JP4596784B2 - 電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムとその利用 - Google Patents

電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムとその利用 Download PDF

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Description

本発明は、電池の製造に有用であると共に、そのように製造した電池において、高温環境下においても、電極との接着性にすぐれて、融解や破膜することなく、しかも、熱収縮の小さいセパレータとして機能し、従って、安全性にすぐれる電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムと、そのような反応性ポリマー担持多孔質フィルムを用いる電池の製造方法に関する。
従来、電池の製造方法として、正極と負極との間にこれら電極間の短絡を防止するためのセパレータを挟んで積層し、又は正(負)極、セパレータ、負(正)極及びセパレータをこの順序に積層し、捲回して、電極/セパレータ積層体とし、この電極/セパレータ積層体を電池容器内に仕込んだ後、この電池容器内に電解液を注入して、封口する方法が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかし、このようにして得られる電池によれば、その使用時に電極が膨張又は収縮して、電極とセパレータとの間の密着性が悪くなって、電池特性が低下したり、また、内部短絡を生じて、電池が発熱昇温し、場合によっては、セパレータが融解、破膜するおそれさえあった。
他方、特に、積層型の電池の製造においては、多くの場合、ポリフッ化ビニリデン樹脂溶液を接着剤として用いて、電極とセパレータとを接着した後、減圧下に上記樹脂溶液に用いた溶剤を除去する方法が採用されている。しかし、このような方法によれば、工程が煩雑であるうえに、得られる製品の品質が安定し難く、更に、電極とセパレータとの接着が十分ではないという問題もあった(例えば、特許文献3参照)。
また、電池用セパレータのための多孔質フィルムは、従来、種々の製造方法が知られている。一つの方法として、例えば、ポリオレフィン樹脂からなるシートを製造し、これを高倍率延伸する方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかし、このように高倍率延伸して得られる多孔質膜からなる電池用セパレータは、電池が内部短絡等によって異常昇温した場合のような高温環境下においては、著しく収縮し、場合によっては、電極間の隔壁として機能しなくなるという問題がある。
そこで、電池の安全性を向上させるために、このような高温環境下での電池用セパレータの耐熱性の向上と熱収縮率の低減が重要な課題とされている。この点に関して、高温環境下での電池用セパレータの熱収縮を抑制するために、例えば、超高分子量ポリエチレンと可塑剤を溶融混練し、ダイスからシート状に押し出した後、可塑剤を抽出、除去して、電池用セパレータに用いる多孔質膜を製造する方法も知られている(特許文献5参照)。しかし、この方法によれば、上記の方法と反対に、得られる多孔質膜は、延伸を経ていないので、強度において十分でない問題がある。
即ち、従来、このように、高温環境下において、耐熱性にすぐれて、融解、破膜せず、しかも、熱収縮率の小さいセパレータ用多孔質フィルムは、従来、知られていない。
特開平09−161814号公報 特開平11−329439号公報 特開平10−172606号公報 特開平09−012756号公報 特開平05−310989号公報
本発明は、セパレータに電極を接着してなる電池の製造における上述したような問題を解決するためになされたものであって、高温環境下においても、電極との間に十分な接着性を有して、融解や破膜することなく、しかも、熱収縮の小さいセパレータとして機能し、従って、安全性にすぐれる電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムを提供することを目的とする。更に、本発明は、そのような反応性ポリマー担持多孔質フィルムを用いる電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、針入プローブ式熱機械的分析装置を用いて、70gの荷重の下に直径1mmのプローブを多孔質フィルムに載せ、室温から昇温速度2℃/分でこの多孔質フィルムを加熱しながら、その厚みを測定し、その際に、この多孔質フィルムの厚みが上記プローブを載せたときの厚みの1/2になるときの温度が200℃以上である多孔質フィルムを基材多孔質フイルムとし、分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーとポリカルボン酸とを反応させ、一部、架橋させてなる反応性ポリマーを基材多孔質フィルムに担持させてなることを特徴とする電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムが提供される。
特に、本発明においては、上記多孔質フィルムは、好ましくは、少なくとも50万の重量平均分子量を有するポリオレフィン樹脂と分子鎖中に二重結合を有する架橋性ゴムとのポリオレフィン樹脂組成物からなり、上記架橋性ゴムを架橋させてなるものである。
また、本発明によれば、分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーとポリカルボン酸とを基材多孔質フィルムに担持させ、上記反応性基の一部をポリカルボン酸と反応させ、反応性ポリマーを一部架橋させ、かくして、基材多孔質フィルム上で反応性ポリマーを形成させることを特徹とする上記電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムの製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、上述した反応性ポリマー担持多孔質フィルムに電極を積層して、電極/反応性ポリマー担持多孔質フィルム積層体を得、この電極/反応性ポリマー担持多孔質フィルム積層体を電池容器内に仕込んだ後、カチオン重合触媒を含む電解液を上記電池容器内に注入して、少なくとも多孔質フィルムと電極との界面の近傍にて、上記反応性ポリマーの少なくとも一部を電解液中で膨潤させ、又は電解液中に溶出させ、カチオン重合させて、電解液の少なくとも一部をゲル化させて、多孔質フィルムと電極を接着することを特徴とする電池の製造方法が提供される。
本発明による電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムは、分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーのそれら反応性基の一部をポリカルボン酸と反応させ、架橋性ポリマーを一部、架橋させて、反応性ポリマーとし、これを基材多孔質フィルムに担持させてなるものであり、ここに、上記基材多孔質フィルムは、針入プローブ式熱機械的分析装置を用いて、70gの荷重の下に直径1mmのプローブを多孔質フィルムに載せ、室温から昇温速度2℃/分でこの多孔質フィルムを加熱しながら、その厚みを測定し、その際に、この多孔質フィルムの厚みが上記プローブを載せたときの厚みの1/2になるときの温度が200℃以上であるという熱特性を有するものである。特に、本発明によれば、このような基材多孔質フィルムとしては、重量平均分子量が少なくとも50万のポリオレフィン樹脂と分子鎖中に二重結合を有する架橋性ゴムとのポリオレフィン樹脂組成物からなり、上記架橋性ゴムを架橋させてなるものが好ましい。
従って、このような反応性ポリマー担持多孔質フィルムに電極を積層して、電極/反応性ポリマー担持多孔質フィルム積層体とし、これを電池容器内に仕込んだ後、カチオン重合触媒を含む電解液を上記電池容器内に注入して、少なくとも多孔質フィルムと電極との界面の近傍にて、上記反応性ポリマーの少なくとも一部を電解液中で膨潤させ、又は電解液中に溶出させ、反応性ポリマーの有する残存反応性基をカチオン重合させ、反応性ポリマーを更に架橋させて、電解液の少なくとも一部をゲル化させることによって、多孔質フィルムと電極を強固に接着させて、電極/多孔質フィルム接合体を得ることができる。
ここに、本発明の反応性ポリマー担持多孔質フィルムによれば、反応性ポリマーが予め、一部、架橋されているので、電極/反応性ポリマー担持多孔質フィルム積層体が電解液中への浸漬時に、反応性ポリマーが電極/反応性ポリマー担持多孔質フィルム積層体からの電解液中への溶出、拡散が抑制されると共に、反応性ポリマーが膨潤し、その結果、少量の反応性ポリマーを用いることによって、電極を多孔質フィルム(セパレータ)に接着することができると共に、多孔質フィルムがイオン透過性にすぐれて、セパレータとしてよく機能する。また、反応性ポリマーが電解液に過度に溶出、拡散して、電解液に有害な影響を与えることもない。
更に、本発明によれば、接着剤担持多孔質フィルムにおける多孔質フィルムは、上述したように、好ましくは、重量平均分子量が少なくとも50万のポリオレフィン樹脂と分子鎖中に二重結合を有する架橋性ゴムとのポリオレフィン樹脂組成物からなり、上記架橋性ゴムを架橋させてなるものであって、耐熱温度が200℃以上であるので、電池の製造後は、それ自体、高温下において、融解や破膜することなく、しかも、熱収縮の小さいセパレータとして機能し、かくして、本発明による接着剤担持多孔質フィルムを用いることによって、高温での安全性にすぐれる電池を得ることができる。
