JPH1143540A - 熱硬化性オキセタン組成物 - Google Patents

熱硬化性オキセタン組成物

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JPH1143540A
JPH1143540A JP20341197A JP20341197A JPH1143540A JP H1143540 A JPH1143540 A JP H1143540A JP 20341197 A JP20341197 A JP 20341197A JP 20341197 A JP20341197 A JP 20341197A JP H1143540 A JPH1143540 A JP H1143540A
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Yoshiyuki Miwa
孔之 三輪
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、機械的性質、電気的性質、接着
性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などに優れ、塗料、コー
ティング剤、接着剤、電気絶縁材料、半導体封止材料、
土木建築材料などの用途分野に、エポキシ樹脂の代替品
として有用な新規な硬化物製造用の熱硬化性オキセタン
組成物、該組成物の硬化方法、およびその方法によって
得られる新規な硬化物を提供する。 【解決手段】 本発明は、分子中に1〜4個のオキセタ
ン環を有するオキセタン化合物と分子中に2個以上のカ
ルボキシル基を有するポリカルボン酸と、場合によりさ
らに第四オニウム塩とからなる熱硬化性オキセタン組成
物、該組成物を無溶媒状態下ではオキセタン化合物の融
点またはポリカルボン酸の融点のいずれか低い方の温度
以上、300℃以下の温度で、また、反応溶媒中では5
0〜300℃の温度で、重付加反応および重縮合反応を
行わしめて得られる三次元網目構造を有する新規な硬化
物、および、その製造方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な硬化物製造
用の、オキセタン化合物とポリカルボン酸とを含む熱硬
化性オキセタン組成物、該組成物の硬化方法、およびそ
の方法によって得られる新規な硬化物に関する。さらに
詳しくは、分子中に1〜4個のオキセタン環を有するオ
キセタン化合物と分子中に2個以上のカルボキシル基を
有するポリカルボン酸とを含み、好ましくはこれらの化
合物に加えてさらに第四オニウム塩を含み、加熱するこ
とによって新規な硬化物を製造し得る熱硬化性オキセタ
ン組成物;触媒としての第四オニウム塩の存在下または
不存在下、前記熱硬化性オキセタン組成物を、無溶媒状
態下では前記オキセタン化合物の融点もしくは前記ポリ
カルボン酸の融点のいずれか低い方の温度以上、かつ3
00℃以下の温度に、また、反応溶媒中では50〜30
0℃の温度に加熱して前記オキセタン化合物とポリカル
ボン酸とを重付加反応せしめ、続いて、前記オキセタン
化合物中にもともと存在していたか、もしくは該重付加
反応により側鎖中に生成したヒドロキシメチル基と前記
ポリカルボン酸とを重縮合反応せしめることからなる前
記熱硬化性オキセタン組成物の硬化方法;および該硬化
方法によって製造される新規な硬化物に関する。
【0002】本発明の熱硬化性オキセタン組成物は、熱
および/または第四オニウム塩触媒の作用を受けて分子
間架橋による硬化反応(前記オキセタン化合物とポリカ
ルボン酸との重付加反応、および、前記オキセタン化合
物中にもともと存在していたかもしくは前記重付加反応
により側鎖に生成したヒドロキシメチル基と前記ポリカ
ルボン酸との重縮合反応)を起こし、不溶不融の三次元
網目構造の新規な硬化物を形成することにより、優れた
機械的性質(引張強さ、硬さなど)、電気的性質(電気
絶縁性など)、接着性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性など
を示すものであり、エポキシ樹脂の代替品として、塗料
やコーティング剤、接着剤、電気絶縁材料、ICや超L
SI封止材料、積層板およびその他の電気・電子部品、
コンクリート構造物の補修、新旧コンクリートの打継、
補強鋼板の接着、各種ライニングなどの土木建築用途、
複合材料用途などの分野への使用が大いに期待できる。
【0003】
【従来の技術】4員環の環状エーテル化合物であるオキ
セタンは、炭素−酸素間の結合が分極していることから
高い反応性を示し、ルイス酸などを反応開始剤に用いた
オキセタンの開環重合(S.Inoue and T.Aida,Ring Open
ing Polymerization,K.J.Ivinand T.Saegusa,Eds.,Else
vier,London,1984,Vol.1,pp.185〜298 など参照)や、
トリアルキルアルミニウム−水反応生成物を触媒として
用いたオキシメチルオキセタンのトリメチルシリルエー
テルの開環重合(特開平2−29429号公報参照)な
どが報告されている。
【0004】また最近では、カチオン重合におけるオキ
セタンの高い反応性を利用し、カチオン性光重合開始剤
の存在下での光カチオン重合も報告されている。例え
ば、特開平6−16804号公報には、下記式(I)
【0005】
【化1】 (式中、R1 は、水素原子、フッ素原子、1価の炭化水
素基、1価のフッ素置換炭化水素基などであり、R
2 は、線状または分岐状アルキレン基、線状または分岐
状ポリ(アルキレンオキシ)基、ケイ素含有基、芳香族
環含有炭化水素基などの2〜4価の多価基であり、Z
は、酸素原子または硫黄原子であり、mは、2、3また
は4である)で示される3−置換オキセタンモノマー
と、トリアリールスルホニウム塩などのカチオン性光重
合開始剤との混合物を紫外線に暴露することを特徴とす
る、前記3−置換オキセタンモノマーを含む光硬化性オ
キセタン組成物、これらのオキセタンモノマーの硬化方
法、および該硬化方法によって得られる架橋プロピルオ
キシポリマーが開示されている。
【0006】しかしながら、有機化学反応のなかでオキ
セタン化合物の付加反応を応用した報告例をみると、オ
キセタン化合物とアシルクロライドとの付加反応(K.Sa
to,A.Kameyama and T.Nishikubo,Macromolecules,25
1198(1992)を参照)や、オキセタン化合物と活性エステ
ルとの付加反応(T.Nishikubo and S.Kazuya,Chem.Let
t.,697(1991)を参照)が報告されているにすぎない。
【0007】そして、オキセタン化合物を用いた高分子
の合成を幅広く展開することを目的として、触媒に第四
オニウム塩やクラウンエーテル錯体を用いてビスオキセ
タン化合物とビスアシルハライドとの重付加反応につい
て検討を行った報告も幾つかなされている(文献A「A.
Kameyama,Y.Yamamoto and T.Nishikubo,J.Polym.Sci.,P
art A:Polym.Chem.,31, 1639〜 1641(1993)」および文
献B「A.Kameyama,Y.Yamamoto and T.Nishikubo,Macro
mol.Chem.Phys., 197,1147 〜1157(1996)」などを参
照)。これらの報告例によれば、この重付加反応は、前
記の触媒を用いると穏和な条件下で速やかに進行し、側
鎖に反応性クロロメチル基を有するポリエステルが高収
率で合成できることが明らかにされている。例えば、前
記文献Aには、下記式(II)
【0008】
【化2】
【0009】で示されるビス〔(3−メチル−3−オキ
セタニル)メチル〕テレフタレートと下記式(III)
【0010】
【化3】
【0011】で示されるテレフタル酸ジクロリドとを、
トルエン溶媒中、触媒としてテトラn−ブチルアンモニ
ウムブロマイドを5モル%の濃度で存在せしめ、90℃
で6時間重付加反応させることによって、下記式(IV)
【0012】
【化4】
【0013】で表わされる、側鎖に反応性クロロメチル
基を有するポリエステルが80%の収率で得られること
が開示されている。
【0014】一方、四員環化合物であるオキセタンとカ
ルボン酸との付加反応、特にこれを用いた高分子の合
成、例えばビスオキセタン化合物とジカルボン酸との重
付加反応による側鎖に水酸基を有する可溶性のポリエス
テルの合成に関して、本出願人は、無溶媒状態下、ビス
オキセタン化合物の融点もしくはジカルボン酸の融点の
いずれか低い方の温度以上、かつ300℃以下の温度に
おいて、あるいは、反応溶媒中、50〜300℃の温度
において、前記ビスオキセタン化合物とジカルボン酸と
を第四オニウム塩を触媒として重付加反応せしめること
によって、側鎖に第一級の水酸基(ヒドロキシメチル
基)を有する可溶性の新規なポリエステルが得られるこ
とを先に報告した(特願平8−295295号明細書を
参照)。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、オキセ
タン化合物とカルボン酸との付加反応を応用した高分子
合成の更なる展開として、例えば分子中に1個以上のオ
キセタン環を有するオキセタン化合物とポリカルボン酸
との重付加反応および重縮合反応による三次元網目構造
の熱硬化物を製造することに関する研究報告は未だ皆無
であった。本発明の目的は、優れた機械的性質、電気的
性質、接着性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などを示すこ
とにより、エポキシ樹脂の代替品としての利用が大いに
期待できる新規な硬化物製造用のオキセタン化合物とポ
リカルボン酸と場合によってはさらに第四オニウム塩と
を含む熱硬化性オキセタン組成物、該組成物の硬化方
法、およびその方法によって得られる新規な硬化物を提
供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために、オキセタン環の新しい反応の開発
とその高分子合成への展開を目的として、分子中に1個
以上のオキセタン環を有するオキセタン化合物と分子中
