でろ過した。ろ過には標準的な 50リットルの調整済培地を用いて、25リットルのバッチで処理した。各25リット ルのバッチを、1 分間20mlの速度で5×5cmカラムへ導入した。このカラムには 150mM NaClを含む25mM HEPES(pH7.4)緩衝液で中和された100ml のヘパリンアガ ロース(Sigma,St.Louis,MO)が含まれていた。次に、0.5M NaCl(20ml/min)を 含む約1000mlの25mM HEPES(pH7.4)緩衝液でカラ ムを洗浄し、続いて1.0M NaCl を含む25mM HEPES(pH7.4)緩衝液で培地を溶離 させた。1.0M NaCl 溶離緩衝液に交換した後、最初の50mlの緩衝液は捨てられ、 その後、300ml の分留1本を採取した。 ヘパリン−アガロース・カラムから溶離されたプール物質を、1:1(v/v)の割合 で、0.04% のツイーン 20(TWEEN 20)を含む25mM HEPES(pH7.4)緩衝液を用いて希 釈して0.5M NaCl の濃度を得、これを オン交換樹脂(Pharmacia,Piscataway,NJ)を含む1.5cm x9cm カラムへ導入し た。このイオン交換樹脂は0.5M NaCl と0.02% のTWEEN 20を含む25mM HEPES(pH7 .4)緩衝液で中和されていた。次に、カラムを0.5M NaCl と0.02% のTWEEN 20を 含む 25mM HBPES(pH7.4)緩衝液160ml で洗浄し、続いて1.0M NaCl と0.02% の TWEEN 20を含む 25mM HEPES(pH7.4)緩衝液で、2 ml/分のフローレートで溶離 させた。カラムからの最初の7ml の溶離を捨てた後、50mlの分留1本を採取した 。 クロマトグラフィ(FPLC)を使用して、Cu++で電荷の付与されたChelating Supero se HR 10/2カラム上で分留させた(Pharmacia,Piscataway,NJ)。カラムは、準 備しておいた10mlの水で洗浄し、3ml の2.5mg/ml CuSO4・5H2Oで電荷付加し、10 mlの水で洗浄し、且つ1.0M NaCl および0.02% のTWEEN20 を含む10mlの25 mM HE PES(pH7.4)緩衝液で中和した。溶離物質を、1.0M NaCl 含有の25mM HEPES(pH7.4 )緩衝液で満たされたコラムへ1.0 ml/分の速度で導入した。結合タンパクを、1 .0M NaCl 含有の25mM HEPES(pH7.4)緩衝液の中でグリシンの濃度を一定の率で増 加させながら(0-300 mM)、1.0 ml/分の速度で溶離させた。濃度の勾配は、LCC- 500 制御装置とP-500ポンプを使用するPharmacia FPLC装置によって作りだし、0 -300mM のグリシン濃度勾配40mlを1.0 ml /分の速度で得た。その結果、グリシ ンの濃度勾配を1分当り7.5mM 増加させることができた。SCG 生存促進のため1ml の分留1本を採取しアッセイを行った。活性度のピークは分 留17-20 、すなわち勾配の初めから17-20 分後または17-20ml のところで観測さ れた。 インラインUVモニターによる280nM の吸光度測定値では、ほとんどのタンパク が分留17-20 の生存活性度以前に溶離したことを示した。したがって、重要な精 製はこのステップで達成された。25kDバンドは生存活性度で準精製された。 Cu++ superose カラムからの総合溶離分留は、0.02% のTWEEN 20含有の25mM H EPES緩衝液(pH7.4)を使用して0.45M NaClに希釈され、Mono S HR 5/5 陽イオン 交換カラム(Pharmacia,Piscataway,NJ)に導入され、FPLCの精製をさらに進め た。カラムのpH値は、0.02% のTWEEN 20を含む45M NaCl含有の25mM HEPES 緩衝 液(pH7.4)で維持した。結合タンパクはNaClの濃度を一定の率で増加させながら( 0.45-1.0M)で溶離させた。濃度勾配は上記のように35mls の0.45M-1.0M NaCl か ら1.0 ml /分で作り出され、その結果、濃度は1ミリリットル当りまたは1分当 り0.0157M で増加した。1.0ml 分留13本(分留1-13)を、続いて0.5ml 分留44本 (断片14-53)を採取した。SCG アッセイにおける活性のピークは分留26-29 にお いて見られた。SCG 生存アッセイにて各分留を0.5ml の培養当り0.1 〜1.0 μl の範囲でアッセイした。 各断片の1パーセント(5μl)を、非還元性の14% のSDS ポリアクリルアミド ・ゲルへ移し、25℃、750V/時で電気泳動させた。タンパクは銀染色法よって視 覚的に観察可能となった。結果を図2に示す。ゲル上のレーンMに示されるマー カーは、(分子量の重い方から軽い順に)20ngのウシの血清アルブミン、炭酸脱 水酵素、B-ラクトグロブリン、およびリゾチームを表す。 25 kD バンドが分留25-30 に現れ、28kDタンパクは勾配の前期で溶離され、18 kDは勾配の後期で溶離された。図2は各断片における生存活性度を示す。生存活 性度は、分留25-30 の25kDタンパクの存 在と見かけの強度に一致していることが明らかである。 25kDバンドが生存促進活動の原因となっていることを示すために、25kDタンパ クを電気泳動の後ポリアクリルアミド・ゲルから溶離させて、SCG アッセイで生 存活性度のアッセイを行った。前述のように、非還元性の14% のSDS-ポリアクリ ルアミドゲルの1つのレーン レーンを12スライスに切り分け、各スライスを25℃で18時間、25mM HEPES(pH7.4 )、0.5M NaCl 、0.02% のTween-20を含んでいる緩衝液の中で、前後運動による 拡散で破砕させ溶離させた。BSA を溶離物質に最終濃度が200 μg/mlになるまで 加え、次に、アクリルアミド・ゲル断片を取り除くため、溶離液を0.45ミクロン のフィルタを通してろ過した。次にサンプルを濃縮させ精製させるため、ろ過液 ラムを、1ml当り0.5M NaCl 、0.02% のTween-20および200 μg のBSA を含む40 0 μmlの25mM HEPES緩衝液(pH7.4)で一度、1ml当り0.02% のTween-20と200 μg のBSA を含む400 μl lの25mM HEPES緩衝液(pH7.4)で一度、洗浄した。次 に、カラムを再び、1ml当り0.5M NaCl 、0.02% のTWEEN 20および200 μg のBS A を含む400 μlの25mM HEPES緩衝液(pH7.4)で洗浄した。サンプルを、1ml当 り1.0M NaCl 、0.02% のTween-20および200 μgのBSA を含む25mM HEPES緩衝液 (pH7.4)で溶離させた。続いてサンプルの生存活性度を分析した。25kDバンドに 対応するスライスだけが生存活性の証拠を示した。CHO 細胞で調整された培地か ら精製された25kDタンパクはホモダイマーであると考えられる。 上述の精製過程により、50リットルのCHO 細胞による調整済培地から得られた 収穫量は、標準的に1-1.5mg であった。全体的な回収は、10-30%であると見積も られ、約39万倍の精製がもたらされた。 例2 本例は、SCG アッセイにおけるニュールツリンおよび成長因子のTGF-βファミ リーのいくつかの構成因子の特徴づけならびに、抗GDNF抗体のニュールツリンと の相互反応性の不在を示す。 精製タンパクのSCG アッセイでは、同因子の濃度が約3ng/mlまたは約100pM の とき活性度が最高になり、拡散性ペプチド成長因子については EC50 は約1.5ng/ mlまたは約50pMの予想範囲にあることを示した(図4)。 TGF-βファミリーの構成因子のあるものは交感神経系ニューロンの神経ペプチ ド遺伝子発現に影響を及ぼすが、他のものは異なるニューロン個体群の生存を促 進する。ニュールツリン(タンパクのこのファミリーの遠縁因子である)は、交 感神経系ニューロンのほぼ完璧な生存を3日間促進させることができる。さらに 、SCG 細胞の培養をさらに進めることによって、ニュールツリンが、NGF の除去 後、少なくとも10日間これらのニューロンを維持し続け得ることが明らかになっ た。 我々はSCG アッセイで、TGF-β1、アクチビン(activin)、BMP-2、BMP-4、B MP-6およびGDNFを含む、TGF-βファミリーの他のいくつかの構成因子をテスト して、これらの因子の生存促進能力を調べた。これらの因子の中では、GDNFだけ が生存促進の活性を有していた。しかし、GDNFの生存促進の活性はニュールツリ ンよりもはるかに弱く、3 日間の生存アッセイでは2-4 nMのEC50を示した。この アッセイでテストされたGDNFはrhGDNFで、prepro Tech,Inc.,Rocky Hill,N. J.から入手したE.コイルから生成した。また、GDNFの活性の持続時間もニュール ツリンの活性より短く、3日間以上生存を維持させるGDNF(50ng/ml)の能力はい ちじるしく縮小された。これらの実験は、GDNFがニュールツリン受容体に対する 作用剤である可能性を示唆している。さらに、アクチビンおよびBMP-2 に生存促 進能力がないのとは対照的に、これらのニューロンに神経伝達物質 関連の遺伝子発現を誘導する高度な活性がある(Fann and Paterson,Int J Dev Neurosci 13:317-330,1995; Fann and Patterson,J Neurochem 61:1349-1355 ,1993)ことは、アクチビンやBMP-2が別の受容体または情報伝達系路を通じて シグナルを伝達していることを示唆している。 抗GDNF抗体の部分精製ニュールツリンとの相互作用性を決定するため、例1に 説明したごとく、解剖され平板培養されたSCG ニューロンを、6 日目に抗NGF の み存在するなかで、または抗GDNFおよび抗NGF(E.コイル由来のrhGDNFに対するや ぎの IgG抗体,R & D Systems,Minneapolis,Minn)が存在するなかで、1ng/ml 、3ng/ml、10ng/ml 、または30ng/mlのGDNF(Prepro Tech,Inc,Rocky Hill,N. J.)によって処置した。ニュールツリンの部分的に精製した1.0M SP Sepharose 分留を約375pg/ml、750pg/ml、1.5ng/mlおよび3 ng/ml の濃度でアッセイに使用 した。この分留は、抗NGF のみ存在する場合、および抗NGF と抗GDNFが存在する 中でテストした。抗GDNF抗体は30ng/ml までの濃度でGDNFの生存促進活動を阻止 したが、ニュールツリンの生存促進活動は阻止しなかった。 例3 本例では、結節性神経節生存アッセイで知覚ニューロンへのニュールツリンの 効果を示す。 結節性神経節を使用して知覚ニューロンに対するニューロトロフィンの作用を 調べるため、SP Sepharoseカラムで部分的に精製されたCHO 細胞の調整済培地を アッセイした。生存アッセイは上頚部神経節に関して先に述べたアッセイを修正 したものである。最初に解離した結節性神経節の培養組織は、E18 スプラグ ダ ウレイ(Sprague Dawley)子ネズミからの組織を細切して準備した。組織が細切 されるにつれ結節性神経節を2mM l-グルタミンと共にライボビッツ(Leibovitz) のL15 に置いた(Cat# 11415-023,GIBCO-BRL.Gait hersburg,MD)。次に、ライボビッツのL15 培地において37℃で30分間1mg/ml のコラゲナーゼによって蒸解し(Cat#4188,Worthington Biochemical,Freehold ,New Jersey)、続いてトリプシン中で30分間消化させた(凍結乾燥および照射が 行われた type TRLVMF,Cat #4454 Worthington Biochemical,Freehold,NJ)あ と、変更Hank's Balanced Salt Solution(Cat #H-8389 Sigma Chemical Co.,St .Louis,MO)で0.25% の最終濃度へ再懸濁した。消化の停止に用したのは、アー レ(Earle)の塩を含み1−グルタミンを含まないMEM 培地(#11090-016 GIBCO-BRL )、AMO-BDNF100、10% のウシ胎児血清(Cat#1115,Hyclone Laboratories,Logan ,UT)、2mM l-グルタミン(Cat#G5763 Sigma Chemical Co.,St.Louis,Mo.)、2 0μM の FuDr(F-0503,Sigma Chemical Co.)、20μM のウリジン(Cat #3003,Si gma Chemical Co.,St.Louis,Mo.)、100 U/ mlのペニシリン、100 μg/mlのス トレプトマイシン、および100ng の脳由来ニューロトロフィン因子(BDNF,Amgen ,Thousand Oaks,CA)などである。AMO-BDNF100 培地の中でシラン化され炎でつ や出ししたパスツールピペットを用いて、細胞を単独細胞の懸濁液として溶離さ せ、続いて非ニューロン細胞を排除するため100mm のファルコン(Falcon)また はプリマリア(Primaria)の培養皿(Becton Dickinson Labware,Lincoln Park, NJ)にあらかじめ平板培養させた。2時間後に、結合していないニューロン細胞 を含む培地をこれらの皿から取り除き、シラン化され炎でつや出しされたパスツ ールピペットを使用して再び粉砕した。単独細胞の浮遊液を、あらかじめ二層の コラーゲンでコーティングされた(第1層ではコラーゲンがアンモニアと化合し ており、第2層ではコラーゲンが空気乾燥させられた)24ウエル培養プレート(C ostar,Wilmington,MA)上で平板培養した。こうした層は30分から2 時間付着が 可能であった。生存可能な特定数の細胞(1ウエル当りの細胞数は約1200〜約30 00個)または特定割合の神経節(通常、1神経節当り得られる細胞量の25%)を各 ウエ ルに移し平板培養した。E18 ラット胎児10体からの神経節を2.5mlsの培地に溶離 させ、この懸濁液100 μlを各ウエルに加えた。細胞を、37℃で30分間微生物培 養器で5%CO2/95% の空気で付着させた。ウエルにはAM0-BDNF100 を一晩中培地与 えた。 翌日、細胞を20分間、3回洗浄したが、各回ともAM0 培地にはBDNFがなかった 。ウエルにこの培地0.5ml を単独でまたはこの培地に50ng/ml のNGF 、100ng/ml の BDNF(Amgen,Thousand Oaks,CA)、100ng/mlのGDNF(Prepro Tech,Inc.,Ro cky Hill,N.J)か、3ng/mlのニュールツリンかのいずれかを含むものを与えた 。細胞を37℃、5% CO2/95%エアー培養基で3日間培養したあと、10% のホルマリ ンで固定し、ゲンチアナ・バイオレット(1μl/ml 10%フォルマリン)で染色 し、カウントを行った。前述のように生存が確認された。 図10は、72時間後のニューロンの死を示す。BDNFで培養された結節性ニューロ ンのニューロンの生存は先に報告した(Thaler ほか、Develop Biol 161:338-344 ,1994参照により本文に採用)。これはこうしたニューロンの生存の規格として 使用され、100%の生存値が与えられた。栄養(AMO)を全く与えられなかった結節 性神経節は、50ng/ml NGF 中で培養されたニューロンと同じく20% 〜30% の生存 率を示した。