本発明による電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムは、針入プローブ式熱機械的分析装置を用いて、70gの荷重の下に直径1mmのプローブを多孔質フィルムに載せ、室温から昇温速度2℃/分でこの多孔質フィルムを加熱しながら、その厚みを測定し、その際に、この多孔質フィルムの厚みが上記プローブを載せたときの厚みの1/2になるときの温度が200℃以上である多孔質フィルムを基材多孔質フィルムとし、分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーとポリカルボン酸とを反応させ、一部、架橋させてなる反応性ポリマーを基材多孔質フイルムに担持させてなるものである。
本発明によれば、上記基材多孔質フィルムは、好ましくは、重量平均分子量が少なくとも50万のポリオレフィン樹脂と分子鎖中に二重結合を有する架橋性ゴムとのポリオレフィン樹脂組成物からなり、上記架橋性ゴムを架橋させてなるものである。
即ち、本発明によれば、上述したような熱特性を有する基材多孔質フィルムに分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーとポリカルボン酸とを反応させ、一部、架橋させてなる反応性ポリマーを担時させて、電池用セパレータのための反応性ポリマー担時多孔質フイルムとし、この多孔質フィルムが後述するようにセパレータとして機能する電池とすれば、このセパレータは、高温下においても、容易に融解、破膜せず、その厚みを維持すると共に、熱収縮率が小さく、電極間の短絡をよく防ぐので、電池の安全性を向上させることができる。
ここで、針入プローブ式熱機械的分析装置を用いる基材多孔質フィルムの厚みの測定について説明する。先ず、荷重が加えられている直径1mmの円筒形のプローブの先端を多孔質フィルム上に載せると、その多孔質フィルムは、そのプローブの先端と接触している部分において、プローブからの荷重によって、その厚みが幾分減少する。このときの多孔質フィルムの厚みを初期厚みということとする。その後、多孔質フィルムの温度が上昇するにつれて、その厚みが少しずつ減少するが、多孔質フィルムを構成する樹脂が溶融し、又は半溶融状態になるときに大きい厚みの減少が生じ、次に、その後の収縮のために、厚みが少し戻る現象がみられる。更に、多孔質フィルムを加熱し続けると、上記収縮のための厚みの増加の後、再度、厚みの減少が始まる。そこで、本発明によれば、多孔質フィルムの厚みが減少を続けて、上記初期厚みの1/2となったときの多孔質フィルムの温度をその多孔質フィルムの耐熱温度と定義することとする。この耐熱温度が高ければ、多孔質フィルムは、より高い温度まで、融解、破膜することなく、その厚みを維持することができ、従って、そのような多孔質フィルムをセパレータとして用いることによって、高温環境下における安全性にすぐれる電池を得ることができる。
従って、本発明によれは、基材多孔質フィルムは、上記熱特性に加えて、耐溶剤性や耐酸化還元性を有すれば、特に、限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド、セルロースアセテート、ポリアクリロニトリル等からなる多孔質フィルムを用いることができる。
しかし、本発明によれは、基材多孔質フィルムとしては、特に、重量平均分子量50万以上のポリオレフィン樹脂と分子鎖に二重結合を有する架橋性ゴムとのポリオレフィン樹脂組成物からなり、上記架橋性ゴムを架橋させてなる多孔質フィルムが好適に用いられる。上記ポリオレフィン樹脂組成物は、必要に応じて、重量平均分子量が50万よりも小さいポリオレフィン樹脂又は熱可塑性エラストマーを含んでいてもよい。
上記重量平均分子量が50万以上のポリオレフイン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらのポリオレフィン樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。しかし、本発明によれば、これらのなかでも、特に、得られる多孔質フィルムが高強度を有するところから、重量平均分子量が50万以上の超高分子量ポリエチレン樹脂が好ましく用いられる。
また、上記架橋性ゴムとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の分子中に二重結合を有するジエン系重合体や、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーのように分子中に二重結合を有する三元共重合体等が好ましく用いられる。エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体において、ジエンモノマーとしては、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ヘキサジエン等が挙げられるが、これらのなかでは、架橋反応性の点から、エチリデンノルボルネンが好ましく用いられる。即ち、エチリデンノルボルネンを構成成分とする三元共重合体は架橋反応性にすぐれており、得られる多孔質フィルムの耐熱性をより確実に向上させることができる。また、このように、例えば、エチリデンノルボルネンを構成成分とする三元共重合体は、ジエンモノマーに由来する脂環式構造と二重結合とを有するが、その二重結合の一部を水素添加したものも用いることができる。また、これらの三元共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれであってもよい。このような三元共重合体は、各種EPDMとして市販されている。
このような三元共重合体を十分に架橋させるには、三元共重合体におけるジエンモノマー成分の割合は、エチレン、プロピレン及びジエンモノマーの全重量に基づいて3重量%以上が好ましく、4〜20重量%の範囲が特に好ましい。特に、本発明によれば、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー成分の割合が重量比で、0.5〜0.75/0.05〜0.47/0.03〜0.2である三元共重合体が好ましく用いられる。
また、ノルボルネンの開環重合体であるポリノルボルネンは、分子中に二重結合を有するガラス転移点が約35℃の重合体であって、それ自体はゴム状ではないが、芳香族系油、ナフテン系油、パラフィン系油等の油類を配合してなる組成物は、ガラス転移点が約−60℃程度であって、弾性体を性質を備えており、種々のゴムの改質剤等として用いられるが、本発明においても、架橋性重合体として好適に用いることができるので、上記架橋性ゴムに含めることとする。
重量平均分子量が50万よりも小さいポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、エチレン−アクリルモノマー共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系やポリオレフィン系、ポリジエン系、塩化ビニル系、ポリエステル系等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。このような重量平均分子量が50万よりも小さいポリオレフィン樹脂は、その重量平均分子量の下限は、特に限定されるものではないが、通常、2万程度である。これらのポリオレフィン樹脂や熱可塑性エラストマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、上記熱可塑性エラストマーのうち、分子中に二重結合を有するものを架橋性ゴムとして用いることもできる。
本発明によれば、重量平均分子量が50万よりも小さいポリオレフィン樹脂としては、これらのなかでも、特に、低融点のポリエチレン樹脂、結晶性を有するポリオレフィン系エラストマー、溶融温度の低いポリメタクリル酸エステル類を側鎖に有するグラフト共重合体等が低いシャットダウン温度をもたらす点で好ましい。
本発明によれば、基材多孔質フィルムには、前述したように、重量平均分子量が50万以上のポリオレフィン樹脂と分子鎖に二重結合を有する架橋性ゴムとのポリオレフィン樹脂組成物からなり、上記架橋性ゴムを架橋させてなるものが好適に用いられるが、ここに、上記ポリオレフィン樹脂組成物において、重量平均分子量が50万以上のポリオレフィン樹脂の割合は、このポリオレフィン樹脂組成物から得られる多孔質フィルムの強度や他の成分とのバランスを考慮すると、ポリオレフィン樹脂組成物中、5〜95重量%の範囲が好ましく、特に、10〜90重量%の範囲が好ましい。他方、上記ポリオレフィン樹脂組成物において、架橋性ゴムの割合は、3重量%以上であり、特に、5〜35重量%の範囲が好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂組成物において、架橋性ゴムの割合が3重量%よりも少ないときは、この架橋性ゴムの架橋によっても、得られる多孔質フィルムが耐熱性において十分に改善されないおそれがある。
更に、本発明によれば、多孔質フィルムを製造するためのポリオレフィン樹脂組成物は、必要に応じて、重量平均分子量が50万よりも小さいポリオレフィン樹脂や熱可塑性エラストマーを含んでいてもよく、この場合、それらの割合は、重合体組成物において、合計量にて1〜50重量%の範囲であることが好ましい。このような成分を基材多孔質フィルムに有せしめることによって、得られる多孔質フィルムは、より低温でシャットダウン機能を有する。
次に、上述したような重量平均分子量が少なくとも50万のポリオレフィン樹脂と分子鎖中に二重結合を有する架橋性ゴムとのポリオレフィン樹脂組成物からなり、上記架橋性ゴムを架橋させてなる多孔質フィルムの製造について説明する。このような多孔質フィルムは、従来より知られている乾式製膜法、湿式製膜法等の適宜の方法によって製膜した後、フィルム中の架橋性ゴムを架橋させることによって得ることができる。
