JPH1139624A - 磁気記録再生装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 往復記録再生のできるヘリカルスキャン型の
ＶＴＲを提供する。 【解決手段】 １対の逆アジマスの回転ビデオヘッドＨ
ｖ１，Ｈｖ２と、１対の逆アジマスの回転オーデオヘッ
ドＨａ１，Ｈａ２と、１対の回転消去ヘッドＨｅ１，Ｈ
ｅ２とを設けた上ドラムを、一定の回転方向に回転させ
る。磁気テープを正，逆方向に走行させたどちらの場合
でも回転ヘッドの回転軌跡が同一のトラック角を示すよ
うにして２トラックおきに記録跡を形成するようにして
往復記録を行なう。テープ走行方向の変更の回数を計数
して、前記の計数値に応じて所定の態様のトラッキング
制御を行なう。隣接する記録跡の記録形成には逆アジマ
スヘッドを用いる。映像信号の記録に先行して回転オー
ディオヘッドＨａ１，Ｈａ２により深層記録を行ない、
また、回転消去ヘッドＨｅ１，Ｈｅ２で先行消去を行な
う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、上ドラムと下ドラ
ムとからなるドラムの周面の一部へ巻回された状態で走
行する磁気テープに回転磁気ヘッドを用いて記録再生動
作を行なうことができるようにしたヘリカル・スキャン
型の磁気記録再生装置、特に連続往復走行状態で磁気テ
ープに記録動作を行なうことができるヘリカル・スキャ
ン型の磁気記録再生装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】上ドラムと下ドラムとからなるドラムの
周面の一部へ巻回された状態の磁気テープを所定の走行
速度で走行させ、回転磁気ヘッドを用いて記録再生動作
を行なうようにしているヘリカル・スキャン型の磁気記
録再生装置は、ＶＣＲ（あるいはＶＴＲ）として従来か
ら広く使用されて来ている。そして、前記したヘリカル
・スキャン型の磁気記録再生装置では、高密度記録を達
成するための一手段として、互に逆のアジマス角度を有
する磁気空隙を備えている１対の回転磁気ヘッドにおけ
る各回転磁気ヘッドが、順次交互に磁気テープの長手方
向に斜交している状態の記録跡を磁気テープに記録す
る。

【０００３】すなわち、ヘリカル・スキャン型の磁気記
録再生装置では、磁気空隙のアジマス角度が記録跡の幅
方向に対して時計まわりに９０度以下の所定の角度に設
定されている磁気空隙を備えた回転磁気ヘッドと、磁気
空隙のアジマス角度が記録跡の幅方向に対して反時計ま
わりに９０度以下の所定の角度に設定されている磁気空
隙を備えた回転磁気ヘッドとからなる１対の回転磁気ヘ
ッドが、１８０度対称の位置に設けられている上ドラム
を所定の回転数で回転させ、前記のドラムの周面の少な
くとも一部へ斜めに巻付けられた磁気テープを、それの
基準縁の位置が、下ドラムに設けられている案内部によ
って規制された状態で所定の走行速度で走行させ、前記
の１対の回転磁気ヘッドによって磁気テープを順次交互
にヘリカルスキャンして、前記した１対の回転磁気ヘッ
ドにおける各回転磁気ヘッドの１８０度毎の回転と対応
して、記録対象の信号による順次の記録跡を、磁気テー
プ上にガードバンドレスの状態で順次に記録形成させた
り、記録跡中の記録情報を再生させるようにしている。

【０００４】そして、前記したヘリカル・スキャン型の
磁気記録再生装置では、それの回転磁気ヘッドの回転軌
跡に従って磁気テープに形成される記録跡のパターン
は、ドラムの直径、回転磁気ヘッドの回転数、回転磁気
ヘッドの回転方向、磁気テープの走行速度、磁気テープ
の走行方向、トラック角度、ヘッドトラック幅、磁気テ
ープの記録領域幅等の諸条件によって定まることは周知
のとおりである。それで、磁気記録再生装置の動作モー
ドの変更により、例えば、記録再生時における磁気テー
プの走行方向や走行速度等の動作条件が変化した場合に
は、回転磁気ヘッドによって磁気テープに描かれる回転
磁気ヘッドの回転軌跡と対応して磁気テープに記録形成
される記録跡（トラック）パターンが変化する。

【０００５】ところで、オーディオ信号用の磁気記録再
生装置（テープレコーダ）では、従来から自動的に往復
記録再生動作を行なうためのオートリバース機構を備え
て構成されたものがあり、そのような構成の磁気記録再
生装置では、前記のオートリバース機能を利用して、通
常のカセットテープを所謂エンドレステープのような状
態で使用するというような使用態様で利用することもで
きた。しかし、周知のＶＨＳ(登録商標)方式のＶＣＲを
含め、ヘリカル・スキャン型のＶＴＲでは、動作モード
の変更によって、磁気テープの走行方向や走行速度等の
条件が変化すると、既述のように、回転磁気ヘッドによ
って磁気テープに描かれる回転軌跡のパターンが変化す
るために、通常構成のヘリカル・スキャン型のＶＴＲ
を、往復記録再生動作を行なうことができるヘリカル・
スキャン型のＶＴＲとして構成することは、オーディオ
信号用のテープレコーダを往復記録再生動作型として構
成させる場合とは異なり簡単には実現できない。

【０００６】一方、所謂エンドレステープのような状態
で、磁気テープを使用することができるＶＴＲがあれ
ば、それを、例えば、防犯、監視、教育、宣伝等の目的
のためにも有効に使用できる。それで、往復記録が可能
なヘリカル・スキャン型のＶＴＲとして、従来、フイ
リップス社のＶ２０００方式のＶＴＲのように、磁気テ
ープの記録領域をテープ幅の方向に上下２段に分割し
て、前記の分割された２つの記録領域に対する信号の記
録動作が、時間軸上で直列的に行なわれるように構成し
た１組たもの、特開昭５０ー８５３１６号公報に開示
されているヘリカル・スキャン型のＶＴＲのように、往
復記録のために往復走行される磁気テープにおける往路
と復路とのそれぞれにおいて、回転磁気ヘッドの回転軌
跡と対応して磁気テープに記録形成される記録跡が、走
行する磁気テープ上に櫛目状に形成されるように構成し
た１組たもの、が提案されている。

【０００７】前記したの従来のＶＴＲは、一般的なＶ
ＴＲの機構部の構成態様と大幅に異なる機構部を備える
ことが必要とされるために現実的でない。また、の従
来のＶＴＲについて公開公報中に開示されている技術内
容の説明中には、磁気テープに対する１往復の記録動作
後における記録動作がどのように行なわれるかについて
の記述がない。ところで、往復記録を行なわない通常の
構成態様のＶＴＲでは、記録動作時に所謂全幅消去ヘッ
ドを用いた消去動作が行なわれるようにしているから、
の従来のＶＴＲが、仮に、記録動作時の全期間にわた
って、全幅消去ヘッドによる消去動作が行なわれるよう
にされていたとした場合には、磁気テープに往復記録動
作が行なわれたとしても、往路における記録結果が復路
における記録動作時における全幅消去ヘッドによる消去
動作によって消去されてしまうので、往復記録が行なわ
れないことになるから、例えば、所謂、重ね書き記録に
よって復路における記録動作が行なわれるようにしなけ
ればならない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記のように
重ね書き記録動作を行なった場合には、消し残しの部分
が生じて再生画質を著しく劣化させるために、消去用の
回転磁気ヘッドを用いて消去動作を行なうことが考えら
れるが、磁気テープを順方向(正方向)に走行させた状態
で記録形成された記録跡を先行消去できるように上ドラ
ムに配設した回転消去ヘッドは、磁気テープを逆方向に
走行させた状態で行なわれる記録動作時には、先行消去
を行なうことができない。また、映像に付随する音響信
号の記録が、固定のオーディオヘッドによって、磁気テ
ープの長手方向に設定されているオーディオトラックに
対して行なわれるようにされた場合には、片道記録しか
行なわれないことになる。

【０００９】それで、映像情報記録再生用の回転磁気ヘ
ッドによって記録形成される記録跡に先行して、音響情
報により深層記録された状態の記録跡を形成させるよう
な音響情報記録再生用の回転磁気ヘッドを用いて、映像
に付随する音響信号の記録を記録させることも考えられ
るが、磁気テープの走行方向が逆になると、音響情報記
録再生用の回転磁気ヘッドが、映像情報記録再生用の回
転磁気ヘッドを後追いする状態になるために、映像情報
記録再生用の回転磁気ヘッドによって記録された映像情
報が、後追いする音響情報記録再生用の回転磁気ヘッド
の音響情報によって打消されてしまうことになる。

【００１０】すなわち、回転消去ヘッドと、深層記録用
の音響情報記録再生用の回転磁気ヘッドと、映像情報記
録再生用の回転磁気ヘッドとを上ドラムに設けてある従
来のＶＴＲにおいて、磁気テープを正方向(順方向)に走
行させて記録動作を行なう場合には、回転消去ヘッド→
音響情報記録再生用の回転磁気ヘッド→映像情報記録再
生用の回転磁気ヘッドのように、正規の順序で記録跡を
辿っている各回転磁気ヘッドが、磁気テープを逆方向に
走行させて記録動作を行なう場合には、各回転磁気ヘッ
ドが前記した正規の順序とは逆の順序で記録跡を辿るこ
とになる。

