【発明の詳細な説明】
フコペプチド
本発明はフコペプチド、その製造法、医薬としてのその使用およびそれらを含
む医薬製剤に関する。
受容体のファミリー、セレクチンは、内皮および血小板による種々の循環細胞
の認識に関与し、癌、自己免疫疾患、炎症、動脈硬化および血液凝固を含む疾病
に役割を担うことが広く認識されている。このファミリーに3つの既知のメンバ
ーがある:L−セレクチン、P−セレクチンおよびE−セレクチン。
E−セレクチン(内皮白血球細胞接着分子、ELAM−1ともまた呼ばれる)は
、内皮細胞に誘導的に発現される細胞表面タンパク質である。例えば、その製造
は、隣接組織が障害を受けるかまたは微生物に侵入された時、血管内皮細胞で増
加する。E−セレクチンは、好中球および単核球に見られ、糖タンパク質および
/または糖脂質の完全な膜により、その外膜に固定された、細胞表面炭水化物リ
ガンドであるシアリルルイスX(SLeX)を認識する。SLeXは、E−セレクチ
ンへの結合により、好中球および単核中の活性化血管内皮細胞への結合を媒介し
、それによりこれらの白血球が障害組織に拡散し得る。
しかしながら、内皮細胞への接着による白血球の集合が異常であり、過剰であ
る多くの状況があり、組織の修復ではなく、障害をもたらす。
SLeXは抗炎症剤として有効である可能性があると考えられ、大規模なその
合成が臨床的評価のために開発されているが、この天然サッカライドは、経口で
不活性であり、血中で半減期が短いため、急性症状が存在する場合に、注射可能
形としてのみ使用できる。
従って、セレクチンのリガンドへの結合を阻害し、初期細胞性接着過程を防止
できる化合物の必要性がある。
本発明により、式I
[式中、
i)RはCH3であり、
R1は式(a1)または(a2)
〔式中、mは2または3;
nは2または3;
Mはカチオン;
R2はHもしくは、所望により、ω位置にホルミルまたはC1-4アルコールアセタ
ールまたはC2-4ジオールアセタール基を有してもよい20までの炭素原子の飽
和または不飽和炭化水素基;
R3はH、−CH2OHまたは−CH2CH2OH;そして
R4はH、C1-4アルキル、−CH2OH、−CH2CH2OHまたは−CH2CH2
CH2OHであるが、
1)R3およびR4の一つがH、
2)R4がHである時、R3は−CH2OHまたは−CH2CH2OHおよび
3)R3がHである時、R4はCH3、−CH2OH、−CH2CH2OHまたは−C
H2CH2OHである〕
の基;
または
R1は式(b)
〔式中、R5は
(式中、pは1または2;
qは2または3;
rは1または2;
R6はH、NH2または−NHRx(Rxはアミノ保護基);
R7aは−CH2OH、−CH2CH2OHまたは−CH(OH)−CH2OHおよびR7b
はHもしくはR7aおよびR7bの各々がCH2OH;
R11はHまたは−OH;
R13は−(CH2)j−COOMまたは−SO3M(jは1、2または3);そしてM
は上記で定義の意味)
(b4)のフェニル基の2番目のヒドロキシ置換基はメタ位である〕
の基;
または
R1は式(c)
〔式中、R8はOM1、OR14、Rs−Rpまたは−NHRy(M1はカチオン、R14
は飽和または不飽和炭化水素基、Rsはスペーサー基、Rpはホスファチジル基お
よびRyは飽和または不飽和親油性基);そして
(式中、sは1または2;
tは1または2;
vは2または3;
M、R6、R11およびR13は上記で定義の意味;そして
R10aは−CH2OH、−CH2CH2OHまたは−CH(OH)−CH2OHおよび
R10bはHまたはR10aおよびR10bの各々がCH2OH);
(c2)のフェニル基の2番目のヒドロキシ置換基はメタ位である〕
の基;
または
ii)R1がOHであり、
Rが式(d)
〔式中、wは1または2;
R12aは−CH(OH)−(CH2)x−OHおよびR12bはHまたはR12aおよびR12b
が独立して−CH2OHまたは−CH2CH2OH;
xは2または3;そして
R6およびMは上記で定義の意味〕
の基]
の化合物が提供される。
MはH+または、式Iの化合物の水溶性を維持する、例えば、カルボキシまた
は硫酸の塩を形成するカチオンの一価または多価の一当量、例えば、リチウム、
ナトリウムまたはカリウムのようなアルカリ金属イオン、カルシウムまたはマグ
ネシウムのようなアルカリ土類金属ならびに亜鉛、鉄およびアルミニウムイオン
およびアンモニウム(NH+ 4)イオンであり得る。Mは好ましくはH+、Li+また
はNa+である。カチオンMが薬学的に許容される塩であることが好ましい。カ
チオンが多価である時、適当な数の式Iの分子または式Iの化合物の混合物およ
び1個またはそれ以上の適当なアニオン、例えばアセテート、クロリド、カーボ
ネート等も存在する。M1は独立して上記Mの意味の一つを有し、好ましくはM
と同一である。
Rxがアミノ保護基である時、“Protective Groups in Organic Synthesi
s”T.W.Greene,J.Wiley&Sons NY,第2版,chapter 1,1991およ
びその引用文献に記載のそのような基であり得、好ましくは薬学的に許容される
アミノ保護基、特にtert.−ブトキシ−カルボニルまたはベンジルオキシカルボ
ニルである。
式(a1)の基の中のR2が飽和または不飽和炭化水素基である時、例えば、C1- 20
アルキル、C2-20アルケニルまたはC2-20アルキニルであり得る。ホルミル基
