JPH10244754A - アブレーション記録材料 - Google Patents

アブレーション記録材料

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JPH10244754A
JPH10244754A JP9050779A JP5077997A JPH10244754A JP H10244754 A JPH10244754 A JP H10244754A JP 9050779 A JP9050779 A JP 9050779A JP 5077997 A JP5077997 A JP 5077997A JP H10244754 A JPH10244754 A JP H10244754A
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JP
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layer
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image forming
laser
ablation recording
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JP9050779A
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Yasuo Kuraki
康雄 椋木
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高出力レーザーを用いて記録を行うアブレーシ
ョン記録材料において、記録材料の画像濃度が高く、膜
が傷つきにくいなどの取り扱い性に優れ、かつレーザー
照射部分のDminが低く、更にレーザーによる除去部
のエッジの盛り上がりのないアブレーション記録材料を
提供する。 【解決手段】レーザーを利用して像様加熱する工程を有
するアブレーション記録材料において、支持体上に少な
くとも一層の画像形成層を有し、該レーザー照射は該画
像形成層側から行い、該画像形成層中に画像形成物質と
して中空ファイバーカーボンブラックを含有するアブレ
ーション記録材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザーアブレー
ション記録材料に関するものであり、特に画像形成物質
として中空ファイバーカーボンブラックを利用したアブ
レーション記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気信号をサーマルプリントヘッ
ドに与えて、画像形成させる熱転写システムが普及して
きている。一方、サーマルプリントヘッドの代わりにレ
ーザーを用いる方法も開発されており、レーザーの高出
力化に伴って普及していくものと考えられる。このよう
なシステムにおいては、記録材料中にレーザーの波長域
に強く吸収を有する物質が含まれており、吸収物質は光
エネルギーを熱エネルギーに転換してサーマルプリント
ヘッドを用いた場合と同様な効果をもたらす。また、レ
ーザーを使用した場合には、サーマルプリントヘッドに
比べて無接触であるために画像表面にキズが出ないこと
が利点であり、レーザービームが細く絞れるために画像
分解能を向上させることが可能である。
【0003】更に最近では、高出力レーザーを用いた色
素アブレーションと呼ばれる画像形成方法が開発されて
おり、その記録材料が特開平7−164755号、同−
149063号、同7−149065号等に記載されて
おり、画像形成装置が特開平8−48053号、同8−
72400号に開示されている。このシステムでは、支
持体上に塗布された画像色素、レーザー波長域に吸収を
有する物質(赤外吸収物質)およびバインダーからなる
色素層組成物を有する記録材料を、色素層側からレーザ
ー照射することによって画像記録が行われる。レーザー
によって与えられたエネルギーは、レーザービームが材
料に当たったスポットで画像形成層に急激な局部変化を
起こし、それによって物質を層から追い出す。上記特許
公報によれば、これは完全に物理的な変化(例えば、溶
融、蒸発または昇華)ではなく、ある種の化学変化(例
えば、結合破壊)であり、部分的な画像色素の除去では
なく、完全な除去であるという。
【0004】このような色素アブレーション画像形成方
法の有用性は、レーザー露光で画像形成色素を除去する
ことができる効率によって、大きく左右される。この効
率を示す尺度として、レーザー露光部の最小濃度値(D
min)が用いられ、値が小さいほど色素除去効率が高
いことを示す。しかしながら、これらの色素アブレーシ
ョン材料は、画像部(レーザー未照射部)が色素で構成
されているため、材料の画像の安定性が悪く(特に光に
よる色褪色)、また指紋跡など他のものに接触した部分
で画像変色が起こる等の問題があった。一方、色素以外
の画像形成物質、たとえば球状カーブンブラックやグラ
ファイトでは結合破壊が起こりにくく、レーザーによる
除去効率を示すDminの値が高いという問題があった。さ
らに、アブレーション材料においては、膜強度を弱める
ことで上記Dminの値を低減できるが、球状カーブンブラ
ックやグラファイトを画像形成物質として用いた場合に
は、これらの物質自身の分散性が良好でないために膜強
度を弱めると、取り扱い中に擦り傷などがつきやすく実
用に耐えないレベルになってしまうという問題があっ
た。更に、これらはレーザーによる除去を実施した場合
に除去部のエッジが盛り上がり、屑を発生するという問
題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、公知
の色素アブレーション記録材料の問題点を解決した新し
いアブレーション記録材料を提供すること、すなわち、
高出力レーザーを用いて記録を行うアブレーション記録