に2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸と
の重付加反応について鋭意検討を重ねた結果、触媒とし
ての第四オニウム塩の存在下または不存在下に、前記オ
キセタン化合物とポリカルボン酸との混合物を、無溶媒
状態下では前記オキセタン化合物の融点もしくは前記ポ
リカルボン酸の融点のいずれか低い方の温度以上、かつ
300℃以下の温度に、また、反応溶媒中では50〜3
00℃の温度に加熱して、前記オキセタン化合物の開環
と該開環部分への前記ポリカルボン酸の重付加反応、な
らびに、前記オキセタン化合物中にもともと存在するか
または前記重付加反応によって生成したヒドロキシメチ
ル基と前記ポリカルボン酸との重縮合反応を同時進行せ
しめることにより、分子間架橋された三次元網目構造を
有する不溶不融の新規な熱硬化物が得られることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
【0017】すなわち、請求項1に記載の第1の発明
は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する化合物
(A)の少なくとも1種と分子中に2個以上のカルボキ
シル基を有する化合物(B)の少なくとも1種とからな
る熱硬化性オキセタン組成物を提供することで達成でき
る。請求項2に記載の第2の発明は、分子中に1〜4個
のオキセタン環を有する化合物(A)の少なくとも1種
と分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物
(B)の少なくとも1種との混合物を加熱することを特
徴とする硬化物の製造方法を、また請求項3に記載の第
3の発明は、分子中に1〜4個のオキセタン環を有する
化合物(A)の少なくとも1種と分子中に2個以上のカ
ルボキシル基を有する化合物(B)の少なくとも1種と
の混合物を加熱して得られる硬化物を、それぞれ、提供
することで達成できる。
【0018】請求項4に記載の第4の発明は、前記第1
の発明に係わる化合物(A)の少なくとも1種および化
合物(B)の少なくとも1種と、第四オニウム塩とを含
んでなる熱硬化性オキセタン組成物を提供することで達
成できる。そして、請求項5に記載の第5の発明は、化
合物(A)の少なくとも1種と化合物(B)の少なくと
も1種との混合物を第四オニウム塩の存在下に加熱する
ことを特徴とする前記第2の発明に係わる硬化物の製造
方法を、請求項6に記載の第6の発明は、前記第3の発
明に係わる化合物(A)の少なくとも1種および化合物
(B)の少なくとも1種と、第四オニウム塩との混合物
を加熱して得られる硬化物を、それぞれ、提供すること
で達成できる。
【0019】また、請求項7に記載の第7の発明は、化
合物(A)の少なくとも1種と化合物(B)の少なくと
も1種との混合物を、無溶媒状態下、該化合物(A)の
融点または該化合物(B)の融点のいずれか低い方の温
度以上、かつ300℃以下の温度に加熱することを特徴
とする前記第2の発明に係わる硬化物の製造方法を、請
求項8に記載の第8の発明は、化合物(A)の少なくと
も1種と化合物(B)の少なくとも1種との混合物を、
反応溶媒中、50〜300℃の温度に加熱することを特
徴とする前記第2の発明に係わる硬化物の製造方法を、
請求項9に記載の第9の発明は、化合物(A)の少なく
とも1種と化合物(B)の少なくとも1種との混合物を
第四オニウム塩の存在下に加熱することを特徴とする前
記第7または第8の発明に係わる硬化物の製造方法を、
それぞれ、提供することで達成できる。
【0020】さらにまた、請求項10に記載の第10の
発明、請求項11に記載の第11の発明および請求項1
2に記載の第12の発明は、それぞれ、第四オニウム塩
がテトラn−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフ
ェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホ
ニウムブロマイドおよびテトラフェニルホスホニウムア
イオダイドからなる群から選ばれる第四ホスホニウム塩
であることを特徴とする、前記第4の発明に係わる熱硬
化性オキセタン組成物、前記第5または第9の発明に係
わる硬化物の製造方法および前記第6の発明に係わる硬
化物を提供することで達成できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明の熱硬化性オキセタン組成物は、分子中に1
〜4個のオキセタン環を有する化合物であるオキセタン
化合物(A)の少なくとも1種と、分子中に2個以上の
カルボキシル基を有する化合物であるポリカルボン酸
(B)の少なくとも1種との混合物、または、前記オキ
セタン化合物(A)の少なくとも1種と前記ポリカルボ
ン酸(B)の少なくとも1種と第四オニウム塩との混合
物であり、後述する硬化方法によって本発明の新規な硬
化物を製造し得るものである。
【0022】そこでまず、本発明の熱硬化性オキセタン
組成物の一成分である前記オキセタン化合物(A)につ
いて述べる。本発明に用いられる前記オキセタン化合物
(A)は、上述したように、分子中に1〜4個のオキセ
タン環を有する化合物である。分子中に1個のオキセタ
ン環を有する化合物は、下記一般式(V)
【0023】
【化5】
【0024】(ただし、式中、R3 は、水素原子または
1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を示す)で表わ
される化合物である。1〜6個の炭素原子を有するアル
キル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル
基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基
およびイソヘキシル基などの直鎖または分岐鎖のアルキ
ル基が挙げられる。分子中に1個のオキセタン環を有す
る化合物としては、前記一般式(V)においてR3 が水
素原子である3−ヒドロキメチルオキセタン、R3 がメ
チル基である3−メチル−3−ヒドロキメチルオキセタ
ンおよびR3 がエチル基である3−エチル−3−ヒドロ
キシメチルオキセタンの使用が好ましく、これらの中で
も3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンおよび
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンの使用が
特に好ましい。
【0025】一方、分子中に2個のオキセタン環を有す
る化合物は、下記一般式(VI)
【0026】
【化6】
【0027】(式中、R4 は、前記一般式(V)におけ
るR3 と同様の基であり、R5 は、エチレン基、トリメ
チレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,2−
ブチレン基、1,3−ブチレン基、2,3−ブチレン
基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチ
レン基などの1〜12個の炭素原子を有する線状または
分岐状アルキレン基、プロペニレン基、メチルプロペニ
レン基、ブテニレン基などの1〜12個の炭素原子を有
する線状または分岐状不飽和炭化水素基、下記一般式
(VII)
【0028】
【化7】 で示される芳香族炭化水素基、下記一般式(VIII)
【0029】
【化8】 で示される芳香族炭化水素基、下記式
【0030】
【化9】 で示されるカルボニル基、下記一般式(IX)
【0031】
【化10】 で示されるカルボニル基を含むアルキレン基、下記式
【0032】
【化11】 などで示されるカルボニル基含有脂環式炭化水素基、下
記式
【0033】
【化12】 などで示されるカルボニル基含有芳香族炭化水素基およ
び下記一般式(X)
【0034】
【化13】
【0035】で示される基からなる群から選択される2
価の原子価を持つ基である。そして、R6 は、水素原
子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基
およびtert−ブチル基などの1〜4個の炭素原子を
有する直鎖または分岐鎖のアルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ
基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基およびter
t−ブトキシ基などの1〜4個の炭素原子を有するアル
コキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ
素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メル
カプト基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、プロポキシカルボニル基およびブトキシカルボニル
基などの炭素原子数1〜4の低級アルキルカルボキシレ
ート基、カルボキシル基、カルバモイル基、ならびにメ
チルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、プロピル
カルバモイル基およびブチルカルバモイル基などの炭素
原子数1〜4のN−アルキルカルバモイル基からなる群
から選ばれる原子価が1の基であり、R7 は、O、S、
CH2 、NH、SO、SO2 、C(CF3)2 またはC
(CH3)2 である。またYは、場合により置換された1
〜12個の炭素原子を有する線状または分岐状アルキレ
ン基、下記式
【0036】
【化14】 あるいは
【化15】 で示される基など、場合により置換された原子価2の脂
環式炭化水素基、または下記式
【0037】
【化16】
【0038】あるいは
【化17】 で示される基などの場合により置換されたアリーレン基
であり、kは、1〜20の整数である)で表わされるビ
スオキセタンである。
【0039】本発明における分子中に2個のオキセタン
環を有する化合物としては、前記一般式(VI)におい