【００１１】前記のようなことが起きないようにするた
めに、仮に、磁気テープを正方向に走行させる場合の先
行消去用の回転消去ヘッドと、磁気テープを逆方向に走
行させる場合の先行消去用の回転消去ヘッドとを、それ
ぞれ専用に設けるとともに、また、磁気テープを正方向
に走行させる場合の音響情報記録再生用の回転磁気ヘッ
ドと、磁気テープを逆方向に走行させる場合の音響情報
記録再生用の回転磁気ヘッドとを、それぞれ専用に設け
た場合には、前記した音響情報記録再生用の回転磁気ヘ
ッドと回転消去ヘッドだけで、８個の回転磁気ヘッドが
使用されることになり、回転ドラム上における回転磁気
ヘッドの配置スペースの面からみて実現が困難である
他、コスト面上でも問題がある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、磁気空隙のア
ジマス角度が記録跡の幅方向に対して時計まわりに９０
度以下の所定の角度に設定されている磁気空隙を有して
いる映像情報記録再生用の第１の回転磁気ヘッドと、磁
気空隙のアジマス角度が記録跡の幅方向に対して反時計
まわりに９０度以下の所定の角度に設定されている磁気
空隙を有している映像情報記録再生用の第２の回転磁気
ヘッドとを、上ドラムの中心軸を対称中心とする１８０
度対称の位置に配設し、また、前記した第１，第２の映
像情報記録再生用の回転磁気ヘッドのヘッドトラック幅
に比べて狭いヘッドトラック幅を有しているとともに、
前記した映像情報記録再生用の第１，第２の回転磁気ヘ
ッドの磁気空隙のアジマス角度に比べて大きなアジマス
角度の磁気空隙を有しており、かつ、前記した映像情報
記録再生用の第１，第２の回転磁気ヘッドによって記録
形成される記録跡に隣接する部分に、音響情報で深層記
録された状態の記録跡を形成させる音響情報記録再生用
の第１，第２の回転磁気ヘッドを上ドラムに配設し、さ
らに、前記した第１，第２の映像情報記録再生用の回転
磁気ヘッドのヘッドトラック幅と同一のヘッドトラック
幅を有していて、前記した音響情報記録再生用の第１，
第２の回転磁気ヘッドによって深層記録されている記録
跡を先行消去できるような第１，第２の回転消去ヘッド
を上ドラムに配設し、前記した各種の回転磁気ヘッドが
配設されている上ドラムを、予め定められた特定な回転
方向だけに特定な回転数で回転させる手段と、磁気テー
プの走行方向を順方向と逆方向とに順次交互に切換え変
更した状態で行なわれる連続的な往復記録動作に際し
て、前記した回転磁気ヘッドにより磁気テープの長手方
向に斜交した状態で形成される記録跡が、常に、予め定
められたトラック角度を示す記録跡として形成させるよ
うにする手段と、上ドラムと下ドラムとの周面の一部に
巻回された状態で、順方向または逆方向に走行する磁気
テープに、前記した映像情報記録再生用の第１の回転磁
気ヘッドと、映像情報記録再生用の第２の回転磁気ヘッ
ドとによって、順次交互に平行な状態で形成される記録
跡が、隣接する記録跡間毎に少なくとも２記録跡幅の未
記録領域が設けられる状態で記録形成されるようにする
手段と、連続的な往復記録動作が開始された時点以後に
おける磁気テープの走行方向の変更の回数をｉ(ただし
ｉは０，１，２，３…)としたときに、連続的な往復記
録動作の開始時点以後における順次の走行方向毎の期間
と対応している(ｉ＋１)番目［ただし、(ｉ＋１)＝Ｎと
する］の記録動作期間の記録過程を区別して計数する手
段と、また(Ｎ＝２)番目の記録動作期間中には、連続的
な往復記録動作が開始された時点で特定な走行方向へ走
行する磁気テープに(Ｎ＝１)番目の記録動作期間中に音
響情報記録再生用の第１，第２の回転磁気ヘッドにより
深層記録が行なわれている記録跡の位置に、前記した
(Ｎ＝１)番目の記録動作期間中に映像情報記録再生用の
第１(または第２)の回転磁気ヘッドの記録動作で形成さ
れていた記録済み磁気テープ中の記録跡に隣接する新た
な記録跡を、映像情報記録再生用の第２（または第１）
の回転磁気ヘッドを用いて記録形成させ、さらに（Ｎ＝
Ｋ）番目（ただし、Ｋは３以上の自然数）の記録動作期
間中には、（Ｎ＝Ｋ−１）番目の記録動作期間中に音響
情報記録再生用の第１，第２の回転磁気ヘッドにより深
層記録が行なわれている記録跡の位置に、前記した（Ｎ
＝Ｋ−１）番目の記録動作期間中に映像情報記録再生用
の第１（または第２）の回転磁気ヘッドの記録動作で形
成されていた記録済み磁気テープ中の記録跡に隣接する
新たな記録跡を、映像情報記録再生用の第２（または第
１）の回転磁気ヘッドを用いて記録形成させるととも
に、（Ｎ＝Ｋ−２）番目の記録動作期間中に映像情報記
録再生用の第１，第２の回転磁気ヘッドで記録形成され
た記録跡を、第１，第２の回転消去ヘッドによって消去
できるように、磁気テープの走行状態と回転磁気ヘッド
との相対位置を制御する手段とを備えてなる磁気記録再
生装置、及びアジマス角度が記録跡の幅方向に対して時
計まわりに９０度以下の所定の角度に設定されている磁
気空隙を有している映像情報記録再生用の第１の回転磁
気ヘッドと、アジマス角度が記録跡の幅方向に対して反
時計まわりに９０度以下の所定の角度に設定されている
磁気空隙を有している映像情報記録再生用の第２の回転
磁気ヘッドとを、ドラムの中心軸を対称中心とする１８
０度対称の位置に配設させてある上ドラムを、予め定め
られた特定な回転方向だけに特定な回転数で回転させる
手段と、磁気テープの走行方向を順方向と逆方向とに順
次交互に切換え変更した状態で行なわれる連続的な往復
記録動作に際して、上ドラムと下ドラムとの周面の一部
に巻回された状態で、順方向または逆方向に走行する磁
気テープに、前記した映像情報記録再生用の第１の回転
磁気ヘッドと、映像情報記録再生用の第２の回転磁気ヘ
ッドとによって、磁気テープの長手方向に斜交した状態
で順次交互に平行な状態で形成される記録跡間に、２記
録跡幅の未記録領域が設けられる状態で順次の記録跡が
記録形成されるようにするとともに、磁気テープの走行
方向が変更された後に、映像情報記録再生用の第１の回
転磁気ヘッド（または映像情報記録再生用の第２の回転
磁気ヘッド）によって記録形成されていた記録済みの記
録跡に隣接する位置に、映像情報記録再生用の第２の回
転磁気ヘッド（または映像情報記録再生用の第１の回転
磁気ヘッド）によって新たな記録跡を記録形成されるよ
うに、磁気テープの走行状態と回転磁気ヘッドとの相対
位置を制御する手段と、前記した第１，第２の映像情報
記録再生用の回転磁気ヘッドのヘッドトラック幅に比べ
て狭いヘッドトラック幅を有しているとともに、前記し
た映像情報記録再生用の第１，第２の回転磁気ヘッドの
磁気空隙のアジマス角度に比べて大きなアジマス角度の
磁気空隙を有しており、かつ、前記した映像情報記録再
生用の第１，第２の回転磁気ヘッドによって記録形成さ
れる記録跡に隣接する部分に、音響情報で深層記録され
た状態の記録跡を形成させる音響情報記録再生用の第
１，第２の回転磁気ヘッドと、前記した映像情報記録再
生用の第１，第２の回転磁気ヘッドのヘッドトラック幅
と同一のヘッドトラック幅を有していて、前記した音響
情報記録再生用の第１，第２の回転磁気ヘッドによって
深層記録されている記録跡を先行消去できるような第
１，第２の回転消去ヘッドとにおける、前記した音響情
報記録再生用の第１の回転磁気ヘッドの磁気空隙の中心
部の高さと、第１の回転消去ヘッドの磁気空隙の中心部
の高さとを同一として構成した第１のダブルアジマスヘ
ッドと、前記した音響情報記録再生用の第２の回転磁気
ヘッドの磁気空隙の中心部の高さと、第２の回転消去ヘ
ッドの磁気空隙の中心部の高さとを同一として構成した
第２のダブルアジマスヘッドとしたときに、前記した第
１，第２のダブルアジマスヘッドを、映像情報記録再生
用の第１の回転磁気ヘッドと、映像情報記録再生用の第
２の回転磁気ヘッドとを結ぶ直線に直交し、かつ上ドラ
ムの中心軸を通過する直線上の上ドラムの周辺部に配置
してなる磁気記録再生装置を提供する。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の磁気記録再生装置の具体的な内容を説明する。図１は
本発明の磁気記録再生装置の概略構成を示すブロック図
であり、また図２及び図３は上ドラムＤｕに設けられる
各種回転磁気ヘッドの配置態様例を示す図である。ま
た、図４は図３中に示されている複合磁気ヘッド、すな
わち、音響情報記録再生用の回転磁気ヘッドの磁気空隙
の中心部の高さと、回転消去ヘッドの磁気空隙の中心部
の高さとを同一として構成させたダブルアジマスヘッド
の構成例を示す図である。また図５及び図７ならびに図
８は、磁気記録再生装置の一部の構成部分の説明、及び
その動作の説明のために使用される図であり、図６及び
図９図乃至図１４は本発明の磁気記録再生装置の動作の
説明に用いられる図である。

