JPH11328713A - 方向性回折格子 - Google Patents

方向性回折格子

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JPH11328713A
JPH11328713A JP10170457A JP17045798A JPH11328713A JP H11328713 A JPH11328713 A JP H11328713A JP 10170457 A JP10170457 A JP 10170457A JP 17045798 A JP17045798 A JP 17045798A JP H11328713 A JPH11328713 A JP H11328713A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、入射させる光の方向によって回折特
性が異なる回折格子、及びそれを用いた小型の光ヘッ
ド、及び光磁気ヘッドを提供することを課題とする。 【解決手段】異なる屈折率を持つ少なくとも一つの層に
挟まれた回折格子において、回折光が発生する層の屈折
率、回折格子のピッチ2、及び波長を特別な関係に設定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、方向性のある方向
性回折格子、それを用いた光ヘッド装置、光磁気ヘッド
装置及び、アイソレータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、回折格子における方向性、すなわ
ち、回折格子の回折格子がある側から入射さた場合と、
回折格子の裏側から入射させた場合に、回折効率や透過
率に差異がでる回折格子は提案されていなかった。光デ
イスクに用いられている回折格子には、方向性が必要と
され、偏光によって回折効率が変わる偏光性回折格子と
波長板との組み合わせで方向性を持たせていた。その偏
光性回折格子には種々のものが提案されている。例え
ば、特開昭63−55501号公報には、図35に示す
ように、x軸方向に結晶軸を有するニオブ酸リチウム結
晶板72に、z軸方向に周期を有するイオン交換領域と
非イオン交換領域とで構成される格子73を形成したも
のが開示されている。このように、ニオブ酸リチウムに
プロトンイオン交換を施すと、常光線に対する屈折率N
oは変化せず、異常光線に対する屈折率Neは0.13
程度上昇して、ほぼNe〜Noとなる。
【0003】したがって、入射光74のy軸方向に振動
する偏光成分すなわち常光成分に対しては、イオン交換
による格子12が形成されていても、面内においては屈
折率が一様で、光学的回折格子の効果がないので、透過
光75として結晶板72を直進透過することになる。こ
れに対し、入射光74のz軸方向に振動する偏光成分す
なわち異常光成分に対しては、屈折率が、格子73のプ
ロトンイオン交換領域ではNe+0.13、非交換領域
ではNeと周期的に異なるので、回折光76、77とな
って結晶板72から放射されることになる。
【0004】このように、この偏光性回折格子を用いれ
ば、入射光74を0次回折光および±1次回折光に分離
することができ、これにより直交する偏光成分を分離す
ることができる。また、この偏光板は、ニオブ酸リチウ
ム結晶板72に、イオン交換領域および非イオン交換領
域よりなる格子73を形成するようにしているので、薄
型で、かつ小型にできると共に、ニオブ酸リチウム結晶
ウエハーを素材として作成することができるので、バッ
チ処理により大量かつ安価にできる利点がある。
【0005】また、特開昭63−247941号公報に
は、図36に示すような偏光性回折格子が開示されてい
る。この偏光性回折格子は、屈折率異方性を有する異方
性板78にグレーティング溝を形成し、この溝に、光学
軸79の方向の屈折率がNeまたはそれと直交する方向
の屈折率がNoの充填材料80を充填したもので、これ
により光学軸79と直交する偏光成分または平行な成分
を回折光として分離するようにしている。この偏光性回
折格子によれば、異方性板78にグレーティング溝を形
成し、その溝に充填材料80を充填するようにしている
ので、小型にできる利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、どの偏
光性回折格子にあっても、入射光の方向性、即ち、回折
格子側から入射させても、回折格子の裏側から入射させ
ても回折光の効率や透過光の効率は、原理的に同じであ
る。そのため、光路中に回折格子を置いて、入射させる
方向によって特性が変わることが必要な用途において
は、波長板を一方に設定して、入射方向によって偏光が
変わるようにして用いる必要があり、コストの増大、大
型化が避けられなかった。
【0007】そこで、本発明の目的は、方向性のある回
折格子を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意検討、研究した結果、回折格子におい
て、波長とピッチと屈折率などの諸元を、適切に設定す
る事によって、製造が容易で量産性に適した方向性回折
格子を開発することに成功した。
【0009】すなわち、本発明は、屈折率N1と屈折率
N2の互いに異なる屈折率を有する材質1及び材質2の
間に、屈折率N1と屈折率N2の区画を交互にピッチΛ
で配設した回折格子(ただし、N1>N2とする)を有
し、ピッチを波長に対し、最適なる範囲に設定して形成
されてなる方向性回折格子である。
【0010】本発明は、屈折率N1と屈折率N2の互い
に異なる屈折率を有する材質1及び材質2の間に、屈折
率N1と屈折率N2の区画を交互にピッチΛで配設した
回折格子(ただし、N1>N2とする)を有し、ピッチ
を波長に対し、上記範囲より大きめにピッチを形成され
てなる方向性回折格子である。
【0011】本発明は、少なくとも1種類の層からなる
材質(材質3)と、少なくとも1種類の層からなる材質
(材質4)の間に、屈折率N1と屈折率N2の互いに異
なる屈折率の区画を交互にピッチΛで配設した回折格子
であって、少なくとも一方の材質中の前記区画に接した
材質の屈折率N3とし、他方の材質中の最も低い屈折率
をN4とし、用いる波長をλとする時に、各諸元を最適
なる範囲に設定して形成されてなる方向性回折格子であ
る。
【0012】本発明は、少なくとも1種類の層からなる
材質(材質3)と、少なくとも1種類の層からなる材質
(材質4)の間に、屈折率N1と屈折率N2の互いに異
なる屈折率の区画を交互にピッチΛで配設した回折格子
であって、少なくとも一方の材質中の前記区画に接した
材質の屈折率N3とし、他方の材質中の最も低い屈折率
をN4とし、用いる波長をλとする時に、上記範囲より
大きめにピッチを形成されてなる方向性回折格子であ
る。
【0013】本発明は、上記の回折格子において、回折
格子を成す区画の少なくとも一方が複屈折性の物質で形
成されてなる方向性回折格子である。
【0014】本発明は、光源からの光を上記の方向性回
折格子に入射させ、透過光を記録媒体上にレンズを用い
て絞り込み、反射光を方向性回折格子で回折させ、全反
射面を設けずに受光素子へ光を導く光ヘッドである。
【0015】本発明は、光源からの光をプリズム上に配
設した方向性回折格子に入射させ、透過光をレンズで記
録媒体上に絞り込み、記録媒体からの反射光を方向性回
折格子に戻し、回折した回折光のうち、プリズムの斜面
を透過する光と、プリズムの一面で反射した後にプリズ
ムの斜面を透過した光を受光し、信号を検出する光ヘッ
ド装置である。
【0016】本発明は、光源からの光を上記の方向性回
折格子に入射させ、透過光を記録媒体上にレンズを用い