て、R4 が低級アルキル基のものが好ましく、メチル基
およびエチル基のものがより好ましい。そして、前記一
般式(VI)におけるR5 としては、1〜12個の炭素原
子を有する線状アルキレン基のものや、前記一般式(VI
I)で示される原子価が2の芳香族炭化水素基のものが好
ましく、ヘキサメチレン基、前記一般式(VII)において
6 が水素原子である基のものがより好ましい。したが
って、上記の分子中に2個のオキセタン環を有する化合
物の好ましい具体例としては、下記式(1)〜(7)で
示されるビスオキセタンなどが挙げられる。
【0040】
【化18】
【0041】つまり、式(1)〜(4)で示される化合
物は、前記一般式(VI)において、R4 がエチル基であ
り、R5 が、それぞれ、エチレン基、テトラメチレン
基、ヘキサメチレン基およびオクタメチレン基であるビ
スオキセタンである。式(5)で示される化合物は、前
記一般式(VI)において、R4 がエチル基、R5 が前記
一般式(VII)でR6 が水素原子であるビスオキセタンで
ある。また、式(6)で示される化合物は、前記一般式
(VI)において、R4 がエチル基、R5 がカルボニル基
であるビスオキセタンである。そして、式(7)で示さ
れる化合物は、前記一般式(VI)において、R4 がエチ
ル基、R5 が式
【0042】
【化19】 で示されるカルボニル基含有芳香族炭化水素基であるビ
スオキセタンである。
【0043】本発明に用いられる分子中に3または4個
のオキセタン環を有する化合物は、下記一般式(XI)
【0044】
【化20】
【0045】(式中、R8 は、前記一般式(V)におけ
るR3 と同様の基であり、R9 は、炭化水素基、置換さ
れた炭化水素基、下記一般式(XII)
【0046】
【化21】 で示される基、および下記一般式(XIII)
【0047】
【化22】
【0048】で示される基からなる群より選択される原
子価が3または4の多価基であり、nは、3もしくは4
である。なお、上記一般式(XII)および一般式(XIII)
において、Z1 およびZ2 は、いずれも場合により置換
されている原子価が3または4の脂肪族、脂環式または
芳香族炭化水素基であり、pおよびqは、共に3もしく
は4である)で表わされる化合物である。
【0049】前記3または4価の炭化水素基、あるい
は、置換された3または4価の炭化水素基としては、下
記式(8)〜(10)で示される多価基などの炭素原子
数1〜12の分岐状アルキレン基を例示することができ
る。
【0050】
【化23】
【0051】上記式(8)において、R10は、水素原
子、またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブ
チル基あるいはtert−ブチル基などの1〜4個の炭
素原子を有する低級アルキル基である。
【0052】また、前記一般式(XII)において、場合に
より置換されている3または4価の炭化水素基であるZ
1 としては、下記式
【0053】
【化24】
【0054】で示される3価の芳香族炭化水素基を挙げ
ることができる。さらにまた、前記一般式(XIII)にお
いて、場合により置換されている3または4価の炭化水
素基であるZ2 としては、下記式
【0055】
【化25】
【0056】あるいは
【化26】 で示される3価の脂環式または芳香族炭化水素基を挙げ
ることができる。
【0057】そして、本発明に用いられる分子中に3ま
たは4個のオキセタン環を有する化合物として、具体的
には、前記一般式(XI)において、R8 が低級アルキル
基であり、R9 が前記式(8)で示される原子価が3で
炭素原子数1〜12の分岐状アルキレン基や、前記一般
式(XII)で示される基であるものが好ましい。さらに
は、前記一般式(XI)において、R8 がエチル基であ
り、R9 が、前記式(8)でR10がエチル基であるも
の、または、前記一般式(XII)でZ1 が下記式
【0058】
【化27】 で示される芳香族炭化水素基、かつpが3であるものが
より好ましい。
【0059】本発明に用いられる上述したような分子中
に1〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)は、次
のようにして製造され得る。例えば、前記一般式(V)
で示される分子中に1個のオキセタン環を有する化合物
は、下記式(11)のように、パティソン(Pattison)
(J.Am.Chem.Soc.,1957,79を参照)の方法により、
1,3−ジオールから合成することができる。
【0060】
【化28】
【0061】具体的には、前記一般式(V)においてR
3 がエチル基である3−エチル−3−ヒドロキシメチル
オキセタンは、トリメチロールプロパンと炭酸ジエチル
から上記パティソンの方法により得られる。
【0062】前記一般式(VI)において、R5 が1〜1
2個の炭素原子を有する線状または分岐状アルキレン
基、1〜12個の炭素原子を有する線状または分岐状不
飽和炭化水素基、あるいは前記一般式(VIII)で示され
る芳香族炭化水素基である分子中に2個のエーテル基を
含むビスオキセタン化合物は、前述のパティソンの方法
により合成された3−エチル−3−ヒドロキシメチルオ
キセタンと、ジハライドとから、下記化学式(12)の
ように合成することができる。
【0063】
【化29】
【0064】前記の化学式(12)において、R5aは、
1〜12個の炭素原子を有する線状または分岐状アルキ
レン基、1〜12個の炭素原子を有する線状または分岐
状不飽和炭化水素基、あるいは前記一般式(VIII)で示
される芳香族炭化水素基であり、X1 は、臭素原子、塩
素原子またはヨウ素原子である。また、前記一般式(V
I)において、R5 が、前記一般式(IX)でkが1〜6
の整数であるカルボニル基を含むアルキレン基または前
述の式
【0065】
【化30】 などで示されるカルボニル基含有芳香族炭化水素基であ
る分子中に2個のエステル基を含むビスオキセタン化合
物は、前述のパティソンの方法により合成された3−エ
チル−3−ヒドロキシメチルオキセタンと、ジエステル
化合物とから、米国特許第3278554号明細書に記
載されているように、エステル交換反応を用いて次式
(13)のように調製することができる。
【0066】
【化31】
【0067】なお、前記式(13)において、R11は、
1〜6個の炭素原子を有する線状または分岐状アルキレ
ン基、または下記式
【0068】
【化32】
【0069】で示される芳香族炭化水素基であり、R12
は、場合により置換された脂肪族、脂環式あるいは芳香
族炭化水素基である。また、前記一般式(XI)におい
て、nが3または4である、すなわち、分子中に3また
は4個のオキセタン環を有する化合物は、前述のビスオ
キセタン化合物と同様にして調製することができる。例
えば、前記式(12)においてR5aが3または4個の置
換可能基Aを含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基で
あるときに、適当な前記一般式(XI)で表わされる化合
物が合成され得る。
【0070】本発明では、前記熱硬化性オキセタン組成
物を構成する分子中に1〜4個のオキセタン環を有する
化合物(A)として、前述の分子中に1個のオキセタン
環を有する化合物、分子中に2個のオキセタン環を有す
るビスオキセタン化合物、あるいは分子中に3または4
個のオキセタン環を有する化合物から選ばれる1種類が
単独使用されてもよく、また、これらの2種類以上が併
用されたものであってもよい。
【0071】一方、本発明の熱硬化性オキセタン組成物
のもう一つの構成成分である前記ポリカルボン酸(B)
は、前述したように、分子中に2個以上のカルボキシル
基を有する化合物である。分子中に2個のカルボキシル
基を有する化合物であるジカルボン酸としては、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウ
ンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラ
デカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オ
クタデカン二酸、ノナデカン二酸およびエイコサン二酸
などの2〜20個の炭素原子を有する直鎖脂肪族飽和ジ
カルボン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、n−プ
ロピルマロン酸、n−ブチルマロン酸、メチルコハク
酸、エチルコハク酸および1,1,3,5−テトラメチ
ルオクチルコハク酸などの3〜20個の炭素原子を有す
る分岐鎖脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル
酸、シトラコン酸、γ−メチルシトラコン酸、メサコン
酸、γ−メチルメサコン酸、イタコン酸およびグルタコ
ン酸などの直鎖または分岐鎖脂肪族不飽和ジカルボン
酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、下記式
【0072】
【化33】
【0073】でそれぞれ示されるメチルヘキサヒドロフ
タル酸、メチルヘキサヒドロイソフタル酸およびメチル
ヘキサヒドロテレフタル酸、シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸、シクロヘキセン−1,6−ジカルボン
酸、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸およびシク
ロヘキセン−4,5−ジカルボン酸などのテトラヒドロ
フタル酸、シクロヘキセン−1,3−ジカルボン酸、シ
クロヘキセン−1,5−ジカルボン酸およびシクロヘキ
セン−3,5−ジカルボン酸などのテトラヒドロイソフ
タル酸、シクロヘキセン−1,4−ジカルボン酸および
シクロヘキセン−3,6−ジカルボン酸などのテトラヒ
ドロテレフタル酸、1,3−シクロヘキサジエン−1,
2−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−1,