3ng/mlニュールツリンを含みBDNF(100 ng/ml)を含まない培地で培 養されたニューロンは、BDNF(100ng/ml)を含む培地で培養されたニューロンと同 様の生存率を示した。GDNFは100ng/mlの濃度のとき、BDNF(100ng/ml)に比べて結 節性ニューロンの生存をはるかに促進した。GDNFに関する同様の発見が、にわと りの知覚ニューロンについて最近報告されている(Ebendalほか、J Neurosci Res 40:276-284 1995参照により本文に採用)。 例4 この例は後根神経節生存アッセイによるニュールツリンの知覚ニューロンへの 影響を示す。 E15 ラットの胎児からの後根神経節を使用したのを除いて、後根神経節細胞(D RG)は例3の方法に従って調製しいた。72時間経過時のニューロンの壊死は図11 で示す。DRG ニューロンの生存は、50ng/ml の濃度の神経成長因子(NGF)の存在 下での生存を100%とする生存値で標準化した。抗NGF 抗体の存在下で培養された ニューロンは約14% の生存率を示した。GDNF(50ng/ml)またはニュールツリン(6n g/ml)を含み、それぞれ抗NGF を含む培地で培養されたニューロンは、約34% の 生存を示した。したがってGDNFおよびニュールツリンはDGR 細胞の生存の維持に おいて遜色のない効率を示した。 例5 本例では、CHO 細胞の調整済培地から分離されたニュールツリンの部分アミノ 酸配列の決定を示す。 精製されたニュールツリン約1μgのサンプルからN 末端アミノ酸配列を得る ため、活性のピークを含むMono S分留26-29 を、ミクロコン(microcon)-3濃縮 装置(Amicon,Inc.,Beverley,MA)を用いた遠心超ろ過で25μlに濃縮し、14% の非還元性SDS ポリアクリルアミド・ゲルに移した。 続いて電気泳動による分 離を行った後、タンパクをPVDFメンブレン(Bio-Rad,Hercules,CA)に電気ブロ ットし、0.1%のクーマジー(Coomassie)ブルーで染色した。25kDバンドを切り取 り、自動シーケンサの反応カートリッジに挿入した(Model 476,Applied Biosys tems(Foster City,CA)。自動シーケンサーの最初の2-3 サイクルでエドマン分 解によるフェニルチオヒダントインアミノ酸(PTH-aa)の回収は、4pモル(mo l)の配列収量を示した。4pモル(mol)はSDS ゲル上に置いた推定タンパ ク量の約10% であった。 N-末端の配列決定は、各50リットルの精製サンプル2組から2回実行した。最 初の実行では、総量1.5ml のプール分留3 本中のタンパク1μgを、5%のメタノ ールを含む10mM CAPSpH11.0 の電気ブ ロットバッファ(Sigma,St.Louis,MO)を使用して25μlに濃縮し、2時間25℃ 、100Vで電気ブロットを行った。アミノ酸配列は13サイクルのエドマン分解から 得られ、配列収穫量は上記と同様4pモノ(moles)だった。 2番目の実行では、総量2.0ml のプール分留4 個本中のタンパク1.5 μgを、 25mMのトリアミノメタン、192mM のグリシン、0.04% のSDS および17% のMeOHの 電気ブロットバッファを使用して25μlに濃縮し、12時間4℃、36V で電気ブロ ットを行った。配列収量は15pモル(moles)で、16サイクル後の配列はSGARPXGLR ELEVSVSであった(配列番号(SEQ ID NO):3)。16サイクル後に得られた配列は 、最初の実行で得られた短い配列に対応した。配列のアミノ酸残基のうち3 つに ついては確定ができなかった(N- 末端からの残基1、6および11)。タンパクデ ータベースの検索では著しく相同な配列は検出されず、精製因子が新種のタンパ クであることを示唆した。 この初期のN 末端のアミノ酸配列データでは、変性オリゴノヌクレオチドをPC R プライマーか選別ライブラリのプローブとして使用するcDNAクローンの分離を 実現できなかった。これらのアプローチを容易にするため、タンパクをさらに精 製して、タンパク分解断片から内部アミノ酸配列が得られた。ニュールツリンか ら内部アミノ酸配列を得るため、前述のクロマトグラフィーの最初の3ステップ だけを使用して、50リットルのCHO 細胞による調整済培地をさらに精製した。た だし、Cu++キレーティングSuperoseカラムの溶離に使用した濃度勾配は異なり、 0-60のmMグリシン(4ml)、60mMのグリシン(10ml)、60-300のmMグリシン(32ml)を 使用した。ニュールツリンを含む分留No..20-23 を超ろ過(Amicon microcon 3 ,Amicon,Beverley,MA)によって25μlに濃縮し、非還元性のポリアクリルア ミドゲルSDS 上に移した。電気泳動の後、ゲルをクーマジー(Coomassie)ブルー で染色し、25kDニュールツリンバンドを切り取った。 ニュールツリンをゲル・スライス内でエンドプロテイナーゼLys-Cで消化させ、 溶離されたタンパク分解断片を逆位相のHPLCによって精製した。溶離ペプチドの HPLC分離時に1つのピークだけが観察されたが、自動シーケンサーを使用して、 溶離ペプチドから1pモルシグナルレベルで23サイクルにわたりアミノ酸配列情 報を得た(内部断片P2,配列番号(SEQ ID NO):5)。 消化させる前の上記サンプル10% で行ったアミノ酸分析では、7.6%のリジンと 19.5% のアルギニンから成るゲル・ スライス中に150 pモルのタンパクが存在す ること示した。Lys-C 消化からの単独の低いピークは、ペプチドの消化と溶離の 効率が悪いことを示した。同じゲル・スライスをトリプシンと共に再消化させ、 溶離ペプチドをHPLCで分離した。2 つのピークがHPLC上で観察され、結果として のN 末端と前出の内部アミノ配列(4-5 pモルシグナルレベル、内部断片P1,配列 番号(SEQ ID NO):4および内部断片P3,配列番号(SEQ ID NO):6)と異なる2つ 追加の10の残基アミノ配列の解明につながった。ペプチドの本来の部位での消化 、溶離、精製、およびペプチド配列は、エール大学のW.M.Keck Foundation Bi otechnology Resource Laboratory で本実験の標準プロトコルに従って実行され た。 例6 以下の例はマウスとヒトニュールツリンcDNAクローンの分離と配列解析を例示 する。 逆転写されたmRNAからのcDNA配列を増幅するため、様々な長さの確実なアミノ 酸配列データに対応する変性オリゴノヌクレオチドを、ポリメラーゼ連鎖反応(P CR)におけるプライマーとして合成し使用した。前向きプライマー(M1676; 5'-CC NACNGCNTAYGARGA,配列番号(SEQ ID NO):50)は、ペプチド配列P2 Xaa1-Xaa2-Va l-Glu-Ala-Lys-Pro-Cys-Cys-Gly-Pro-Thr-Ala-Tyr-Glu-Asp-Xaa3-Val-Ser-Phe- Leu-Ser-Val(Xaa1およびXaa2は未知,Xaa3はGln またはGlu)(配列番号(SEQ ID N O):5)に対応する。逆向きプライマー(M1677; 5'-ARYTCYTGNARNGTRTGRTA(配 列番号(SEQ ID NO):52)は、ペプチド配列P3(Tyr-His-Thr-Leu-Gln-Glu-Leu-S er-Ala-Arg)(配列番号(SEQ ID NO):6)に対応する。これらのプライマーを用い て、E21ラットおよび成熟マウス脳から得られたcDNA鋳型からの69ヌクレオチド 生成物を増幅するのに使用した。PCR パラメータは:94℃で30秒;55℃で30秒; 72℃で1 分間を35サイクルを用いた。生成物をブルースクリプト(Bluescript)KS プラスミドにサブクローニングして配列決定した。すべてのヌクレオチド配列 決定を、Applied Biosystems社の自動シーケンサーModel #373(Applied Biosyst ems,Foster City,CA)でメーカーの指示に従い、蛍光染料ターミネーター技術 を使用して行った。配列決定のためのプラスミドDNA は、メーカーの指示に従い ウイザード ミニプレップ(Wizard Miniprep)キット(Promega社、Madison 、W I)を使用して生成した。増幅された生成物の配列は、PCR プライマーより内部の アミノ酸配列データを正しく予測した。 増幅された配列に対応するプライマーを変性プライマーと共に用いて、cDNA末 端(RACE)技法(Frohman,M.A.Methods in Enzymology 218:340-356,1993)の高 速増幅を行った。これにはメーカーの指示にしたがい、マラソン(Marathon)RACE キット(CLONTECH 、Palo Alto、CA)を使用したが、メーカーの指示と異なるの は、スーパースクリプトII(SuperscriptII)の逆転写酵素(Gibco-BRL)を使用して 最初のcDNA鎖の合成を50℃で実行したことだった。簡潔に述べると、二本鎖のア ダプタ・オリゴノクレオチドを、生後1日目のラットの脳のmRNAから合成された 二本鎖のcDNAの末端に結合させた。繰り込まれた前向きニュールツリンPCR プラ イマー(M1676; 5'-CCNACNGCNTAYGARGA,配列番号(SEQ ID NO):50 and 1678; 5' -GACGAGGGTCCTTCCTGGACGTACACA,配列番号(SEQ ID NO):53)をキット(AP1, AP2)供給の結合アダプタに対応するプライマーと組み合わせて使用し、ニュール ツリンcDNAの3'末端を2つの連続したPCR 反応によって増幅した(初回:M1676 およびAP1,94℃で30秒、55℃で30秒、続いて72℃で2分を35サイクル使用で; 2 回目: M1678 およびAP2,94℃で30秒および68℃で2分を35サイクル使用で)。 結合cDNAを鋳型として使用した2つの連続したPCR 反応で、ラットのニュールツ リンcDNAの5'末端を得た。1回目の反応はプライマーM1677(配列番号(SEQ ID NO ):52)とAP1 を用いた。パラメータは94℃を30秒、55℃を30秒;次に、72℃を2 分、35サイクル使用。2回目の反応は、M1679 5'-TAGCGGCTGTGTACGTCCAGGAAGGAC ACCTCGT(配列番号(SEQ ID NO):54)およびAP2 を用いて、94℃で30秒、68℃を2 分を35回くり返すパラメータで行った。これらの反応の結果、ニュールツリン c DNA の5'末端の上部欠損形が生成されたが、これは明らかに逆転写過程における 時期尚早なcDNAの終了の結果である。これらの5'および3'RACE生成物をプラスミ ッド ブルースクリプト(Bluescript)KS にサブクローンし、配列決定を行った 。これらの3'と5'末端RACE生成物の配列は、ラットニュールツリンの部分的なcD NA配列220nt となった。ラットの部分的なcDNA配列に対応するプライマー(#4679 21 5'-CAGCGACGACGCGTGCGCAAAGAGCG,配列番号(SEQ ID NO):55; and M1679( 配列番号(SEQ ID NO):54)を用いて(PCRパラメータ:94℃で30秒および68℃で 1分、これを35サイクル)、ラットニュールツリンcDNA配列と相同のマウスゲノ ムDNA からの101 ヌクレオチドPCR 生成物を増幅するのに使用した。 次に、これらのプライマーを、P1バクテリオファージベクターのマウス129/Sv ライブラリーからネズミ科ニュールツリンゲノムクローンを得るのに使用した(l ibrary screening service of Genome Systems,Inc.,St.Louis,MO)。ニュー ルツリン遺伝子を含むこのP1クローンからのA1.6kb Nco I 断片をプライマー(# 465782; 5'-TAYGARGACGAGGTGTCCTTCCTGGACGTACACAGCCGCTAYCAYAC,配列番号 (SEQ ID NO):56)とのハイブリダイゼーションで確認した。このNco I 断片は、 N-末端およびCHO の細胞の調整済培地から分離された活性タンパクの配列決定か ら得られる生体アミノ配列に対応するコーディング配列の鎖を含むことが判明し た。このヌクレオチド配列は精製されたタンパクのN 末端のアミノ酸配列で始ま り、11.5kDの予測分子量をもつ100 アミノ酸タンパクをコード化する。タンパク と核酸データベースの検索によって、ニュールツリンがグリア由来神経栄養因子 (GDNF)と約40% まで一致する新種のタンパクがであることを確認した。GDNFは 、中脳のドーパミン性ニューロンの生存を促進し、TGF-β上位ファミリーの遠い 親戚の構成因子として精製されクローン化された。このTGF-β上位ファミリーに は現在までのところ、様々な増殖・分化活性をもつ25を超す異なった遺伝子が存 在している。GDNFはTGF-βファミリーの他のどの因子と比べても、その共通性は 20% 未満であるが、7つのシステイン残基をファミリー全体にわたって保存し、 TGF-β2の水晶構造測定で観察された保存型システイン結節構造の基礎であると 信じられる。ニュールツリンもこれらの7つのシステイン残基を含むが、GDNFの ようにTGF-βファミリーの他の因子と比較しても相同性は20% 未満である。した がって、ニュールツリンおよびGDNFは、成長因子の下位ファミリーを表し、TGF- β上位ファミリーの残りの因子から相当離れているように見える。 マウスのニュールツリンcDNAの全長配列を測定するため、5'および3'RACE PCR を上記のようにラットで実行したが、この場合、新生マウスの脳からのマウスゲ ノム配列とcDNAから予想された繰り込みプライマーを使用した。3'末端用の最初 の反応のプライマーには:M1777 5'-GCGGCCATCCGCATCTACGACCGGG(配列番号(SEQ ID NO):57)、およびAP1 を用いて、94℃で30秒; 65℃で15秒、68℃で2 分を35 回繰り返すパラメータで行った。2 番目の反応にはプライマー#467921(配列番号 (SEQ ID NO):55)とAP2 を使用し、94℃で30 秒; 65℃で15秒、68℃で2分を20回くり返した。5' 末端は最初の反応プライマ ーM1759 に5'-CRTAGGCCGTCGGGCGRCARCACGGGT(配列番号(SEQ ID NO):58)およ びAP1 を使用して、94℃で30秒; 65℃で15秒、68℃で2 分を35サイクルの条件で 行った。2番目の反応にはプライマーM1785 、5'-GCGCCGAAGGCCCAGGTCGTAGATGCG (配列番号(SEQ ID NO):59)およびAP2 を使用したが、条件は94℃で30秒; 65 ℃で15秒、68℃で2 分を20サイクル。両セットのPCR 反応には5%のDMSOを含めた 。マウスの5'と3'RACE生成物をプラスミッドブルースクリプトKSにサブクローン し、配列を決定した。RACE生成物を使用し、1.0kb のマウスニュールツリンcDNA 配列を組み立てることができる。このcDNA配列には、24kDの分子質量のタンパク をコード化する585 ヌクレオチドの開放読取り枠が含まれる。図7にこのマウス cDNA全長配列を示す(配列番号(SEQ ID NO):12)。TGF-βファミリー因子に関 して起こることが知られる処理上の出来事と違わず、24kDのニュールツリンタン パクには、アミノ末端19アミノ酸シグナル配列が含まれ、次に、続いてRXXRタン パク分解処理部位を含むプロドメインが続く。