て絞り込み、反射光を方向性回折格子で回折させ、さら
に別個の回折格子を設けて受光素子へ光を導く光ヘッド
である。
【0017】本発明は、光源の光を方向性回折格子に対
しP偏光に設定し、方向性回折格子と記録媒体の間に4
分の1波長板を設け、方向性回折格子からの透過光を円
偏光に変換し、記録媒体からの反射光をS偏光に変換し
て方向性回折格子で回折させる光ヘッドである。
【0018】本発明は、方向性回折格子の回折光発生部
において、屈折率の小さい方から高い方へ光を入射さ
せ、透過光と回折光に偏光を分離する偏光検出器であ
る。
【0019】本発明は、上記偏光検出器を搭載した光磁
気ヘッド装置である。
【0020】本発明は、方向性回折格子をプリズム上に
設けた光ヘッド装置において、その斜面にさらに方向性
回折格子を設けることで光磁気信号を検出する光磁気ヘ
ッド装置である。
【0021】本発明は、方向性回折格子の回折光発生部
において、屈折率の高い方から低い方へP偏光を入射さ
せて光を通し、屈折率の低い方から高い方へS偏光を入
射させて形成したアイソレータである。
【0022】本発明は、方向性回折格子の回折光発生部
において、屈折率の高い方から低い方へS偏光を入射さ
せて光を通し、屈折率の低い方から高い方へP偏光を入
射させて形成したアイソレータである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、詳細に説明する。図1、図
2は本発明に係る方向性回折格子1の要部断面図であ
る。図1は、方向性回折格子1の両面から光が斜入射す
る際の回折光の光路図である。本発明では、斜入射の場
合も垂直入射の場合も同様の原理であるので、説明の簡
易化のために、以下は垂直入射の場合を図2を用いて説
明する。図2において、方向性回折格子1は、透明な材
料からなる基板の一面に形成されてなる回折格子であ
る。方向性回折格子のピッチ2は回折格子の場所によっ
て一定のピッチを成すいわゆる等ピッチ回折格子でもよ
いし、回折格子面の場所によって変わる回折格子でもよ
い。以下は光が入射する部分のピッチをΛとして説明す
る。方向性回折格子に回折格子の形成されていない面
(以下、裏面とする)から光3を垂直に入射させるとす
る(以下、往路とする)。裏面は平らな面とし、回折格
子のある面と平行とする。
【0024】図2に示すように、方向性回折格子1を取
り巻く材質中(ここでは空気であるが、以下、外部材質
と称す)から垂直に方向性回折格子1の裏面に入射した
光は基板中でも方向を変えることなく真っ直ぐに進む。
図2中の波形部分である屈折率が異なる二つの区画から
なる周期構造の部分4(以下、回折光発生部とする)に
到達すると、そこで回折が起こる。回折角5をθ1とす
ると、良く知られている回折条件式1が成立する。
【0025】
【式1】
【0026】ここで、光の波長をλとし、外部材質の屈
折率をN2とする。本式を用いることでθ1を求めるこ
とができる。次に、図2に示すように回折光発生部4の
ある面から光6を入射させるとする(以下、復路とす
る)。回折光7の回折角8をθ2とした時、回折光発生
部4での回折条件式は式2のようになる。
【0027】
【式2】
【0028】ここで、回折格子を成す材質の屈折率をN
1とする。回折した光は裏面において外部材質中へ屈折
する。屈折角9をθ3とした時の関係は式3のようにな
る。
【0029】
【式3】
【0030】次に、式2と式3からθ2を消去すること
により、屈折角9が式4のようになる。
【0031】
【式4】
【0032】これにより、θ1とθ3が同じ値である事
が分かる。これは、一般的な回折格子へは、回折格子面
から入射するときと裏面から入射する時とでは、回折角
に変わりはないことを示している。次に、回折格子の基
板中の回折角7であるが、式2にみるように、θ1やθ
3と異なる値を示している。
【0033】具体的な数値を設定して回折格子ピッチΛ
をパラメーターとしてθ1とθ2を求める。λを635
nm、N1を1.5、N2を1(空気中)とすると、式
1、式2はそれぞれ式5、式6のようになる。
【0034】
【式5】
【0035】
【式6】
【0036】式5と式6にいて、ピッチΛをパラメータ
ーとしてθ1とθ2の具体的な値を表1に例示する。こ
こで、回折しないとは、式5と式6の各右辺が1より大
きくなり、回折条件が成立しないので回折光が発生しな
い場合である。
【0037】
【表1】
【0038】これより、あるピッチではθ2しか値を持
ち得ないという事が言える。すなわち、復路しか回折光
が発生しない事が分かる。この具体例では、回折格子の
屈折率が空気の屈折率より大きいので、往路にのみ回折
する場合が生じるが、外部媒質の屈折率が回折格子の屈
折率より大きい場合には、復路のみ回折する場合が発生
する。要は、ピッチを適切に設定することで、回折格子
での出射側(回折光の発生する側)の屈折率が入射側の
屈折率より大きい方向(以下、高屈折率媒質への入射と
称す)にのみ回折光を発生させることができる。この
時、回折格子での出射側の屈折率が入射側の屈折率より
小さい方向(以下、低屈折率媒質への入射と称す)は、
透過光のみとすることができるので、方向によって透過
率を異ならせる事ができる。
【0039】この方向性の機能を実現させる条件は、式
5と式6において、式5の右辺が1より大きくなり、式
6の右辺が1より小さくなるようなピッチの範囲である
ので、遡って、式1の右辺が1より大きくなり、式6の
右辺を1より小さくなるようなピッチの範囲であるの
で、容易に式7が求められる。
【0040】
【式7】
【0041】これは、検討している回折格子は、一つの
材質が空気層に対して区画が接しているということなの
で、屈折率の異なる区画から成る回折格子であって、そ
れを取り巻く材質が、各々の区画の屈折率と同じ場合を
示している。具体例としては、回折格子に表面レリーフ
タイプを用いたとし、N1をガラスを想定して1.5と
し、外部媒質を空気としてN2を1とすると、式8が成
立する。
【0042】
【式8】
【0043】ピッチが、波長よりも小さく、波長の7割
程度より大きい場合となる。方向性の機能を実現する条
件の時には、前述のようにsinθ1が1を越える場合
であるので、同様にsinθ3も1を越える事となり、
高屈折率媒質への入射で発生した回折光は、回折格子の
裏面から出射する事ができず、全反射する。これらの様
子を図3に示す。
【0044】このように、本方向性回折格子の場合、復
路の時の回折格子が接する外部媒質の層(ここでは空
気)の屈折率と、裏面で回折光が出射する側の外部媒質
の層(ここでは空気)の屈折率が同じ場合には、高屈折
率媒質への回折光は裏面で臨界角を越えるので外部媒質
中へ取り出すことができない。一般的なアイソレータの
用途に使用する場合には、復路の光は不要であるので好
都合である。
【0045】回折格子の構成は、図1に示したもの以外
にも多く存在する。そこで、方向性回折格子1を一般化
する。回折格子には幾つかの種類があり、屈折率の異な
る区画を交互に配してなるものや、光を吸収する区画と
透過させる区画が並んだものや、光を遮断する区画と透
過させる区画とが並んだものがある。図4は一般的な回
折格子を示すもので、屈折率が異なる区画が交互に並ん
だ回折格子、又は、光を吸収ないしは遮断する区画と、
光を透過させる区画が交互に並んだ回折格子10を挟ん
で、その上下に各々少なくとも一層の屈折率の異なる層
(層11、層12、層13、層14、層15)が存在し
ている。光6は上方から垂直に入射する場合を考える
が、前述と同様に斜入射でも原理は同様である。
【0046】光6は方向性回折格子1に垂直に入射し、
