JPH11329802A - チップ型抵抗器及びその製造方法 - Google Patents

チップ型抵抗器及びその製造方法

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JPH11329802A
JPH11329802A JP10129257A JP12925798A JPH11329802A JP H11329802 A JPH11329802 A JP H11329802A JP 10129257 A JP10129257 A JP 10129257A JP 12925798 A JP12925798 A JP 12925798A JP H11329802 A JPH11329802 A JP H11329802A
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film
chip
type resistor
resistance
substrate
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JP10129257A
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English (en)
Inventor
Shinichi Osada
慎一 長田
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程の簡略化を果たすことができ、かつ
抵抗温度係数のばらつき及び電流雑音を低減し得る、安
価なチップ型抵抗器を得る。 【解決手段】 下面2bの両端が上面2aに向かって傾
斜されている傾斜面2b1 ,2b2 を有する絶縁性基板
2の下面2bの両端に至るように卑金属膜よりなる抵抗
膜3が形成されており、抵抗膜3の中央部分を被覆する
ように絶縁性保護層4が形成されており、抵抗膜3の両
端近傍部分において、抵抗膜3上に外部電極5,6が形
成されているチップ型抵抗器1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板の一方面に抵
抗膜が設けられた構造を有するチップ型抵抗器及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント回路基板などに実装される抵抗
器として、種々のチップ型抵抗器が知られている。図7
は、従来のチップ型抵抗器の一例を示す断面図である。
【0003】チップ型抵抗器51では、アルミナなどの
絶縁性材料よりなる絶縁性基板52が用いられている。
絶縁性基板52の上面においいては、両端に電極53
a,53bが形成されている。同様に、絶縁性基板52
の下面においては、両端に電極53c,53dが形成さ
れている。
【0004】絶縁性基板52の上面においては、電極5
3a,53bに両端が接続されるように抵抗膜54が形
成されている。また、抵抗膜54を外部から保護するた
めに、抵抗膜54の露出されている部分が絶縁性保護膜
55で被覆されている。絶縁性基板52の両端には、外
部電極56,57が形成されている。外部電極56,5
7は、それぞれ、電極53a,53cまたは電極53
b,53dに電気的に接続されている。
【0005】また、電極56,57は、それぞれ、Ag
層56a,57a、Niメッキ層56b,57b及び最
外側に形成された半田メッキ層56c,57cを有す
る。上記チップ型抵抗器51は、以下の工程を経て製造
されていた。すなわち、図8(a)に示すように、マザ
ーの絶縁性基板52Aを用意する。マザーの絶縁性基板
52Aの一方主面上には複数本の平行なスクライブ溝A
と、該スクライブ溝Aに直交する複数本のスクライブ溝
Bとが形成されている。スクライブ溝A,Bで囲まれた
矩形の領域が、個々のチップ型抵抗器を構成する基板部
分となる。
【0006】次に、マザーの絶縁性基板52Aの裏面に
おいて、図7に示した電極53c,53dに対応する位
置にAgペーストを印刷し、焼成することにより裏面電
極(図示せず)を形成する。次に、スクライブ溝A,B