この処理部位はCHO 細胞による調 整済培地からの精製タンパクの配列を決定する際に得るN 末端アミノ酸配列の直 前にある。これらのランドマークを使用し、11.5kD成熟ニュールツリン分子が11 .5kDであると予測し、またTGF-βファミリーの他の構成因子からの類推で、23kD のホモダイマーに結合された二硫化物を構成することが予測される。さらに、こ のホモダイマはSDS-PAGE分析で予測されているようにCHO 細胞調整済培地から精 製されたタンパクの質量25kDとも一致する。 ヒトゲノムクローンの分離には、マウスの配列から予測されたプライマー(#46 7524; 5'-CGCTACTGCGCAGGCGCGTGCGARGCGGC,配列番号(SEQ ID NO):60 and #100 05,5'-CGCCGACAGCTCTTGCAGCGTRTGGTA,配列番号(SEQ ID NO):61)を使用して、 ヒトゲノム DNAからの192 ヌクレオチド断片を増幅した(PCRパラメータ: 最初の タンパクの 変成:95℃で1分30秒、94℃で30秒、60℃で15秒、68℃で60秒を35回サイクル) 。PCR 生成物の配列は、マウスのニュールツリンがヒトと同相であることを示し た。次にプライマーを、P1ベクター(library screening service,Genome Syste ms,Inc.)で構成されたヒトゲノムライブラリーの選別に使用した。こうして、 ヒトニュールツリンゲノム遺伝子座を含む2 つのクローンが得られた。 同じ手法を用いて、前出のマウスの配列で述べたように、ヒトの配列を予測し た。オリゴ(小数発振)(#30152,GACCTGGGCCTGGGCTACGCGTCCGACGAG,配列番号(S EQ ID NO):62)をプローブとして使用し、サザンブロット分析法を用いて、ヒト ニュールツリンコーディング配列を含むP1クローン(Clones)の制限断片を識別し た。これらの制限断片(Eag I,Pvu II,Hind III,Kpn I)をブルースクリプトKS プラスミッドにサブクローンし、配列を決定した。 ヒトゲノム断片のサブクローニングと配列決定の結果は以下の通りだった。Ea g I 断片のサイズは約6kb で、3'Eag I 部位が停止コドンから60bp下流に位置し ていることがわかった。Pvu II 断片のサイズは約3.5kb で、3' Pvu II 部位は 停止コドンから 250bp下流に位置していることがわかった。Hind III断片のサイ ズは約4.8kb で、3' Hind III 部位は停止コドンから 3bp下流に位置しているこ とがわかった。Kpn I 断片のサイズは約4.2kb で、3' Kpn I部位は停止コドンか ら 3.1bp下流に位置していることがわかった。 第2の暗号化エクソンの配列は、サブクローンされたこれらの断片を用いて決 定された。また、第2エクソンの3'側に位置する250bpからも配列を得た。さら に、暗号化エクソンの5'側に位置する1000bpからも配列を得た。これらの側面配 列から、前向プライマー30341(5'-CTGGCGTCCCAMCAAGGGTCTTCG-3',配列番号(SEQ ID NO):71)および、逆向プライマー30331(5'-GCCAGTGGTGCCGTCGAGGCGGG-3' ,配列番号(SEQ ID NO):72)を設計した。これは第2エクソンの全暗号化配列 が、PCR(ピーシーアール法)により増幅されるため である。 第1暗号化エクソンのマッピングは上記の制限部位に関連しては行われなかっ たが、Eag I の断片に内包された。このエクソン配列は、サブクローンを行った Eag 1 断片から、ATG イニシエーション・コドンを含むマウスのプライマー、46 6215(5'-GGCCCAGGATGAGGCGCTGGAAGG-3',配列番号(SEQ ID NO):73)を用いて 得られた。第1暗号化エクソンの以降の配列は、プライマー466215で得た配列か ら設計された逆向プライマー、20215(5'-CCACTCCACTGCCTGAWATTCWACCCC-3',配 列番号(SEQ ID NO):74)を用いて得られた。前向プライマー、20205(5'-CCATG TGATTATCGACCATTCGGC-3',配列番号(SEQ ID NO):75)は、プライマー20215 で 得られた配列から設計された。プライマー20205 と20215 は、第1暗号化エクソ ンの暗号化配列の側面に並び、PCR を用いてこの暗号化配列の増幅に使用するこ とが可能である。 例7 本例はニュールツリンcDNAを内包する発現ベクターの製剤を示すものである。 組換え体ニュールツリンを哺乳動物の細胞で発現させるため、ニュールツリン ベクター、pCMV-NTN-3-1が構築された。ニュールツリンcDNAの585 ヌクレオチド 転写解読枠は、ニュールツリン暗号化配列(5'-GCGACGCGTACCATGAGGCGCTGGAAGGC AGCGGCCCTG,配列番号(SEQ ID NO):63)の最初の27個のヌクレオチドを含むプ ライマーおよび、最後の5 つのコドンおよびストップ・コドン(5'-GACGGATCCGCA TCACACGCACGCGCACTC,配列番号(SEQ ID NO):64)を含むプライマーを用いるPCR 法で、生後1日目のマウスの脳のmRNAの逆転写をテンプレートとして使用して増 幅された。使用されたPCR パラメータは(PCRパラメータ:94℃で30秒;60℃で15 秒;68℃で2 分を35サイクル、反応には5%のDMSOを含める)であった。PCR 生成 物は、 PCR による突然変異がないことを確認するため、BSKSのEco RV部位へサブクロー ンされ、配列決定が行われた。次にMlu I(5' 末端)およびBam H1(3'末端)を 用いてニュールツリン暗号化配列はこのベクターから切除され、哺乳類発現ベク ターpCB6(Brewer,C.B.Methods in Cell Biology 43:233-245,1994)中のCMV I Eプロモーター/エンハンサーの下流へ挿入され、これらの部位を用いたpCMV-NT N-3-1ベクターが生成された。 E.コイル内における組換えタンパクの発現のため、マウスニュールツリンの成 熟した暗号化部位がPCR で増幅された。増幅には成熟暗号化配列(5'-GACCATATGC CGGGGGCTCGGCCTTGTGG)(配列番号(SEQID NO):65)の最初の7つのコドンを含 むプライマー、および最後の5つのコドンと停止コドン(5'-GACGGATCCGCATCACAC GCACGCGCACTC)(配列番号(SEQ ID NO):66)を含むプライマーを使用し、その方 法としてネズミ科のニュールツリン遺伝子を含む断片をテンプレートとして、以 下のPCR パラメータ(PCRパラメータ:94℃で30秒;60℃で15秒;68℃で90秒を25 サイクル、反応には5%のDMSOが加えられた)が使用された。増幅された生成物は 、BSKSのEco RV部位へサブクローンされ、ヌクレオチド配列を確認した後、この 断片はNde 1 部位(5' 末端)およびEco R1部位(3' 末端)を用いて、発現ベクター pET-30a(Novagen,Madison,WI)へ移転された。pET-ニュールツリン(pET-NTN)ベ クターは、成熟マウスのニュールツリンタンパクの最初のアミノ酸の前にあるイ ニシエータメチオニンを暗号化する。これはCHO 細胞調整済培地から精製された ニュールツリンのN-末端アミノ酸配列から予想されたものである。 例8 本例は、ニュールツリン発現ベクターpCMV-NTN-3-1を有するNIH3T3細胞の一時 的なトランスフェクションならびに、例7のゲノム配列の生成物が生物学的に活 性であることを示すものである。 クローンされたNurturing cDNAにより生物学的に活発なニュールツリン合成が 十分行われることを示すため、トランスフェクションのリポフェクトアミン(lip ofectamine)法を用いて、pCMV-NTN-3-1プラスミドをNIH3T3細胞へ一時的に導入 した。トランスフェクションの前に、NIH3T3細胞を1ウェル(直径34.6mm)当た り40万細胞の濃度で6ウェルのプレート(Corning,Corning,NY)で24時間平板 培養した。DNA リポソーム複合体をメーカーのプロトコルに従って調製し細胞に 加えた。その方法として、1.5 μg CMV−ニュールツリンプラスミドDNA(Qiagen (Chatsworth,CA)のtip-500 カラムを用いて同社のプロトコルに従い分離し精 製した)および、10μlのlipofectamine 試薬(Gibco BRL,Gaithersburg,MD )並びに、5μg/mlのインスリン、5μg/mlのトランスフェリンおよび 5ng/mlの亜セレン酸ナトリウム(Sigma,St.Louis,MO)を含む1:1 DME/F12 培 地を使用した。DNA リポソーム複合体をウェル当たり1ml の培地に加えた5時間 後に、20% の子牛血清を含む1ml DME 培地を各ウェルに加えた。DNA リポソーム 複合体を加えた24時間後に、上記の培地2ml を子牛血清10% 、グルタミン2mM 、 ペニシリン100U/ml 、ストレプトマイシン100 μ/ml およびヘパリン25 ug/mlを 含む1ml DME 培地と置き換えた。細胞をさらに24時間培養した後、調整済培地を 採取し、遠心分離機にかけて細胞破片を除去して、冷凍した。 対照として、1.5 μg CMV- ニュールツリンプラスミドの代わりに1.5 μg C MV−ネオ(neo)発現プラスミド(cDNA 挿入を含まない)を用いて、NIH3T3細胞のト ランスフェクションを上述のように行った。対照プラスミドかCMV-ニュールツリ ンプラスミドでトランスフェクションされたNIH3T3細胞から得た調整済培地のア ッセイは、NGF を枯渇させた時点でSCG 培地に直接加えることにより行った。CM V-ニュールツリントランスフェクション細胞から得た0.25mlの調整済培地を加え ることにより、交感神経ニューロンの70% の生存率 を向上させた。この調整済培地0.45mlを付加すれば、90% 以上の生存率が実現し たかもしれない。対照トランスフェクションNIH3T3細胞の調整済培地には、生存 を促進するような顕著な活動は認められなかった。 例9 本例はニュールツリンcDNAで安定した形質転換が行われたチャイニーズハムス ター卵巣細胞の調製法を示す。 ジヒドロ葉酸塩レダクターゼ(DHFR)(UrlaubほかCell 3: 405-412,1983 を参 照により本文に採用)を欠失しているチャイニーズハムスター卵巣細胞の誘導体 であるDG44細胞の同時トランスフェクションを、発現プラスミド(pCMV-NTN-3-1) およびDHFR発現プラスミド(HLD)を用いて行った(McArthur,and Stanners,J.B iol.Chem.266: 6000-6005,1991参照により本文に採用)。 1日目に、10% のウシ胎児血清(FCS)を含有したHam のF12 培地の中で、10cm 培養プレート当たり1x106 個のDG44細胞を培養した。この濃度は最大許容濃度で あり、これを超えた場合、5日目に選択培地を加える前に細胞が増殖し過ぎる恐 れがある。 2日目に、リン酸カルシウム法(10ug DNA/10 cmプレート)(Chen and Okayam a,Mol.Cell.Biol.7: 2745-2752,1987 参照により本文に採用)を用いて、p CMV-NTNとDHFR発現プラスミドの比率を9:1 とする細胞のトランスフェクション を行った。 3日目に、トランスフェクション細胞をHam's F12 培地で洗浄し、 Ham's F12 へ10% のFCS を与えた。 5日目に、細胞はMEM アルファ培地で洗浄され、10% のFCS および400ug/mlの G418を内容とする選択培地を与えられた。細胞を選択培地に保存し、4日毎に栄 養を与えた。トランスフェクション後約14日目にコロニーが形成され始めた。次 に選択培地で繁殖するコロニーを、24のウェル付き培養プレートに移し、翌日ト リプシン化を 行って細胞を拡散させた。組換えタンパク発現用の細胞を選別するため、24のウ ェルまたは6つのウェル付き培養プレートで細胞を稠密培養させた。10本のクロ ーン系でニュールツリンの発現を調べ、SCG 生存アッセイを用いて2本の高度な 発現系を検出した。これらのクローン系を拡大し、これらの選択細胞系における 発現を50nMのメトトレキセート(MTX)の中での選別により増幅した。MTX 中での 選別のため、細胞は150cm2フラスコの選択培地で50% の密度にまで増殖した。培 地は50nM MTX濃縮体を含むMEM アルファに変更された(MTX 増幅中にG418を用い る必要はなかった)。50nM MTXに移した後、大多数の細胞は死亡し、抵抗力の強 い細胞コロニーが1〜2週間で出現した。この時点で細胞をトリプシン化してコ ロニーを拡散させ、細胞が稠密化した時点で細胞を分割した。細胞は間もなく以 前と同様の成長率に達した。組換えタンパクの発現を目的として、選択細胞の選 別が行われた。50nM MTX中での選別後、2〜3倍の発現の増加が観察された。冷 凍ストックが、オリジナルの選別および50nMのMTX 中での選別から得られた細胞 系用として保存された。MTXの増加とともに、目標レベルの発現が得られるまで 選別をさらに続けてもよい。 上記の方法を用いて、DG44CHO5-3(G418)(pCMV-NTN-3-1)およびDG44CHO5-3(50n M MTX)(pCMV-NTN-3-1)と識別された細胞を分離した。DG44CHO5-3(50nM MTX)(pCM V-NTN-3-1)変種からの細胞は、1リットルの調整済培地当たり約100 μgの生物 学的に活性を示すタンパク量を発現した。これは例1の方法によるSCG アッセイ 中の調整済培地の直接アッセイにより決定した。 例10 本例はpJDM1926発現ベクターの調製および、ベクターで安定した形質転換が行 われたE.コイルの調製を示す。 成熟ネズミ科のニュールツリンタンパク(すなわち最初のCys 枠 の残基の上流(PGARP)にある5 個のアミノ酸)をコード化するニュールツリンcDN A断片を、Nde I およびBam H1の部位でpET 発現ベクターpET-30a の中へクロー ンを行った。発現レベル改善のため、ヌクレオチドの配列を変えた。これはバク テリアの好むコドンが自然発生のネズミ科のコドンに置き換えられるためである 。E.コイルを好むコドンニュールツリンを以下の配列番号(SEQ ID NO):79に述 べる。 これらの操作によるアミノ酸の配列には変化はない。この人工のニュールツリン 遺伝子を構築するため、一連の重複オリゴヌクレオチド4個を合成した。 オリゴヌクレチドは成熟したニュールツリンの配列に対応した。線状の配列を形 成するため、これらのプライマーを互いにアニールさせて線状の配列を作り、ク レナウ(Klenow)断片で延長し、キナーゼおよび結さつを行い、pBS-KSプラスミ ドを得た。M2021 およびM2033 を使用して、これらの結さつ反応はPCR 反応での テンプレートとして使用された。反応には次のようなパラメータを用いた(94℃ で30秒、72℃で60秒を30サイクル)。PCR 生成物(配列番号(SEQ ID NO):79 に対応)をBSKSプラスミドのEcoRV 部位へサブクローンして配列を行い、突然変 異が存在しないことを確認した。つぎにNdeIおよびBam H1を用いて、ニュールツ リン配列をこのベクターから切除し、バクテリア発現ベクターPET30a(Novagen ,Madison,WI)のnNde I(5')および Bam H1 の(3')部位へクローンを行った 。