材料において、記録材料の画像濃度が高く、膜が傷つき
にくいなどの取り扱い性に優れ、かつレーザー照射部分
のDminが低く、更にレーザーによる除去部のエッジ
の盛り上がりのないアブレーション記録材料を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、レーザ
ーを利用して像様加熱する工程を施すアブレーション記
録材料において、支持体上に少なくとも一層の画像形成
層を有し、該レーザー照射は該画像形成層側から行い、
該画像形成層中に画像形成物質として中空ファイバーカ
ーボンブラックを含有することを特徴とするアブレーシ
ョン記録材料によって達成された。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においては、下記の実施態
様が特に好ましい。 1)該アブレーション記録材料の画像形成層側に硝酸セ
ルロース又はカルボキシアルキルセルロースの硝酸エス
テル類を含有することを特徴とする上記の解決手段に述
べたアブレーション記録材料。 2)該アブレーション記録材料の支持体と画像形成層と
の間に中空ファイバーカーボンブラックは含まないが、
該レーザー波長に吸収を有する物質を含有する層を有す
ることを特徴とする上記の解決手段に述べたアブレーシ
ョン記録材料。 3)該アブレーション記録材料の支持体と画像形成層と
の間に中空ファイバーカーボンブラックは含まないが、
該レーザー波長に吸収を有する物質を含有する層を有す
ることを特徴とする上記の解決手段に述べたアブレーシ
ョン記録材料。 4)アブレーション記録材料の画像形成層側の最外層に
オーバーコート層を有することを特徴とするアブレーシ
ョン記録材料。
【0008】本発明で画像形成物質として用いる中空フ
ァイバーカーボンブラックについて詳細に記す。中空フ
ァイバーカーボンブラックはカーボンの内部が空洞にな
っているファイバー状の物質であれば、その形状に特に
限定はない。好ましくは、外径が0.5μm以下で内径
が0.1μm以下である円筒状のファイバーである。更
に好ましくは、外径が0.3μm以下で内径が0.05
μm以下である円筒状のファイバーである。特に好まし
くは外径が0.1μm以下で内径が0.03μm以下で
ある円筒状のファイバーである。その長さは好ましく
は、5〜0.01μmである。更に好ましくは、3〜
0.01μmの長さである。特に好ましくは2〜0.0
1μmの長さである。本発明の比表面積は200〜50
0平方メートル/g、そのDBP(ジオクチルフタレー
ト)吸油量は100〜1000cc/100gDBPで
ある。本発明の中空ファイバーカーボンブラックの具体
例としては、三菱マテリアルから試作品(例えばグラフ
ァイトフィブリスBNあるいはCC)として開発されて
いる。
【0009】本発明に用いる中空ファイバーカーボンブ
ラックを塗布した場合の色としては、印刷製版用途の画
像形成の場合はUV領域に吸収を有することが必要であ
り、医療用途の場合には、黒色であることが必要である
が、本発明の中空ファイバーカーボンブラックはこれら
の要求を充たすものである。画像形成層における中空フ
ァイバーカーボンブラックの塗布量は、レーザー未照射
部分で濃度2.5以上(印刷用途の場合はUV領域の吸
収値、医療用途の場合は可視域の吸収値)の吸収を有す
る塗布量であればどの程度でもよく、その量は使用する
中空ファイバーカーボンブラックのサイズによっても異
なる。一般には1平メートル当たり0.1〜2gの塗布
量が好ましく、より好ましくは1平方メートル当たり
0.2〜1.5gの塗布量が好ましく、特に好ましいの
は1平方メートル当たり0.3〜1.2gの塗布量が好
ましい。
【0010】本発明に用いる中空ファイバーカーボンブ
ラックを塗布するバインダーとしては、中空ファイバー
カーボンブラックを分散させうるものならば何れでもよ
い。例えば、セルロース誘導体(例えば硝酸セルロー
ス、カルボキシアルキルセルロースの硝酸エステル、セ
ルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セ
ルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セル
ロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセル
ロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシメチルセルロースエーテル、ヒドロキシエチルセル
ロースエーテルなど)、ポリカーボネート、ポリウレタ
ン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、
ポリビニルエーテル、ポリスチレン、ポリスチテン−ア
クリロニトリル共重合物、ポリスルホン、ポリビニルア
ルコールなど挙げることが出来るが、これらに限定され
るものではない。その中でも好ましいのはセルロース誘
導体(特に硝酸エステル誘導体、カルボキシアルキルセ
ルロースの硝酸エステル誘導体)、セルロースジアセテ
ート、スチレンが好ましい。硝酸セルロースの硝酸化率
は好ましくは窒素含量として5〜15%であり、更に好
ましくは9〜13%である。
【0011】更に本発明に用いるられるカルボキシアル
キルセルロースの硝酸エステル類としては、カルボキシ
メチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のカ
ルボキシアルキルセルロース類を公知の硝酸エステル化
用混酸、例えば、硫酸、硝酸、そして水からなる硝酸エ
ステル化用混酸で反応を行い、カルボキシアルキルセル
ロース中に含まれる硝酸エステル基置換度が0.2以
上、カルボキシアルキルエーテル基置換度が0.05以
上であるものが好ましく、詳しくは特開平5−3930
1号公報、特開平5−39302号公報に示された水性
セルロース誘導体を挙げることが出来る。更にカルボキ