6−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−2,
3−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−5,
6−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,
2−ジカルボン酸および1,4−シクロヘキサジエン−
1,6−ジカルボン酸などのジヒドロフタル酸、1,3
−シクロヘキサジエン−1,3−ジカルボン酸および
1,3−シクロヘキサジエン−3,5−ジカルボン酸な
どのジヒドロイソフタル酸、1,3−シクロヘキサジエ
ン−1,4−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエ
ン−2,5−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエ
ン−1,4−ジカルボン酸および1,4−シクロヘキサ
ジエン−3,6−ジカルボン酸などのジヒドロテレフタ
ル酸、下記式
【0074】
【化34】
【0075】で示されるメチルテトラヒドロフタル酸、
エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、エンドシス−ビ
シクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカ
ルボン酸(商品名:ナジック酸)およびメチル−エンド
シス−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2,
3−ジカルボン酸(商品名:メチルナジック酸)などの
飽和または不飽和脂環式ジカルボン酸、下記式
【0076】
【化35】
【0077】で表わされるクロレンディック酸、フタル
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、3−メチルフタル
酸、3−エチルフタル酸、3−n−プロピルフタル酸、
3−イソプロピルフタル酸、3−n−ブチルフタル酸、
3−イソブチルフタル酸、3−sec−ブチルフタル酸
および3−tert−ブチルフタル酸などの3−アルキ
ルフタル酸、4−メチルフタル酸、4−エチルフタル
酸、4−n−プロピルフタル酸、4−イソプロピルフタ
ル酸、4−n−ブチルフタル酸、4−イソブチルフタル
酸、4−sec−ブチルフタル酸および4−tert−
ブチルフタル酸などの4−アルキルフタル酸、2−メチ
ルイソフタル酸、2−エチルイソフタル酸、2−n−プ
ロピルイソフタル酸、2−イソプロピルイソフタル酸、
2−n−ブチルイソフタル酸、2−イソブチルイソフタ
ル酸、2−sec−ブチルイソフタル酸および2−te
rt−ブチルイソフタル酸などの2−アルキルイソフタ
ル酸、4−メチルイソフタル酸、4−エチルイソフタル
酸、4−n−プロピルイソフタル酸、4−イソプロピル
イソフタル酸、4−n−ブチルイソフタル酸、4−イソ
ブチルイソフタル酸、4−sec−ブチルイソフタル酸
および4−tert−ブチルイソフタル酸などの4−ア
ルキルイソフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−エ
チルイソフタル酸、5−n−プロピルイソフタル酸、5
−イソプロピルイソフタル酸、5−n−ブチルイソフタ
ル酸、5−イソブチルイソフタル酸、5−sec−ブチ
ルイソフタル酸および5−tert−ブチルイソフタル
酸などの5−アルキルイソフタル酸、メチルテレフタル
酸、エチルテレフタル酸、n−プロピルテレフタル酸、
イソプロピルテレフタル酸、n−ブチルテレフタル酸、
イソブチルテレフタル酸、sec−ブチルテレフタル酸
およびtert−ブチルテレフタル酸などのアルキルテ
レフタル酸、ナフタリン−1,2−ジカルボン酸、ナフ
タリン−1,3−ジカルボン酸、ナフタリン−1,4−
ジカルボン酸、ナフタリン−1,5−ジカルボン酸、ナ
フタリン−1,6−ジカルボン酸、ナフタリン−1,7
−ジカルボン酸、ナフタリン−1,8−ジカルボン酸、
ナフタリン−2,3−ジカルボン酸、ナフタリン−2,
6−ジカルボン酸、ナフタリン−2,7−ジカルボン
酸、アントラセン−1,3−ジカルボン酸、アントラセ
ン−1,4−ジカルボン酸、アントラセン−1,5−ジ
カルボン酸、アントラセン−1,9−ジカルボン酸、ア
ントラセン−2,3−ジカルボン酸およびアントラセン
−9,10−ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、
および、2,2’−ビス(カルボキシフェニル)ヘキサ
フルオロプロパンなどを具体的に挙げることができる。
また本発明では、ジカルボン酸として上記の他に、下記
一般式(XIV)
【0078】
【化36】
【0079】(ただし、式中、R13は、O、S、SO、
SO2 、CH2 、C(CH3)2 あるいはC(CF3)2
ある)で示されるジカルボン酸を挙げることができ、具
体的には、前記一般式(XIV)においてR13がSO2 であ
る4,4’−スルホニルジ安息香酸を挙げることができ
る。
【0080】分子中に3個以上のカルボキシル基を有す
るポリカルボン酸としては、トリカルバリル酸、クエン
酸、イソクエン酸およびアコニット酸などの脂肪族トリ
カルボン酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸およびトリメ
シン酸などの芳香族トリカルボン酸、1,2,3,4−
ブタンテトラカルボン酸などの4〜13個の炭素原子を
有する脂肪族テトラカルボン酸、下記式
【0081】
【化37】
【0082】で示されるマレイン化メチルシクロヘキセ
ンテトラカルボン酸などの脂環式テトラカルボン酸、メ
ロファン酸、プレーニト酸、ピロメリト酸およびベンゾ
フェノンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン
酸、ヘキサヒドロメリト酸、ベンゼンペンタカルボン
酸、および、メリト酸などを挙げることができる。本発
明においては、これらポリカルボン酸(B)の中でも、
アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロ
フタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテ
レフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
4−メチルフタル酸、4−エチルフタル酸、ナフタリン
−2,6−ジカルボン酸、トリメリト酸およびピロメリ
ト酸などの使用が好ましい。
【0083】ところで、本発明では、前述の分子中に1
〜4個のオキセタン環を有する化合物(A)の少なくと
も1種と、前述の分子中に2個以上のカルボキシル基を
有する化合物、すなわち、ポリカルボン酸(B)の少な
くとも1種との混合物を少なくとも含んでなる熱硬化性
オキセタン組成物を、後述する方法で加熱することによ
って硬化反応を行わしめ、硬化物を製造するのである。
この硬化反応は、前述したように、前記化合物(A)と
前記化合物(B)との重付加反応、および、前記化合物
(A)中にもともと存在していたかまたは前記重付加反
応により生成したヒドロキシメチル基と前記化合物
(B)との重縮合反応が同時進行することによって達成
され得る。前記重付加反応は、下記反応式(14)〜
(16)に示したように、前記化合物(A)中に含まれ
るオキセタン環の開環と該開環部分への前記化合物
(B)の付加重合によって進行するが、該反応は、前記
化合物(A)中に含まれるオキセタン環1個に対して、
前記化合物(B)中に含まれるカルボキシル基1個が反
応する形で行われる。そして、前記化合物(A)として
分子中に1個のオキセタン環を有する化合物を使用した
場合は、該化合物中に含まれるオキセタン環1個に対し
て、該化合物中にもともと含まれていたヒドロキシメチ
ル基1個と前記反応により新たに側鎖に生成したヒドロ
キシメチル基1個との合計2個のヒドロキシメチル基が
生成する。また、前記化合物(A)として分子中に2な
いし4個のオキセタン環を有する化合物を使用した場合
は、該化合物中に含まれるオキセタン環1個に対して1
個の割合で側鎖にヒドロキシメチル基が生成する。
【0084】
【化38】
【0085】
【化39】
【0086】
【化40】
【0087】一方、前記重縮合反応は、下記反応式(1
7)〜(19)に示したように、前記化合物(A)中に
もともと存在していたか、あるいは前記重付加反応によ
って側鎖に新たに生成したヒドロキシメチル基1個に対
して、前記化合物(B)中に含まれるカルボキシル基1
個が反応する形で行われる。
【0088】
【化41】
【0089】
【化42】
【0090】
【化43】
【0091】なお、前記反応式(14)〜(19)にお
いて、R3 は前記一般式(V)におけるR3 と同様の基
であり、R4 およびR5 は、それぞれ、前記一般式(V
I)におけるR4 およびR5 と同様の基であり、R8
よびR9 は、それぞれ、前記一般式(XI)におけるR8
およびR9 と同様の基であり、nは前記一般式(XI)に
おけるnと同じ意味を表わす。
【0092】前記重付加反応と重縮合反応が同時進行で
行われる熱硬化性オキセタン組成物の硬化反応全体から
みると、前記化合物(A)中に含まれるオキセタン環お
よび/またはヒドロキシメチル基の1個、すなわち、1
当量当たり前記化合物(B)中に含まれるカルボキシル
基1個、すなわち、1当量が反応することになる。した
がって、前記化合物(A)として分子中に1個のオキセ
タン環を有する化合物を使用した場合は、該化合物1モ
ルに対して前記化合物(B)中に含まれるカルボキシル
基3個が、そして、前記化合物(A)として分子中に2
ないし4個のオキセタン環を有する化合物を使用した場
合は、該化合物中に含まれるオキセタン環1個に対して
前記化合物(B)中に含まれるカルボキシル基2個が反
応することになる。
【0093】そこで、前記化合物(B)の1分子当たり
に含まれるカルボキシル基数をn1として、前記化合物
(A)に対する前記化合物(B)の化学量論量、すなわ