オリゴヌクレオチド M3199(5'-TAGCCTTGTCGTCGTCGTCATGATGATGATGATGGTGCA, 配列番号(SEQ ID NO):84)および M3197(5'-TATGCACCATCATCATCATCATGACGACGA CGACAAGGC,配列番号(SEQ ID NO):85)をNde I 部位へクローンすることにより 、6個のHis 残基の後にエンテロキナーゼ部位が続くヒスチジン標識を、開始メ チオニン上流に置いた。この結果、6個のヒスチジン残基の後にエンテロキナー ゼ部位が直接続くアミノ酸末端標識を有するニュールツリンタンパクが生成され た。 この結果得られたプラスミド(pJDM1926)をE.コイル変種 BL21(DE3)へ導入し た。ニュールツリンを生成するため、このプラスミドを宿すバクテリアを16時間 培養したあと採取し、6Mグアニジン-HCl,0.1M NaH2PO4,0.01M トリス(Tris)(p H8.0)を用いて溶解させ、Ni-NTA樹脂(Qiagen)上のクロマトグラフィーを介し て、これらの溶解生成物から組換えニュールツリンタンパクを精製した。3カラ ム量の緩衝液E(8M の尿素,0.1M NaH2PO4,0.01 Mトリス,pH4.5)を用いてタ ンパクを溶離させた。次に濃度の低い尿素を含有する再生緩衝液(0.1MのNaH2PO4 ,0.01Mトリス,pH 8.3,0.15M Nacl,3m M システイン,0.02% Tween-20,10% グリセロール)中での透析により、ニュー ルツリンを再生した(4M で16時間、2Mで16時間、1Mで72時間、0.5Mで16時間の順 に)。続いて、ブラッドフォード法(Bio Rad)を用いてニュールツリンの濃度を決 定し、4℃で保存した。 例11 本例はさまざまな組織内におけるニュールツリンの発現を示す。 準数量的なRT/PCR(Estus ほか、J Cell Boil 127 :1717-1727,1994,を参照 により本文に採用)を用いて、ラットの胎児組織(E10,受胎後10日目)、新生児 組織(P1,生後1日目)、および成体組織(生後3ヶ月以上)における、ニュー ルツリンおよびGDNFの発現の調査を行った(Estusほか、J Cell Biol 127:1717-1 727,1994 参照により本文に採用)。各種の組織からRNA の試料を採取、またα −32p−dCTPをPCR 中へ組入れた後のオートラジオグラフィおよびポリアクリル アミド・ゲル(図6)上の電気泳動により、またはアガロース・ゲル上の電気泳 動後のDNA のエチジウムブロマイド染色(表3および4)のいずれかの方法によ り、PCR 生成物を検出した。前向プライマーCAGCGACGACGCGTGCGCAAAGAGCG(配列 番号(SEQ ID NO):67)および、逆向プライマーTAGCGGCTGTGTACGTCCAGGAAGGAC ACCTCGT(配列番号(SEQ ID NO):68)を用いて、101 個の塩基対のニュールツリ ン断片を得、また前向プライマーAAAAATCGGGGGTGYGTCTTA(配列番号(SEQ ID NO) :69)、および逆向プライマーCATGCCTGGCCTACYTTGTCA(配列番号(SEQ ID NO):70 )を用いて、194 個の塩基対のGDNF断片を得た。 調査した胎児初期(受胎後10日目、E10)には、ニュールツリンもGDNF mRNA も 認められなかった。新生児期(誕生1日目、P1)には、両転写が多くの組織で発 現されたが、ほとんどの組織でニュールツリンの発現がGDNFよりはるかに多く認 められる傾向にあった(表3を参照)。 表3に示すごとく、ニュールツリンとGDNFの組織分布に相違が見られた。肝臓 と胸線には特にGDNFを認めなかったが、ニュールツリン発現を認めた。また座骨 神経にはニュールツリンを認めなかったがGDNFを認めた。 動物成体の多くの組織にニュールツリンとGDNF mRNA を認めたが、この2つの 遺伝子に関しては発現の組織固有パターンに大きな違いが見られた(表4、図5 )。 表4に示すごとく、ニュールツリンは脳および脊髄並びに血液および骨髄に発 現されたことが分かったが、GDNFは認められなかった。しかし脳および血液内で のニュールツリンの発現レベルは新生児組織で認められたよりも低かった。 ニュールツリンは新しく分離されたラットの腹膜のマスト細胞できわめて多く 発現されたが、GDNFはほとんどまたは全く発現されなかった。 例12 本例は、ニュールツリンペプチドでウサギに免疫性を与えることにより、ニュ ールツリンに対する抗血清の調製を示すものである。 成熟ネズミ科のニュールツリンタンパクのアミノ酸73-87 に対応するペプチド 配列を合成し、前述のごとく、キーホール・カサガイ・ヘモシアニン(Keyhole limpet hemocyanin,KLH)に結合させた(Harlow and Lane,Antibodies: a lab oratory manual,1988.Cold Spring Harbor Laboratory,New York,NY.p.72- 81を参照により本文に採用)。KLH に結合されたペプチドをCaltag,Inc に提出 し、2匹のウサギの免疫が行われた。免疫は皮下注射で7〜10カ所に行った。初 回投与として、0.5ml の生理食塩水に懸濁され、0.5ml のフロイント完全アジュ バントで乳化された150 μgのKLH 結合ペプチドを注射した。初回投与の4週間 後にブースター投与を行い、その後は100 μgのKLH 結合ペプチドおよびフロイ ンドの不完全アジュバントを使用した以外は、7日毎に合計5回上記のような注 射を行った。5回目のブースター投与の1週間後に血清試料を採取した。 5回目の注射の後2匹のウサギから採取した20mlの血清を合わせて精製した。 精製には、メーカーのプロトコル(Pharmacia Biotech)に従い、上記のペプチド を臭化シアン活性化Sepharose 4Bに結合することにより、ペプチド・アフィニテ ィ・カラムを準備した。血清を10mMトリス緩衝液(pH 7.5)で10倍に希釈し、4℃ で16時間軽く揺すって5 mgの結合ペプチドを含む0.5ml のペプチド・ アガロース・ マトリックスと混合させた。マトリックスをカラムに入れ、5mlの10mMトリス( pH 7.5),150mM NaCl で洗浄し、0.4M NaCl 5ml を含む10mMトリス(pH7.5)緩衝 液で洗浄し、且つ5.5ml の100mM グリシン(pH2.5)緩衝液で溶離させた。溶離後 ただちに1.0Mトリス(pH8.0)緩衝液の10分の1量を溶出液に加え、酸度を低下さ せた。グリシン溶出液を10mMトリス(pH7.5)NaCl に対して一泊透析した。 組換えニュールツリンタンパクが特に確認されたことを実証するため、ウェス タン・ブロット法でアフィニティ精製された抗体を使用した。DG44CHO5-3(G418) (pCMV-NTN-3-1)細胞から採取した10mlの調整済培地を、例1に述べたごとくSP S epharose上で精製し、タンパクをトリシン(tricine)緩衝液装置内の還元SDS-PAG Eゲル上で電気泳動させた(Schagger and von Jagow,Analytical Biochemistry 166 :368-379,1987)。タンパクは、25mMトリス,192mM グリシン、0.04% のS DS 、17% のメタノールの中で、4℃で16時間ニトロセルローズメンブレンに電 気ブロットされた。メンブレンはアフィニティ精製された抗ニュールツリンペブ チド抗体、続いてセイヨウワサビ・ ペルキシダーゼ結合のヒツジの抗ラビットIg C で培養された(上記、Harlow and Lane,p.498-510)。化学発光をより強力に 放つ結合抗体が認められた(ECL kit,Amersham,Buckinghamshire,England) 。抗ニュールツリン抗体は、DG44CHO5-3(pCMV-NTN-3-1)細胞の調整済培地の中に 約11.5kDのタンパクバンドを1本認識した。これらの抗ニュールツリン抗体を使 用して、DG44CHO5-3(G418)(pCMV-NTN-3-1)細胞からの10ml調整済培地内にニュー ルツリンタンパクを認めることができたが、ニュールツリン発現ベクターで形質 転換を行わなかったDG44細胞で調整された10mlの調整済培地にはタンパクを認め ることができなかった。 例13 本例はGDNF/ニュールツリン遺伝子の他の下位ファミリー構成因子を示すもの である。 TGF-β上位ファミリーには現在25以上の異なる遺伝子因子がある(詳細につい てはKingsley,Genes and Development 8: 133-146,1994を参照により本文に採 用)。各ファミリー構成因子は、互いに様々な程度の相同性を示し、上位ファミ リー内の幾つかの亜族はClustal V プログラムを用いた系統発生的分析(Higgin s ほか、Com put Appl Biosci 8: 189-191,1992、を参照により本文に採用)、並びに系統発 生的系統樹のブートストラップ分析(Felsenstein,Evolution 39: 783-791,19 85、を参照により本文に採用)による定義が可能である。ニュールツリンはのGD NFと約40% 同じであるが、TGF-β上位ファミリーの他の構成因子との同一性は20 % 未満である。GDNF/ニュールツリン下位ファミリーには多く保存されているが 、TGF-β上位ファミリーには保存されていないニュールツリンの数カ所の配列部 位を識別することが可能である(図5)。これらの保存部位は、以前は不可能だ った分離が今では可能な遺伝子を含む下位ファミリーの特徴を有する傾向にある 。分離は、ニュールツリン遺伝子の発見および配列決定から識別された保存配列 部位を使用することにより可能である。配列が多く保存されているニュールツリ ンおよびGDNF間の部位を用いることにより、プローブまたはプライマーとして使 用できる変性オリゴヌクレオチドを設計することができる。識別された保存部位 のアミノ酸配列は以下の通りである。Val-Xaa1-Xaa2[-Leu-Gly-Leu-Gly-Tyr、う ちXaa1はSer またはThr で、Xaa2はGlu またはAsp である(配列番号(SEQ ID NO ):33)。Glu-Xaa1-Xaa2-Xaa3-Phe-Arg-Tyr-CyS-Xaa4-Gly-Xaa5-Cys-Xaa6-Xaa7- Ala、うちXaa1はThr またはGlu 、Xaa2はVal またはLeu 、Xaa3はLeu またはIle 、Xaa4はAla またはSer 、Xaa5はAla またはSer 、Xaa6はGlu またはAsp 、Xaa7 はAla またはSer(配列番号(SEQ ID NO):34)。Cys-Cys-Arg-Pro-Xaa1-Ala-Xa a2-Xaa3-Asp-Xaa4-Xaa5-Ser-Phe-Leu-Asp、このうちXaa1はThr またはVal また はIle 、Xaa2はTyr またはPhe 、Xaa3はGlu またはAsp 、Xaa4はGlu またはAsp 、Xaa5はVal またはLeu(配列番号(SEQ ID NO):35)。上記の保存配列または上記 の保存配列の断片のための暗号化配列を含むヌクレオチド配列をプローブとして 使用することが可能である。これらの部位から設計が可能な典型的なプローブお よびプライマーは以下の通りである。プライマー1: GTNWSNGANYTNGGNYTNGGNTA( 配列番号(SE Q ID NO):42)。このプライマー1は次のアミノ酸配列を暗号化する:Val-Xaa1 -Xaa2-Leu-Gly-Leu-Gly-Tyr(うちXaa1はSer またはThr 、Xaa2はGlu またはAsp )(配列番号(SEQ ID NO):43)。プライマー2: TTYMGNTAYTGYDSNGGNDSNTGYGANK CNGC(配列番号(SEQ ID NO):43)。プライマー2は次のアミノ酸配列を暗号 化する:Phe-Arg-Tyr-CyS-Xaa1-Gly-Xaa2-Cys-Xaa3-Xaa4-Ala(うちxaa1はAla ま たはSer 、Xaa2はAla またはSer 、Xaa3はGlu またはAsp 、Xaa4はSer またはAl a)(配列番号(SEQ ID NO):36)。プライマー3(逆向):GCNGMNTCRCANSHNCCNSHR TANCKRAA(配列番号(SEQ ID NO):44)。このプライマー3は次のアミノ酸配列を 暗号化する:Phe-Arg-Tyr-Cys-Xaa1-Gly-Xaa2-Cys-Xaa3-Xaa4-Ala(このうちXaa1 はAlaまたはSer 、Xaa2はAla またはSer 、Xaa3はGlu またはAsp 、Xaa4はSer またはAla 、)(配列番号(SEQ ID NO):37)。プライマー4(逆向): TCRTCNT CRWANGCNRYNGGNCKCARCA(配列番号(SEQ ID NO):45)。このプライマー4 は次 のアミノ酸配列を暗号化する:Cys-Cys-Arg-Pro-Xaa1-Ala-Xaa2-Xaa3-Asp-Xaa4( うちXaa1はIle またはThr またはVal 、Xaa2はTry またはPhe 、Xaa3はGlu また はAsp 、Xaa4はGlu またはAsp)(配列番号(SEQ ID NO):38)。プライマー5(逆向 ):TCNARRAANSWNAVNTCRTCNTCRWANGC(配列番号(SEQ ID NO):46)。このプライ マー5 は次のアミノ酸配列を暗号化する:Ala-Xaa1-Xaa2-Asp-Xaa3-Xaa4-Ser-Phe -Leu-Asp(うちXaa1はTyr またはPhe 、Xaa2はGlu またはAsp 、Xaa3はGlu また はAsp 、Xaa4はVal またはLeu)(配列番号(SEQ ID NO):39)。プライマー6: G ARRMNBTNHTNTTYMGNTAYTG(配列番号(SEQ ID NO):47)。このプライマー6 は次 のアミノ酸配列を暗号化する: Glu-Xaa1-Xaa2-Xaa3-Phe-Arg-Tyr-Cys(うちXaa1 は GluまたはThr 、Xaa2はLeu またはVal 、Xaa3はIle or Leu(配列番号(SEQ I D NO):40)。プライマー7: GARRMNBTNHTNTTYMGNTAYTGYDSNGGNDSNTGHGA(配列番 号(SEQ ID NO):48)。このプライマー7は次のアミノ酸配列を暗号化する:Glu-X aa 1 -Xaa2-Xaa3-Phe-Arg-Tyr-Cys-Xaa4-Gly-Xaa5-Cys-Xaa6(このうちXaa1はGlu ま たはThr 、Xaa2はLeu またはVal 、Xaa3はIle またはLeu 、Xaa4はSer またはAl a 、Xaa5はSer またはAla 、Xaa6はGlu またはAsp)(配列番号(SEQ ID NO):41) 。 上記の配列は、ゲノムクローンの選別ライブラリー用プローブとして、または ゲノムDNA かゲノムクローンのライブラリーから、または多様な組織のRNA テン プレートを用いた逆転写cDNAから得た遺伝子断片の増幅用プライマーとしても用 いることができる。ゲノムDNA またはゲノムクローンのライブラリーはテンプレ ートとしても使用できるが、その理由は、ニュールツリンおよびGDNFのイントロ ン/エクソン構造は保存されており、成熟タンパクのコード化配列はイントロン によって遮断されないからである。 変性オリゴヌクレオチドを、保存アミノ酸配列の暗号化に可能なヌクレオチド 配列を全て含むオリゴヌクオチドの混合物として合成することができる。