JP4843819B2 - 偏光素子および偏光素子を含む光学系 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、偏光素子、特に二波長に使用することのできる偏光素子および偏光素子を含む光学系に関する。さらに詳細に、光ピックアップ系において、デジタルバーサタイルディスク(DVD)用波長およびコンパクト・ディスク(CD)用波長に使用することのできる偏光ビームスプリッタおよび偏光ビームスプリッタを含む光学系に関する。
【0002】
従来の格子素子技術では、半導体レーザーの一波長に対して偏光制御による分離を行っていた。たとえば、特開2002−90534号公報(第17段落、図1他)を参照することができる。つまり、TE偏光とTM偏光の2つのモードで、TE偏光時は反射し、TM偏光時は透過させていた。しかし、二つの異なる半導体レーザーの波長に使用することはできなかった。
【0003】
また、SiO2 基板にSiとSiO2 を交互に積層させて全体5層の矩形山を形成させて、任意の入射角度および動作波長に対して、偏光制御を行う装置も提案されている。たとえば、Tyan et al.,“Design, fabrication, and characterization of form-birefringent multilayer polarizing beam splitter”, Vol.14, No.7/July 1997/J. Opt. Soc. Am. Aを参照することができる。また、特開2001-51122号は、第1ブラッグ条件より短い周期ごとに繰り返しつつz軸方向に層状に積層する構造によって、入射光に位相を与えて偏波を分離する偏光ビームスプリッタを開示している。しかし、このような装置を現実に作製するのは、困難である。また、作製しても、工程が複雑であり、高コストである。
【0004】
ここで、回折格子による偏光分離の原理について説明する。図1に示すように、屈折率がn1の媒質からn2の媒質に光が進む。境界には、周期Λの格子が形成されている。
【0005】
光にはTE偏光(s偏光)、TM偏光(p偏光)と呼ばれる偏光がある。回折格子に光が入射する場合に、格子の溝に対して電界が平行に振動する方向の偏光をTE偏光と呼び、電界が垂直に(磁界が平行に)振動する方向の偏光をTM偏光と呼ぶ。
【0006】
回折格子が波長λに対し、 入射角度θ0 、周期Λを用いて
Λcosθ0<λ (1)
の条件が満たされたとき、その回折格子構造は、光にとって有効屈折率neff で表される薄膜構造内を進行しているように認識される。このとき有効屈折率neff は、入射光の偏光方向によって異なり、第1次近似では次式で書き表される。
【数1】
ただしfは周期Λに対する図1における山側部分(f’)の比(f’/Λ)を表す。上式からfが0,1以外では、各々の偏光に対する有効屈折率の値が異なっていることがわかる。
【0007】
各々の偏光状態による有効屈折率の違いの物理的意味は、光の波長よりも極めて小さい構造体を光が通過する際、構造体は散乱などを生じさせる遮蔽物として捉えられる。結果として遮蔽物を通過するのにエネルギー損失が生じ、その影響が有効屈折率として現われていると考えることができる。
【0008】
この条件の下で各々の偏光成分における有効屈折率neff=nTE または neff = nTM (ただしnTE ≠nTM )のいずれかが、異なる媒質を進行する光の屈折の関係式(Snellの式)から変形される式
【数2】
を満たすと、その偏光方向をもつ入射光は有効屈折率neff を有する薄膜層を通過できなくなる。この状態は図1において、有効屈折率neff を有する薄膜層での屈折角度θ1がほぼ90°に達しており、n2側の層に光が移動できない状態に相当する。結果的に、入射したエネルギーの発散先として、反射光が生じることとなる。
【0009】
以上、いずれか一方の偏光方向の光が格子構造から認識される有効屈折率neff の効果によって(4)式が成立すると、微小周期による偏光素子が実現することになる。
