JP2003307606A - 回折素子 - Google Patents

回折素子

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JP2003307606A JP2002112162A JP2002112162A JP2003307606A JP 2003307606 A JP2003307606 A JP 2003307606A JP 2002112162 A JP2002112162 A JP 2002112162A JP 2002112162 A JP2002112162 A JP 2002112162A JP 2003307606 A JP2003307606 A JP 2003307606A
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  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】回折素子であって、小型で量産性、耐久性に優
れ、また2つ以上の分離光を同一方向に取り出すことが
でき、さらに動作環境温度の変化に対しても回折光の伝
播方向を大きく変えない回折素子を得る。 【解決手段】断面形状が凹凸状の回折格子を、透明基板
101であるガラス基板の入射側表面に1つ形成して入
射側回折格子102とし、出射側表面に2つ形成して出
射側回折格子103、104とかつ入射側回折格子10
2の格子ピッチと出射側回折格子104の格子ピッチと
を等しくした回折素子とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回折素子に関し、特
に回折素子への入射光を分離して入射光の特性を測定す
る必要がある装置に用いられる回折素子に関する。
【0002】
【従来の技術】回折素子への入射光の一部を異なった方
向に分離し、入射光の特性を測定する方式としては、プ
リズムによって光を分離し測定する方式が広く知られて
いる。図6にコーナキューブプリズムによる光の分離の
概念図を示す。プリズム601は、コーナキューブの2
つのプリズムからなり、一方のプリズムの斜面には、所
望の分離光量を得るために設計された多層膜602がコ
ーティングされており、樹脂接着剤603により2つの
プリズムが接合されている。入射光604は2つのプリ
ズムの斜面に45度で入射し、多層膜602によりその
一部が入射光604と直交する第1反射光605となっ
て分離される。さらにこの第1反射光605を分離する
には光路上にプリズムを設置する必要があり、例えば、
第1反射光605の光路中に、適正な分離光量を得るた
めに設計された多層膜606を有するプリズム607を
配置する。これにより、入射光を3つの光線、入射光6
04、第1反射光605、第2反射光608に分離す
る。分離された第1反射光605および第2反射光60
8は、おのおの異なる測定装置609、610へ導かれ
独立に入射光の強度などの特性を測定できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図6に示されるよう
に、複数のコーナキューブプリズムを用いることで入射
光を2つ以上に分離できるが、入射光を分離する毎に一
つのプリズムがさらに必要となり、小型で量産性に優れ
た分離システムの構成が困難である問題を有していた。
また、コーナキューブプリズムでの光の分離は直交分離
(反射光が入射光に対して直交する)を基本とするため
2つ以上の分離光を同一方向に取り出すことが困難であ
る問題もあわせて有していた。さらに、プリズムには樹
脂接着剤が用いられているため長期間の使用や劣悪な環
境下において、接着剤の劣化による透過/反射特性の劣
化、接着剤からの成分揮発による周囲光学面の劣化など
の問題を有していた。
【0004】本発明は、上述の課題を解決するためにな
されたものであり、小型で量産性に優れた光分離素子で
あり、2つの分離光を同一方向に容易に取り出すことが
でき、さらに周囲の光学系に接着剤などの影響を与えな
い、回折素子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明基板と、
その透明基板の両表面に形成された凹凸状の回折格子と
を有し、その回折格子は、断面形状が凹凸状で平面形状