回折光発生部10に到達し、回折光7が発生する。回折
光は回折光発生部10に接する層13に入射し、さらに
層14を通って、空気に接する層15に到達して外部媒
質中へ出射する。層13を第一層とし、回折光7の進行
につれて、各層での光の角度をφp、屈折率をNp(p
は自然数の添え字)とし、用いる波長をλ、ピッチをΛ
とする。回折光発生部10での回折条件式は式9のよう
になる。
【0047】
【式9】
【0048】回折光発生部10が屈折率の異なる区画が
交互に並んだ回折格子の場合でも、光を吸収ないしは遮
断する区画と、光を透過させる区画が交互に並んだ回折
格子の場合でも、回折条件式の式9は同じ式である。回
折させる場合には、式9において、φpが存在しなけれ
ばならないから、式10が成り立つ。
【0049】
【式10】
【0050】次に各層での光の角度は層13ではφ1、
層14ではφ2、層15ではφ3であり、また、各層の
屈折率がN1、N2、N3であるので、各界面では式1
1が成立する。
【0051】
【式11】 式9と式11から以下の式が成立する。
【0052】
【式12】
【0053】
【式13】
【0054】
【式14】
【0055】各層で全反射させないためには、式12か
ら式14の右辺が1以下である必要があるので、N1、
N2、N3のうち、もっとも小さい屈折率をNmとする
と、式15が成立する。
【0056】
【式15】
【0057】層15が外部媒質である空気とすると、一
般に、空気の屈折率は真空の屈折率と近く、非常に小さ
いので、Nmは1としてよい。即ち、式16となる。
【0058】
【式16】
【0059】式10におけるλ/N1は、N1が空気や
真空(以下、空気の場合のみ考える)でない場合、λよ
り小さい値となる。これより、式10と式16から言え
ることは、Λがλ/N1未満なら回折光は発生せず、Λ
がλ/N1以上なら回折光は発生するが、Λがλより大
きくならないと、全反射のために回折光は空気中へでな
いということである。
【0060】次に、逆方向の光16が回折光を発生させ
ない条件を説明する。光16は図4中で方向性回折格子
1の下から入射し、回折光発生部に到達する。回折光発
生部を出射した直後の層11の屈折率をN4とし、回折
角をφ4とすると回折条件は式17で表される。
【0061】
【式17】
【0062】回折光が発生しない条件は、右辺が1より
大きいときであるから、式18が成立する。
【0063】
【式18】
【0064】層11へ透過した光は、次の層12へも垂
直入射し、透過していき、最後に外部媒質である空気中
へ出射する。式15と式18をまとめ、N4をNnと標
記を変えて、式19を得る。
【0065】
【式19】
【0066】これが、本方向性回折格子1の性能を発揮
させるための一般式である。
【0067】次に、外部へ取り出せない回折光を外部媒
質へ(又は外部媒質中にある受光素子へ)取り出したい
用途の場合の取り出し方法について以下に説明する。第
一の方法として、かかる回折光を回折格子の裏面で全反
射させないようにすることがあげられる。全反射させな
い方法は幾つか存在する。例えば、光の入射角を臨界角
より小さくする方法がある。また、受光素子で受光する
場合には、受光素子までの光路中に屈折率の最適化、又
はマッチングなどを行う方法がある。光の入射角を臨界
角より小さくする方法に、回折格子の裏面の角度を変え
る方法がある。この構成を図5を用いて説明する。
【0068】回折格子をプリズム上に形成する。図5で
は予め平板状に作製した方向性回折格子1をプリズム1
7に接着層18を設けて接着した場合を示している。接
着する場合には接着剤の屈折率に注意し、方向性回折格
子1の接着面と接する部分の屈折率とプリズムの屈折率
の中間の値のもが望ましい。これは接着材との界面での
反射を少なく抑えることができるからである。
【0069】入射光19を図6に示すようにプリズムの
入射面20からさせる場合を往路とする。図6では垂直
入射の場合を示したが、斜入射でも本発明の原理は同様
である。プリズム内に入射した光は斜面21で全反射
し、方向性回折格子の方向へ進む。方向性回折格子では
前述の原理で諸元を設定し、透過光22となって出射す
る。次に図7に復路の場合を示す。方向性回折格子のあ
る面から光23を入射させる。方向性回折格子で回折光
が発生し、+1次光24と−1次光25に分けられる。
+1次光は斜面に向かい、全反射角よりはるかに小さい
角度で斜面に入射するので高い透過率で外部へ透過す
る。−1次光は入射面に向かい、全反射して斜面に向か
い、+1次光と同様に高い透過率で透過する。このよう
に、回折光を外部に取り出すことができる。方向性回折
格子では透過光26も発生するので往路と同じ光路で戻
っていく。
【0070】具体的な数字をあげて説明する。方向性回
折格子のピッチが0.53μm、波長が0.635μ
m、方向性回折格子とプリズムと接着剤の屈折率が1.
5とすると、回折角θ2は53度となる。プリズム形状
は二等辺三角形とする。この時、−1次光の入射面20
への入射角は37°となる。屈折率が1.5の物質と屈
折率が1の物質の臨界角は48度であるので−1次光は
全反射する。さらに−1次光は斜面へ8度で入射するの
で非常に高い透過率で透過する。+1次光の斜面への入
射角も−1次光と同様に8であるので高い透過率で透過
する。斜面に無反射コーテイングを施しておけばさらに
高い透過率で回折光を取り出すことができる。プリズム
内での回折光の斜面への入射角は全反射角を越えて無く
とも、大きい角度で入射すれば高い反射率を得ることが
できることは言うまでもない。
【0071】次に、光の入射角を臨界角より小さくする
方法に、方向性回折格子と空気との界面の一部を回折光
発生部の面と傾けることで全反射角より小さくして透過
させる方法がある。これを図8を用いて説明する。復路
の光23は方向性回折格子1に略垂直に入射させる。+
1次光24と−1次光25が発生し裏面の空気との界面
に向かう。界面を一部加工し、回折光が全反射角より小
さい入射角で界面に達するようにする。図では略垂直に
なるようにしているが、これは垂直の時が一番フレネル
反射が小さいからであり、垂直でなくとも光は透過す
る。また、無反射コートを施すことでより透過率を大き
くできることは言うまでもない。また、後述するが、受
光素子27a及び受光素子27bとの間の屈折率をマッ
チさせることを併用してもよい。
【0072】回折光を外部媒質中への受光素子上へ取り
出す他の方法としては、かかる回折光を回折格子の裏面
で全反射させず、裏面に受光素子を配設して受光する方
法がある。これを図9を用いて説明する。復路の光23
は方向性回折格子1に略垂直に入射させる。+1次光2
4と−1次光25が発生し裏面の空気との界面28に向
かう。界面は回折光発生部と略平行であるとすると、回
折光は前述の原理で全反射する。全反射するのは、前述
のように空気の屈折率が小さいためであるので、屈折率
をマッチングさせる材質(不図示)でうめることで受光
素子27a、27bへの透過率を大きくする事ができ
る。例えばマッチングオイルが使用できるし、回折格子
に受光素子を屈折率のマッチする接着剤で接着する方法
もある。市場に出回っている受光素子を代表するフォト
ダイオードは受光面をプラスチックで保護されており、
その屈折率がガラスの屈折率に極めて近いので、屈折率
のマッチする接着剤を用いれば、極めて低反射率で接着
できる。また、フォトダイオードの保護用のプラステイ
ックと屈折率が近いプラステイックで作製した回折格子
を用い、かつ屈折率のマッチする接着剤を用いれば、さ
らに低反射で接着できることは言うまでもない。
【0073】回折光を外部媒質へ取り出す他の方法とし
