JPH1151112A - 長尺免震台 - Google Patents

長尺免震台

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JPH1151112A
JPH1151112A JP9207939A JP20793997A JPH1151112A JP H1151112 A JPH1151112 A JP H1151112A JP 9207939 A JP9207939 A JP 9207939A JP 20793997 A JP20793997 A JP 20793997A JP H1151112 A JPH1151112 A JP H1151112A
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邦雄 宮崎
Yutaka Ueno
豊 上野
Ichiro Ikenaga
一郎 池永
Kazutaka Sakai
一隆 坂井
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  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Floor Finish (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一定の面積に対して免震装置が占める面積の
割合を高め、限られた空間を有効に利用することができ
る長尺免震装置を提供することを目的とする。また、本
発明は、上枠を平行移動させる平行移動機構を有するこ
とにより、上枠の移動を円滑にすることができる長尺免
震台を提供することを目的とする。 【解決手段】 ベース枠100、ベース枠100に重合
して設けられる長尺の中枠200、中枠200に重合し
て設けられる上枠300、中枠200を長手方向に移動
させる第1移動機構、長手方向に対して直交する幅方向
へ上枠300を移動させる第2移動機構、中枠200を
原点位置に復帰させる第1弾性復帰手段、上枠300を
原点位置に復帰させる第2弾性復帰手段を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震等による外部
からの振動を遮断して、美術館、博物館等の展示室ある
いは保存室等に設置されている品物の地震による被害を
防止することが可能な長尺免震台に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、地震等の外部からの振動に対
して保護を必要とする壊れやすい美術品や骨董品あるい
は精密機械等の設置物を支持するための各種タイプの免
震装置が知られている。
【0003】このような免震装置は、例えば、地面また
は建物の床等の固定側に減衰機構を介して設置物を支持
し、固定側から入力される地震等の振動エネルギーを減
衰機構における二次元平面内の減衰運動によって吸収す
る構造を有している。
【0004】上記免震装置の減衰機構の例として、地面
または建物の床等に設置される固定台、固定台に重合し
て設けられている第一可動台、および第一可動台に重合
して設けられている第二可動台とから主に構成されてお
り、固定台の上面と第一可動台の下面との間に設けられ
ているスライド移動機構によって、第一可動台は一方向
であるX方向にスライド移動することができ、また、第
一可動台の上面と第二可動台の下面との間に設けられて
いるスライド移動機構によって、第二可動台はX方向に
対して直交するY方向にスライド移動することができる
ようにしたものがある。
【0005】また、第一可動台は第一弾性手段によって
固定台に対して中立となる原点位置に復帰するようにな
っており、また、第二可動台は第二弾性手段によって第
一可動台に対して中立となる原点位置に復帰するように
なっている。
【0006】地震等によって地面または建物の床等の固
定側が振動すると、免震装置はこの振動に対して免震作
用が働き振動エネルギーを吸収する。具体的に述べる
と、振動によって第1可動台がX方向にスライド移動す
ると、このスライド移動の振幅を最大として第1可動台
は、X方向において往復運動しながら第1弾性手段の弾
性力によって徐々に減衰して原点位置に復帰していく。
【0007】一方、第2可動台がY方向にスライド移動
すると、このスライド移動の振幅を最大として第2可動
台は、Y方向において往復運動しながら徐々に第2弾性
手段の弾性力によって減衰して原点位置に復帰してい
く。このように第1可動台および第2可動台の減衰運動
によって、振動エネルギーが吸収され、免震装置上に設
置されている設置物が振動から保護される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】美術館、博物館等の展
示室あるいは保存室等に設置されている設置物が複数あ
る場合には、その設置物の数に応じて複数の免震装置が
使用され、免震装置1台につき一つあるいは複数の設置
物が免震装置上に載置される。図22には、地面または
建物の床等の固定側20に免震装置10をX方向に3つ
並べたものを示している。
【0009】ここで、地震等によって地面または建物の
床等の固定側20が振動した場合、各免震装置10の第
1可動台は、それぞれ異なって減衰運動する場合があ
る。例えば、それぞれの免震台10の第1可動台の移動
ストロークが異なっている場合、あるいは、免震装置1
0の第1可動台が右側にスライド移動したときに、その
免震装置10の右隣に設置されている免震装置10の第
1可動台が左側にスライド移動する場合などである。
【0010】従って、図22に示すように、複数の免震
装置10を並べた場合には、互いの第1可動台が衝突し
ないように互いにとなり合う免震装置10、10を振幅
の2倍の幅以上に離して設けなければならない。
【0011】このように異なって第1可動台が減衰運動
するのは、各免震装置の第1可動台同士が同期運動可能
なように連結されておらず別個にスライドできるように
なっており、摩擦抵抗や機構的なズレ等によって、減衰
運動にズレが生じてしまうからである。
【0012】図22では、X方向に免震装置10を並べ
たものを示しているが、Y方向に免震装置10を並べた
場合も同様に、互いの第2可動台が衝突しないように互
いにとなり合う免震装置10、10を振幅の2倍の幅以