が直線状または曲線状である回折素子であって、前記透
明基板の2つの表面のうち外部光が入射する入射側表面
の中央領域に入射側回折格子が形成され、前記入射側表
面に対向する出射側表面には少なくとも1つの出射側回
折格子が形成されており、前記出射側回折格子のうち少
なくとも1つは、前記入射側回折格子によって回折され
る外部光の光路上に形成されておりかつ格子ピッチが前
記入射側回折格子の格子ピッチに実質的に等しいことを
特徴とする回折素子を提供する。
【0006】また、前記回折格子は、透明基板の表面に
直接形成されている上記の回折素子を提供する。
【0007】また、前記回折格子は、透明基板の表面上
に成膜された無機物膜に形成されている上記の回折素子
を提供する。
【0008】また、格子ピッチが前記入射側回折格子の
格子ピッチに実質的に等しい前記出射側回折格子のうち
少なくとも1つは反射型回折格子となっている上記の回
折素子を提供する。
【0009】また、格子ピッチが前記入射側回折格子の
格子ピッチに実質的に等しい前記出射側回折格子のうち
少なくとも1つは、凹凸部が鋸歯状の回折格子または階
段により鋸歯状を近似した擬似鋸歯状の回折格子になっ
ている上記の回折素子を提供する。
【0010】さらに、前記擬似鋸歯状の回折格子におけ
る階段を構成するそれぞれのステップの高さまたはステ
ップの奥行幅が異なる上記の回折素子を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、透明基板の2表面に回
折格子を有する回折素子に関するものであり、透明基板
の表面の断面形状が凹凸状で平面形状が直線状または曲
線状に加工され、したがって回折格子は凹凸部を有して
いる。また透明基板の表面上に無機物膜を成膜し、無機
物膜を加工して凹凸部を有する回折格子としてもよい。
【0012】そして本発明の回折素子は、2表面のうち
外部光が入射する入射側表面の中央領域に入射側回折格
子が形成され、入射側表面に対向する出射側表面には少
なくとも1つの出射側回折格子が形成されている。これ
らの格子は上述のように、凹凸部を有する回折格子であ
る。
【0013】さらに本発明の回折素子は、出射側回折格
子のうち少なくとも1つは、入射側回折格子によって回
折される外部光の光路上に形成されておりかつ格子ピッ
チが入射側回折格子の格子ピッチに実質的に等しいこと
を特徴とする回折素子である。
【0014】すなわち1つの出射側回折格子の形成位置
は、入射側回折格子によって回折される外部光が透明基
板内を透過して到達する出射側表面の位置である。また
使用の目的によっては、2つの出射側回折格子が外部光
の回折される光路上にあってもよい。そして入射側回折
格子の格子ピッチが、2つの出射側回折格子のうち少な
くとも1つと実質的に等しい。ここで実質的に等しいと
いうのは、入射側回折格子と出射側回折格子のそれぞれ
の格子ピッチが、例えば波長1550nmの光に対する
回折角の差異が0.5度以下になるため0.5%以内の
違いであることをいう。このように構成することによ
り、本発明の回折素子は波長変動時の回折光の伝搬方向
の変化が少ないという効果を有する。
【0015】さらに本発明の回折素子における、格子ピ
ッチが実質的に等しい上記の出射側回折格子のうち少な
くとも1つが反射型回折格子となっていると、反射型回
折格子による回折光用の光検出器が外部光の入射側に設
置でき、これにより外部光源、回折格子、光検出器など
を含むシステムの小型化を実現でき好ましい。
【0016】以下、本発明の回折素子を図面を用いて説
明する。図3に、本発明の回折素子の構成の一例を示
す。透明基板301であるガラス基板の外部光の入射側
表面の中央領域に、矩形状の凹凸部を有する入射側回折
格子302が、例えばフォトリソグラフィー法およびド
ライエッチング法により作製される。入射側表面へ垂直
に入射した入射光303は、そのままガラス基板を透過
する入射光303と、入射側回折格子302により発生
する+1次の回折光304および−1次の回折光305
の3光線に分離される。
【0017】回折光への光量の分配は、入射側回折格子
302の加工深さを調整することで回折光量を少なくす
ることや、ほとんどを回折光とすることができる。ま
た、入射側回折格子302は、入射光303の光束の強