【００１４】図２及び図３において、Ｄｕは上ドラム、
Ｔは磁気テープであり、前記の磁気テープＴは、上ドラ
ムＤｕ（及び図２中には示されていない下ドラム）の周
面の一部（ドラムの中心角で１８０度強と対応する範
囲）に巻回された状態で走行する。前記した上ドラムＤ
ｕには、ドラムの中心軸１２を対称中心にして１８０度
対称の位置に、第１，第２の映像情報記録再生用の回転
磁気ヘッドＨｖ１，Ｈｖ２（第１，第２のビデオヘッド
Ｈｖ１，Ｈｖ２）が配置されている。前記した第１のビ
デオヘッドＨｖ１は、磁気空隙のアジマス角度が記録跡
の幅方向に対して時計まわりに９０度以下の所定の角度
に設定されている磁気空隙を備えているビデオヘッドで
あり、また、前記した第２のビデオヘッドＨｖ２は、磁
気空隙のアジマス角度が記録跡の幅方向に対して反時計
まわりに９０度以下の所定の角度に設定されている磁気
空隙を備えているビデオヘッドである。

【００１５】図２において、前記した２個のビデオヘッ
ドＨｖ１，Ｈｖ２の配設位置（図２中の０度ー１８０度
の方向）に対して９０度の位置（図２中の９０度ー２７
０度の方向）付近には、音響情報記録再生用の回転磁気
ヘッドＨａ１，Ｈａ２（回転オーディオヘッド）と、第
１，第２の回転消去ヘッドＨｅ１，Ｈｅ２とが配設され
ている。また、図３において前記した２個のビデオヘッ
ドＨｖ１，Ｈｖ２の配設位置（図３中の０度ー１８０度
の方向）に対して９０度の位置（図３中の９０度ー２７
０度の方向）付近には、音響情報記録再生用の回転磁気
ヘッドＨａ１（回転オーディオヘッド）と、第１の回転
消去ヘッドＨｅ１とが構成されている複合磁気ヘッドＤ
Ｈ１（図４参照）、すなわち、音響情報記録再生用の回
転磁気ヘッドＨａ１の磁気空隙の中心部の高さと、回転
消去ヘッドＨｅ１の磁気空隙の中心部の高さとを同一と
して構成させたダブルアジマスヘッドＤＨ１と、音響情
報記録再生用の回転磁気ヘッドＨａ２（回転オーディオ
ヘッド）と、第２の回転消去ヘッドＨｅ２とが構成され
ている複合磁気ヘッドＤＨ２、すなわち、音響情報記録
再生用の回転磁気ヘッドＨａ１の磁気空隙の中心部の高
さと、回転消去ヘッドＨｅ１の磁気空隙の中心部の高さ
とを同一として構成させたダブルアジマスヘッドＤＨ２
（図４参照）とが配設されている。

【００１６】図４に示すダブルアジマスヘッドＤＨ１
（またはＤＨ２）において、図４の（ａ）は音響情報記
録再生用の回転磁気ヘッドＨａ１（またはＨａ２）と、
第１の回転消去ヘッドＨｅ１（またはＨｅ２）とによっ
て構成されている複合磁気ヘッドＤＨ１（またはＤＨ
２）における前記した１対の音響情報記録再生用の回転
磁気ヘッドと回転消去ヘッドとのテープ摺接面の平面図
であり、また、図４の（ｂ）は複合磁気ヘッドＤＨ１
（またはＤＨ２）の正面図であり、図４の（ｃ）は複合
磁気ヘッドＤＨ１（またはＤＨ２）の側面図である。図
４において、４６は共通磁路部材、４７は回転消去ヘッ
ドＨｅ１（またはＨｅ２）のヘッドチップ、４８は回転
消去ヘッドＨｅ１（またはＨｅ２）のコイルである。４
９は音響情報記録再生用の回転磁気ヘッドＨａ１（また
はＨａ２）のヘッドチップ、５０は音響情報記録再生用
の回転磁気ヘッドＨａ１（またはＨａ２）のコイルであ
る。

【００１７】そして、前記した回転オーディオヘッドＨ
ａ１，Ｈａ２は、実施例の記述では前記したビデオヘッ
ドＨｖ１，Ｈｖ２のヘッドトラック幅に比べて狭いヘッ
ドトラック幅を有しているものとされている（回転オー
ディオヘッドＨａ１，Ｈａ２は、前記したビデオヘッド
Ｈｖ１，Ｈｖ２のヘッドトラック幅と同一であってもよ
い）。また、前記した回転オーディオヘッドＨａ１，Ｈ
ａ２は、ビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ２の磁気空隙のアジ
マス角度に比べて大きなアジマス角度の磁気空隙を有し
ているものとして構成されている。前記した回転オーデ
ィオヘッドＨａ１，Ｈａ２は、前記したビデオヘッドＨ
ｖ１，Ｈｖ２の回転磁気ヘッドによって記録形成される
記録跡に隣接する部分に、音響情報で深層記録された状
態の記録跡を形成させるために用いられる。

【００１８】前記した第１，第２の回転消去ヘッドＨｅ
１，Ｈｅ２は、ビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ２のヘッドト
ラック幅と同一のヘッドトラック幅を有していて、前記
した回転オーディオヘッドＨａ１，Ｈａ２によって深層
記録されている記録跡を先行消去させるために用いられ
る。前記した上ドラムＤｕと、前記の上ドラムＤｕと対
をなして設けられる下ドラムＤｄ（例えば図５を参照の
こと）と、前記した上，下ドラムＤｕ，Ｄｄとは別体構
成で、かつ、前記した下ドラムＤｄの下部に構成させた
小径部（図５中の図面符号１３で示す部分）の外周面に
接近した状態に配置される、磁気テープの走行位置規制
用案内部材Ｌｒ（磁気テープＴの基準縁Ｔｅの位置を規
制する磁気テープの走行位置規制用案内部材をリードリ
ングＬｒ）とは、ドラム構体ＤＡを構成している。前記
した磁気テープの走行位置規制用案内部材Ｌｒには磁気
テープの基準縁の案内部（位置規制面）Ｇが設けられて
いる。

【００１９】図２及び図３中の矢印ａは、上ドラムＤｕ
の回転方向であり、また、矢印ｂは磁気テープＴの順方
向における移送方向を示している。磁気テープＴの逆方
向における移送方向は、図２及び図３中の矢印ｂの方向
とは反対の方向（図２及び図３中では矢印−ｂで示して
いる）である。なお、図２及び図３ならびに図５中には
図面の簡略化表示のために、上ドラムＤｕを所定の回転
数で駆動回転させるためのドラムモータの図示を省略し
てあるが、前記のドラムモータとしては、例えば、前記
した上ドラムＤｕにロータを固定させた構成のモータを
用いるようにしてもよい。前記のような構成態様のドラ
ムモータが使用される場合には、上ドラムＤｕをドラム
構体ＤＡの中心軸に対して回転自在にベアリング軸受け
によって支持させる。

【００２０】ところで、ヘリカル・スキャン型の磁気記
録再生装置をノーマル記録再生モードで動作させるため
に、磁気テープＴを順方向（図２及び図３中の矢印ｂ方
向）に所定の走行速度［予め定められた回転方向及び予
め定められた一定の回転数で回転している第１，第２の
ビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ２による順次交互の記録跡
を、ガードバンドレスの状態で磁気テープに記録形成さ
せることができるような走行速度(仮に、基準の走行速
度と称する)］で磁気テープを順方向に走行させるとと
もに、第１，第２のビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ２を、予
め定められた特定な回転方向（図２，図３中の矢印ａ方
向）に所定の回転数で駆動回転させたときに、上ドラム
Ｄｕにおける１８０度対称の位置に設けられている第
１，第２のビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ２によって、磁気
テープＴに順次交互に記録形成される記録跡が、図６中
の点線図示の矩形配列のように、順次の記録跡が密接し
て配列される状態とされるとした場合に、第１，第２の
ビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ２の回転方向と回転数とをそ
のままの状態にしておいて、磁気テープＴを順方向に
基準の走行速度の３倍の速度(３倍速)で走行させると、
第１，第２のビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ２の回転軌跡
は、図６中の右側に示されている矢印［正方向（順方
向）走行時で傾斜補正を行なっていない状態における回
転磁気ヘッドの回転軌跡］で示されるようなものにな
る。

