JP2011079945A - アラミドシリコーンポリマーの架橋方法及び熱硬化性組成物 - Google Patents

アラミドシリコーンポリマーの架橋方法及び熱硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】アラミドシリコーンポリマーの簡便な新規架橋系を提供すること。
【解決手段】(A)アラミドシリコーンポリマーを、(C)硬化促進剤の存在下、(B)アミド反応性化合物と高温で反応させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリアミド(アラミド)部位とポリシロキサン部位を含むアラミドシリコーンポリマーの架橋方法、及び、当該アラミドシリコーンポリマーを含む熱硬化性組成物に関する。
ポリジメチルシロキサンに代表されるシリコーンポリマーは優れた生体適合性、気体透過性等を有しているが、強度が低いため、高い強度を要求される分野への利用が限られていた。一方、芳香族ポリアミド(アラミド)は、強度は優れているが生体適合性等に劣り、その用途が限られていた。
これらの問題点を克服した材料としてアラミドシリコーンポリマーが提案されている。しかしながら、アラミドシリコーンポリマーは熱可塑性であり、また、非極性溶媒には非溶解性であるが極性溶媒には溶解性であるという特徴を有している。そこで、アラミドシリコーンポリマーの形状保持性、軟化温度、強度を向上させ、耐溶剤性を向上させるため、架橋されたアラミドシリコーンポリマーが求められている。
特開平11−172012号公報ではアラミドシリコーンポリマーをエネルギー線照射又は放電処理により架橋することが提案されているが、この方法は電子線照射装置等の設備を必要とし、このような設備なしには実施することができない。
また、特開平1−131248号公報では側鎖にアルケニル基を有するポリアミドシリコーンポリマーを有機過酸化物の存在下に加熱してラジカル反応により架橋させる方法、及び、Si−H結合含有硬化剤と白金化合物の存在下に加熱してヒドロシリル化反応により架橋させる方法が提案されている。しかしながら、この方法は側鎖にアルケニル基を有するポリアミドシリコーンポリマーを製造する必要がある。また、ラジカル反応による架橋の場合は酸素による硬化阻害が起こり易く、一方、ヒドロシリル化反応による架橋の場合はアミン系化合物、イオウ系化合物、リン系化合物等の混入により硬化阻害が起こり易いという問題点があった。
特開平11−172012号公報 特開平1−131248号公報
本発明は、アラミドシリコーンポリマーの簡便な新規架橋方式及び新規架橋系を提供することをその目的とする。
特に、本発明は、電子線照射装置等の設備が不要で、且つ、アルケニル基の存在が不要であるアラミドシリコーンポリマーの架橋方法、並びに、当該方法を実施可能なアラミドシリコーンポリマーを含む熱硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明の目的は、(A)アラミドシリコーンポリマーを、(C)硬化促進剤の存在下、(B)アミド反応性化合物と加熱下で反応させる、アラミドシリコーンポリマーの架橋方法によって達成される。
本発明は、(A)アラミドシリコーンポリマー、(B)アミド反応性化合物、及び、(C)硬化促進剤を含む熱硬化性組成物によって実施することができる。
前記(A)アラミドシリコーンポリマーはアルケニル基を有さないものが好ましい。
前記(B)アミド反応性化合物はエポキシ含有化合物であることが好ましい。
前記エポキシ含有化合物は、エポキシ変性シリコーン、エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、及び、窒素含有化合物のN−グリシジル誘導体からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
前記(C)硬化促進剤は、イミダゾール誘導体であることが好ましい。
前記熱硬化性組成物は、更に、(D)硬化触媒を含むことが好ましい。
前記(D)硬化触媒は、アミン又はその誘導体、多価フェノール又はその誘導体、及び、多価カルボン酸又はその誘導体からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
前記熱硬化性組成物は、100質量部の前記(A)アラミドシリコーンポリマーに対して、1〜200質量部の前記(B)アミド反応性化合物を含むことができる。
前記熱硬化性組成物は、100質量部の前記(A)アラミドシリコーンポリマーに対して、0.001〜10質量部の前記(C)硬化促進剤を含むことができる。
前記熱硬化性組成物が(D)硬化触媒を含む場合、当該熱硬化性組成物は、100質量部の前記(A)アラミドシリコーンポリマーに対して、0.001〜10質量部の前記(D)硬化触媒を含むことができる。
本発明は、前記熱硬化性組成物を硬化して得られる硬化物、並びに、当該硬化物を含む物品にも関する。
本発明では、電子線照射装置等の設備が不要であり、また、アラミドシリコーンポリマーがアルケニル基を有さなくてもよい。したがって、アラミドシリコーンポリマーを簡便に架橋することができる。
しかも、本発明では、ラジカル反応による架橋において懸念される酸素による硬化阻害、或いは、ヒドロシリル化反応による架橋において懸念されるアミン系化合物、イオウ系化合物、リン系化合物等の混入による硬化阻害を回避することができる。
