JPH11334369A - スライドドアの支持ロ−ラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成樹脂のクリ−プ強度を確保しつつ玉軸受
としての静的強度も確保し、更に、製作コストを低減す
ることのできるスライドドアの支持ロ−ラを提供する。 【解決手段】 ＲＶ車の車両側面に設けた乗降口の開閉
用スライドドアを支持するスライドドアの支持ロ−ラ１
を、支軸に取り付けられる内輪４と回転自在な外輪６
と、玉５と保持器７とより成る玉軸受２と、外輪６の外
周側に一体に被覆される合成樹脂製外皮３とで構成す
る。前記外輪６の外周に凹溝（６ｂ，６ｃ）を形成する
と共に該凹溝の底部が、外輪軌道面６ａよりも外輪端部
側に位置して設けてある。凹溝の代わりに、外輪外周面
の端部寄りに外輪軌道面の幅より左右にはなれた位置か
ら始まる段付部を形成してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、車両等のスライ
ドドアの支持ロ−ラに関し、特にドア開閉時のロ−ラ転
動音を低減し軸受容量を大きくしたスライドドアの支持
ロ−ラに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年のバン型車は、従来荷室として使用
されていた車両後半部に快適な居住空間を設けて、ＲＶ
（レクリエ−ショナルビ−クル）としても使用できるよ
う用途が拡大されている。この車両後半部への乗降は、
車両側面に設けた乗降口が使用されるが、該乗降口は通
常スライドドアにより開閉される。図５は、ＲＶ車の車
両側面のスライドドアの斜視図である。通常、スライド
ドアは、ドア体１０の上下縁と中間位置に支持ロ−ラ１
１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃ，１１Ｄ等が設けられ、車体側の
ガイドレ−ル２１Ａ，２１Ｂ，２１Ｃ，２１Ｄの上を転
動することにより開閉が円滑に行われるようになってい
る。

【０００３】前記支持ロ−ラ１１Ｄ（１１Ａ，１１Ｂ，
・・等も同様）は、図６に示すように、支軸３１に結合
されて回転する金属製の玉軸受１２と、該玉軸受１２の
外周に一体に形成される合成樹脂製の外皮１３とで構成
されている。該外皮１３を合成樹脂製とするのはドア開
閉時の支持ロ−ラ１１Ｄの転動音を低減するためであ
る。前記玉軸受１２は、支軸３１に固定される内輪１４
と、回転自在に装着された外輪１６と、これら内輪１４
と外輪１６との間に配置される玉１５と、で構成され、
また、該外輪１６の中央には溝１６ｂが設けられる。こ
のため前記外輪１６と一体に形成される合成樹脂製の外
皮１３は中央部が肉厚に形成されている。

【０００４】前記スライドドアは、ドア体１０を開閉時
ガイドレ−ル２１Ｄ等に沿って車体側面の後外方へ振り
出すことにより行うが、ドア体１０の上縁の振り出し量
はドア体１０下縁の振り出し量よりも小さい。これは上
側の支持ロ−ラ１１Ｄを取り付けたステ−の車内方向へ
の突出量を押さえるためである。このため、図７（Ａ）
に示すように、非閉鎖時にはスライドドアの傾斜角度が
大きくなるようにすると共に、図７（Ｂ）に示すよう
に、支持ロ−ラ１１Ｄは車両（ステップアンダパネル）
の受け面３０にほぼ垂直に接触している。そして、閉鎖
時には、図８（Ａ）に示すように、スライドドアの傾斜
角度は、小さくなるようにすると共に、図８（Ｂ）に示
すように、支持ロ−ラ１１Ｄはステップアンダパネルの
受け面３０に傾斜して接触している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記するように、スラ
イドドアに使用される玉軸受１２は、外輪１６と一体に
形成される合成樹脂製の外皮１３の中央部が肉厚となり
外側が薄肉となっているため、ステップアンダパネルの
受け面３０との接触時間が短い非閉鎖時には中央の肉厚
部で荷重を支え、受け面３０との接触時間が長い閉鎖時
には薄肉部の端部で荷重を支えるようになっているた
め、クリ−プ（ヘタリ）を防止するためには好ましい形
状である。しかし、軸受性能から見れば、外輪１６は、
外周中央部に溝１６ｂが形成されているため、軌道面１
６ａの底と溝１６ｂとの間が最薄肉部となり、外輪１６
には深い溝を確保することが出来なくなるという問題が
あった。従って、外輪の軌道底の肉厚を確保し深い溝を
設ける場合、合成樹脂外径を大きくしたり、合成樹脂の
厚さを薄くする必要があった。更に、外輪１６の外周側
に設ける溝１６ｂのＶ溝形状は特殊な形状であるため専
用のバイトが必要となり、溝加工コストがアップすると
いう問題があった。