ては、図10のように回折格子の裏面に、さらに回折格
子(以下、裏面回折格子と称す)29a、29bを設
け、回折させることで外部に取り出す方法がある。こう
すると、回折現象で外部媒質中に光をとりだす事ができ
る。加うるに、回折を2回起こすため、光源の波長が変
化した時でも色消しの効果で光の方向が変化しにくいと
いう長所を持たせることができる。
【0074】このように、式19を満たす場合の方向性
回折格子について説明してきたが、その条件を満たすピ
ッチよりも大きいピッチにする場合を図11を用いて説
明する。この場合に、回折光発生部と裏面の空気との界
面が平行であっても、空気との界面で全反射せずに外部
に取り出すことができることは言うまでもない。ただ、
その場合には、往路でも回折光30が発生する訳である
が、本方向性回折格子の利用の形態上、往路でも回折光
が発生することで、往路の透過光の利用効率をやや損な
っても、復路の回折効率を高いまま保って、十分に使用
できる場合がある。それは、往路である高屈折率媒質か
ら低屈折率媒質での回折においては、回折角31が90
°に近いために、位相整合条件が大きくはずれるので回
折効率は低くなるが(回折角が90°なら回折は殆ど無
い)、復路である低屈折率媒質から高屈折率媒質への回
折においては、回折角32は90°よりずっと小さいの
で回折効率は依然として大きく保たれるからである。具
体的にピッチが波長に比してどれだけ大きな範囲まで効
果があるかは、実施例とともに後述する。
【0075】つぎに、上記で示した方向性回折格子の各
場合について、小型でかつ効率のよい光ヘッドを構成で
きることを示す。第一の構成として、かかる回折光を回
折格子の裏面で全反射させないために、方向性回折格子
と受光素子との間に屈折率のマッチングを行った構成を
図12に示す。方向性回折格子1は、平行基板の一面に
形成する。光源である半導体レーザチップ33からの光
3を方向性回折格子の裏面から入射させる。基板中を透
過し、さらに方向性回折格子を透過する。方向性回折格
子を透過した光はレンズ34で記録媒体(不図示)上に
絞り込む。記録媒体からの反射光を方向性回折格子に戻
し、受光素子27a、27bで受光する。各々の部品は
小型の筐体35中に接着等により組み込む。方向性回折
格子は例えば図13に示すような回折格子36となって
おり、+1次光24と−1次光25を生じさせる。回折
格子表面はトラック検出領域37a、37bとフォーカ
ス検出領域38とに分かれている。トラック検出領域は
記録媒体からの反射光中のトラックパターンからトラッ
ク信号を取り出すため、回折格子がトラックの溝に対象
に二分割されており、各々で発生する−1次光が各々の
フォトダイオード(以下、PD)39aと39bに入射
する。フォーカス用領域の回折格子で発生する−1次光
は2分割PD40に入射し、ナイフエッジ法によりフォ
ーカス信号が検出される。+1次光はPD41で受光す
る。各々のPDの出力は記録信号の検出にも利用する。
他の信号検出法では、フォーカス検出法にはナイフエッ
ジ法の他に、非点収差法、フーコー法、その他にもダブ
ルナイフエッジ法、ダブル非点収差法、ダブルフーコー
法など、その方式に合わせたパターンとすることができ
る。トラック検出法にはプッシュプル法、ウオブリング
法、DPD法、DPP法など、その方式に合わせたパタ
ーンとすることができる。このように小型の光ヘッドを
構成できる。記録媒体は、ROM、RAMのどちらでも
良い。方向性回折格子は効率が高いので、RAMでも十
分使用できる。
【0076】第二の構成として、方向性回折格子の裏面
を一部傾けた構成を図14に示す。光源からの光3を方
向性回折格子1の裏面から入射させる。基板中を透過
し、さらに方向性回折格子を透過する。方向性回折格子
を透過した光はレンズ34で記録媒体(不図示)上に絞
り込む。記録媒体からの反射光を方向性回折格子に戻
し、±1次光を生じさせる。各々の回折光は前述のよう
に、基板の裏面の形成された全反射角より小さい界面に
入射し、PDに到達する。回折格子のパターンは図13
で説明したものでもよいが、他の方式でもよい。信号検
出法は上記と同様に自由度を持たせる事ができる。この
ように小型の光ヘッドを構成できる。記録媒体は、RO
M、RAMのどちらでも良い。方向性回折格子は効率が
高いので、RAMでも十分使用できる。
【0077】第三の構成として、裏面回折格子を設けた
方向性回折格子を用いた構成を図15に示す。光源から
の光3を方向性回折格子の対抗面から入射させる。基板
中を透過し、さらに方向性回折格子1を透過する。方向
性回折格子を透過した光はレンズで記録媒体(不図示)
上に絞り込む。記録媒体からの反射光を方向性回折格子
に戻し、±1次光を生じさせる。光は方向性回折格子に
裏面に設けた裏面回折格子29a、29bに入射する。
この裏面回折格子のピッチが方向性回折格子のピッチと
同じであれば、裏面回折格子での回折光は、光源の光と
平行することができる。光源の波長が変化した場合、方
向性回折格子での回折光の回折角が変わって裏面回折格
子上での位置が変化し、PD27a、27b上ではスポ
ット変化が生じる。しかし、方向性回折格子のピッチよ
り裏面回折格子のピッチを小さくしておけば、裏面回折
格子での回折角の変化が上回り、PD上でのスポット位
置変化をも打ち消すことができる。このように光源の波
長の変化に対しても、安定な小型の光ヘッドを構成でき
る。信号検出法は上記と同様に自由度を持たせる事がで
きる。記録媒体は、ROM、RAMのどちらでも良い。
方向性回折格子は効率が高いので、RAMでも十分使用
できる。
【0078】第四の構成として、かかる回折光を回折格
子の裏面で全反射させないように回折格子をプリズム上
に形成した場合を図16に示す。方向性回折格子は、直
角二等辺三角形の斜面でない一面に形成する。光源から
の光を斜面でない他の一面から入射させる。プリズム内
での光の挙動は上記に説明した通りである。方向性回折
格子は上記に説明したものである。半導体レーザ33を
出射した光3は方向性回折格子を透過し、レンズ34で
記録媒体(不図示)上に絞り込まれる。記録媒体からの
反射光を方向性回折格子に戻し、±1次光を生じさせ
る。+1次光24はプリズムの斜面21そのまま透過し
てPD27aに入射し、−1次光25は入射面で反射
し、斜面を透過してPD27bに入射する。このように
小型の光ヘッドを構成できる。信号検出法は上記と同様
に自由度を持たせる事ができる。記録媒体は、ROM、
RAMのどちらでも良い。方向性回折格子は効率が高い
ので、RAMでも十分使用できる。
【0079】次に、方向性回折格子1の偏光特性につい
て考える。図17に一種類の材料で構成された表面レリ
ーフ回折格子を示す。回折光発生部の裏側から光3を入
射させる。方向性回折格子では、前述のように空気側へ
は回折光は出射されない。しかし、空気側へ出る前には
+1次光43と−1次光44の回折光が存在する。これ
らの回折光は空気側へは位相整合されないので出射しな
いが、屈折率が高い方向、即ち、反射する方向へは位相
整合条件が満たされ、+1次光43は反射回折光として
の+1次光45となり、−1次光44は反射回折光とし
ての−1次光46となって存在する。反射回折光45と
46は回折格子との相互作用で入射光3とは逆方向の反
射光47と反射光48(以下、回折反射光と称す)に一
部変換される。
【0080】これらの反射回折光や回折反射光の効率は
主に回折格子の屈折率と相互作用長である格子深さに大
きく依存する。方向性回折格子のように、ピッチが小さ
い回折格子では一般的に回折作用が異なる事が知られて
おり、S偏光49(偏光方向と格子ベクトルが垂直)と