度の弱い周辺部領域を除いたほとんどすべての領域に作
製してもよいし、その領域の一部のみに設置してもよ
い。回折格子の回折効率および光束段面積に対する回折
格子の面積により、実際の回折光の強度が決定される。
【0018】回折素子を透過する入射光303は、透明
基板301の出射側表面を透過した後、例えば、光ディ
スクの情報の記録用/再生用の光線、光通信用の光線と
して使用される。一方、入射側回折格子302による+
1次の回折光304および−1次の回折光305は透明
基板301の内部を、式1で示される角度で斜めに伝搬
し、ガラス基板の出射側表面に到達する。式1におい
て、θは透明基板中での伝搬角度、λは入射光の波
長、Pは入射側回折格子の格子ピッチ、nは透明基板
のλでの屈折率およびmは回折次数である。
【0019】+1次の回折光304および−1次の回折
光305の出射側表面における光路上には、回折光30
4対する第1の出射側回折格子306および回折光30
5対する第2の出射側回折格子307がそれぞれ形成さ
れている。ここで入射側回折格子302の格子ピッチ
と、第1および第2の出射側回折格子306、307の
それぞれの格子ピッチとは等しい。回折光304および
回折光305は、それぞれ第1および第2の出射側回折
格子306、307により式2で決まる方向に回折・伝
搬する。式2において、θは透明基板中での伝搬角
度、iは透明基板中での入射角度、λは入射光の波長、
は出射側回折格子の格子ピッチ、nは透明基板のλ
での屈折率およびmは回折次数である。
【0020】
【数1】
【0021】図3に示すように、2つの出射側回折格子
の一方例えば出射側回折格子306は透過型回折格子と
し、他方の出射側回折格子307は反射膜308をコー
トし反射型回折格子とする。また、この逆に出射側回折
格子306を反射型回折格子としてもよい。
【0022】出射側回折格子306、307により回折
された光はそれぞれの光検出器などへ導かれる。入射光
303の波長が変化した場合は、式1、式2に示される
ように伝播角度θ1、θ2が変化して、回折光の伝搬方
向が変化する。入射角依存性を有する光検出器などの測
定装置を用いる場合や入射角依存性を有しなくとも測定
装置と回折素子との間隔が離れている場合には、伝搬方
向(角度)の波長依存性により、波長変動に起因する測
定誤差が生じたり、測定装置の検出部への入射位置変化
が発生する。
【0023】入射側回折格子と出射側回折格子の格子ピ
ッチを等しくすると、入射側回折格子302による回折
光304に対しては、出射側回折格子306の−1次の
回折光309を用い、入射側回折格子302による回折
光305に対しては、出射側回折格子307の+1次の
回折光310を用いることで、入射光の波長変化に対し
ての伝搬方向の変化を相殺できる。
【0024】使用する測定装置に応じて、出射側回折格
子306と出射側回折格子307の両方の格子ピッチを
入射側回折格子302の格子ピッチに一致させてもよい
し、必要とするいずれか一方の格子ピッチを一致させて
もよい。格子ピッチを等しくして、入射する光線の伝播
方向の波長依存性を相殺する場合には、出射側回折格子
306による−1次の回折光309と出射側回折格子3
07による+1次の回折光310を用いることとなりそ
れ以外の次数の回折光は伝播方向の波長依存性を有する
ため用いることができない。
【0025】この場合、格子ピッチが実質的に等しい出
射側回折格子として特定の次数の回折光が高い回折効率
を有する鋸歯状の回折格子または階段により鋸歯状を近
似した擬似鋸歯状の回折格子を用いることが、光記録/
再生や光通信などのシステムを構成した場合光利用効率
を高めることができ好ましい。擬似鋸歯の形状として
は、鋸歯の連続的な斜面を階段の複数のステップで近似
したものであり、この擬似鋸歯状の回折格子はフォトリ
ソグラフィー法およびドライエッチング法などの作製プ
ロセスと整合性が高い。ここで、ステップ数は回折素子
を使用する条件により決定されるが、通常2段から31
段までとして使用する。
【0026】前述の回折格子の構成に加えて、入射側回
折素子302による回折光304および305が、出射
側回折格子の格子面において入射する部分に、反射膜を
形成することで光線を回折的に折り返し、出射側回折格