を有するR2の例は、例えば、2−オキソ−エチル、3−オキソ−プロピル、5
−オキソ−ペンタ−3−エニル、8−オキソ−オクチルおよび10−オキソ−デ
カ−4−エニルを含む。R2がC1-4アルコールまたはC2-4ジオールから形成さ
れるアルキルまたはアルケニルアセタール基の時、例えば、上記アルデヒドから
、C1-4アルコールまたはC2-4ジオール、例えば、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、sec.−ブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールまたは1
,3−ブタンジオールを使用して製造したアセタールであり得る。
式(a1)のR4基としてのC1-4アルキルは、好ましくはCH3である。
R8がRs−RpまたはNHRyの時、得られる式Iの化合物は、該化合物の投与
の手段としてのリポソーム膜の一部としてリポソーム製剤に使されてもよく、あ
るいは適切である。スペーサー基Rsは、カルボニルをホスファチジル基の酸素
に結合させる基、例えば、炭化水素基である。ホスファチジル基は、飽和および
/または不飽和脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
パルミトオレイン酸またはオレイン酸でエステル化されたグリセロリン酸である
。
Ryは、所望により、官能基、例えば、−CO−を含むか、それらで中断され
ていてもよい飽和または不飽和脂肪族基、例えば、飽和または不飽和脂肪性基を
有するジカルボン酸ジエステルを基本にした基であり得る。Ryは、好ましくは
〔式中、XおよびYはそれぞれ独立してC8-20アルキルまたはC8-20アルケニル
およびZは架橋基、例えば、ポリエチレンオキシ基、好ましくは、ポリ(3−5
0、好ましくは3−15)−エチレン−オキシ基、またはC1-4アルキレン−CO
またはフェニレン−CO−基〕
である。
式Iの化合物において、以下の意味が個々に、または組み合わせてまたは下位
の組み合わせが好ましい:
1.RはCH3およびR1は式(a1)の基。
2.式(a1)の基において、R2はH。
3.式(a1)の基において、R3はHおよびR4は−CH2OH。
4.式(a1)の基において、R3はHおよびR4はCH3。
5.RはCH3およびR1は式(b)の基。
6.式(b)の基において、R5は基(b1)。
7.基(b1)において、R7aはCH2OHまたはCH(OH)-CH2OHおよびR7b
はH。
8.基(a2)および(b3)において、基−OC1-4アルキルは好ましくはOCH3。
9.RはCH3およびR1は式(c)の基。
10.式(c)の基において、R8はC1-5アルコキシ、好ましくはメチルまたはエ
チル。
11.式(c)の基において、R9は基(c1)。
12.基(c1)において、R10aはCH(OH)−CH2OHおよびR10bはH。
13.式(c)の基において、R9は基(c2)。
14.基(c2)において、R6はNH2。
15.R1はOHおよびRは式(d)の基。
16.式(d)の基において、R12aはCH(OH)−(CH2)x−OHおよびR12bは
H。
式Iの化合物は、1個またはそれ以上の不斉炭素を含み得る。本発明は、特記
しない限り、全ての個々の異性体形、エナンチオマーおよびジアステレオマーな
らびに混合物、例えば、ラセミ体を含むことは理解される。
式(a1)の基において、R3を有する不斉炭素は好ましくは以下の立体配置を有
する:
式(b1)の基において、R7aおよびR7bを有する炭素原子が不斉である時(即ち
、R7bがH)、好ましくは以下の立体配置を有する:
同様なことが、基(c1)において、R10aを有する不斉炭素原子でR10bがHの
時に当てはまる。
基(b2)および(c3)において、ピロリジニル部分は好ましくは以下の立体配置
を有する:
基(b4)および(c2)において、置換ベンジル部分を有する不斉炭素原子は、好
ましくは以下の立体配置を有する:
式(c)の基は、好ましくは以下の立体化学を有する:
式(d)の基において、R12bがHである時、R12aを有する不斉炭素原子は好ま
しくは以下の立体配置を有する:
本発明は、また、式Iの化合物の製造法も含む。それらは既知の方法と類似の
方法で製造し得る。式Iの化合物は、例えば、保護形、例えば、アミノおよび/
またはヒドロキシ保護形の式Iの化合物に存在する少なくとも一つの保護基の除
去により製造し得る。
保護形の式Iの化合物は、主に、フコース部分に存在するヒドロキシ基が保護
されている化合物である。ヒドロキシ基を阻止または保護するために本発明で用
いることができる基は、当業者に既知であり、好ましくは、該基は、所望により
、分子の残りの部分の顕著な分解をもたらさない方法で、例えば、化学的または
酵素的加水分解により、緩和な条件下で化学的還元剤で処理して、紫外線を照射
して、または触媒的水素添加により除去できる。有利に使用するヒドロキシ保護
(封鎖)基は、炭水化物化学、特に、一級アルコール、2級アルコールおよび近隣
シスおよびトランスジオールに慣用のものである。
適当なヒドロキシ保護基は、例えば、アセチル、トリクロロアセチル、フェノ
キシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル
、トリチルオキシカルボニルおよび2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルの
ようなアセチル、メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、アリル、ベンジル、
p−メトキシベンジル、p−ニトロベンジル、ベンズヒドリル、トリチルのよう
なエーテル基、トリ(C1−C6)アルキルシリル(例えば、トリメチルシリル、ト
リエチルシリル)、トリイソプロピルシリル、トリプロピルジメチルシリル、t
−ブチルシメチルシリル、メチルジイソプロピルシリルまたはメチルジ−t−ブ
チルシリル)、t−ブチル−ジフェニルシシル、トリアリールシリル(例えば、ト
リフェニルシリル、トリ−p−キシリルシリル)またはトリアラルキルシリル(例
えば、トリベンジルシリル)のようなトリ有機シリル基であり得る。これらおよ
び、例えば、1,2−または1,3−ジヒドロキシ基、例えば、所望により置換さ
れていてもよいメチレンアセタールまたはエチレイデンアセタールのような環状
エーテル基の保護のための他の適当なヒドロキシ保護基の例およびその形成およ
び除去法は当分野で既知であり、例えば、Protective Groups in Organic S
ynthesis,第2版,T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,John Wiley&So
ns,New York,1991,Chapter 2およびその中の引用文献参照。
R6がNHRxである式Iの化合物はまた、アミノ保護基Rxの除去によりR6が
NH2である式Iの化合物に変換し得る。
このようにして得た式(I)の化合物は、遊離の形または塩の形で回収し得る。
出発物質として使用するRがCH3およびR1が式(a)である保護形の式Iの化
合物は、例えば、スキーム1に示すように製造し得る。
Xは、例えば、上記のようなヒドロキシ保護基である。R'は遊離基、例えば
、アミノ保護基、例えば、BocまたはFmocである。好ましくは、所望の立体配
置の式Iの化合物を得るために、出発物質を特異的エナンチオマーとして使用す
る。出発物質として使用する、RがCH3およびR1が式(b)の基である保護形の
式Iの化合物は例えば、スキーム2に示すように製造し得る。
Ryは遊離基、例えば、ハロゲン、好ましくはFである。工程iiは、ホスフィ
ン、例えば、トリフェニルホスフィンまたはハイドライド、例えば、リチウムア
ルミニウムハイドライドとの反応のような、アジド基の既知の還元工程を含むこ
とを意図した還元である。工程iiiは、例えば、ペプチド化学の分野で既知のア
ミド結合形成反応である。化合物IIは、例えば、保護形のAsp−Ser−OH、G
lu−Ser−OH、Glu−(α−ヒドロキシメチル)Ser−OH、例えば、化合物1
0から選択され得る。工程iiiはまたスキーム1に記載のように、適当な保護形
のアミノ酸との結合、続く二酸誘導体との反応を含み得る。
RがCH3およびR1が式(c)の基である保護形の式Iの化合物は、例えば、ス
キーム3に示すように製造し得る。
R8aはC1-6アルキルである。Raはアミノ保護基である。化合物IVは、例えば
、保護形の2−アミノ−3,4−ジヒドロキシ−酪酸、α−ヒドロキシメチルセ
リンまたはGlu−Tyr−OH、例えば、(2S,3R)−N−Boc−2−アミノ−
4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ酪酸から選択し得る。R9aCOは、化合物
IVのアミノ酸残基(所望により二酸基で完全にされている)である。工程i)およ
びii)は標準法により行うアミド結合形成反応である。工程ii)はまた、例えば
、スキーム1に記載のような適当な保護形のアミノ酸との結合、続く二酸誘導体
との反応を含み得る。工程ii)は更にまた、例えば、実施例44および45に記
載のような、−COOR8aの−COR8への変換、例えば、酸、酸塩、親油性エ
ステルまたは親油性アミドへの変換を含み得る。化合物IIIは個々のエナンチオ
マーの一方または他方の形または混合物の形で使用し得る。上記スキーム3は、
好
ましい立体配置の、RがCH3およびR1式(c)の基である式Iの製造法を説明す
る。
出発物質として使用するR1がOHおよびRが式(d)の基であり、R12aがCH
(OH)−(CH2)x−OHである保護形の式Iの化合物は、例えば、スキーム4に
示すように製造し得る。
好ましくは2つの近隣X基(ヒドロキシ保護基)は、フコース部分に共に
上記反応は、例えば、以下の実施例に記載のような、既知の方法で行い得る。
出発物質の製造が特記されていない限り、その化合物は既知であるかまたは当分
野で既知であり、実施されている方法と同様に製造し得る。
以下の実施例は本発明を説明する。全ての温度は℃である。
以下の略語を使用する:
Ac=−COCH3
Bn=ベンジル
Boc=t−ブトキシカルボニル
Fmoc=9−フルオレニルメトキシカルボニル
DAST=ジエチルアミノサルファートリフルオリド
EDCI=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸
塩
EDAC=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドD
MF=ジメチルホルムアミド
HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
TFA=トリフルオロ酢酸実施例1
:
化合物6を、パラジウム/炭素触媒上で水素ガスで処理することにより脱保護