上離して設けなければならない。
【0013】このように、免震装置を複数使用する場合
には、互いにとなり合う免震装置を振幅の2倍の幅以上
に離して設けなければならないため、免震装置を設置す
るのに必要な面積が広がってしまい、限られた空間を有
効に利用することができないという問題がある。
【0014】本発明は以上のような従来技術の問題点を
解消するためになされたものであり、基礎固定側に設置
されるベース枠に重合して設けられる中枠を長尺にして
長手方向に移動可能とし、この中枠に対して上枠を重合
して幅方向に移動可能に設けることにより、一定の面積
に対して免震装置が占める面積の割合を高め、限られた
空間を有効に利用することができる長尺免震装置を提供
することを目的とする。また、本発明は、上枠を平行移
動させる平行移動機構を有することにより、上枠の移動
を円滑にすることができる長尺免震台を提供することを
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
基礎固定側に設置されるベース枠と、上記ベース枠に重
合して設けられる長尺の中枠と、上記中枠に重合して設
けられる上枠と、上記ベース枠に対して平行する面内に
おいて上記中枠を長手方向に移動させる第1移動機構
と、上記長手方向に対して直交する幅方向へ上記上枠を
移動させる第2移動機構と、上記中枠を上記ベース枠に
対して中立となる原点位置に復帰させる第1弾性復帰手
段と、上記上枠を上記中枠に対して中立となる原点位置
に復帰させる第2弾性復帰手段とを有していることを特
徴とする。
【0016】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記上枠を上記幅方向に平行移動させる平
行移動機構を有していることを特徴とする。
【0017】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、上記上枠が、複数に分割されて長
手方向に配列されていることを特徴とする。
【0018】請求項4記載の発明は、請求項2記載の発
明において、上記平行移動機構が、ラックとピニオンま
たは歯付きベルトと歯車からなることを特徴とする。
【0019】請求項5記載の発明は、請求項2記載の発
明において、上記平行移動機構が、スプロケットとチェ
ーンからなることを特徴とする。
【0020】請求項6記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記第1移動機構および上記第2移動機構
が、レールとローラによって構成されていることを特徴
とする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる長尺免震装
置の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、各図において、図面の簡明化を図るために各構成
部品を適宜省略することがある。また、構成部品の形状
及びその配置位置を説明する際において、一方向である
X方向を左右方向としてその向きを左側、右側といい、
このX方向に直交するY方向を前後方向としてその向き
をの前側、後側という。
【0022】図1には、本発明の長尺免震装置の全体的
な構造のうち、長手方向、すなわちX方向に関して略半
分のみを示し、他は省略して示している。図1におい
て、長尺免震装置1は、2次元3段式免震台とでもいう
べきものであり、例えば、美術館、博物館等の展示室あ
るいは保存室に設置され、壊れやすい美術品や骨董品あ
るいは精密機械等を載置し、地震等によって建物が振動
しても、振動を吸収して上記美術品などの載置物に振動
が伝わることを防止し、上記載置物を保護するためのも
のである。
【0023】長尺免震装置1は、地面または建物の床等
の基礎固定側に設置されるベース枠100と、このベー
ス枠100に重合して設けられる長尺の中枠200と、
この中枠200に重合して設けられる上枠300とから
主に構成されている。以下、ベース枠100、中枠20
0、上枠300について詳細に説明する。
【0024】上記ベース枠100は、二つの枠体101
と複数の補強部材102とによって構成されており、図
1に示すように、Y方向に平行に伸びた複数の補強部材
102がX方向に平行に伸びた二つの枠体101を連結
することによって枠組みされている。各補強部材102
は、例えば、枠体101の内側の壁面に溶接等でそれぞ
れ接合されている。図1には、ベース枠100のX方向
の略半分のみを示している。
【0025】図1に示すように、ベース枠100の各枠
体101上には、長手方向、すなわちX方向に平行に伸
びたレール104が取り付けられている。この各レール
104上を後述する中枠200のローラ204が転動す
ることにより、中枠200がX方向にスライド移動する
ことができる。この各レール104は、中枠200の各
ローラ204が転動する最大振幅範囲に取り付けられて
いればよく、図1に示すように、枠体101上において
X方向に複数に分割することができる。
【0026】上記中枠200は、二つの枠体201と複
数のローラ支持部材202とによって構成されている。
図1に示すように、一定間隔でY方向に平行に伸びた複
数のローラ支持部材202が、X方向に平行に伸びた二
つの枠体201を連結することによって枠組みされてい
る。各ローラ支持部材202は、例えば、枠体201の
内側の壁面に溶接等でそれぞれ接合されている。図1に
は、中枠200のX方向の略半分を示しているため、ロ
ーラ支持部材202は半分の6個だけ示している。
【0027】図1に示すように、中枠200の各枠体2
01は長尺の溝形の部材を下向きにした形になってい
て、その溝内には、複数のローラ204が回転自在に軸
支されている。この各ローラ204は、図8に示すよう
に、軸方向両端側に鍔が形成されており、鍔と鍔との幅
が上記レール104の幅よりも若干広く形成されている
ものである。従って、この各ローラ204は、上記ベー
ス枠100のレール104上をX方向に転動することが
でき、この各ローラ204の転動によって中枠200が
ベース枠100に対して平行する面内においてX方向に
スライド移動することができる。この各ローラ204と
上記各レール104は、第1移動機構を構成している。