が形成されている表面側において、上記裏面電極と対応
する位置にAgペーストを印刷し、乾燥する。
【0007】このスクライブ溝A,Bで囲まれた各領域
において、上記のようにして乾燥されたAgペースト層
に跨がるように酸化ルテニウムからなる抵抗膜を形成
し、焼成する。それによって、図8(b)で示すよう
に、表面電極58,58間に跨がるように抵抗膜54が
形成される。なお、図8(b)における表面電極58
は、最終的にスクライブ溝Aに沿って分割されることに
より、図7に示した電極53aまたは電極53bを構成
する。また、前述した裏面電極は、図8(b)で示され
ている表面電極58と表裏対向する位置に形成されてい
る。
【0008】次に、各領域における抵抗値を調整するた
めに、抵抗膜54をトリミングする。さらに、抵抗膜5
4の露出部分を覆うようにガラスなどの絶縁性保護膜を
印刷し、焼成し、絶縁性保護膜55(図7参照)を形成
する。しかる後、スクライブ溝Aに沿って絶縁性基板5
2Aを分割し、図8(c)に示す短冊状のマザー基板5
2Bを得る(ここでは、絶縁性保護膜は図示を省略して
ある。)。この分割により、表面電極58から上述した
電極53a,53bが形成され、裏面側においては裏面
電極が分割されて電極53c,53dが形成されること
になる。
【0009】次に、短冊状のマザーの絶縁性基板52B
の両側面にAg含有導電ペーストを塗布し、焼成するこ
とにより、Ag層56a,57aを形成する。さらに、
Ag層56a,57a上にNiをメッキし、さらに最外
側表面に半田をメッキし、スクライブ溝Bに沿って分割
することにより、チップ型抵抗器51が得られる。
【0010】他方、特開平8−316003号公報に
は、図9に示すチップ型抵抗器61の製造方法が開示さ
れている。このチップ型抵抗器61では、アルミナなど
の絶縁性材料よりなる絶縁性基板62の上面にNi電極
63が形成されており、該Ni電極63の上面に抵抗膜
64が形成されている。上記Ni電極63及び抵抗膜6
4の両端は、外部電極66,67に電気的に接続されて
いる。また、抵抗膜64の上面には、抵抗膜64を保護
するための絶縁性保護膜65が形成されている。
【0011】外部電極66,67は、Ag層66a,6
7a、Niメッキ層66b,67b及び半田メッキ層6
6c,67cを積層した構造を有する。チップ型抵抗器
61の製造方法を、図10に示すフローチャートを参照
して説明する。
【0012】まず、アルミナなどからなる絶縁性基板6
2の表面をフッ酸水溶液を用いてエッチングし、荒ら
す。次に、抵抗膜64の下地となるNi電極63を、N
iを無電解メッキすることにより形成する。しかる後、
Ni電極63上に、電解メッキによりCu膜及びNi膜
を順次形成し、800℃の温度で熱処理することによ
り、Cu−Ni合金とし、Cu−Ni合金からなる抵抗
膜64を形成する。
【0013】次に、抵抗値を調整するために、抵抗膜6
4をレーザを用いてトリミングする。しかる後、マザー
の絶縁性基板を個々の抵抗器単位に分割する。さらに、
分割された絶縁性基板62において、抵抗膜64上にエ
ポキシ樹脂系ペーストをスクリーン印刷し、絶縁性保護
膜65を形成し、200℃の温度で乾燥し、硬化する。
【0014】次に、Agペーストをローラー塗布機によ
り塗布し、乾燥し、焼成することにより、Ag層66
a,67aを形成する。さらに、Ag層66a,67a
上に、Niを電解メッキし、Niメッキ層66b,67
bを形成する。さらに、Niメッキ層66b,67b上
に、半田をメッキし、半田メッキ層66c,67cを形
成する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のチップ
型抵抗器51,61では、外部電極56,57,66,
67は、いずれも、絶縁性基板52,62の両端面にお
いて、端面だけでなく、上面及び下面にも及ぶように、
すなわち、3面に至るように形成されていた。また、各
面において外部電極56,57,66,67を形成する
に際し、導電ペーストの印刷、乾燥及び焼成によりAg