し、続いてナトリウムメトキシドで処理し、化合物7のナトリウム塩を得る。
出発物質として使用する化合物6は、下記のように製造し得る:
a)三酢酸フコースをアリルトリメチルシランおよび三フッ化ホウソエーテル錯
化合物で、乾燥アセトニトリル中、室温で処理し、化合物2を得る(比α:βは
10:1より大きい)。Kozikowsky A.P.およびSorgi K.L.Tetrahedron L
ett.(1983),24:1563。
b)化合物2を、トリフェニルホスフィン存在下オゾンと反応させてオゾン分解
する。次いで、生産物アルデヒドをその場で、酢酸アンモニウム存在下、パラジ
ウム/炭素触媒上で水素ガスで処理することにより還元的アミノ化に付し、対応
する2−アミノ−エチル基を有する四酢酸フコースを得る(化合物3)。
c)上記のようにして得た化合物3を、(1S,2R)−2−N−Boc−アミノ−
4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ酪酸(グリシンおよびO−ベンジルグリコ
アルデヒドから、Wong et al.,Tetrahedronn Lett.1995,36,4081の記載
に従ったスレオニン・アルドラーゼ触媒反応により製造)と、1−(3−ジメチル
アミノプロピル)−3−エチルカルボジヨウニド塩酸塩溶液中で結合させ、アミ
ド化合物5を得る。
d)酸性溶液(4N HCl)中の酢酸エチルでの処理により化合物5から保護基
を除去する。次いで、脱保護生産物をその場で無水グルタル酸(トリエチルアミ
ン緩衝液中)で処理し、化合物6を得る。
上記実施例1の同様の方法に従い、式
〔式中、R1、R2、nおよびmは下記表1に示す意味〕
の化合物を製造し得る。
実施例1と同様の方法に従うが、適当な出発物質を使用して、実施例6の化合
物が得られ得る:
実施例7:
化合物11(122mg、0.12mmolをメタノール(2mL)に溶解し、炭素Pd
(OH)2(20mg)を添加し、混合物を水素(1atm)下12時間撹拌する。触媒をセ
ライトで濾過し、生産物をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3/メタノー
ル、3:1)およびバイオゲルP2クロマトグラフィー(H2O)で精製する。化合
物12を精製後得る。
C24H41N3O12Cs(M+Cs+)についてのHRMSの計算値696.1745
、実測値696.1717。
出発物質として使用する化合物11は、以下のように製造し得る:
a)
2,3,4−トリ−O−ベンジル−L−フコピラノースを無水ジクロロメタンに
0°で溶解し、DAST(1.06g、0.0066mol)を滴下する。混合物を0
°で30分撹拌後、反応を水の添加により停止させる。水性溶液をジクロロメタ
ンで抽出し、有機フラクションを合わせ、MgSO4で乾燥させ、濾過する。溶
媒を留去し、フッ化物を更に精製することなく、グリコシル化に使用する。4Å
モレキュラーシーブス、塩化スズ(II)(1.67g、0.0088mol)および過塩
化銀(1.82g、0.0088mol)を、無水ジクロロメタン(20mL)中のフッ化
物の溶液に0°で添加する。混合物を5分撹拌し、(R,R)アジドシクロヘキサ
ノール(0.93g、0.0066mol)を添加する。反応物を室温に暖め、6時間
撹拌する。セライトでの濾過後、濾液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー
(ヘキサン/酢酸エチル、8:1)に付す。化合物8を透明油状物として得る。
b)
化合物8(1.3g、2.33mmol)をテトラヒドロフラン(10mL、1%H2O
含有)に溶解し、トリフェニルホスフィン(638mg、2.56mmol)を添加する。
混合物を室温で5時間撹拌する。溶媒を蒸発させた後、残渣をシリカゲルカラム
でのCHCl3/メタノール(50:1→30:1)のクロマトグラフィーにより
精製する。化合物9がシロップとして得られる。
c)O−ベンジル−N−Boc−L−アスパラギン酸を無水ジクロロメタンに溶解
し、EDAC(640.3mg、3.34mmol)およびN−ヒドロキシサクシンイミド
(384.4mg、3.34mmol)を添加する。混合物を4°で12時間撹拌し、溶媒
を蒸発させる。O−ベンジル−N−Boc−アスパラギン酸−N−ヒドロキシサク
シンイミドエステルをシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン、
1:1.5→1:1)により得る。
O−ベンジル−N−Boc−アスパラギン酸N−サクシンイミドエステル(60
3mg、1.44mmol)およびO−ベンジル−セリン(281mg、1.44mmol)をD
MF(2mL)に溶解し、Et3N(1mL)を添加する。混合物を室温で1時間撹拌
する。溶媒の蒸発およびシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3)の後、生産
物10を得る。
d)酸10(141mg、0.29mmol)、EDAC(81mg、0.42mmol)およびH
OBT(57mg、0.42mmol)をジクロロメタン(2mL)に室温で溶解し、5分間
撹拌し、化合物9(148mg、0.56mmol)を添加する。混合物を室温で3時間
撹拌し、溶媒を蒸発させる。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル、