【0028】上記各ローラ支持部材202は溝形の部材
を上向きにしたもので、各ローラ支持部材202内に
は、適宜数(図示の例では6つ)のローラ203がY方
向に直列にそれぞれ回転自在に、一定間隔で取り付けら
れている。具体的に述べると、6つのローラ203は、
同じ高さに調整されてローラ支持部材202に取り付け
られている。上記各ローラ203は、図3に示すよう
に、軸方向両端側に鍔を有しており、鍔と鍔との幅が後
述するレール304の幅よりも若干広く形成されてい
る。また、各ローラ203は、後述する上枠300のレ
ール溝303に取り付けられたレール304に下方から
接するようになっている。従って、各ローラ203は、
レール304に沿ってY方向に回転することができ、こ
の各ローラ203の回転により、上枠300が中枠20
0に対してY方向にスライド移動することができる。
【0029】上記上枠300は、平面視で矩形に枠組み
された枠組み301がX方向に複数連結されることによ
って一つの上枠300が構成され、複数の上枠300が
中枠200の上に載せられている。この上枠300上に
は、化粧板などが貼られ、その上に美術品や骨董品ある
いは精密機械等が載置されるようになっている。図2に
おいて、「上枠連結部」は上記枠組み301相互の連結
部を示しており、「ユニット対向部」は上記上枠300
相互が離間して対向している部分を示している。
【0030】図1において、上枠300の下面には、Y
方向に平行に伸びた複数のレール溝303が形成されて
いる。各レール溝303は、上記中枠200の各ローラ
支持部材202の上に位置して形成されている。各レー
ル溝303には、後述するY方向に平行に伸びたレール
304が取り付けられている。従って、各ローラ支持部
材202の各ローラ203がレール304に沿って回転
することができ、この各ローラ203の回転によって上
枠300がY方向にスライド移動することができる。つ
まり、中枠200に対して上枠300が相対移動するこ
とができる。この各ローラ203と各レール304は、
第2移動機構を構成している。なお、上枠300は、X
方向の長さが上記中枠200の長さの整数分の一となっ
ていて、上記中枠200上には複数の上枠300がX方
向に平行に並んだ状態で配置されている。
【0031】図1に示すように、中枠200のローラ支
持部材202のY方向の中心部には、X方向に貫通孔2
06が形成されている。具体的に説明すると、1つの上
枠300に対応する6つのローラ支持部材202のう
ち、両端のローラ支持部材202以外の4つのローラ支
持部材202に貫通孔206がそれぞれ形成されてい
る。図1では、中央の2つのローラ支持部材202の貫
通孔206の描写は省略している。
【0032】上記貫通孔206を貫通して軸205aが
回転自在に支持されている。軸205aは、X方向に伸
びていて、軸205aの両端にはピニオン205bが取
り付けられている。軸205aは図4などに示す軸受2
05c、205cによって回転自在に支持されていて、
軸205aとともにピニオン205bも回転する。この
各ピニオン205bは、上枠300に取り付けられてい
るY方向に平行に伸びた各ラック305に噛み合って転
動することができるものであり、具体的な説明は後述す
る。上記ピニオン205b、上記軸205aおよび後述
するラック305は、平行移動機構205を構成してい
る。
【0033】以上説明してきた構成に加えて、中枠20
0をベース枠100に対して中立となる原点位置に復帰
させる第1復帰手段、上枠300を中枠200に対して
中立となる原点位置に復帰させる第2復帰手段、その他
様々な部材が付加されている。
【0034】図1に示すように、中枠200の各ローラ
支持部材202の位置のX方向の線A−A、B−B、C
−C、D−D、E−E、F−Fに沿う断面、およびY方
向の線A’−A’、B’−B’、C’−C’、D’−
D’、E’−E’、F’−F’に沿う断面でもって前記
実施例にかかる長尺免震装置1の実施の形態の構成をさ
らに詳細に説明する。
【0035】図3は、図1で示すX方向の線A−Aに沿
う断面を示し、上枠300のX方向の右側付近を示して
いる。図8は、図1で示すY方向の線A’−A’に沿う
断面を示している。図3に示すように、ベース枠100
の各枠体101の下面には、複数のアジャスタ103が
取り付けられている。この各アジャスタ103は、床等
の基礎固定側に対してのベース枠100の高さ調整およ
びベース枠100の水平度の調整を行うためのものであ
る。
【0036】X方向の右側には、カバー105が取り付
けられている。このカバー105は、外観を良くするた
めに取り付けらるものであり、Y方向に平行に伸びて、
長尺免震装置1のY方向の幅全体を覆うように取り付け
られるものである。図15には、拡大したカバー105
を示している。図3及び図15に示すように、ベース枠
100の各枠体101には、板状のマグネット105b
が取り付けられた段付き平板105aがねじ105dに
よって取り付けられている。この段付き平板105aに
面対向するようにカバー部材105cが設けられてい
る。
【0037】上記カバー部材105cの材質は磁性体で
あり、図示するように、上記マグネット105bの磁力
によってマグネット105bに吸着することにより、カ
バー部材105cが平板105aに面対向して配置され
ている。カバー部材105cの下部にはねじ105eが
取り付けられており、このねじ105eによってカバー
部材105cの高さが調整される。
【0038】カバー部材105cは、地震等によって基
礎固定側が振動によって中枠200および上枠300が
スライド移動すると、上枠300の枠組み301が衝突
する位置に取り付けられている。カバー部材105cに
上枠300の枠組み301が衝突すると、カバー部材1
05cがマグネット105bから離間して、カバー部材
105cが図15の破線で示すように倒れるようになっ
ている。上述のように、カバー105は外観を良くする
ために取り付けられたものであるため、地震等の振動で
上枠300の枠組み301がカバー部材105cに衝突
してカバー部材105cが倒れた場合には、再度、カバ
ー部材105cをマグネット105bに吸着させてカバ
ー部材105cを配置すればよい。
【0039】図3に示すように、上枠300の枠組み3