即ち、例えば、前記ポリオレフィン樹脂組成物を溶媒と混合し、混練、加熱溶解して、スラリー状の混練物となした後、これを適宜の手段を用いてシートに成形し、このシートを圧延し、更に、一軸又は二軸延伸して、フィルムとした後、このフィルムから溶媒を抽出除去すれば、多孔質フィルムを得ることができる。次いで、この多孔質フィルムが有する架橋性ゴムの二重結合を利用して、この架橋性ゴムを架橋させることによって、多孔質フィルムに所要の耐熱性を有せしめることができる。
多孔質フィルムの製造において、上記スラリー状混練物を得るための溶媒としては、例えば、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、デカリン、流動パラフィン等の脂肪族又は脂環式の炭化水素のほか、沸点がこれらの溶媒に対応する鉱油留分等が用いられるが、なかでも、流動パラフィン等の脂環式炭化水素を多く含む不揮発性溶媒が好ましく用いられる。
スラリー状混練物における前記ポリオレフィン樹脂組成物の割合は、5〜30重量%の範囲が好ましく、10〜30重量%の範囲がより好ましく、10〜25重量%が最も好ましい。即ち、スラリー状混練物における前記ポリオレフィン樹脂組成物の割合は、得られる多孔質フィルムの強度を向上させる観点から、5重量%以上が好ましく、他方、重量平均分子量が50万以上のポリオレフイン樹脂を十分に溶媒に溶解させて、伸び切り状態近くまで混練することができ、ポリマー鎖の十分な絡み合いが得られるように、30重量%以下が好ましい。また、上記混練物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、造核剤、顔料、帯電防止剤等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
前記ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒とを混合、混練して、スラリー状混練物とし、これをシートに成形するには、従来より知られている適宜の方法を用いることができる。例えば、前記ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒とをバンバリーミキサー、ニーダー等を用いてバッチ式で混練りし、かくして、得られた混練物を冷却した一対のロール間にて圧延し、又は冷却した一対の金属板の間に挟み、冷却して、急冷結晶化によりシートとしてもよく、また、Tダイ等を取り付けた押出機等を用いて、シートに成形してもよい。混練の温度は、特に、限定されないが、好ましくは、100〜200℃の範囲である。
このようにして得られるシートの厚みとしては、特に、限定されないが、通常、3〜20mmの範囲が好ましく、更に、得られたシートをヒートプレス等を用いて圧延して、0.5〜3mmの厚みにしてもよい。この圧延は、通常、100〜140℃の温度で行うのが好ましい。また、得られたシートを延伸するには、特に、限定されるものではないが、通常のテンター法、ロール法、インフレーション法又はこれらの方法の組合わせを用いてもよく、また、一軸延伸、二軸延伸等のいずれの方式をも採用することができる。二軸延伸の場合は、縦横同時延伸又は逐次延伸のいずれでもよい。延伸処理の温度は、100〜140℃の範囲であることが好ましい。
脱溶媒処理は、シートから溶媒を除去して、多孔質構造を形成させる処理であり、例えば、シートを溶媒で洗浄して、残留する溶媒を除去することにより行うことができる。溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水索、三フッ化エタン等のフッ素化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の易揮発性溶媒が用いられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いられる。このような溶媒を用いるシートの脱溶媒処理は、例えば、シートを溶媒中に浸漬したり、また、溶媒をシートにシャワーして行われる。
本発明によれば、このようにして、前記ポリオレフィン樹脂組成物から多孔質フィルムを得た後、その熱収縮性を低減するために、熱処理を行うのが好ましい。この熱処理は、多孔質フィルムを一回加熱する一段式熱処理でもよく、また、最初、比較的低い温度で加熱し、次いで、より高い温度で加熱する多段式熱処理でもよい。また、多孔質フィルムを昇温しながら加熱する昇温式熱処理でもよい。但し、この熱処理は、多孔質フィルムが本来、有する望ましい特性、例えば、通気度等を損なうことのないように行うことが望ましい。
上記一段式熱処埋の場合には、その加熱温度は、多孔質フィルムの組成にもよるが、40〜140℃の範囲が好ましい。また、比較的低い温度から加熱を開始し、その後、加熱温度を高める昇温式又は多段式熱処理によれば、多孔質フィルム中の架橋性ゴムの架橋を兼ねることができ、多孔質フィルムの耐熱性が次第に向上するので、通気度等の本来、多孔質フィルムが有する望ましい性質を加熱によって損なうことなく、熱処理することができ、しかも、短時間で所要の熱処理を行うことができる。特に、多段式熱処理において、最初の加熱温度は、多孔質フィルムの組成にもよるが、好ましくは、40〜90℃の範囲であり、2段目の加熱温度は、多孔質フィルムの組成にもよるが、好ましくは、90〜140℃の範囲である。
本発明によれば、上記熱処理工程において、又はその前後において、得られる多孔質フィルムの耐熱性を高めるために、前述したように、多孔質フィルム中の架橋性ゴムを架橋させる。このような架橋性ゴムの架橋によって、得られる多孔質フィルムの高温での耐熱性(耐破膜性)を格段に向上させることができる。前述したように、多孔質フィルムの熱処理を兼ねて、多孔質フィルム中の架橋性ゴムを架橋させるのが生産性の観点からも好ましく、かくして、多孔質フィルムの熱処理を兼ねて、多孔質フィルム中の架橋性ゴムを架橋させることによって、多孔質フィルムの熱収縮性を低減すると同時に、多孔質フィルムの耐熱性を格段に改善することができる。
ここに、得られた多孔質フィルム中の架橋性ゴムを架橋させるには、酸素、オゾン、酸素化合物等の存在下に、多孔質フィルムを加熱して、架橋性ゴムに架橋反応を行わせればよいが、なかでも、酸素存在下に、従って、例えば、空気中で多孔質フィルムを加熱し、又は紫外線や電子線を照射して、架橋性ゴムに架橋させるのが好ましい。また、必要に応じて、従来より知られている過酸化物を併用して、目的とする架橋反応を促進させることもできる。勿論、必要に応じて、複数の架橋法を併用してもよい。
本発明において、基材多孔膜フィルムは、電池の製造後にはセパレータとして機能するものであるので、膜厚1〜60μmの範囲のものがよく、特に、膜厚5〜50μmの範囲のものがよい。膜厚が1μmよりも薄いときは、強度が不十分であって、電池においてセパレータとして用いた場合に内部短絡を起こすおそれがあり、他方、60μmを越えるときは、電極間距離が大きすぎて、電池の内部抵抗が過大となる。また、基材多孔質フィルムは、平均孔径0.01〜5μmの細孔を有し、その空孔率が20〜80%の範囲にあるのがよく、特に、25〜75%の範囲にあるのがよい。更に、基材多孔質フィルムは、JIS P 8117に準拠して求めた通気度が100〜1000秒/100ccの範囲にあるのがよく、特に、100〜900秒/100ccの範囲にあるのがよい。
本発明による電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムは、分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーとポリカルボン酸とを反応させ、一部、架橋させてなる反応性ポリマーを上述したような基材多孔質フィルムに担持させてなるものである。
更に、本発明によれば、架橋性ポリマーは、分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有するポリマーをいい、好ましくは、3−オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマーとエポキシ基を有するラジカル重合性モノマーとから選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとのラジカル共重合体である。
特に、好ましくは、本発明において、架橋性ポリマーは、分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とを有するポリマーか、又は分子中にエポキシ基を有するポリマーをいい、従って、このような架橋性ポリマーは、好ましくは、3−オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマーとエポキシ基を有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとのラジカル共重合か、又はエポキシ基を有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとのラジカル共重合によって得ることができる。
既に知られているように、3−オキセタニル基やエポキシ基はカルボキシル基と反応し得ると共に、カチオン重合し得る。本発明によれば、3−オキセタニル基とエポキシ基のこのような反応性を利用して、分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーを先ず、これらの反応性基によってポリカルボン酸と反応させ、一部、架橋させてなる反応性ポリマーとし、これを基材多孔質フィルムに担持させて、電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムとする。
