JPH11342672A - レ―ザ―アブレ―ション記録材料 - Google Patents

レ―ザ―アブレ―ション記録材料

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JPH11342672A
JPH11342672A JP11087971A JP8797199A JPH11342672A JP H11342672 A JPH11342672 A JP H11342672A JP 11087971 A JP11087971 A JP 11087971A JP 8797199 A JP8797199 A JP 8797199A JP H11342672 A JPH11342672 A JP H11342672A
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JP
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layer
recording material
laser
laser ablation
colorant
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JP11087971A
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English (en)
Inventor
Makoto Ishihara
信 石原
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高感度かつ高解像度で画像を形成することがで
きるレーザーアブレーション記録材料を提供すること。 【解決手段】支持体上に少なくとも1層の着色剤層およ
び少なくとも1層のオーバーコート層を有し、該オーバ
ーコート層がレーザー波長に吸収を有する赤外線吸収物
質を含有することを特徴とするレーザーアブレーション
記録材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、レーザーアブレーション記録材
料に関し、特にオーバーコート層中にレーザー波長に吸
収を有する赤外線吸収物質を含有させることによって高
感度化を図ったレーザーアブレーション記録材料に関す
る。また、本発明は該レーザーアブレーション記録材料
を用いて画像形成させた記録物にも関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気信号をサーマルプリントヘッ
ドに与えることによって、画像を形成させる熱転写シス
テムが普及してきている。一方、サーマルプリントヘッ
ドの代わりにレーザーを用いて画像を形成する方法も開
発されており、レーザーの高出力化に伴って普及してい
くものと考えられている。
【0003】レーザー記録用の記録材料には、レーザー
波長域に強い吸収を有する物質が含まれており、この吸
収物質が光エネルギーを熱エネルギーに転換してサーマ
ルプリントヘッドを使用した場合と同様の効果をもたら
す。レーザーを用いれば、サーマルプリントヘッドを用
いた場合と異なり記録材料に接触せずに加熱を行なうこ
とができるため、画像表面にキズができないという利点
がある。また、レーザービームを細く絞れるために画像
分解能を向上させることができるという利点もある。
【0004】最近では、高出力レーザーを用いた色素ア
ブレーションと呼ばれる画像形成方法が開発されてい
る。特開平7−164755号公報、特開平7−149
063号公報および特開平7−149065号公報等に
は、この方法に用いることができる記録材料が記載され
ており、特開平8−48053号公報および特開平8−
72400号公報には、この方法に用いる画像形成装置
が記載されている。アブレーション法による画像記録
は、着色剤、レーザー波長域に吸収を有する物質(赤外
線吸収物質)およびバインダーからなる着色剤層を支持
体上に設けた記録材料に対して、着色剤層側からレーザ
ー照射することによって行われる。レーザービームを照
射したスポットでは、レーザーによるエネルギーによっ
て画像形成層に急激な局部変化が生じ、それによって物
質が層から追い出される。上記特許公報によれば、この
局部変化は、溶融、蒸発、昇華のような完全に物理的な
変化ではなく、結合破壊のような化学変化の一種であっ
て、部分的ではなく完全な画像色素の除去であるとされ
ている。
【0005】このような色素アブレーション画像形成方
法の有用性は、レーザー露光時における画像形成色素の
除去効率によって大きく左右される。この効率を示す尺
度として、レーザー露光部の最小濃度値(Dmin)が
用いられ、値が小さいほど色素除去効率が高いことを示
している。
【0006】このため、記録材料の高感度化を図るため
にDminを低くする方法がこれまでにも幾つか提案さ
れている。例えば、特開平7−149063号公報には
レーザー波長域に強い吸収を有する物質として特定の対
イオンを有するシアニン色素を用いることが記載されて
おり、特開平7−164755号公報には着色剤層に用
いるバインダーの分子量を規定することが記載されてい
る。また、特開平7−149065号公報及び特開平8
−52948号公報には支持体と着色剤層の間に親水性
あるいは疎水性のポリマーバインダーから成る中間層
(バリヤ層)を塗設することが記載されている。さら
に、特開平7−149066号公報には中間層に赤外線
吸収物質を含有させることによりDminを改善するこ
とができることが記載されている。
【0007】しかしながら、このように光熱変換物質
(赤外線吸収物質)やバインダー樹脂、画像形成材料の
構成に様々な工夫がなされているにもかかわらず、高感
度かつ高解像度であって十分に満足の行く画像を得るこ
とはできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とし
た。すなわち、本発明は高感度かつ高解像度で画像を形
成することができるレーザーアブレーション記録材料を
提供することを解決すべき課題とした。換言すると、本
発明は解像度を落とすことなく、公知のアブレーション
記録材料よりも低いDminを達成することができるレ
ーザーアブレーション記録材料を提供することを解決す
べき課題とした。また本発明は、レーザーアブレーショ
ンによって作製した解像度が高い記録物を提供すること
も解決すべき課題とした。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの課
題を解決するために鋭意検討を進めた結果、オーバーコ
ート層にレーザー波長に吸収を有する赤外線吸収物質を
含有させることによってDminを大きく低下させるこ
とができることを見出し、本発明を提供するに至った。
すなわち本発明は、支持体上に少なくとも1層の着色剤
層および少なくとも1層のオーバーコート層を有し、該
オーバーコート層がレーザー波長に吸収を有する赤外線
吸収物質を含有することを特徴とするレーザーアブレー
ション記録材料を提供する。
【0010】本発明の好ましい実施態様では、着色剤層
の着色剤として、カーボンブラック、チタンブラックま
たはその両方、あるいは、下記一般式(1)で表される
顔料を使用する。 MxAyQz (1) 一般式(1)において、Mは少なくとも1個の金属原
子、Aは少なくとも1個のアルカリ金属、Qは少なくと
も1個の酸素原子あるいは硫黄原子、xは1〜3の整
数、yは0〜2の任意の値、zは1〜4の任意の値を示
す。また、オーバーコート層はテトラフルオロエチレン
ビーズを含有するのが好ましい。また、本発明の別の好
ましい実施態様では、支持体と該着色剤層の間に中間層
を形成する。この中間層はレーザー波長に吸収を有する
赤外線吸収物質、および無水グルコース単位1個あたり
の硝酸エステル基置換度が0.2以上で、カルボキシア
ルキルエーテル基置換度が0.05以上であるカルボキ
シアルキルセルロースの硝酸エステル類を含有するのが
好ましい。
【0011】さらに、本発明の別の好ましい実施態様で
は、着色剤層とは反対側の支持体面上にバック層を形成
する。該バック層の最外層表面のベック平滑度が400
0秒以下であるのが好ましい。本発明はまた、上記レー
ザーアブレーション記録材料にレーザー照射することに
よって作製される画像形成済みレーザーアブレーション
記録物も提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下において、本発明のレーザー
アブレーション記録材料および画像形成済みレーザーア
ブレーション記録物について詳細に説明する。本発明の
レーザーアブレーション記録材料は、支持体上に少なく
とも1層の着色剤層とオーバーコート層を有し、さらに
そのオーバーコート層がレーザー波長に吸収を有する赤
外線吸収物質を含有することを特徴とする。オーバーコ
ート層中の赤外線吸収物質の塗布量は、レーザー波長の
吸光度が0.1以上1.0以下、好ましくは0.3以上
0.6以下になる量にする。吸光度が0.1未満では光
熱変換効率がほとんど変化しないためかDminの低下
が起こらない。一方、吸光度が1.0を越えるとオーバ
ーコート層でレーザー光エネルギーが過度に吸収されて
着色剤層へのエネルギー伝達が不十分になるためか、逆
にDminが高くなってしまう。
【0013】オーバーコート層に含有させる赤外線吸収
物質は、使用するレーザー波長に吸収を有するものであ
ればその種類は問わない。例えば、カーボンブラック、
米国特許4,973,572号に記載されているシアニ
ン赤外線吸収色素、米国特許4,948,777号明細
書、同4,950,640号明細書、同4,950,6
39号明細書、同4,948,776号明細書、同4,
948,778号明細書、同4,942,141号明細
書、同4,952,552号明細書、同5,036,0
40号明細書、同4,912,083号明細書、同5,
360,694号明細書、同5,380,635号明細
書および特願平8−189817号明細書に記載されて
いる物質を使用することができる。本発明の記録材料に
好ましく使用することができる赤外線吸収物質の代表例
を以下に示す。ただし、本発明の記録材料に使用するこ
とができる赤外線吸収物質はこれらに限定されるもので
はない。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】これらの赤外線吸収物質は、オーバーコー
ト層以外の層にも含有させることができる。例えば、着
色剤層に含有させるたり、支持体と着色剤層の間に存在
する中間層に含有させることもできる。オーバーコート
層以外の層に含有させる場合は、赤外線吸収物質の塗布
量を、レーザー波長の吸光度が0.5以上、好ましくは
1.0以上、さらに好ましくは1.5以上になる量にす
る。
【0017】本発明のレーザーアブレーション記録材料
のオーバーコート層は、特開平8−108622号公報
に記載されているように耐引掻性、耐磨耗性および艶消
し仕上げを付与する機能を有する。オーバーコート層を
設けることによって、指紋跡などによる形成画像の変色
が少なくなり取り扱いが容易になる。
【0018】オーバーコート層には、ビーズを含有させ
ることができ、中でもポリテトラフルオロエチレンビー
ズを含有させておけばDminをより低くすることがで
きるため好ましい。ポリテトラフルオトエチレンビーズ
の粒径や塗布量は、意図する目的を達成するために有効
な範囲内に設定することができる。粒径は、一般に約
0.1〜約20μm、好ましくは約0.1〜約5μmの
範囲内にあるものを使用する。塗布量は、一般に約0.
