JPH1116135A - 磁気記録再生装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定に変速再生のできるヘリカルスキャン型
のＶＴＲを提供する。 【解決手段】 ドラム周面上の磁気テープＴの巻回範囲
の両端をみた中心角が１８０／Ｎ度（Ｎは２以上の数）
強となるように、上，下ドラムＤｕ，Ｄｄの周面に対す
る磁気テープの巻回範囲を設定し、また上ドラムの周面
を２Ｎ等分した位置に、それぞれ回転磁気ヘッドＨａ，
Ｈｂ，Ｈｃ，Ｈｄを設ける。変速再生時に上，下ドラム
の周面の一部へ巻回されている磁気テープの基準縁と回
転磁気ヘッドの回転軌跡面とのなす角度を、磁気テープ
の記録跡の規定のトラック角に一致する状態となるよう
にドラムの中心軸を傾斜させても、磁気記録装置におけ
るリードリングの上面に形成されている磁気テープの基
準縁の位置規制面と磁気テープの基準縁との間隙を小さ
くすることができるので、変速再生時に磁気テープの基
準縁の位置をリードリングの位置規制面により確実に規
制することができるとともに、薄く剛性の低いベース材
料を用いた磁気テープによる記録再生動作が支障なく行
なわれる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はドラムの周面の一部
に摺接して走行する磁気テープの走行速度の変化に応じ
て回転磁気ヘッドの回転軌跡面の空間位置を変化させる
ことにより回転磁気ヘッドが記録跡を良好に追跡できる
ようにした磁気記録再生装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】上ドラムと下ドラムとからなるドラムの
周面の一部へ巻回された状態の磁気テープを所定の走行
速度で走行させて、回転磁気ヘッドを用いて記録再生動
作を行なうようにしている所謂ヘリカル・スキャン型の
磁気記録再生装置の代表例としては、ビデオ・テープ・レ
コーダ(ＶＴＲ)［またはビデオ・カセット・レコーダ(Ｖ
ＣＲ)］ＤＶＣ、ＤＡＴなどを挙げることができる。そ
して、前記のＶＴＲ，ＶＣＲの使用に当っては、記録時
と同一の磁気テープ走行速度で記録情報の再生動作を行
なう通常再生（ノーマル再生…ＳＰモード）の他に、記
録時の磁気テープの走行速度や走行方向とは異なる走行
速度や走行方向で磁気テープを走行（停止も含む）させ
て再生動作を行なうトリックプレイも広く行なわれてい
る。

【０００３】ところが、前記したようなヘリカル・スキ
ャン型の磁気記録再生装置の回転磁気ヘッドの回転軌跡
に従って磁気テープに形成される記録跡のパターンは、
ドラムの直径、回転磁気ヘッドの回転数、回転磁気ヘッ
ドの回転方向、磁気テープの走行速度、磁気テープの走
行方向、トラック角度、ヘッドトラック幅、磁気テープ
の記録領域幅等の諸条件によって定まるから、磁気記録
再生装置の動作モード（ノーマル再生モード、各種のト
リックプレー動作モード）の変更により、例えば、磁気
テープの走行方向や走行速度等の条件が変化した場合に
は、回転磁気ヘッドによって磁気テープに描かれる回転
磁気ヘッドの回転軌跡のパターンが変化することにな
る。

【０００４】例えば、ＶＨＳ(登録商標)方式における磁
気記録再生装置がＳＰモードの場合には、直径が６２ｍ
ｍの回転ドラムに取付けられた回転磁気ヘッドが毎分１
８００回転しており、ドラムの外周の一部に巻回されて
いる磁気テープが、毎秒３３.３５ｍｍの送り速度で順
方向に移送される状態として記録再生動作が行なわれる
が、この状態で回転磁気ヘッドによって走行時の磁気テ
ープに描かれる回転磁気ヘッドの回転軌跡は、磁気テー
プの基準縁に対して５°５８’９.９”の角度となり、
また例えば、ＶＨＳ(登録商標)方式における磁気記録再
生装置において、直径が６２ｍｍの回転ドラムに取付け
られた回転磁気ヘッドを毎分１８００回転させておき、
ドラムの外周の一部に巻回されている磁気テープを、毎
秒６６.７ｍｍの送り速度で順方向に移送される状態と
して記録再生動作（順方向での２倍速再生）をした場合
に、回転磁気ヘッドによって走行時の磁気テープに描か
れる回転磁気ヘッドの回転軌跡は、磁気テープの基準縁
に対して６°２’１９.２”の角度となる。