シアルキルセルロースの硝酸エステル類の硝酸エステル
基置換度の好ましい範囲は0.2以上2.2以下であ
り、カルボキシアルキルエーテル基置換度の好ましい範
囲は0.05以上1.5以下である。
【0012】前述したバインダー以外で、本発明の記録
材料の画像形成層側に用いられる高分子バインダーとし
ては、米国特許第5330876号に記載されているよ
うなサイズ排除クロマトグラフィーで測定したポリスチ
レン等価分子量が10万以上で、分解性のポリマーが好
ましい。ここで分解性とは、レーザー画像化の際に得ら
れる温度において素早く熱分解して十分な量の気体およ
び揮発性フラグメントを与えるバインダーか、あるいは
少量の酸存在下で分解温度が著しく低下するバインダー
を意味する。本発明に用いる硝酸セルロース、カルボキ
シアルキルセルロースの硝酸エステル類に代表されるバ
インダーの塗布量としては0.05〜5g/m2が好まし
く、さらには0.1〜3g/m2が好ましい。
【0013】本発明のアブレーション記録材料は、支持
体と画像形成層の間に硝酸セルロースなどのバインダー
からなる中間層を設けてもよい。これは硝酸セルロース
を用いることによりアブレーション効率が上がり、前述
のレーザー照射部のDminを低減できるからである。
中間層には、画像形成層やオーバーコート層に用いられ
る他の任意のバインダーを組み合わせて用いても良い。
中間層の硝酸セルロース塗布量としては、0.05〜2
g/m2 が好ましく、更には0.1〜1.5g/m2
好ましい。また、中間層を支持体との密着を兼ねる層、
例えば下塗り層としてもよく、その場合の硝酸セルロー
スの塗布量としては0.05〜0.5g/m2 が好まし
い。
【0014】本発明のアブレーション記録材料において
は、更に画像形成層の外部にオーバーコート層を付与す
ることが、耐傷性などの点で有利である。オーバーコー
ト層は膜を形成するバインダーだけでもよいが、他の機
能性素材を含有させることが好ましく、例えばマット
剤、滑り剤、帯電防止剤などをあげることができる。そ
の中でマット剤としてはポリテトラフルオロエチレンビ
ーズが好ましく用いられ、任意の濃度または粒子サイズ
で使用することができる。一般的に、このビーズは約
0.01〜約20μm、好ましくは約0.2〜約10μ
mの範囲内の粒子サイズである。ビーズの塗布量は約
0.005〜約5.0g/m2 、好ましくは約0.05
〜約0.5g/m2 の範囲である。ビーズは球状である
必要はなく、任意の形状のものであってもよい。本発明
のオーバーコート層は、特開平8−108622号に記
載されているように、耐引掻性、耐磨耗性および艶消し
仕上げを付与する上で有効である。
【0015】本発明の記録材料においては、ビーズを含
有するオーバーコート層のバインダーとしては、前述の
バインダー以外に任意のポリマー物質を使用することが
できる。例えば、セルロース誘導体、例えばセルロース
アセテート水素フタレート、セルロースアセテート、セ
ルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテ
ートブチレート、セルトーストリアセテート、ヒドロキ
シプロピルセルロースエーテル、エチルセルロースエー
テル;ポリカーボネート;ポリウレタン;ポリエステ
ル;ポリ(酢酸ビニル);ポリ(塩化ビニル)およびポ
リ(塩化ビニル)コポリマーのようなポリ(ハロゲン化
ビニル);ポリ(ビニルエーテル);無水マレイン酸コ
ポリマー;ポリスチレン;ポリ(スチレン−共−アクリ
ロニトリル);ポリスルホン;ポリ(フェニレンオキシ
ド);ポリ(エチレンオキシド);ポリ(ビニルアセタ
ール)、ポリ(ビニルアセタール−共−ブチラール)ま
たはポリ(ビニルベンザール)のようなポリ(ビニルア
ルコール−共−アゼタール);またはこれらの混合物も
しくはコポリマーを使用することができる。オーバーコ
ート層のバインダーは、0.02〜約3g/m2 の塗布
量で使用することができる。好ましくは、0.05〜約
1g/m2 の塗布量である。
【0016】本発明のレーザーアブレーションによる画
像形成では、アブレートされた材料が支持体から離れて
周囲の空気中に散らばる。このアブレートされた材料の
中にはレーザー装置の周囲に集まり、レーザーで書き込
まれた部分に堆積するものがある。この堆積物はレーザ
ー光を遮り、前述のDminを許容レベル以上に増加さ
せ、画質を実用に耐えなくさせてしまう場合がある。こ
のアブレートされた材料を空気流により除去することが
望ましく、そのような除去装置が特開平8−72400
号に記載されている。
【0017】本発明のアブレーション記録材料は、特開
平8−48053号に開示されているように、レーザー
照射後の最小記録濃度(Dmin)が0.11以下であ
ることが好ましい。これはこの濃度以下であると目に見
えるラスターラインが大幅に削減されるからである。こ
のためにはレーザーダイオードによって発生される書き
込み用レーザー光線の記録材料上での強度が0.1ミリ
ワット/平方ミクロン(mW/μm2 )以上であること
が好ましい。本発明の方法を使用してレーザーアブレー
ション画像を得るためには、700nm以上に発光を有
する赤外域のダイオートレーザーを使用することが好ま
しい。これは、サイズが小さいこと、コストが低いこ
と、安定性が良好であること、信頼性が良好であるこ
と、頑丈であること、変調がしやすいことといった実質
的な利点があるからである。本発明で用いることのでき
るレーザーは市販されており、例えばスペクトラダイオ
ード研究所(Spectra Diode Labs) からのレーザーモデ
ルSDL−2420−H2またはソニー株式会社からの
レーザーモデルSLD304V/Wを使用することがで
きる。
【0018】実用に際しては、本発明のアブレーション
記録材料の中間層などに赤外吸収物質、例えば球状カー
ブンブラック、または米国特許4973572号に記載