更に、本発明によれば、後述するように、このような反応性ポリマー担持多孔質フィルムに電極を積層して、電極/多孔質フィルム積層体とし、これをカチオン重合触媒を含む電解液、好ましくは、カチオン重合触媒を兼ねる電解質を含む電解液中に浸漬して、前記多孔質フィルム上の部分架橋させた架橋性ポリマー、即ち、反応性ポリマーの少なくとも一部を電解液中で膨潤させ、又は電解液中に溶出、拡散させて、反応性ポリマーをそれが有する残存反応性基のカチオン重合によって更に架橋させ、多孔質フィルムと電極との界面の近傍で電解液をゲル化させることによって、電極と多孔質フィルムを接着させる。
本発明によれば、分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーを得る際に、3−オキセタニル基含有ラジカル重合性モノマー及び/又はエポキシ基含有ラジカル重合性モノマーは、その反応性基の合計量が全モノマー量の5〜50重量%、好ましくは、10〜30重量%の範囲となるように用いられる。従って、3−オキセタニル基を含有する架橋性ポリマーを得る場合であれば、3−オキセタニル基含有ラジカル重合性モノマーは、全モノマー量の5〜50重量%、好ましくは、10〜30重量%の範囲で用いられ、同様に、エポキシ基を含有する架橋性ポリマーを得る場合であれば、エポキシ基含有ラジカル重合性モノマーは、全モノマー量の5〜50重量%、好ましくは、10〜30重量%の範囲で用いられる。
また、3−オキセタニル基含有ラジカル重合性モノマーとエポキシ基含有ラジカル重合性モノマーを併用し、これらを他のラジカル重合性モノマーと共重合させて、3−オキセタニル基とエポキシ基とを共に有する架橋性ポリマーを得る場合にも、3−オキセタニル基含有ラジカル重合性モノマーとエポキシ基含有ラジカル重合性モノマーの合計量が全モノマー量の5〜50重量%、好ましくは、10〜30重量%の範囲であり、更に、3−オキセタニル基含有ラジカル重合性モノマーとエポキシ基含有ラジカル重合性モノマーのうち、エポキシ基含有ラジカル重合性モノマーが90重量%以下であるように用いられる。
3−オキセタニル基含有架橋性ポリマーやエポキシ基含有架橋性ポリマーを得る際に、3−オキセタニル基含有ラジカル重合性モノマーとエポキシ基含有ラジカル重合性モノマーの合計量が全モノマー量の5重量%よりも少ないときは、上述したように、電解液のゲル化に要する架橋性ポリマー量の増大を招くので、得られる電池の性能が低下する。他方、50重量%よりも多いときは、形成されたゲルの電解液の保持性が低下して、得られる電池における電極/セパレータ間の接着性が低下する。
本発明によれば、3−オキセタニル基含有ラジカル重合性モノマーとして、好ましくは、一般式(I)
Figure 0004596784
(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示し、R2 は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を示す。)
で表される3−オキセタニル基含有(メタ)アクリレートが用いられる。
このような3−オキセタニル基含有(メタ)アクリレートの具体例として、例えば、3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ブチル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−へキシル−3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリレートは単独で用いられ、又は2種以上が併用される。
また、本発明によれば、エポキシ基含有ラジカル重合性モノマーとして、好ましくは、一般式(II)
Figure 0004596784
(式中、R3 は水素原子又はメチル基を示し、R4 は式(1)
Figure 0004596784
又は式(2)
Figure 0004596784
で表されるエポキシ基含有基を示す。)
で表されるエポキシ基含有(メタ)アクリレートが用いられる。
このようなエポキシ基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリレートは単独で用いられ、又は2種以上が併用される。
本発明に従って、3−オキセタニル基含有ラジカル重合性モノマー及び/又はエポキシ基含有ラジカル重合性モノマーと共重合させる前記他のラジカル重合性モノマーは、好ましくは、一般式(III)
Figure 0004596784
(式中、R5 は水素原子又はメチル基を示し、Aは炭素原子数2又は3のオキシアルキレン基(好ましくは、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基)を示し、R6 は炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜6のフッ化アルキル基を示し、nは0〜3の整数を示す。)
で表される(メタ)アクリレートと一般式(IV)
Figure 0004596784
(式中、R7 はメチル基又はエチル基を示し、R8 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるビニルエステルから選ばれる少なくとも1種である。
上記一般式(III) で表される(メタ)アクリレートの具体例として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これら以外にも、例えば、
Figure 0004596784
等を挙げることができる。式中、nは0〜3の整数である。
また、上記一般式(IV)で表されるビニルエステルの具体例として、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等を挙げることができる。
分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーは、上述したように、好ましくは、3−オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマーとエポキシ基を有するラジカル重合性モノマーとから選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとをラジカル重合開始剤を用いてラジカル共重合させることによって、ラジカル共重合体として得ることができる。このラジカル共重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等、いずれの重合法によってもよいが、重合の容易さ、分子量の調整、後処理等の点から溶液重合や懸濁重合によるのが好ましい。
上記ラジカル重合開始剤は、特に、限定されるものではないが、例えば、N,N’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルN,N’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が用いられる。また、このラジカル共重合において、必要に応じて、メルカプタン等のような分子量調整剤を用いることができる。
本発明において、架橋性ポリマーは、その重量平均分子量が10000以上であることが好ましい。架橋性ポリマーの重量平均分子量が10000よりも小さいときは、電解液をゲル化するために多量の架橋性ポリマーを必要とするので、得られる電池の特性を低下させる。他方、架橋性ポリマーの重量平均分子量の上限は、特に制限されるものではないが、電解液をゲルとして保持し得るように、300万程度であり、好ましくは、250万程度である。特に、本発明によれば、架橋性ポリマーは、重量平均分子量が100000〜2000000の範囲にあるのが好ましい。
上述したような分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーは、特開2001−176555号公報や特開2002−110245号公報に記載されているように、既に、知られているものである。
本発明による電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムは、上述したような架橋性ポリマーをポリカルボン酸と反応させ、一部、架橋させてなる反応性ポリマーとして、基材多孔質フィルムに担持させたものである。このような架橋性ポリマーのポリカルボン酸による架橋は、例えば、特開平11−43540号公報や特開平11−116663号公報に記載されているように、架橋性ポリマーの有する3−オキセタニル基やエポキシとポリカルボン酸(即ち、カルボキシル基)との反応によるものである。本発明によれば、3−オキセタニル基やエポキシ基の有するこの反応性を利用して、架橋性ポリマーをポリカルボキシルと反応させ、一部、架橋させて、反応性ポリマーとする。
本発明において、架橋性ポリマーを部分架橋させるためのポリカルボン酸は、分子中に2個以上のカルボキシル基を有し、好ましくは、分子中に2〜6個、特に、好ましくは、分子中に2〜4個のカルボキシル基を有する有機化合物である。