【０００５】さらに例えば、ＶＨＳ(登録商標)方式にお
ける磁気記録再生装置において、直径が６２ｍｍの回転
ドラムに取付けられた回転磁気ヘッドを毎分１８００回
転させておき、ドラムの外周の一部に巻回されている磁
気テープを、毎秒６６.７ｍｍの送り速度で逆方向に移
送される状態として記録再生動作（逆方向での２倍速再
生）をした場合に、回転磁気ヘッドによって走行時の磁
気テープに描かれる回転磁気ヘッドの回転軌跡は、磁気
テープの基準縁に対して５°５４’６.２”の角度とな
り、前記したＶＨＳ(登録商標)方式における磁気記録再
生装置において、直径が６２ｍｍの回転ドラムに取付け
られた回転磁気ヘッドを毎分１８００回転させておき、
ドラムの外周の一部に巻回されている磁気テープを停止
させた状態で、回転磁気ヘッドによって磁気テープに描
かれる回転磁気ヘッドの回転軌跡は、磁気テープの基準
縁に対して５°５６’７.４”の角度となる。

【０００６】したがって、通常記録再生時（ノーマル記
録再生時）に、回転磁気ヘッドによって磁気テープ上に
描かれる回転磁気ヘッドの回転軌跡と、トリックプレイ
時に回転磁気ヘッドによって磁気テープ上に描かれる回
転磁気ヘッドの回転軌跡とは交叉した状態になる。それ
で、トリックプレイ時に再生される再生信号の周波数被
変調波信号の信号レベルは、回転磁気ヘッドが記録跡を
横切る度毎に大きく変化しており、１垂直走査期間にお
ける再生信号の周波数被変調波信号のエンベロープをみ
ると、１垂直走査期間中に大きな起伏が生じているもの
になるから、トリックプレイ時における再生画像として
は、画像中にノイズバーが生じている品質の悪い再生画
像しか得られない。特に、民生用デジタルＶＴＲでは、
高能率符号化方式によって映像信号のデータ量を圧縮し
て記録しているために、早送り再生時や巻戻し再生時等
のように回転磁気ヘッドが磁気テープの記録跡を横切っ
て再生動作を行なった場合に、モザイク状に並べられて
いるデータのブロックの配列状態の如何によっては全く
画像が再生できないことも起こる。

【０００７】前述の問題点を解決するのには、回転磁気
ヘッドの回転軌跡と磁気テープの記録跡とを一致させれ
ばよいのであり、従来から開ループ制御回路または閉
ループ制御回路におけるアクチュエータとして使用され
る電気ー機械変換素子に回転磁気ヘッドを取付けてお
き、電気ー機械変換素子によって回転磁気ヘッドを変位
させて、回転磁気ヘッドを磁気テープの記録跡に追跡さ
せるようにしたり、例えば実開昭６１ー１５８６３３
号公報に開示されているように、回転磁気ヘッドを取付
けた回転ドラムと下ドラムとを一体的に傾斜させて、回
転磁気ヘッドが磁気テープの記録跡を追跡できるように
する、等の各種の解決手段が提案されて来ている。

【０００８】ところが、前記したのようにアクチュエ
ータとして使用される電気ー機械変換素子を用いて回転
磁気ヘッドの回転軌跡を制御させるようにしたＶＴＲで
は、回転磁気ヘッドの回転軌跡を制御するための電気ー
機械変換素子を、回転ドラム内の狭い空間内に設けなけ
ればならないので、使用する電気ー機械変換素子として
は小さな形状寸法のものが必要とされるが、小さな形状
寸法の電気ー機械変換素子は回転磁気ヘッドに大きな変
位を与えることが困難であり、また、電気ー機械変換素
子によって変位される回転磁気ヘッドが変位によっても
磁気テープに対するヘッドタッチの状態が不良にならな
いような構成のものでなければならないが、良好な動作
特性を示す小型なアクチュエータを用いて良好な記録再
生動作を行なうＶＴＲを構成させることは困難である
他、高密度記録が行なわれている磁気記録媒体における
記録跡幅の小さな記録跡に対して高精度で回転磁気ヘッ
ドを追跡させることが困難である等の問題がある。