されているシアニン赤外吸収色素、または米国特許49
48777号、同4950640号、同4950639
号、同4948776号、同4948778号、同49
42141号、同4952552号、同5036040
号、同4912083号、同5360694号、同53
80635号および特願平8−189817号に記載さ
れている赤外吸収物質を含有させる。本発明に好ましく
用いられる赤外吸収物質の代表例を以下に示すが、これ
らに限定されるものではない。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】レーザー光線は画像形成層中に吸収され、
そして内部変換として知られる分子過程によって熱に変
換される。上記の熱変換のための赤外吸収物質は画像形
成層自身に含まれていても、又これと組み合わされた別
の層、すなわち画像形成層の上層や下層に含まれても良
い。本発明の方法におけるレーザー照射はアブレーショ
ン記録材料の画像形成層を通して行われるので、本発明
の画像形成は単シート法(すなわち、別の受容材料を必
要としない方法)であることができる。本発明に用いら
れる赤外吸収物質の塗布量はレーザー波長の吸光度で
0.5以上、更には1.0以上、特に1.5以上を与え
る量が好ましい。
【0022】本発明のアブレーション記録材料のバック
面は、画像形成時に記録材料と機器との時の一体性を高
めるために真空引きで使用されることが一般的である。
その真空引きの速さを付与するために表面に凹凸を与
え、空気の排除を高める工夫がなされている。その評価
としてベック平滑度があり、日本工業規格(JIS)P
8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試
験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に
求めることができる。本発明ではアブレーション記録材
料のバック層の最外層表面のベック平滑度が、4000
秒以下であることが好ましく、より好ましくは10秒〜
4000秒である。これは記録材料同士の接着性や剥離
性の点から重要である。
【0023】これらのベック平滑度を付与するために
は、前記バック層の最外層に含有させるマット剤の平均
粒径および添加量を種々変化させることによってコント
ロールすることができる。マット剤としては、取り扱い
性の上で悪影響を及ぼさない固体粒子であれば、特に限
定されない。無機系のマット剤としては、二酸化ケイ
素、球状カーブンブラックおよびアルミニウムの酸化
物、亜鉛およびカルシウムの炭酸塩、バリウムおよびカ
ルシウムの硫酸塩、カルシウムおよびアルミニウムのケ
イ酸塩など、有機系のマット剤としては、セルロースエ
ステル類、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンま
たはポリジビニルベンゼンおよびこれらのコポリマーな
どの有機重合体のマット剤が挙げられる。特開平3−1
09542号公報2頁左下欄8行目〜3頁右上欄4行目
に記載された多孔性のマット剤、特開平4−12714
2号公報3頁右上欄7行目〜5頁右下欄4行に記載され
たアルカリで表面修飾したマット剤、特願平4−265
962号明細書の段落番号「0005」から「002
6」に記載された有機重合体のマット剤を挙げることが
できる。
【0024】また、これらのマット剤を2種以上併用し
てもよい。例えば、無機系のマット剤と有機系のマット
剤の併用、多孔性のマット剤と非多孔性のマット剤の併
用、不定形のマット剤と球形のマット剤の併用、平均粒
径の異なるマット剤の併用(例えば特願平4−2659
62号に記載されている平均粒径が1.5μm以上のマ
ット剤と平均粒径が1μm以下のマット剤の併用)など
がある。本発明において好ましく用いられるマット剤の
平均粒径は、0.1〜20μmであり、特に0.4〜1
0μmが好ましい。マット剤の添加量は、1〜400mg
/m2、特に5〜200mg/m2が好ましい。
【0025】本発明において、抵抗が25℃、20%R
Hの雰囲気下で1012Ω以下の層(以下「導電層」と記
す)を付与することが好ましい。より好ましくは1010
Ω以下の層(以下「導電層」と記す)である。導電性物
質として、導電性金属酸化物あるいは導電性高分子化合
物などを用いることによって得られる。本発明に用いら
れる導電性金属酸化物として好ましいのは、結晶性の金
属酸化物粒子である。更にこれらの酸素欠陥を含むもの
及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異
種原子を少量含むもの等は、一般的に言って導電性が高
いので特に好ましい。金属酸化物の例としては、Zn
O、TiO2 、SnO2 、Al2 3 、In2 3 、S
iO2 、MgO、BaO、MoO3 、V2 5 等、ある
いはこれらの複合酸化物が良く、特にZnO、TiO2
及びSnO2 が好ましい。異種原子を含む例としては、
例えばZnOに対してはAl、In等の添加、SnO2
に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等の添加、またT
iO2 に対してはNb、Ta等の添加が効果的である。
これら異種原子の添加量は0.01mol %〜30mol %
の範囲が好ましいが、0.1mol %〜10mol %であれ
ば特に好ましい。
【0026】本発明に好ましく用いる金属酸化物微粒子
は導電性を有しており、その体積抵抗率は107 Ω-cm
以下、特に105 Ω-cm 以下であることが好ましい。こ
れらの酸化物については特開昭56−143431号、
同56−120519号、同58−62647号などに
記載されている。更に又、特公昭59−6235号に記
載のごとく、他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状