01上には、合板などからなる化粧板306が取り付け
られている。この化粧板306上に、美術品や骨董品あ
るいは精密機械等の設置物(図示せず)が載置される。
図示していないが、上記化粧板306上にクッション性
のよいものや布などを敷いて、この上に設置物を載置す
ることもできる。
【0040】上枠300の枠組み301の下面には、Y
方向に平行に伸びたレール溝303が複数形成されてい
て、各レール溝303には、Y方向に平行に伸びたレー
ル304が下方からねじ304a、304aによって取
り付けられている。図3には、その一つのレール溝30
3を示している。図3に示すように、このレール304
の下面は、中枠200の各ローラ支持部材202の各ロ
ーラ203の上に載っている。従って、各ローラ支持部
材202の各ローラ203が回転することによって、上
枠300が中枠200に対してY方向に相対移動するこ
とができる。
【0041】図8に示すように、各ローラ支持部材20
2で支持された6つのローラ203のうち両端に配置さ
れたローラ203、203(図8において左右両側)の
軸は一定の高さに位置不動に取り付けられている。すな
わち、両端に配置されたローラ203、203の高さは
一定になっている。一方、残りの4つのローラ203、
203の軸は、高さ調整ができるようになっている。
【0042】上記高さ調整のための機構を具体的に述べ
ると、Y方向から見た断面がU字状の筺体207(図8
などを参照)に長穴207aが形成され、この長穴20
7aにローラ203の軸が取り付けられている。筺体2
07の下面にはアジャスタ用のねじ208が取り付けら
れ、このねじ208を回すことによって、筺体205の
高さを調整することができる。このようにして、筺体2
07に取り付けられた4つのローラ203の高さを調整
することができる。これら4つのローラ203は、上記
両端に配置されたローラ203、203の高さと同じ高
さに調整される。このように高さ調整された各ローラ2
03は、上枠300のレール溝303の下面に取り付け
られたレール304に下方から接すようになっている。
図3に示すローラ203は、図8において左右両側に配
置されたものの一方である。
【0043】図3に示すように、上記ローラ支持部材2
02の横断面はU字状に形成されていて、上部にフラン
ジ202aが形成されている。また、上枠300の枠組
み301の下面に形成されたレール溝303の近傍に
は、位置規制部材307がねじ307a、307aで取
り付けられている。この位置規制部材307の上面は、
上記ローラ支持部材202のフランジ202aの下面と
若干の間隔を置いて対向している。従って、上枠300
が振動によって上方へ浮上するのを防止することができ
る。
【0044】図8に示すように、Y方向の右側には、仮
止め部材400がベース枠100、中枠200、上枠3
00にそれぞれねじ400aによって一体に取り付けら
れている。このように仮止め部材400でもって、ベー
ス枠100、中枠200、上枠300を一体的に固定す
ることにより、これらベース枠100、中枠200、上
枠300の相対移動を規制し、長尺免震装置1の搬送を
用意にすることができる。この仮止め部材400は、長
尺免震装置1を任意の設置場所に載置したら、各ねじ4
00aを緩めて仮止め部材400を取り外し、ベース枠
100、中枠200、上枠300の一体的な固定を解除
する。この仮止め部材400は、パイプ状のもの、平板
状のもの等どのようなものでもよく、要は、ベース枠1
00、中枠200、上枠300をねじ等によって一体的
に固定することができるものであればよい。
【0045】Y方向の左側には、カバー105’が取り
付けられている。このカバー105’は、図3のX方向
の右側に取り付けられたカバー105と同様なもので、
外観を良くするために取り付けられるものであり、より
具体的には、X方向に平行に伸びて、長尺免震装置1の
X方向の前面全体を覆うように取り付けられるたもので
ある。上記カバー105’のカバー部材105’cも、
地震等によって基礎固定側が振動によって中枠200お
よび上枠300がスライド移動して上枠300の枠組み
301が衝突すると、カバー部材105cがマグネット
105’bから離間して、破線で示すように倒れるよう
になっている。
【0046】このように、図8において、Y方向の右側
には、仮止め部材400が取り付けられ、一方、Y方向
の左側には、長尺免震装置1のX方向の幅全体を覆うよ
うにカバー105’が取り付けられている。つまり、図
1では、Y方向の前側に、長尺免震装置1のX方向の幅
全体を覆うようにカバー105’が取り付けられ、Y方
向の後ろ側に仮止め部材400が取り付けられているこ
とになる。従って、観賞者が、図1に示す矢印αから上
枠300上に載置された設置物を観賞した場合、長尺免
震装置1のX方向の幅全体がカバー105’によって覆
われているため、長尺免震装置1の構造が観賞者に見ら
れることはない。
【0047】また、図3に示すように、X方向の右側に
は、長尺免震装置1のY方向の幅全体を覆うようにカバ
ー105が取り付けられている。また、図示してはいな
いが、X方向の左側にも長尺免震装置1のY方向の幅全
体を覆うようにカバー105が取り付けられている。
【0048】つまり、Y方向の前側にカバー105’が
取り付けられ、X方向の両側にカバー105がそれぞれ
取り付けられ、Y方向の後側に仮止め部材400が取り
付けられていることになる。従って、観賞者が、図1に
示す矢印α、矢印βおよび矢印γから上枠300上に載
置された設置物を観賞した場合、長尺免震装置1のX方
向の幅全体がカバー105’によって覆われているた
め、長尺免震装置1の構造が観賞者に見られることはな
い。また、長尺免震装置1のあらゆる方向から観賞者が
設置物を観賞する場合は、Y方向の後側に取り付けられ
た仮止め部材400を取り外した後、カバー105’を
Y方向の後側に取り付ければよい。取付方法は、Y方向
の前側にカバー105’を取り付けた場合と同様にする
ことができる。
【0049】図4は、図1で示すX方向の線B−Bに沿
う断面を示し、図9は、図1で示すY方向の線B’−
B’に沿う断面を示している。以下、図3及び図8と同
じ構成については説明を省略する。
【0050】図9に示すように、ローラ支持部材202
のY方向の中心部には、X方向に平行に前記貫通孔20