【０００９】また、前記したのように回転ドラムと下
ドラムとを一体的に傾斜させて回転磁気ヘッドが磁気テ
ープの記録跡を追跡できるようにした実開昭６１ー１５
８６３３号公報に開示されている磁気記録再生装置で
は、磁気テープの基準縁における所定の長さの部分を案
内できる部材（案内部材…リードリング）をドラムと別
体に構成して、それを装置の固定部に固着させてあるか
ら、少なくともノーマル再生動作時には磁気テープの基
準縁の位置の変動が生じないようにできる。図４の
（ａ），（ｂ）は、前記の磁気記録再生装置の構成原理
を説明するための概略構成を示す平面図［図４の
（ａ）］と側面図［図４の（ｂ）］であり、図におい
て、Ｔは磁気テープ、Ｔｅは磁気テープの基準縁であ
り、またＨａ，Ｈｂはドラムの１８０度対称の位置に設
けられている回転磁気ヘッド、Ｄｕは上ドラム、Ｄｄは
下ドラム、１はドラムの中心軸、Ｌｒはドラムとは別体
構成の案内部材（リードリング）、ＧはリードリングＬ
ｒに設けた磁気テープの基準縁の位置規制面、ＦＤは機
体の固定部である。

【００１０】磁気テープＴは上，下ドラムの周面に、ド
ラムの中心角で１８０度強の範囲にわたって巻回されて
おり、磁気記録再生装置がノーマル再生モード（記録済
み磁気テープＴの走行方向及び走行速度を、記録動作時
における磁気テープの走行方向及び走行速度と同一の状
態にして行なわれる再生モード）で動作している場合
に、前記の磁気テープＴは、ガイドポールＧＰ１→スラ
ントポールＳＰ１→上ドラムＤｕと下ドラムＤｄとの周
面の一部→スラントポールＳＰ２→ガイドポールＧＰ２
の経路で所定の走行速度で矢印ｂ方向に走行しており、
上ドラムＤｕは図中の矢印ａの方向に所定の回転数で回
転している。

【００１１】前記したノーマル再生モードにおいて、
上，下ドラムＤｕ，Ｄｄの中心軸と、リードリングＬｒ
の中心軸とが一致していて、その場合におけるリードリ
ングＬｒの上面に形成されている磁気テープＴの基準縁
Ｔｅの位置規制面Ｇについての展開図を書くと、例えば
図５に例示されているように、直線状のものとして示さ
れるものになる。そして、前記した状態における磁気テ
ープＴの基準縁Ｔｅは、リードリングＬｒの上面に形成
されている磁気テープＴの基準縁Ｔｅの位置規制面Ｇの
全体にわたって正しく案内される状態になっている。な
お、図５中で面符号Ｅで示してあるリードリングＬｒと
磁気テープの基準縁Ｔｅとの間隙は、リードリングＬｒ
の上面に形成されている磁気テープＴの基準縁Ｔｅの位
置規制面Ｇの両端に設けた逃げの部分である。

【００１２】ところで、磁気記録再生装置をトリックプ
レイ再生モードで動作させる場合には、磁気テープの記
録跡に回転磁気ヘッドの回転軌跡が一致するように、
上，下ドラムＤｕ，Ｄｄの中心軸を、図４の（ｂ）中の
矢印ＦＦあるいは矢印ＲＥＷ［早送り再生（ＦＦ）時の
傾斜方向，巻戻し再生（ＲＥＷ）時の傾斜方向］の方向
に傾斜されている。そして、早送り再生（ＦＦ）動作時
にリードリングＬｒの上面に形成されている磁気テープ
Ｔの基準縁Ｔｅの位置規制面Ｇに関する展開図を書く
と、例えば図６に示されているように、Ｓ字状の曲がり
を有するものとなり、磁気テープＴの基準縁Ｔｅの一部
（図６中の丸印の部分）だけが磁気テープＴの基準縁Ｔ
ｅの位置規制面Ｇと接触した状態になる。