005〜約5.0g/m2の範囲内にし、約0.05〜
約0.5g/m2の範囲内にするのが好ましい。ポリテ
トラフルオロエチレンビーズは必ずしも球状である必要
はなく、任意の形状のものを使用することができる。
【0019】ビーズを含有するオーバーコート層のバイ
ンダーには、任意のポリマーを使用することができる。
具体的には、セルロース誘導体、例えば硝酸セルロー
ス、セルロースアセテート水素フタレート、セルロース
アセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セ
ルロースアセテートブチレート、セルローストリアセテ
ート、ヒドロキシプロピルセルロースエーテル、エチル
セルロースエーテル;ポリカーボネート;ポリウレタ
ン;ポリエステル;ポリ(酢酸ビニル);ポリ(塩化ビ
ニル)およびポリ(塩化ビニル)コポリマーのようなポ
リ(ハロゲン化ビニル);ポリ(ビニルエーテル);無
水マレイン酸コポリマー;ポリスチレン;ポリ(スチレ
ン−コ−アクリロニトリル);ポリスルホン;ポリ(フ
ェニレンオキシド);ポリ(エチレンオキシド);ポリ
(ビニルアセタール)、ポリ(ビニルアセタール−コ−
ブチラール)またはポリ(ビニルベンザール)のような
ポリ(ビニルアルコール−コ−アセタール);またはこ
れらの混合物もしくはコポリマーを使用することができ
る。オーバーコート層のバインダーは約0.1〜約5g
/m2の塗布量で使用することができる。
【0020】本発明の記録材料には、上述のように少な
くとも1層の着色剤層が設けられている。着色剤層に
は、着色剤として顔料、無機微粒子または色素を使用す
るのが好ましい。顔料または無機微粒子を用いる場合に
は、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラッ
ク、金属フタロシアニン、酸化チタンなどの金属酸化
物、下記一般式(1)の顔料、コロイド銀などを使用す
るのが好ましい。 MxAyQz (1) 一般式(1)において、Mは少なくとも1個の金属原
子、Aは少なくとも1個のアルカリ金属、Qは少なくと
も1個の酸素原子あるいは硫黄原子、xは1〜3の整
数、yは0〜2の任意の値、zは1〜4の任意の値を示
す。本発明の記録材料で使用される一般式(1)の顔料
としては、Mは銅または鉄原子、Aはカリウム、ナトリ
ウムあるいはリチウム原子、Qは酸素原子であることが
好ましい。具体的には、CuO、CuS、Cu2S、N
iO、NiS、AgO、Ag2O、AgS、SnO、F
34、CuFe24、NaCuO2、LiMn24
LiCuO2、La2CuO4、MoS2、TaS2、Co3
4、MnS2を使用することができる。顔料や無機微粒
子は、記録材料を印刷製版用に用いる場合にはUV領域
に吸収を有することが必要とされ、医療用に用いる場合
には黒色であることが必要とされる。顔料と無機微粒子
の色を与える粒径はさまざまであるが、粒径は5〜50
0nmの範囲内であるのが好ましく、中でも5〜250
nmの範囲内であるのが特に好ましい。
【0021】顔料、無機微粒子の塗布量は、レーザー未
照射部分で濃度2.5以上(印刷用途およびICプリン
ト基板作製用途の場合はUV領域の吸収値であり、医療
用途の場合は可視域の吸収値)の吸収を有する範囲内に
する。一般に、塗布量は使用する無機微粒子の種類やサ
イズによって異なる。例えば、カーボンブラック(粒径
24nm)を塗布量0.67g/m2で塗布した場合
は、UV濃度は4.0、可視濃度は2.7になり、チタ
ンブラック(一次粒径58nm)を塗布量0.74g/
2で塗布した場合は、UV濃度は4.0、可視濃度は
3.6になる。
【0022】レーザー波長域に吸収を有する顔料または
無機微粒子を使用すれば、レーザー波長吸収物質と着色
剤の両方の機能を同時に奏することができるので好まし
い。すなわち、レーザー波長吸収物質と着色剤を各々個
別に用意する必要がなくなったり、使用量を減らすこと
ができるために有利である。本発明で使用する顔料およ
び無機微粒子の製法は、上記粒径のものを製造する方法
であればとくに制限されない。例えば、カーボンブラッ
ク原料には、DonnelVoet 著の“Carbon Black" Marcel
Dekker, Inc.(1976)に記載されているチャンネ
ル法、サーマル法およびファーネス法などを使用するこ
とができる。
【0023】着色剤として色素を用いる場合は、レーザ
ー照射によってアブレートすることができるものであれ
ばいずれの色素を使用してもかまわない。たとえば、特
開平7−149065号公報、特開平7−149066
号公報、特開平8−104065号公報、米国特許第
4,541,830号明細書、同第4,698,651
号明細書、同第4,695,287号明細書、同第4,
701,439号明細書、同第4,757,046号明
細書、同第4,743,582号明細書、同第4,76
9,360号明細書および同第4,753,922号明
細書に記載されている色素を好ましく用いることができ
る。これらの色素は、単独で使用してもよいし、組み合
わせて使用してもよい。これらの色素の塗布量は、レー
ザー未照射部分の濃度(印刷用途およびICプリント基
板作製用途の場合はUV領域の吸収値であり、医療用途
の場合は可視域の吸収値)が2.5以上の吸収を有する
量であるのが好ましく、一般に約0.05〜約1g/m
2の範囲内にすることができる。
【0024】本発明のレーザーアブレーション記録材料
の層構成は、支持体上に少なくとも1層の着色剤層と少
なくとも1層のオーバーコート層が形成されているもの
であれば、その他の層構成は特に制限されない。したが
って、着色剤層やオーバーコート層が2層以上形成され
ていてもよいし、支持体と着色剤層の間に中間層が設け
られていたり、該中間層と支持体の間にさらに密着性を
高めるために下塗層が設けられていてもよい。また、着
色剤層とは反対側の支持体面上にはバック層が設けられ
ていてもよい。
【0025】好ましい層構成は、支持体上に中間層、着
色剤層、オーバーコート層を順に有するレーザーアブレ
ーション記録材料である。ここで設ける中間層には、上
で例示したようなレーザー波長域に吸収を有する赤外線
吸収物質を含有させるのが好ましい。また、バインダー
として、無水グルコース単位1個あたりの硝酸エステル
基置換度が0.2以上で、カルボキシアルキルエーテル
基置換度が0.05以上であるカルボキシアルキルセル
ロースの硝酸エステル類を使用するのが好ましい。この
ような中間層を設けることによってレーザー照射部のD
minを低減し、アブレーション効率を上げることがで
きる。
【0026】本発明の記録材料の着色剤層側に用いるバ
インダーには、層を構成する成分を分散させることがで
きるものを広く使用することができる。好ましいバイン
ダーは、レーザー照射によって発生する熱によって素早
く熱分解して十分量の気体と揮発性フラグメントを与え
る分解性ポリマーや、少量の酸存在下で分解温度が著し
く低下する分解性ポリマーである。このような分解性ポ
リマーの好ましい例として、米国特許第5,330,8
76号明細書に記載されているような、サイズ排除クロ
マトグラフィーで測定したポリスチレン等価分子量(F.