本発明の熱硬化性組成物は加熱により容易に硬化させることができる。そして、本発明の熱硬化性組成物の硬化により得られる硬化物は形状保持性、強度、耐溶剤性に優れており、また、高い軟化温度を有する。
本発明では、(A)アラミドシリコーンポリマーを、(C)硬化促進剤の存在下、(B)アミド反応性化合物と加熱下で反応させて(A)アラミドシリコーンポリマーを架橋させる。
したがって、本発明の熱硬化性組成物は、(A)アラミドシリコーンポリマー、(B)アミド反応性化合物、及び、(C)硬化促進剤を含むことを特徴とする。
本発明において使用される(A)アラミドシリコーンポリマーは、アラミド部位とシリコーン部位を含むコポリマーである。アラミド部位とシリコーン部位の割合は特に限定されるものではないが、アラミド部位:シリコーン部位の質量比で20:80〜80:20が好ましく、30:70〜70:30がより好ましい。なお、アラミドシリコーンコポリマーはランダムコポリマー又はブロックコポリマーのいずれでもよい。
(A)アラミドシリコーンポリマーは、分子鎖両末端に式:−B−NH(Bは二価炭化水素基を表す)で表される基を有する両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン、芳香族ジアミン、及び、芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の重縮合により得ることができる。
前記両末端アミノ基変性ジオルガノポリシロキサンは分子鎖両末端に式:−B−NH(Bは二価炭化水素基を表す)で表される基を有するジオルガノポリシロキサンである。一種類の両末端アミノ基変性ジオルガノポリシロキサンを使用してもよく、二種類以上の両末端アミノ基変性ジオルガノポリシロキサンを使用してもよい。
二価炭化水素基としては、例えば、置換若しくは非置換の炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、置換若しくは非置換の炭素数6〜22のアリーレン基、又は、置換若しくは非置換の炭素数7〜22のアルキレンアリーレン基が挙げられる。置換若しくは非置換の炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられる。メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基が好ましい。置換若しくは非置換の炭素数6〜22のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ジフェニレン基等が挙げられる。置換若しくは非置換の炭素数7〜22のアルキレンアリーレン基としては、例えば、ジメチレンフェニレン基等が挙げられる。
前記両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサンとしては、下記一般式:
Figure 2011079945
(式中、Bは上記のとおりであり;Aはそれぞれ独立して一価炭化水素基を表し、mは1以上100以下の整数を表す)で表されるものが好ましい。
一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基で置換された基が挙げられる。一価炭化水素基は、アルケニル基以外の基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又は、フェニル基が特に好ましい。
上記一般式中、mは1以上100以下であるが、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。mが100以上になると分子中のアミド結合の割合が低下し、得られるポリマーの物理的強度が低下するおそれがある。
前記芳香族ジアミンとしては特に制限はなく、任意のものを使用することができる。芳香族ジアミンとしては、通常のアラミドの製造原料として使用されるものが好ましく、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、2,2'−ジトリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が好ましく使用される。一種類の芳香族ジアミンを使用してもよく、二種類以上の芳香族ジアミンを使用してもよい。
前記芳香族ジカルボン酸についても特に制限はなく、任意のものを使用することができる。芳香族ジカルボン酸としては、通常のアラミドの製造原料として使用されるものが好ましく、例えば、テレフタル酸、2-クロロ−テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ターフェニルジカルボン酸、2-フロロ−テレフタル酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸の反応性誘導体も特に制限はないが、芳香族ジカルボン酸ジハロゲン化物が好ましい。ジハロゲン化物としては、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物のいずれも使用可能であるが、塩化物(クロライド)が好ましい。芳香族ジカルボン酸ジハロゲン化物としては、通常のアラミドの製造原料として使用されるものが好ましく、例えば、テレフタル酸ジクロライド、2-クロロ−テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、ナフタレンジカルボニルクロライド、ビフェニルジカルボニルクロライド、ターフェニルジカルボニルクロライド、2-フロロ−テレフタル酸ジクロライド等が好ましく使用される。一種類の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体を使用してもよく、二種類以上の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体を使用してもよい。