1:5→1:1)に付し、化合物11をシロップとして得る。
C59H71N3O12Cs(M+Cs+)についてのHRMSの計算値1146.409
2、実測値1146.4035。
上記実施例7と同様の方法に従うが、適当な出発物質を使用して、以下の化合
物
〔式中、R5は表2に示す意味〕
を製造し得る。
実施例11の化合物:
実施例12の化合物:
実施例13の化合物:
実施例18:
15のベンジル基を、実施例5の方法に従った水素添加により開裂する。化合
物16(無定形):
電子スプレイイオンマス(デクラスターリング(declustering)電位=−80V)m
/z523[(M−H);C21H36N2O13の計算値:524]。
出発物質として使用する化合物15は、下記のように製造し得る:
a)
L−フコースを、最初に、Wong et al.,J.Org.Chem.1994,59,864に
従ってトリベンジルフコシルホスファイトに変換する。得られる化合物(1.0当
量)をBoc−L−Thr−OEt(1.1当量)に、トリフルオロメタンスルホン酸(
0
.1当量)を触媒として使用して、塩化メチレン中で0°で結合させ、標準後処理
および精製の後に化合物13を得る。
b)
最初の0.1M CH2Cl2中の30%TFA中、25°、30分での13の
Boc保護の脱保護;水での停止、NaHCO3での洗浄、硫酸ナトリウムでの乾
燥;フラッシュクロマトグラフィーでの精製により対応する遊離アミンを得る。
このアミン(1.0当量)を(2S,3R)−N−Boc−2−アミノ−4−ベンジルオ
キシ−3−ヒドロキシ−酪酸1.1当量と、EDCl 1.5当量、HOBt 1
.5当量、0.1M CH2Cl2を使用して、0°、30時間結合させ、標準後処
理およびフラッシュカラムクロマトグラフィー精製条件後に14を得る。
c)0.1M CH2Cl2中の30%TFA中の、25°、30分での14のBo
c保護の脱保護、続く水での停止、NaHCO3での洗浄、硫酸ナトリウムでの乾
燥。フラッシュクロマトグラフィーでの精製、続くモノベンジルグルタレート1
.1当量と、EDCl 1.5当量、HOBt 1.5当量、0.1M CH2Cl2
との、25°、20時間の結合により、化合物15を得る。
化合物15:
C56H66N2O13+Cs+(M+Cs)についてのHRMSの計算値1107.36
14、実測値1107.3667。
上記実施例18と同様の方法に従うが、適当な出発物質を使用して、式
〔式中、R8は表3に記載の意味〕
の化合物を製造し得る。
実施例29
糖ペプチド19(23.7mg、40μmol)の溶液を水中の90%TFA(1mL)
中で室温で撹拌する。3時間後、反応溶液を減圧下で蒸発させ、2回トルエン(
2×5mL)で共沸させる。粗生産物のMNRを行い、イソプロピリデン部分が除
去されているかを確認し、次いで、生産物を精製せずに次工程に使用する。
次いで、粗糖ペプチドを実施例5の方法に従い水素添加し、白色固体20を得
る:
高分解マススペクトル(NaIでドープ):実測値M+Na、447.1570。
C16H28N2O11はM+Na、447.1591が必要。
出発物質として使用する化合物19は下記のように製造し得る:
a)
EDCI(95.4mg、500μmol)を、乾燥DMF(5mL)中の6−アミノ−
6−デオキシ−1,2,3,4−ジイソプロピリデン−α−L−ガラクトピラノシ
ド(130mg、500μmol)、(2S,3RS)−2−N−Boc−アミノ−6−ベン
ジルオキシ−3−ヒドロキシ−ヘキサン酸(177mg、500μmol)、HOBT(
68mg、500μmol)および4−メチルモルホリン(108μL、1000μmol
)の撹拌した溶液に、アルゴン下、−20°で添加する。得られる混合物を−2
0°で1時間撹拌し、ゆっくり室温まで暖める。14時間後、反応溶液を5%w
/vクエン酸溶液(20mL)で停止させ、酢酸エチル(6×25mL)で抽出する。
合わせた有機抽出物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)および飽和塩化ナ
トリウム溶液(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、減圧下で蒸発させる。
残った油状物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配溶出ヘキサン
中40%→50%→66%酢酸エチルを使用)で精製し、17を薄黄色泡状物と
して得る:Rf(ヘキサン中75%酢酸エチル)0.66。
b)
乾燥4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(4−メチルアミノスチリル)
−4−H−ピラン(1mL)中の15%v/vトリフルオロ酢酸中の糖ペプチド(17
)(59.5mg、100μmol)の溶液をアルゴン下、室温で撹拌する。2時間後、
溶液を減圧下で蒸発させ、残った油状物をb−ブタノール:水:メタノール(5
:3:2)(10mL)に溶解する。溶液にダウエックス(Cl-、メタノールで予洗
、100mg)を添加し、混合物を30分撹拌し、次いで、濾過して固体をメタノ
ール(3×5mL)で洗浄し、合わせた濾液および洗浄液を減圧下で蒸発させる。
残った油状物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、勾配溶出19:0.