【００２１】また磁気テープＴを逆方向（図６中の矢
印−ｂの方向）に基準の走行速度の３倍の速度(３倍速)
で走行させると、第１，第２のビデオヘッドＨｖ１，Ｈ
ｖ２の回転軌跡は、図６中の左側に示されている矢印
（逆方向走行時で傾斜補正を行なっていない状態にお
ける回転磁気ヘッドの回転軌跡）で示されるようなもの
になる、というように、予め定められた一定の回転方向
に、予め定められた一定の回転数で回転している第１，
第２のビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ２の回転軌跡は、磁気
テープＴの走行方向と走行速度との変化に対応して変化
する。前記の点は、上ドラムＤｕに設けられている他の
回転磁気ヘッドについても同様である。

【００２２】ところで、本発明の磁気記録再生装置は、
磁気テープＴの走行方向を順方向と逆方向とに順次交互
に変更して連続往復記録動作を行なうようにしているか
ら、磁気テープの走行方向が順方向と逆方向とに変更さ
れることによって、特定な回転方向に特定な回転数で回
転している回転磁気ヘッドの回転軌跡と、磁気テープＴ
の基準縁Ｔｅとのなす角（トラック角）が変化すること
になる。それで、磁気テープの走行方向や走行速度が変
更された場合でも、特定な回転方向に特定な回転数で回
転している回転磁気ヘッドの回転軌跡と、磁気テープＴ
の基準縁Ｔｅとのなす角（トラック角）が変化しない状
態に補正させることが必要である。

【００２３】そして、本発明の磁気記録再生装置におい
て、磁気テープの走行方向と走行速度とが変化した場合
でも、特定な回転方向に特定な回転数で回転している回
転磁気ヘッドの回転軌跡と、磁気テープＴの基準縁Ｔｅ
とのなす角（トラック角）が変化しないようにさせるた
めの構成部分は、図１中のシステムコントローラ（主制
御部）５と傾斜制御回路（傾斜制御部）８、及び図５中
のシステムコントローラ５と傾斜制御回路８と傾斜補正
機構部分とによって例示されている。図５を参照して、
回転磁気ヘッドによって磁気テープＴに描かれる回転軌
跡を、磁気テープＴの基準縁Ｔｅに対して、任意所定の
角度となるように制御したり、リードリングＬｒの位置
規制面Ｇを、走行する磁気テープＴの移動軌跡と一致さ
せたりする傾斜補正機構部分の構成原理及び動作原理の
概略について説明する。

【００２４】図５において、ＤＢはドラムベースであ
り、上ドラムＤｕと下ドラムＤｄとリードリングＬｒと
からなるドラム構体ＤＡは、前記のドラムベースＤＢに
よって支持されている。上ドラムＤｕは、ドラム構体Ｄ
Ａの中心軸１２に装着されているベアリング軸受け（図
示しない）によって、ドラム構体ＤＡの中心軸に対して
回転自在に支持されており、また下ドラムＤｄは前記の
ドラム構体ＤＡの中心軸に固着されている。また磁気テ
ープＴの基準縁Ｔｅ（図６参照）の案内部として機能す
るリードリングＬｒは、前記した下ドラムＤｄとは別体
に構成されていて、下ドラムＤｄの下方の外周部１３に
近接し、リードリングＬｒの内周に設けられたナイフエ
ッジ（図示しない）によって下ドラムＤｄの下方突出部
と同軸嵌合（図示しない）している。

【００２５】傾斜制御回路８は、図５中に例示してある
ように、動力源とされる傾斜駆動モータ（図５中のＤＤ
モータ）１４と、複数の歯車よりなる減速機構１５，１
６、ロータリエンコーダ１７、位置検出器（プリセット
センサ）１８等を含んで構成されている。なお、図５中
にブロック１４で示してある前記の傾斜駆動モータ１４
は、モータ駆動制御回路も含んでいるものとされてい
る。前記した位置検出器１８としては、例えば、発光素
子と受光素子とが対向して配置されている光路中に、円
弧状の遮光板を移動させるような構成態様のものが用い
られてもよい。前記の位置検出器１８は、それの発光素
子と受光素子とが対向して配置されている光路中から円
弧状の遮光板が外れる瞬間に位置検出器１８から出力さ
れる信号が、前記したドラム構体ＤＡの中心軸１２の基
準位置やリードリングＬｒの基準位置を示す情報として
用いられる。

【００２６】また、前記した位置検出器１８における遮
光板の基準位置からの回動量を、前記したロータリエン
コーダ１７からの出力パルス数の計測によって知ること
により、ドラム構体ＤＡの中心軸１２の基準位置からの
ずれの方向及びずれ量やリードリングＬｒの基準位置か
らのずれの方向及びずれ量を求めることができる。磁気
テープＴの走行方向、及び走行速度が各種の動作モード
に対応して、磁気記録再生装置の主制御部（システムコ
ントローラ）５に設定されるのに応じて、前記の主制御
部５から制御情報が与えられた傾斜制御回路８は、ドラ
ム構体ＤＡにおける上ドラムＤｕと下ドラムＤｄとリー
ドリングＬｒとからなるドラム構体ＤＡの中心軸１２
を、図５中の矢印１２ａ（または１２ｂ）の方向に、そ
れぞれ所定量だけ傾斜させるように、前記したねじ２
６，２８を進退させるような制御動作を行なう。

【００２７】また、リードリングＬｒも、前記した傾斜
制御回路８の制御の下に所定の方向に所定量だけ傾斜さ
せ、それにより、磁気テープの走行方向が正，逆どちら
の方向とされた場合でも、回転磁気ヘッドの回転軌跡に
よって磁気テープＴに描かれる回転軌跡のパターンが、
定められたトラック角度となる状態、すなわち傾斜補正
された状態にされるとともに、磁気テープの基準縁Ｔｅ
の移動軌跡にリードリングの案内部Ｇ（位置規制面）が
一致する状態にされる。

【００２８】まず、磁気テープＴを順方向（図２中の矢
印ｂ方向）に所定の走行速度で走行させた状態におい
て、予め定められた特定な回転方向（図２中の矢印ａ方
向）に所定の回転数で駆動回転されている回転磁気ヘッ
ドにより、図６中の点線図示の矩形配列のような状態の
記録跡を、磁気テープＴに順次交互に記録形成させる場
合における下ドラムＤｄは、それの底面部がドラムベー
スＤＢに突設してある４個の回動支点（図５中の回動支
点２０，２０，２１，２１を参照のこと。なお図５中に
は、４個の回動支点２０，２０，２１，２１の内の２個
の回動支点２０，２１だけが示されているが、前記の図
示されていない２個の回動支点２０，２１は、図５中に
示されている回動支点２０，２１の位置における紙面に
垂直な線上に１個ずつ設けられている）によって支持さ
れる状態にされる。

【００２９】また、リードリングＬｒは、リードリング
Ｌｒに突設してある４個の回動支点（図５中の回動支点
２２，２２，２３，２３を参照のこと。なお図５中に
は、４個の回動支点２２，２２，２３，２３の内の２個
の回動支点２２，２３だけが示されているが、前記の図
示されていない２個の回動支点２２，２３は、図５中に
示されている回動支点２２，２３の位置における紙面に
垂直な線上に１個ずつ設けられている）によって支持さ
れる状態にされる。前記したリードリングＬｒとドラム
ベースＤＢとの間及び下ドラムＤｄとドラムベースＤＢ
との間には、それぞればね（図５中のばね１９，２４、
２５）が装着されていて、前記の各部が相互に所定の連
結状態となるようにされる。

【００３０】さて、既述した上ドラムＤｕに設けられて
いる回転磁気ヘッドによって磁気テープＴに順次交互に
記録形成される記録跡が、図６中の点線図示の矩形配列
のように、順次の記録跡が密接した状態に配列されるも
のとした場合（例えば、磁気テープがノーマル記録再生
モードで磁気記録再生装置が動作している場合）におけ
る磁気テープの走行方向と同一の走行方向(順方向…図
６中の矢印ｂ方向)に、３倍速の走行速度で走行させて
記録（または再生）動作が行なわれる場合には、ねじ２
６が下ドラムＤｄの底面を押上げるように駆動されると
ともに、ねじ２８が下ドラムＤｄの底面から離れる方向
に駆動されて、ドラムベースＤＢに突設してある４個の
回動支点の内の２個の回動支点（回動支点２０と、図中
に示されている回動支点２０の位置における紙面に垂直
な線上に設けられている１個の回動支点）が、下ドラム
Ｄｄの底面と接して、前記の２個の回動支点を回動支点
として、上ドラムＤｕと下ドラムＤｄとの中心軸が図５
中の矢印１２ａの方向に回動するようにされる。