物(例えば酸化球状カーブンブラック)に上記の金属酸
化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。利用で
きる粒子サイズは10μ以下が好ましいが、2μ以下で
あると分散後の安定性が良く使用し易い。また光散乱性
をできるだけ小さくする為に、0.5μ以下の導電性粒
子を利用することが好ましい。これによって、導電層を
設けても支持体を透明に保つことが可能になるからであ
る。又、導電性材料がファイバーあるいは繊維状の場合
はその長さは30μm以下で直径が2μ以下が好まし
く、特に好ましいのは長さが25μm以下で直径0.5
μ以下であり長さ/直径比が3以上である。特に好まし
いのは、結晶性金属酸化物であるSnO2/Sb2O3( 又は /Sb
2O5)であり、一次粒子径が50nmの平均径を有し二次凝集
体として約0.5 μm である球形の導電性材料を挙げるこ
とが出来る。
【0027】又本発明に用いられる導電性高分子化合物
としては、例えばポリビニルベンゼンスルホン酸塩類、
ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、
米国特許第4,108,802号、同4,118,23
1号、同4,126,467号、同4,137,217
号に記載の4級塩ポリマー類、米国特許第4,070,
189号、OLS2,830,767号、特開昭61−
296352号、同61−62033号等に記載のポリ
マーラテックス等が好ましい。以下に本発明の導電性高
分子化合物の具体例を示すが、必ずしもこれらに限定さ
れるものではない。
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】本発明に用いられる導電性金属酸化物又は
導電性高分子化合物はバインダー中に分散又は溶解させ
て用いられる。バインダーとしては、フィルム形成能を
有するものであれば特に限定されるものではないが、例
えばゼラチン、カゼイン等の蛋白質、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アセチルセ
ルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロ
ース等のセルロース化合物、デキストラン、寒天、アル
ギン酸ソーダ、澱粉誘導体等の糖類、ポリビニルアルコ
ール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリ
メタクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリルア
ミド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエステル、ポ
リ塩化ビニル、ポリアクリル酸等の合成ポリマー等を挙
げることができる。特に、ゼラチン(石灰処理ゼラチ
ン、酸処理ゼラチン、酵素分解ゼラチン、フタル化ゼラ
チン、アセチル化ゼラチン等)、アセチルセルロース、
ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ポリ
酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ブ
チル、ポリアクリルアミド、デキストラン、SBR ラテッ
クス、ポリ塩化ビニリデンラテクッス等が好ましい。
【0031】本発明に用いられる導電性金属酸化物ある
いは導電性高分子化合物をより効果的に使用して導電層
の抵抗を下げるために、導電層中における導電性物質の
体積含有率は高い方が好ましいが、層としての強度を十
分に持たせるために最低5%程度のバインダーが必要で
あるので、導電性金属酸化物あるいは導電性高分子化合
物の体積含有率は5〜95%の範囲が望ましい。本発明
に用いる導電性金属酸化物あるいは導電性高分子化合物
の使用量は、アブレーション記録材料一平方メートル当
たり0.01〜2gが好ましく、特に0.01〜0.5
gが好ましい。本発明の導電層の抵抗は25℃,30%
RHの雰囲気下で1012Ω以下で、好ましくは1011Ω
以下が良い。これにより良好な帯電防止性が得られる。
本発明に用いる導電性金属酸化物あるいは導電性高分子
化合物を含有する導電層は、構成層として少なくとも一
層設けることが好ましい。例えば、表面保護層、バック
層、下塗層などのいずれでもよいが、必要に応じて2層
以上設けることもできる。なお、本発明の中空ファイバ
ーカーボンブラックはそれ自体が優れた導電性を有する
ものであり、画像形成層の中での存在状態により導電性
層となり、本発明においても有用なものである。すなわ
ち導電性を有する中空ファイバーカーボンブラック画像
層は、中空ファイバーカーボンブラックとバインダーと
の比が1:9〜9:1であれば良く、ファイバーの特性
を十分に発揮したものである。中空ファイバーカーボン
ブラックの塗布量は、10mg/m2 以上であればよ
く、これは本発明の画像形成層に使用される量の中空フ
ァイバーカーボンブラックはこれ以上であり、導電性を
発現するには十分な量である。
【0032】本発明においては、上記導電性物質の他
に、更に含フッ素界面活性剤を併用することによって更
に良好な帯電防止性を得ることができる。本発明に用い
られる好ましい含フッ素界面活性剤としては、炭素数4
以上のフルオロ−アルキル基、アルケニル基、又はアリ
ール基を有し、イオン性基としてアニオン基(スルホン
酸(塩)、硫酸(塩)、カルボン酸(塩)、リン酸
(塩))、カチオン基(アミン塩、アンモニウム塩、芳
香族アミン塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩)、ベ
タイン基(カルボキシアミン塩、カルボキシアンモニウ
ム塩、スルホアミン塩、スルホアンモニウム塩、ホスホ
アンモニウム塩)又はノニオン基(置換、無置換のポリ
オキシアルキレン基、ポリグリセリル基またはソルビタ