9:0.1→9:0.9:0.1 DCM:MeOH:NH3(水性)を使用)で精製
し、18を薄茶色油状物として得る:Rf(9:0.9:0.1 DCM:MeO
H:NH3(水性))0.42。
c)無水コハク酸(6.0mg、60μmol)を、メタノール(1mL)中のアミノ糖ペ
プチド18(27.7mg、56μmol)の撹拌した溶液に室温で添加する。1時間後
、溶液を減圧下で蒸発させる。残った固体をフラッシュクロマトグラフィー(シ
リカゲル、勾配溶出、酢酸エチル中5→10%酢酸を使用)で精製し、化合物1
9を薄黄色ゴムとして得る。Rf(酢酸エチル中10%酢酸)0.49:
高分解マススペクトル(CsIでドープ):実測値M+Cs、727.1875。
C29H42N2O11はM+Cs、727.1843が必要。
実施例29と類似の方法に従うが、適当な出発物質を使用して、式
〔式中、RAおよびRBは表4で定義の意味〕
の化合物を得る。
実施例44
MeOH(5mL)中の化合物27(91.4mg、59.2μmol)の溶液に、Pd(
OH)2炭素(20mg)を添加する。混合物を2日間、水素バルーン下で撹拌する。
触媒を濾取し、濾液を真空で蒸発させる。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー
(CHCl3:MeOH=1:1)、次いで、セファデックスLH20ゲル濾過ク
ロマトグラフィー(MeOHで溶出)に付し、所望のアンフィフィル28を得る。
C62H114N4O17Cs(M+Cs)についてのHRMSの計算値1319.723
3、実測値1319.7264。
出発物質として使用する化合物27は、以下のように製造し得る:
a)
化合物21
2,3,4−O−トリベンジル−α−L−フコピラノシルホスファイトジベンジ
ル(138mg、0.204mmol)、N−Fmocスレオニンアリルエステル(77.5mg
、1当量)およびモレキュラーシーブ4Å(470mg)の懸濁液を18時間、室温
で撹拌する。混合物に、−15°で、CH2Cl2(1mL)中のTMSOTf(13
.6mg、0.3当量)を添加する。2時間、同温度で撹拌後、飽和NaHCO3水溶
液を添加して停止し、混合物をCH2Cl2で希釈する。有機相を分離し、MgS
O4で乾燥させ、真空で蒸発させる。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(Hex:EtOAc=4:1)に付し、化合物21を得る。
化合物22
CH2Cl2(5mL)中の化合物21(104mg、0.13mmol)の溶液に、Et2
NH(0.72mL、53当量)を加え、混合物を室温で18時間撹拌する。溶媒お
よび試薬を真空で除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2C
l2〜CH2Cl2:MeOH=100:3)で精製し、化合物22を得る。
化合物23
CH2Cl2(5mL)中の化合物22(242mg、0.42mmol)およびN−ベンジ
ルグルタリルアミド−L−プロリン(135mg、1当量)の溶液に、連続してHO
BT(86mg、1.5当量)およびEDC(105mg、1.3当量)を0°で添加する
。反応混合物を20分、0°で撹拌し、温度を室温まで18時間以内に上昇させ
る。反応混合物を真空で蒸発させ、残渣をEtOAcに溶解する。EtOAc溶
液を1N HCl、飽和NaHCO3および食塩水で連続して洗浄する。有機相
をMgSO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(トルエン〜トルエン:アセトン=2:1)に付し、化合物23を得る
。
化合物24
THF(10mL)およびDMF(1mL)中の化合物23(169mg、0.192mm
ol)およびモルホリン(167mg、10当量)の溶液にPd(PPh3)4(23mg、0
.1当量)をアルゴン雰囲気下、室温で添加する。24時間撹拌後、反応混合物を
真空で蒸発させる。残渣をEtOAcに溶解し、1N HClで洗浄する。有機
相を分離し、MgSO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(CH2Cl2〜CH2Cl2:MeOH 10:1)で精製し
、化合物24を得る。
b)脂質部分の合成
化合物25
塩化オキザリル(1.54mL、2N CH2Cl2溶液)の溶液に、CH2Cl2(
3mL)中のDMSO(277mg、1.5当量)およびCH2Cl2(5mL)中の2−[
2−(2−アジドエトキシ)−エトキシ]エタノールの溶液を、−78°で2分間
隔で添加する。混合物を30分、同温度で撹拌した後、Et3N(1.64mL)を
混合物に−78°で添加し、温度を室温に1時間以内に上昇させる。反応混合物
を氷水に注ぎ、CH2Cl2で抽出する。有機相を1N HClおよび飽和NaH
CO3で連続して洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。粗アルデヒ
ドを更に精製することなく使用する。THF(3mL)およびMeOH(9mL)中の
粗アルデヒドおよび1',3'−ジセチル−L−グルタミン酸p−トルエンスルホ
ン酸塩(500mg、1当量)の溶液に、NaCNBH3(41mg)を0°で添加する
。混合物を0°で1時間撹拌し、温度を室温に18時間以内に上昇させる。溶媒
を真空で蒸発させ、残渣をCH2Cl2に溶解する。溶液を1N HClで洗浄後
、有機相をMgSO4で乾燥させ、真空で蒸発させる。残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(Hex−EtOAc=4:1)に付し、化合物25を得る。