【００３１】また、既述した上ドラムＤｕに設けられて
いる回転磁気ヘッドによって、磁気テープＴに順次交互
に記録形成される記録跡が、図６中の点線図示の矩形配
列のように、順次の記録跡が密接した状態に配列される
ものとした場合（例えば、磁気テープがノーマル記録再
生モードで磁気記録再生装置が動作している場合）にお
ける磁気テープの走行方向とは逆の走行方向（逆方向…
図６中の矢印−ｂ方向）に、３倍速の走行速度で、記録
（または再生）動作が行なわれる場合には、ねじ２８が
下ドラムＤｄの底面を押上げるように駆動されるととも
に、ねじ２６が下ドラムＤｄの底面から離れる方向に駆
動されて、ドラムベースＤＢに突設してある４個の回動
支点の内の２個の回動支点（回動支点２１と、図中に示
されている回動支点２１の位置における紙面に垂直な線
上に設けられている１個の回動支点）が、下ドラムＤｄ
の底面と接し、前記の２個の回動支点を回動支点とし
て、上ドラムＤｕと下ドラムＤｄとの中心軸が図５中の
矢印１２ｂの方向に回動するようにされる。前記したね
じ２６，２８に対する前記のような駆動々作は、図５中
に８として示してある傾斜制御回路８の制御動作によっ
て行なわれる。

【００３２】そして、磁気テープが順方向（矢印ｂ方
向）に３倍速で走行している場合には、リードリングＬ
ｒに突設してある４個の回動支点の内の２個の回動支点
（回動支点２２と、図中に示されている回動支点２２の
位置における紙面に垂直な線上に設けられている１個の
回動支点）が、下ドラムＤｄの底面と接し、前記の２個
の回動支点を回動支点として、リードリングＬｒの中心
軸が図５中の矢印１２ａの方向に所定量だけ回動された
状態となるように、リードリングＬｒに螺入されている
とともに、先端部が下ドラムＤｄの底面にそれぞれ当接
する状態として設けられている２つのねじ２７，２９を
互いに逆回転させる。

【００３３】また、磁気テープが逆方向（矢印−ｂ方
向）に３倍速で走行している場合には、リードリングＬ
ｒに突設してある４個の回動支点の内の２個の回動支点
（回動支点２３と、図中に示されている回動支点２３の
位置における紙面に垂直な線上に設けられている１個の
回動支点）が、下ドラムＤｄの底面と接し、前記の２個
の回動支点を回動支点として、リードリングＬｒの中心
軸が図５中の矢印１２ｂの方向に所定量だけ回動された
状態となるように、リードリングＬｒに螺入されている
とともに、先端部が下ドラムＤｄの底面にそれぞれ当接
する状態として設けられている２つのねじ２７，２９を
互いに逆回転させる。

【００３４】前記のねじ２７，２９に対する前記のよう
な駆動々作も、傾斜制御回路８の動作によって行なわれ
るのであり、磁気テープＴの走行方向、及び走行速度が
各種の動作モードに対応して、磁気記録再生装置に設け
られている主制御部（システムコントローラ）５に設定
されるのに応じて、前記の主制御部５から制御情報が与
えられた傾斜制御回路８が、リードリングＬｒを図５中
の矢印１２ａ（または１２ｂ）の方向に所定量だけ傾斜
させるように、前記したねじ２７，２９を進退させる。

【００３５】そして、本発明の磁気記録再生装置では、
磁気テープＴの走行方向を順方向と逆方向とに順次交互
に変更して連続往復記録動作を行なう際に、磁気テープ
の走行方向を順方向と逆方向とに変更するとともに、前
記した傾斜制御回路８と傾斜補正機構部分の動作によっ
て、常に、特定な回転方向に特定な回転数で回転してい
る回転磁気ヘッドによる回転軌跡と、磁気テープＴの基
準縁Ｔｅとのなす角（トラック角）を、所定の角度の状
態となるようにして記録再生動作が行なわれるようにさ
れている。

【００３６】図１に示す磁気記録再生装置において、図
示しない操作部に対して入力された動作モードの情報
が、システムコントローラ（主制御部）５に供給される
と、主制御部５では磁気記録再生装置の各構成部分が、
操作部から入力された動作モードに従った動作を行なう
ことができるように、磁気記録再生装置の各構成部分に
対して、それぞれ所定の制御信号を供給する。図１に示
す磁気記録再生装置がアナログ信号形態の映像信号の記
録動作を行なう場合には、入力端子１に供給された記録
の対象にされている複合映像信号が、ビデオ信号記録再
生回路３により磁気記録に適した記録信号（映像信号に
よる周波数被変調波信号）とされて、それが記録増幅器
で増幅されてヘッド切換スイッチＳＷ１を介してビデオ
ヘッドＨｖ１，Ｈｖ２に与えられる。前記したビデオ信
号記録再生回路３において、複合映像信号から分離され
た垂直同期信号は、システムコントローラ５に供給され
る。

【００３７】入力端子３１に供給された記録の対象にさ
れている音響信号は、オーディオ信号記録再生回路４に
より磁気記録に適した記録信号（音響信号による周波数
被変調波信号）とされて、それが記録増幅器で増幅され
てヘッド切換スイッチＳＷ２を介して回転オーディオヘ
ッドＨａ１，Ｈａ２に与えられる。前記したヘッド切換
スイッチＳＷ２の切換動作は、主制御部５からヘッド切
換スイッチＳＷ２の切換制御信号供給端子３３に供給さ
れている切換制御信号によって行なわれる。主制御部５
からヘッド切換スイッチＳＷ１，ＳＷ２の切換制御信号
供給端子３０，３３に供給されている切換制御信号は、
上ドラムＤｕの回転に同期して発生されるドラムフリッ
プフロップ信号に基づいて発生される。前記したヘッド
切換スイッチＳＷ１の切換制御信号と、ヘッド切換スイ
ッチＳＷ２の切換制御信号とは、９０度の位相差を有す
る。

【００３８】２個の回転消去ヘッドＨｅ１，Ｈｅ２に
は、主制御部５から消去信号発生回路６に制御信号が送
られたときに、消去信号発生回路６で発生された消去信
号が供給される。なお、前記の２個の回転消去ヘッドＨ
ｅ１，Ｈｅ２による消去動作は、常時、行なわれるよう
にされていてもよい。図１中においてＨｃはコントロー
ルヘッドであり、このコントロールヘッドＨｃは、コン
トロール（ＣＴＬ）信号記録再生回路９で発生されたコ
ントロール信号を、磁気テープのコントロールトラック
に記録する。ところで、本発明の磁気記録再生装置で
は、ノーマル記録動作時における走行速度の３倍の走行
速度で、磁気テープを正方向（順方向）、あるいは逆方
向に走行させた状態で記録動作を行なうので、磁気テー
プのコントロールトラックにおけるコントロール信号の
記録位置の間隔は、ノーマル記録動作時の場合の記録間
隔の３倍となる（ノーマル記録動作の場合に磁気テープ
に記録形成されるトラックパターンにおける６トラック
ピッチと対応する）。

【００３９】図１中に示されているドラム制御回路７
は、ドラムモータ（図示しない）の回転数と回転位相と
の制御動作を行なう回路であり、それの概略構成を図７
に示してある。図７に示すドラム制御回路７に供給され
ているドラムＦＧは、ドラムモータの回転軸に取付けら
れた信号発生器における周波数発電機で発生されたドラ
ム回転ＦＧ信号であり、前記のドラムＦＧ信号は周波数
電圧変換器（Ｆ／Ｖ変換器）３４に供給されている。ま
た、前記のドラムモータの回転軸に取付けられた信号発
生器における回転基準位相信号発生器で発生されたドラ
ムＰＧ信号（回転基準位相信号）は、ドラムＦ・Ｆ発生
器３５に供給されている。

【００４０】前記したドラムＦ・Ｆ発生器３５から発生
されたドラムＦＦ信号は、システムコントローラ５と、
位相比較器３６とに供給される。前記の位相比較器３６
にはシステムコントローラ５から基準信号が供給されて
いる。前記したＦ／Ｖ変換器３４からの出力信号と、位
相比較器３６からの出力信号とは、加算器３７によって
加算されて位相補償回路３８に供給される。前記の位相
補償回路３８からの出力信号は駆動回路３９を経てドラ
ムモータに供給される。

【００４１】図１中に示されているキャプスタン制御回
路１０は、キャプスタンモータ１１の回転数と回転位相
との制御動作を行なう回路であり、それの概略構成を図
８に示してある。図８に示すキャプスタン制御回路１０
に供給されているキャプスタンＦＧは、キャプスタンモ
ータ１１の回転軸に取付けられている信号発生器（図示
していない）に設けられている周波数発電機で発生され
たキャプスタンＦＧ信号である。前記のキャプスタンＦ
Ｇ信号は、周波数電圧変換器（Ｆ／Ｖ変換器）４１とト
ラッキング制御回路４０とに供給されている。キャプス
タン制御回路１０は、キャプスタンモータ１１を正逆の
両方向に駆動可能であり、主制御部（システムコントロ
ーラ）５から供給される走行方向反転信号に基づいて磁
気テープの走行方向の切換えを行なう。

【００４２】前記したトラッキング制御回路４０では、
前記したキャプスタンＦＧ信号と、磁気テープＴのコン
トロールトラックから再生されたコントロール信号ＣＴ
Ｌと、システムコントローラ５から供給されるトラッキ
ングデータとに基づいて、トラッキング制御信号を発生
して位相比較器４２に供給する。すなわち、前記のシス
テムコントローラ（主制御部）５には、６種類のトラッ
キングデータをＲＯＭに格納させてあり、主制御部５で
は磁気記録再生装置がテープ走行方向を変更する度毎
に、記録過程を区別して計数器（カウンタ）で計数し、
前記の計数器の計数値に対応して、前記した６種類のト
ラッキングデータを順次に切換えてキャプスタン制御回
路１０におけるトラッキング制御回路４０に供給する。