変性混 合物内の各種オリゴヌクレオチドの数を減少させるため、4種の全ヌクレオチド が存在する位置で、イノシン塩基を合成物へ組み込むことが可能である。イノシ ン塩基は4つの通常DNA 塩基の各々と塩基対を形成する。このイノシン塩基の対 はATおよびGC塩基対より安定性が少ないが、普通塩基(AG,AC,TG,TC)間の不釣 り合いに比べると安定性がある。 ファミリー構成因子を単離するため、上記のプライマー末端にT4ポリオヌクレ オチド・キナーゼを用いて、32P の標識付けが可能である。また標準的方法に従 ってヒトのゲノムクローンのライブラリーにハイブリダイゼーションを行うこと ができる。 ファミリーの構成遺伝子を単離する好適な手順は、ゲノムDNA をテンプレート として用いるポリメラーゼ連鎖反応で、上記の変性プライマーの各種組合せをプ ライマーとして使用することである。例えば、プライマー2(配列番号(SEQ ID N O):43)とプライマー4(配列番号(SEQ ID NO):45)を組み合わせて、PCR で1u g のヒト のゲノムDNA と用いることができる(使用パラメータ:94℃で30秒、50℃で30秒 、72℃で60秒を繰り返す)。これらのPCR 条件は模範例のみであるが、本技術に 熟達した者であれば、緩衝液培地などでの温度や塩分濃度を変えるなど、広範な 好適条件を使用することや最適化が可能なことをただちに理解するはずである。 好適な方法として、ニュールツリン遺伝子のこの部位の増幅に必要だと認められ る場合に限り、5%の最終濃度が得られるまでDMSOをPCR 反応に付加することであ る。アガロースゲル上で実行される場合、PCR 反応は規模にして125 〜150 の塩 基対の生成物を含んでいることが必要である。その理由はGDNFと平行に並んだ時 、ニュールツリン配列に1つのアミノ酸のギャップが導入されるからであり、従 ってファミリー構成遺伝子間の間隔は、プライマー2 および4 の保存配列間でわ ずかに異なるかもしれない。塩基対が125 〜150 個のPCR 生成物は、GDNF、ニュ ールツリンおよび事前に分離できなかったファミリー構成因子を含む多重増幅遺 伝子生成物を含んでいることが必要である。これらの生成物の配列を識別するに は、ゲルで精製を行い、ブルースクリプトプラスミド(ストラタゲン(Stratagene ))内へ結さつを行い、続いてXL1-ブルー(blue)E.コイルの宿主株(Stratagene)へ と形質転換を行う。独立したサブクローンを含むバクテリアのコロニーを選択し て分離し、ニトロセルローズの2つに分かれた同型フィルターに培養してもいい 。増幅部位にあるユニークなGDNFまたはユニークなニュールツリン配列を検出す るため、オリゴヌクレオチド・ プローブで同型フィルターの各々を覆うことがで きる。GDNFへもニュールツリンへもハイブリダイセーションされないサブクロー ンの配列を行い、もし以前分離されなかったファミリー構成因子をコード化する ことが分かったら、ニュールツリンで行ったように配列を用いて標準長のcDNAク ローンおよびゲノムクローンを分離することができる(例7)。同様の方法を用 いて、TGF-β上位ファミリーの新遺伝子(GDF-3およびGDF-9)を、以前識別された 遺伝子間 の相同性を基準として分離した(McPherron,J Biol Chem 268: 3444-3449,1993 ,を参照により本文に採用)。 ファミリー構成員遺伝子を分離する最適な方法は、上記のPCR 手順を選別方法 として応用し、ファミリー構成因子の各独立ゲノムクローンをライブラリーから 分離することであると発明者は信じる。これは成熟したニュールツリンの暗号化 部位にもGDNFの暗号化部位にも、エクソンはただ1つしかないからである。例え ば、もしプライマー2および4との上記のPCR 反応が、ヒトのゲノムDNA をテン プレートとして適切なサイズの生成物を生み出せば、P1ベクター内のゲノムクロ ーンの集合体をテンプレートとして使用し、かつニュールツリンのヒトのゲノム クローンの分離法など、本技術分野でよく知られる方法に従って同様の反応を生 ぜしめることが可能である(例7)。このライブラリー中のニュールツリン遺伝 子を含む集合体はすでに識別されており、GDNFを含む集合体は、GDNF固有のプラ イマーによる選別を行えば容易に識別できる。従って、これらの集合体から得た 変性プライマーを用いて、適度のサイズの生成物を生み出す非ニュールツリン、 非GDNFの集合体は以前の非隔離ファミリー因子として容易に確認することができ る。こうした集合体から発生したPCR 生成物は自動シーケンサーを使用して直接 的に配列決定されることが可能で、またゲノムクローンの単離もGenome Systems 社提供の標準的手法でクローンの集合体の下位分割と選別を進めることによって 可能である。 例14 本例はニュールツリンを過剰発現する移転遺伝子由来マウスの調製過程を示す 。 代謝の変化と脂肪組織の蓄積におけるニュールツリンの潜在的な役割を測定す るため、移転遺伝子由来マウスの産出によって得られた多様な組織上のニュール ツリンの過剰発現の結果を評価した。同 マウスではミオゲニン(Myogenin)プロモーターを介して筋組織でニュールツリ ンが発現された。ネズミ科のミオゲニンプロモーター(Nt -1565 から+18 まで)( Edmondson ほか、Mol.Cell.Biol.12:3665-3677,1992)および、ヒトの成長ホ ルモンの3'スプライスおよびポリアデニレーション信号(Nt 500 から2650まで) の間に存在するBam H1部位へネズミ科のニュールツリン cDNA がクローンされた 構成体が生成した。構成体が正しく生み出されたことを確認するため、この構成 体のヌクレオチド配列決定が行われた。Xba I およびKpn I を用いて、プラスミ ドのバックボーンをミオゲニン/ニュールツリン/GH 断片から切り離し、断片を ゲルで精製した。ゲルで精製された断片を、標準的手順によりB157マウスの卵母 細胞へ注入した(Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual,Hogan ,B.,Beddington,R.,Constantini,F.and Lacy,E.,Eds.; Cold Spring Ha rbor Press,1994参照により本文に採用)。ミオゲニン/ニュールツリンの移植 遺伝子(MyoNTN)を有する先駆者マウスをPCR 法で判別し、移植遺伝子系繁殖のた め交配させた。先駆者マウス10匹を入手し、このうちの3 匹から移植遺伝子系を 得た。 ニュールツリンが発現されたかどうかを測定するため、MyoNTN F1 マウス数匹 を犠牲にしてバイオアッセイを行った。移植遺伝子系動物の新生児マウスの後足 から筋肉を切除して調べ、SCG アッセイ中に生存を促進するニュールツリン が 含まれていることがわかったが、非移植遺伝子系新生児の筋肉には含まれていな かった。組織学的分析では、皮下脂肪がより多く含まれていること(図12)、お よび肝臓に脂肪が蓄積されていること(図13)が明らかになった。これはニュー ルツリンの過剰発現が動物の代謝に影響を与えることにより、脂肪組織が過剰に 生成されたことを示唆している。 例15 本例は、交感神経ニューロンのニュールツリンまたはGDNF処理に よる有糸分裂促進活性タンパクキナーゼ(MAPキナーゼ)を示すものである。 MAP キナーゼ経路の活性化がNGF の栄養効果に関連することが明らかになった (Cowley ほか、Cell 77:841-852,1994)。そこで、リン酸化MAP キナーゼ特有の 抗体、並びにリン酸化および非リン酸化アイソフォームを認識できる抗体(非リ ン酸化アイソフォームはゲル上に乗せられたERK-1 およびERK-2 の総量の調節の 役目をする)を用いて、MAP キナーゼ(MAPK)の細胞外の信号調節キナーゼ・ アイ ソフォームERK-1 およびERK-2 を交感神経ニューロン内で活性化させるためのニ ュールツリンおよびGDNFの能力をテストした。 上頚部神経節から得たニューロンの一次解離培養生成物を前述の例2に従って 準備した。6日目の培養生成物からNGF を12時間枯渇させ、その後ニュールツリ ン,GDNFまたはNGF で処理した。処理の5分後に、培養生成物をラエムリ(Laemm li)試料緩衝液中で直接溶解させ、5分間煮沸してSDS-PAGEにさらし、その後、 例5で用いられたようなPVDFメンブレンへ移した。MAPK活性化の決定には、ホス ホプラス(PhosphoPlus)MAPK抗体キット(New England BioLabs)をメーカーの使用 説明書に従って使用して、ウェスタンブロット法でりん酸塩固有のMAPK抗体(図 14(a))のプローブを行い、続いてリン酸化および非リン酸化されたERK-1 およびERK-2(図14(b))を認識する対照MAPK抗体のストリッピングと再プ ローブを行った。 レーン1は2ng のリン酸化ERK-2 タンパク(P-ERK-2) 、レーン2は2ng の非リ ン酸化ERK-2 タンパクを示す。レーン3〜6は因子(対照)のない50 ng/mlのNG F 、50Ng/ml のニュールツリンまたは50 ng/mlのGDNFで処理された交感神経ニュ ーロンからの溶解生成物を示す。 リン酸化MAP キナーゼ固有の抗体は、ニュールツリン,GDNFまたはNGF で処理 した後、リン酸化ERK-1 およびERK-2 を検出した(図 14(a))。これはNGF と同じく、ニュールツリンおよびGDNFが交感神経ニュ ーロンのMAP キナーゼのERK-1 およびERK-2 アイソフォームを活性化させたこと を示す。これらの結果はこの新しい因子の下位ファミリーが、特異な種類のレセ プタタンパクと相互作用することにより、NGF および他のニューロトロフィンに 用いられる特異なシグナル形質導入経路に同様に作用することを示唆している。 例16 本例は、ニュールツリンによる処理によって起きる神経芽細胞腫の細胞の分化 ならびに、ニュールツリンおよびGDNFによるMAP キナーゼの活性化を示すもので ある。 神経芽細胞腫の細胞系は、10% のウシ胎児血清で補充され、かつ週2回継代接 種されたRPMI組織培地に、低密度で培養維持された。細胞は1日目に5x103/cm2 の濃度で6つのウェル付きプレートに平板培養された。2日目およびその後3日 間、50ng/ml のニュールツリンで細胞を処理した後、3日目に顕微鏡下で調べた 。未処理細胞は丸く破裂形状を示していたが、処理細胞は細胞の成熟と分化を示 す多くの軸索をもつ神経細胞様形状を発生させていた(図15(a)及び(b) )。 神経芽細胞腫の細胞におけるMAP キナーゼ活性に対するニュールツリンの影響 を評価するに当たり、細胞(NSH 神経芽細胞腫,NGP神経芽細胞腫,またはSY5Y 神経芽細胞腫の細胞)を6個のウェル付きプレートに平板培養し、無垢細胞では 2〜3日を要するさまざまな実験用の稠密度に達するようにした。非無垢細胞を 、稠密以下の濃度でレチン酸(10μM)を使い3日間処理した。因子による刺激 に先立ち、細胞を低濃度(0.5%)の血清培地で2時間培養した。SDS-PAGE用のSDS ラエムリ緩衝液に指示因子を加え、続いて例15のごとくホスホ-MAPK 抗体に対す る免疫ブロットを行った5分後に、細胞を採取した。 図16(a),(b)および(c)に示すごとく、ニュールツリン(NTN)およ びGDNF並びにNGF は、SK-NSH神経芽細胞腫の(無垢)細胞、NGP 神経芽細胞腫(G A tx)細胞、および神経芽細胞腫SY5Y(RX tx)細胞内で、MAP キナーゼのERK-1 お よびERK-2 アイソフォームを活性化した。比較の方法としては、3種の細胞タイ プがキナーゼ活性化剤PMA で処理された後ただちにMAP キナーゼアイソフォーム のリン酸化を示した。 これらの結果は、ニュールツリンおよびGDNFが腫瘍細胞の分化促進に効果的で あり、従って腫瘍の新療法、特に神経芽細胞腫の新療法となり得ることを示唆し ている。 例17 本例は後根神経節(DRG)ニューロン内のニュールツリンの逆移行を示してい る。 ニュールツリンおよびGDNFを、マーシャロニス(Marchalonis)の方法を用いてN a125I およびラクトペロキシダーゼでよう化し、同様の特定活性(0.6x105 cpm /ng)を得た(Biochem Journal 113:299-305,1969 を参照により本文中に挿入 )。以下の量を使用して室温で反応を行った。36λの0.2M NaPO4緩衝液(pH 6.0) 中の1μgまたは5μgのタンパク、5-10λのNa125I(Amersham,1mCi/10λ) 、1M NaPO4緩衝液(pH 6.0)中の1λの1:103 希釈H2O2(30%)。0.42 M NaCl およ び0.1 M NaI(pH7.5)を含む 150λの0.1 M NaPO4緩衝液を加え、反応は15分後に 終了した。 Sprague-Dawley成熟雄ラット(250-300g)に麻酔をかけた。坐骨神経を露出し 、30秒間強い圧力をかけ、神経を部分的に潰した。1〜5λ(1-5x106 cpm)の放 射線標識したタンパクを、標識のない100 倍の過剰タンパクが存在する中で、神 経に直接注入した。14時間後に緩衝生理食塩水により心臓経由でラットの潅流を 行い、続いて10% フォルマリンで固定し、同側および反対側 L5-L3 DRGを除去し た。ベックマン(Beckman)ガンマカウンターを使用してカウントし、液浸による 固定を行った。次にDRG をアルコールで脱水し、サリチル酸メチルでクリアして パラフィンで包埋した。10マイクロメートルの連続切片の標本を作り、脱パラフ ィン処理を行い、Kodak NTB-2 エマルジョンでコーティングを行い、現像前に4 ℃で4〜5週間露出した。放射能写真の顕微鏡下の観察で、感覚ニューロン内に 放射能の蓄積が予想通り観察された。 成熟ラットの坐骨神経内へ125I-neurturin を注入したところ、14時間後に標 識付けしたタンパクの特有の蓄積が認められた(図17)。100 倍の標識表示のな い過剰 GDNF または標識表示のない過剰ニュールツリンでこの蓄積を妨害するこ とが可能である。このことはニュールツリンと GDNF が同じレセプタを求めて競 合することを強く示唆している。変種の供託。 以下の変種はブダペスト条約に従い、American Type Culture Coll ection(12301 Parklawn Drive,Rockville,MD)に供託されている。生存能力試 験をパスした後、表示の受入れ番号が割り当てられ、必要な供託料が支払われた 。特許出願中の当該培養組織へのアクセスは、37 CFR( 連邦規制基準)1.14 お よび35 USC(合衆国法典)122 の規定により、コミッショナーにより同培養組織 を入手する権限を有するとみなされる者に対して許可される。当該培養組織の一 般による利用可能性に対するあらゆる制約は、出願に基づいた特許が下りた時点 で全て撤廃される。さらに指定供託金は、供託日から30年間、または供託の最終 要請日後5 年間、または米国特許が効力を有する期間のうち、いずれか最長の期 間保管される。培養組織の生存能力が失われた場合、または不注意で培養組織が 破壊された場合、またはプラスミド含有変種の場合でプラスミドが失われた場合 、生存能力のある培養組織と取り換えるものとする。本文に記載する供託物は、 便宜のみを目的に意図されたものであり、 ここに説明した観点からは本発明の実施に必要なものではない。なお、これらの 供託物を参照することにより本文に採用した。 上記にかんがみて、本発明でいくつかの利点が得られ、かつ他にも有益な結果 が得られることを理解できるであろう。 