化合物26
MeOH(13mL)、THF(3mL)および1N HCl(1.3mL)中の化合物
25(320mg、0.427mmol)の溶液にPd炭素(99mg)を添加する。混合物
を2日間、水素バルーン下で撹拌する。触媒を濾取し、濾液を真空で蒸発させる
。
残渣に飽和NaHCO3を添加し、混合物をEtOAcで抽出する。有機相をM
gSO4で乾燥させ、真空で蒸発させて化合物26を得る。
sLeX模倣物と脂質の結合
化合物27
CH2Cl2(5mL)中の化合物24(94.6mg、0.113mol)および化合物2
6(81.7mg、1当量)の溶液に、HOBT(23mg、1.5当量)およびEDC(
29mg、1.3当量)を連続して0°で添加する。反応混合物を0°で撹拌し、温
度を室温に20時間以内に上昇させる。反応混合物を真空で蒸発させ、残渣をE
tOAcに溶解する。溶液を飽和NaHCO3で洗浄後、有機相をMgSO4で乾
燥させ、真空で蒸発する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエ
ン:アセトン=1:1)で精製し、化合物27を得る。
実施例45
実施例44と同様の方法に従うが、適当な出発物質を使用して、以下の化合物
が得られ得る。
式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩は薬理活性を示し、従って、医
薬として有用である。特に、それらはE−セレクチンのようなセレクチンをその
表面に含む細胞と、その細胞表面にSLeXを有する好中球またはHL−60細
胞のようなエフェクター細胞、または合成ポリ−SLeX生産物またはポリ−S
Lea生産物の間の接着を阻害する。より具体的に、式Iの化合物は、以下の試
験法で示されるように、sLeXのE−セレクチンへの結合を阻害する:
a)E−セレクチンの可溶性形の製造。κ軽鎖の定常領域(mCκ)に融合したE
−セレクチンの細胞外ドメインをバキュロウイルスシャトルベクターpVL94
1(Invitrogen)に融合し、SF−9細胞中で発現させる。可溶性融合タンパク
質を、セファロースに結合したラット抗マウスCκモノクローナル187.1抗
体を使用したアフィニティークロマトグラフィーにより精製する。
細胞結合検定。HL−60細胞が96ウェルプレートに固定化したE−セレクチ
ンに接着するのを阻害する、式Iの化合物の能力について測定する。ラット抗マ
ウスCκ抗体を96ウェルプレートに添加し(炭酸/炭酸水素緩衝液、pH9.5
中20μg/ml)、一晩4℃でインキュベートする。プレートを、検定緩衝液(1
50mM NaClおよび1mM CaCl2含有20mM HEPES、pH7.
4)中の3%BSAで8時間、室温でブロックし、検定緩衝液で3回洗浄する。
E−セレクチンマウスCκ融合タンパク質(検定緩衝液中10μg/ml)を添加し
、2時間、37℃でまたは一晩、4℃でインキュベートする。プレートを検定緩
衝液で3回洗浄する。次いで、測定する化合物を添加し、15−30分、37℃
で前インキュベートする。検定緩衝液中の1×105標識HL−60細胞を各ウ
ェルに移し、E−セレクチンと30−45分、37℃で接着させる。次いで、プ
レートを穏やかに3−4回検定緩衝液で洗浄し、非結合細胞を除去する。接着細
胞を、蛍光を測定することにより定量する(Cytofluor 2350システム)。
HL−60細胞のBCECF−AMによる蛍光標識:HL−60細胞を、20%
FCS、グルタミンおよび非必須アミノ酸を添加したイスコフ培地で培養する。
実験を行う1日前、細胞を副次培養する(1×106c/ml)。細胞(1×106c
/ml)を、5μg/mlのBCECF−AM(DMSE中のストックから希釈)と共に
、PBS中、37℃で20分インキュベートすることにより標識する。
材料:ELISAプレート:Nunc Immuno Plate Maxi Sorp(439454)
HL−60細胞:ATCCカタログから入手
アフィニティー精製E−セレクチン:E−セレクチンの各バッチを、
検定に使用するのに適当な濃度を決定するために、機能的に試験。
蛍光色素:Molecular Probesから入手可能なビス−カルボキシエチル−
カルボキシフルオレッセインアセトキシメチルエステル(BCECF-AM)
この検定において、式Iの化合物は、HL−60細胞のE−セレクチンへの接
着を、0.3から10mMの濃度で阻害する。実施例12、13および18の化合
物は、HL−60細胞のE−セレクチンへの接着を、10mMの濃度で100%
から80%(後者の2つ)の割合で阻害する。
b)無細胞sLea−ポリマー/E−セレクチン結合検定。ラットハイブリドー
マ細胞系187.1(ATCC)から製造したラット抗マウスCκ抗体(炭酸/炭酸
水素緩衝液、pH9.5中、10μg/ml)で、一晩、4℃でマイクロタイタープ
レートをコートさせる。プレートを2回、検定緩衝液(150mM NaClおよ
び1mM CaCl2含有20mM HEPES、pH7.4)で洗浄し、8時間、
4℃で、検定緩衝液中の3%BSAでブロックし、3回洗浄する。各ウェルに、
E−セレクチンマウスCκ融合タンパク質(検定緩衝液中3μg/ml)を添加し、
続いて一晩4℃でインキュベーションする。sLeaポリマー(1mg/ml)20μl
とストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ80μl、ウシ胎児血清20μlおよ