【００４３】前記した６種類のトラッキングデータは、
所定の順序でＲＯＭから繰返し読出されるから、例えば
２回目の記録過程において用いられるトラッキングデー
タと、８回目の記録過程において用いられるトラッキン
グデータとは同じである。また前記の位相比較器４２で
は、システムコントローラ５から供給される基準信号
と、トラッキング制御回路４０から出力されたトラッキ
ング制御信号との比較動作を行なう。位相比較器４２の
出力信号と、前記したＦ／Ｖ変換器４１からの出力信号
とは加算器４３で加算されて、前記の加算器４３からの
出力信号は位相補償回路４４と駆動回路４５とを経てキ
ャプスンモータ１１に供給される。

【００４４】さて、本発明の磁気記録再生装置では、図
２及び図３を参照して既述したような配設態様で、上ド
ラムＤｕに取付けられている各回転磁気ヘッド、すなわ
ち、２個のビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ２、及び２個の回
転オーディオヘッドＨａ１，Ｈａ２、ならびに２個の回
転消去ヘッドＨｅ１，Ｈｅ２等は、磁気テープの走行方
向の変化とは無関係に、予め定められた特定な回転方向
へ所定の回転数で回転されている状態で、磁気テープの
走行方向が順方向でもあるいは逆方向でも、常に、予め
定められたトラック角度を示す回転軌跡が磁気テープに
描くことができるように、図１，図５を参照して既述し
たように、システムコントローラ（主制御部）５と傾斜
制御回路（傾斜制御部）８及び傾斜補正機構部分とによ
り回転軌跡面の傾斜制御が行なわれている。

【００４５】そして、磁気記録再生装置のシステムコン
トローラ（主制御部）５では、磁気記録再生装置が連続
的な往復記録動作を開始した時点以後における磁気テー
プの走行方向の変更の回数をｉ（ただしｉは０，１，
２，３…）としたときに、連続的な往復記録動作の開始
時点以後における順次の走行方向毎の期間と対応してい
る（ｉ＋１）番目［ただし、（ｉ＋１）＝Ｎとする］の
記録動作期間の記録過程を区別して計数して、主制御部
５内に設けてあるメモリに記憶する。前記の主制御部５
では、連続的な往復記録動作の開始時点以後における記
録動作期間の順番の情報を、既述した傾斜補正機構部
（図５参照）における傾斜制御回路８に供給するととも
に、既述のように記録動作期間の記録過程を区別して計
数した計数値に応じたトラッキングデータをキャプスタ
ン制御回路１０に供給する。

【００４６】それにより傾斜補正機構部では、連続的な
往復記録動作の開始時点以後における順次のどの記録動
作期間においても、既述した各回転磁気ヘッド（２個の
ビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ２、及び２個の回転オーディ
オヘッドＨａ１，Ｈａ２、ならびに２個の回転消去ヘッ
ドＨｅ１，Ｈｅ２）の回転軌跡が、上ドラムと下ドラム
との周面の一部に巻回された状態で走行する磁気テープ
Ｔの基準縁Ｔｅに対して、予め定められたトラック角度
を示す状態にさせるような傾斜補正動作を行なう。それ
により、磁気テープに記録形成される順次の記録跡は、
連続的な往復記録動作の開始時点以後におけるどの記録
動作期間についても互いに平行な状態となる。また、キ
ャプスタン制御回路１０では、前記したトラッキングデ
ータによって所定のトラッキング状態で記録動作が行な
われるように磁気テープの走行状態を制御する。

【００４７】そして、連続的な往復記録動作の開始時点
以後におけるどの記録動作期間についても、ノーマル記
録再生動作時の基準の走行速度の３倍の走行速度で走行
する磁気テープＴに対し、回転磁気ヘッドによって、順
次交互に平行な状態で記録形成される記録跡は、順次の
隣接する記録跡間毎に記録跡幅の２倍の幅の未記録領域
が設けられた状態で記録形成される［図１３及び図１４
における各（ａ）図参照］。さて、磁気記録再生装置が
連続的な往復記録動作を開始した時点に開始される（Ｎ
＝１）番目の記録動作期間中に、順方向へ走行する磁気
テープに対して行なわれる記録動作によって、図１３及
び図１４における各（ａ）図に示されるような記録跡が
記録形成された磁気テープは、（Ｎ＝１）番目の記録動
作期間の終了によって、磁気テープの走行方向が変更さ
れる。

【００４８】前記の図１３及び図１４の各（ａ）図にお
いて、ＡはビデオヘッドＨｖ１によって記録形成された
記録跡、ＢはビデオヘッドＨｖ２によって記録形成され
た記録跡、ａは回転オーディオヘッドＨａ１によって記
録形成された記録跡、ｂは回転オーディオヘッドＨａ２
によって記録形成された記録跡を示しており、また、点
線枠で示す部分は、未記録領域または回転消去ヘッドＨ
ｅ１，Ｈｅ２で消去された状態の部分を示している。す
なわち、（Ｎ＝１）番目の記録動作期間中に順方向に走
行される磁気テープＴの末端が、図示していない磁気テ
ープの端部検知用センサ（磁気テープＴの末端に設けて
ある透明なリーダーテープを光によって検出する光セン
サであってもよい）によって検出されると、主制御部
（システムコントローラ）５は、回転方向変更信号を、
キャプスタン制御回路１０に供給し、また連続的な往復
記録動作の開始時点以後における記録動作の順番の情報
を、既述した傾斜制御回路８に供給する。

【００４９】前記したキャプスタン制御回路１０は、磁
気テープＴの走行方向が順方向と逆方向とに順次交互に
切換え変更された状態で行なわれる連続的な往復記録動
作期間中で順次交互に変化する磁気テープの走行方向毎
の記録動作期間に、図１３及び図１４について既述した
ような記録跡を、磁気テープに順次に記録形成させるこ
とができるように、すなわち、各２個ずつの回転磁気ヘ
ッドによって、順次交互に磁気テープＴに記録形成され
る記録跡が、磁気テープＴの走行方向に対して斜交する
状態で平行な記録跡における相隣る記録跡間に、２記録
跡幅の未記録領域が形成される状態で、かつ、磁気テー
プＴに記録されている記録跡の記録動作時に使用された
回転磁気ヘッドと、前記の記録跡に隣接して記録される
記録跡の記録動作時に用いられる回転磁気ヘッドとが、
異なるアジマス角の磁気空隙を備えているものが使用さ
れるような状態で連続的な往復記録動作が行なわれるよ
うに、キャプスタンモータ１１に対する速度及び位相制
御動作を行なう。

【００５０】すなわち、キャプスタン制御回路１０は、
連続的な往復記録動作期間に、各回転磁気ヘッドによっ
て、磁気テープＴに記録形成させるべき順次の記録跡の
位置を、連続的な往復記録動作期間の開始時点以後にお
ける順次の走行方向毎の期間の順番に応じて、図１３及
び図１４に例示してあるような、それぞれ定められた位
置関係となるように制御するのに、連続的な往復記録動
作期間中における（Ｎ＝１）番目の記録動作期間中に、
磁気テープＴのコントロールトラックにコントロール信
号を記録しておき、連続的な往復記録動作期間中の（Ｎ
＝２）番目以降の各記録動作期間には、前記のように磁
気テープＴのコントロールトラックに記録されているコ
ントロール信号を再生して得た、再生コントロール信号
を位置の基準として用いて、（Ｎ＝２）番目の記録動作
期間以降の各記録動作期間に、磁気テープＴに記録形成
させるべき順次の記録跡を、それぞれ、所定の位置関係
にさせるように、キャプスタンモータ１１に対する速度
及び位相制御動作とを行なって、磁気テープＴの走行位
相を制御する。

【００５１】それで、磁気テープＴのコントロールトラ
ックにコントロール信号の記録が行なわれるのは、未記
録状態の磁気テープ（新品の磁気テープ）に対して記録
動作が行なわれる場合だけである。前記のようにコント
ロール信号の記録が行なわれるような動作態様以外の記
録動作態様での記録動作が行なわれる場合には、以前か
ら磁気テープＴのコントロールトラックに記録されてい
たコントロール信号を再生して得た再生コントロール信
号を基準として、記録動作時に磁気テープＴに記録形成
させるべき順次の記録跡の位置の規制が行なわれる。ま
た、連続的な往復記録動作期間中におけるＫ番目［ただ
し、ＫはＮ＝３，４，５…］以降の各記録動作期間にお
いては、消去信号発生回路６から回転消去ヘッドＨｅ
１，Ｈｅ２に対して消去用電力を供給して先行消去が行
なわれるようにされる。