6が形成されている(図1参照)。また、図4及び図1
3(a)(b)に示すように、ローラ支持部材202の
X方向の両端には、軸受205c、205cの中心が上
記貫通孔206の中心に合うように、軸受205c、2
05cがそれぞれ取り付けられている。この貫通孔20
6および軸受205c、205cには、平行移動機構の
ピニオン205bの軸205aが貫通しており、軸受2
05c、205cによって軸205aが回転自在に支持
されている。ピニオン205bは、X方向に平行に伸び
た上記軸205aの両端に取り付けられているが、図
4、図9及び図13(a)(b)には、上記軸205a
の右端側に取り付けられたピニオン205bを示してい
る。
【0051】図4及び図13(a)に示すように、上枠
300の枠組み301の下面に形成されたレール溝30
3には、レール304が取り付けられていると共に、Y
方向に平行に伸びたラック305が下方からねじ305
a、305aによってレール304の右側に取り付けら
れている。図4に示すレール溝303は、二つの連結さ
れた枠組み301の下面に形成されている。このラック
305には、上記ピニオン205bが下方から噛み合う
ようになっている。従って、ラック305に沿ってピニ
オン205bが回転することができる。ラック305、
ピニオン205bおよび軸205aは平行移動機構20
5を構成している。この平行移動機構205は、上枠3
00をY方向に円滑に平行移動させるためのものであ
る。
【0052】図5は、図1で示すX方向の線C−Cおよ
びD−Dに沿う断面を示し、図10は、図1で示すY方
向の線C’−C’およびD’−D’に沿う断面を示して
いる。図5に示すように、レール溝303は、二つの連
結された枠組み301の下面に形成されており、このレ
ール溝303にY方向に平行に伸びたレール304が下
方からねじ304a、304aによって取り付けられて
いる。このレール304には、中枠200の各ローラ支
持部材202の各ローラ203が下方から接するように
なっている。従って、各ローラ支持部材202の各ロー
ラ203が上記レール304に沿ってY方向に転動する
ことができ、上枠300が中枠200に対してY方向に
相対移動することができる。
【0053】図6は、図1で示すX方向の線E−Eに沿
う断面を示し、図11は、図1で示すY方向の線E’−
E’に沿う断面を示している。図6および図14(a)
(b)に示すように、ローラ支持部材202のX方向の
両端には、軸受205c、205cの中心が上記貫通孔
206の中心に合うように、軸受205c、205cが
それぞれ取り付けられている。この貫通孔206および
軸受205c、205cには、平行移動機構205のピ
ニオン205bの軸205aが貫通しており、軸受20
5c、205cによって軸205aが回転自在に支持さ
れている。ピニオン205bは、X方向に平行に伸びた
上記軸205aの両端に取り付けられているが、図6、
図11及び図14(a)(b)には、上記軸205aの
左端側に取り付けられたピニオン205bを示してい
る。
【0054】図6及び図14(a)に示すように、上枠
300の枠組み301の下面に形成されたレール溝30
3には、レール304が取り付けられていると共に、Y
方向に平行に伸びたラック305が下方からねじ305
a、305aによってレール304の左側に取り付けら
れている。図6に示すレール溝303は、二つの連結さ
れた枠組み301の下面に形成されている。このラック
305には、上記ピニオン205bが下方から噛み合う
ようになっている。従って、ラック305に沿ってピニ
オン205bが回転することができる。
【0055】図7は、図1で示すX方向の線F−Fに沿
う断面を示し、上枠300のX方向の左側付近を示して
いる。図12は、図1で示すY方向の線F’−F’に沿
う断面を示し、図8に示した構成と同じ構成を示してい
る。上述のように、図1に示す長尺免震装置1は、中枠
200上に二つの上枠300がX方向に平行に並んだ状
態で配置されており、図7に示すように、X方向の右側
に位置する上枠300と、X方向の左側に位置する上枠
300とのX方向の間隙は略2mmとなっている。
【0056】次に、図2に示すように、中枠200をベ
ース枠100に対して中立となる原点位置に復帰させる
第1復帰手段700と、上枠300を中枠200に対し
て中立となる原点位置に復帰させる第2復帰手段800
について説明する。なお、第1復帰手段700および第
2復帰手段800の構成・動作をわかりやすくするため
に、図18に示す簡略斜視図を使用して説明する。
【0057】図2及び図18に示すように、第1復帰手
段700は、その両端がX方向に変位可能に係止された
第1引張ばね701と、この第1引張ばね701をX方
向に変位可能に係止する第1係止手段とから構成されて
いる。第2復帰手段800は、その両端がY方向に変位
可能に係止された一対の第2引張ばね801、801
と、この各第2引張ばね801、801をY方向に変位
可能に係止する第2係止手段とから構成されている。
【0058】第1係止手段は、第1引張ばね701の両
端をそれぞれ係止する変位可能な一対の第1ばねかけ部
材702、702と、ベース枠100上に設けられ上記
一対の第1ばねかけ部材702、702をそれぞれ移動
可能に支持するための、溝703cがそれぞれ形成され
た一対の第1ばね受け下703a、703bと、ベース
枠100上に対向した中枠200の下面に設けられ、上
記一対の第1ばねかけ部材702、702をそれぞれ移
動可能に支持するための、溝704cがそれぞれ形成さ
れた一対の第1ばね受け上704a、704bとから構
成されている。
【0059】第2係止手段は、第2引張ばね801の両
端をそれぞれ係止する変位可能な一対の第2ばねかけ部
材802、802と、中枠200上に設けられ上記一対
の第2ばねかけ部材802、802をそれぞれ移動可能
に支持するための、溝803cがそれぞれ形成された一
対の第2ばね受け下803a、803bと、中枠200
上に対向した上枠300の下面に設けられ、上記一対の
第2ばねかけ部材802、802をそれぞれ移動可能に
支持するための、溝804cがそれぞれ形成された一対
の第2ばね受け上804a、804bとから構成されて
いる。
【0060】図2に示すように、第1引張ばね701