【００１３】また、巻戻し再生（ＲＥＷ）動作時にリー
ドリングＬｒの上面に形成されている磁気テープＴの基
準縁Ｔｅの位置規制面Ｇに関する展開図を書くと、図７
に例示したようなＳ字状の曲がりを有するものとなり、
磁気テープＴの基準縁Ｔｅの一部（図７中の丸印の部
分）だけが磁気テープＴの基準縁Ｔｅの位置規制面Ｇと
接触した状態になる。すなわち、磁気テープの記録跡に
回転磁気ヘッドの回転軌跡を一致させるように、上，下
ドラムＤｕ，Ｄｄの中心軸を、図４の（ｂ）中の矢印Ｆ
Ｆ，ＲＥＷの方向に傾斜させた場合には、リードリング
Ｌｒの案内面Ｇと、磁気テープの基準縁との接触態様が
Ｓ字状となって、磁気テープとリードリングＬｒの案内
面Ｇとの間に間隙が生じる。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】前記のように、リード
リングＬｒの案内面Ｇと、磁気テープの基準縁との接触
態様がＳ字状となると、磁気テープのトラック（記録
跡）の直線性を悪化させるとともに、磁気テープにわか
め状のしわを生じさせたりする。前記の問題点はテープ
カセットの長時間化のために、磁気テープのベース材と
して薄く剛性の低いものを使用した場合に顕著となる。
前記の問題はＶＣＲ（ＶＴＲ）に限らず、ＤＶＣのよう
なデジタル信号の磁気記録再生装置についても同様に生
じる。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明は、基準とされて
いる特定な走行速度で走行している状態で、上，下ドラ
ムの周面の一部へ巻回されている磁気テープの基準縁と
回転磁気ヘッドの回転軌跡面とのなす角度を、磁気テー
プの記録跡の規定のトラック角としたときに、磁気テー
プの基準縁と回転磁気ヘッドの回転軌跡面とのなす角度
が、磁気テープの走行速度とは無関係に、前記した磁気
テープの記録跡の規定のトラック角と一致した状態とな
るように、ドラムの中心軸を傾斜させうる傾斜駆動機構
を備えているヘリキャルスキャン型の磁気記録再生装置
であって、回転磁気ヘッドの回転軌跡面と磁気テープの
基準縁とのなす角度を、前記した磁気テープの記録跡の
規定のトラック角に一致させた状態において、ドラムの
中心軸位置からドラム周面上の磁気テープの巻回範囲の
両端をみた中心角が１８０／Ｎ度（ただし、Ｎは２以上
の数）強となるように、ドラムの周面に対する磁気テー
プの巻回範囲を設定するとともに、上ドラムの周面を２
Ｎ等分した位置に、それぞれ回転磁気ヘッドを設けてな
る磁気記録再生装置を提供する。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の磁気記録再生装置の具体的な内容を詳細に説明する。
図１は本発明の磁気記録再生装置の要部の概略構成を示
す平面図（ａ）図と側面図（ｂ）図である。図１の
（ｂ）において、上ドラムＤｕと下ドラムＤｄに対して
別体構成とされているリードリングＬｒは、装置の固定
部ＦＤに固着されている。また、前記した上ドラムＤｕ
と下ドラムＤｄとは、磁気テープＴの走行速度とは無関
係に、磁気テープの基準縁Ｔｅと回転磁気ヘッドの回転
軌跡面とのなす角度が、磁気テープの記録跡の規定のト
ラック角に一致する状態となるように、ドラムの中心軸
を傾斜させうる傾斜駆動機構（図示されていない）によ
って傾斜駆動される。図中の矢印ＦＦ，ＲＥＷは、早送
り再生（ＦＦ）時の傾斜方向，巻戻し再生（ＲＥＷ）時
の傾斜方向を示している。

【００１７】図１においてＴは磁気テープ、Ｔｅは磁気
テープの基準縁、Ｈａ，Ｈｂ，Ｈｃ，Ｈｄは回転磁気ヘ
ッド、Ｄｕは上ドラム、Ｄｄは下ドラム、１はドラムの
中心軸、Ｌｒはドラムとは別体構成の案内部材（リード
リング）、ＧはリードリングＬｒに設けた磁気テープの
基準縁の位置規制面、ＦＤは機体の固定部である。磁気
テープＴは、ドラムの中心軸位置からみた１８０度強／
Ｎ（ただし、Ｎは２以上の数）の中心角と対応する上，
下ドラムＤｕ，Ｄｄの周面を、磁気テープの巻回範囲と
して巻回されている。図１に示す構成例は、前記のＮを
２として、中心角が９０度強とされた場合を示してい
る。