【００５２】さて、連続的な往復記録動作が開始され
て、（Ｎ＝２）番目の記録動作期間中には、連続的な往
復記録動作が開始された時点で特定な走行方向へ走行す
る磁気テープに（Ｎ＝１）番目の記録動作期間中に、第
１，第２の回転オーディオヘッドＨａ１，Ｈａ２によっ
て、深層記録が行なわれている記録跡の位置に、前記し
た（Ｎ＝１）番目の記録動作期間中に、第１（または第
２）のビデオヘッドＨｖ１（Ｈｖ２）の記録動作で形成
されていた記録済み磁気テープ中の記録跡に隣接する新
たな記録跡を、第２（または第１）のビデオヘッドＨｖ
２（Ｈｖ１）を用いて記録形成させる。

【００５３】次いで、（Ｎ＝Ｋ）番目（ただし、Ｋは３
以上の自然数）の記録動作期間中には、（Ｎ＝Ｋ−１）
番目の記録動作期間中に、第１，第２の回転オーディオ
ヘッドＨａ１，Ｈａ２によって、深層記録が行なわれて
いる記録跡の位置に、前記した（Ｎ＝Ｋ−１）番目の記
録動作期間中に、第１（または第２）のビデオヘッドＨ
ｖ１（Ｈｖ２）の記録動作で形成されていた記録済み磁
気テープ中の記録跡に隣接する新たな記録跡を、第２
（または第１）のビデオヘッドＨｖ２（Ｈｖ１）を用い
て記録形成させるとともに、（Ｎ＝Ｋ−２）番目の記録
動作期間中に第１，第２のビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ２
で記録形成された記録跡を、第１，第２の回転消去ヘッ
ドＨｅ１，Ｈｅ２によって消去させるようにする。

【００５４】前述のように連続的な往復記録動作期間中
における（Ｎ＝１）番目の記録動作期間，（Ｎ＝２）番
目の記録動作期間，（Ｎ＝３）番目の記録動作期間…等
の順次の記録動作期間において行なわれる図１３及び図
１４を参照して既述したような所定の記録動作態様に従
う記録動作に当っては、磁気テープＴの走行方向の変更
後に所定の走行速度で走行させた状態で、磁気テープＴ
の走行方向が変更される以前に磁気テープＴに記録され
ていた記録跡に隣接して新たに記録される記録跡の記録
動作に用いられる回転磁気ヘッドは、前記した磁気テー
プＴの走行方向が変更される以前に磁気テープＴに記録
された記録跡の形成に使用された回転磁気ヘッドが、例
えば第１のビテオヘッドＨｖ１（または第２のビテオヘ
ッドＨｖ２）の場合には、第２のビテオヘッドＨｖ２
（または第１のビテオヘッドＨｖ１）というように、前
記した磁気テープＴの走行方向が変更される以前に磁気
テープＴに記録された記録跡の形成に使用された回転磁
気ヘッドとは異なるもの（逆アジマスのもの）とされる
のである。

【００５５】そして、連続的な往復記録動作により、磁
気テープに対して図１３に示されている記録跡パターン
のような記録跡が形成されるのか、または磁気テープに
対して図１４に示されている記録跡パターンのような記
録跡が形成されるのかは、上ドラムＤｕに設けられてい
る各回転磁気ヘッドの取付け態様が、図９もしくは図１
１に示されているような高さ関係に取付けられているも
のが用いられるのか、あるいは図１０もしくは図１２に
示されているような高さ関係に取付けられているものが
用いられるのかによって定まる。なお、連続的な往復記
録動作によって、磁気テープに対して既述した図１３に
示されている記録跡パターンのような記録跡を形成させ
たり、または磁気テープに対して既述した図１４に示さ
れている記録跡パターンのような記録跡を形成させたり
する際に用いられる２個の回転消去ヘッドＨｅ１，Ｈｅ
２と２個の回転オーディオヘッドＨａ１，Ｈａ２は、図
９乃至図１２に示されているように第１，第２のビデオ
ヘッドＨｖ１，Ｈｖ２に対して、９０度だけずらした位
置に設けずに、第１，第２のビデオヘッドＨｖ１，Ｈｖ
２と重ねるように所定の位置に設けるようにしてもよ
い。なお、図９〜図１２中において、Ｔｐはノーマル再
生時のトラックピッチである。

【００５６】ところで、前述した連続的な往復記録動作
期間中における順次の記録動作期間、すなわち、（Ｎ＝
１）番目の記録動作期間，（Ｎ＝２）番目の記録動作期
間，（Ｎ＝３）番目の記録動作期間，（Ｎ＝４）番目の
記録動作期間…で行なわれる磁気記録再生装置の記録動
作は、［１］図９（または図１１）に示されているよう
な配置態様とされている第１，第２のビデオヘッドＨｖ
１，Ｈｖ２及び回転消去ヘッドＨｅ１，Ｈｅ２ならびに
回転オーディオヘッドＨａ１，Ｈａ２を使用して、図１
３を参照して既述したような記録跡パターンを順次に形
成させるような記録動作態様に従って行なわれる場合
と、［２］図１０(または図１２)に示されているような
配置態様とされている第１，第２のビデオヘッドＨｖ
１，Ｈｖ２及び回転消去ヘッドＨｅ１，Ｈｅ２ならびに
回転オーディオヘッドＨａ１，Ｈａ２を使用して、図１
４を参照して既述したような記録跡パターンを順次に形
成させるような記録動作態様に従って行なわれる場合と
の何れかである。

【００５７】そして、磁気記録再生装置が連続的な往復
記録動作期間中における順次の記録動作期間において、
前記した［１］の記録動作態様での記録動作を行なうこ
とが必要とされているのか、あるいは前記した［２］の
記録動作態様での記録動作を行なうことが必要とされて
いるのかは、磁気記録再生装置の構成に採用されている
各回転磁気ヘッドの配置態様がどうであるのかによって
定まっている。それで、磁気記録再生装置が連続的な往
復記録動作期間中における順次の記録動作期間におい
て、図１３を参照して既述したような記録跡パターン
を、順次に形成させるような記録動作を行なうことが必
要とされていた場合には、連続的な往復記録動作期間中
における順次の記録動作期間について、それぞれの記録
動作期間毎の記録跡パターンと対応して定められるトラ
ッキングデータを主制御部（システムコントローラ）５
中に用意しておく。

【００５８】また、磁気記録再生装置が連続的な往復記
録動作期間中における順次の記録動作期間において、図
１４を参照して既述したような記録跡パターンを順次に
形成させるような記録動作を行なうことが必要とされて
いた場合には、連続的な往復記録動作期間中における順
次の記録動作期間について、それぞれの記録動作期間毎
の記録跡パターンと対応して定められるトラッキングデ
ータを主制御部５中に用意しておく。ところで、図１３
及び図１４にそれぞれ示されている連続的な往復記録動
作期間中における順次の記録動作期間毎に変化する記録
跡パターンの変化態様は、連続する６個の記録動作期間
を単位として繰返しているので、連続的な往復記録動作
期間中における順次の記録動作期間毎の記録跡パターン
の変化態様と対応して定められるべきトラッキングデー
タは、連続する６個の記録動作期間と対応して定められ
た６個だけを用意しておくだけでよい。

【００５９】

【発明の効果】以上、詳細に説明したところから明らか
なように、本発明の磁気記録再生装置は、ヘリカルスキ
ャン型のＶＴＲの磁気テープの走行方向を順次交互に変
更して往復記録動作を行なわせる際に、従来のＶＴＲの
機構部の構成を大幅に変更することなく、音響情報によ
る周波数被変調信号波による深層記録により、往復記録
動作においても音響情報の記録再生を良好な音質で実現
することができ、また、磁気テープを往復走行させて、
磁気テープをエンドレス式に使用して記録再生するとき
に、回転消去ヘッドで先行消去をすることができ、さら
に、磁気テープの正逆両方向での走行における記録再生
動作に、使用する回転磁気ヘッドを兼用できるために、
使用する回転磁気ヘッド数が半分になり、そのために、
小径なドラムを用いることも可能となり、コストダウン
も達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の磁気記録再生装置のブロック図であ
る。

【図２】回転磁気ヘッドの配置例を示す図である。

【図３】回転磁気ヘッドの配置例を示す図である。

【図４】複合磁気ヘッドの構成例を示す図である。

【図５】傾斜機構部の概略構成を示す図である。

【図６】記録跡パターンを示す図である。

【図７】ドラム制御回路の構成例を示すブロック図であ
る。

【図８】キャプスタン制御回路の構成例を示すブロック
図である。

【図９】回転磁気ヘッドの配置を示す図である。

【図１０】回転磁気ヘッドの配置を示す図である。

【図１１】回転磁気ヘッドの配置を示す図である。

【図１２】回転磁気ヘッドの配置を示す図である。

【図１３】記録跡パターンを示す図である。

【図１４】記録跡パターンを示す図である。

【符号の説明】

Ｄｕ…上ドラム、Ｄｄ…下ドラム、Ｌｒ…磁気テープの
走行位置規制用案内部材（リードリング）、Ｔ…磁気テ
ープ、Ｇ…磁気テープの基準縁の案内部（位置規制
面）、Ｈｖ１，Ｈｖ２…第１，第２の．ビデオヘッド、
Ｈａ１，Ｈａ２…回転オーディオヘッド、Ｈｅ１，Ｈｅ
２…回転消去ヘッド、ＤＨ１，ＤＨ２…複合ヘッドダブ
ルアジマスヘッド）、ＤＢ…ドラムベース、ＳＷ１，Ｓ
Ｗ２…ヘッド切換スイッチ、３…ビデオ信号記録再生回
路、４…オーディオ信号記録再生回路、５…主制御部
（システムコントローラ）、６…消去信号発生回路、７
…ドラム制御回路、８…傾斜制御回路、９…ＣＴＬ信号
記録再生回路、１０…キャプスタン制御回路、１１…キ
ャプスタンモータ、１２…中心軸、１３…下ドラムＤｄ
の下方の外周部、２０〜２３…回動支点、３４，４１…
周波数電圧変換器（Ｆ／Ｖ変換器）、４０…トラッキン
グ制御回路、３６，４２…位相比較器、３７，４３…加
算器、３８，４４…位相補償回路、４６…共通磁路、４
７，４９…ヘッドチップ、４８，５０…コイル、