前記重縮合の実施方法には特に制限はなく、通常のアラミドシリコーンポリマーの製造に使用される方法を使うことができ、例えば、特開平1−23824号公報で提案されているような10℃未満での低温溶液重縮合法を好適に実施することができる。
一方、無機塩基の存在下、水、及び、非プロトン性有機溶媒中で、分子鎖両末端に−B−NH(Bは二価炭化水素基を表す)で表される基を有する両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン、芳香族ジアミン、及び、芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体を10℃以上の温度で重縮合(以下、ここでは「常温重縮合法」という)させてアラミドシリコーンポリマーを製造してもよい。
前記無機塩基については特に制限はなく、任意のものを使用することができる。一種類の無機塩基を使用してもよく、二種類以上の無機塩基を使用してもよい。無機塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、及び、アルカリ土類金属炭酸塩からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等を好適に使用することができる。
前記非プロトン性有機溶媒は、プロトン供与能を有さない有機溶媒である。非プロトン性有機溶媒としては、極性又は無極性のいずれのものであっても使用することができるが、少なくともある程度の極性を有するものが好ましい。また、前記非プロトン性有機溶媒は、水と非混和性であり、水と相分離し得るものが好ましいが、これに限定されない。(S2)非プロトン性有機溶媒として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルポキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系溶媒;ヘキサメチルホスホルアミド等を好適に使用することができる。テトラヒドロフラン、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましい。一種類の非プロトン性有機溶媒を使用してもよく、二種類以上の非プロトン性有機溶媒を使用してもよい。非プロトン性有機溶媒の使用により、高分子量のアラミドシリコーンポリマーを得ることができる。
常温重縮合法では、アルコール類、フェノール類等のプロトン性有機溶媒、並びに、エノール化して活性水素を生じるアルデヒド類、ケトン類、特にβ−ジケトン類、及び、ケトエステル類、特にβ−ケトエステル類の使用は好ましくない。したがって、これらの有機溶媒は反応系に存在しないことが好ましい。これらの有機溶媒は、芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と反応して、アラミドシリコーンポリマーの分子量及び物理的強度を低下させると共に、往々にして、望ましくない着色の原因となる。
常温重縮合法では、水、及び、非プロトン性有機溶媒の混合物中で、無機塩基の存在下、両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン、芳香族ジアミン、及び、芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体を反応させるが、水、及び、非プロトン性有機溶媒の混合比は任意であり、1:10〜10:1、より好ましくは20:80〜80:20、更により好ましくは30:80〜80:30の質量比で混合して使用することができる。
前記両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン、及び、前記芳香族ジアミンの使用割合は任意であるが、後者の割合が多くなると、生成したアラミドシリコーンポリマーの有機溶媒に対する溶解性が低下し、この結果、アラミドシリコーンポリマーの分子量が低下して脆くなるおそれがあるので、後者の割合は前記両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン及び前記芳香族ジアミンの合計質量の1〜60%が好ましく、1〜50%がより好ましい。すなわち、両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン及び芳香族ジアミンの合計質量に対する芳香族ジアミンの質量の比は0.01〜0.6の範囲が好ましく、0.01〜0.5がより好ましい。