ン残基)を有する界面活性剤が挙げられる。これらの含
フッ素界面活性剤は特開昭49−10722号、英国特
許第1,330,356号、米国特許第4,335,2
01号、同4,347,308号、英国特許第1,41
7,915号、特開昭55−149938号、同58−
196544号、英国特許第1,439,402号、な
どに記載されている。これらの具体例のいくつかを以下
に記す。
【0033】
【化5】
【0034】本発明に用いられるアブレーション記録材
料の支持体には、寸度安定性があり、しかもレーザーの
熱に耐えられるならば、いずれの材料でも使用できる。
このような材料としては、ポリ(エチレンナフタレー
ト)、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエス
テル;ポリアミド;ポリカーボネート;酢酸セルロース
などのセルロースエステル;ポリ(フッ化ビニリデン)
やポリ(テトラフルオロエチレン−共−ヘキサフルオロ
プロピレン)などのフッ素ポリマー;ポリオキシメチレ
ンなどのポリエーテル;ポリアセタール;ポリスチレ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレンもしくはメチルペン
テンポリマーなどのポリオレフィンおよびポリイミド−
アミドやポリエーテルイミドなどのポリイミドが含まれ
る。支持体の厚さは、一般に約5〜約200μmであ
る。また所望であれば、米国特許4695288号、同
4737486号に記載されているような下塗り層を支
持体に塗布してもよい。好ましい実施態様では支持体は
透明である。
【0035】本発明において、画像の耐久性を更に高め
るためにもちいられる、レーザー照射後の画像形成層を
有する側の表面の画像保護の方法に関しては、例えば特
表平5−504008号、特開平6−344676号に
記載されているような画像保護用積層性シートを積層す
ることにより達成される。これらの方法は、耐久性層を
画像に面するようにして、耐久性層と支持体とを含む積
層用シートを画像に積層させることにより行われる。次
に画像が耐久性層で保護されたまま残るように支持体層
は画像から取り外される。該耐久性層は実質的に透明か
つ対磨耗性を有する。特に、特開平6−344676号
に記載される保護方法を採用すれば、印刷において用い
られる強力な接着剤テープの繰り返しの使用および保護
された画像の繰り返しの溶剤洗浄に対しても耐久性層の
剥離がない。
【0036】本発明で用いられる耐久性層材料として
は、特開平6−344676号に記載のシロキサンを含
有する重合有機材料を使用することができる。シロキサ
ン含有重合材料はどのような方法で作成してもよいが、
例えばビニルエーテル機で官能化された有機単量体また
はオリゴマーと、シロキサン単量体またはオリゴマーと
を共重合化することにより作製される。画像上の耐久性
層は30μm以下の厚みを有するが、解像度の望ましく
ない損失を防止するためには、10μm以下の厚みを有
するのが好ましく、より好ましくは、0.5〜6μmの
範囲である。
【0037】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説
明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】実施例1 1.バック層の作製> 二軸延伸し、両面をコロナ放電処理、UV照射処理しさ
らにグロー放電処理したポリエチレンテレフタレート支
持体(厚み100μm)の片面に下記組成の下塗層第1
層及び第2層及び導電層とバック最外層を順に逐次塗布
した。塗布はバーコーターで実施し、110℃に加熱し
た風を塗布乾燥ゾーンに送り込みローラー搬送した。な
おローラーは110℃であることを確認した。 1−1)下塗層第1層 コアーシェル型塩化ビニリデン共重合体 15g 2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 0.25g ポリスチレン微粒子(平均粒径3μ) 0.05g 化合物−A 0.20g コロイダルシリカ(スノーテックスZL:粒径70〜 100μm日産化学(株)製) 0.12g 水を加えて 100g さらに、10重量%のKOHを加え、pH=6に調整し
た塗布液を乾燥温度180℃2分間で、乾燥膜厚が0.
9μになる様に塗布した。
【0039】 1−2)下塗層第2層 ゼラチン 1g メチルセルロース 0.05g 化合物−B 0.02g C12H25O(CH2CH2O)10H 0.03g 化合物−C 3.5×10-3g 酢酸 0.2g 水を加えて 100g この塗布液を乾燥温度170℃2分間で、乾燥膜厚が
0.1μになる様に塗布し、下塗層を含む支持体を作製
した。
【0040】上記下塗層第2層の上に、下記に示す導電
層及びバック層を同時塗布した。 1−3)導電層 ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量
が0.06g/m2となるように塗布した。 SnO2/Sb(9/1 重量比、平均粒径0.25μ) 186mg/m2 ゼラチン(Ca 含有量3000ppm) 60mg/m2 p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 13mg/m2 ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム 12mg/m2 化合物D 12mg/m2 化合物C 1mg/m2
【0041】1−4)バック層 ゼラチン水溶液に下記化合物を添加し、ゼラチン塗布量