子306、307を入射側表面に形成した構成を採るこ
ともできる。
【0027】鋸歯状または擬似鋸歯状の回折格子を、入
射側回折格子302として用いることもでき、この場合
には2つの測定装置へ向けて回折されるそれぞれの回折
光の強度を割り当てることができる。より大きな強度が
必要な測定装置には、全体の光利用効率を大きく損なう
ことなく、大きな分配比率で光を入射することができ
る。
【0028】擬似鋸歯状に形成した回折格子において、
特定の次数の回折をおこさせるには格子深さおよび周期
方向の分割を等分割とするのがもっともよく、これによ
り高い回折効率が得られることが知られている。これに
対し、0次回折光(透過光)をもっとも強くし、入射光
の一部を回折により分配するには、必ずしも格子深さお
よび周期方向の分割を等分割にする必要はない。したが
って、要求される各次数の回折光量の分配比を得るため
に格子深さおよび周期方向の分割を自由に設計できる。
【0029】例えば、図3の入射側回折格子302の回
折効率を低く設定し、この素子への入射光の大半を透過
させて利用する場合には、入射側回折格子302の分割
を調整することで、等分割の擬似鋸歯状の回折格子より
も分配比を大きくできる。
【0030】図5に一例として波長1550nm、格子
ピッチ1.6μmにおける、格子に平行な偏光に対する
+1次および−1次の回折効率と透過率との関係を示
す。図5の(a)は、格子深さおよび周期方向の分割を
等分割した場合であり、図5の(b)は周期方向の分割
を1:3:1に調整した場合である。
【0031】図5の(a)および図5の(b)のグラフ
より、同値の透過率に対して、実線で示した−1次の回
折効率を点線で示した+1次の回折効率よりを高めるこ
とができることがわかる。これにより透過率を落とすこ
となく光量が必要な測定装置側へ必要な光量を配分でき
る。ここで示した格子深さおよび周期方向の分割を調整
することで+1次の回折光と−1次の回折光の回折効率
をともに変えることができ、変えられる程度は格子ピッ
チが波長に近づくほど大きい。
【0032】図4は本発明の回折素子の構成の他の例を
示す断面図である。回折により分離される光線の回折方
向を制御するために、上記の図3の例で光線を斜めに入
射してもよい。図4に示す他の例は、入射側回折格子に
よって回折・分離された2つの回折光が、出射側回折格
子によりともに入射側に回折されて戻る場合である。透
明基板401の入射側表面に形成された入射側回折格子
402に斜めに入射する入射光403は、回折により+
1次の回折光404および−1次の回折光405を発生
する。発生した回折光404、回折光405は出射側表
面に形成された反射膜408付きの出射側回折格子40
6および407で反射的に回折され、入射側表面から戻
り光409および410となって出射する。
【0033】一例として入射光403が、図4に示すよ
うに−1次の回折光405側へ傾いており、入射側回折
格子402と出射側回折格子406の格子ピッチが等し
い場合には、戻り光409の方向は入射光の方向とは逆
傾きであり、回折素子に立てた法線となす角度は入射角
度の2倍となる。このため入射光403と戻り光409
とは交差することなく、入射角度の3倍の角度をなして
分離される。たとえ入射光の波長が変化してもこの角度
関係は維持される。
【0034】一方、回折光405が入射する出射側回折
格子407に対して、入射側回折格子402よりも広い
適切な格子ピッチを設定することで、戻り光410を入
射光403と交差させることなくほぼ平行に出射させる
ことができる。
【0035】この方法を用いることで、入射角依存性を
有する測定装置を用いる場合でも、光線の伝搬方向をよ
り自由に設定することができる。回折格子の格子ピッチ
を変更することで、回折の方向を変えることはできる
が、波長に近い格子ピッチ領域では高い回折効率は得ら
れず、さらに実際の格子作製作業は困難となるので、上
記の斜め角度入射による光線の伝搬方向の制御が有効な
手段となる。
【0036】すなわち、回折素子の入射側表面に形成さ
れた入射側回折格子の表面に対して斜めに外部光を入射
することにより、入射側回折格子によって発生された+
1次の回折光または−1次の回折光のいずれかの方向と
入射光の方向とのなす角度が、入射側表面から入射方向