W.Billmeyer, "Textbook of Polymer Science, 2nd e
d.,53-57)が10万以上の分解性ポリマーを挙げること
ができる。
【0027】本発明の記録材料の着色剤層側に用いるバ
インダーとして特に好ましいものは、カルボキシアルキ
ルセルロースの硝酸エステル類および硝酸セルロースで
ある。カルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類
とは、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチル
セルロース等のカルボキシアルキルセルロース類を公知
の硝酸エステル化用混酸(例えば、硫酸、硝酸および水
からなる硝酸エステル化用混酸)と反応させることによ
って、カルボキシアルキルセルロース中に含まれる硝酸
エステル基置換度を0.2以上、カルボキシアルキルエ
ーテル基置換度を0.05以上にしたものをいう。詳し
くは、特開平5−39301号公報、特開平5−393
02号公報に記載されている水性セルロース誘導体をい
う。
【0028】カルボキシアルキルセルロース硝酸エステ
ル類の硝酸エステル基置換度は0.2〜2.2の範囲内
であるのが好ましく、カルボキシアルキルエーテル基置
換度は0.05〜1.5の範囲内であるのが好ましい。
硝酸エステル基置換度が0.2未満であると顕色剤や染
料の分散性や耐水性が不十分になる。また、カルボキシ
アルキルエーテル基置換度が0.05未満であると水へ
の溶解性が不十分になり、実質的に水溶性バインダーと
して用いるのが困難になる。
【0029】また、硝酸エステル基置換度が2.2を越
えると、水と有機溶剤との混合溶剤に溶解または分散す
るために、有機溶剤の量を増加させなければならなくな
る。また、カルボキシアルキルエーテル基置換度が1.
5を越えると、塗布面の耐水性がやや不十分となる傾向
がある。本発明に用いるカルボキシアルキルセルロース
硝酸エステル類のカルボキシル基は、一部または全部が
中和していてもかまわない。中和によって、水および水
を主成分とする水溶性有機溶剤への溶解度が上がる。カ
ルボキシル基の中和には、アルカリ金属イオン、アルカ
リ土類金属イオン、アンモニウムイオン、有機アミン等
の陽イオンの1種または2種以上を用いることができ
る。中和の程度は、目的とする溶液の水、有機溶剤等の
組成に応じて決定するが、一般的にはカルボキシル基の
50%以上が中和しているのが好ましい。
【0030】カルボキシアルキルセルロースの硝酸エス
テル類は、着色剤層側の層のいずれにも好ましく使用す
ることができる。例えば、着色剤層、支持体と着色剤層
との間の中間層、着色剤層の上のオーバーコート層に好
ましく使用することができる。カルボキシアルキルセル
ロースの硝酸エステル類の塗布量は、0.05〜5g/
2の範囲内にするのが好ましく、中でも0.1〜3g
/m2の範囲内にするのが特に好ましい。
【0031】本発明の記録材料には、カルボキシアルキ
ルセルロースの硝酸エステル類を、単独で使用してもよ
いし、公知のバインダーの少なくとも一種と組み合わせ
て使用してもよい。好ましく組み合わせることができる
公知のバインダーとして、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導
体、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、
ポリアクリルアミド、ゼラチンなどのポリマーを例示す
ることができるが、これらに限定されるものではない。
また、スチレン−ブタジエンラテックス、ウレタン系ラ
テックスなどのラテックス系バインダーと併用すること
もできる。
【0032】本発明の記録材料には、バック層が設けら
れていてもよい。バック層は、当業者に周知の方法にし
たがって、着色層とは反対側の支持体面上に形成するこ
とができる。バック層の最外層表面のベック平滑度は、
記録材料同士の接着性や剥離性、露光用ハードの搬送性
の点から4000秒以下であるのが好ましく、10秒〜
4000秒であるのがより好ましい。ベック平滑度は、
日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベ
ック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標
準法T479にしたがって容易に求めることができる。
【0033】ベック平滑度は、バック層の最外層に含有
させるマット剤の平均粒径および添加量を調節すること
によって制御することができる。本発明では、平均粒径
20μm以下のマット剤を使用するのが好ましく、中で
も平均粒径が0.4〜10μmの範囲内にあるマット剤
を使用するのが特に好ましい。また、マット剤の添加量
は5〜400mg/m2の範囲内であるのが好ましく、
中でも10〜200mg/m2の範囲内であるのが特に
好ましい。
【0034】本発明で使用するマット剤は、取扱い上の
悪影響を及ぼさない固体粒子であればどのようなもので
あってもよく、無機系であっても有機系であっても構わ
ない。無機系のマット剤としては、二酸化ケイ素、チタ
ンおよびアルミニウムの酸化物、亜鉛およびカルシウム
の炭酸塩、バリウムおよびカルシウムの硫酸塩、カルシ
ウムおよびアルミニウムのケイ酸塩などを例示すること
ができる。また、有機系のマット剤としては、セルロー
スエステル類、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレ
ンまたはポリジビニルベンゼンおよびこれらのコポリマ
ーなどの有機重合体を例示することができる。
【0035】本発明では、特開平3−109542号公
報2頁左下欄8行目〜3頁右上欄4行目に記載されてい
る多孔性のマット剤、特開平4−127142号公報3
頁右上欄7行目〜5頁右下欄4行に記載されているアル
カリで表面修飾したマット剤、特開平6−118542
号公報の段落番号[0005]〜[0026]に記載さ
れている有機重合体のマット剤を用いるのが好ましい。
これらのマット剤は単独で使用してもよいし、2種以上
を併用してもよい。2種以上のマット剤を併用する場合
の態様として、無機系のマット剤と有機系のマット剤の
併用、多孔性のマット剤と非多孔性のマット剤の併用、