分子中に2個のカルボキシル基を有するジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸等の炭素原子数2〜20の直鎖脂肪族飽和ジカルボン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、n−プロピルマロン酸、n−ブチルマロン酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、1,1,3,5−テトラメチルオクチルコハク酸等の炭素原子数3〜20の分岐鎖脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、γ−メチルシトラコン酸、メサコン酸、γ−メチルメサコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等の直鎖又は分岐鎖脂肪族不飽和ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、メチルヘキサヒドロキシフタル酸、メチルヘキサイソフタル酸、メチルヘキサヒドロテレフタル酸、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキセン−1,6−ジカルボン酸、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸、シクロヘキセン−4,5−ジカルボン酸等のテトラヒドロフタル酸、シクロヘキセン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキセン−1,5−ジカルボン酸、シクロヘキセン−3,5−ジカルボン酸等のテトラヒドロイソフタル酸、シクロヘキセン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキセン−3,6−ジカルボン酸等のテトラヒドロテレフタル酸、1,3−シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−1,6−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−2,3−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−5,6−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,6−ジカルボン酸等のジヒドロフタル酸、1,3−シクロヘキサジエン−1,3−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−3,5−ジカルボン酸等のジヒドロイソフタル酸、1,3−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサジエン−2,5−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサジエン−3,6−ジカルボン酸等のジヒドロテレフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、エンドシス−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、メチル−エンドシス−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸等の飽和又は不飽和カルボン酸、クロレンディック酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、3−メチルフタル酸、3−エチルフタル酸、3−n−プロピルフタル酸、3−イソプロピルフタル酸、3−n−ブチルフタル酸、3−イソブチルフタル酸、3−s−ブチルフタル酸、3−t−ブチルフタル酸等の3−アルキルフタル酸、2−メチルフタル酸、4−エチルフタル酸、4−n−プロピルフタル酸、4−イソピロピルフタル酸、4−n−ブチルフタル酸、4−イソブチルフタル酸、4−s−ブチルフタル酸、4−t−ブチルフタル酸等の4−アルキルフタル酸、2−メチルイソフタル酸、2−エチルイソフタル酸、2−n−プロピルフタル酸、2−イソピロピルフタル酸、2−n−ブチルフタル酸、2−イソブチルフタル酸、2−s−ブチルフタル酸、2−t−ブチルフタル酸等の2−アルキルフタル酸、4−メチルイソフタル酸、4−エチルイソフタル酸、4−n−プロピルイソフタル酸、4−イソピロピルイソフタル酸、4−n−ブチルイソフタル酸、4−イソブチルイソフタル酸、4−s−ブチルイソフタル酸、4−t−ブチルイソフタル酸等の4−アルキルイソフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−エチルイソフタル酸、5−n−プロピルイソフタル酸、5−イソピロピルイソフタル酸、5−n−ブチルイソフタル酸、5−イソブチルイソフタル酸、5−s−ブチルイソフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸等の5−アルキルイソフタル酸、メチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、n−プロピルテレフタル酸、イソピロピルテレフタル酸、n−ブチルテレフタル酸、イソブチルテレフタル酸、s−ブチルテレフタル酸、t−ブチルテレフタル酸等のアルキルテレフタル酸、ナフタリン−1,2−ジカルボン酸、ナフタリン−1,3−ジカルボン酸、ナフタリン−1,4−ジカルボン酸、ナフタリン−1,5−ジカルボン酸、ナフタリン−1,6−ジカルボン酸、ナフタリン−1,7−ジカルボン酸、ナフタリン−1,8−ジカルボン酸、ナフタリン−2,3−ジカルボン酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン酸、ナフタリン−2,7−ジカルボン酸、アントラセン−1,3−ジカルボン酸、アントラセン−1,4−ジカルボン酸、アントラセン−1,5−ジカルボン酸、アントラセン−1,9−ジカルボン酸、アントラセン−2,3−ジカルボン酸、アントラセン−9,10−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、2,2’−ビス(カルボキシキフェニル)ヘキサフルオロプロパン等を具体例として挙げることができる。
分子中に3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸としては、トリカルバリル酸、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸等の脂肪族トリカルボン酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸等の芳香族トリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の炭素原子数4〜13の脂肪族テトラカルボン酸、マレイン化メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸等の脂環式テトラカルボン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリト酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族テトラカルボン酸、ヘキサヒドロメリト酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリト酸等を具体例として挙げることができる。
また、本発明においては、上述したようなポリカルボン酸とポリオールとのポリオールエステル、好ましくは、ジカルボン酸とジオール、特に、(ポリ)アルキレングリコールやポリメチレンジオールとのジオールエステルもポリカルボン酸として用いることができる。このようなジオールエステルとして、例えば、エチレングリコールジアジペート等を挙げることができる。
更に、本発明において、ポリカルボン酸は、分子中の複数のカルボキシル基を有するポリマーカルボン酸であってもよい。このようなポリマーカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体を挙げることができる。
本発明による電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムは、前記架橋性ポリマーを上述したようなポリカルボン酸と反応させ、一部、架橋させて、反応性ポリマーとし、これを多孔質フィルムに担持させたものである。このように、反応性ポリマーを多孔質フィルムに担持させるには、特に、限定されるものではないが、例えば、架橋性ポリマーをアセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の適宜の溶剤にポリカルボン酸と共に溶解させ、この溶液を基材多孔質フィルムにキャスティング、スプレー塗布等、適宜の手段にて塗布、含浸させた後、乾燥して、用いた溶剤を除去し、次いで、このようにして、架橋性ポリマーとポリカルボン酸とを担持させた多孔質フィルムを適宜の温度に加熱して、上記架橋性ポリマーを上記ポリカルボン酸と反応させ、前述したようにして、架橋性ポリマーを一部、架橋させればよく、このようにして、本発明による電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得る。
本発明によれば、必要に応じて、架橋性ポリマーとポリカルボン酸と共に、触媒としてオニウム塩を多孔質フィルムに担持させてもよい。このようなオニウム塩としては、後述したものを用いることができる。
本発明において、架橋性ポリマーをポリカルボン酸にて部分架橋させた反応性ポリマーを基材多孔質フィルムに担持させる手段、方法は、上記例示に限定されるものではなく、例えば、架橋性ポリマーの溶液を多孔質フィルムに塗布し、乾燥させた後、このような多孔質フィルムにポリカルボン酸の溶液を塗布、含浸し、乾燥させた後、適宜の温度に加熱してもよい。また、架橋性ポリマーとポリカルボン酸とを含む溶液を剥離性シートに塗布し、乾燥させ、これを基材多孔質フィルムに転写した後、適宜の温度に加熱してもよい。