に向かって離れるにつれて大きくなるように出射側回折
格子または入射側回折格子の格子ピッチが設定されてい
る回折素子とすることが好ましい。
【0037】鋸歯状または擬似鋸歯状の回折格子を入射
側回折格子402として用いることもでき、この場合は
2つの測定装置へのそれぞれ光量の分配強度比を変更す
ることができ、より大きな強度が必要な測定装置へは、
全体の光利用効率を大きく損なうことなく、大きな分配
強度比で光を入射できる。実施の形態1と同様に入射回
折格子402の回折効率を低く設定し、この素子への入
射光の大半を透過させて利用する場合には、入射側回折
格子402の分割を調整することで、等分割の擬似鋸歯
状の回折格子よりも分配比を大きくすることが同様に可
能である。
【0038】本発明の構成を用いることで、小型で量産
性・信頼性に優れた回折素子にて光線を高い自由度で分
離伝搬させることができ、必要に応じて伝搬方向の波長
依存性の低減と光線分離方向の自由度を両立させること
ができる。原理的に回折方向の波長依存性を有する回折
素子を用いた信頼性・量産性に優れた分光システムを実
現することができる。
【0039】本発明の回折素子の格子パターンは、例え
ばフォトマスクを用いて作製されるため、直線形状に制
約をされるものではなく、曲線の例えば曲率を設計する
ことで回折光が、光検出器上で集光するようにするレン
ズ機能を付加することもできる。また大面積のウエハプ
ロセスを用いて、位相板などの機能を有する層を積層す
ることで回折素子の高機能化・複合化もできる。
【0040】本発明の回折素子に形成されている回折格
子は、透明基板そのものおよび/または透明基板上に成
膜された荘荷膜からなるが、成膜コストが発生せず無用
な界面が存在しない点から、エッチング特性に優れる透
明基板を直接加工することが信頼性・量産性の点から好
ましい。透明基板の材料としては紫外光、可視光、赤外
光の広い波長領域で高い透明性を示す石英ガラスが一例
としてあげられるが、使用する波長が赤外光領域のみの
場合には可視光領域では不透明であるが赤外領域で透明
性の高いシリコン基板などを用いることもできる。動作
環境温度の変化に対して、分離・伝搬方向の変化をさら
に抑制するには、透明基板として膨張係数の低い材料を
用い直接または透明基板上に成膜した荘荷膜を加工して
回折格子とすればよい。
【0041】回折素子中の一部の回折格子を反射型回折
格子とする場合、回折格子に反射界面を形成するが、反
射界面材料として誘電体多層膜や金属膜を成膜すればよ
く、薄い膜厚で高い反射効率が得られる金属膜がより好
ましい。微細な構造に成膜するには、成膜時の反射界面
材料の回り込みに優れたスパッタ法、RF印加蒸着法な
どが好ましく、鍍金法などの湿式法を用いることもでき
る。
【0042】本発明は、回折角度を大きくすることで回
折光の分離量を高めた狭ピッチ回折格子であるほど発明
の効果が顕著であり、特に回折格子の格子ピッチが中心
波長の2倍以下程度のピッチ領域で効果が大きい。
【0043】
【実施例】「例1」図1は、本例の回折素子の構成を示
す断面図である。本例では、厚さ2.0mmの石英ガラ
ス基板を透明基板101とし、その入射側表面の中央の
直径0.5mmφの領域にフォトリソグラフィー法およ
びドライエッチング法を繰り返すことで、格子ピッチが
1.15μmで、高さ(深さ)が各々0.15μm、
0.30μmの3レベル(2段)の疑似鋸歯状の回折格
子(透過型)を形成し入射側回折格子102とした。
【0044】その後に、石英ガラス基板の対向する出射
側表面には、格子ピッチ20μmで深さが0.2μmの
出射側回折格子の1つであるトラッキング信号検出用の
3ビーム発生回折格子103を作製した。さらに、3ビ
ーム発生回折格子103の形成領域の外周部分に格子ピ
ッチが入射側回折格子102のピッチと等しい1.15
μmで、高さ(深さ)が各々0.1μm、0.2μmの
加工を行い、リフトオフ法を用いた金のスパッタリング
法により格子部分にのみ選択的に膜厚200nmの反射
膜104をコートし3レベル(2段)の疑似鋸歯状の回
折格子(反射型)を形成し出射側回折格子の他の1つで
ある反射回折格子105とした。最後に石英ガラス基板
の両表面に図示しない低反射コート膜を施し回折素子1
06とした。