ち、前記化合物(A)の1モル当たりに必要とされる前
記化合物(B)のモル数を求めると、以下のようにな
る。例えば、前記化合物(A)として分子中に1個のオ
キセタン環を有する化合物を使用した場合、該化合物1
モル当たり1個のオキセタン環が含まれる。したがっ
て、n1 ≧2であることから、前記反応式(14)およ
び(17)で示される硬化反応においては、前記化合物
(A)1モル当たり(2n1 −3)個のカルボキシル
基、すなわち、(2n1 −3)/n1 モルの前記化合物
(B)が余ることになるが、これら余剰の化合物(B)
中のカルボキシル基は、前記化合物(A)と前記化合物
(B)との更なる重付加反応や重縮合反応に関与するこ
とになる。そして、前記硬化反応において、前記化合物
(A)1モル当たり、最終的に3/n1 モルの前記化合
物(B)が消費されることになるため、前記化合物
(A)に対する前記化合物(B)の化学量論量(N1)
は、下記数式(I)
【0094】
【数1】
【0095】で表わされ得る。具体的には、前記化合物
(B)がn1 =2のジカルボン酸であるとき、前記化合
物(A)に対する前記化合物(B)の化学量論量(N1)
は上記数式(I)より求めると1であるから、前記化合
物(A)と前記化合物(B)とは、理論的には等モル量
で使用すればよい。また、前記化合物(A)として分子
中にn0 (ただし、n0 は2、3または4である)個の
オキセタン環を有する化合物を使用した場合、該化合物
1モル当たりにn0 個のオキセタン環が含まれる。した
がって、前記反応式(15)および(18)もしくは前
記反応式(16)および(19)で示される硬化反応、
すなわち、重付加反応と重縮合反応が進行する際に、前
記化合物(A)1モル当たりn0 ×(n1 −2)個のカ
ルボキシル基、すなわち、n0 ×(n1 −2)/n1
ルの前記化合物(B)が余ることになるが、これら余剰
の化合物(B)中のカルボキシル基は、前記化合物
(A)と前記化合物(B)との更なる重付加反応や重縮
合反応に関与することになる。そして、前記硬化反応で
は、前記化合物(A)中に含まれるオキセタン環1個に
対して前記化合物(B)中に含まれるカルボキシル基2
個が反応することになるから、前記化合物(A)の1モ
ル当たり、最終的に2n0 /n1 モルの前記化合物
(B)が消費されることになる。よって、前記化合物
(A)に対する前記化合物(B)の化学量論量(N2)
は、下記数式(II)
【0096】
【数2】
【0097】で表わされ得る。具体的には、前記化合物
(A)がn0 =2のビスオキセタン、かつ前記化合物
(B)がn1 =2のジカルボン酸であるとき、上記数式
(II)より求められる前記化合物(A)に対する前記化
合物(B)の化学量論量(N2)が2であるから、理論的
には、前記化合物(A)1モルに対して前記化合物
(B)を2モル使用すればよい。前記化合物(A)がn
0 =2のビスオキセタン、かつ前記化合物(B)がn1
=3のトリカルボン酸であるときは、上記数式(II)よ
り求められる前記化合物(A)に対する前記化合物
(B)の化学量論量(N2)が2/3であるから、理論的
には、前記化合物(A)1モルに対して2/3モルの前
記化合物(B)を使用すればよい。また、前記化合物
(A)がn0 =3のオキセタン化合物であり、かつ前記
化合物(B)がn1 =2のジカルボン酸であるときは、
上記数式(II)より求められる前記化合物(A)に対す
る前記化合物(B)の化学量論量(N2)が3であるか
ら、理論的には、前記化合物(A)1モルに対して前記
化合物(B)3モルを使用すればよい。さらにまた、前
記化合物(A)がn0 =4のオキセタン化合物であり、
かつ前記化合物(B)がn1 =2のジカルボン酸である
ときは、上記数式(II)より求められる前記化合物
(A)に対する前記化合物(B)の化学量論量(N2)が
4であるから、理論的には、前記化合物(A)1モルに
対して前記化合物(B)4モルを使用すればよいことに
なる。なお、本発明においては、前述したように、オキ
セタン化合物(A)中に含まれるオキセタン環の数(n
0)は、使用されるオキセタン化合物(A)の種類によっ
て2、3または4の値をとり得、そして、前記化合物
(B)の1分子当たりに含まれるカルボキシル基数(n
1)は、使用される前記化合物(B)の種類によって2以
上の値をとり得るが、前記範囲内でとり得る任意のn1
の値に対して前記数式(I)により求められるN1
値、あるいは、前記範囲内でとり得る任意のn0 または
1 の値に対して前記数式(II)により求められるN2
の値が0または負の値となる場合、前記化合物(A)1
モルに対して等モル量の前記化合物(B)を使用すれば
よい。
【0098】以上述べた如く、本発明における前記化合
物(A)に対する前記化合物(B)の化学量論量は、前
記化合物(A)中に含まれるオキセタン環1当量に対し
て前記化合物(B)中に含まれるカルボキシル基が2当
量、そして前記化合物(A)中にヒドロキシメチル基が
含まれる場合は、さらに、該ヒドロキシメチル基1当量
に対して前記化合物(B)中に含まれるカルボキシル基
が1当量となるような量であるが、本発明では、前記化
合物(A)に対し、上記化学量論量の0.5〜2倍量、
好ましくは0.7〜1.5倍量の前記化合物(B)を使
用することが望ましい。前記化合物(B)の使用量が前
記化学量論量の0.5倍より少ないと、前記化合物
(A)と前記化合物(B)との重付加反応および重縮合
反応が十分進行せず硬化物の分子量が十分増加しないた
め、優れた機械的性質、電気的性質、接着性、耐熱性、
耐湿性、耐薬品性などを示す本発明の目的硬化物が得ら
れない。また、前記化合物(B)の使用量が前記化学量
論量の2倍を越えると、得られた硬化物中に前記化合物
(B)が未反応のまま大量に残存することになるので好
ましくない。
【0099】すなわち、本発明の一つの態様である熱硬
化性オキセタン組成物は、前述したように、前記分子中
に1〜4個のオキセタン環を有する化合物であるオキセ
タン化合物(A)の少なくとも1種と、前記分子中に2
個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸(B)
の少なくとも1種とを上述したような割合で配合してな
る混合物である。
【0100】次に、本発明のもう一つの態様である硬化
方法は、上記熱硬化性オキセタン組成物を加熱し、熱硬
化させることを特徴とするものであり、詳細は、以下に
述べる通りである。本発明において、前記オキセタン化
合物(A)中に含まれるオキセタン環の開環と該開環部
分への前記ポリカルボン酸(B)の重付加反応(以下単
に「前記化合物(A)と前記化合物(B)との重付加反
応」という)、および、前記オキセタン化合物(A)中
にもともと存在するかもしくは前記重付加反応によって
側鎖に生成したヒドロキシメチル基と前記ポリカルボン
酸(B)との重縮合反応(以下単に「前記化合物(A)
と前記化合物(B)との重縮合反応」という)は、無溶
媒状態下または反応溶媒中で行われる。反応溶媒を用い
る場合、前記化合物(A)と前記化合物(B)との重付
加反応が後述するように高温下で行われるため、本発明
の反応溶媒は、高沸点であることが望ましく、さらに前
記化合物(A)および/または前記化合物(B)を溶解
もしくは膨潤する作用を有し、かつ、これら化合物
(A)および化合物(B)と反応性を有しないものが用
いられ得る。
【0101】上記反応溶媒としては、N,N−ジメチル
ホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミ
ド(DMAC)およびヘキサメチルリン酸トリアミド
(HMPA)などのアミド化合物、ジエチレングリコー
ルエチルエーテル、ジグライム(ジエチレングリコール
ジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリ
コールジメチルエーテル)、アニソールおよびフェネト
ールなどのエーテル化合物、o−ジクロロベンゼン、m
−ジクロロベンゼンおよび3,4−ジクロロトルエンな
どのハロゲン化芳香族炭化水素、ニトロベンゼン、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、テトラメ
チル尿素およびN−メチル−2−ピロリドン(NM
P)、あるいはこれらの溶媒の2種以上の混合物など、
無極性もしくは極性の低い溶媒から極性の高い溶媒まで
種々の溶媒を好適に用いることができるが、これらの中
でもDMF、DMAC、HMPA、DMSOおよびNM
Pなどの使用が好ましい。
【0102】反応溶媒の使用量は、前記化合物(A)お
よび/または前記化合物(B)を溶解もしくは膨潤する
に足る量以上であればよく、使用される反応溶媒の種類
はもちろんのこと、前記化合物(A)や前記化合物
(B)の仕込み量、後述する触媒の種類と使用量、反応
温度および反応時間などの重付加反応および重縮合反応
の条件、さらには、これらの反応に際して、前記化合物
(A)および/または前記化合物(B)を反応溶媒中に
溶解するのか、それとも反応溶媒で膨潤するのかにより
異なるので、一概に規定することは困難である。したが
って、例えば、前記反応溶媒としてHMPA、DMS
O、DMACおよびNMPなどの極性溶媒を使用する場
合、反応溶媒の使用量は、前記オキセタン化合物(A)
の1〜10倍量(容量/重量比)が好ましい。該使用量
が1倍量未満では、前記化合物(A)および/または前
記化合物(B)の上記極性反応溶媒への溶解が十分では
なく、反応が不均一系で進行するようになるので、均一
な重付加反応や重縮合反応が行われず、得られる硬化物
の品質にばらつきが生じることがある。一方、10倍量
を越える上記極性反応溶媒を使用しても、前記化合物
(A)および/または前記化合物(B)を溶解もしくは
膨潤して重付加反応や重縮合反応を均一系で進行せしめ
るという反応溶媒の効果はすでに達成されてしまってい
るので、それ以上の効果は期待できないばかりか、所望
により硬化物から反応溶媒を除去・回収することが必要
となる場合は、反応溶媒の反応系からの回収に必要以上
のエネルギーを消費するなど、採算上好ましくない。
【0103】また、本発明の硬化方法において、前記化