【０００６】この発明は上記する課題に対処するために
なされたものであり、合成樹脂のクリ−プ強度を確保し
つつ玉軸受としての静的強度（軸受容量）も確保し、更
に、製作コストを低減することのできるスライドドアの
支持ロ−ラを提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】即ち、この発明は、上記
する課題を解決するために、車両側面の乗降口を閉鎖し
た状態から車両外方へ振りだし開放されるバン型車のス
ライドドアであって、ドア体上間の振り出し量がドア体
下縁の振り出し量よりも小さいことにより閉鎖状態と非
閉鎖状態とでドア体の鉛直方向角度が変化するスライド
ドアを、車体に設けた受け面上を転動しつつ該スライド
ドアを支持するスライドドアの支持ロ−ラにおいて、前
記支持ロ−ラ（１）を、支軸に取り付けられる内輪
（４）と回転自在な外輪（６）とこれら内・外輪間に配
置される玉（５）と該玉（５）を保持する保持器（７）
とで構成される玉軸受（２）と、前記外輪外周側に一体
に被覆される合成樹脂製外皮（３）と、で構成し、前記
外輪外周に凹溝（６ｂ，６ｃ）を形成すると共に該凹溝
（６ｂ，６ｃ）底部が、外輪軌道面（６ａ）よりも外輪
端部側に位置して設けてあることを特徴としている。

【０００８】また、前記玉軸受（２）の外輪外周には、
外周面の端部寄りに段付部（６ｄ，６ｅ）を形成すると
共に、該段付部（６ｄ，６ｅ）は、外輪軌道面（６ａ）
の幅（ｈ）より左右にはなれた位置から始まるように設
けてあることを特徴としている。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、この発明の具体的実施の形
態について図面を参照しながら説明する。尚、重複記載
を避けるため同一要素には従来技術で説明した符号と同
一の符号を使用する。図１は、この発明のスライドドア
の支持ロ−ラの第１の実施の形態の軸方向断面図であ
る。この支持ロ−ラ１は、支軸３１に固定される玉軸受
２と、該玉軸受２の外周に一体に形成される合成樹脂製
の外皮３と、で構成される。前記玉軸受２は、支軸３１
に固定される内輪４と、回転自在とする外輪６と、これ
ら内輪４と外輪６との間に配置される玉５，・・と、該
玉５を保持する保持器７と、で構成される。また、前記
内輪４と外輪６との内部空間に塵埃や泥水等が侵入する
のを防止すると共に、潤滑剤の漏洩を防止するためこれ
ら内・外輪の端部両側には密封シ−ル８，８が装着して
ある。

【００１０】尚、前記支持ロ−ラ１を装着するスライド
ドアは、図５に示すスライドドアの如く、車両側面の乗
降口を閉鎖した状態から車両外方へ振りだし開放される
バン型車のスライドドアであって、ドア体上間の振り出
し量がドア体下縁の振り出し量よりも小さいことにより
閉鎖状態と非閉鎖状態とでドア体の鉛直方向角度が変化
するスライドドアに設けられる。また、支持ロ−ラ１も
車体に設けた受け面上を転動しつつ該スライドドアを支
持するようにしてある。

【００１１】前記外輪６の外周面には、溝底の径を大き
くした半円状の二つの溝６ｂ，６ｃが設けてある。これ
らの溝６ｂ，６ｃの底は、外輪６の軌道面６ａの位置
（幅）より外側の離れた位置に設ける。また、これらの
溝６ｂ，６ｃの底から外輪６の軌道面６ａまでの最短距
離ｘは、該外輪６の外表面から軌道面６ａの底までの最
短距離ｙより少し短くなるようにしてある。この場合、
これらの溝６ｂ，６ｃの溝加工は、通常の市販のバイト
を使用して加工することができる。こうして軌道面６ａ
の底より少し離れた位置に二つの溝６ｂ，６ｃを設けた
外輪６の外側に合成樹脂製の外皮３を一体に被覆する。
該合成樹脂製の外皮３は、ドア開閉時の玉軸受２の回転
騒音を低減するためのものであり、転動しやすいよう外
表面には少しＲが設けてある。

【００１２】上記構成からなるこの発明のスライドドア
の支持ロ−ラ１は、スライドドアの非閉鎖時には、図２
（Ａ）に示すように、車体に設けた受け面（ステップア
ンダパネルの受け面）３０にほぼ垂直に接触し、スライ
ドドアの閉鎖時には、図２（Ｂ）に示すように、支持ロ
−ラ１はステップアンダパネルの受け面３０に傾斜して
接触する。この場合、外輪６の軌道面６ａの底から外輪
外周面までの距離を大きくしてあるので軸受容量も大き
くすることが出来る。そして合成樹脂製の外皮３は、肉
厚を若干薄くすることでクリ−プも防止することができ
る。

【００１３】次に、図３は、この発明のスライドドアの
支持ロ−ラの第２の実施の形態の軸方向断面図である。
この実施の形態では、前記外輪６の外周面に、両端部寄
りに段付部６ｄ，６ｅが設けてある。これらの段付部６
ｄ，６ｅは、外輪６の軌道面６ａの幅ｈより左右にはな
れた位置から始まるように設ける。また、これらの段付
部６ｄ，６ｅの底から外輪６の軌道面６ａまでの最短距
離ｗは、該外輪６の外表面から軌道面６ａの底までの最
短距離ｚと同等か若干短くなるようにしてある。こうし
て軌道面６ａの底より少し離れた位置に二つの段付部６
ｄ，６ｅを設けた外輪６の外側に合成樹脂製の外皮３を
一体に被覆する。