【００１８】図１の（ａ）において、４個の回転磁気ヘ
ッドＨａ，Ｈｂ，Ｈｃ，Ｈｄは、上ドラムＤｕの外周を
４等分（Ｎ＝２の場合の２Ｎ等分）した位置、すなわ
ち、ドラムの周面におけるドラムの中心角で９０度毎の
位置に設けられている。この図１に示す磁気記録再生装
置において、図４を参照して既述した磁気記録再生装
置、すなわち、上ドラムの１８０度対称の位置に２個の
回転磁気ヘッドＨａ，Ｈｂを設けた磁気記録再生装置の
記録動作時における走行速度と同一の走行速度で磁気テ
ープＴを走行させた状態として記録動作を行なった場合
に、磁気テープＴに磁気テープの記録跡の規定のトラッ
ク角を示す記録跡が形成された記録済み磁気記録媒体が
得られるようにするためには、上，下ドラムＤｕ，Ｄｄ
の直径を図４に示した磁気記録再生装置における上，下
ドラムＤｕ，Ｄｄの直径の２倍とし、また、回転磁気ヘ
ッドＨａ，Ｈｂ，Ｈｃ，Ｈｄの回転数（上ドラムＤｕの
回転数）を、図４を参照して既述した磁気記録再生装置
における回転磁気ヘッドＨａ，Ｈｂの回転数（上ドラム
Ｄｕの回転数）を１／２として記録動作を行なえばよ
い。

【００１９】図１に示す本発明の磁気記録再生装置が、
ノーマル再生モード（記録済み磁気テープＴの走行方向
及び走行速度を、記録動作時における磁気テープの走行
方向及び走行速度と同一の状態にして行なわれる再生モ
ード）で動作している場合には、ガイドポールＧＰ１→
スラントポールＳＰ１→上ドラムＤｕと下ドラムＤｄと
の周面の一部→スラントポールＳＰ２→ガイドポールＧ
Ｐ２の経路で、磁気テープＴが所定の走行速度で矢印ｂ
方向に走行し、また、上ドラムＤｕは図中の矢印ａの方
向に所定の回転数で回転している。

【００２０】前記したノーマル再生モードにおいて、
上，下ドラムＤｕ，Ｄｄの中心軸と、リードリングＬｒ
の中心軸とは一致していて、その場合におけるリードリ
ングＬｒの上面に形成されている磁気テープＴの基準縁
Ｔｅの位置規制面Ｇについての展開図は、図４を参照し
て既述した磁気記録再生装置の場合と同様に、図５に例
示されているように直線状のものとして示されるものに
なる。前記した状態における磁気テープＴの基準縁Ｔｅ
は、リードリングＬｒの上面に形成されている磁気テー
プＴの基準縁Ｔｅの位置規制面Ｇの全体にわたって正し
く案内される状態になり、磁気テープＴには回転磁気ヘ
ッドＨａ，Ｈｂ，Ｈｃ，Ｈｄによって、順次の記録跡に
対する再生動作が行なわれる。

【００２１】図３は、図１に示す磁気記録再生装置、す
なわち、上，下ドラムＤｕ，Ｄｄの周面における磁気テ
ープＴの巻回範囲が、ドラムの中心軸位置からみて１８
０度強／Ｎ（ただし、Ｎは２以上の数）の中心角（図１
では９０度強の中心角）と対応する上，下ドラムＤｕ，
Ｄｄの周面部分とされているとともに、上ドラムの周面
を２Ｎ等分した位置に設けた回転磁気ヘッド（図１では
４個の回転磁気ヘッド）によって、磁気テープ上へ順次
の記録跡を記録形成させうるように構成されている磁気
記録再生装置が、巻戻し再生ＲＥＷを行なった場合にお
けるリードリングＬｒの部分の展開図である。

【００２２】図１に示す磁気記録再生装置が、巻戻し再
生ＲＥＷを行なった場合におけるリードリングＬｒの部
分の展開図を示している前記した図３と、上，下ドラム
Ｄｕ，Ｄｄの周面における磁気テープＴの巻回範囲が、
ドラムの中心軸位置からみて１８０度強の中心角と対応
する上，下ドラムＤｕ，Ｄｄの周面部分とされていると
ともに、上ドラムの周面を２等分した位置に設けた２個
の回転磁気ヘッドによって、磁気テープ上へ順次の記録
跡を記録形成させうるように構成されている図４に示さ
れている磁気記録再生装置が、巻戻し再生ＲＥＷを行な
った場合におけるリードリングＬｒの部分の展開図であ
る図７とを比較すると、本発明の図１に示す磁気記録再
生装置では、磁気テープの基準縁ＴｅとリードリングＬ
ｒの上面に形成されている磁気テープＴの基準縁Ｔｅの
位置規制面Ｇとの間隙が、図４について既述した磁気記
録再生装置における磁気テープの基準縁Ｔｅとリードリ
ングＬｒの上面に形成されている磁気テープＴの基準縁
Ｔｅの位置規制面Ｇとの間隙に比べて大幅に小さくなっ
ていることが判かる。