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気空隙のアジマス角度が記録跡の幅方
   向に対して時計まわりに９０度以下の所定の角度に設定
   されている磁気空隙を有している映像情報記録再生用の
   第１の回転磁気ヘッドと、磁気空隙のアジマス角度が記
   録跡の幅方向に対して反時計まわりに９０度以下の所定
   の角度に設定されている磁気空隙を有している映像情報
   記録再生用の第２の回転磁気ヘッドとを、上ドラムの中
   心軸を対称中心とする１８０度対称の位置に配設し、ま
   た、前記した第１，第２の映像情報記録再生用の回転磁
   気ヘッドのヘッドトラック幅に比べて狭いヘッドトラッ
   ク幅を有しているとともに、前記した映像情報記録再生
   用の第１，第２の回転磁気ヘッドの磁気空隙のアジマス
   角度に比べて大きなアジマス角度の磁気空隙を有してお
   り、かつ、前記した映像情報記録再生用の第１，第２の
   回転磁気ヘッドによって記録形成される記録跡に隣接す
   る部分に、音響情報で深層記録された状態の記録跡を形
   成させる音響情報記録再生用の第１，第２の回転磁気ヘ
   ッドを上ドラムに配設し、さらに、前記した第１，第２
   の映像情報記録再生用の回転磁気ヘッドのヘッドトラッ
   ク幅と同一のヘッドトラック幅を有していて、前記した
   音響情報記録再生用の第１，第２の回転磁気ヘッドによ
   って深層記録されている記録跡を先行消去できるような
   第１，第２の回転消去ヘッドを上ドラムに配設し、前記
   した各種の回転磁気ヘッドが配設されている上ドラム
   を、予め定められた特定な回転方向だけに特定な回転数
   で回転させる手段と、磁気テープの走行方向を順方向と
   逆方向とに順次交互に切換え変更した状態で行なわれる
   連続的な往復記録動作に際して、前記した回転磁気ヘッ
   ドにより磁気テープの長手方向に斜交した状態で形成さ
   れる記録跡が、常に、予め定められたトラック角度を示
   す記録跡として形成させるようにする手段と、上ドラム
   と下ドラムとの周面の一部に巻回された状態で、順方向
   または逆方向に走行する磁気テープに、前記した映像情
   報記録再生用の第１の回転磁気ヘッドと、映像情報記録
   再生用の第２の回転磁気ヘッドとによって、順次交互に
   平行な状態で形成される記録跡が、隣接する記録跡間毎
   に少なくとも２記録跡幅の未記録領域が設けられる状態
   で記録形成されるようにする手段と、連続的な往復記録
   動作が開始された時点以後における磁気テープの走行方
   向の変更の回数をｉ(ただしｉは０，１，２，３…)とし
   たときに、連続的な往復記録動作の開始時点以後におけ
   る順次の走行方向毎の期間と対応している(ｉ＋１)番目
   ［ただし、(ｉ＋１)＝Ｎとする］の記録動作期間の記録
   過程を区別して計数する手段と、また(Ｎ＝２)番目の記
   録動作期間中には、連続的な往復記録動作が開始された
   時点で特定な走行方向へ走行する磁気テープに(Ｎ＝１)
   番目の記録動作期間中に音響情報記録再生用の第１，第
   ２の回転磁気ヘッドにより深層記録が行なわれている記
   録跡の位置に、前記した(Ｎ＝１)番目の記録動作期間中
   に映像情報記録再生用の第１(または第２)の回転磁気ヘ
   ッドの記録動作で形成されていた記録済み磁気テープ中
   の記録跡に隣接する新たな記録跡を、映像情報記録再生
   用の第２（または第１）の回転磁気ヘッドを用いて記録
   形成させ、さらに（Ｎ＝Ｋ）番目（ただし、Ｋは３以上
   の自然数）の記録動作期間中には、（Ｎ＝Ｋ−１）番目
   の記録動作期間中に音響情報記録再生用の第１，第２の
   回転磁気ヘッドにより深層記録が行なわれている記録跡
   の位置に、前記した（Ｎ＝Ｋ−１）番目の記録動作期間
   中に映像情報記録再生用の第１（または第２）の回転磁
   気ヘッドの記録動作で形成されていた記録済み磁気テー
   プ中の記録跡に隣接する新たな記録跡を、映像情報記録
   再生用の第２（または第１）の回転磁気ヘッドを用いて
   記録形成させるとともに、（Ｎ＝Ｋ−２）番目の記録動
   作期間中に映像情報記録再生用の第１，第２の回転磁気
   ヘッドで記録形成された記録跡を、第１，第２の回転消
   去ヘッドによって消去できるように、磁気テープの走行
   状態と回転磁気ヘッドとの相対位置を制御する手段とを
   備えてなる磁気記録再生装置。
2. 【請求項２】 アジマス角度が記録跡の幅方向に対して
   時計まわりに９０度以下の所定の角度に設定されている
   磁気空隙を有している映像情報記録再生用の第１の回転
   磁気ヘッドと、アジマス角度が記録跡の幅方向に対して
   反時計まわりに９０度以下の所定の角度に設定されてい
   る磁気空隙を有している映像情報記録再生用の第２の回
   転磁気ヘッドとを、ドラムの中心軸を対称中心とする１
   ８０度対称の位置に配設させてある上ドラムを、予め定
   められた特定な回転方向だけに特定な回転数で回転させ
   る手段と、磁気テープの走行方向を順方向と逆方向とに
   順次交互に切換え変更した状態で行なわれる連続的な往
   復記録動作に際して、上ドラムと下ドラムとの周面の一
   部に巻回された状態で、順方向または逆方向に走行する
   磁気テープに、前記した映像情報記録再生用の第１の回
   転磁気ヘッドと、映像情報記録再生用の第２の回転磁気
   ヘッドとによって、磁気テープの長手方向に斜交した状
   態で順次交互に平行な状態で形成される記録跡間に、２
   記録跡幅の未記録領域が設けられる状態で順次の記録跡
   が記録形成されるようにするとともに、磁気テープの走
   行方向が変更された後に、映像情報記録再生用の第１の
   回転磁気ヘッド（または映像情報記録再生用の第２の回
   転磁気ヘッド）によって記録形成されていた記録済みの
   記録跡に隣接する位置に、映像情報記録再生用の第２の
   回転磁気ヘッド（または映像情報記録再生用の第１の回
   転磁気ヘッド）によって新たな記録跡を記録形成される
   ように、磁気テープの走行状態と回転磁気ヘッドとの相
   対位置を制御する手段と、前記した第１，第２の映像情
   報記録再生用の回転磁気ヘッドのヘッドトラック幅に比
   べて狭いヘッドトラック幅を有しているとともに、前記
   した映像情報記録再生用の第１，第２の回転磁気ヘッド
   の磁気空隙のアジマス角度に比べて大きなアジマス角度
   の磁気空隙を有しており、かつ、前記した映像情報記録
   再生用の第１，第２の回転磁気ヘッドによって記録形成
   される記録跡に隣接する部分に、音響情報で深層記録さ
   れた状態の記録跡を形成させる音響情報記録再生用の第
   １，第２の回転磁気ヘッドと、前記した映像情報記録再
   生用の第１，第２の回転磁気ヘッドのヘッドトラック幅
   と同一のヘッドトラック幅を有していて、前記した音響
   情報記録再生用の第１，第２の回転磁気ヘッドによって
   深層記録されている記録跡を先行消去できるような第
   １，第２の回転消去ヘッドとにおける、前記した音響情
   報記録再生用の第１の回転磁気ヘッドの磁気空隙の中心
   部の高さと、第１の回転消去ヘッドの磁気空隙の中心部
   の高さとを同一として構成した第１のダブルアジマスヘ
   ッドと、前記した音響情報記録再生用の第２の回転磁気
   ヘッドの磁気空隙の中心部の高さと、第２の回転消去ヘ
   ッドの磁気空隙の中心部の高さとを同一として構成した
   第２のダブルアジマスヘッドとしたときに、前記した第
   １，第２のダブルアジマスヘッドを、映像情報記録再生
   用の第１の回転磁気ヘッドと、映像情報記録再生用の第
   ２の回転磁気ヘッドとを結ぶ直線に直交し、かつ上ドラ
   ムの中心軸を通過する直線上の上ドラムの周辺部に配置
   してなる磁気記録再生装置。