前記両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン、及び、前記芳香族ジアミンの合計モル数と前記芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体とのモル比も任意であるが、この比が1から大きく離れると、得られるアラミドシリコーンポリマーの分子量が低下し、その物理的強度が低下するおそれがあるので、1に近い方が好ましい。したがって、芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体のモル数に対する両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン及び芳香族ジアミンの合計モル数の比は0.8〜1.2の範囲が好ましく、0.9〜1.1の範囲がより好ましく、0.95〜1.05の範囲が特に好ましい。
また、前記無機塩基の使用量も任意であるが、無機塩基の当量数は芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の当量数以上(即ち、化学量論量以上)であることが好ましい。化学量論量以下では中和が不十分となり、例えば、アラミドシリコーンポリマー中のハロゲン濃度等が高くなるおそれがある。しかし、あまり多量に使用すると水洗によってアラミドシリコーンポリマー中の無機塩基の濃度を低下させることが困難になるので、無機塩基の当量数/芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の当量数の比は1以上2以下が好ましく、1以上1.5以下が更に好ましい。したがって、芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の当量数に対する無機塩基の当量数の比は1〜2の範囲が好ましく、1〜1.5の範囲がより好ましい。
常温重縮合法では、無機塩基の存在下での、水、及び、非プロトン性有機溶媒の混合物中における両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン、芳香族ジアミン、及び、芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の反応形態は特に限定されるものではないが、無機塩基と水の混合物と、両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン、芳香族ジアミン、及び、非プロトン性有機溶媒の混合物を混合し、必要に応じて加熱・冷却及び攪拌しながら10℃以上の温度を保ちつつ、芳香族カルボン酸又はその反応性誘導体を加える方法が好ましい。
ここで、無機塩基と水の混合物は無機塩基の水溶液の形態であることが好ましい。したがって、無機塩基は水溶性であることが好ましい。また、両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン、芳香族ジアミン、及び、非プロトン性有機溶媒の混合物は、両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン及び芳香族ジアミンが非プロトン性有機溶媒に溶解した溶液の形態であることが好ましい。したがって、両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン、及び、芳香族ジアミンは非プロトン性有機溶媒への溶解性を有するものが好ましい。
また、芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体は非プロトン性有機溶媒との混合物であることが好ましい。したがって、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体は非プロトン性有機溶媒への溶解性を有するものが好ましい。この場合は非プロトン性有機溶媒の一部を芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の溶解に使用する一方で残りの非プロトン性有機溶媒を両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン及び芳香族ジアミンの溶解に使用することができる。
前記両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン及び前記芳香族ジアミンの混合物への前記芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の添加により、重縮合反応が開始して、アラミドシリコーンポリマーが合成される。前記重縮合反応は界面重縮合であることが好ましい。したがって、両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン及び芳香族ジアミンの混合物への芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の添加方法は、滴下が好ましい。
常温重縮合法の反応温度は10℃以上であるが、更に高温であってもよい。例えば、常温重縮合法は15℃以上で実施可能であり、20℃以上で実施することが好ましく、25℃以上で実施することがより好ましい。但し、芳香族ジカルボン酸の反応性誘導体を使用する場合、当該反応性誘導体の単なる加水分解反応を避けて高分子量のポリマーを得るためには反応温度は40℃以下が好ましい。したがって、常温重縮合法の好ましい反応温度は10〜40℃である。このように、常温重縮合法は低温条件下で行う必要がないので、冷却装置等の特殊な製造装置が不要である。したがって、常温重縮合法はアラミドシリコーンポリマーを簡便に且つ効率的に製造することができ、コスト的にも有利である。