【0010】
上述のように、格子部において周期を波長以下に設定することにより、電磁波として表される光は進行に伴って、回折波が生じないため、波の重ね合わせとして表現される回折効果として認識されなくなる。波の進行に対して格子部は屈折率変化の対象としてみなされ、電磁波に与える効果は仮想的な屈折率をもつ材質内での進行と同等の性質を与える。この結果、特定の波長帯域において薄膜層と同様の効果をもたらす。格子部を仮想的な屈折率をもつ材質と仮定する手法は有効屈折率法と呼ばれている。たとえば、Journal of Optical Society of America A Vol.13 No.5の1013ページには格子形状から有効屈折率を求めるための式が記述されている。有効屈折率層は格子部の周期に対する山部の比によって有効屈折率の値が決定される。矩形型凹凸形状の格子部もまた特定の波長帯域に依存し、その設計は矩形型凹凸形状の比と高さにより決まる。たとえば、Journal of Optical Society of America A Vol.13 No.5の988ページやApplied Optics Vol.36 No.34の8935ページなどに開示されているように、波長帯域を広げるために、高さ方向に対して三角形型の格子にすることによって、連続的に有効屈折率を変化させることができる。この操作により連続的に変化を与える多数の薄膜層の重ね合わせた効果と同様の性能をもたせることができる。
【0011】
しかし、所定の波長領域の二波長に対して使用することのできる、簡単な構造の偏光素子は開発されていない。
【発明の開示】
【0012】
このように、所定の波長領域の二波長に対して使用することのできる、簡単な構造の偏光素子に対する大きなニーズが存在する。
【0013】
本発明の参考形態による偏光素子は、基板に断面が矩形状の、一定周期Λの格子パターンを形成し、当該格子パターン上に基板に比べて屈折率の高い膜を付着させた2層構造からなる。波長をλ、格子面に対する入射角度を、θ0としてΛcosθ0<λであり、TE偏光の0次回折光の反射効率が所定の値(0.8)以上であり、TM偏光の0次回折光の透過効率が所定の値(0.8)以上であるように格子周期、格子高さおよび膜厚を定めている。
【0014】
本発明の参考形態による偏光素子は、基板に断面が三角形状の、一定周期Λの格子パターンを形成し、当該格子パターン上に基板に比べて屈折率の高い膜を付着させた2層構造からなる。波長をλ、格子面に対する入射角度を、θ0としてΛcosθ0<λであり、TE偏光およびTM偏光の一方の0次回折光の反射効率が所定の値(0.7)以上であり、TE偏光およびTM偏光の他方の0次回折光の透過効率が所定の値(0.7)以上であるように格子周期、格子高さおよび膜厚を定めている。
【0015】
本発明による偏光素子は、基板に断面が三角形状の、一定周期Λの格子パターンを形成し、当該格子パターン上に基板に比べて屈折率の高い膜を付着させた2層構造からなる。第1の波長λ1および第2の波長λ2がλ1 < λ2 の関係を満たす場合に、格子面に対する入射角度を、θ0としてΛcosθ0 <λ1 である。第1の波長λ1 に対して、TE偏光の0次回折光の反射効率が所定の値(0.7)以上であり、TM偏光の0次回折光の透過効率が所定の値(0.7)以上であり、第2の波長λ2 に対して、TE偏光の0次回折光の透過効率が所定の値(0.7)以上であり、TM偏光の0次回折光の反射効率が所定の値(0.7)以上であるように格子周期、格子高さおよび膜厚を定めている。
【0016】
あるいは、第1の波長λ1 に対して、TE偏光の0次回折光の反射効率が所定の値(0.7)以上であり、TM偏光の0次回折光の透過効率が所定の値(0.7)以上であり、第2の波長λ2 に対して、TE偏光の0次回折光の反射効率が所定の値(0.7)以上であり、TM偏光の0次回折光の透過効率が所定の値(0.7)以上であるように格子周期、格子高さおよび膜厚を定めている。
【0017】