は、第1引張ばね701が上記第1係止手段を介してベ
ース枠100と中枠200との間に取り付けられている
ときに、第1引張ばね701の自由長さが上記第1係止
手段間の取付寸法W1よりも少なくとも短く設定されて
いる。また、第2引張ばね801、801は、第2引張
ばね801が上記第2係止手段を介して中枠200と上
枠300との間に取り付けられているときに、第2引張
ばね801の自由長さが上記第2係止手段間の取付寸法
W2よりも少なくとも短く設定されている。
【0061】つまり、第1引張ばね701および第2引
張ばね801、801は、中枠200と上枠300とが
ベース枠100に対して完全に重合している状態で、初
期張力を付与されており、上記各引張ばねの張力に抗し
て張った状態で取り付けられている。
【0062】図17に示すように、第1ばねかけ部材7
02および第2ばねかけ部材802は、長尺状の平鋼で
できていて、同一形状・寸法に形成されている。第1ば
ねかけ部材702および第2ばねかけ部材802には、
上記各溝703c、704c、803c、804cに係
合するための切欠aがその長さ方向の中心に対して左右
対称の位置に一対形成されている。また、第1ばねかけ
部材702および第2ばねかけ部材802には、その長
さ方向の中心位置に第1引張ばね701および第2引張
ばね801の両端に形成されているフック部を引っかけ
る係止孔bが形成されている。
【0063】図16に示すように、第1ばね受け下70
3a、703b、第1ばね受け上704a、704b、
第2ばね受け下803a、803b、および第2ばね受
け上804a、804bは、機械構造用鋼製で、かつ、
各部分が同一の寸法形状でできている。第1ばね受け下
703a、703b、第1ばね受け上704a、704
b、第2ばね受け下803a、803b、および第2ば
ね受け上804a、804bにおける各溝703c、7
04c、803c、804cの開口部には、第1ばねか
け部材702および第2ばねかけ部材802に形成され
ている切欠aを余裕を持って嵌入させるための大きな面
取りcが施されている。
【0064】図16および図18に示すように、第1ば
ね受け下703a、703bおよび第1ばね受け上70
4a、704bは、各溝703c、704cの開口側が
X方向における原点位置Npに対して背を向けた位置状
態でベース枠100の上面、中枠200の下面に溶接等
で一体的にそれぞれ取り付けられている。同様に、第2
ばね受け下803a、803bおよび第2ばね受け上8
04a、804bは、各溝803c、804cの開口側
がY方向における原点位置Npに対して背を向けた位置
状態で中枠200の上面、上枠300の下面に溶接等で
一体的にそれぞれ取り付けられている。
【0065】次に、上記実施の形態にかかる長尺免震装
置1の動作について説明する。まず、地震等の振動エネ
ルギーが長尺免震装置1に入力されない通常時には、中
枠200と複数の上枠300とが、ベース枠100に対
して完全に重合した状態で原点位置Npに安定的に保持
される。
【0066】一方、地震等が起きて一定レベルを超える
2次元平面振動エネルギーがベース枠100から入力さ
れたときには、中枠200と上枠300、300が、2
次元平面振動の方向に対してX方向およびY方向のそれ
ぞれに往復減衰運動を開始する。
【0067】そして上記2次元平面入力振動エネルギー
成分のうちのX方向成分は、第1移動機構のX方向にお
ける往復減衰運動により吸収されつつ、第1引張ばね7
01の張力による後述する原点復帰動作によって原点位
置Npへ復帰されると共に、上記2次元平面入力振動エ
ネルギー成分のうちのY方向成分は、第2移動機構のY
方向における往復減衰運動により吸収されつつ、一対の
第2引張ばね801、801の張力による後述する原点
復帰動作によって原点位置Npへ復帰される。
【0068】このようにして全振動エネルギーの吸収が
円滑かつ確実に行われる。また、上記原点復帰動作中に
おいて、2次元平面入力振動エネルギー成分のうちのX
方向成分およびY方向成分の一部は、第1引張ばね70
1や第2引張ばね801、801の上記原点復帰動作中
にも吸収される。
【0069】ここで、第1引張ばね701および第2引
張ばね801の原点復帰動作について詳述する。動作説
明の簡明化を図るため、図18に示すように、第1引張
ばね701および第2引張ばね801がそれぞれ1本で
ある場合であって、図19ないし図21に示すようにベ
ース枠100がX方向に移動する場合をモデル化して説
明する。また、中枠200のX方向における幅も、動作
説明の簡明化を図るためにベース枠100のX方向にお
ける幅と同じにしている。
【0070】尚、図示の便宜上、左右両側の第1ばね受
け下703a、703bのベース枠100に対する取付
位置が、左右両側の第1ばね受け上704a、704b
(図中ハッチングを施して示す)の中枠200(図中ハ
ッチングを施して示す)に対する取付位置よりも内側に
なるように示されているが、これはあくまでもモデル図
示上の形式的な都合からのものであり、内側に位置して
いても外側に位置しても互いに干渉することなく、か
つ、ベース枠100及び中枠200のX方向と平行な中
心線(図示せず)に対してそれぞれ対称的な位置に配設
されていればよい。この関係は、第2ばね受け下803
a、803bと第2ばね受け上804a、804bとで
も同様である。
【0071】図18及び図19に示す状態は、中枠20
0と上枠300とが、ベース枠100に対して原点位置
Npを占めていて、第1引張ばね701のばね力(張
力)によってバランスを保持している様子を示してい
る。このとき、左側の第1ばねかけ部材702の切欠a
が、ベース枠100における左側の第1ばね受け下70
3aの各溝703cと中枠200における左側の第1ば
ね受け上704aの各溝704cとにそれぞれ係合して
おり、また、右側の第1ばねかけ部材702の切欠a
が、ベース枠100における右側の第1ばね受け下70
3bの各溝703cと中枠200における右側の第1ば
ね受け上704bの各溝704cとにそれぞれ係合して
いて、第1引張ばね701が初期張力を付与されている
ことにより、第1引張ばね701の自重による撓みが除
去され、常にある程度の張力で張った状態にある。
【0072】この状態から、今、地震等の平面振動によ