本発明によれば、このようにして、架橋性ポリマーを部分架橋させてなる反応性ポリマーは、1〜90%の範囲のゲル分率、好ましくは、3〜60%の範囲のゲル分率を有することが望ましい。ここに、上記ゲル分率とは、後述するように、部分架橋した反応性ポリマーを担持させた多孔質フィルムをトルエンに温度23℃で7日間浸漬した後、乾燥し、この後、多孔質フィルム上に残存する反応性ポリマーの割合をいう。
このように、架橋性ポリマーをポリカルボン酸と反応させ、一部、架橋させて、1〜90%の範囲のゲル分率を有する反応性ポリマーを得るには、限定されるものではないが、通常、架橋性ポリマーの有する反応性基1モル部に対して、ポリカルボン酸の有するカルボキシル基が0.01〜1.0モル部、好ましくは、0.05〜0.8モル部、特に好ましくは、0.1〜0.7モル部となるように用いると共に、架橋性ポリマーとポリカルボン酸との加熱反応条件を調節すればよく、このようにして、所望のゲル分率を有する反応性ポリマーを得ることができる。
架橋性ポリマーとポリカルボン酸との加熱反応の条件は、所望のゲル分率にもよるが、通常、加熱温度は30〜100℃、好ましくは、40〜80℃の範囲であり、加熱時間は、10分から100時間、好ましくは、1時間から60時間の範囲である。
一例として、架橋性ポリマーの有する反応性基1モル部に対して、ポリカルボン酸の有するカルボキシル基が0.5〜1.0モル部となるように用いると共に、架橋性ポリマーとポリカルボン酸とを50℃で12〜180時間加熱反応させることによって、ゲル分率3〜80%の反応性ポリマーを得ることができる。
反応性ポリマーのゲル分率が1%よりも少ないときは、後述するように、このような反応性ポリマーを担持させた多孔質フィルムに電極を圧着して、電極/多孔質フィルム積層体とし、これを電解液に浸漬したとき、反応性ポリマーの多くが電解液中に溶出、拡散して、反応性ポリマーを更にカチオン重合させ、架橋させても、電極と多孔質フィルムとの間に有効な接着を得ることができない。他方、反応性ポリマーのゲル分率が90%よりも多いときは、電極/多孔質フィルム積層体とし、これを電解液に浸漬したとき、反応性ポリマーの膨潤性が低く、得られる電極/多孔質フィルム接合体を有する電池が高い内部抵抗を有することとなり、電池特性に好ましくない。特に、本発明によれば、反応性ポリマーのゲル分率は、前述したように、好ましくは、1〜90%の範囲であり、好ましくは、3〜60%の範囲であり、最も好ましくは、5〜50%の範囲である。
このように、本発明に従って、架橋性ポリマーにポリカルボン酸を反応させて、その一部を反応、架橋させて、上記ゲル分率を有せしめた反応性ポリマーは、電解液に浸漬されたときにも、電解液中への溶出、拡散が抑制される。従って、このような反応性ポリマーを多孔質フィルムに担持させ、これに電極を積層して、電極/多孔質フィルム積層体とし、これを電池容器内に仕込んだ後、この電池容器にカチオン重合触媒を含む電解質を含む電解液を注入すれば、多孔質フィルムと電極との界面の近傍にて、上記電極/多孔質フィルム積層体における反応性ポリマーの一部のみが電解液中で膨潤し、又は電解液中に溶出して、前述したポリカルボン酸による部分架橋に用いられなかった残存反応性基によって、反応性ポリマーは、電解液中のカチオン重合触媒、好ましくは、カチオン重合触媒を兼ねる電解質によってカチオン重合し、更に、架橋し、電解液をゲル化して、電極を多孔質フィルムに密着性よく強固に接着し、かくして、電極/多孔質フィルム(即ち、得られる電池におけるセパレータ)接合体を得ることができる。
即ち、本発明によれば、部分架橋させた反応性ポリマーは、上記範囲のゲル分率を有し、従って、電解液中に浸漬されても、電解液中への溶出、拡散が防止され、又は低減されて、電極と多孔質フィルムとの接着に有効に用いられるので、比較的少量の反応性ポリマーの使用によって、電極と多孔質フィルムとを安定して、しかも、より強固に接着することができる。
このように、本発明による反応性ポリマー担持多孔質フィルムは、電池の製造に好適に用いることができる。即ち、電池に組み込まれた後は、セパレータとして機能し、本発明によれば、この多孔質フィルム(即ち、セパレータ)は、高温下においても、面積熱収縮率が小さく、通常、25%以下であり、好ましくは、20%以下である。以下に、このような反応性ポリマー担持多孔質フィルムを用いる本発明による電池の製造方法について説明する。
先ず、電極を上記反応性ポリマー担持多孔質フィルムに積層し、又は捲回して、電極/反応性ポリマー担持多孔質フィルム積層体を得、次いで、この積層体を金属缶やラミネートフィルム等からなる電池容器内に仕込み、端子の溶接等が必要な場合にはこれを行った後、この電池容器内にカチオン重合触媒を溶解させた電解液を所定量注入し、電池容器を密封、封口して、反応性ポリマー担持多孔質フィルムに担持させた反応性ポリマーを少なくとも多孔質フィルムと電極との界面の近傍にてその少なくとも一部を電解液中で膨潤させ、又は電解液中に溶出、拡散させて、カチオン重合によって架橋させ、電解液の少なくとも一部をゲル化させて、電極を多孔質フィルムと接着し、かくして、多孔質フィルムをセパレータとし、このセパレータに電極が強固に接着された電池を得ることができる。
本発明においては、反応性ポリマーは、その反応性基のカチオン重合による架橋によって、少なくとも多孔質フィルムと電極との界面の近傍にて電解液をゲル化させて、電極と多孔質フィルムとを接着するように機能する。
本発明において、反応性ポリマーは、その構造や多孔質フィルムへの担持量、カチオン重合触媒の種類や量にもよるが、常温においてもカチオン重合させ、架橋させることもできるが、しかし、加熱することによって、カチオン重合を促進することができる。この場合、電池を構成する材料の耐熱性や生産性との兼ね合いにもよるが、通常、40〜100℃程度の温度で0.5〜48時間程度加熱すればよい。また、電極を多孔質フィルムに接着させるに足る量のポリマーを膨潤させ、又は溶出、拡散させるために、電池容器内に電解液を注入した後、常温で数時間程度、放置してもよい。
本発明において、電極/反応性ポリマー担持多孔質フィルム積層体は、反応性ポリマー担持多孔質フィルムに電極が積層されておればよく、従って、電池の構造や形態に応じて、電極/反応性ポリマー担持多孔質フィルム積層体として、例えば、負極/多孔質フィルム/正極、負極/多孔質フィルム/正極/多孔質フィルム等が用いられる。
上記電解液は、電解質塩を適宜の溶媒に溶解してなる溶液である。上記電解質塩としては、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム等アルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、第三級又は第四級アンモニウム塩等をカチオン成分とし、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸等の無機酸、カルボン酸、有機スルホン酸又はフッ素置換有機スルホン酸等の有機酸をアニオン成分とする塩を用いることができる。これらのなかでは、特に、アルカリ金属イオンをカチオン成分とする電解質塩が好ましく用いられる。
このようなアルカリ金属イオンをカチオン成分とする電解質塩の具体例としては、例えば、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸アルカリ金属、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム等のテトラフルオロホウ酸アルカリ金属、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム等のへキサフルオロリン酸アルカリ金属、トリフルオロ酢酸リチウム等のトリフルオロ酢酸アルカリ金属、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等のトリフルオロメタンスルホン酸アルカリ金属を挙げることができる。
特に、本発明に従って、リチウムイオン二次電池を得る場合には、電解質塩としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム等が好適に用いられる。
更に、本発明において用いる上記電解質塩のための溶媒としては、上記電解質塩を溶解するものであればどのようなものでも用いることができるが、非水系の溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、プチレンカーボネート、γ一ブチロラクトン等の環状エステル類や、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等の工一テル類や、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状エステル類を単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
また、上記電解質塩は、用いる溶媒の種類や量に応じて適宜に決定されるが、通常、得
られるゲル電解質において、1〜50重量%の濃度となる量が用いられる。
本発明において、カチオン重合触媒としては、オニウム塩が好ましく用いられる。そのようなオニウム塩として、例えば、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩・スチボニウム塩、ヨードニウム塩等のカチオン成分と、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、過塩素酸塩等のアニオン成分とからなるオニウム塩を挙げることができる。