不定形のマット剤と球形のマット剤の併用、平均粒径の
異なるマット剤の併用(例えば特開平4−265962
号公報に記載されている平均粒径が1.5μm以上のマ
ット剤と平均粒径が1μm以下のマット剤の併用)など
を例示することができる。
【0036】本発明の記録材料には、25℃、相対湿度
30%における表面抵抗率が1012Ω以下の導電層が設
けられているのが好ましい。導電層は、支持体の着色剤
層側に設けられていてもよいし、バック層側に設けられ
ていてもよい。また、導電層は1層だけであってもよい
し、2層以上設けられていてもよい。さらに、導電層
は、例えば表面保護層、バック層、下塗層などの他の機
能を有する層に導電性物質を含有させることによって作
製したものであってもよい。
【0037】導電層は、導電性金属酸化物や導電性高分
子化合物などを含有する塗布液を塗布することによって
形成することができる。導電性金属酸化物としては、結
晶性の金属酸化物粒子を使用するのが好ましい。中で
も、酸素欠陥を含むものおよび使用する金属酸化物に対
してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は、一
般に導電性が高いので特に好ましい。金属酸化物として
は、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23
SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、あるい
はこれらの複合酸化物を例示することができる。中で
も、ZnO、TiO2およびSnO2が特に好ましい。異
種原子を含む例としては、ZnOに対してAl、In等
を添加したもの、SnO2に対してSb、Nb、ハロゲ
ン元素等を添加したもの、TiO2に対してNb、Ta
等を添加したものを、効果的な例として挙げることがで
きる。これらの場合の異種原子の添加量は、0.01〜
30mol%の範囲内であるのが好ましく、その中でも
0.1〜10mol%の範囲内であるのが特に好まし
い。
【0038】本発明で使用する金属酸化物微粒子は導電
性を有しているのが好ましく、その体積抵抗率は107
Ω・cm以下、特に105Ω・cm以下であるのが好まし
い。これらの酸化物については、特開昭56−1434
31号公報、特開昭56−120519号公報、特開昭
58−62647号公報などに記載されている。また、
特公昭59−6235号公報に記載されているように、
他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状物(例えば酸
化チタン)に上記金属酸化物を付着させた導電性素材を
使用することもできる。
【0039】本発明で使用する導電性物質の粒径は10
μm以下であるのが好ましいが、中でも2μm以下であ
れば分散後の安定性がよいため使用し易い。また光散乱
性をできるだけ小さくするために、粒径が0.5μm以
下の導電性粒子を利用するのが好ましい。このような導
電性粒子を用いれば、導電層を設けても支持体を透明に
保つことができる。導電性物質が針状あるいは繊維状で
ある場合、長さは30μm以下で直径は2μm以下であ
るのが好ましい。特に好ましいのは、長さが25μm以
下で直径が0.5μm以下であり、かつ長さ/直径比が
3以上であるものである。
【0040】本発明で使用する導電性高分子化合物とし
て、ポリビニルベンゼンスルホン酸塩類、ポリビニルベ
ンジルトリメチルアンモニウムクロリド、米国特許第
4,108,802号明細書、同4,118,231号
明細書、同4,126,467号明細書、同4,13
7,217号明細書に記載の4級塩ポリマー類、米国特
許第4,070,189号明細書、西独特許公開第2,
830,767号明細書、特開昭61−296352号
公報、特開昭61−62033号公報等に記載されるポ
リマーラテックス等を、好ましい例として挙げることが
できる。以下に本発明の導電性高分子化合物の具体例を
示すが、本発明で使用することができる導電性物質はこ
れらに限定されるものではない。なお、以下の重合体の
組成は重合百分率で示してある。
【0041】
【化3】
【0042】
【化4】
【0043】導電性金属酸化物や導電性高分子化合物
は、バインダー中に分散または溶解したうえで、導電層
の形成に使用する。導電性金属酸化物や導電性高分子化
合物を分散または溶解させるバインダーは、フィルム形
成能を有するものであれば特に限定されない。例えば、
ゼラチン、カゼイン等の蛋白質、カルボキシメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、アセチルセルロ
ース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース
等のセルロース化合物、デキストラン、寒天、アルギン
酸ソーダ、澱粉誘導体等の糖類、ポリビニルアルコー
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメ
タクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリルアミ
ド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエステル、ポリ
塩化ビニル、ポリアクリル酸等の合成ポリマー等を挙げ
ることができる。
【0044】特に、ゼラチン(石灰処理ゼラチン、酸処
理ゼラチン、酵素分解ゼラチン、フタル化ゼラチン、ア
セチル化ゼラチン等)、アセチルセルロース、ジアセチ
ルセルロース、トリアセチルセルロース、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ブチル、ポ
リアクリルアミド、デキストラン等を使用するのが好ま
しい。導電層の抵抗を効果的に下げるためには、導電性
金属酸化物あるいは導電性高分子化合物の体積含有率を
高くする方が有利であるが、導電層中のバインダー含有
量が5%未満になると導電層の強度が弱くなってしまう
ため好ましくない。このため、導電性金属酸化物あるい
は導電性高分子化合物の体積含有率は5〜95%の範囲
内に設定するのが望ましい。
【0045】本発明の記録材料1m2当たりの導電性金
属酸化物あるいは導電性高分子化合物の使用量は、0.