P偏光50(偏光方向と格子ベクトルが平行)とでは、
S偏光の方が回折作用が大きくなることが知られてい
る。このため、入射光から反射回折光や回折反射光へ光
のエネルギーが伝達される量は、S偏光よりP偏光の方
が少ない。そのため、方向性回折格子における透過率は
P偏光の方が大きくなる。さらに入射光中のS偏光の多
くを回折反射光とし、P偏光の多くを透過光とすること
ができる。これは一種の偏光ビームスプリッター(PB
S)の作用を示しているが、従来の誘電体多層膜による
PBSでは膜に対して斜入射せる必要があるが、方向性
回折格子の場合、垂直入射でよい点に特徴がある。
【0081】上記と逆方向から光23を入射させた場合
は、やはり、S偏光49の方がP偏光50より回折作用
が大きくなるので、+1次光24と−1次光25の回折
効率は、S偏光の方がP偏光より大きくなる。透過光5
1はP偏光が支配的になる。このような偏光特性は、従
来技術で説明した偏光性回折格子と同様であることか
ら、本発明に係る方向性回折格子は方向性と共に偏光性
回折格子の側面も持ち合わせると言える。
【0082】この偏光特性を利用し、方向性回折格子と
記録媒体の間に4分の1波長板を設け、往路をP偏光、
復路をS偏光として使用することで、さらに方向性を高
める事ができる。具体的には、図12から図16までに
おいて説明した光ヘッドにおいて、方向性回折格子と記
録媒体の間に4分の1波長板を設定し、方向性回折格子
に対し、光がP偏光になるように半導体レーザチップと
の位置関係を設定し、方向性回折格子からの透過光が円
偏光になるように4分の1波長板の軸方向を設定し、記
録媒体から戻ってきた光をその4分の1波長板でS偏光
に変換し、方向性回折格子で回折させてPDへ導く事に
よって実現できる(不図示)。
【0083】方向性回折格子を用いた光ヘッドにおい
て、往路をP偏光とし、復路をS偏光として用い、往路
の透過率と復路の回折効率を高くしたい場合には、P偏
光にとって回折作用を小さくし、S偏光の回折作用を大
きくすればよいが、これを実現する方法に、複屈折材料
を用いる方法がある。図17と図18で説明した回折格
子を例にとる。複屈折材料の例として3m結晶であるニ
オブ酸リチウムやタンタル酸リチウムがある。常光の屈
折率Noと異常光の屈折率Neという相直交する二つの
直線偏光に対し、異なる屈折率を示す。ニオブ酸リチウ
ムの場合を図19で説明する。回折格子をZ方向53と
X方向52のなす面上に作製し、格子ベクトルの方向は
Z方向である。光はY方向54に入射する。入射光3を
P偏光とすると感じる屈折率はNeなので2.20であ
る。帰ってくる光23をS偏光にすると、感じる屈折率
はNoで2.286となる。こうすることで、往路のP
偏光では屈折率の小さい方を選べるので透過率が高く、
復路のS偏光では屈折率を大きく選べるので回折効率を
高くできる。タンタル酸リチウムの場合も軸方向と格子
ベクトル方向を適切に選ぶことで実現できる。
【0084】図18で説明したように、回折格子の表側
から光が入射した場合には透過光はP偏光、回折光はS
偏光が支配的になる。これを利用すれば偏光の検出が可
能となる。例えば、図7、図8、図9、図10で各々示
した構成を用いると、各々、図20、図21、図22、
図23のように偏光分離せられ、±1次光を各々検出す
る受光素子出力の総和と透過光を検出する受光素子の出
力の差をとることで、入射光の偏光状態を知ることがで
きる。これを利用することで、小型の光磁気ヘッドに応
用できる。図20の構成を用いた例を図24を用いて説
明する。半導体レーザ33からの光3を回折格子55に
入射させる。この回折格子は従来の回折格子でよい。出
射光は光磁気記録媒体(付図示)に入射し、反射し、そ
の反射光23は再び回折格子55に戻る。回折格子55
はフォーカス信号やトラック信号を検出するもので、回
折格子パターンは前述のごとく様々なパターンが適応で
きる。ここでは図13で示したものとする。回折光は+
1次光56と−1次光57に別れる。各々の回折光の偏
光は光磁気信号によって回転するので、どちらの回折光
の偏光状態を検出しても光磁気信号を検出できる。図で
は、説明の簡単化のために+1次光にのみ方向性回折格
子を適用する。+1次光を図20で説明した方向性回折
格子58に入射させる。方向性回折格子の格子ベクトル
は図25に示すように反射光の偏光状態が方向性回折格
子の格子ベクトルと45°を成すようにする。回折格子
55で3つの+1次光に分離した光は、各々さらに透過
光と±1次光に振り分けられるので、全部で九つの回折
光が発生する。そのうち、回折光はPD59とPD60
に入射し、透過光はPD61に入射し、前述の原理で偏
光状態を検出することで光磁気信号を検出できる。回折
格子55での−1次光はフォーカス検出などに使用され
る。
【0085】回折格子55をブレーズ化し、一方の回折
光のみ高効率で発生させ、そちらに方向性回折格子を適
用すれば効率よく光磁気信号を検出できることは言うま
でもない。回折格子55の−1次光の方にも方向性回折
格子適用して光磁気信号を得ることは勿論可能であ
る。、この場合には、透過光を従来通り分割受光素子6
2を用いて各種信号を検出し、さらに方向性回折格子の
回折光を受光するPDを設けて偏光状態を検出すればよ
い(不図示)。このように、回折格子55の±1次光の
両方に方向性回折格子を適用すればより大きな光磁気信
号を得ることは言うまでもない。また、方向性回折格子
には図13のもを適用して説明したが、その他のものを
使うことでも同様の機能が得られることは言うまでもな
い。
【0086】前述のような、方向性回折格子のPBSの
機能を利用することによっても、光磁気ヘッドを構成す
る事ができる。図26を用いて説明する。図26(a)
が構成である。これは前述の図16で説明した光ヘッド
を基本的に利用したものである。光3をP偏光で入射さ
せ、斜面21で全反射させて方向性回折格子に入射させ
る。透過した光はレンズ等を経て(不図示)、光磁気記
録媒体上に照射され(不図示)、記録信号によって信号
成分であるS偏光の偏光成分が光に加えられ、反射して
再び方向性回折格子に戻ってくる。前述のように方向性
回折格子は回折効率に偏光依存性を示すが、記録信号で
あるS偏光は透過率を高くでき、信号成分でないP偏光
は透過率を低くできる。これは、光磁気ヘッドにおい
て、よく用いられている信号成分の増大の手法として知
られる偏光角増大の手法と同じ効果を示している。次に
回折光は斜面21に到達する、斜面21には前述のPB
Sの機能を示す方向性回折格子を形成する。方向性回折
格子は図26(b)に示すよう設定し、+1次光の方向
性回折格子63と−1次光の方向性回折格子64の格子
ベクトルが垂直になり、かつ、P偏光48とS偏光49
に45°なす方向で設定する。図26(c)は、光磁気
記録媒体からの反射光の偏光の様子を示す。入射光の偏
光であるP偏光48に対し、図では左に傾いた偏光65
が戻ってくる。方向性回折格子64においては、S偏光
成分が増えるので、反射光が増え、透過光量が下がる。
一方、方向性回折格子63においては、P偏光成分が増
えるので、透過光量が上がる。このため、両方の光量の
差分をとることで、光磁気信号を検出できることとな
る。フォーカス信号やトラック信号は、方向性回折格子
1自体を前述のパターンとすることで検出できる。よっ
て、図13で説明したPD以外にPDを作る必要はな
く、方向性回折格子1の+1次光を検出するPDの出力
と−1次光を検出するPD出力の差をとればよい。
【0087】次に本発明に係る回折格子の作製法を説明
する。回折格子には表面レリーフ回折格子が最も適して