しかし、本発明によれば、上述した電解質塩のなかでも、特に、テトラフルオロホウ酸リチウムとヘキサフルオロリン酸リチウムは、それ自体、カチオン重合触媒としても機能するので、電解質塩を兼ねるものとして好ましく用いられる。この場合、テトラフルオロホウ酸リチウムとヘキサフルオロリン酸リチウムは、いずれかを単独で用いてもよく、また、両方を併用してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定され
るものではない。以下において、基材多孔質フィルムの物性と電池特性は、以下のようにして評価した。
(多孔質フィルムの厚み)
1/10000mmシックネスゲージによる測定と多孔質フィルムの断面の10000倍走査型電子頭微鏡写真に基づいて求めた。
(多孔質フィルムの空孔率)
多孔質フィルムの単位面積S(cm2)当たりの重量W(g)、平均厚みt(cm)及び多孔質フィルムを構成する樹脂の密度d(g/cm3)から下式にて算出した。
空孔率(%)=(1−(W/S/t/d))×100
(反応性ポリマーのゲル分率)
既知の量Aの反応性ポリマーを担持させた反応性ポリマー担持多孔質フィルムを秤量して、その重量Bを測定した。次に、この反応性ポリマー担持多孔質フィルムをトルエンに温度23℃で7日間浸漬した後、乾燥させた。このように処理した反応性ポリマー担持多孔質フィルムを秤量して、その重量Cを測定した。反応性ポリマーのゲル分率は次式
Figure 0004596784
から求めた。
(針入プローブ式熱機械的分析装置による多孔質フィルムの耐熱温度の測定)
針入プローブ式熱機械的分析装置(セイコー電子(株)製EXSTAR6000)の試料台上に5mm四方の多孔質フィルムの試料を置き、この試料上に先端の直径1mmの針入プローブを載せた。このプローブ上に70gfの荷重を加え、試料を室温から2℃/分の速度で加熱して、試料の厚みの変化を測定した。試料の厚みが試料に荷重を加えたときの試料の厚み(初期厚み)の1/2になったときの温度を試料の耐熱温度とした。
参考例1
(電極シートの調製)
正極活物質であるコバルト酸リチウム(日本化学工業(株)製セルシードC−10)85重量部と導電助剤であるアセチレンブラック(電気化学工業(株)製デンカブラック)10重量部とバインダーであるフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製KFポリマーL#1120)5重量部を混合し、これを固形分濃度15重量%となるように、N−メチル−2−ピロリドンを用いてスラリーとした。このスラリーを厚み20μmのアルミニウム箔(集電体)上に塗工して厚み200μmに塗布し、80℃で1時間、120℃で2時間真空乾燥した後、ロールプレスにて加圧して、活物質層の厚みが100μmの正極シートを調製した。
また、負極活物質であるメソカーボンマイクロビーズ(大阪ガスケミカル(株)製MCMB6−28)80重量部と導電助剤であるアセチレンブラック(電気化学工業(株)製デンカブラック)10重量部とバインダーであるフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製KFポリマーL#1120)10重量部を混合し、これを固形分濃度15重量%となるように、N−メチル−2−ピロリドンを用いてスラリーとした。このスラリーを厚み20μmの銅箔(集電体)上に塗工して厚み200μmに塗布し、80℃で1時間乾燥し、120℃で2時間乾燥した後、ロールプレスにて加圧して、活物質層の厚みが100μmの負極シートを調製した。
(実施例又は比較例による電池の放電特性)
以下の実施例又は比較例にて得られたコイン型電池について、0.2CmAのレートにて3回充放電試験を行い、この試験の3回目の放電容量を0.2CmAでの放電容量とし、次に、0.2CmAで充電した後、1CmAのレートで放電し、このときの放電容量を1CmAでの放電容量とした。これらの値から放電容量維持率=1CmAでの放電容量/0.2CmAでの放電容量を算出し、この値にて電池特性を評価した。
(セパレータ(多孔質フィルム)の熱収縮率の測定)
所定の寸法に打ち抜いた正極/多孔質フィルム/負極積層体に上記1.2モル/L濃度でヘキサフルオロリン酸リチウムを溶解させたエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(重量比1/1)混合溶媒からなる電解液を含浸させた後、ガラス板の間に挟み、更に、電解液の揮発を抑えるためにフッ素樹脂シートで包み、その上に100gの錘を載せて、温度50℃の恒温室中に24時間間投入して、上記正極/多孔質フィルム/負極積層体の多孔質フィルムに担持させた反応性ポリマーをカチオン重合させ、架橋させて、正負の電極を多孔質フィルム(即ち、電池におけるセパレータ)に接着させて、正極/多孔質フィルム/負極接合体を得た。次いで、この正極/多孔質フィルム/負極接合体をガラス板の間に挟んだまま、200℃の乾燥機に1時間投入した。
この後、このように処理した正極/多孔質フィルム/負極接合体からガラス板を取り外し、セパレータを正負の電極から剥がし、スキャナで読み込んで、最初に用いた多孔質フィルムの面積と比較して、面積熱収縮率を求めた。
製造例1
(架橋性ポリマーA(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートモノマー成分5重量%、3−オキセタニル基含有モノマー成分20重量%、メチルメタクリレートモノマー成分75重量%)の製造)
還流冷却管を取り付けた500mL容量の三つ口フラスコにメチルメタクリレート60.0g、3−エチル−3−オキセタニルメチルメタクリレート16.0g、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート4.0g、炭酸エチレン226.6g及びN,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.15gを仕込み、窒素ガスを導入しながら、30分間攪拌混合した後、70℃に加熱して、ラジカル重合を8時間行った。この後、得られた反応混合物を40℃まで冷却した。この反応混合物に炭酸ジエチル226.6gとN,N’−アゾビスイソブチロニトリル0.15gを加え、再度、70℃に加熱して、ラジカル重合を更に8時間行った。この後、得られた反応混合物を40℃まで冷却して、架橋性ポリマーAの炭酸エチレン/炭酸ジエチル混合溶媒溶液(濃度15重量%)を得た。
次に、このポリマー溶液100gを高速ミキサーで攪拌しながら、600mLメタノール中に投入して、ポリマーを沈殿させた。このポリマーを濾別し、メタノールにて数回洗浄した後、乾燥管に入れ、これに液体窒素を気化させた乾燥窒素ガス(露点温度−150℃以下)を流通させて乾燥した後、更に、デシケータ中で6時間真空乾燥して、架橋性ポリマーAを得た。このようにして得られた架橋性ポリマーAは純白の粉末であって、GPCによる分子量測定の結果、重量平均分子量は344400、数平均分子量は174500であった。
実施例1
(多孔質フィルムAの作製)
ノルボルネンの開環重合体の粉末(日本ゼオン(株)製ノーソレックスNB、重量平均分子量200万以上)8重量%、熱可塑性エラストマー(住友化学工業(株)製TPE824)12重量%及び重量平均分子量350万の超高分子量ポリエチレン樹脂80重量%からなるポリエチレン樹脂組成物16重量部と流動パラフィン84重量部とをスラリー状に混合し、小型ニーダーを用いて、160℃の温度で約1時間溶解、混練した。この後、得られた混練物を0℃に冷却した金属板の間に挟み込んで、急冷しつつ、圧延してシートに成形した。次いで、このシートを厚みが0.5mmになるまで、115℃の温度でヒートプレスし、更に、同じ温度で縦横4.5×4.5倍に同時二軸延伸した後、ヘプタンを用いて、脱溶媒処理した。このようにして得られた多孔質フィルムを空気中、85℃で6時間加熱し、次いで、118℃で1.5時間加熱し、多孔質フィルムの熱処理を行うと共に、多孔質フィルム中の架橋性ゴムを架橋させて、目的とする多孔質フィルムAを得た。この多孔質フィルムは、厚さ25μm、空孔率50%を有し、前述したように、針入プローブ式熱機械的分析装置を用いて調べたところ、耐熱温度は370℃であった。
架橋性ポリマーA10gを酢酸エチル90gに加え、室温で攪拌して、均一な架橋性ポリマー溶液を得た。別に、10重量%濃度のアジピン酸のエタノール溶液を調製した。上記架橋性ポリマーAの溶液を攪拌しながら、これに上記アジピン酸溶液をゆっくりと滴下して、上記架橋性ポリマーAとアジピン酸との混合溶液を調製した。架橋性ポリマーの有する反応性基のモル数に対するアジピン酸のカルボキシル基のモル数の比率は0.5であった。
この架橋性ポリマーAとアジピン酸との混合溶液を上記多孔質フィルムAの両面にワイヤーバー(#7)にて塗工した後、60℃で加熱して、酢酸エチルとエタノールを揮散させ、かくして、片面当たりの塗布密度2.2g/m2 で架橋性ポリマーを担持させてなる架橋性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。次いで、この架橋性ポリマー担持多孔質フィルムを50℃の恒温器に96時間投入して、多孔質フィルムに担持させた上記架橋性ポリマーをアジピン酸と反応させ、上記架橋性ポリマーを一部、架橋させて、かくして、反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマー担持多孔質フィルムにおいて、反応性ポリマーのゲル分率は55%であった。
前記参考例1で得た負極シート、上記反応性ポリマー担持多孔質フィルム及び前記参考例1で得た正極シートをこの順序に積層して、セパレータ/電極積層体とし、これを正負極板を兼ねる2016サイズのコイン型電池用缶に仕込み、1.2モル/L濃度でヘキサフルオロリン酸リチウムを溶解させたエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(重量比1/1)混合溶媒からなる電解液を注入した後、電池用缶を封口した。この後、50℃で24時間加熱して、上記反応性ポリマーをカチオン重合させ、架橋させて、電極シートを多孔質フィルム(セパレータ)に接着すると共に、電解液を一部、ゲル化させて、コイン型電池を得た。