【0045】以下では、この回折素子106を光ヘッド
装置に組み込んだ場合について説明する。発振波長が6
60nmの半導体レーザ107からの出射光は、回折素
子の入射側表面において光強度の強いの中心部分のみが
入射側回折格子102を透過しその一部が回折した。回
折しない中心部分の光および入射側回折格子102の領
域外の光は直進し3ビーム発生回折格子103にて3方
向に回折分離し、図示しないコリメータレンズや対物レ
ンズにて光ディスクへ導かれた。一方、入射側回折格子
102で回折された光は、反射回折格子105へ導かれ
その反射回折光は回折素子106より出射し受光素子1
08にて検出された。
【0046】本例の場合、半導体レーザ107からの出
射光の約85%が、3ビーム発生回折格子へ到達し光デ
ィスクへ導かれた。これに対して入射側回折格子102
および反射回折格子105を経由して5%の光が受光素
子108にて検出された。この検出光は、使用する半導
体レーザ107の発振波長の個体差による違いに対して
も受光素子への信号レベルの顕著な変化は見られなかっ
た。
【0047】また、半導体レーザ107の温度変化によ
る波長の変動時にも安定した信号レベルを示した。加え
て、波長の違いに起因する入射角度の変化による受光位
置の変化がないことから受光素子の調整機構を省略する
ことができた。この受光素子への信号光を用いての半導
体レーザ107の発振強度を調整することで光ディスク
への記録および再生を安定に行うことができた。
【0048】「例2」図2は、本例の回折素子の構成を
示す断面図である。本例では、厚さ2.0mmの石英ガ
ラス基板を透明基板201とし、その入射側表面の中央
の直径1.0mmφの領域にフォトリソグラフィー法お
よびドライエッチング法を繰り返すことで、格子ピッチ
が1.8μmの領域を3つの領域0.36μm、1.0
8μm、0.36μmに分割し、各々の高さ(深さ)を
0.60μm、0.30μm、0.0μmとした3レベ
ル(2段)の疑似鋸歯状の回折格子(透過型)を形成し
入射側回折格子202とした。
【0049】入射側回折格子202の回折光が、石英ガ
ラス基板の対向する出射側表面に到達する2つの領域
に、フォトリソグラフィー法およびドライエッチング法
を繰り返すことで、格子ピッチが1.8μmの一方の出
射側回折格子である反射回折格子203と格子ピッチが
2.0μmの他方の出射側回折格子である反射回折格子
204を作製した。反射回折格子203および204
は、格子ピッチをそれぞれ4等分し、一段の高さ(深
さ)が0.15μmの加工を行うことで4レベルの疑似
鋸歯状の回折格子とし、その後、リフトオフ法を用いた
金のスパッタリングにより格子部分にのみ選択的に膜厚
200nmの反射膜205をコートし4レベル(3段)
の疑似鋸歯状の回折格子(反射型)を形成した。最後に
石英ガラス基板の両表面に図示しない低反射コート膜を
施し回折素子206とした。
【0050】回折格子の長手方向に直交する偏光を有す
る、コリメートされた波長1550nmの入射光207
を法線方向と入射角度5度にて、回折素子206に入射
したところ入射側回折格子202にて入射光207は3
つに分離した。本構成では、入射光202はその約92
%が回折素子206を透過した。+1次の回折光(図中
の左側)は入射光量の約3%が回折し、入射側回折格子
202と格子ピッチの等しい反射回折格子203に入射
し、そのほとんどが回折し回折素子206から出射し
た。このときの出射方向は、入射光207の入射角度に
対して約2倍の角度で逆の傾きであった。最終的に回折
素子206から出射した光は、入射光207の2.4%
の強度を有する戻り光208となった。
【0051】−1次の回折光(図中の右側)は入射光量
の約1%が回折し、入射側回折格子202より格子ピッ
チの大きい反射回折格子204に入射し、そのほとんど
が回折し回折素子206から出射した。このときの出射
方向は、本構成の場合は、入射光207とほぼ平行であ
った。最終的に回折素子206から出射した光は、入射
光207の0.7%の強度を有する戻り光209となっ
た。
【0052】戻り光208を図示しないダブルスリット
型分光回折素子に入射し波長を測定した。この測定の場
合には入射光束に高い平行性が要求されるが、入射光に