05〜20g/m2の範囲内であるのが好ましく、特に
0.1〜10g/m2の範囲内であるのが好ましい。良
好な帯電防止性を付与するためには、導電層の表面抵抗
率は25℃、相対湿度30%の条件下で1012Ω以下で
なければならず、1011Ω以下であるのが好ましい。
【0046】導電層に、上記導電性物質の他にさらに含
フッ素界面活性剤を併用することによって、より良好な
帯電防止性をもたせることができる。導電層に使用する
含フッ素界面活性剤として、炭素数4以上のフルオロ−
アルキル基、アルケニル基またはアリール基を有し、イ
オン性基としてアニオン基(スルホン酸(塩)、硫酸
(塩)、カルボン酸(塩)、リン酸(塩))、カチオン
基(アミン塩、アンモニウム塩、芳香族アミン塩、スル
ホニウム塩、ホスホニウム塩)、ベタイン基(カルボキ
シアミン塩、カルボキシアンモニウム塩、スルホアミン
塩、スルホアンモニウム塩、ホスホアンモニウム塩)ま
たはノニオン基(置換、無置換のポリオキシアルキレン
基、ポリグリセリル基またはソルビタン残基)を有する
界面活性剤を例示することができる。これらの含フッ素
界面活性剤は、特開昭49−10722号公報、英国特
許第1,330,356号明細書、米国特許第4,33
5,201号明細書、同4,347,308号明細書、
英国特許第1,417,915号明細書、特開昭55−
149938号公報、特開昭58−196544号公
報、英国特許第1,439,402号明細書などに記載
されている。導電層に使用することができる含フッ素界
面活性剤の具体例を以下に例示する。
【0047】
【化5】
【0048】本発明の記録材料の支持体には、寸度安定
性があり、しかもレーザー照射によって発生する熱に耐
え得るものであれば、いずれの材料を使用してもよい。
支持体として使用することができる材料として、ポリ
(エチレンナフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレ
ート)などのポリエステル;ポリアミド;ポリカーボネ
ート;酢酸セルロースなどのセルロースエステル;ポリ
(フッ化ビニリデン)やポリ(テトラフルオロエチレン
−コ−ヘキサフルオロプロピレン)などのフッ素ポリマ
ー;ポリオキシメチレンなどのポリエーテル;ポリアセ
タール;ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン
もしくはメチルペンテンポリマーなどのポリオレフィ
ン;ポリイミド−アミドやポリエーテルイミドなどのポ
リイミド;およびシンジオタクチックポリスチレンを例
示することができる。支持体の厚さは特に制限されない
が、約5〜約200μmの範囲内であるのが一般的であ
る。
【0049】支持体には、接着性を付与するために表面
処理を施す。表面処理としては、例えば薬品処理、機械
的粗面処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、
高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レー
ザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理などを挙げること
ができる。これらの処理を行うことによって、支持体表
面の水との接触角を65°以下、好ましくは55°以下
にすれば、支持体上に塗設する層との間の接着性が良好
になるため望ましい。
【0050】本発明の記録材料には、通常のレーザーア
ブレーション記録法にしたがって画像を記録することが
できる。レーザー照射は、着色剤層側から行なってもよ
いし、着色剤層の反対側(バック層側)から行なっても
よい。着色剤層側からレーザーを照射する場合には、受
容材料を必要としない単シート法による画像形成ができ
る。なお、記録材料の支持体としてレーザー非透過性の
材料を使用している場合には、着色剤層側からレーザー
を照射しなければならない。
【0051】本発明のレーザーアブレーション記録材料
は、特開平8−48053号公報にも記載されているよ
うに、レーザー照射後のDminが0.11以下である
のが好ましい。これは、Dminが0.11以下である
と、肉眼で認識することができるラスターラインが大幅
に消滅するためである。Dminを0.11以下にする
ためには、レーザーダイオードによって発生する書き込
み用レーザー光線の記録材料上での強度を0.1mW/
μm2以上にするのが好ましい。
【0052】本発明の記録材料にレーザーアブレーショ
ン画像を形成するためには、700nm以上に発光を有
する赤外域のダイオードレーザーを使用するのが好まし
い。このようなダイオードレーザーには、コンパクト
で、コストが低く、安定性や信頼性が良好であって、頑
丈であり、しかも変調が容易であるという実質的な長所
がある。本発明の記録材料に対するレーザーアブレーシ
ョン記録は、市販のレーザー照射装置を用いて行なうこ
とができる。例えば、スペクトラダイオード研究所(Sp
ectra Diode Labs)のレーザーモデルSDL−2420
−H2やソニー株式会社のレーザーモデルSLD304
V/Wを使用することができる。
【0053】本発明の記録材料にレーザーを照射する
と、材料の一部が支持体からアブレートして周囲の空気
中に散らばる。このアブレートされた材料はレーザー装
置の周囲に集積したり、レーザーで書き込まれた部分に
堆積したりすることがある。この堆積物はレーザー光を
遮り、Dminを許容レベル以上に増大させ、画質を実
用に耐えないものにしてしまう場合がある。このような
問題に対処するために、このアブレートされた材料を空
気流により除去する装置を併用するのが好ましい。その
ような除去装置の例として、特開平8−72400号公
報に記載されている装置を例示することができる。
【0054】本発明の記録材料にレーザーを照射して画
像を形成したレーザーアブレーション記録物には、画像
の耐久性を高める処理を施すのが好ましい。例えば、着
色剤層側の表面に画像を保護するための保護層を形成す
ることができる。このような保護層は、例えば特表平5
−504008号公報、特開平6−344676号公報
に記載されている画像保護用積層性シートを用いて形成
することができる。この画像保護用積層性シートは支持
体と実質的に透明かつ耐摩耗性である耐久性層(保護
層)を有しており、支持体と耐久性層はその間に形成さ