【００１４】上記構成からなる第２の実施の形態のスラ
イドドアの支持ロ−ラ１は、スライドドアの閉鎖時に
は、図４（Ａ）に示すように、スライドドアのステップ
アンダパネルの受け面３０にほぼ垂直に接触し、スライ
ドドアの閉鎖時には、支持ロ−ラ１はステップアンダパ
ネルの受け面３０に傾斜して接触する。しかし、外輪６
の軌道面６ａの底から外周面までの距離を大きくするこ
とができるので軸受容量も大きくすることが出来る。そ
して合成樹脂製の外皮３は、肉厚を若干薄くすることで
クリ−プも防止することができる。尚、この実施の形態
では、密封シ−ル８の位置近傍に段付部６ｅを形成して
あるため外輪６は外側寄りが薄肉となるが荷重は玉５方
向にかかり、密封シ−ル８にはかからないので問題はな
い。

【００１５】尚、上記第１の実施の形態においては、一
方の溝、即ち、ステップアンダパネルの受け面３０に傾
斜して接触する側の溝６ｃをなくして他方の溝６ｂのみ
とし、第２の実施の形態においては、ステップアンダパ
ネルの受け面３０に傾斜して接触する側の段付部６ｅを
なくして他方の段付部６ｄのみとしても良い。

【００１６】

【発明の効果】以上、詳述したように、この発明のスラ
イドドアの支持ロ−ラによれば、合成樹脂からなる外皮
部のクリ−プ強度を維持しつつ玉軸受部の軸受容量を大
きくして静的強度も向上させることができる。また、製
作コストも低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のスライドドアの支持ロ−ラの第１の
実施の形態の軸方向断面図である。

【図２】図２（Ａ）は、この発明の第１の実施の形態の
スライドドアの支持ロ−ラのスライドドアの非閉鎖時の
ステップアンダパネルの受け面との接触状態を示す図で
あり、図２（Ｂ）は、スライドドアの閉鎖時の接触状態
を示す図である。

【図３】この発明のスライドドアの支持ロ−ラの第２の
実施の形態の軸方向断面図である。

【図４】図４（Ａ）は、この発明の第２の実施の形態の
スライドドアの支持ロ−ラのスライドドアの非閉鎖時の
ステップアンダパネルの受け面との接触状態を示す図で
あり、図２（Ｂ）は、スライドドアの閉鎖時の接触状態
を示す図である。

【図５】従来のＲＶ車の車両側面のスライドドアの斜視
図である。

【図６】従来のスライドドアの支持ロ−ラの軸方向断面
図である。

【図７】図７（Ａ）は、従来のスライドドアの非閉鎖時
の傾斜状態を示し、図７（Ｂ）はその時のステップアン
ダパネルの受け面との接触状態を示す図である。

【図８】図８（Ａ）は、従来のスライドドアの閉鎖時の
傾斜状態を示し、図８（Ｂ）はその時のステップアンダ
パネルの受け面との接触状態を示す図である。

【符号の説明】

１ 支持ロ−ラ ２ 玉軸受 ３ 合成樹脂製の外皮 ４ 内輪 ５ 玉 ６ 外輪 ６ａ 外輪軌道面 ６ｂ，６ｃ 凹溝 ６ｄ，６ｅ 段付部 ７ 保持器 ８ 密封シ−ル ３１ 支軸 ３０ 車体に設けた受け面

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両側面の乗降口を閉鎖した状態から車
   両外方へ振りだし開放されるバン型車のスライドドアで
   あって、ドア体上間の振り出し量がドア体下縁の振り出
   し量よりも小さいことにより閉鎖状態と非閉鎖状態とで
   ドア体の鉛直方向角度が変化するスライドドアを、車体
   に設けた受け面上を転動しつつ該スライドドアを支持す
   るスライドドアの支持ロ−ラにおいて、 前記支持ロ−ラを、支軸に取り付けられる内輪と回転自
   在な外輪とこれら内・外輪間に配置される玉と該玉を保
   持する保持器とで構成される玉軸受と、前記外輪外周側
   に一体に被覆される合成樹脂製外皮と、で構成し、前記
   外輪外周に凹溝を形成すると共に該凹溝底部が、外輪軌
   道面底部よりも外輪端部側に位置して設けてあることを
   特徴とするスライドドアの支持ロ−ラ。
2. 【請求項２】 前記玉軸受の外輪外周には、外周面の端
   部寄りに段付部を形成すると共に、該段付部は、外輪軌
   道面の幅より左右にはなれた位置から始まるように設け
   てあることを特徴とする請求項１に記載のスライドドア
   の支持ロ−ラ。