いる。これは、表面レリーフ回折格子が、回折格子の材
料と空気の屈折率の変調に基づく構造なので、N1とN
2の屈折率の差が大きくとれることになり、式7により
ピッチの許容範囲が大きくなるからである。そこで、表
面レリーフ回折格子の作成方法について記す。図27は
その工程図である。回折格子の材料をガラスとし、図2
7(a)に示すようにガラス基板66上にレジスト67
を塗布する。レジストはポジ型でもよいし、ネガ型でも
よいが、分解能の優れているレジストが望ましい。塗布
の方法はスピンコーテイングでもよいしデイップコーテ
イングでもよい。次に図27(b)に示すように、回折
格子の所望のピッチになるようにレジストをパターニン
グして回折格子68を得る。パターニングの方法として
は、マスクの密着露光や縮小投影露光を行った後に現像
する方法が一般的な手法として採用できる(不図示)。
簡単な露光法としては二光束干渉露光法を採用しても良
い。これは図28に示すように、二つの光70と光71
をレジスト面上で干渉させることで干渉縞を記録する方
法である。次に図27(c)に示すように、作製したレ
ジストパターンをマスクとしてガラスのエッチングを行
う。エッチングはドライでもウエットでもよい。次に図
27(d)に示すように、レジストを溶解することで最
終的に回折格子69を得ることができる。ここで、図2
7(b)に示されている状態であっても回折格子として
用いることができる。しかし、レジストは一般的には透
過率がよいわけではないので、非常に高い透過率を望む
場合には図27(d)までの工程を経て透過率の良いガ
ラスの回折格子を作製することが望ましい。回折格子の
格子の形状は問わない。
【0088】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。回折格子
の作製は、図27に示した方法の中で、二光束干渉露光
法を用いてパターニングを行い同図(b)の状態の回折
格子、すなわちレジストの回折格子を用いた。効率測定
に用いる光の波長が635nmの赤色であり、使用した
レジストは赤色で透明である事から、光利用効率の点で
透明なガラス基板に対して遜色がない。作製条件を表2
に示す。式8からピッチΛは 0.423μmより大き
く、0.635μmより小さい事が求められるので、
0.6μmとした。
【0089】
【表2】
【0090】この条件を基本とし、深さの異なる回折格
子を作製した。露光量を変えることで深さを制御した。
評価は図16の設定で行った。直角二等辺三角形のプリ
ズムを採用し、作製した回折格子は屈折率のマッチング
オイルを用いてプリズムに接触させることで、回折格子
の裏面とプリズムの面での反射光を抑えた。回折格子の
裏面側から入射させる往路と、回折格子面から入射させ
る復路について測定を行った。635nmの波長の半導
体レーザを用い、S偏光、P偏光の各偏光について、透
過光、+1次光と−1次光の回折光、及び反射光の測定
を行った。
【0091】測定結果を図29から図34に示す。図2
9は往路のP偏光の往路の透過率、復路の各偏光の回折
光の効率である。横軸は回折格子の相対的な深さであ
る。P偏光については、深さ7の時に往路の透過率が9
0%、復路の回折効率が+1次光と−1次光の両方を併
せて約20%となっており、往復路の足し算で100%
を越えることが実証された。これにより方向性回折格子
となっていることが実証された。
【0092】また復路のS偏光の回折効率はP偏光の回
折効率の2倍以上の値を示しており、偏光性回折格子の
側面が実証された。
【0093】次に、往路のS、P偏光の透過率と反射率
を示したのが図30である。P偏光は深さに従って透過
率が下がり、反射率は10%以上に上がった。透過率が
下がるのは、主に反射回折光が多くなるためであるが、
反射率はフレネル反射以上に大きいという特徴が示され
た。S偏光も反射回折の効率が上がるに従って透過率が
減少するが、特徴的なのは反射率が40%以上と非常に
大きくなることである。これは前述のように、回折光が
さらに回折反射光に結合を始めるからと推測できる。垂
直入射のPBSに相当することが示された。
【0094】次に、復路におけるS、P偏光の透過率を
示すとともに、各々の偏光の±1次光同士を足し合わせ
た回折効率の総計を図31に示す。深さが相対値7付近
では、S偏光の回折効率の総計は80%近くあり、その
時に透過率は20%まで落ちた。P偏光はそこまでの差
は付かないが、回折効率の総計と透過率が同じ程度に近
づいた。また、両偏光の透過率と回折効率の総計は、深
さが相対値6付近で同等になった。その深さでは、S偏
光は70%が回折し、30%が透過した。P偏光は逆に
70%が透過し、回折は30%であった。両偏光ともに
透過と回折で40%もの差が生じた。
【0095】次に、往路と復路におけるS、P両偏光の
透過率を示す。図32は往路でのP偏光の透過率と復路
でのS偏光の透過率を示す。図33は往路でのS偏光の
透過率と復路でのP偏光の透過率を示す。図32の場合
では、深さが相対値6の時に、往路のP偏光の透過率は
80%あるに対して、復路のS偏光の透過率は30%と
低くなった。また、図33の場合では、深さが相対値6
の時に、往路のS偏光の透過率は73%あるに対して、
往路のP偏光の透過率は32%と低くなった。これか
ら、往路と復路で偏光の状態を変えることで、透過率の
方向性を持たせることができ、アイソレータを構成する
ことができる事が分かった。
【0096】次にピッチが式8から逸脱した場合、即
ち、ピッチが波長に対してどれだけ大きい場合に、高い
回折効率を確保し続けるかの実験を行った。効率測定に
用いる光の波長が635nmとし、ピッチを635nm
から小刻みに大きくして作製した。作製方法は前述と同
様であり、ピッチは二光束干渉の角度を変えることによ
り制御した。回折格子の深さを各ピッチごとに様々に変
えて作製し、往路のP偏光の透過率を、約73%という
高い数値になる深さを選び、その深さの回折格子に復路
からS偏光を入射させて回折効率を測定した。結果を図
34に示す。ピッチが波長635nmの1.2倍程度ま
で高い回折効率を示し、ピッチを大きくするに従い、振
動しながら徐々に一定の回折効率に近づいていくことが
示された。これから、少なくともピッチの1.2倍まで
は通常の回折格子より高効率であることが実証できた。
これは、方向性回折格子の一般的な性質であり、この表
面レリーフ回折格子に限定されるものではないことは言
うまでもない。
【0097】
【発明の効果】以上のように、第一の発明によれば、屈
折率N1と屈折率N2の互いに異なる屈折率を有する材
質1及び材質2の間に、屈折率N1と屈折率N2の区画
を交互にピッチΛで配設した回折格子を有し、ピッチを
波長に対し、最適なる範囲に設定して形成するので、従
来にない、入射光の方向によって回折特性を異ならしめ
ることができる回折格子を提供する事ができる。
【0098】また、第二の発明によれば、屈折率N1と
屈折率N2の互いに異なる屈折率を有する材質1及び材
質2の間に、屈折率N1と屈折率N2の区画を交互にピ
ッチΛで配設した回折格子を有し、ピッチを波長に対
し、上記範囲よりやや大きめにピッチを形成しても、復
路の回折効率を高めに設定できるので、ピッチが大きい
分、作製が容易な回折格子を提供する事ができる。
【0099】また、第三の発明によれば、少なくとも1
種類の層からなる材質(材質3)と、少なくとも1種類
の層からなる材質(材質4)の間に、屈折率N1と屈折
率N2の区画を交互にピッチΛで配設した回折格子にお
いても同様に方向性回折格子の機能を実現することがで
きるので、方向性回折格子を他の材料と積層する等して