れている弱い接着層によって接着している。使用時に
は、まず画像保護用積層性シートの耐久性層を記録材料
の画像に面するように重ね合わせ、耐久性層と記録材料
の表面が接着した後に画像保護用積層性シートの支持体
を剥がせばよい。こうすることによって、耐久性層が記
録材料の表面に形成されて保護層としての役割を果た
す。特に、特開平6−344676号公報に記載される
保護層形成方法を採用すれば、印刷時に強力な接着剤テ
ープを繰り返し使用したり、画像を繰り返し溶剤洗浄し
たりしても、保護層が剥離することはないので好まし
い。
【0055】本発明で用いることができる保護層の材料
として、特開平6−344676号公報に記載されてい
るシロキサンを含有する重合有機材料を例示することが
できる。シロキサン含有重合材料は、例えばビニルエー
テル基で官能化された有機単量体またはオリゴマーと、
シロキサン単量体またはオリゴマーとを共重合すること
によって調製することができるが、これ以外の方法で調
製したものも使用することができる。画像上の保護層の
厚さは30μm以下であるのが一般的であるが、解像度
が過度に低下するのを防ぐためには10μm以下にする
のが好ましく、0.5〜6μmの範囲内にするのがより
好ましい。
【0056】本発明の記録材料にレーザーを照射して画
像を形成したレーザーアブレーション記録物は、そのま
ま記録物として用いることもできるし、印刷の刷版や焼
き付け用のフィルムとして用いることもできる。その応
用分野は、新聞印刷、ファクシミリ出力用印刷、各種商
用印刷、医療用画像など極めて多岐にわたる。目的とす
る用途に供するために、本発明の記録材料には、使用目
的に応じてポジ画像かネガ画像のいずれかを選択して形
成させることができる。また、当業者は、使用目的に応
じて、本発明の記録材料の支持体や着色剤の材質や大き
さなどを適宜決定することができる。
【0057】
【実施例】以下に実施例および試験例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明する。以下の実施例および試験例に
示す成分、割合、操作手順等は、本発明の精神から逸脱
しない限り適宜変更することができる。したがって、本
発明の範囲は以下に記載される具体例に制限されるもの
ではない。
【0058】<支持体の表面処理>厚さ100μmのポ
リエチレンテレフタレート透明フィルムの両面を、処理
雰囲気圧力0.2Torr、雰囲気気体中の水分圧40
%、放電周波数30kHz、出力2500W、処理強度
0.5kV・A・分/m2でグロー放電処理して支持体
を調製した。
【0059】<第1バック層(導電層)の形成>塩化第
二スズ水和物230重量部と三塩化アンチモン23重量
部を、エタノール3000重量部に溶解して均一溶液を
調製した。この溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液を滴
下することによってpHを3に調整し、コロイド状酸化
第二スズと酸化アンチモンの共沈殿物を生成させた。こ
の共沈殿物を50℃で24時間放置して、赤褐色のコロ
イド状沈殿とした。遠心分離法によって赤褐色コロイド
状沈殿を分離し、水を加えて遠心分離する水洗操作を3
回繰り返して過剰イオンを除去した。
【0060】過剰イオンを除去したコロイド状沈殿20
0重量部を水1500重量部に再分散した。この分散液
を500℃に加熱した焼成炉に噴霧することによって、
酸化第二スズ−酸化アンチモン複合物を青味がかった微
粉末として得た。この微粉末の平均粒径は0.005μ
mであり、抵抗率は25Ω・cmであった。得られた微
粉末40重量部を水60重量部と混合し、pHを7.0
に調整して撹拌機で粗分散した。その後、横型サンドミ
ル(ダイノミル、Willy A. Backfen AG製)を用いて
滞留時間が30分になるまで分散することによって、一
次粒子が部分的に凝集した二次凝集体(平均粒径0.0
5μm)の分散液を調製した。
【0061】得られた導電性微粒子分散液を用いて、下
記の組成を有する第1バック層塗布液を調製した。この
第1バック層塗布液を、支持体面上に塗布し110℃で
30秒間乾燥することによって、乾燥膜厚0.3μmの
第1バック層を形成した。
【0062】
【表1】
【0063】<第2バック層の形成>第1バック層の上
に、下記の組成を有する第2バック層塗布液を塗布し1
10℃で乾燥することによって、乾燥膜厚が1.2μm
の第2バック層を形成した。
【0064】
【表2】
【0065】<第3バック層(滑層)の形成>下記のA
液の成分を混合して90℃に加温することによって溶解
し、得られた溶液を下記の組成を有するB液に添加し
た。この混合物を高圧ホモジナイザーで分散することに
よって、第3バック層塗布液を得た。第2バック層の上
に、この第3バック層塗布液を塗布量が10ml/m2
になるように塗布して乾燥した。
【0066】
【表3】
【0067】<バックコート層の形成>第3バック層の
上に、下記の組成を有する第バックコート層塗布液をジ
アセチルセルロースの塗布量が1.14g/m2になる
ように塗布し、乾燥することによってバックコート層を
形成した。
【0068】
【表4】
【0069】形成したバック層の最外層表面のベック平
滑度は400秒であった。以上で、バック層側の塗設を
終了し、次に着色剤層側の中間層、着色剤層、オーバー
コート層の塗設を以下の手順で行った。
【0070】<中間層の形成>以下に示す組成の中間層
塗布液のいずれかを、バック層とは反対側の支持体面上
に塗布した。中間層1および2についてはポリビニルブ
チラールの塗布量が0.3g/m2になるように塗布
し、中間層3および4についてはカルボキシメチルセル
ロースの硝酸エステルの塗布量が0.3g/m2になる
ように塗布した。
【0071】
【表5】 本実施例で使用するバインダーA液は、無水グルコース
単位1個あたりの硝酸エステル基置換度が2.1、カル
ボキシメチルエーテル基置換度が0.7のカルボキシメ
チルセルロースの硝酸エステルの10%溶液(このうち
アセトン40%、メタノール20%、水30%;アンモ
ニア水を用いてpH6.9に調整)である。
【0072】<着色剤層の形成>下記組成の各混合物を
ペイントシェーカーで均一分散することによって調製し
た着色剤層塗布液のいずれかを中間層の上に塗布した。
着色剤層1についてはカーボンブラックの塗布量が0.