常温重縮合法では、両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン、芳香族ジアミン、及び、芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の反応により、塩化水素等のハロゲン化水素が生成する可能性があるが、当該ハロゲン化水素は無機塩基によって捕捉されてNaCl等の無機塩に変換される。このように、常温重縮合法では生成する可能性のある副生成物が無機塩であるので、たとえ副生成物が生成したとしても、その処理が容易である。したがって、常温重縮合法は環境負荷が低く、また、低コストである。
常温重縮合法では、両末端アミノ変性ジオルガノポリシロキサン及び芳香族ジアミンへの芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の添加後、得られた反応混合物の攪拌を継続し、定期的にpH試験紙等で反応の進行をチェックすることが好ましい。
反応終了後、反応混合物を静置して層分離させ、必要に応じて、水と非混和性の有機溶媒を添加後、有機層の水洗を繰り返して過剰な無機塩基を除き、共沸脱水することによりアラミドシリコーンポリマーの溶液を得ることができる。そして、必要に応じて、溶媒を加熱減圧留去等によって除去することにより、固体状のアラミドシリコーンポリマーを得ることができる。なお、前記有機溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、反応系にもともと存在する非プロトン性有機溶媒と同一種類のものが更に好ましい。
ところで、アラミドシリコーンポリマーのシリコーン含有率が低い場合、反応に使用した非プロトン性溶媒の極性が不足し、反応終了後にアラミドシリコーンポリマーがペースト状に析出してしまうことがある。その際は、水洗を繰り返して過剰の無機塩基を除いた後、このペースト状のアラミドシリコーンポリマーにトルエン等の非極性溶媒を添加し、共沸脱水を行って水分を除去した後、溶解力の優れたN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒を添加し、先に添加した非極性溶媒を加熱減圧留去することにより、アラミドシリコーンポリマーがアミド系溶媒に溶解した溶液を得ることができる。そして、必要に応じて、アミド系溶媒を加熱減圧留去することにより、固体状のアラミドシリコーンポリマーを得ることができる。
常温重縮合法では、反応系からのアラミドシリコーンポリマーの回収のためにメタノール等の再沈殿溶媒を多量に反応系に添加する必要がない。したがって、常温重縮合法は環境負荷が低く、低コストで、更に、アラミドシリコーンポリマーの生産性にも優れる。
本発明において使用される(B)アミド反応性化合物は、アミド基と反応しうる官能基を有する化合物であれば任意である。
(B)アミド反応性化合物は多官能性化合物が好ましい。(B)アミド反応性化合物としては、例えば、エポキシ基を有するエポキシ含有化合物の他に、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン−ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂等のアミド基と反応しうる官能基を有する熱硬化性樹脂が挙げられる。(B)アミド反応性化合物としては、エポキシ含有化合物が好ましく、多官能性エポキシ含有化合物がより好ましい。(B)アミド反応性化合物としてエポキシ含有化合物、特に多官能性エポキシ含有化合物を用いることにより、本発明の熱硬化性組成物の硬化物の耐熱性だけでなく機械的特性を向上させることができる。
エポキシ含有化合物としてはグリシジル基を有するものが好ましく、複数のグリシジル基を有するものがより好ましい。エポキシ含有化合物としては、例えば、1,3-ビス(グリシドキシプロピルジメチルシリル)テトラメチルジシロキサン等のエポキシ変性シリコーン;ビスフェノールA、ノボラック型フェノール樹脂、オルトクレゾールノボラック型フェノール樹脂等の多価フェノール及びエピクロルヒドリンを反応させてなるエポキシ樹脂;1,4-ブタンジオール等の多価アルコール及びエピクロルヒドリンを反応させてなるエポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の(ジ又はポリ)グリシジルエーテル;フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多塩基酸及びエピクロルヒドリンを反応させてなる(ジ又はポリ)グリシジルエステル;アミン、アミド、窒素原子含有複素環式化合物等のN−グリシジル誘導体等を挙げることができる。