合物(A)と前記化合物(B)との重付加反応および重
縮合反応は、触媒としての第四オニウム塩の存在下また
は不存在下に行われ得る。該触媒は、前記反応式(1
4)〜(19)に示したような前記化合物(A)と前記
化合物(B)との重付加反応および重縮合反応による三
次元網目構造を有する不溶不融の新規な硬化物の生成を
促進する作用を有するものである。
【0104】本発明の硬化方法における触媒の第四オニ
ウム塩は、下記一般式(XV)
【0105】
【化44】
【0106】(式中、R14〜R20は、互いに同一でも異
なっていてもよい水素原子、ヒドロキシアルキル基、ア
ルキル基、アリール基またはアルアルキル基を表わし、
これらがアルキル基もしくはアルアルキル基である場合
は、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状または環状の炭化
水素基である。M1 は、窒素原子、リン原子、砒素原子
またはアンチモン原子を表わし、M2 は、酸素原子、硫
黄原子、セレン原子または錫原子を表わし、そしてM3
は、ヨウ素原子を表わす。またX2 は、ハロゲン原子、
水酸基、アルコキシド、炭酸基、重炭酸基、リン酸二水
素基および重硫酸基からなる群より選ばれる1価の陰イ
オンを表わす)で示される化合物である。
【0107】具体的には、前記一般式(XV)において、
1 が窒素原子である場合のアンモニウム化合物、M1
がリン原子である場合のホスホニウム化合物、M1 が砒
素原子である場合のアルソニウム化合物、M1 がアンチ
モン原子である場合のスチボニウム化合物、M2 が酸素
原子である場合のオキソニウム化合物、M2 が硫黄原子
である場合のスルホニウム化合物、M2 がセレン原子で
ある場合のセレノニウム化合物、M2 が錫原子である場
合のスタンノニウム化合物、そして、M3 がヨウ原子で
ある場合のヨードニウム化合物などが挙げられる。そし
て、上記のアンモニウム化合物の具体例として、テトラ
n−ブチルアンモニウムクロライド(TBAC)、テト
ラn−ブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)およ
びテトラn−ブチルアンモニウムアイオダイド(TBA
I)などのテトラn−ブチルアンモニウムハライド(T
BAX)が挙げられる。また、上記のホスホニウム化合
物の具体例としては、テトラn−ブチルホスホニウムク
ロライド(TBPC)、テトラn−ブチルホスホニウム
ブロマイド(TBPB)およびテトラn−ブチルホスホ
ニウムアイオダイド(TBPI)などのテトラn−ブチ
ルホスホニウムハライド(TBPX)およびテトラフェ
ニルホスホニウムクロライド(TPPC)、テトラフェ
ニルホスホニウムブロマイド(TPPB)およびテトラ
フェニルホスホニウムアイオダイド(TPPI)などの
テトラフェニルホスホニウムハライド(TPPX)など
が挙げられる。
【0108】本発明の硬化方法では、上述した第四オニ
ウム塩触媒の中でも、TBAC、TBABおよひTBA
IなどのTBAX、TBPC、TBPBおよびTBPI
などのTBPX、および、TPPC、TPPBおよびT
PPIなどのTPPXなどのアンモニウム化合物やホス
ホニウム化合物の使用が好ましく、耐熱性に優れたTB
PXやTPPXなどのホスホニウム化合物の使用が特に
好ましい。なお、本発明の硬化方法においては、触媒と
して上記第四オニウム塩の中から選ばれる2種以上を混
合して用いてもかまわない。
【0109】前記重付加反応および重縮合反応に必要と
される上述の第四オニウム塩触媒の量は、前記化合物
(A)や前記化合物(B)の仕込み量、無溶媒状態下で
前記重付加反応および重縮合反応を行うか否か、反応溶
媒を使用した場合は反応溶媒の種類および使用量、反応
温度、反応圧力および反応時間などの重付加反応および
重縮合反応の条件などによって異なり、一概に限定でき
ないが、本発明の硬化方法における触媒の使用量は、前
記オキセタン化合物(A)に対して30モル%以下、好
ましくは2〜20モル%が好適である。触媒の使用量を
前記化合物(A)に対して30モル%より多くしても、
該触媒を多量に用いることによる好ましい反応促進効果
の向上はほとんど認められないので、経済性の面からは
好ましくない。なお、触媒の使用量が前記化合物(A)
に対して2モル%未満では、前記化合物(A)と前記化
合物(B)との重付加反応および重縮合反応が十分進行
せずに、高分子量の硬化物を高収率で得ることができな
くなることがある。
【0110】したがって、本発明の一つの態様である前
記熱硬化性オキセタン組成物は、前記化合物(A)と前
記化合物(B)との重付加反応および重縮合反応を触媒
の存在下に行う場合、前記分子中に1〜4個のオキセタ
ン環を有するオキセタン化合物、すなわち、前記化合物
(A)の少なくとも1種と、前記分子中に2個以上のカ
ルボキシル基を有するポリカルボン酸、すなわち、前記
化合物(B)の少なくとも1種と、触媒としての上記第
四オニウム塩とを前述したような割合で配合してなる混
合物でもある。
【0111】本発明の硬化方法においては、前記化合物
(A)と前記化合物(B)との重付加反応および重縮合
反応、すなわち、硬化反応を反応溶媒中均一系で行う場
合、前記化合物(A)および/または前記化合物(B)
を、前記反応溶媒中に溶解した状態で、あるいは、前記
反応溶媒で膨潤させた状態で前記硬化反応を行う必要が
あり、そのためには、前記硬化反応の進行中、前記反応
溶媒を液体状態に維持すべきである。一方、前記硬化反
応を無溶媒状態下で行う場合は、前記硬化反応の進行
中、前記化合物(A)および/または前記化合物(B)
を溶融状態に維持すべきである。したがって、反応温度
は、前記硬化反応を無溶媒状態下に行う場合、前記化合
物(A)および/または前記化合物(B)が溶融状態で
あるような温度範囲にあるべきであり、少なくとも、前
記化合物(A)の融点または前記化合物(B)の融点の
いずれか低い方の温度以上であるべきである。一方、前
記硬化反応を前記反応溶媒中で行う場合には、前記化合
物(A)および/または前記化合物(B)が前記反応溶
媒中に溶解した状態、あるいは、前記反応溶媒で膨潤さ
れた状態となるように、少なくとも50℃以上である必
要がある。しかしながら、これらの場合、反応温度が3
00℃を越えると、本発明の硬化方法によって得られる
硬化物の望ましくない熱分解反応を併発するようになる
ので、本発明の硬化反応における反応温度は、該硬化反
応を無溶媒状態下で行う場合、前記化合物(A)の融点
または前記化合物(B)の融点のいずれか低い方の温度
以上、かつ、300℃以下の範囲であること、そして、
該硬化反応を前記反応溶媒中で行う場合は、50〜30
0℃の範囲であることが好ましい。
【0112】本発明の硬化方法における前記化合物
(A)と前記化合物(B)との重付加反応および重縮合
反応において、反応圧力は特に制限されるものではな
く、減圧、常圧および加圧のいずれの状態下においても
実施可能である。しかし、加圧下で実施する場合は、製
造設備に耐圧性能が要求されるし、また、減圧下で実施
する場合には、減圧設備が必要になるなど、経済性の面
からは常圧下で実施するのが好ましい。しかし、前記反
応溶媒中で前記化合物(A)と前記化合物(B)との重
付加反応および重縮合反応、すなわち、硬化反応を行う
場合は、前述したように、該硬化反応の進行中、前記反
応溶媒が液体状態を維持し得るような圧力条件が保持さ
れなければならない(したがって、前記硬化反応が加圧
条件下で行われる場合もあり得る)ことは言うまでもな
い。また、前記硬化反応は、高温である程反応速度が速
いので、得られる硬化物の収量や重合度を高める必要が
ある場合、反応温度は、前述の範囲内でできるだけ高温
にした方がよい。しかしながら、前記硬化反応の反応時
の温度が高すぎると、反応が不均一になり、得られる硬
化物の熱的性質や機械的性質などの品質に悪影響が生じ
たり、使用するオキセタン化合物(A)、ポリカルボン
酸(B)および反応溶媒などが熱的に不安定となったり
する恐れがある。したがって、このような場合は、反応
系を減圧にして、前記反応温度を低めに維持することが
好ましい。
【0113】本発明の硬化方法における反応時間につい
ても、前記化合物(A)および前記化合物(B)の仕込
み量、無溶媒状態下で重付加反応および重縮合反応を行
うか否か、反応溶媒を使用した場合は前記反応溶媒の種
類および使用量、前記触媒の種類および使用量、ならび
に、反応温度などの重付加反応および重縮合反応の条件
によって異なるが、1〜70時間程度、好ましくは2〜
50時間程度が好適である。反応時間が約1時間より短
いと、前記化合物(A)と前記化合物(B)との重付加
反応および重縮合反応がほとんど進行しないし、また、
約70時間より長くなると、目的生成物の三次元網目構
造を有する硬化物の収量および分子量におけるそれ以上
の向上が望めないばかりか、得られる硬化物が長時間の
熱履歴を受けて、熱劣化による品質の低下を招く恐れが
あるなど、いずれの場合も好ましくない。
【0114】また、本発明の硬化方法における重付加反
応および重縮合反応は、得られる硬化物の望ましくない
酸化などによる劣化を防止するために、不活性ガス雰囲
気下に行われることが好ましい。不活性ガスとしては、
窒素ガスの他、アルゴンガスやヘリウムガスなどの希ガ
スが好適に使用され得る。
【0115】そして、本発明では、前記化合物(A)と
前記化合物(B)との重付加反応および重縮合反応によ
る硬化物の製造方法、すなわち、硬化方法は、特に限定
されるものではなく、常法に従って行えばよい。例え
ば、所望により所定量の前記化合物(A)および前記化
合物(B)の少なくとも一方を所定量の前記反応溶媒に
溶解もしくは膨潤した後、これら化合物を必要に応じて
適当な加熱装置を備えた反応容器に供給し、さらに、所
望により触媒として所定量の前記第四オニウム塩を添加
し、常圧、あるいは、所定の減圧または加圧下に所定温
度に加熱し、所定時間反応を行えばよい。この場合、前
記化合物(B)は、所定量を一度に加えることなく、適
宜量に分割して加えることも可能である。また、前記第
四オニウム塩触媒も、反応系に所定量を一度に添加して