67g/m2になるように塗布し、着色剤層2について
はチタンブラックの塗布量が0.74g/m2になるよ
うに塗布し、着色剤層3については酸化第ニ銅の塗布量
が0.77g/m2になるように塗布した。
【0073】
【表6】
【0074】<オーバーコート層の形成>以下の組成を
有するオーバーコート層塗布液のいずれかを着色剤層の
上に塗布した。塗布にあたっては、ポリエチルメタクリ
レートの塗布量が0.12g/m 2になるように塗布し
た。
【0075】
【表7】 各記録材料の中間層、着色剤層およびオーバーコート層
の組み合わせは、表8〜10に示す通りである。
【0076】<画像記録のための露光条件>特開平8−
48053号公報に記載されているのと同様な画像露光
装置のドラムに各記録材料を着色剤層を外側に向けて固
定した。各レーザービームは830〜840nmの波長
範囲を有し、フィルム面での公称出力は550mW、ス
ポットサイズは25μmであった。記録材料を巻き付け
たドラムの回転数を変化させて照射量を調節し、適切に
露光した。また、横方向の移動については、移動ステー
ジによってダイオードレーザーを移動させて、照射ビー
ムの中心間距離が10μmとなるような速度に設定し
た。さらに、特開平8−72400号公報に記載される
のと同様な装置を用いてレーザー照射をしながら空気流
を吹き付けて、レーザー照射された表面から画像形成物
質やバインダーなどを効率よく除去した。
【0077】<UV領域のDmaxおよびDminの測
定>UVフィルターを使用した濃度計(TD904、M
acbeth社製)を用いてレーザー未照射部分と照射
部分の濃度を測定し、それぞれの測定濃度をUV領域の
Dmax(最高濃度)およびDmin(最低濃度)とし
た。得られた結果を表8に示す。
【0078】
【表8】
【0079】上表の結果は、本発明の記録媒体1〜4は
いずれもDminが低くて実用性が高いことを示してい
る。また、オーバーコート層にテトラフルオロエチレン
ビーズを含有させた記録媒体2〜4は、オーバーコート
層にテトラフルオロエチレンビーズを含有させていない
記録媒体1に比べて画像の艶消し効果が大きく、指紋付
着などが見えにくくて画像が判読しやすかった。
【0080】(試験例1)本試験例において、オーバー
コート層に赤外線吸収物質を含有する記録材料と含有し
ない記録材料のDminを比較した。実施例に記載され
る方法にしたがって、6組12種類のレーザーアブレー
ション記録材料を調製した。各記録材料の中間層、着色
剤層およびオーバーコート層の組み合わせは以下の表に
記載されるとおりとし、オーバーコート層に赤外線吸収
物質を含有する記録材料と含有しない記録材料を1組と
して合計6組を用意した。各記録材料のDminを上記
実施例に記載される方法で測定し、各組のDminの差
を計算した結果を以下の表に示す。
【0081】
【表9】 上表の結果は、オーバーコート層に赤外線吸収物質を含
有させることによって、効果的にDminを低くするこ
とができることを示している。
【0082】(試験例2)本試験例において、中間層に
赤外線吸収物質を含有する記録材料と含有しない記録材
料のDminを比較した。実施例に記載される方法にし
たがって、4組8種類のレーザーアブレーション記録材
料を調製した。各記録材料の中間層、着色剤層およびオ
ーバーコート層の組み合わせは以下の表に記載されると
おりとした。各記録材料のDminを上記実施例に記載
される方法で測定し、各組のDminの差を計算した結
果を以下の表に示す。
【0083】
【表10】
【0084】上表の結果は、中間層を設けることによっ
てDminを低くすることができることを示している。
また、中間層に赤外線吸収物質を含有させることによっ
て、さらにDminを低くすることができることも示し
ている。
【0085】
【発明の効果】オーバーコート層に赤外線吸収物質を含
有させた本発明のレーザーアブレーション記録材料は、
Dminが低くて極めて実用性が高い。本発明のレーザ
ーアブレーション記録材料を用いれば、高感度で高解像
度の画像を形成することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも1層の着色剤層お
    よび少なくとも1層のオーバーコート層を有し、該オー
    バーコート層がレーザー波長に吸収を有する赤外線吸収
    物質を含有することを特徴とするレーザーアブレーショ
    ン記録材料。
  2. 【請求項2】 該着色剤層が、カーボンブラック、チタ
    ンブラックまたはその両方を着色剤として含有すること
    を特徴とする請求項1記載のレーザーアブレーション記
    録材料。
  3. 【請求項3】 該オーバーコート層が、テトラフルオロ
    エチレンビーズを含有することを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のレーザーアブレーション記録材料。
  4. 【請求項4】 該支持体と該着色剤層の間に中間層を有
    することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    レーザーアブレーション記録材料。
  5. 【請求項5】 該中間層がレーザー波長に吸収を有する
    赤外線吸収物質を含有することを特徴とする請求項4記
    載のレーザーアブレーション記録材料。
  6. 【請求項6】 該中間層が、無水グルコース単位1個あ
    たりの硝酸エステル基置換度が0.2以上で、カルボキ
    シアルキルエーテル基置換度が0.05以上であるカル
    ボキシアルキルセルロースの硝酸エステル類を含有する
    ことを特徴とする請求項4または5記載のレーザーアブ
    レーション記録材料。
  7. 【請求項7】 着色剤層とは反対側の支持体面上にバッ
    ク層を有し、該バック層の最外層表面のベック平滑度が
    4000秒以下であることを特徴とする請求項1〜6の
    いずれかに記載のレーザーアブレーション記録材料。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のレーザ
    ーアブレーション記録材料にレーザー照射することによ
    って作製される画像形成済みレーザーアブレーション記
    録物。
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