したがって、本発明による偏光素子は、基板の格子による多数の有効屈折率層と膜の格子による多数の有効屈折率層に近似でき、第1および第2の波長に対して偏光特性を有する。また、基板上に1層の膜を付着させた簡単な構造であり、製造方法が簡単であり、製造コストも低く低価額である。さらに、コンパクトな構造であり、装置の小型化が実現できる。
【0018】
本発明の実施形態による偏光素子は、基板が合成樹脂から構成されている。
【0019】
本発明の実施形態による偏光素子は、基板がアクリルまたはポリオレフィンなどの透明樹脂から構成されている。
【0020】
したがって、本発明の実施形態による偏光素子は、低価額である。
【0021】
本発明の実施形態による偏光素子は、基板の格子パターンが金型からの転写によって形成される。
【0022】
したがって、本発明の実施形態による偏光素子は、製造方法が簡単であり、製造コストも低く低価額である。
【0023】
本発明の実施形態による偏光素子は、膜が蒸着膜である。
【0024】
したがって、基板上に1層の蒸着を行えばよいので製造方法が簡単である。
【0025】
本発明の実施形態による偏光素子は、蒸着膜がTiO2など基板の屈折率より高い屈折率の材料からなる。蒸着膜がTiO2の場合には、樹脂との付着性が高い。
【0026】
本発明の実施形態による偏光素子は、蒸着膜の厚みが0.3マイクロメータよりも小さい。
【0027】
本発明の実施形態による偏光素子は、格子高さが格子周期よりも小さい。
【0028】
本発明の実施形態による偏光素子は、第1の波長がデジタルバーサタイルディスク用波長であり、第2の波長がコンパクト・ディスク用波長である。
【0029】
したがって、デジタルバーサタイルディスクおよびコンパクト・ディスク両用の光ピックアップシステムに使用することができる。
【0031】
本発明の光学系は、第1の波長の光源と、第2の波長の光源と、請偏光素子とを含む。偏光素子は、第1および第2の波長の光源からの光を、ディスクに到達するように反射させ、ディスクに反射された戻りの光を透過させるように構成される。
【0032】
したがって、デジタルバーサタイルディスクおよびコンパクト・ディスク両用の光ピックアップシステムなどに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【1図】回折格子による偏光分離の原理について説明する。
【2図】本発明の2層三角形状格子の構造を示す。
【3図】本発明の2層三角形状格子を示す。
【4図】2層矩形状格子を示す。
【5図】本発明の2層三角形状格子(数値実施例1)の回折効率を示す。
【6図】本発明の2層三角形状格子(数値実施例1)の波長依存性を示す。
【7図】本発明の2層三角形状格子(数値実施例1)の入射角依存性を示す。
【8図】本発明の2層三角形状格子(数値実施例2)の回折効率を示す。
【9図】本発明の2層三角形状格子(数値実施例2)の波長依存性を示す。
【10図】本発明の2層三角形状格子(数値実施例2)の入射角依存性を示す。
【11図】2層矩形状格子の構造を示す。
【12図】2層矩形状格子の回折効率を示す。
【13図】2層矩形状格子の波長依存性を示す。
【14図】2層矩形状格子の入射角依存性を示す。
【15図】本発明の数値実施例1または2の偏光ビームスプリッタを使用した光ピックアップシステムの構成を示す。
【16図】本発明の数値実施例3の偏光ビームスプリッタを使用した光ピックアップシステムの構成を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の実施形態による二波長偏光ビームスプリッタは、基板に断面が三角形状の、一定周期Λの格子パターンを形成し、当該格子パターン上に基板に比べて屈折率の高い膜を付着させた2層構造からなる。当該2層構造を図2に示す。基板は樹脂であり、アクリルまたはポリオレフィンであることが好ましい。基板上の格子パターンは、樹脂成形金型に形成した微細形状を転写することで作成する。樹脂成形金型に形成しておく微細形状は、レーザビーム加工装置により作成する。このように、転写された、樹脂基板の格子パターン上に、高屈折率層としてTiO2膜などの樹脂よりも屈折率の高い膜を、たとえば蒸着によって成膜する。蒸着による場合、製造上の制限から膜厚は0.3μmよりも小さくなる。