他の機能を持たせようとすることも可能であり。諸処の
応用に使用できる。
【0100】また、第四の発明によれば、少なくとも1
種類の層からなる材質(材質3)と、少なくとも1種類
の層からなる材質(材質4)の間に、屈折率N1と屈折
率N2の区画を交互にピッチΛで配設した回折格子を有
し、ピッチを波長に対し、上記範囲よりやや大きめにピ
ッチを形成しても、復路の回折効率を高めに設定できる
ので、ピッチが大きい分、作製が容易な回折格子を提供
する事ができ、かつ、方向性回折格子を他の材料と積層
する等して他の機能を持たせようとすることも可能であ
り、諸処の応用に使用できる。
【0101】また、第五の発明によれば、方向性回折格
子において、回折格子の区画を成す材質の少なくとも一
方が複屈折性の物質で形成されてなるので、往路のある
偏光の透過率と復路の直交する偏光の回折効率をどちら
もさらに高くできる。
【0102】また、第六の発明によれば、光源からの光
を方向性回折格子に入射させ、透過光を記録媒体上にレ
ンズを用いて絞り込み、反射光を方向性回折格子で回折
させ、全反射面を設けずに受光素子へ光を導くようにす
ることで、高効率で小型な光ヘッドを実現することがで
きる。
【0103】また、第七の発明によれば、光源からの光
をプリズム上に配設した方向性回折格子に入射させ、透
過光をレンズで記録媒体上に絞り込み、記録媒体からの
反射光を方向性回折格子に戻し、回折した回折光のう
ち、プリズムの斜面を透過する光と、プリズムの一面で
反射した後にプリズムの斜面を透過した光を受光素子へ
導くようにすることで、小型で高効率な光ヘッドを提供
することができる。
【0104】また、第八の発明によれば、光源からの光
を方向性回折格子に入射させ、透過光を記録媒体上にレ
ンズを用いて絞り込み、反射光を方向性回折格子で回折
させ、さらに別個の回折格子を設けて受光素子へ光を導
くようにすることで、小型で高効率かつ光源の波長変動
に影響を受けにくい光ヘッドを提供することができる。
【0105】また、第九の発明によれば、方向性回折格
子と記録媒体の間に4分の1波長板を設けることで、方
向性回折格子の偏光性回折格子としての特性を活かし、
光利用効率の高い光ヘッドを提供することができる。
【0106】また、第十の発明によれば、方向性回折格
子の屈折率の小さい方から高い方へ光を入射させ、透過
光と回折光に偏光を分離して受光するので、小型の偏光
検出器を提供できる。
【0107】また、第十一の発明によれば、上記の小型
の偏光検出器を搭載するので小型の光磁気ヘッド装置を
提供できる。
【0108】また、第十二の発明によれば、方向性回折
格子とプリズムを組み合わせた光ヘッドの斜面に方向性
回折格子を設けるだけでの小型の光磁気ヘッド装置を提
供できる。
【0109】また、第十三の発明によれば、方向性回折
格子における入射の方向と偏光とを適切に設定すること
で、アイソレータの機能を実現することができる。
【0110】また、第十四の発明によれば、上記のアイ
ソレータと偏光の関係を逆にすることでもアイソレータ
の機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回折格子へ光が斜入射する場合の光路を示す図
である。
【図2】回折格子へ光が垂直入射する場合の光路を示す
図である。
【図3】方向性回折格子において、基板中に回折光が入
射した場合に裏面から出射できないことをしめす図であ
る。
【図4】多層の層に回折格子部が挟まれてなる場合の光
路を示す図である。
【図5】方向性回折格子をプリズムと一体化した構成を
示す図である。
【図6】方向性回折格子をプリズムと一体化した構成に
おいて、光を入射させた場合の光路を示す図である。
【図7】方向性回折格子をプリズムと一体化した構成に
おいて、光を方向性回折格子側から入射させた場合の光
路を示す図である。
【図8】方向性回折格子において、空気との界面を全反
射角より小さくして光を取り出す構成を示す図である。
【図9】方向性回折格子において、空気との界面を設け
ずに回折光を受光する構成を示す図である。
【図10】方向性回折格子において、空気との界面に別
途回折格子を設けて回折光を外部へ取り出して受光する
構成を示す図である。
【図11】方向性回折格子を定める諸元のうち、ピッチ
を範囲外に大きくした場合の光路を示す図である。
【図12】空気との界面を設けずに回折光を受光する方
向性回折格子を用いた場合の光ヘッドの構成を示す図で
ある。
【図13】光ヘッドの信号を得るための回折格子のパタ
ーンと光路を示す図である。
【図14】空気との界面を全反射角より小さくして光を
取り出す方向性回折格子を用いた場合の光ヘッドの構成
を示す図である。
【図15】空気との界面に別途回折格子を設けて回折光
を外部へ取り出す方向性回折格子を用いた場合の光ヘッ
ドの構成を示す図である。
【図16】プリズムと一体化することで光を外部に取り
出す方向性回折格子を用いた場合の光ヘッドの構成を示
す図である。
【図17】方向性回折格子の裏面側から光を入射させた
場合の回折光や透過光の光路を示す図である。
【図18】方向性回折格子の回折格子のある側から光を
入射させた場合の回折光や透過光の光路を示す図であ
る。
【図19】複屈折媒質の軸方向と方向性回折格子の位置
の関係を示す図である。
【図20】空気との界面を設けずに回折光を受光する方
向性回折格子において、復路から光を入射させた際の偏
光の分かれ方を示す図である。
【図21】空気との界面に別途回折格子を設けて回折光
を外部へ取り出す方向性回折格子において、復路から光
を入射させた際の偏光の分かれ方を示す図である。
【図22】プリズムと一体化した方向性回折格子におい
て、復路から光を入射させた際の偏光の分かれ方を示す
図である。
【図23】空気との界面を全反射角より小さくして光を
取り出す方向性回折格子において、復路から光を入射さ
せた際の偏光の分かれ方を示す図である。
【図24】復路から光を入射させる場合の方向性回折格
子を偏光検出器に用いた光磁気ヘッドの構成を示す図で
ある。
【図25】上記の光磁気ヘッドに用いる偏光検出器であ
る方向性回折格子における偏光の分離の様子を示す図で
ある。
【図26】(a)偏光を反射光と透過光に分ける方向性
回折格子を偏光検出器に用いた光磁気ヘッドの構成を示
す図である。
【図26】(b)上記の偏光検出器である方向性回折格
子における、偏光と格子ベクトルの関係を示す図であ
る。
【図26】(c)上記の偏光検出器である方向性回折格
子における、光磁気信号である偏光回転の関係を示す図
である。
【図27】方向性回折格子を作製する実施例を示す図で
ある。
【図28】上記の作製法における回折格子のパターニン
グの方法としての二光束干渉露光法の構成を示す図であ
る。
【図29】作製した方向性回折格子において、往路から
P偏光を入射させ、復路からP偏光とS偏光の両方を入
射させた場合の回折効率を示す図である。
【図30】作製した方向性回折格子において、往路から
S偏光とP偏光を入射させた場合の透過率と反射率を示
す図である。
【図31】作製した方向性回折格子において、復路から
S偏光とP偏光を入射させた場合の透過率と回折効率を
示す図である。
【図32】作製した方向性回折格子において、往路のP
偏光と復路のS偏光の透過率を示す図である。
【図33】作製した方向性回折格子において、往路のS
偏光と復路のP偏光の透過率を示す図である。
【図34】往路のP偏光の透過率を約70%という高い
数値になる深さを選び、その深さの回折格子に復路から
S偏光を入射させて測定した回折効率を示す図である。
【符号の説明】