発明の範囲から逸脱することなく、上記の方法および構成を様々に変えること が可能であるゆえに、意図により、上記の説明に含まれ且つ添付の図で示した全 ての事項は実例的なものと解釈されるべきであり、制約を目的とするものではな い。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年3月28日 【補正内容】 請求の範囲 1.ニュールツリン(neurturin)からなる分離され精製された成長因子。 2.該アミノ酸配列は配列番号(SEQ ID NO):31に示された配列 を含む請求項1記載の分離され精製された成長因子。 3.該アミノ酸配列は、 からなる群より選択された配列に示された成熟ヒト ニュールツリンを含む請求 項1記載の分離され精製された成長因子。 4.該アミノ酸配列は、 からなる群より選択された配列に示された成熟ネズミ ニュールツリンを含む請 求項1記載の分離され精製された成長因子。 5.薬学的に受容可能な担体中にある、請求項1記載の分離され精製された成 長因子。 6.単量体ポリペプチドからなる請求項1記載の分離され精製された成長因子 。 7.ホモダイマーポリペプチドからなる請求項6記載の分離され精製された成 長因子。 8.還元条件下SDS−PAGEから決められたおよそ10−15kDの見か けの分子量を有する請求項7記載の分離され精製されたタンパク質。 9.以下の性質: (a)還元条件下SDS−PAGEにより決められたおよそ20−30kDの 見かけの分子量と; (b)約10ng/ml未満の上方頸部神経節のEC50と; (c)タンパク質は卵巣細胞から得られた細胞中に識別され又は 該細胞から得られうることと; (d)タンパク質は1.0MのNaClを含むpH7.4緩衝液中ではなく、 0.5MのNaClを含むpH7.4緩衝液中でヘパリン アガロースマトリッ クスと結合することとを有するタンパク質からなる分離され精製された成長因子 。 10.該因子は配列番号(SEQ ID NO):1に示された成熟ヒト成長 因子のアミノ酸配列からなる、請求項9記載の分離され精製された成長因子。 11.薬学的に受容可能な担体中にある請求項10記載の分離され精製された 成長因子。 12.プレ−プロ ニュールツリン(pre-pro neurturin)からなる分離され精 製されたタンパク質。 13.該プレ−プロ ニュールツリンは配列番号(SEQ ID NO):7 に示されたヒト プレ−プロ ニュールツリン若しくはその誘導体である請求項 12記載の分離され精製されたタンパク質。 14.ニュールツリンのプレ(pre)領域若しくはその断片であるシグナルペプ チドからなる分離され精製されたタンパク質。 15.該プレ領域は配列番号(SEQ ID NO):15に示されたヒト プレ領域若しくはその断片である請求項14記載の分離され精製されたタンパク 質。 16.ニュールツリンのプロ(pro)領域若しくはその断片であるペプチドから なる分離され精製されたタンパク質。 17.該プロ領域は配列番号(SEQ ID NO):19に示されたヒト プロ領域若しくはその断片である請求項16記載の分離され精製されたタンパク 質。 18.約30%と約85%との間のニュールツリンとの配列一致と、約30% と約85%との間のGDNFとの配列一致を有するアミノ酸配列からなるニュー ルツリンファミリー構成因子である分離 され精製された成長因子。 19.該因子は、配列番号(SEQ ID NO):33との少なくとも62 .5%の配列一致若しくは配列番号(SEQ ID NO):34との少なくと も40%の配列一致若しくは配列番号(SEQID NO):35との少なくと も40%の配列一致を有する保存領域アミノ酸配列からなる請求項18記載の分 離され精製された成長因子。 20.該因子は、配列番号(SEQ ID NO):42、配列番号(SEQ ID NO):43、配列番号(SEQ ID NO):44、配列番号(S EQ ID NO):45、配列番号(SEQID NO):46、配列番号( SEQ ID NO):47、及び配列番号(SEQ ID NO):48から なる群から選択されたヌクレオチド配列を含むプライマーを利用するポリメラー ゼ連鎖反応により識別され及び/又は得られたヌクレオチド配列によりコード化 される請求項18記載の分離され精製された成長因子。 21.該因子は、該因子を配列番号(SEQ ID NO):33、配列番号 (SEQ ID NO):34、及び配列番号(SEQ ID NO):35か らなる群から選択されたポリヌクレオチドによりコード化されたアミノ酸配列を 含むポリペプチドと反応しうる抗体と反応することにより識別され及び/又は得 られる請求項18記載の分離され精製された成長因子。 22.ニュールツリンをコード化するヌクレオチド配列からなる分離され精製 された核酸配列。 23.配列番号(SEQ ID NO):1、配列番号(SEQ ID NO ):2、配列番号(SEQ ID NO):158、配列番号(SEQ ID NO):159、配列番号(SEQ ID NO):160、配列番号(SEQ ID NO):161、配列番号(SEQ ID NO):162、配列番号 (SEQ I D NO):163からなる群より選択された配列に示されたニュールツリン アミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列からなる請求項22記載の分離さ れ精製された核酸配列。 24. からなる群より選択された配列に示されたヒト ニュールツリン ヌクレオチド 配列からなる請求項22記載の分離され精製された核酸配列。 25.プレ−プロ ニュールツリンをコード化するヌクレオチド配列からなる 分離され精製された核酸配列。 26.配列番号(SEQ ID NO):7に示されたヒト プレ−プロ ニ ュールツリンアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列からなる請求項25 記載の分離され精製された核酸配列。 27.配列番号(SEQ ID NO):11に示されたヒトプレ−プロ ニ ュールツリン ヌクレオチド配列からなる請求項26記載の分離され精製された 核酸配列。 28.プレ−プロ ニュールツリンのプレ領域若しくは該プレ領域の断片をコ ード化するヌクレオチド配列からなる分離され精製された核酸配列。 29.配列番号(SEQ ID NO):15に示されたヒトプレ領域アミノ 酸配列若しくはその断片をコード化するヌクレオチド配列からなる請求項28記 載の分離され精製された核酸配列。 30.配列番号(SEQ ID NO):17に示されたヒトプレ領域ヌクレ オチド酸配列からなる請求項29記載の分離され精 製された核酸配列。 31.ニュールツリンのプロ領域をコード化するヌクレオチド配列からなる分 離され精製された核酸配列。 32.配列番号(SEQ ID NO):19に示されたヒトニュールツリン プロ領域アミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列からなる請求項31記 載の分離され精製された核酸配列。 33.配列番号(SEQ ID NO):20に示されたヒトニュールツリン プロ領域ヌクレオチド配列からなる請求項32記載の分離され精製された核酸 配列。 34.(a)配列番号(SEQ ID NO):7に示された前駆ヒト成長因 子に対するアミノ酸配列をコード化する核酸配列と; (b)配列番号(SEQ ID NO):1に示された成熟ヒト成長因子に対 するアミノ酸配列をコード化する核酸配列と; (c)配列番号(SEQ ID NO):1に示された成熟ヒト成長因子と交 差反応するアミノ酸配列をコード化する核酸配列と; からなる群より選択された核酸配列に相補的なヌクレオチド配列とハイブリッド 形成する分離され精製された核酸配列。 35.請求項1に定義された成長因子をコード化する核酸配列に操作可能に結 合された発現規制因子からなる組み換えDNA分子からなるベクター。 36.該ベクターはpCMV−NTN−3−1である請求項35記載のベクタ ー。 37.該ベクターはpET−NTNである請求項35記載のベクター。 38.請求項35記載のベクターで形質転換された宿主細胞。 39.該宿主細胞は哺乳動物の細胞である請求項38記載の宿主細胞。 40.該宿主細胞はDG44細胞若しくはその誘導体である請求項39記載の 宿主細胞。 41.該宿主細胞はDG44CHO5−3(G418)(pCMV−NTN− 3−1)である請求項40記載の宿主細胞。 42.該宿主細胞はDG44CHO5−3(50nMMTX)(pCMV−N TN−3−1)である請求項40記載の宿主細胞。 43.該宿主細胞はバクテリアの細胞である請求項38記載の宿主細胞。 44.該宿主細胞はバクロウイルス発現系である請求項38記載の宿主細胞。 45.(a)DNA配列を発現するのに必要な規制因子からなる発現ベクター 中に、請求項1で定義された成長因子をコード化するDNA配列をサブクローニ ングする段階と; (b)該発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換する段階と; (c)宿主細胞培養の中で宿主細胞を栽培する段階と; (d)宿主細胞培養から成長因子及び/又はDNA配列を収穫する段階と;か らなる組み換えDNA方法。 46.該宿主細胞は哺乳動物の細胞、バクテリアの細胞又はバクロウイルス発 現系である請求項45記載の方法。 47.請求項1に定義された成長因子若しくはそのエピトープと反応すること のできる分離され精製された抗体。 48.治療効果のある量の請求項1に定義された成長因子を患者に投与するこ とからなる細胞変性若しくは不全を予防若しくは治療する方法。 49.該成長因子は、配列番号(SEQ ID NO):1に示された成熟ヒ ト ニュールツリンからなる請求項48記載の方法。 50.該細胞変性は、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病 、パーキンソン氏病、ハンティントン病、虚血性発作、急性脳障害、急性脊髄障 害、神経系腫瘍、多発性硬化症、及び感染からなる群より選択された条件から生 じるニューロンの変性からなる請求項49記載の方法。 51.該細胞の変性若しくは不全は、好酸球減少、好塩基球減少、リンパ球減 少、単球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、及びそのための茎細胞不全から なる群より選択された造血細胞の変性若しくは不全からなる請求項49記載の方 法。 52.請求項22に定義されたDNA配列からなる合成物を患者に投与するこ とからなる細胞の変性若しくは不全を予防若しくは治療する方法。 53.該細胞の変性はニューロンの変性からなる請求項52記載の方法。 54.該ニューロンの変性は、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症、アルツハ イマー病、パーキンソン氏病、ハンティントン病、虚血性発作、急性脳障害、急 性脊髄障害、神経系腫瘍、多発性硬化症、及び感染からなる群より選択された条 件から生じる請求項53記載の方法。 55.細胞の変性若しくは不全は造血細胞の変性若しくは不全からなる請求項 52記載の方法。 56.造血細胞の変性若しくは不全は、好酸球減少、好塩基球減少、リンパ球 減少、単球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、及びそのための茎細胞不全か らなる群より選択された条件から生じる請求項55記載の方法。 57.請求項1に定義された成長因子を発現する細胞を患者に移植することよ りなる請求項52記載の方法。 58.該成長因子は、配列番号(SEQ ID NO):1に示された成熟ヒ ト ニュールツリンからなる請求項57記載の方法。 59.該細胞の変性は、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー 病、パーキンソン氏病、ハンティントン病、虚血性発作、急性脳障害、急性脊髄 障害、神経系腫瘍、多発性硬化症、及び感染からなる群より選択された条件から 生じるニューロンの変性からなる請求項58記載の方法。 60.該細胞の変性若しくは不全は、好酸球減少、好塩基球減少、リンパ球減 少、単球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、及びそのための茎細胞不全から なる群より選択された造血細胞の変性若しくは不全からなる請求項58記載の方 法。 61.請求項51記載の精製された抗体を試料中に存在する成長因子と反応し 、該成長因子との該抗体の結合を検出することよりなる患者からの試料中の成長 因子の存在を検出する方法。 62.抗体は、容器に充填された、請求項1に定義された成長因子と検出可能 に反応することができる請求項51記載の抗体からなる患者からの試料中の成長 因子の存在を検出するキット。 63.試料中の、配列番号(SEQ ID NO):1に示されたアミノ酸配 列若しくはその誘導体をコード化するmRNAの存在を検出及び/又は定量する ことからなる患者からの試料中の成長因子の存在を検出する方法。 64.該検出及び/又は定量する段階は: (a)配列番号(SEQ ID NO):1に示されたアミノ酸配列若しくは その誘導体若しくはその断片をコード化する核酸配列を含むポリヌクレオチドを 提供する段階と; (b)該ポリヌクレオチドが試料からのmRNAとハイブリッド形成できる条 件の下で該ポリヌクレオチドを該試料と共に培養する段階と; (c)DNA−RNAハイブリッド形成錯体の存在を検出する段階とからなる 請求項63記載の方法。 65.容器に充填された、配列番号(SEQ ID NO):1に示されたア ミノ酸配列若しくはその誘導体若しくはその断片をコード化する核酸配列を含む ポリヌクレオチドからなる患者からの試料中の成長因子の存在を検出するキット 。 66.該検出及び/又は定量する段階は: (a)患者から得られた試料中で逆転写法を使用してmRNAか らCDNAを生成する段階と、 (b)ポリメラーゼ連鎖反応法のためのプライマーであり、配列番号(SEQ ID NO):1に示されたアミノ酸配列をコード化するcDNA内にある目 標DNA配列に側接触する二つのオリゴヌクレオチドを提供する段階と、 (c)目標DNA配列をポリメラーゼ連鎖反応により増幅する段階と、 (d)増幅された目標DNA配列の存在を検出する段階とからなる請求項63 記載の方法。 67.ポリメラーゼ連鎖反応法のためのプライマーであり、容器に充填された 、配列番号(SEQ ID NO):1に示されたアミノ酸配列をコード化する cDNA内にある目標DNA配列に側接触する二つのオリゴヌクレオチドからな る患者からの試料中の成長因子の存在を検出するキット。 68.無垢の遺伝子の不存在が遺伝子の変化の存在を示す細胞中で無垢ニュー ルツリン遺伝子の存在を検出することからなるニュールツリン遺伝子の変化を検 出する方法。 69.該検出段階は: (a)ポリメラーゼ連鎖反応法のためのプライマーであり、ニュールツリン遺 伝子内にある目標DNA配列を増幅することのできる二つのオリゴヌクレオチド を提供する段階と、 (b)目標DNA配列を増幅する段階と、 (c)無垢のニュールツリン遺伝子からの増幅されたDNA配列の存在若しく は不存在を検出する段階とから更になる請求項68記載の方法。 70.該検出段階は増幅された目標DNA配列を直接に配列決定することから なる請求項68記載の方法。 71.該目標DNA配列はプレ−プロ ニュールツリンのエクソンに側接触若 しくは存在する核酸配列からなる請求項69記載の方 法。 72.ポリメラーゼ連鎖反応法のためのプライマーであり、容器に充填された 、ニュールツリン遺伝子内にあるDNA配列を増幅することのできる二つのオリ ゴヌクレオチドからなる、細胞内のニュールツリン遺伝子の変化を検出するキッ ト。 73.