層56a,57a,66a,67aを形成する必要があ
り、さらに、半田食われを防止するためにNiメッキ層
56b,57b,66b,67bを形成し、最外側に半
田付け性を高めるために半田メッキ層を56c,57
c,66c,67cを形成しなければならなかった。従
って、外部電極形成に際しての工程が非常に煩雑であ
り、かつ3層構造の外部電極を形成していたためコスト
が非常に高くつくという問題があった。
【0016】加えて、チップ型抵抗器51では、抵抗膜
54を構成する材料として、高価な貴金属であるRuの
酸化物を用いているため、材料コストが高くつくという
問題もあった。
【0017】加えて、酸化ルテニウムにより抵抗膜54
を形成した場合、抵抗温度係数(TCR)のばらつきが
大きいこと、酸化物よりなるため、電流雑音が多いこ
と、高周波特性が十分でないことなどの問題もあった。
【0018】本発明の目的は、外部電極形成に際しての
製造工程の簡略化を図ることができ、安価であり、かつ
製造容易なチップ型抵抗器及び該チップ型抵抗器の製造
方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
係るチップ型抵抗器は、一方主面の両端近傍部分が、他
方主面側に向かって傾斜面とされている基板と、前記基
板の一方主面において両端に至るように形成されてお
り、卑金属を含む合金膜により構成されている抵抗膜
と、前記抵抗膜の両端近傍部分を覆うように抵抗膜上に
形成されたメッキ層からなる外部電極と、前記外部電極
間において抵抗膜上に形成された絶縁性保護膜とを備え
ることを特徴とする請求項2に記載の発明では、前記外
部電極が、半田メッキ層により構成されている。
【0020】請求項3に記載の発明では、上記外部電極
が、Niメッキ層と、Niメッキ層上に形成された半田
メッキ層とを備える。請求項4に記載の発明では、前記
抵抗膜が、Ni−Fe−P系合金膜である。
【0021】請求項5に記載の発明に係るチップ型抵抗
器の製造方法は、一方主面にマトリクス状に個々のチッ
プ型抵抗器を構成するための領域を区画するようにスク
ライブ溝が形成されているマザー基板を用意する工程
と、前記マザー基板の各領域内において対向しているス
クライブ溝に両端が至るように卑金属を含む合金膜より
なる抵抗膜を形成する工程と、前記各領域において抵抗
膜の中央部分を覆うように絶縁性保護膜を形成する工程
と、前記マザー基板を、スクライブ溝に沿って個々のチ
ップ型抵抗器単位に分割する工程と、前記抵抗膜の絶縁
性保護膜で被覆されている部分以外の両端近傍部分に導
電膜をメッキし、外部電極を形成する工程とを備えるこ
とを特徴とする。
【0022】請求項6に記載の発明では、上記抵抗膜
が、Ni−Fe−P系合金膜を無電解メッキすることに
より形成される。請求項7に記載の発明では、スクライ
ブ溝の開口幅及び深さが、それぞれ、100〜300μ
mの範囲とされる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
具体的な実施例を説明することにより本発明を明らかに
する。
【0024】図1(a)及び(b)は、本発明の第1の
実施例に係るチップ型抵抗器の側面図及び正面断面図を
示す。チップ型抵抗器1は、アルミナなどの絶縁性材料
である絶縁性基板2を用いて構成されている。絶縁性基
板2を構成する材料については、アルミナに限定され
ず、他の適宜の絶縁性材料を用いることができ、好まし
くは、アルミナなどの絶縁性セラミックスが用いられ
る。
【0025】絶縁性基板2は、矩形板状の形状を有し、
上面2aは平坦であるが、下面2bにおいては、両端近
傍に傾斜面2b1 ,2b2 が形成されている。すなわ
ち、下面2bは、両端において上面2a側に近づくよう
に傾斜されており、それによって両端近傍に傾斜面2b
1 ,2b2 が形成されている。
【0026】なお、下面2bの両端とは、上記傾斜面2
1 ,2b2 の外側端をいうものとする。下面2bにお
いては、両端に至るように、抵抗膜3が形成されてい
る。抵抗膜3は、チップ型抵抗器1の抵抗特性を実現し