(A)アラミドシリコーンコポリマー及び(B)アミド反応性化合物の使用割合は限定されるものではないが、例えば、(A)アラミドシリコーンコポリマー100質量部に対して1〜200質量部の範囲で使用することができる。したがって、本発明の熱硬化性組成物は、100質量部の(A)アラミドシリコーンポリマーに対して、1〜200質量部の(B)アミド反応性化合物を含むことができる。(B)アミド反応性化合物の使用量が多いと(A)アラミドシリコーンポリマーの優れた耐熱性を損なうおそれがあるので、(B)アミド反応性化合物は(A)アラミドシリコーンコポリマー100質量部に対して1〜20質量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明で使用される(C)硬化促進剤は、(A)アラミドシリコーンコポリマー及び(B)アミド反応性化合物の反応を促進可能なものであれば任意である。
(C)硬化促進剤としては、例えば、アルキル基置換イミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール誘導体が挙げられる。エチルイミダゾールが好ましい。(C)硬化促進剤の使用量は限定されるものではないが、例えば、(A)アラミドシリコーンコポリマー100重量部に対して0.001〜10質量部の範囲で使用することができる。したがって、本発明の熱硬化性組成物は、100質量部の(A)アラミドシリコーンポリマーに対して、0.001〜10質量部の(C)硬化促進剤を含むことができる。(C)硬化促進剤の配合量が上記範囲より少ない場合は硬化が不充分となり、本発明の熱硬化性組成物の硬化物の耐熱性が低下するおそれがある。一方、(C)硬化促進剤の配合量が上記範囲より多い揚合は残存する(C)硬化促進剤により前記硬化物の電気的特性が低下するおそれがある。
本発明の熱硬化性組成物は、更に、(D)硬化触媒を含むことができる。特に、(B)アミド反応性化合物としてエポキシ含有化合物を使用する場合に、(D)硬化触媒を使用することが好ましい。(D)硬化触媒としては、例えば、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等のアミン又はその誘導体;ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA及びこれらのハロゲン化物、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等の多官能フェノール類等の多価フェノール又はその誘導体;無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルハイミック酸等の多価カルボン酸又はその誘導体が挙げられる。(D)硬化触媒の使用量は限定されるものではないが、例えば、(B)アミド反応性化合物としてエポキシ含有化合物を使用する場合は、エポキシ含有化合物のエポキシ当量に応じて決定することができる。例えば、(D)硬化触媒としてアミン又はその誘導体を用いる場合、アミンの活性水素の当量と、エポキシ含有化合物のエポキシ当量が等しくなるように(D)硬化触媒を配合することが好ましい。一方、(D)硬化触媒として多価フェノール又はその誘導体、或いは、多価カルボン酸又はその誘導体を用いる場合、(D)硬化触媒の配合量は、エポキシ含有化合物1当量に対して、フェノール性水酸基又はカルボキシル基が0.6〜1.2当量となる量とすることが好ましい。
具体的には、(D)硬化触媒は、例えば、(A)アラミドシリコーンコポリマー100重量部に対して0.001〜10質量部の範囲で使用することができる。したがって、本発明の熱硬化性組成物は、100質量部の(A)アラミドシリコーンポリマーに対して、0.001〜10質量部の(D)硬化触媒を含むことができる。(D)硬化触媒の配合量が上記範囲より少ない場合は硬化が不充分となり、本発明の熱硬化性組成物の硬化物の耐熱性が低下するおそれがある。一方、(D)硬化触媒の配合量が上記範囲より多い揚合は残存する(D)硬化触媒により前記硬化物の電気的特性が低下するおそれがある。
本発明の熱硬化性組成物は、(A)アラミドシリコーンポリマー、(B)アミド反応性化合物、及び、(C)硬化促進剤、並びに、必要に応じて(D)硬化触媒、を公知の手段で混合することによって得ることができる。
本発明の熱硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で任意の成分を含むことができる。例えば、(A)アラミドシリコーンポリマーは一般には固体であるので、硬化反応に実質的に影響を及ぼさない範囲で有機溶媒を本発明の熱硬化性組成物に添加してもよい。前記有機溶媒としては、(A)アラミドシリコーンコポリマーを溶解可能であり、かつ、硬化反応に影響しない限り、任意のものを使用することができる。したがって、有機溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルポキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系溶媒;ヘキサメチルホスホルアミド;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;フェノール、オイゲノール、アリルフェノール等のフェノール類;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;アセチルアセトン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸エチル等のケトエステル類が挙げられる。有機溶媒の添加量も特に限定されるものではないが、例えば、(A)アラミドシリコーンコポリマー100重量部に対して0.001〜10質量部の範囲で使用することができる。