波長の変化が生じたときにも平行性を充分に維持してお
り波長の測定ができた。戻り光209は図示しない受光
素子上に集光し、その強度を測定した。波長が変動して
も、安定に戻り光209は受光素子に入射し強度を測定
できた。
【0053】本例では、きわめて小型の回折素子を用い
て光を分離することができ、光の波長および強度を正確
に同時測定しながらも大きな強度の低下がなく、入射光
207のほとんどを利用することができた。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の回折素子
によれば、ガラス基板またはガラス基板上に成膜された
無機物膜を、直線状または曲線状に加工して形成された
回折格子をガラス基板の入射側表面に1つ、出射側表面
に少なくとも1つ形成しかつ入射側表面の回折格子の格
子ピッチと、出射側表面の少なくとも1つの回折格子の
格子ピッチとを等しくしているため、小型で量産性、耐
久性に優れた回折素子となり、すくなくとも一つの回折
分離光を同一方向に取り出すことができ、さらに動作環
境温度の変化に対しても回折光の伝播方向を大きく変え
ない回折素子となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の回折素子の構成を示す断面図。
【図2】実施例2の回折素子の構成を示す断面図。
【図3】本発明の回折素子の構成の一例を示す概念的断
面図。
【図4】本発明の回折素子の構成の他の例を示す概念的
断面図。
【図5】本発明の回折素子の格子ピッチの分割法の違い
による回折特性の一例を示すグラフであり、(a)格子
ピッチを等分割とした場合、(b)格子ピッチの分割を
調整した場合。
【図6】従来のコーナキューブプリズムを使用した光の
分離の一例を示す概念図。
【符号の説明】
101、201、301、401:透明基板 102、202、302、402:入射側回折格子 103:3ビーム発生回折格子 104、205、308、408:反射膜 105、203,204:反射回折格子 306、307、406、407:透過側回折格子 106、206:回折素子 107:半導体レーザ 108:受光素子 207、303、403:入射光 304,305、309,310、404,405:回
折光 208、209、409,410:戻り光

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板と、その透明基板の両表面に形成
    された凹凸状の回折格子とを有し、その回折格子は、断
    面形状が凹凸状で平面形状が直線状または曲線状である
    回折素子であって、 前記透明基板の2つの表面のうち外部光が入射する入射
    側表面の中央領域に入射側回折格子が形成され、前記入
    射側表面に対向する出射側表面には少なくとも1つの出
    射側回折格子が形成されており、 前記出射側回折格子のうち少なくとも1つは、前記入射
    側回折格子によって回折される外部光の光路上に形成さ
    れておりかつ格子ピッチが前記入射側回折格子の格子ピ
    ッチに実質的に等しいことを特徴とする回折素子。
  2. 【請求項2】前記回折格子は、透明基板の表面に直接形
    成されている請求項1記載の回折素子。
  3. 【請求項3】前記回折格子は、透明基板の表面上に成膜
    された無機物膜に形成されている請求項1記載の回折素
    子。
  4. 【請求項4】格子ピッチが前記入射側回折格子の格子ピ
    ッチに実質的に等しい前記出射側回折格子のうち少なく
    とも1つは反射型回折格子となっている請求項1、2ま
    たは3記載の回折素子。
  5. 【請求項5】格子ピッチが前記入射側回折格子の格子ピ
    ッチに実質的に等しい前記出射側回折格子のうち少なく
    とも1つは、凹凸部が鋸歯状の回折格子または階段によ
    り鋸歯状を近似した擬似鋸歯状の回折格子になっている
    請求項1から4のいずれかに記載の回折素子。
  6. 【請求項6】前記擬似鋸歯状の回折格子における階段を
    構成するそれぞれのステップの高さまたはステップの奥
    行幅が異なる請求項5記載の回折素子。
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