得る適宜の卑金属を含む合金膜により構成することがで
きるが、本実施例では、Ni−Fe−P系合金膜により
構成されている。
【0027】抵抗膜3の両端近傍部分間の中央領域に
は、抵抗膜3を被覆するように絶縁性保護膜4が形成さ
れている。絶縁性保護膜4は、適宜の絶縁性材料、例え
ば合成樹脂などにより構成することができるが、本実施
例では、エポキシ系樹脂により構成されている。
【0028】絶縁性保護膜4の両側には、外部電極5,
6が形成されている。外部電極5,6は、本実施例で
は、Niメッキ層5a,6a及び半田メッキ層5b,6
bを積層した構造を有する。
【0029】この外部電極5,6が形成される位置は、
抵抗膜3の両端近傍部分、すなわち上記傾斜面2b1
2b2 が形成されている部分を含む両端近傍の領域であ
る。チップ型抵抗器1では、傾斜面2b1 ,2b2 が形
成されており、合金膜からなる抵抗膜3が上記傾斜面2
1 ,2b2 にも至るように形成されている。そして、
外部電極5,6は、この傾斜面2b1 ,2b2 に至る抵
抗膜部分上に形成されているので、合金膜よりなる抵抗
膜3自体が外部電極のための下地電極として機能する。
【0030】従って、上記のように、外部電極5,6を
形成するにあたり、直接Niメッキ層5a,6aを形成
することができる。よって、Agペーストのローラー塗
布機を用いた塗布、乾燥及び焼成といった煩雑な工程を
省略することができる。すなわち、外部電極形成工程を
簡略化することができる。また、抵抗膜3が、Ni−F
e−P系合金膜、すなわち、卑金属材料を用いているた
め、抵抗膜3の材料コストを低減することができる。加
えて、抵抗膜3が酸化物を用いるものではないため、電
流雑音の低減及び高周波特性の向上を図り得る。
【0031】さらに、後述の製造方法から明らかなよう
に、チップ型抵抗器1では、外部電極形成工程だけでな
く、製造工程全体を簡略化することができ、それによっ
てチップ型抵抗器のコストを低減することができる。
【0032】チップ型抵抗器1では、外部電極5,6
は、絶縁性基板2の下面2bの両端近傍部分に形成され
ており、絶縁性基板2の側面全体を覆うようには形成さ
れていない。しかしながら、図2に略図的断面図で示す
ように、プリント回路基板7上に実装し、半田により外
部電極5,6を接合した場合、確実に半田フィレット8
a,8bが形成される。従って、従来のチップ型抵抗器
と同様に、プリント回路基板7に確実に面実装すること
ができる。
【0033】特に、上記傾斜面2b1 ,2b2 の高さ方
向距離、すなわち、傾斜面2b1 ,2b2 の外側端と下
面2bとの間の高さ方向距離が100μm以上あれば、
半田フィレット8a,8bが確実に形成され、さらに実
装後に半田付け状態を目視により容易に確認し得ること
が確かめられている。
【0034】チップ型抵抗器1の製造方法を図3に示す
フローチャートを参照しつつ説明する。まず、絶縁性基
板2を得るためのマザー基板として、図4に矢印C,D
で示す複数本のスクライブ溝が互いに直交する方向に形
成されたマザー基板11を用意する。矢印C,Dで示す
スクライブ溝で囲まれた各領域が個々のチップ型抵抗器
1の絶縁性基板2を構成する部分となる。上記スクライ
ブ溝については、図5に断面図で示すように、その開口
幅X及び深さYが100〜300μmの範囲となるよう
にスクライブ溝を形成する。このスクライブ溝C,Dの
幅が100μm未満の場合には、最終的に得られたチッ
プ型抵抗器をプリント回路基板に実装する際に、半田フ
ィレットの形成が良好に行われず、かつ実装後に半田接
合部分を目視により確認することが困難となることがあ
る。逆に、300μmを超えると、深さ方向に対して
は、通常使用するアルミナ基板厚み0.4〜0.6mm
に対しスクライブ溝が深く親基板の強度が弱くなり、製
造歩留まり上、実用性がなくなることがある。また、幅
方向に対しては素子サイズに対する誤差要因が大きくな
り、実用的ではない。
【0035】上記スクライブ溝の形成は、アルミナグリ
ーンシートを用意し、型押し等により溝を成形した後、