びCaCl2無しの検定緩衝液80μlを、2時間、37℃でインキュベートする
ことにより、20モル%sLea(=0.81μmol sLea/mgポリマー)含有ビ
オチニル化sLea−ポリマー(ポリアクリルアミド型糖抱合体、Syntesome Gm
bH,Munich,Germany)およびストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ(Boehr
inger Mannheim,Germany)の間に、複合体が形成される(予め形成されたsL
ea−ポリマー/ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼは、4℃で数カ月安定)
。次いで、複合体を3:10,000に検定緩衝液で希釈し、E−セレクチンコ
ートウェルに検定する化合物と共に添加する。複合体を2時間、37℃で結合さ
せ、その後、プレートを2回冷検定緩衝液で洗浄する。ABTSペルオキシダー
ゼ基質(Biorad)溶液をウェルに添加し、反応を10分後に停止させる。結合s
Lea−ポリマー複合体を、405nmの光学密度をマイクロプレートリーダーで
測定することにより測定する。この検定において、式Iの化合物は、sLea−
ポリマー/E−セレクチン結合相互反応を、0.07から10nMの間の濃度で使
用した時に阻害する。
実施例12、13および18の化合物は、SLea−ポリマー/E−セレクチ
ン結合相互作用を、それぞれ、1mM、10mMおよび0.5mMのIC50(50%
阻害)で阻害する。
c)インビボ検定。式Iの化合物は、例えば、Mulligan et al.,Nature,364
:149-151(1993)によるラット/コブラ毒モデル、またはMurohara et al.,Car
diovalcular Research 30,965-974(1995)による心筋虚血/再還流障害のネコ
モデルに記載のような、SLeXインビボ処置の一対一置換体として使用し得る
。式Iの化合物は、これらのモデルで優れた効果を示す。
式Iの化合物は、従って、細胞性接着におけるセレクチン、特にE−セレクチ
ンの結合により媒介される疾病または疾患、例えば、急性または慢性炎症または
関節リューマチ、喘息、アレルギー病、乾癬、接触性皮膚炎、成人呼吸窮迫症候
群、炎症性大腸炎および眼炎症性疾患のような自己免疫疾患、敗血症ショックの
ような感染疾患、外傷ショック、血栓症および異常血小板凝集状態、心臓発作、
再還流障害のような心臓血管疾患、多発性硬化症および転移状態を含む腫瘍性疾
患、発作および器官または組織移植の急性または慢性拒絶反応の処置および/ま
たは予防に有用である。
上記の使用において、必要な投与量は、もちろん、投与形態、処置すべき特定
の状態および望む効果に依存して変化する。しかしながら、一般に、約0.5か
ら80mg/kg動物体重の投与率で充分な結果が得られる。大型哺乳類、例えば、
ヒトについての適当な一日の投与量は、約100mgから1.5g/日の程度とな
り、簡便には、一度に、2から4×/日に分割して、または持続性放出形で投与
する。単位用量形は、好適には、式Iの化合物約25mgから0.750gを、薬
学的に許容される希釈剤または担体と共に含む。
式Iの化合物は、遊離の形または薬学的に許容される塩の形で投与し得る。こ
のような塩は、慣用の方法で製造し得、遊離化合物と同程度の活性を示す。本発
明は、また、遊離塩基の形または薬学的に許容される塩の形の本発明の化合物を
、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物も提供する。この
ような組成物は慣用法で製剤できる。本発明の化合物は、慣用の経路、例えば、
非経口的に、例えば、注射可能溶液または懸濁液の形で、または経鼻または坐薬
の形で投与し得る。
前記に従い、本発明は更に:
a)医薬として使用する本発明の化合物または薬学的に許容される塩;
b)患者に式Iの化合物または薬学的に許容される塩の有効量を投与することを
含む、処置を必要とする患者の、上記の疾病を予防または処置する方法;
c)上記b)の方法に使用する医薬組成物の製造に使用する、本発明の化合物ま
たは薬学的に許容される塩。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 31/35 ADU A61K 31/35 ADU
ADZ ADZ
31/70 ABA 31/70 ABA
C07H 5/04 C07H 5/04
15/04 15/04 C
15/22 15/22
// C07K 9/00 C07K 9/00
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR
,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,
MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S
D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT
,UA,UG,US,UZ,VN
(72)発明者 ワン,チ−ヒューイ
アメリカ合衆国 92067 カリフォルニア
州 ランチョ・サンタ・フェ、ピー・オ
ー・ボックス8154、カレ・デル・アルカザ
ール 6399番
(72)発明者 リン,チュン−チェン
アメリカ合衆国 92037 カリフォルニア
州 サンディエゴ,ノース・トーリー・パ
インズ・ロード 10550番 ビーシーシー
338
(72)発明者 梶本 哲也
埼玉県和光市白子1―29―37 藤ハイム
201