1 方向性回折格子 2 回折格子のピッチ 3 往路での入射光 4 回折光発生部 5 空気中への回折角 6 復路からの入射光 7 基板中での回折光 8 基板中での回折角 9 空気中への屈折角 10 回折格子部 11、12、13、14、15 層 16 一化した方向性回折格子への入射光 17 プリズム 18 接着層 19 プリズムへの入射光 20 プリズムへの入射面 21 プリズムの斜面 22 方向性回折格子からの透過光 24 +1次光 25 −1次光 26 復路の透過光 27a、b 受光素子 28 空気との界面 29a、b 裏面回折格子 30 空気中への回折光 31 空気中での回折角 32 基板中での回折角 33 半導体レーザ 34 レンズ 35 筐体 36 方向性回折格子のパターン 37a、b トラックパターン 38 フォーカスパターン 39a、b トラック信号検出用受光素子 40 フォーカス信号検出用受光素子 41 +1次光検出用受光素子 42 方向性回折格子からの透過光 43、44 方向性回折格子内での回折光 45、46 方向性回折格子内での反射回折光 47、48 方向性回折格子内での回折反射光 49 S偏光 50 P偏光 51 復路での方向性回折格子の透過光 52 X方向 53 Z方向 54 Y方向 55 従来の回折格子 56 従来の回折格子の+1次光 57 従来の回折格子の−1次光 58 偏光検出器としての方向性回折格子 59、60 方向性回折格子の回折光の受光素子 61 方向性回折格子の透過光の受光素子 62 従来の回折格子の−1次光の受光素子 63、64 方向性回折格子 65 光磁気信号を示す偏光方向 66 ガラス基板 67 レジスト膜 68 レジスト状回折格子 69 ガラス状回折格子 70、71 露光用の光 72 ニオブ酸リチウム 73 格子 74 入射光 75 透過光 76、77 回折光 78 異方性板 79 光学軸 80 充填材料

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈折率N1と屈折率N2の互いに異な
    る屈折率を有する材質1及び材質2の間に、屈折率N1
    と屈折率N2の区画を交互にピッチΛで配設した回折格
    子(ただし、N1>N2とする)であって、用いる波長
    をλとするとき、以下の関係を満たすことを特徴とする
    方向性回折格子。 λ/N1 < Λ < λ/N2
  2. 【請求項2】 屈折率N1と屈折率N2の互いに異な
    る屈折率を有する材質1及び材質2の間に、屈折率N1
    と屈折率N2の区画を交互にピッチΛで配設した回折格
    子(ただし、N1>N2とする)であって、用いる波長
    をλとするとき、以下の関係を満たすことを特徴とする
    方向性回折格子。 λ/N1 < Λ < 1.2・λ/N2
  3. 【請求項3】 少なくとも1種類の層からなる材質
    (材質3)と、少なくとも1種類の層からなる材質(材
    質4)の間に、屈折率N1と屈折率N2の区画を交互に
    ピッチΛで配設した回折格子であって、少なくとも一方
    の材質中の前記区画に接した材質の屈折率Nnとし、他
    方の材質中の最も低い屈折率をNmとし、用いる波長を
    λとする時に、以下の関係を満たすことを特徴とする方
    向性回折格子。 λ/Nm < Λ < λ/Nn
  4. 【請求項4】 少なくとも1種類の層からなる材質
    (材質3)と、少なくとも1種類の層からなる材質(材
    質4)の間に、屈折率N1と屈折率N2の区画を交互に
    ピッチΛで配設した回折格子であって、少なくとも一方
    の材質中の前記区画に接した材質の屈折率N3とし、他
    方の材質中の最も低い屈折率をN4とし、用いる波長を
    λとする時に、以下の関係を満たすことを特徴とする方
    向性回折格子。 λ/Nm < Λ < 1.2・λ/Nn
  5. 【請求項5】屈折率N1と屈折率N2の区画のうち、少
    なくとも一方が複屈折性の物質で形成されてなることを
    特徴とする請求項1又は2又は3又は4記載の方向性回
    折格子。
  6. 【請求項6】 光源と、前記光源からの光を入射させ
    る請求項1または請求項2又は3又は4又は5記載の方
    向性回折格子と、前記方向性回折格子からの透過光を記
    録媒体上に絞り込むレンズと、前記記録媒体からの反射
    光が前記方向性回折格子で回折した回折光を受光する受
    光素子とを有し、前記方向性回折格子と前記受光素子の
    間に全反射面を設けない事を特徴とする光ヘッド装置。
  7. 【請求項7】 光源と、一面に請求項1又は2又は3又
    は4又は5記載の方向性回折格子を配設したプリズム
    と、前記プリズムに入射した後に前記プリズムの斜面で
    反射して前記方向性回折格子を透過した光を記録媒体上
    に絞り込むレンズと、前記記録媒体からの反射光が前記
    方向性回折格子で回折した回折光であって前記プリズム
    の斜面を透過する光と、前記記録媒体からの反射光が前
    記方向性回折格子で回折した他の回折光であって前記プ
    リズムの一面で反射した後に前記プリズムの斜面を透過
    した光を受光する受光素子とを有することを特徴とする
    光ヘッド装置。
  8. 【請求項8】 光源と、前記光源からの光を入射させ
    る請求項1又は2又は3又は4又は5記載の方向性回折
    格子と、前記方向性回折格子からの透過光を記録媒体上
    に絞り込むレンズと、前記記録媒体からの反射光であっ
    て前記方向性回折格子で回折した回折光をさらに回折す
    る回折格子と、前記回折格子からの回折光を受光する受
    光素子とを有する事を特徴とする光ヘッド装置。
  9. 【請求項9】 光源の光を前記方向性回折格子に対し
    P偏光に設定し、前記方向性回折格子と記録媒体の間に
    4分の1波長板を設け、前記方向性回折格子からの透過
    光を円偏光に変換し、前記記録媒体からの反射光をS偏
    光に変換することを特徴とする請求項6又は7又は8記
    載の光ヘッド装置。
  10. 【請求項10】 請求項1又は3又は5記載の方向性回
    折格子の屈折率の小さい方から高い方へ光を入射させ、
    透過光と回折光に偏光を分離すること特徴とする偏光検
    出器。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の偏光検出器を搭載し
    たことを特徴とする光磁気ヘッド装置。
  12. 【請求項12】 請求項7記載の光ヘッド装置におい
    て、前記プリズムの斜面に±1次光を各々入射させ、入
    射偏光に対し、略45°の角度の格子ベクトル方向を有
    し、かつ互いの格子ベクトルは90°をなす方向性回折
    格子を設け、各々の透過光の差分で光磁気信号を検出す
    ることを特徴とする光ヘッド装置。
  13. 【請求項13】 請求項1又は2又は3又は4又は5
    記載の前記方向性回折格子における屈折率の高い方から
    低い方へP偏光を入射させて光を通し、屈折率の低い方
    から高い方へS偏光を入射させることを特徴とするアイ
    ソレータ。
  14. 【請求項14】 請求項1又は2又は3又は4又は5
    記載の前記方向性回折格子における屈折率の高い方から
    低い方へS偏光を入射させて光を通し、屈折率の低い方
    から高い方へP偏光を入射させることを特徴とするアイ
    ソレータ。
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