該検出段階は: (a)無垢のニュールツリン遺伝子とハイブリッド形成することができるオリ ゴヌクレオチドを提供する段階と、 (b)該オリゴヌクレオチドが無垢のニュールツリン遺伝子とハイブリッド形 成することができる条件の下で該オリゴヌクレオチドを該試料と共に培養する段 階と; (c)DNA−DNAハイブリッド形成錯体の存在若しくは不存在を検出する 段階とからなる請求項67記載の方法。 74.該オリゴヌクレオチドはプレ−プロ ニュールツリンのエクソン若しく はその断片を含む請求項73記載の方法。 75.容器に充填された無垢のニュールツリン遺伝子とハイブリッド形成する ことができるオリゴヌクレオチドからなるニュールツリン遺伝子中の変化を検出 するキット。 76.該オリゴヌクレオチドはプレ−プロ ニュールツリンのエクソン若しく はその断片を含む請求項75記載のキット。 77.請求項1に定義された成長因子を細胞に投与することからなる培養媒体 中の細胞の成長及び/又は分化を促進する方法。 78.該細胞は造血細胞若しくはその茎細胞である請求項77記載の方法。 79.該細胞はニューロンの細胞若しくはその茎細胞である請求項77記載の 方法。 80.効果的な量の請求項1に定義された成長因子を投与することからなる患 者の腫瘍細胞を処理する方法。 81.該腫瘍細胞は神経芽細胞腫の細胞である請求項81記載の 方法。 82.請求項22に定義されたDNA配列からなる合成物を投与することから なる患者の腫瘍細胞を処理する方法。 83.該腫瘍細胞は神経芽細胞腫の細胞である請求項82記載の方法。 84.配列若しくはその誘導体は相補的であり、コード化されたニュールツリ ン ポリペプチドの転写及び/又は翻訳を防止するためにニュールツリンをコー ド化する自然発生DNA若しくはmRNAポリヌクレオチド配列とハイブリッド 形成することができる、配列若しくはその誘導体からなる分離され精製されたニ ュールツリン アンチセンス・ポリヌクレオチド。 85.該ポリヌクレオチドは約15から約30の延長ヌクレオチドからなる請 求項84記載の分離され精製されたニュールツリンアンチセンス・ポリヌクレオ チド。 86.該ポリヌクレオチドは、リン酸トリエステル(phosphotriester)、ホス ホロチオエート(phosphorothioate)、メチルホスホネート(methylphosphonate) 、ホスホラミデート(phophoramidate)、ホスホロジチオエート(phosphorodithio ate)、ホルムアセタール(formacetal)、ジチオエート(dithioate)、モリフォリ ノ(morpholino)及びペプチド核酸類似体からなる群より選択された少なくとも一 の結合からなる請求項85記載の分離され精製されたニュールツリン アンチセ ンス・ポリヌクレオチド。 87.ポリヌクレオチド若しくはその誘導体は相補的であって、コード化され たニュールツリン ポリペプチドの転写若しくは翻訳を防止するためにニュール ツリンをコード化する自然発生のDNA若しくはmRNAポリヌクレオチド配列 とハイブリッド形成することができ、抑制効果量の分離され精製されたアンチセ ンス・ポリヌクレオチド若しくはその誘導体を投与することからなる、細胞中の ニュールツリンの発現により媒介された疾病状態の処理方法。 88.該ポリヌクレオチドは約15から約30の延長ヌクレオチドからなる請 求項87記載の方法。 89.該ポリヌクレオチドは、リン酸トリエステル(phosphotriester)、ホス ホロチオエート(phosphorothioate)、メチルホスホネート(methylphosphonate) 、ホスホラミデート(phophoramidate)、ホスホロジチオエート(phosphorodithio ate)、ホルムアセタール(formacetal)、ジチオエート(dithioate)、モリフォリ ノ(morpholino)及びペプチド核酸類似体からなる群より選択された少なくとも一 の結合からなる請求項88記載の方法。 90.該疾病状態は肥満である請求項87記載の方法。 91.ニュールツリンの一部と実質的に同一の第一の配列と、ニュールツリン と異なるTGF−β上位ファミリー構成因子の一部と実質的に同一の第二の配列 からなるハイブリッド ポリペプチド。 92.該第一の配列は配列番号(SEQ ID NO):109と実質的に同 一であり、該第二の配列は配列番号(SEQ ID NO):110、配列番号 (SEQ ID NO):111、配列番号(SEQ ID NO):112、 配列番号(SEQ ID NO):113、配列番号(SEQ ID NO): 114、配列番号(SEQ ID NO):115、配列番号(SEQ ID NO):116、配列番号(SEQ ID NO):117、配列番号(SEQ ID NO):118、配列番号(SEQ ID NO):119、配列番号 (SEQ ID NO):120、配列番号(SEQ ID NO):121、 配列番号(SEQ ID NO):122、配列番号(SEQ ID NO): 123、配列番号(SEQ ID NO):124、配列番号(SEQ ID NO):125、配列番号(SEQ ID NO):126、配列番号(SEQ ID NO):127、配列番号(SEQ ID NO):128、配列番号 (SEQ ID NO):129、配列番号(SEQ ID NO):130、 配列番号(SEQ ID NO):131、及び配列番号(SEQ ID NO):132からなる群より 選択された配列実質的に同一である請求項91記載のハイブリッド ポリペプチ ド。 93.該第一の配列は配列番号(SEQ ID NO):133と実質的に同 一であり、該第二の配列は配列番号(SEQ ID NO):86、配列番号( SEQ ID NO):87、配列番号(SEQ ID NO):88、配列番 号(SEQ ID NO:)89、配列番号(SEQ ID NO):90、配 列番号(SEQ ID NO):91、配列番号(SEQ ID NO):92 、配列番号(SEQ ID NO):93、配列番号(SEQ ID NO): 94、配列番号(SEQ ID NO):95、配列番号(SEQ ID NO ):96、配列番号(SEQ ID NO):97、配列番号(SEQ ID NO):98、配列番号(SEQ ID NO):99、配列番号(SEQ I D NO:)100、配列番号(SEQ ID NO):101、配列番号(S EQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID NO:)103、配列 番号(SEQ ID NO):104、配列(SEQ ID NO):105、 配列番号(SEQ ID NO:)106、配列番号(SEQ ID NO): 107、及び配列番号(SEQ ID NO):108からなる群より選択され た配列実質的に同一である請求項91記載のハイブリッド ポリペプチド。 94.請求項91記載のハイブリッド ポリペプチドをコード化するDNA分 子。 95.請求項94記載のDNA分子からなる発現ベクター。 96.請求項94記載のDNA分子からなる宿主細胞。 97.ニュールツリンの活性領域とニュールツリンと異なる少なくとも一の活 性領域とからなる汎成長因子。 98.ヒト ニュールツリンと、NGF,BDNF,NT−3, NT−4/5,TGF−βの上位ファミリー構成因子、血管内皮成長因子、及び CNTF/LIFファミリーからなる群より選択されたニュールツリンと異なる 少なくとも一の活性領域とからなる請求項97記載の汎成長因子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/00 626 A61K 31/00 626F 626N 38/22 48/00 48/00 C07K 14/52 C07K 14/52 19/00 19/00 C12N 1/21 C12N 1/21 C12P 19/34 5/10 21/02 H C12P 19/34 C12Q 1/68 A 21/02 G01N 33/53 D C12Q 1/68 C12N 5/00 B G01N 33/53 A61K 37/24 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,H U,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG, MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM ,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 コツバウアー,ポール ティー アメリカ合衆国,ミズーリ州 63105,セ ントルイス,クランドン・ドライヴ 239 番 (72)発明者 ランプ,パトリシア エイ アメリカ合衆国,ミズーリ州 63123,セ ントルイス,グラント・フォレスト・レー ン 10323番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ニュールツリン(neurturin)からなる分離され精製された成長因子。 2.該アミノ酸配列は配列番号(SEQ ID NO):31に示された配列 を含む請求項1記載の分離され精製された成長因子。 3.該アミノ酸配列は配列番号(SEQ ID NO):1に示された成熟ヒ ト ニュールツリンを含む請求項1記載の分離され精製された成長因子。 4.薬学的に受容可能な担体中にある請求項3記載の分離され精製された成長 因子。 5.組み換えDNA技術により生成された請求項1記載の分離され精製された 成長因子。 6.単量体ポリペプチドからなる請求項1記載の分離され精製された成長因子 。 7.ホモダイマーポリペプチドからなる請求項6記載の分離され精製された成 長因子。 8.還元条件下SDS−PAGEから決められたおよそ10−15kDの見か けの分子量を有する請求項7記載の分離され精製されたタンパク質。 9.以下の性質: (a)還元条件下SDS−PAGEにより決められたおよそ20−30kDの 見かけの分子量と; (b)約10ng/ml未満の上方頸部神経節のEC50と; (c)タンパク質は卵巣細胞から得られた細胞中に識別され又は該細胞から得 られうることと; (d)タンパク質は1.0MのNaClを含むpH7.4緩衝液中ではなく、 0.5MのNaClを含むpH7.4緩衝液中でヘパリン アガロースマトリッ クスと結合することとを有するタンパク 質からなる分離され精製された成長因子。 10.該因子は配列番号(SEQ ID NO):1に示された成熟ヒト成長 因子のアミノ酸配列からなる、請求項9記載の分離され精製された成長因子。 11.薬学的に受容可能な担体中にある請求項10記載の分離され精製された 成長因子。 12.プレ−プロ ニュールツリン(pre-pro neurturin)からなる分離され精 製されたタンパク質。 13.該プレ−プロ ニュールツリンは配列番号(SEQ ID NO):7 に示されたヒト プレ−プロ ニュールツリン若しくはその誘導体である請求項 12記載の分離され精製されたタンパク質。 14.ニュールツリンのプレ(pre)領域若しくはその断片であるシグナルペプ チドからなる分離され精製されたタンパク質。 15.該プレ領域は配列番号(SEQ ID NO):15に示されたヒト プレ領域若しくはその断片である請求項14記載の分離され精製されたタンパク 質。 16.ニュールツリンのプロ(pro)領域若しくはその断片であるペプチドから なる分離され精製されたタンパク質。 17.該プロ領域は配列番号(SEQ ID NO):19に示されたヒト プロ領域若しくはその断片である請求項16記載の分離され精製されたタンパク 質。 18.約30%と約85%との間のニュールツリンとの配列一致と、約30% と約85%との間のGDNFとの配列一致を有するアミノ酸配列からなるニュー ルツリンファミリー構成因子である分離され精製された成長因子。 19.該因子は、配列番号(SEQ ID NO):33との少なくとも62 .5%の配列一致若しくは配列番号(SEQ ID NO):34との少なくと も40%の配列一致若しくは配列番号 (SEQID NO):35との少なくとも40%の配列一致を有する保存領域 アミノ酸配列からなる請求項18記載の分離され精製された成長因子。 20.該因子は、配列番号(SEQ ID NO):42、配列番号(SEQ ID NO):43、配列番号(SEQ ID NO):44、配列番号(S EQ ID NO):45、配列番号(SEQID NO):46、配列番号( SEQ ID NO):47、及び配列番号(SEQ ID NO):48から なる群から選択されたヌクレオチド配列を含むプライマーを利用するポリメラー ゼ連鎖反応により識別され及び/又は得られたヌクレオチド配列によりコード化 される請求項18記載の分離され精製された成長因子。 21.該因子は、該因子を配列番号(SEQ ID NO):33、配列番号 (SEQ ID NO):34、及び配列番号(SEQ ID NO):35か らなる群から選択されたポリヌクレオチドによりコード化されたアミノ酸配列を 含むポリペプチドと反応しうる抗体と反応することにより識別され及び/又は得 られる請求項18記載の分離され精製された成長因子。 22.ニュールツリンをコード化するヌクレオチド配列からなる分離され精製 された核酸配列。 23.配列番号(SEQ ID NO):1に示されたヒトニュールツリンア ミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列からなる請求項22記載の分離され 精製された核酸配列。 24.配列番号(SEQ ID NO):9に示されたヒトニュールツリン ヌクレオチド配列からなる請求項22記載の分離され精製された核酸配列。 25.プレ−プロ ニュールツリンをコード化するヌクレオチド配列からなる 分離され精製された核酸配列。 26.配列番号(SEQ ID NO):7に示されたヒト プ レ−プロ ニュールツリンアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列からな る請求項25記載の分離され精製された核酸配列。 27.配列番号(SEQ ID NO):11に示されたヒトプレ−プロ ニ ュールツリン ヌクレオチド配列からなる請求項26記載の分離され精製された 核酸配列。 28.プレ−プロ ニュールツリンのプレ領域若しくは該プレ領域の断片をコ ード化するヌクレオチド配列からなる分離され精製された核酸配列。 29.配列番号(SEQ ID NO):15に示されたヒトプレ領域アミノ 酸配列若しくはその断片をコード化するヌクレオチド配列からなる請求項28記 載の分離され精製された核酸配列。 30.配列番号(SEQ ID NO):17に示されたヒトプレ領域ヌクレ オチド酸配列からなる請求項29記載の分離され精製された核酸配列。 31.ニュールツリンのプロ領域をコード化するヌクレオチド配列からなる分 離され精製された核酸配列。 32.配列番号(SEQ ID NO):19に示されたヒトニュールツリン プロ領域アミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列からなる請求項31記 載の分離され精製された核酸配列。 33.配列番号(SEQ ID NO):20に示されたヒトニュールツリン プロ領域ヌクレオチド配列からなる請求項32記載の分離され精製された核酸 配列。 34.(a)配列番号(SEQ ID NO):7に示された前駆ヒト成長因 子に対するアミノ酸配列をコード化する核酸配列と; (b)配列番号(SEQ ID NO):1に示された成熟ヒト成長因子に対 するアミノ酸配列をコード化する核酸配列と; (c)配列番号(SEQ ID NO):1に示された成熟ヒト成長因子と交 差反応するアミノ酸配列をコード化する核酸配列と; からなる群より選択された核酸配列に相補的なヌクレオチド配列と ハイブリッド形成する分離され精製された核酸配列。 