1500℃程度の温度で焼成することにより行い得る。
次に、抵抗膜の密着性を高めるために、フッ酸水溶液を
用いて上記マザー基板をエッチングする。エッチング
は、マザー基板をフッ酸水溶液に浸漬することにより容
易に行い得る。もっとも、エッチングは、抵抗膜が形成
される側の面、すなわち、スクライブ溝C,Dが形成さ
れている面に対してのみ行ってもよい。
【0036】次に、マザー基板に抵抗膜を形成するため
に、マザー基板の裏面をマスクし、塩化すず水溶液及び
塩化パラジウム水溶液を用い、感受性化及び活性化処理
を施す。すなわち、マザー基板を塩化すず水溶液に浸漬
し、次に塩化パラジウム水溶液に浸漬することにより、
感受性化及び活性化処理を施す。この感受性化処理及び
活性化処理は、抵抗膜を無電解メッキにより絶縁性基板
上に付着させるためである。
【0037】上記感受性化処理及び活性化処理を行うに
際しては、マザー基板の抵抗膜が形成されない側の面、
図1における絶縁性基板2の上面2aに相当する面には
活性層を形成しないことが望ましい。従って、図4に示
すように、2枚のマザー基板11,11を用意し、スク
ライブ溝が形成されていない側の面同士を重ね合わせて
裏面をマスクし、上記感受性化処理及び活性化処理を行
うことが望ましい。
【0038】しかる後、ニッケル塩、鉄塩、還元剤、錯
化剤及びpH調整剤を調合し、抵抗膜形成用メッキ浴を
用意する。このメッキ浴の温度を60℃とし、上記マザ
ーの絶縁性基板を浸漬し、メッキ法によりNiFeP系
合金膜よりなる抵抗膜を形成する。この場合、上記メッ
キ浴にマザーの絶縁性基板を約30分間浸漬すれば、約
10Ω/cm2 のシート抵抗の抵抗膜を形成することが
できる。もっとも、このメッキ浴への浸漬時間等につい
ては、目的とする抵抗値等に応じて適宜定めればよい。
【0039】また、上記メッキにより形成された抵抗膜
は、250℃の温度で3時間程度熱処理することにより
安定化される。従って、合金化のために高温度による熱
処理を行う必要がなく、エネルギーコストの低減及び製
造工程の簡略化を果たすことができる。
【0040】次に、必要ならば、レーザによりトリミン
グし、抵抗値を調整してもよいが、上記のように抵抗膜
の抵抗値はメッキ浴への浸漬時間を制御することにより
行い得る。従って、煩雑なトリミング工程を省略するこ
とも可能である。
【0041】しかる後、上記マザー基板11において、
各チップ型抵抗器1の抵抗膜の両端近傍を除いた中央部
分に、エポキシ樹脂ペーストをスクリーン印刷し、紫外
線を照射し硬化させ、絶縁性保護膜4を形成する。この
絶縁性保護膜4の厚みは、硬化後の厚みで5〜10μm
程度とすることが望ましい。
【0042】次に、上記絶縁性保護膜4を形成した後、
マザー基板2をスクライブ溝C,Dに沿って分割し、個
々のチップ型抵抗器1単位の絶縁性基板2を得る。しか
る後、個々の絶縁性基板2において、抵抗膜4上に、N
i及び半田を順次電解メッキし、Niメッキ層5a,6
a及び半田メッキ層5b,6bを形成する。
【0043】このようにしてチップ型抵抗器1が得られ
る。上記実施例では、抵抗膜3上に、Niメッキ層5
a,6aを形成し、さらに、半田メッキ層5b,6bを
形成したが、図6(a)及び(b)に示す第2の実施例
のように、Niメッキ層を省略してもよい。すなわち、
チップ型抵抗器21では、抵抗膜4上に直接半田メッキ
層よりなる外部電極25,26が形成されている。すな
わち、外部電極において下地層としてAg系材料を用い
ていないため、半田食われを防止するためのNiメッキ
層5a,6a(図1)を使用する必要は必ずしもなく、
直接半田メッキ層のみからなる外部電極25,26を形
成してもよい。
【0044】もっとも、実装時の外部電極材料の流出を
抑制する上では、図1に示したようにNiメッキ層5
a,6a形成することが望ましい。第1,第2の実施例
では、抵抗膜3を構成する材料として、Ni−Fe−P
系合金膜を示したが、抵抗膜3を構成する材料として
は、酸化ルテニウムのような高価の材料ではなく、かつ
メッキ法により容易に形成し得る限り、NiCu、Ni