【００２３】具体例を挙げて前記の点について説明す
る。図４に示す磁気記録装置は、直径が６２ｍｍの上ド
ラムの周面を２等分した位置に、それぞれ回転磁気ヘッ
ドを設けた構成態様を備えており、また、図１に示す磁
気記録装置は、直径が１２４ｍｍの上ドラムの周面を４
等分した位置に、それぞれ回転磁気ヘッドを設けた構成
態様を備えており、さらに、図１に示す磁気記録装置に
おける上ドラムの回転数を、図４に示す磁気記録装置に
おける上ドラムの回転数の１／２とし、さらにまた前記
した両磁気記録再生装置のドラムの周面の一部に巻回さ
せた磁気テープを、同一方向に同一走行速度で走行させ
た状態において、前記した両磁気記録再生装置における
ドラム軸の傾斜角を、正規の傾斜角の状態から１度だけ
変化させたときに、図４に示す磁気記録装置におけるリ
ードリングＬｒの上面に形成されている磁気テープＴの
基準縁Ｔｅの位置規制面Ｇと、磁気テープの基準縁Ｔｅ
との間隙の最大値は約２００μｍであったのに対して、
図１に示す磁気記録装置におけるリードリングＬｒの上
面に形成されている磁気テープＴの基準縁Ｔｅの位置規
制面Ｇと磁気テープの基準縁Ｔｅとの間隙の最大値は約
３５μｍであった。

【００２４】このように、磁気テープの走行速度を変化
させても回転磁気ヘッドの回転軌跡が磁気テープ上の記
録跡に一致した状態となるようにドラム軸を傾斜させて
も、本発明の磁気記録再生装置ではドラムの周面におけ
る磁気テープの巻回範囲を、従来の磁気記録再生装置に
おけるドラムの周面の磁気テープの巻回範囲に比べて狭
くしてあることにより、磁気記録装置におけるリードリ
ングＬｒの上面に形成されている磁気テープＴの基準縁
Ｔｅの位置規制面Ｇと磁気テープの基準縁Ｔｅとの間隙
を、従来装置におけるリードリングＬｒの上面に形成さ
れている磁気テープＴの基準縁Ｔｅの位置規制面Ｇと磁
気テープの基準縁Ｔｅとの間隙に比べて著しく小さくす
ることができる。

【００２５】図２は、図４を参照して既述した従来の磁
気記録再生装置（上，下ドラムの直径をＤとする）のＦ
Ｆ動作時におけるテープの基準縁の位置規制面を備えて
いるリードリングの部分の展開図［図２の（ａ）］と、
図１に示す本発明の磁気記録再生装置（上，下ドラムの
直径を２Ｄとする）のＦＦ動作時におけるテープの基準
縁の位置規制面を備えているリードリングの部分の展開
図［図２の（ｂ）］とを比較説明するための図であっ
て、図２の（ａ）は、直径がＤである上，下ドラムにお
ける中心角で１８０度の範囲（図中の０度〜１８０度の
範囲）と対応しているドラムの周面に磁気テープが巻回
されている場合の展開図を示し、また、図２の（ｂ）
は、直径が２Ｄである上，下ドラムにおける中心角で９
０度の範囲（図中の４５度〜１３５度の範囲）と対応し
ているドラムの周面に磁気テープが巻回されている場合
の展開図を示している（なお、ＲＥＷ動作時における展
開図は既述した図７及び図３に示してある）。