もよく、または、適当な回数に分割して添加してもよ
い。
【0116】本発明の硬化方法では、以上のようにし
て、前記化合物(A)の少なくとも1種と前記化合物
(B)の少なくとも1種との混合物、または、前記化合
物(A)の少なくとも1種、前記化合物(B)の少なく
とも1種および前記第四オニウム塩の混合物である前記
熱硬化性オキセタン組成物を適切な形状の離型性のある
反応容器に充填し、無溶媒状態下、あるいは前記反応溶
媒中、前述した反応温度で前述した反応時間加熱するこ
とにより、例えば前記反応式(14)〜(19)に示し
たような前記化合物(A)と前記化合物(B)との重付
加反応および重縮合反応、すなわち、硬化反応を行わし
めた後、空冷、水冷などの常法により常温まで冷却して
得られた反応混合物を前記反応容器から取り出し、場合
によっては続いて、熱風乾燥、真空乾燥および凍結乾燥
などの公知の方法により100℃以下の温度で2〜16
時間乾燥すればよい。これにより、本発明のもう一つの
態様である三次元網目構造を有する不溶不融の新規な硬
化物が成形品として得られるのである。また、前記熱硬
化性オキセタン組成物を金属、ゴム、プラスチック、成
形部品、フィルム、紙、木、ガラス布、コンクリートお
よびセラミックなどの基材に塗布した後、所定温度で所
定時間加熱することにより、上記硬化物を皮膜とする基
材を得ることもできる。なお、前記化合物(A)と前記
化合物(B)との硬化反応を前記反応溶媒中で行う場合
は、該硬化反応の終了後、得られた反応混合物から前記
反応溶媒を蒸発せしめ、次いで常温まで冷却し、場合に
よっては続けて前記乾燥を行うことにより、上記硬化物
を得てもよいし、また、前記硬化反応の終了後、得られ
た反応混合物を常温まで冷却し、前記反応溶媒を含んだ
ままの柔軟性のある硬化物として使用してもかまわな
い。
【0117】本発明の熱硬化性オキセタン組成物は、使
用に際し、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、
公知の各種添加剤、例えば、無機充填剤、強化材、着色
剤、安定剤(熱安定剤、耐候性改良剤など)、増量剤、
粘度調節剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色
防止剤、抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、可
塑剤、滑剤、発泡剤、離型剤などを添加・混合すること
ができる。上記着色剤としては、直接染料、酸性染料、
塩基性染料、金属錯塩染料などの染料、カーボンブラッ
ク、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカなどの無機
顔料およびカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラ
キノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシ
アニン系などの有機顔料などが挙げられる。また、上記
安定剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン
系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール
系、オキザリックアシッドアニリド系などの化合物が挙
げられる。さらにまた、上記無機充填剤としては、ガラ
ス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アル
ミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒
化ホウ素繊維、窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグネシウム
繊維、ホウ素繊維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム、
チタン、銅、真鍮、マグネシウムなどの無機質および金
属繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステンレス
鋼、アルミニウム、金および銀などの金属粉末、木粉、
マグネシア、カルシアなどの酸化物、珪酸アルミニウ
ム、ケイソウ土、石英粉末、タルク、クレイ、各種金属
の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホ
ウ珪酸塩、アルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸
塩、塩基性炭酸塩およびその他の塩基性塩、ガラス中空
球、ガラスフレークなどのガラス材料、炭化珪素、窒化
アルミ、ムライト、コージェライトなどのセラミック、
およびフライアッシュやミクロシリカなどの廃棄物など
が挙げられる。
【0118】
【実施例】次に、実施例を述べて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定
を受けるものではない。なお、以下の実施例において、
原料の分子中に1〜4個のオキセタン環を有するオキセ
タン化合物(以下単に「オキセタン化合物」という)お
よび生成物の三次元網目構造を有する硬化物(以下単に
「硬化物」という)の特性は、下記の方法によって求め
た。
【0119】(1)オキセタン化合物の赤外線吸収スペ
クトル(IR) (株)パーキン−エルマー製1750型フーリエ赤外分
光光度計を用い、微量のオキセタン化合物の液体試料を
KBr結晶板上に塗布して測定した。
【0120】(2)硬化物の赤外線吸収スペクトル(I
R) (株)パーキン−エルマー製1750型フーリエ赤外分
光光度計を用い、予め60℃で10時間以上減圧乾燥し
て水分を除いた硬化物の試料1mgをKBr(Merc
k社製)150mgに混合し、60℃で10時間以上減
圧乾燥して水分を除去した後、加圧錠剤を形成して測定
した。
【0121】また、以下の実施例において用いた試薬
は、それぞれ、下記の通りである。 (a)オキセタン化合物 3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(以下
「EHO」と略記)および1,4−ビス〔(3−エチル
−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン(以下
「XDO」と略記)は、それぞれ、宇部興産(株)製お
よび東亜合成(株)製の市販品を使用した。
【0122】(b)ポリカルボン酸 アジピン酸(以下「AA」と略記)、ドデカン二酸(以
下「DDA」と略記)、ヘキサヒドロフタル酸(以下
「HPA」と略記)およびフタル酸(以下「PA」と略
記)は、それぞれ、和光純薬工業(株)製試薬特級品を
使用した。4−メチルフタル酸(以下「MPA」と略
記)は、和光純薬工業(株)製試薬一級品を使用した。
また、トリメリト酸(以下「TMA」と略記)は、Aldr
ich ChemicalCompany,Inc製の市販品を使用した。
【0123】(c)触媒 テトラフェニルホスホニウムブロマイド(以下「TPP
B」と略記)は、和光純薬工業(株)製試薬一級品を使
用した。
【0124】実施例1 内容積50mlのキャップ付ガラス容器(スクリュー管
瓶)に、表1に示すように、EHO3.9g(33.6
ミリモル)とMPA6.1g(33.6ミリモル)を仕
込み、窒素ガスで置換後密栓した。したがって、原料の
仕込み比(モル比)は、EHO/MPA=1/1であっ
た。そこで、150℃の恒温槽中に前記ガラス容器を浸
漬してこれら原料を加温溶融させ、均一混合した。続い
て、前記ガラス容器を150℃の恒温槽中で48時間保
持した。この間、前記ガラス容器内の溶融物が恒温槽中
に浸漬後27時間で流動しなくなったのでこれをゲル化
時間とした。所定時間経過後、前記ガラス容器を恒温槽
から取り出し、次いで反応物を常温まで冷却後、前記ガ
ラス容器から取り出して硬化状態を観察した。硬化物
は、表2に示す通り、透明で硬質のものであった。
【0125】さらに、原料のEHOとMPAとの重付加
反応および重縮合反応、すなわち、硬化反応を確認する
ために、上記硬化物の赤外線吸収スペクトル(IRスペ
クトル)測定を行った。そこで、上記硬化物のIRスペ
クトルをEHOのそれと比較して図1に示す。この結
果、980cm-1にオキセタン環の環の逆対称伸縮振動
による吸収が確認できる。しかしながら、上記硬化物の
IRスペクトルにおいて、980cm-1のオキセタン基
に基づく吸収が原料EHOのそれと比べてかなり減少し
ていることから、前記硬化反応が進行し、本発明の目的
とする硬化物が得られたことが判った。
【0126】実施例2 原料として、EHO3.9g(33.6ミリモル)およ
びMPA6.1g(33.6ミリモル)に代えて、それ
ぞれ、XDO5.3g(15.8ミリモル)およびAA
4.7g(32.2ミリモル)を用いたこと、したがっ
て、原料の仕込み比(モル比)をXDO/AA=1/2
に変えたこと、および、恒温槽中でのガラス容器の浸漬
時間を48時間に変えて30時間にしたこと以外は、実
施例1と全く同様の操作を行った。得られた結果は、表
2に示す通りであった。すなわち、ゲル化時間は16時
間であり、また、得られた硬化物は、やや白濁してお
り、表面粘着性があって柔軟なものであった。さらに、
得られた硬化物のIRスペクトル測定を行った結果、9
80cm-1のオキセタン基に基づく吸収が原料XDOの
それと比べてかなり減少していることから、前記硬化反
応が進行し、本発明の目的とする硬化物が得られたこと
が判った。
【0127】実施例3 触媒としてのTPPB1.35g(3.22ミリモル、
原料のXDO1モル当たり0.2モル)を添加したこと
以外は、実施例2と全く同様の操作を行った。得られた
結果は表2に示す如く、ゲル化時間が9時間であり、透
明で柔軟な硬化物が得られた。さらに、得られた硬化物
のIRスペクトル測定を行った結果、980cm-1のオ
キセタン基に基づく吸収が原料XDOのそれと比べてほ
とんど消滅していることから、前記硬化反応が進行し、
本発明の目的とする硬化物が得られたことが判った。