Crなどの卑金属を用いた適宜の合金膜を用いることが
できる。
【0045】また、上記外部電極5,6の形成位置は、
傾斜面2b1 ,2b2 上のみであってもよいが、好まし
くは、第1の実施例のように、傾斜面2b1 ,2b2
だけでなく、下面2bの平坦部分にも至るように形成す
ることが望ましい。このように下面2bの平坦部分にも
至るように外部電極5,6を形成することにより、面実
装時に際してのチップ型抵抗器の安定性及び半田による
接合性を高めることができる。
【0046】
【発明の効果】請求項1に記載の発明に係るチップ型抵
抗器では、一方主面の両端近傍部分が他方主面側に向か
って傾斜面とされている基板が用いられており、抵抗膜
は、該基板の傾斜面が形成されている一方主面の両端に
至るように形成されている。そして、抵抗膜の両端近傍
部分を覆うように抵抗膜上に外部電極が形成されてい
る。従って、卑金属を含む合金膜からなる抵抗膜が外部
電極の下地層として機能するため、上記外部電極をメッ
キ法のみを用いて容易に形成することができる。
【0047】すなわち、外部電極形成に際し、導電ペー
ストの塗布、乾燥及び焼成といった煩雑な工程を省略す
ることができ、それによってチップ型抵抗器の製造工程
を簡略化することができ、かつコストを低減することが
できる。
【0048】また、上記抵抗膜が卑金属を用いた合金膜
により構成されているので、抵抗膜のコストを低減する
ことができると共に、酸化物を用いないため、抵抗温度
係数のばらつきの低減及び電流雑音の低減を図ることが
でき、高周波用途に適したチップ型抵抗器を提供するこ
とができる。
【0049】さらに、上記外部電極の下地層として抵抗
膜が機能するため、請求項2に記載のように、Ni層を
省略し、半田メッキ層のみにより外部電極を形成するこ
とができる。
【0050】請求項3に記載の発明では、外部電極がN
iメッキ層と、Niメッキ層上に形成された半田メッキ
層とを積層した構造を有するため、実装時に半田が流出
するとしても、Niメッキ層が流出し難いため、実装に
際しての安定性を高めることができる。
【0051】請求項5に記載の発明に係るチップ型抵抗
器の製造方法では、スクライブ溝が形成されたマザー基
板の個々のチップ型抵抗器を構成するための領域内にお
いて対向しているスクライブ溝に両端が至るように抵抗
膜を形成し、抵抗膜の中央部分を覆うように絶縁性保護
膜を形成し、マザー基板を個々のチップ型抵抗器間に分
割した後、抵抗膜の絶縁性保護膜で被覆されている部分
以外の両端近傍部分を導電膜で被覆するだけで、外部電
極を容易に形成することができる。従って、従来のチッ
プ型抵抗器に比べて、製造工程を簡略化することがで
き、チップ型抵抗器のコストを効果的に低減することが
可能となる。しかも、上記のように抵抗膜が卑金属を用
いた合金膜により構成されているので、TCRのばらつ
き及び電流雑音が小さく、高周波用途に優れたチップ型
抵抗器を提供することが可能となる。
【0052】請求項4,6に記載の発明では、上記抵抗
膜が、Ni−Fe−P系合金膜を無電解メッキすること
により形成されているので、抵抗膜のコストを低減させ
ることができ、かつTCRのばらつきや電流雑音を低減
することが可能となる。
【0053】請求項7に記載の発明では、スクライブ溝
の開口幅及び深さが、100〜300μmの範囲とされ
ているので、マザー基板を分割して得られた個々のチッ
プ型抵抗器において、プリント回路基板に実装された載
置半田フィレットを確実に形成することができると共
に、実装後の半田フィレットの状態を目視により容易に
確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施例に
係るチップ型抵抗器の側面図及び正面断面図。
【図2】本発明の第1の実施例に係るチップ型抵抗器を
プリント回路基板に実装した状態を示す断面図。
【図3】本発明の第1の実施例のチップ型抵抗器の製造
方法を説明するためのフローチャートを示す図。
【図4】第1の実施例のチップ型抵抗器を得るのに用い
られるマザー基板を重ね合わせて感受性化処理及び活性