って、図20に示すように、ベース枠100がX方向の
右側に揺れて中枠200に対して移動量Xaだけ右側に
移動した場合(中枠200がベース枠100に対してX
方向の左側へ移動量Xaだけ相対的に移動した場合でも
ある。)、左側の第1ばねかけ部材702がベース枠1
00における左側の第1ばね受け下703aから外れる
と共に、左側の第1ばねかけ部材702が中枠200に
おける左側の第1ばね受け上704aのみに係合され係
止される。これと同時に、右側の第1ばねかけ部材70
2が中枠200における右側の第1ばね受け上704b
から外れると共に、右側の第1ばねかけ部材702がベ
ース枠100における右側の第1ばね受け下703bの
みに係合され係止される。
【0073】これにより、第1引張ばね701が移動量
Xa分だけ伸びることによって増加した張力が中枠20
0に対して作用することとなって、中枠200が右側に
引っ張られて原点位置Npに復帰しようとする。
【0074】上記の動作と反対に、図21に示すよう
に、ベース枠100がX方向の左側に揺れて中枠200
に対して移動量Xbだけ左側に移動した場合(中枠20
0がベース枠100に対して右方向へ移動量Xbだけ相
対的に移動した場合でもある。)、左側の第1ばねかけ
部材702が中枠200における左側の第1ばね受け上
704aから外れると共に、左側の第1ばねかけ部材7
02がベース枠100における左側の第1ばね受け下7
03aのみに係合される。これと同時に、右側の第1ば
ねかけ部材702がベース枠100における右側の第1
ばね受け下703bから外れると共に、右側の第1ばね
かけ部材702が中枠200における右側の第1ばね受
け上704bのみに係合される。
【0075】これにより、第1引張ばね701が移動量
Xb分だけ伸びることによって増加した張力が中枠20
0に対して作用することとなって、中枠200が左側に
引っ張られて原点位置Npに復帰しようとする。
【0076】このように、中枠200がベース枠100
に対して左右方向へ相対的に移動したとき、長尺の中枠
200上に重合して設けられている複数の上枠300
も、中枠200と一体に移動するため、X方向におい
て、複数の上枠300同士が衝突することはない。従っ
て、従来のように振幅の2倍以上に離して設けなくても
よいため、X方向における上枠300同士の間隔を最小
限にすることができ、免震装置の設置面積が嵩ばること
なく、設置面積を最大に広くすることができる。
【0077】ベース枠100が、上枠300に対してY
方向の前後方向に揺れて移動した場合、すなわち上枠3
00がベース枠100に対して前後方向へ相対的に移動
した場合についても、その動作方向が変わるのみで上記
と同様の作用を生じることは自明である。しかし、上述
のように、長尺の中枠200上に複数の上枠300がX
方向に配列して設けられており、各上枠300は、必ず
しも同期的にY方向に振動するとは限らない。これは、
摩擦抵抗や機構的なズレ等によって、各上枠300の減
衰運動にズレが生じてしまうからである。
【0078】また、図示の実施の形態にかかる長尺免震
装置1は、軸205a、ピニオン205bおよびラック
305で構成された、上枠300をY方向に平行移動さ
せる平行移動機構205を有しているため、上枠300
をY方向に円滑に平行移動させることができる。図示の
例のように、中枠200が長尺状に形成され、X方向の
長さがY方向の長さに対して数倍の長さになっている場
合、地震エネルギーのY方向成分が加わって中枠200
と上枠300とがY方向に相対移動しようとするとき、
上枠300のX方向一端部と他端部とでは移動距離が異
なり、上枠300が斜めになって移動しようとしてきし
み、抵抗が大きくなって免震効果が損なわれる可能性が
ある。しかし、図示の実施の形態によれば、中枠200
によって回転自在に支持したX方向に長い軸205aの
両端にピニオン205bを一体に設け、これらのピニオ
ン205bを、上枠300に取り付けたY方向のラック
305に噛み合わせて平行移動機構205を設けたた
め、中枠200と上枠300は、X方向両端部がY方向
に同期してかつ同じ距離ずつ相対移動することとなっ
て、結果的には小さな抵抗で平行移動することになり、
Y方向の免震効果が損なわれることはない。
【0079】また、上記平行移動機構205を有してい
て、上枠300をY方向に平行移動させることができる
ため、地震のX方向成分はベース枠100と中枠200
とのX方向への相対移動によって免震効果を得るように
したことと相俟って、上枠300をX方向に複数に分割
しても、分割された上枠300は、Y方向に平行移動す
るものであるから、上枠300相互間を近接して配置し
ても上枠300相互が衝突することはないということで
あり、よって、限られたスペースを有効に利用しながら
免震効果を得ることができる利点がある。また、隣り合
う上枠300の相対向する上縁部を高くすることによ
り、隣り合う上枠300の両方にまたがって載置物が載
置されるのを防止することができる。
【0080】図示の実施の形態では、平行移動機構20
5の軸205aおよびピニオン205bが中枠200側
に、ラック305が上枠300側に設けられているが、
軸205aとピニオン205bを上枠300側に、ラッ
ク305を中枠200側に設けてもよい。また、図示の
例では、平行移動機構205は、軸205a、ピニオン
205bおよびラック305で構成されているが、軸2
05a、ピニオン205bおよびラック305に代え
て、歯付きベルトと歯車で構成することもできる。ある
いは、スプロケットとチェーンで構成することもでき
る。要は、上枠300をY方向に円滑に平行移動するこ
とができるものであればよい。
【0081】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、基礎固定
側に設置されるベース枠と、上記ベース枠に重合して設
けられる長尺の中枠と、上記中枠に重合して設けられる
上枠と、上記ベース枠に対して平行する面内において上
記中枠を長手方向に移動させる第1移動機構と、上記長
手方向に対して直交する幅方向へ上記上枠を移動させる
第2移動機構と、上記中枠を上記ベース枠に対して中立
となる原点位置に復帰させる第1弾性復帰手段と、上記