【００２６】

【発明の効果】以上、詳細に説明したところから明らか
なように、本発明の磁気記録再生装置は、ドラムの中心
軸位置からドラム周面上の磁気テープの巻回範囲の両端
をみた中心角が１８０／Ｎ度（ただし、Ｎは２以上の
数）強となるように、ドラムの周面に対する磁気テープ
の巻回範囲を設定するとともに、上ドラムの周面を２Ｎ
等分した位置に、それぞれ回転磁気ヘッドを設けてなる
ものであるから、トリックプレイ時のように、記録動作
時における磁気テープの走行速度とは異なる走行速度で
磁気テープを走行させる場合に、上，下ドラムの周面の
一部へ巻回されている磁気テープの基準縁と回転磁気ヘ
ッドの回転軌跡面とのなす角度を、磁気テープの記録跡
の規定のトラック角と一致した状態となるようにドラム
の中心軸を傾斜させても、磁気記録装置におけるリード
リングの上面に形成されている磁気テープの基準縁の位
置規制面と磁気テープの基準縁との間隙を、従来装置に
おけるリードリングの上面に形成されている磁気テープ
の基準縁の位置規制面と磁気テープの基準縁との間隙に
比べて著しく小さくすることができ、また、前記のリー
ドリングの上面に形成されている磁気テープの基準縁の
位置規制面の両端部に逃げ部を設けなくてもよいので、
従来装置で磁気テープの安定走行を望めなかったような
変速再生時にも、磁気テープの基準縁の位置をリードリ
ングの位置規制面によって確実に規制することができ、
また、磁気テープに対して局部的な大きな力が加わるこ
ともないので、薄く剛性の低いベース材料を用いた磁気
テープによっても記録再生動作が支障なく行なわれるの
であり、したがって、長時間の記録再生の可能なＶＣ
Ｒ，ＶＴＲやデジタル磁気記録再生装置なども容易に提
供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の磁気記録再生装置の要部の概略
構成を示す図である。

【図２】従来の磁気記録再生装置のＦＦ動作時における
テープの基準縁の位置規制面を備えているリードリング
の部分の展開図と、本発明の磁気記録再生装置のＦＦ動
作時におけるテープの基準縁の位置規制面を備えている
リードリングの部分の展開図との比較図である。

【図３】本発明の磁気記録再生装置のＲＥＷ動作時にお
けるテープの基準縁の位置規制面を備えているリードリ
ングの部分の展開図である。

【図４】従来の磁気記録再生装置の要部の概略構成を示
す図である。

【図５】磁気記録再生装置における磁気テープの基準縁
の位置規制面を備えているリードリングの部分の展開図
である。

【図６】従来の磁気記録再生装置のＦＦ動作時における
テープの基準縁の位置規制面を備えているリードリング
の部分の展開図である。

【図７】従来の磁気記録再生装置のＲＥＷ動作時におけ
るテープの基準縁の位置規制面を備えているリードリン
グの部分の展開図である。

【符号の説明】

Ｄｄ…下ドラム、Ｄｕ…上ドラム、ＤＡ…ドラム構体、
Ｔ…磁気テープ、Ｔｅ…磁気テープＴの基準縁、Ｌｒ…
リードリング、Ｇ…リードリングＬｒに設けられている
案内部（磁気テープの位置規制用案内部材に構成されて
いる磁気テープの基準縁の位置規制面）１…ドラムの中
心軸、

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基準とされている特定な走行速度で走行
   している状態で、上，下ドラムの周面の一部へ巻回され
   ている磁気テープの基準縁と回転磁気ヘッドの回転軌跡
   面とのなす角度を、磁気テープの記録跡の規定のトラッ
   ク角としたときに、磁気テープの基準縁と回転磁気ヘッ
   ドの回転軌跡面とのなす角度が、磁気テープの走行速度
   とは無関係に、前記した磁気テープの記録跡の規定のト
   ラック角と一致した状態となるように、ドラムの中心軸
   を傾斜させうる傾斜駆動機構を備えているヘリキャルス
   キャン型の磁気記録再生装置であって、回転磁気ヘッド
   の回転軌跡面と磁気テープの基準縁とのなす角度を、前
   記した磁気テープの記録跡の規定のトラック角に一致さ
   せた状態において、ドラムの中心軸位置からドラム周面
   上の磁気テープの巻回範囲の両端をみた中心角が１８０
   ／Ｎ度（ただし、Ｎは２以上の数）強となるように、ド
   ラムの周面に対する磁気テープの巻回範囲を設定すると
   ともに、上ドラムの周面を２Ｎ等分した位置に、それぞ
   れ回転磁気ヘッドを設けてなる磁気記録再生装置。
2. 【請求項２】 上ドラムの周面を４等分する位置に、回
   転磁気ヘッドを配置した請求項１の磁気記録再生装置。