が0.3g/m2となるように塗布した。 ゼラチン(Ca 含有量30ppm) 0.3mg/m2 ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.7μ) 10mg/m2 化合物C 0.5mg/m2 p−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 10mg/m2 ジヘキシル−α−スルホサクシナートナトリウム 3mg/m28 17SO3 Li 0.5mg/m2 N−パーフルオロオクタンスルホニル−N−プロピル グリシンポタジウム 6mg/m2 硫酸ナトリウム 27mg/m2 酢酸ナトリウム 6mg/m2 化合物E(硬膜剤) 30mg/m2 このバック層のベック平滑度は500秒であった。
【0042】2.画像形成側の作製 2−1)中間層の作製 以下に示す組成の塗布液を前記バック層を塗布した10
0μ厚みのポリエチレンテレフタレート透明支持体の反
対側に塗布し、中間層を作製した。 無水グルコース単位1個あたりの硝酸エステル基置換度が1.0、カルボキシ メチルエーテル基置換度が0.7のカルボキシメチルセルロースの硝酸エステル 25mg/m2 例示赤外吸収物質 (1) 50mg/m2 メチルエチルケトン/トルエン/イソプロピルアルコー
ル溶剤でバーコーターにて塗布した。
【0043】 2−2)画像形成層の作製 画像形成着色物質(表に記載) 33.3g 硝酸セルロース(RS1000秒、ダイセル化学工業(株)製) 33.3g イソプロピルアルコール 2.14g メチルイソブチルケトン 26.6g メチルエチルケトン 62.0g ブチルセロソルブ 7.34g ソルスパースS20000(ゼネカ株式会社製) 1.35g ソルスパースS12000(ゼネカ株式会社製) 0.23g 界面活性剤−1 0.75g 画像形成着色物質の塗布量が0.74g/m2となるよう
にバーコーターで塗布した。
【0044】2−3)最外層(オーバーコート層)の作
製 以下に示すオーバーコート層を前記の画像形成層の上に
塗布,乾燥し試料を作製した。 ポリエチルメタクリレート 0.25g/m2 ポリテトラフルオロエチレン粒子(粒子サイズ0.2μ) 0.15g/m2 ノニルフェノキシポリグリシドール 0.02g/m2 含フッ素界面活性剤 (例示化合物F-3) 0.005g/m2 以上の中間層、オーバーコート層の組み合わせは表1に
示す通りである。
【0045】
【化6】
【0046】
【化7】
【0047】
【化8】
【0048】3.評価 3−1)画像記録のための露光条件 特開平8−48053号に記載されているのと同様な画
像露光装置のドラムに各試料をその画像形成層を外側に
向けて固定した。この装置は、移動ステージに搭載され
たレンズ径に1個のダイオードレーザーが接続されてお
り、焦点を試料表面に合わせている(但し、レーザー出
力を上げたい場合には、数個のダイオードレーザーを接
続合波すること及び書き込み速度を上げられるように数
個のレーザーアレイが可能となるように作製されてい
る)。
【0049】使用したダイオードレーザーはSpectra Di
ode Labs製SDL−2430(波長範囲:800〜83
0nm)であり、上記レンズ系を通して得られたスポッ
トサイズは10μm(半値幅:7μm)、焦点面での出
力は100mWであった。上記画像形成装置の試料を巻
き付けたドラムの回転数を変化させて照射量を変化さ
せ、試料面の照射量を700mJ/cm2 に設定した。
また、横方向の移動については、移動ステージによって
ダイオードレーザーを移動させて、照射ビームの中心間
距離が7μmとなるような速度に設定した。さらに、レ
ーザーによって照射された表面の物質の除去を効果的に
行うために、特開平8−72400号と同様な装置を用
いて、レーザー照射をしながら空気流を吹き付けて、中
空ファイバーカーボンブラックやバインダー等を除去し
た。なお、得られた画像の抜けた両端は資料によって未
処理部に向かって捲くれあがっているのが観察されてお
り、この捲くれ上がり幅を評価した。数値が大きい程画
像として悪いものである。
【0050】3−2)UV領域のDmax(最高濃
度)、Dmin(最低濃度)の評価 Macbeth 社製の濃度計TD904(UVフィルター使
用)を用いて、レーザー未照射部分と照射部分の濃度を
測定して、UV領域のDmax(最高濃度)、Dmin
(最低濃度)とした。
【0051】3−3)膜強度の測定 試料を25℃、60%RHの環境下に2時間放置後、半
径0.1mmのサファイヤ針で、画像形成層を有する試料
膜面に圧着し、10mm/秒の速さで移動しながら、針の
荷重を連続的に変化させ、膜が破壊する時の荷重(g)
を測定した。
【0052】4.結果 得られた結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】表1より、本発明の中空ファイバーカーボ
ンブラックを用いた試料が球状カーブンブラック、グラ
ファイト、チタンブラックに比べ、Dmax,Dmin, 膜強
度, エッジ捲くれに優れていることが明らかである。ま
た、本発明の中で中間層を付与しない試料(1-6) でも、
Dmax,Dmin, 膜強度,エッジ捲くれを満足するものであ
ることがわかる。なお本発明の範囲で画像層面に最外層
を付与しない試料(1-7) も、膜強度に若干の低下が見ら
れるものの実用上問題なく優れたものであることがわか
るが、最外層を有する本発明の試料(1-4、1-6 )は更に
膜強度の点で優れておりより好ましい。これらは本発明
の中空ファイバーカーボンブラックの予測できない優れ
た特性であり、鋭意検討した結果である。以上より、本
発明の有効性は明らかである。
【0055】実施例2 実施例1において、バック層側の作製を導電層,バック
第1層,バック第2層の順に実施し、その反対側には実
施例1と全く同一の層を塗設し、試料2−1〜2−8を
作製した。 1.バック層の作製 1−1)導電層 SnO2/Sb(9/1 重量比、一次粒子平均粒径0.05μ) 186mg/m2 ゼラチン(Ca 含有量3000ppm) 60mg/m2 ポリ (重合度10) オキシエチレン p−ノニルフェニルエーテル 13mg/m2