本発明の熱硬化性組成物は、加熱によって硬化する。したがって、本発明の熱硬化性組成物を加熱することによって硬化物を得ることができる。加熱温度は特に限定されるものではないが、室温では硬化速度が小さいので、一般には25℃以上に加熱することが好ましい。加熱温度は30℃〜200℃が好ましく、100℃から200℃がより好ましい。30℃以下では硬化が遅すぎるおそれがあり、200℃以上では硬化物が着色するおそれがある。
したがって、(A)アラミドシリコーンポリマーを、(C)硬化促進剤の存在下、(B)アミド反応性化合物と加熱下で反応させる本発明の架橋反応では、加熱温度は30℃〜200℃が好ましく、100℃から200℃がより好ましい。
このようにして得られた本発明の硬化物は軟化温度が高く、例えば、130℃以上の軟化温度を有することができる。本発明の硬化物は、それ自体で、又は、他の部品と組み合わされて各種の物品として使用することができる。
アラミドシリコーンポリマーは、アラミド部位の高い強度とシリコーン部位の高い生体適合性、気体透過性、耐熱性等の双方の特性を兼ね備えているので、そのような特性が求められる分野に好適に使用することができる。例えば、本発明の熱硬化性組成物は、医療用材料、電子材料として使用することができる。したがって、前記物品としては、例えば、人工血管、血液透析膜、カテーテル、内視鏡、人工臓器等の医療機器、或いは、半導体デバイス、電線・ケーブル等が挙げられる。
本発明に係るアラミドシリコーンポリマーは、上記のようなアラミド部位とシリコーン部位の双方の特性を兼ね備えるため、半導体ウェハー保護フィルム、液晶配向剤、耐熱性接着剤などに好適に使用することができる。さらには、化粧品用ゲル化剤、高酸素透過性コンタクトレンズ材料、電界紡糸ファイバー原料、気体透過膜原料などにも好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に例証するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
4,4'-ジアミノジフェニルエーテル3.2グラム(16ミリモル)、両末端アミノプロピル基封鎖ポリジメチルシロキサン(重合度9)50グラム(54.6ミリモル)、炭酸ナトリウム9.4グラム(88.2ミリモル)、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)220グラム及び水200グラムの混合物を攪拌し、水冷しながら25℃でイソフタル酸ジクロライド14.3グラム(70.6ミリモル)のPGMEA(100グラム)溶液を滴下した。室温で1時間攪拌後、静置して相分離させた。有機層の水洗を繰り返し、有機層を共沸脱水し、固形分濃度20.2重量%、シリコーン含有率80重量%のアラミドシリコーンコポリマーのPGMEA溶液293グラムを得た(収率95%)。この溶液をテフロン(登録商標)皿に移し、加熱オーブン中180℃で1時間静置し、淡褐色でほぼ透明なフィルムを得た。このフィルムの引張強度は11MPa、伸びは600%、軟化温度は70〜130℃であった。
[製造例2]
4,4'-ジアミノジフェニルエーテル1.6グラム(7.8ミリモル)、両末端アミノプロピル基封鎖ポリジメチルシロキサン(重合度9)5グラム(5.6ミリモル)、炭酸ナトリウム1.8グラム(16.8ミリモル)、THF(テトラヒドロフラン)30グラム及び水30グラムの混合物を攪拌し、水冷しながら25℃でイソフタル酸ジクロライド2.7グラム(13.5ミリモル)のTHF(10グラム)溶液を滴下した。25℃で1時間攪拌後、100グラムの水に投入して得た固体状のコポリマーから、トルエン30グラムとの共沸脱水で水を除き、N-メチルピロリドン(NMP)40グラムを投入してさらに共沸脱水を行い、トルエンを加熱減圧留去することで、固形分濃度17.8重量%、シリコーン含有率が60重量%のアラミドシリコーンコポリマーのNMP溶液45.9グラムを得た(収率98.2%)。この溶液をテフロン(登録商標)皿に移し、加熱オーブン中180℃で1時間静置し、淡褐色の白濁したフィルムを得た。このフィルムの引張強度は35.5MPa、伸びは200%であった。
[製造例3]
4,4'-ジアミノジフェニルエーテル2.6グラム(12.9ミリモル)、両末端アミノプロピル基封鎖ポリジメチルシロキサン(重合度9)5グラム(5.6ミリモル)、炭酸ナトリウム2.5グラム(23.1ミリモル)、THF(テトラヒドロフラン)40グラム及び水40グラムの混合物を攪拌し、水冷しながら25℃でイソフタル酸ジクロライド3.8グラム(18.5ミリモル)のTHF(10グラム)溶液を滴下した。25℃で1時間攪拌後、100グラムの水に投入して得た固体状のコポリマーから、トルエン30グラムとの共沸脱水で水を除き、N-メチルピロリドン(NMP)40グラムを投入してさらに共沸脱水を行い、トルエンを加熱減圧留去することで、固形分濃度18.7重量%、シリコーン含有率が50重量%のアラミドシリコーンコポリマーのNMP溶液51グラムを得た(収率95.5%)。この溶液をテフロン(登録商標)皿に移し、加熱オーブン中180℃で1時間静置し、淡褐色の白濁したフィルムを得た。このフィルムの引張強度は45.6MPa、伸びは100%であった。
[実施例1]