この電池の放電容量維持率は96%であり、また、セパレータの面積熱収縮率は14%であった。更に、この電池を分解して、電極シートとセパレータとの間の接着力を測定したところ、正極では0.31N/cm、負極では0.19N/cmであった。
実施例2
(多孔質フィルムBの作製)
ノルボルネンの開環重合体の粉末(日本ゼオン(株)製ノーソレックスNB、重量平均分子量200万以上)6重量%及び重量平均分子量300万の超高分子量ポリエチレン樹脂94重量%からなるポリエチレン樹脂組成物20重量部と流動パラフィン80重量部とをスラリー状に混合し、小型ニーダーを用いて、160℃の温度で約1時間溶解、混練した。この後、得られた混練物を0℃に冷却した金属板の間に挟み込んで、急冷しつつ、圧延してシートに成形した。次いで、このシートを厚みが0.5mmになるまで、117℃の温度でヒートプレスし、更に、同じ温度で縦横3.8×3.8倍に同時二軸延伸した後、ヘプタンを用いて、脱溶媒処理した。このようにして得られた多孔質フィルムを空気中、85℃で6時間加熱し、次いで、125℃で2時間加熱し、多孔質フィルムの熱処理を行うと共に、多孔質フィルム中の架橋性ゴムを架橋させて、目的とする多孔質フィルムBを得た。この多孔質フィルムは、厚さ23μm、空孔率45%、平均孔径0.07μmの細孔を有し、前述したように、針入プローブ式熱機械的分析装置を用いて調べたところ、耐熱温度は430℃であった。
(電池の特性の評価とセパレータの面積熱収縮率の測定)
実施例1において、多孔質フィルムAに代えて、多孔質フィルムBを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゲル分率55%の反応性ポリマーを担持させた多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマーを担持させた多孔質フィルムBを用いて、実施例1と同様にして、負極/セパレータ/正極積層体を得、これを用いて、実施例1と同様にして、コイン型リチウムイオン二次電池を組立てた。この電池の放電容量維持率は94%であり、また、セパレータの熱収縮率は18%であった。更に、この電池を分解して、電極シートとセパレータとの間の接着力を測定したところ、正極では0.29N/cm、負極では0.20N/cmであった。
実施例3
(多孔質フィルムCの作製)
EPDM(住友化学工業(株)製エスプレン512F、エチリデンノルボルネン含量4重量%)20重量%及び重量平均分子量150万の超高分子量ポリエチレン樹脂80重量%からなるポリエチレン樹脂組成物15重量部と流動パラフィン85重量部とをスラリー状に均一に混合し、小型ニーダーを用いて、160℃の温度で約1時間溶解、混練した。この後、得られた混練物を0℃に冷却した金属板の間に挟み込んで、急冷しつつ、圧延してシートに成形した。次いで、このシートを厚みが0.4mmになるまで、115℃の温度でヒートプレスし、更に、123℃の温度で縦横4.0×4.0倍に同時二軸延伸した後、ヘプタンを用いて、脱溶媒処理した。このようにして得られた多孔質フィルムを空気中、85℃で6時間加熱し、次いで、116℃で1.5時間加熱し、多孔質フィルムの熱処理を行うと共に、多孔質フィルム中の架橋性ゴムを架橋させ、目的とする多孔質フィルムCを得た。この多孔質フィルムCは、厚さ24μm、空孔率42%、平均孔径0.08μmの細孔を有し、前述したように、針入プローブ式熱機械的分析装置を用いて調べたところ、耐熱温度は320℃であった。
(電池の特性の評価とセパレータの面積熱収縮率の測定)
実施例1において、多孔質フィルムAに代えて、多孔質フィルムCを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゲル分率55%の反応性ポリマーを担持させた多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマーを担持させた多孔質フィルムを用いて、実施例1と同様にして、負極/セパレータ/正極積層体を得、これを用いて、実施例1と同様にして、コイン型電池を組立てた。この電池の放電容量維持率は95%であり、また、セパレータの熱収縮率は12%であった。更に、この電池を分解して、電極シートとセパレータとの間の接着力を測定したところ、正極では0.29N/cm、負極では0.19N/cmであった。
比較例1
実施例1と同じ多孔質フィルムAに反応性ポリマーを担持させることなく、そのままを用いて、実施例1と同様にして、コイン型電池を組み立てた。この電池の放電容量維持率を評価は97%であり、また、セパレータの熱収縮率は72%であった。
比較例2
(多孔質フィルムDの作製)
重量平均分子量20万のポリエチレン樹脂60重量%及び重量平均分子量150万の超高分子量ポリエチレン樹脂40重量%からなるポリエチレン樹脂組成物15重量部と流動パラフィン85重量部とをスラリー状に混合し、小型ニーダーを用いて、160℃の温度で約1時間溶解、混練した。この後、得られた混練物を0℃に冷却した金属板の間に挟み込んで、急冷しつつ、圧延してシートに成形した。次いで、このシートを厚みが0.5mmになるまで、115℃の温度でヒートプレスし、更に、同じ温度で縦横4.0×4.0倍に同時二軸延伸した後、ヘプタンを用いて、脱溶媒処理した。このようにして得られた多孔質フィルムを空気中、85℃で6時間加熱し、次いで、116℃で1時間加熱して、目的とする多孔質フィルムDを得た。この多孔質フィルムDは、厚さ24μm、空孔率39%、平均孔径0.1μmの細孔を有し、前述したように、針入プローブ式熱機械的分析装置を用いて調べたところ、耐熱温度は160℃であった。
(電池の特性の評価とセパレータの面積熱収縮率の測定)
実施例1において、多孔質フィルムAに代えて、多孔質フィルムDを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゲル分率55の反応性ポリマー担持多孔質フィルムを得た。この反応性ポリマー担持多孔質フィルムを用いて、実施例1と同様にして、コイン型電池を得た。この電池について、実施例1と同様にして、放電容量維持率を評価したところ、94%であった。また、この電池におけるセパレータの面積熱収縮率を測定しようとしたが、セパレータが破断して、面積熱収縮率を測定することができなかった。更に、この電池を分解して、電極シートとセパレータとの間の接着力を測定したところ、正極では0.28N/cm、負極では0.21N/cmであった。


Claims (6)

  1. 針入プローブ式熱機械的分析装置を用いて、70gの荷重の下に直径1mmのプローブを多孔質フィルムに載せ、室温から昇温速度2℃/分でこの多孔質フィルムを加熱しながら、その厚みを測定し、その際に、この多孔質フィルムの厚みが上記プローブを載せたときの厚みの1/2になるときの温度が200℃以上である多孔質フィルムを基材多孔質フィルムとし、分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーとポリカルボン酸とを反応させ、一部、架橋させてなる反応性ポリマーを上記基材多孔質フィルムに担持させてなることを特徴とする電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルム。
  2. 基材多孔質フィルムが少なくとも50万の重量平均分子量を有するポリオレフィン樹脂と分子鎖中に二重結合を有する架橋性ゴムとのポリオレフィン樹脂組成物からなり、上記架橋性ゴムを架橋させてなるものである請求項1に記載の反応性ポリマー担多孔質フィルム。
  3. 架橋性ポリマーとポリカルボン酸とを反応させ、一部、架橋させて、3〜60%のゲル分率を有する反応性ポリマーを得る請求項1に記載の反応性ポリマー担持多孔質フィルム。
  4. 架橋性ポリマーが3−オキセタニル基を有するラジカル重合性モノマーとエポキシ基を有するラジカル重合性モノマーとから選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとのラジカル共重合体である請求項1に記載の反応性ポリマー担持多孔質フィルム。
  5. 分子中に3−オキセタニル基とエポキシ基とから選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する架橋性ポリマーとポリカルボン酸とを基材多孔質フィルムに担持させ、上記反応性基の一部をポリカルボン酸と反応させ、反応性ポリマーを一部架橋させ、かくして、基材多孔質フィルム上で反応性ポリマーを形成させることを特徹とする請求項1に記載の電池用セパレータのための反応性ポリマー担持多孔質フィルムの製造方法。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の反応性ポリマー担持多孔質フィルムに電極を積層して、電極/反応性ポリマー担持多孔質フィルム積層体を得、この電極/反応性ポリマー担持多孔質フィルム積層体を電池容器内に仕込んだ後、カチオン重合触媒を含む電解液を上記電池容器内に注入して、少なくとも多孔質フィルムと電極との界面の近傍にて、上記反応性ポリマーの少なくとも一部を電解液中で膨潤させ、又は電解液中に溶出させ、カチオン重合させて、電解液の少なくとも一部をゲル化させて、多孔質フィルムと電極を接着することを特徴とする電池の製造方法。
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