上枠を上記中枠に対して中立となる原点位置に復帰させ
る第2弾性復帰手段とを有しているため、中枠がスライ
ド移動する長手方向に上枠を分割したとしても、上枠は
中枠に対して長手方向に直交する方向に相対移動し、長
手方向には中枠とともに移動することになり、上枠同士
の間隔を近接させることができ、もって、免震装置の設
置面積が嵩ばることなく、限られた空間を効率よく利用
しつつ免震効果をもたせることができる。
【0082】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明において、上記上枠を上記幅方向に平行移動さ
せる平行移動機構を有しているため、上枠を上記幅方向
に円滑に平行移動させることができ、上枠を長尺状に形
成しても高い免震効果を得ることができる。また、上気
長手方向への免震効果をベース枠と中枠との相対移動に
よって得ることと相俟って、上枠を長手方向に分割した
としても、互いに近接して配置することができ、限られ
た空間を効率よく利用して免震効果を得ることができ
る。
【0083】請求項3記載の発明によれば、請求項1ま
たは請求項2記載の発明において、上記上枠は、複数に
分割されて長手方向に配列されているため、各上枠は個
々に上記幅方向に移動して免震効果を得ることができ
る。また、中枠がスライド移動する長手方向における上
枠同士の間隔を近接させることができ、もって、免震装
置の設置面積が嵩ばることなく、限られた空間を効率よ
く利用しながら免震効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる長尺免震装置の実施の形態を示
す分解斜視図である。
【図2】本発明の長尺免震装置に適用可能な復帰手段の
配置例を示す平面図である。
【図3】上記実施の形態の長手方向の一部を示す横断面
図である。
【図4】上記実施の形態の長手方向の別の一部を示す横
断面図である。
【図5】上記実施の形態の長手方向のさらに別の一部を
示す横断面図である。
【図6】上記実施の形態の長手方向のさらに別の一部を
示す横断面図である。
【図7】上記実施の形態の長手方向のさらに別の一部を
示す横断面図である。
【図8】上記実施の形態の長手方向と直交する方向の別
の一部を示す横断面図である。
【図9】上記実施の形態の長手方向と直交する方向のさ
らに別の一部を示す横断面図である。
【図10】上記実施の形態の長手方向と直交する方向の
さらに別の一部を示す横断面図である。
【図11】上記実施の形態の長手方向と直交する方向の
さらに別の一部を示す横断面図である。
【図12】上記実施の形態の長手方向と直交する方向の
さらに別の一部を示す横断面図である。
【図13】本発明の長尺免震装置に適用可能な平行移動
機構の例を示す(a)は右側面図、(b)は一部分の正
面図である。
【図14】上記平行移動機構の別の部分を示す(a)は
正面図、(b)は左側面図である。
【図15】本発明の長尺免震装置に適用可能なカバーの
例を示す断面図である。
【図16】本発明の長尺免震装置に適用可能な復帰手段
のばね受けの例を示す斜視図である。
【図17】本発明の長尺免震装置に適用可能な復帰手段
の別の例の一部を示す斜視図である。
【図18】本発明に適用可能な復帰手段の例をモデル的
に簡単化して説明するための斜視図である。
【図19】上記復帰手段の動作を簡単化して説明するた
めの模式的な正面図である。
【図20】上記復帰手段の動作を簡単化して説明するた
めの別の模式的な正面図である。
【図21】上記復帰手段の動作を簡単化して説明するた
めのさらに別の模式的な正面図である。
【図22】従来の免震装置を一定方向に3つ並べた例を
示す平面図である。
【符号の説明】
1 長尺免震装置 100 ベース枠 101 枠体 104 レール 105 カバー 200 中枠 202 ローラ支持部材 203 ローラ 204 ローラ 205a 軸 205b ピニオン 205 平行移動機構 300 上枠 301 枠組み 303 レール溝 304 レール 305 ラック 400 仮止め部材 700 第1復帰手段 701 第1引張ばね 702 第1ばねかけ部材 703a 第1ばね受け下 703b 第1ばね受け下 704a 第1ばね受け上 704b 第1ばね受け上 800 第2復帰手段 801 第2引張ばね 802 第2ばねかけ部材 803a 第1ばね受け下 803b 第1ばね受け下 804a 第1ばね受け上 804b 第1ばね受け上 Np 原点位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂井 一隆 熊本県熊本市上熊本3丁目8番1号 金剛 株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基礎固定側に設置されるベース枠と、 上記ベース枠に重合して設けられる長尺の中枠と、 上記中枠に重合して設けられる上枠と、 上記ベース枠に対して平行する面内において上記中枠を
    長手方向に移動させる第1移動機構と、 上記長手方向に対して直交する幅方向へ上記上枠を移動
    させる第2移動機構と、 上記中枠を上記ベース枠に対して中立となる原点位置に
    復帰させる第1弾性復帰手段と、 上記上枠を上記中枠に対して中立となる原点位置に復帰
    させる第2弾性復帰手段とを有していることを特徴とす
    る長尺免震台。
  2. 【請求項2】 上記上枠を上記幅方向に平行移動させる
    平行移動機構を有していることを特徴とする請求項1記
    載の長尺免震台。
  3. 【請求項3】 上記上枠は、複数に分割されて長手方向
    に配列されていることを特徴とする請求項1または2記
    載の長尺免震台。
  4. 【請求項4】 上記平行移動機構は、ラックとピニオン
    または歯付きベルトと歯車からなることを特徴とする請
    求項2記載の長尺免震台。
  5. 【請求項5】 上記平行移動機構は、スプロケットとチ
    ェーンからなることを特徴とする請求項2記載の長尺免
    震台。
  6. 【請求項6】 上記第1移動機構および上記第2移動機
    構は、レールとローラによって構成されていることを特
    徴とする請求項1記載の長尺免震台。
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