【0056】 1−2)バック第1層 ・ジアセチルセルロース 500mg/m2 ・ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径4.7μ) 10mg/m2 ・トリメチロールプロパン−3−トルエンジイソシアナート 25mg/m2 ・N−パーフルオロオクタンスルホニル−N−プロピル グリシンポタジウム 6mg/m2 このバック層のベック平滑度は550秒であった。 1−3)バック第2層 ・C6H13CH(OH)(CH2)10COOC40H61/C17H35COOC40H81(1:1 混合) 25mg/m2 ・ジアセチルセルロース 5mg/m2
【0057】2.結果 得られた結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】表2より、本発明の中空ファイバーカーボ
ンブラックを用いた試料が球状カーブンブラック、グラ
ファイト、チタンブラックに比べ、Dmax,Dmin, 膜強
度, エッジ捲くれに優れていることが明らかである。
【0060】実施例3 実施例1の本発明の試料1−4において、最外層(オー
バーコート層)からポリテトラフルオロエチレン粒子
(粒子サイズ0.2μ)を除去した以外は試料1−4と
全く同様にして、本発明の範囲である試料3−4を作製
した。作製された試料3−4の膜強度は170gであ
り、試料1−4の180gに対して少し劣る強度であっ
たが問題となるレベルではない。これは、本発明におい
ては、オーバーコート層にマット剤を付与することが優
れた膜強度を与えるという点で有用であることを示唆す
るものである。
【0061】実施例4 実施例1の本発明の試料1−4において、バック側から
導電層を除去した以外は試料1−4と全く同様にして本
発明の範囲である試料4−4を作製した。作製された試
料の画像層の塗布面状を調べたところ、Dmaxにムラ
が若干見られ、そのバラツキ幅は約0.2であった。但
し、これは本発明の商品性を損なうものではなく大きな
問題はない。一方、本発明の試料1−4はDmaxにム
ラは殆どなく、そのバラツキ幅は約0.05であり優れ
たものであった。これは、本発明においては、導電層を
付与することが均一な塗布画像を与えるという点で有用
であることを示唆するものである。
【0062】実施例5 実施例1の本発明の試料1−4において、含フッ素界面
活性剤のC8 17SO 3 LiとN−パーフルオロオクタ
ンスルホニル−N−プロピルグリシンポタジウムをバッ
ク層から除去し、また最外層(オーバーコート層)から
含フッ素界面活性剤 (例示化合物F−3を除去する以外
は、実施例1−4と全く同様にして試料5−4を作製し
た。この本発明の範囲の試料5−4を、25℃、20%
RH(相対湿度)で発砲スチロールの砕片と擦る合わせ
てそのスチロールのゴミ付きを観察したが、ゴミ付きは
見られず優れたものであった。しかし、より過酷な25
℃、10%RHの極低湿度では若干のゴミ付きが見られ
た。但し、このレベルでは実用上殆ど問題にならないも
のである。なお含フッ素界面活性剤を有する試料1−4
は25℃、10%RHの低湿度でもゴミ付きは見られな
かった。以上から、含フッ素活性剤を最外層に含有する
ことが本発明の商品性を高める上で有用である。
【0063】
【発明の効果】画像濃度が高く、膜が傷つきにくく、レ
ーザー照射部分のDminが低く、更にレーザーによる
除去部のエッジの盛り上がりのないアブレーション記録
材料の提供を可能にした。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザーを利用して像様加熱する工程を
    有するアブレーション記録材料において、支持体上に少
    なくとも一層の画像形成層を有し、該レーザー照射は該
    画像形成層側から行い、該画像形成層中に画像形成物質
    として中空ファイバーカーボンブラックを含有すること
    を特徴とするアブレーション記録材料。
  2. 【請求項2】 該アブレーション記録材料の画像形成層
    側に硝酸セルロース、又はカルボキシアルキルセルロー
    スの硝酸エステル類を含有することを特徴とする請求項
    1記載のアブレーション記録材料。
  3. 【請求項3】 該アブレーション記録材料の支持体と画
    像形成層との間に中空ファイバーカーボンブラックは含
    まないが、該レーザー波長に吸収を有する物質を含有す
    る層を有することを特徴とする請求項1記載のアブレー
    ション記録材料。
  4. 【請求項4】 該アブレーション記録材料の画像形成層
    側の最外層にオーバーコート層を有することを特徴とす
    る請求項1〜3記載のアブレーション記録材料。
  5. 【請求項5】 該アブレーション記録材料の画像形成層
    側の最外層のオーバーコート層にマット剤を有すること
    を特徴とする請求項1〜4記載のアブレーション記録材
    料。
  6. 【請求項6】 該アブレーション記録材料の少なくとも
    一層の導電層を有し、その抵抗が1012Ω以下(25
    ℃,20%)であることを特徴とする請求項1記載のア
    ブレーション記録材料。
  7. 【請求項7】 導電層が導電性金属酸化物の少なくとも
    一種を含む層からなることを特徴とする請求項6記載の
    アブレーション記録材料。
  8. 【請求項8】 導電層が画像形成層の中空ファイバーカ
    ーボンブラックであることを特徴とする請求項7記載の
    アブレーション記録材料。
  9. 【請求項9】 レーザーを利用して像様加熱する工程を
    有するアブレーション記録材料において、支持体上に少
    なくとも一層の最外層に含フッ素界面活性剤を含有する
    事を特徴とする請求項1記載のアブレーション記録材
    料。
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