【0128】実施例4 原料としてのXDOの使用量を5.3g(15.8ミリ
モル)に変えて4.2g(12.6ミリモル)にしたこ
と、原料としてのAA4.7g(32.2ミリモル)に
代えて、DDA5.8g(25.2ミリモル)を用いた
こと、および、触媒としてのTPPBの使用量を1.3
5g(3.22ミリモル、原料のXDO1モル当たり
0.2モル)に変えて1.07g(2.55ミリモル、
原料のXDO1モル当たり0.2モル)にしたこと以外
は、実施例3と全く同様の操作を行った。得られた結果
は表2に示す如く、ゲル化時間が15時間であり、透明
で柔軟な硬化物が得られた。さらに、得られた硬化物の
IRスペクトル測定を行った結果、980cm-1のオキ
セタン基に基づく吸収が原料XDOのそれと比べてほと
んど消滅していることから、前記硬化反応が進行し、本
発明の目的とする硬化物が得られたことが判った。
【0129】実施例5 原料としてのXDOの使用量を5.3g(15.8ミリ
モル)に変えて5.0g(14.9ミリモル)にしたこ
と、および、原料としてのAA4.7g(32.2ミリ
モル)に代えて、PA5.0g(30.1ミリモル)を
用いたこと以外は、実施例2と全く同様の操作を行っ
た。得られた結果は表2に示す如く、ゲル化時間が5時
間であり、透明で硬質な硬化物が得られた。さらに、得
られた硬化物のIRスペクトル測定を行った結果、98
0cm-1のオキセタン基に基づく吸収が原料XDOのそ
れと比べてかなり減少していることから、前記硬化反応
が進行し、本発明の目的とする硬化物が得られたことが
判った。
【0130】実施例6 原料としてのXDOの使用量を5.3g(15.8ミリ
モル)に変えて4.9g(14.7ミリモル)にしたこ
と、および、原料としてのAA4.7g(32.2ミリ
モル)に代えて、HPA5.1g(29.6ミリモル)
を用いたことこと以外は、実施例2と全く同様の操作を
行った。得られた結果は表2に示す如く、ゲル化時間が
28時間であり、表面粘着性を有する透明、硬質な硬化
物が得られた。さらに、得られた硬化物のIRスペクト
ル測定を行った結果、980cm-1のオキセタン基に基
づく吸収が原料XDOのそれと比べてかなり減少してい
ることから、前記硬化反応が進行し、本発明の目的とす
る硬化物が得られたことが判った。
【0131】実施例7 触媒として、TPPB1.24g(2.96ミリモル、
原料のXDO1モル当たり0.2モル)を添加したこ
と、および、150℃の恒温槽にキャップ付ガラス容器
を浸漬して30時間保持したこと以外は、実施例6と全
く同様の操作を行った。得られた結果は表2に示す如
く、ゲル化時間が17時間であり、透明で硬質な硬化物
が得られた。さらに、得られた硬化物のIRスペクトル
測定を行った結果、980cm-1のオキセタン基に基づ
く吸収が原料XDOのそれと比べてほとんど消滅してい
ることから、前記硬化反応が進行し、本発明の目的とす
る硬化物が得られたことが判った。
【0132】実施例8 原料としてのXDOの使用量を5.3g(15.8ミリ
モル)に変えて7.0g(20.9ミリモル)にしたこ
と、原料としてのAA4.7g(32.2ミリモル)に
代えて、TMA2.94g(14.0ミリモル)を用い
たこと、したがって、原料の仕込み比(モル比)をXD
O/TMA=1/0.67に変えたこと、および、触媒
としてのTPPBの使用量を1.35g(3.22ミリ
モル、原料のXDO1モル当たり0.2モル)に変えて
0.90g(2.15ミリモル、原料のXDO1モル当
たり0.1モル)にしたこと以外は、実施例3と全く同
様の操作を行った。得られた結果は表2に示す如く、ゲ
ル化時間が0.8時間であり、透明で硬質な硬化物が得
られた。さらに、得られた硬化物のIRスペクトル測定
を行った結果、980cm-1のオキセタン基に基づく吸
収が原料XDOのそれと比べてかなり減少していること
から、前記硬化反応が進行し、本発明の目的とする硬化
物が得られたことが判った。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、特
定のオキセタン化合物と特定のポリカルボン酸と場合に
よってはさらに第四オニウム塩とを特定の割合で含む新
規な硬化物製造用の熱硬化性オキセタン組成物、およ
び、該熱硬化性オキセタン組成物を加熱することにより
製造され、優れた機械的性質、電気的性質、接着性、耐
熱性、耐湿性、耐薬品性などを示し、かつ、三次元網目
構造を有する新規な硬化物が得られる。また、本発明に
よれば、上記熱硬化性オキセタン組成物を加熱すること
によってオキセタン化合物とポリカルボン酸との重付加
反応および重縮合反応を行わしめ、上記新規な硬化物を
効率よく高収率で製造し得る硬化方法を提供することが
できる。したがって、本発明の新規な硬化物は、上述の
特性を利用して塗料やコーティング剤、接着剤、電気絶
縁材料、ICや超LSI封止材料、積層板およびその他
の電気・電子部品、コンクリート構造物の補修、新旧コ
ンクリートの打継、補強鋼板の接着、各種ライニングな
どの土木建築用途、注型用化合物、印刷インキ、シーラ
ント、フォトレジスト、織物被覆剤、含浸テープおよび
印刷プレートなどのエポキシ樹脂の代替品としての用途
が大いに期待され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた硬化物のIRスペクトルと
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのIRス
ペクトルを比較して示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 国村 勝 山口県宇部市西本町1丁目12番32号 宇部 興産株式会社高分子研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に1〜4個のオキセタン環を有す
    る化合物(A)の少なくとも1種と分子中に2個以上の
    カルボキシル基を有する化合物(B)の少なくとも1種
    とからなる熱硬化性オキセタン組成物。
  2. 【請求項2】 分子中に1〜4個のオキセタン環を有す
    る化合物(A)の少なくとも1種と分子中に2個以上の
    カルボキシル基を有する化合物(B)の少なくとも1種
    との混合物を加熱することを特徴とする硬化物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 分子中に1〜4個のオキセタン環を有す
    る化合物(A)の少なくとも1種と分子中に2個以上の
    カルボキシル基を有する化合物(B)の少なくとも1種
    との混合物を加熱して得られる硬化物。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の化合物(A)の少なく
    とも1種および化合物(B)の少なくとも1種と、第四
    オニウム塩とを含んでなる熱硬化性オキセタン組成物。
  5. 【請求項5】 化合物(A)の少なくとも1種と化合物
    (B)の少なくとも1種との混合物を第四オニウム塩の
    存在下に加熱することを特徴とする請求項2に記載の硬
    化物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の化合物(A)の少なく
    とも1種および化合物(B)の少なくとも1種と、第四
    オニウム塩との混合物を加熱して得られる硬化物。
  7. 【請求項7】 化合物(A)の少なくとも1種と化合物
    (B)の少なくとも1種との混合物を、無溶媒状態下、
    該化合物(A)の融点または該化合物(B)の融点のい
    ずれか低い方の温度以上、かつ300℃以下の温度に加
    熱することを特徴とする請求項2に記載の硬化物の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 化合物(A)の少なくとも1種と化合物
    (B)の少なくとも1種との混合物を、反応溶媒中、5
    0〜300℃の温度に加熱することを特徴とする請求項
    2に記載の硬化物の製造方法。
  9. 【請求項9】 化合物(A)の少なくとも1種と化合物
    (B)の少なくとも1種との混合物を第四オニウム塩の
    存在下に加熱することを特徴とする請求項7または8に
    記載の硬化物の製造方法。
  10. 【請求項10】 第四オニウム塩がテトラn−ブチルホ
    スホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムク
    ロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドおよ
    びテトラフェニルホスホニウムアイオダイドからなる群
    から選ばれる第四ホスホニウム塩であることを特徴とす
    る請求項4に記載の熱硬化性オキセタン組成物。
  11. 【請求項11】 第四オニウム塩がテトラn−ブチルホ
    スホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムク
    ロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドおよ
    びテトラフェニルホスホニウムアイオダイドからなる群
    から選ばれる第四ホスホニウム塩であることを特徴とす
    る請求項5または9に記載の硬化物の製造方法。
  12. 【請求項12】 第四オニウム塩がテトラn−ブチルホ
    スホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムク
    ロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイドおよ
    びテトラフェニルホスホニウムアイオダイドからなる群
    から選ばれる第四ホスホニウム塩であることを特徴とす
    る請求項6に記載の硬化物。
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