35.請求項1に定義された成長因子をコード化する核酸配列に操作可能に結 合された発現規制因子からなる組み換えDNA分子からなるベクター。 36.該ベクターはpCMV−NTN−3−1である請求項35記載のベクタ ー。 37.該ベクターはpET−NTNである請求項35記載のベクター。 38.請求項35記載のベクターで形質転換された宿主細胞。 39.該宿主細胞は哺乳動物の細胞である請求項38記載の宿主細胞。 40.該宿主細胞はDG44細胞若しくはその誘導体である請求項39記載の 宿主細胞。 41.該宿主細胞はDG44CHO5−3(G418)(pCMV−NTN− 3−1)である請求項40記載の宿主細胞。 42.該宿主細胞はDG44CHO5−3(50nMMTX)(pCMV−N TN−3−1)である請求項40記載の宿主細胞。 43.該宿主細胞はバクテリアの細胞である請求項38記載の宿主細胞。 44.該宿主細胞はバクロウイルス発現系である請求項38記載の宿主細胞。 45.(a)DNA配列を発現するのに必要な規制因子からなる発現ベクター 中に、請求項1で定義された成長因子をコード化するDNA配列をサブクローニ ングする段階と; (b)該発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換する段階と; (c)宿主細胞培養の中で宿主細胞を栽培する段階と; (d)宿主細胞培養から成長因子及び/又はDNA配列を収穫する段階と;か らなる組み換えDNA方法。 46.該宿主細胞は哺乳動物の細胞、バクテリアの細胞又はバク ロウイルス発現系である請求項45記載の方法。 47.請求項1に定義された成長因子若しくはそのエピトープと反応すること のできる分離され精製された抗体。 48.治療効果のある量の請求項1に定義された成長因子を患者に投与するこ とからなる細胞変性若しくは不全を予防若しくは治療する方法。 49.該成長因子は、配列番号(SEQ ID NO):1に示された成熟ヒ ト ニュールツリンからなる請求項48記載の方法。 50.該細胞変性は、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病 、パーキンソン氏病、ハンティントン病、虚血性発作、急性脳障害、急性脊髄障 害、神経系腫瘍、多発性硬化症、及び感染からなる群より選択された条件から生 じるニューロンの変性からなる請求項49記載の方法。 51.該細胞の変性若しくは不全は、好酸球減少、好塩基球減少、リンパ球減 少、単球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、及びそのための茎細胞不全から なる群より選択された造血細胞の変性若しくは不全からなる請求項49記載の方 法。 52.請求項22に定義されたDNA配列からなる合成物を患者に投与するこ とからなる細胞の変性若しくは不全を予防若しくは治療する方法。 53.該細胞の変性はニューロンの変性からなる請求項52記載の方法。 54.該ニューロンの変性は、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症、アルツハ イマー病、パーキンソン氏病、ハンティントン病、虚血性発作、急性脳障害、急 性脊髄障害、神経系腫瘍、多発性硬化症、及び感染からなる群より選択された条 件から生じる請求項53記載の方法。 55.細胞の変性若しくは不全は造血細胞の変性若しくは不全からなる請求項 52記載の方法。 56.造血細胞の変性若しくは不全は、好酸球減少、好塩基球減少、リンパ球 減少、単球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、及びそのための茎細胞不全か らなる群より選択された条件から生じる請求項55記載の方法。 57.請求項1に定義された成長因子を発現する細胞を患者に移植することよ りなる請求項52記載の方法。 58.該成長因子は、配列番号(SEQ ID NO):1に示された成熟ヒ ト ニュールツリンからなる請求項57記載の方法。 59.該細胞の変性は、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー 病、パーキンソン氏病、ハンティントン病、虚血性発作、急性脳障害、急性脊髄 障害、神経系腫瘍、多発性硬化症、及び感染からなる群より選択された条件から 生じるニューロンの変性からなる請求項58記載の方法。 60.該細胞の変性若しくは不全は、好酸球減少、好塩基球減少リンパ球減少 、単球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、及びそのための茎細胞不全からな る群より選択された造血細胞の変性若しくは不全からなる請求項58記載の方法 。 61.請求項51記載の精製された抗体を試料中に存在する成長因子と反応し 、該成長因子との該抗体の結合を検出することよりなる患者からの試料中の成長 因子の存在を検出する方法。 62.抗体は、容器に充填された、請求項1に定義された成長因子と検出可能 に反応することができる請求項51記載の抗体からなる患者からの試料中の成長 因子の存在を検出するキット。 63.試料中の、配列番号(SEQ ID NO):1に示されたアミノ酸配 列若しくはその誘導体をコード化するmRNAの存在を検出及び/又は定量する ことからなる患者からの試料中の成長因子の存在を検出する方法。 64.該検出及び/又は定量する段階は: (a)配列番号(SEQ ID NO):1に示されたアミノ酸 配列若しくはその誘導体若しくはその断片をコード化する核酸配列を含むポリヌ クレオチドを提供する段階と; (b)該ポリヌクレオチドが試料からのmRNAとハイブリッド形成できる条 件の下で該ポリヌクレオチドを該試料と共に培養する段階と; (c)DNA−RNAハイブリッド形成錯体の存在を検出する段階とからなる 請求項63記載の方法。 65.容器に充填された、配列番号(SEQ ID NO):1に示されたア ミノ酸配列若しくはその誘導体若しくはその断片をコード化する核酸配列を含む ポリヌクレオチドからなる患者からの試料中の成長因子の存在を検出するキット 。 66.該検出及び/又は定量する段階は: (a)患者から得られた試料中で逆転写法を使用してmRNAからCDNAを 生成する段階と、 (b)ポリメラーゼ連鎖反応法のためのプライマーであり、配列番号(SEQ ID NO):1に示されたアミノ酸配列をコード化するcDNA内にある目 標DNA配列に側接触する二つのオリゴヌクレオチドを提供する段階と、 (c)目標DNA配列をポリメラーゼ連鎖反応により増幅する段階と、 (d)増幅された目標DNA配列の存在を検出する段階とからなる請求項63 記載の方法。 67.ポリメラーゼ連鎖反応法のためのプライマーであり、容器に充填された 、配列番号(SEQ ID NO):1に示されたアミノ酸配列をコード化する cDNA内にある目標DNA配列に側接触する二つのオリゴヌクレオチドからな る患者からの試料中の成長因子の存在を検出するキット。 68.無垢の遺伝子の不存在が遺伝子の変化の存在を示す細胞中で無垢ニュー ルツリン遺伝子の存在を検出することからなるニュー ルツリン遺伝子の変化を検出する方法。 69.該検出段階は: (a)ポリメラーゼ連鎖反応法のためのプライマーであり、ニュールツリン遺 伝子内にある目標DNA配列を増幅することのできる二つのオリゴヌクレオチド を提供する段階と、 (b)目標DNA配列を増幅する段階と、 (c)無垢のニュールツリン遺伝子からの増幅されたDNA配列の存在若しく は不存在を検出する段階とから更になる請求項68記載の方法。 70.該検出段階は増幅された目標DNA配列を直接に配列決定することから なる請求項68記載の方法。 71.該目標DNA配列はプレ−プロ ニュールツリンのエクソンに側接触若 しくは存在する核酸配列からなる請求項69記載の方法。 72.ポリメラーゼ連鎖反応法のためのプライマーであり、容器に充填された 、ニュールツリン遺伝子内にあるDNA配列を増幅することのできる二つのオリ ゴヌクレオチドからなる、細胞内のニュールツリン遺伝子の変化を検出するキッ ト。 73.該検出段階は: (a)無垢のニュールツリン遺伝子とハイブリッド形成することができるオリ ゴヌクレオチドを提供する段階と、 (b)該オリゴヌクレオチドが無垢のニュールツリン遺伝子とハイブリッド形 成することができる条件の下で該オリゴヌクレオチドを該試料と共に培養する段 階と; (c)DNA−DNAハイブリッド形成錯体の存在若しくは不存在を検出する 段階とからなる請求項67記載の方法。 74.該オリゴヌクレオチドはプレ−プロ ニュールツリンのエクソン若しく はその断片を含む請求項73記載の方法。 75.容器に充填された無垢のニュールツリン遺伝子とハイブ リッド形成することができるオリゴヌクレオチドからなるニュールツリン遺伝子 中の変化を検出するキット。 76.該オリゴヌクレオチドはプレ−プロ ニュールツリンのエクソン若しく はその断片を含む請求項75記載のキット。 77.請求項1に定義された成長因子を細胞に投与することからなる培養媒体 中の細胞の成長及び/又は分化を促進する方法。 78.該細胞は造血細胞若しくはその茎細胞である請求項77記載の方法。 79.該細胞はニューロンの細胞若しくはその茎細胞である請求項77記載の 方法。 80.効果的な量の請求項1に定義された成長因子を投与することからなる患 者の腫瘍細胞を処理する方法。 81.該腫瘍細胞は神経芽細胞腫の細胞である請求項81記載の方法。 82.請求項22に定義されたDNA配列からなる合成物を投与することから なる患者の腫瘍細胞を処理する方法。 83.該腫瘍細胞は神経芽細胞腫の細胞である請求項82記載の方法。 84.配列若しくはその誘導体は相補的であり、コード化されたニュールツリ ン ポリペプチドの転写及び/又は翻訳を防止するためにニュールツリンをコー ド化する自然発生DNA若しくはmRNAポリヌクレオチド配列とハイブリッド 形成することができる、配列若しくはその誘導体からなる分離され精製されたニ ュールツリン アンチセンス・ポリヌクレオチド。 85.該ポリヌクレオチドは約15から約30の延長ヌクレオチドからなる請 求項84記載の分離され精製されたニュールツリン アンチセンス・ポリヌクレ オチド。 86.該ポリヌクレオチドは、リン酸トリエステル(phosphotriester)、ホス ホロチオエート(phosphorothioate)、メチルホスホ ネート(methylphosphonate)、ホスホラミデート(phophoramidate)、ホスホロジ チオエート(phosphorodithioate)、ホルムアセタール(formacetal)、ジチオエー ト(dithioate)、モリフォリノ(morpholino)及びペプチド核酸類似体からなる群 より選択された少なくとも一の結合からなる請求項85記載の分離され精製され たニュールツリン アンチセンス・ポリヌクレオチド。 87.ポリヌクレオチド若しくはその誘導体は相補的であって、コード化され たニュールツリン ポリペプチドの転写若しくは翻訳を防止するためにニュール ツリンをコード化する自然発生のDNA若しくはmRNAポリヌクレオチド配列 とハイブリッド形成することができ、抑制効果量の分離され精製されたアンチセ ンス・ポリヌクレオチド若しくはその誘導体を投与することからなる、細胞中の ニュールツリンの発現により媒介された疾病状態の処理方法。 88.該ポリヌクレオチドは約15から約30の延長ヌクレオチドからなる請 求項87記載の方法。 89.該ポリヌクレオチドは、リン酸トリエステル(phosphotriester)、ホス ホロチオエート(phosphorothioate)、メチルホスホネート(methylphosphonate) 、ホスホラミデート(phophoramidate)、ホスホロジチオエート(phosphorodithio ate)、ホルムアセタール(formacetal)、ジチオエート(dithioate)、モリフォリ ノ(morpholino)及びペプチド核酸類似体からなる群より選択された少なくとも一 の結合からなる請求項88記載の方法。 90.該疾病状態は肥満である請求項87記載の方法。 91.ニュールツリンの一部と実質的に同一の第一の配列と、ニュールツリン と異なるTGF−β上位ファミリー構成因子の一部と実質的に同一の第二の配列 からなるハイブリッド ポリペプチド。 92.該第一の配列は配列番号(SEQ ID NO):109と実質的に同 一であり、該第二の配列は配列番号(SEQ ID NO):110、配列番号 (SEQ ID NO):111、配列 番号(SEQ ID NO):112、配列番号(SEQ ID NO):11 3、配列番号(SEQ ID NO):114、配列番号(SEQ ID NO ):115、配列番号(SEQ ID NO):116、配列番号(SEQ I D NO):117、配列番号(SEQ ID NO):118、配列番号(S EQ ID NO):119、配列番号(SEQ ID NO):120、配列 番号(SEQ ID NO):121、配列番号(SEQ ID NO):12 2、配列番号(SEQ ID NO):123、配列番号(SEQ ID NO ):124、配列番号(SEQ ID NO):125、配列番号(SEQ I D NO):126、配列番号(SEQ ID NO):127、配列番号(S EQ ID NO):128、配列番号(SEQ ID NO):129、配列 番号(SEQ ID NO):130、配列番号(SEQ ID NO):13 1、及び配列番号(SEQ ID NO):132からなる群より選択された配 列実質的に同一である請求項91記載のハイブリッド ポリペプチド。 93.該第一の配列は配列番号(SEQ ID NO):133と実質的に同 一であり、該第二の配列は配列番号(SEQ ID NO):86、配列番号( SEQ ID NO):87、配列番号(SEQ ID NO):88、配列番 号(SEQ ID NO:)89、配列番号(SEQ ID NO):90、配 列番号(SEQ ID NO):91、配列番号(SEQ ID NO):92 、配列番号(SEQ ID NO):93、配列番号(SEQ ID NO): 94、配列番号(SEQ ID NO):95、配列番号(SEQ ID NO ):96、配列番号(SEQ ID NO):97、配列番号(SEQ ID NO):98、配列番号(SEQ ID NO):99、配列番号(SEQ I D NO:)100、配列番号(SEQ ID NO):101、配列番号(S EQ ID NO):102、配列番号(SEQ ID N O:)103、配列番号(SEQ ID NO):104、配列(SEQ ID NO):105、配列番号(SEQ ID NO:)106、配列番号(SE Q ID NO):107、及び配列番号(SEQ ID NO):108から なる群より選択された配列実質的に同一である請求項91記載のハイブリッド ポリペプチド。 94.請求項91記載のハイブリッド ポリペプチドをコード化するDNA分 子。 95.請求項94記載のDNA分子からなる発現ベクター。 96.請求項94記載のDNA分子からなる宿主細胞。 97.ニュールツリンの活性領域とニュールツリンと異なる少なくとも一の活 性領域とからなる汎成長因子。 98.ヒト ニュールツリンと、NGF,BDNF,NT−3,NT−4/5 ,TGF−βの上位ファミリー構成因子、血管内皮成長因子、及びCNTF/L IFファミリーからなる群より選択されたニュールツリンと異なる少なくとも一 の活性領域とからなる請求項97記載の汎成長因子。
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