製造例1で合成したシリコーン含有率80重量%のアラミドシリコーンコポリマーの20.2重量%PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)溶液15グラム、1,3-ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン0.3グラム(0.83ミリモル)及びエチルイミダゾール0.009グラムを混合し、150℃で3時間加熱し、硬化させた。硬化したコポリマーの引張強度は17MPa、伸びは350%、軟化温度は130℃以上であり、アセトンに不溶であった。
[実施例2]
製造例2で合成したシリコーン含有率60重量%のアラミドシリコーンゴポリマーの17.8重量%NMP溶液10グラム、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル0.1グラム(0.46ミリモル)及びエチルイミダゾール0.008グラムを混合し、180℃で1時間加熱し、硬化させた。硬化したコポリマーの引張強度は37MPa、伸びは150%であり、アセトンに不溶であった。
[実施例3]
製造例3で合成したシリコーン含有率50重量%のアラミドシリコーンコポリマーの18.7重量%NMP溶液10グラム、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル0.1グラム(0.46ミリモル)及びエチルイミダゾール0.009グラムを混合し、180℃で1時間加熱し、硬化させた。硬化したコポリマーの引張強度は46.8MPa、伸びは100%であり、アセトンに不溶であった。
[比較例1]
製造例1で合成したシリコーン含有率80重量%のアラミドシリコーンコポリマーの20.2重量%PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)溶液15グラム、1,3-ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン0.3グラム(0.83ミリモル)を混合し、150℃で3時間加熱し、固体状のコポリマー組成物を得た。しかしながら、このコポリマーは硬化しておらず、アセトンに溶解した。
[比較例2]
実施例1で合成したシリコーン含有率80重量%のアラミドシリコーンコポリマーの20.2重量%PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)溶液15グラム及びエチルイミダゾール0.009グラムを混合し、150℃で3時間加熱し、固体状のコポリマー組成物を得た。しかしながら、このコポリマーは硬化しておらず、アセトンに溶解した。

Claims (13)

  1. (A)アラミドシリコーンポリマー、
    (B)アミド反応性化合物、及び、
    (C)硬化促進剤
    を含む熱硬化性組成物。
  2. 前記(A)アラミドシリコーンポリマーがアルケニル基を有さない、請求項1記載の熱硬化性組成物。
  3. 前記(B)アミド反応性化合物がエポキシ含有化合物である請求項1又は2記載の熱硬化性組成物。
  4. 前記エポキシ含有化合物が、エポキシ変性シリコーン、エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、及び、窒素含有化合物のN−グリシジル誘導体からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項3記載の熱硬化性組成物。
  5. 前記(C)硬化促進剤が、イミダゾール誘導体である、請求項1乃至4のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
  6. 更に、(D)硬化触媒を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
  7. 前記(D)硬化触媒が、アミン又はその誘導体、多価フェノール又はその誘導体、及び、多価カルボン酸又はその誘導体からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項6記載の熱硬化性組成物。
  8. 100質量部の前記(A)アラミドシリコーンポリマーに対して、1〜200質量部の前記(B)アミド反応性化合物を含む、請求項1乃至7のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
  9. 100質量部の前記(A)アラミドシリコーンポリマーに対して、0.001〜10質量部の前記(C)硬化促進剤を含む、請求項1乃至8のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
  10. 100質量部の前記(A)アラミドシリコーンポリマーに対して、0.001〜10質量部の前記(D)硬化触媒を含む、請求項6乃至9のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の熱硬化性組成物を硬化して得られる硬化物。
  12. 請求項11記載の硬化物を含む物品。
  13. (A)アラミドシリコーンポリマーを、(C)硬化促進剤の存在下、(B)アミド反応性化合物と加熱下で反応させる、アラミドシリコーンポリマーの架橋方法。
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