化処理を施す工程を説明するための斜視図。
【図5】スクライブ溝の断面形状を説明するための部分
切欠拡大断面図。
【図6】(a)及び(b)は、第2の実施例に係るチッ
プ型抵抗器を説明するための側面図及び正面断面図。
【図7】従来のチップ型抵抗器の一例を示す縦断面図。
【図8】(a)〜(c)は、それぞれ、図7に示した従
来のチップ型抵抗器の製造工程を説明するための各部分
切欠平面図及び部分切欠斜視図。
【図9】従来のチップ型抵抗器の他の例を説明するため
の断面図。
【図10】従来のチップ型抵抗器の製造工程を説明する
ためのフローチャートを示す図。
【符号の説明】
1…チップ型抵抗器 2…絶縁性基板 2a…上面 2b…下面 2b1 ,2b2 …傾斜面 3…抵抗膜 4…絶縁性保護膜 5,6…外部電極 5a,6a…Niメッキ層 5b,6b…半田メッキ層 21…チップ型抵抗器 25,26…外部電極 C,D…スクライブ溝 7…マザー基板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方主面の両端近傍部分が、他方主面側
    に向かって傾斜面とされている基板と、 前記基板の一方主面において両端に至るように形成され
    ており、卑金属を含む合金膜により構成されている抵抗
    膜と、 前記抵抗膜の両端近傍部分を覆うように抵抗膜上に形成
    されたメッキ層からなる外部電極と、 前記外部電極間において抵抗膜上に形成された絶縁性保
    護膜とを備えることを特徴とする、チップ型抵抗器。
  2. 【請求項2】 前記外部電極が、半田メッキ層により構
    成されている請求項1に記載のチップ型抵抗器。
  3. 【請求項3】 前記外部電極が、抵抗膜上に形成された
    第1のメッキ層と、第1のメッキ層上に形成されてお
    り、かつ半田よりなる第2のメッキ層とを有する請求項
    1に記載のチップ型抵抗器。
  4. 【請求項4】 前記抵抗膜が、Ni−Fe−P系合金膜
    である請求項1〜3のいずれかに記載のチップ型抵抗
    器。
  5. 【請求項5】 一方主面にマトリクス状に個々のチップ
    型抵抗器を構成するための領域を区画するようにスクラ
    イブ溝が形成されているマザー基板を用意する工程と、 前記マザー基板の各領域内において対向しているスクラ
    イブ溝に両端が至るように卑金属を含む合金膜よりなる
    抵抗膜を形成する工程と、 前記各領域において抵抗膜の中央部分を覆うように絶縁
    性保護膜を形成する工程と、 前記マザー基板を、スクライブ溝に沿って個々のチップ
    型抵抗器単位に分割する工程と、 前記抵抗膜の絶縁性保護膜で被覆されている部分以外の
    両端近傍部分に導電膜をメッキし、外部電極を形成する
    工程とを備えることを特徴とする、チップ型抵抗器の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記抵抗膜が、Ni−Fe−P系合金膜
    を無電解メッキにより形成されることを特徴とする、請
    求項3に記載のチップ型抵抗器の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記スクライブ溝の開口幅及び深さが、
    それぞれ、100μm〜300μmである、請求項5ま
    たは6に記載のチップ型抵抗器の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002170742A (ja) * 2000-09-22 2002-06-14 Nippon Chemicon Corp チップ型固体電解コンデンサ
JP2013030795A (ja) * 2012-10-01 2013-02-07 Rohm Co Ltd チップ抵抗器およびその製造方法
CN104376938A (zh) * 2013-08-13 2015-02-25 乾坤科技股份有限公司 电阻装置

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