【0035】
なお、第1の波長λ1 および第2の波長λ2 がλ1 < λ2 の関係を満たす場合に、格子面に対する入射角度を、θ0 として、格子周期Λは、
Λcosθ0 <λ1 の関係を満たすように設定する。また、格子高さは、格子周期よりも小さくなるように設定する。
【0036】
以下では、第1の波長はDVD用波長(0.66μm)、第2の波長としてCD用波長(0.785μm)とする。
【0037】
ここで、本発明の2層三角形状格子(図3)について、2層矩形状格子(図4)と比較して説明する。2層矩形状格子は、基板の格子による有効屈折率層1および膜の格子による有効屈折率層2の2層の有効屈折率層に近似できる。本発明の2層三角形状格子は、基板の格子によるn層の有効屈折率層と膜の格子によるn’層の有効屈折率層に近似できる。このような構造により、2波長に対して偏光特性を持たせることが可能となる。
【0038】
具体的には、格子周期を調整することにより、TE偏光およびTM偏光の波長依存特性を調整する。DVD用波長の反射または透過効率がいずれかの偏光でピークとなり、CD用波長の反射または透過効率がいずれかの偏光でピークとなるようにする。また、樹脂高さと膜厚を調整してピーク効率を調整する。
【0039】
それぞれの波長について、一方の偏光で透過し(透過効率が一定値以上)、他方の偏光で反射(反射効率が一定値以上)するようにすればよい。
【0040】
以下において、数値実施例について説明する。
【0041】
(数値実施例1)
本実施例の2層三角形状格子の仕様を表1に示す。
【表1】
【0042】
ここで樹脂高さとは、樹脂部分の格子高さである。
【0043】
DVD用波長およびCD用波長の、偏光角度に対する回折効率(透過・反射効率)を図5に示す。偏光角度は、0度がTM偏光、90度がTE偏光である。格子面への入射角度は、45度である。また、TEモードおよびTMモードの波長依存特性を図6に示す。図6は、図5のTE偏光およびTM偏光の状態から、波長を変化させたものである。DVD用波長およびCD用波長の、入射角依存性を図7に示す。図7は、図5のTE偏光およびTM偏光の状態から、入射角を変化させたものである。
【0044】
図5から明らかなように、DVD用波長のTE偏光は、80%以上反射され、DVD用波長のTM偏光は、70%以上透過される。また、CD用波長のTE偏光は、70%以上透過され、CD用波長のTM偏光は、80%以上反射される。このように、本実施例の2層三角形状の格子は、DVD用波長およびCD用波長に対して偏光特性を有する。
【0045】
(数値実施例2)
本実施例の2層三角形状格子の仕様を表2に示す。
【表2】
【0046】
ここで樹脂高さとは、樹脂部分の格子高さである。
【0047】
DVD用波長およびCD用波長の、偏光角度に対する回折効率(透過・反射効率)を図8に示す。偏光角度は、0度がTM偏光、90度がTE偏光である。格子面への入射角度は45度である。また、TEモードおよびTMモードの波長依存特性を図9に示す。図9は、図8のTE偏光およびTM偏光の状態から、波長を変化させたものである。DVD用波長およびCD用波長の、入射角依存性を図10に示す。図10は、図8のTE偏光およびTM偏光の状態から、入射角を変化させたものである。
【0048】
図8から明らかなように、DVD用波長のTE偏光は、80%以上反射され、DVD用波長のTM偏光は、70%以上透過される。また、CD用波長のTE偏光は、80%以上反射され、CD用波長のTM偏光は、80%以上透過される。このように、本実施例の2層三角形状の格子は、DVD用波長およびCD用波長に対して偏光特性を有する。
【0049】
(参考例)
つぎに参考例として、2層矩形状格子について説明する。2層矩形状格子の構造を図11に示す。
【0050】
参考例の2層矩形状格子の仕様を表3に示す。
【表3】
【0051】
ここで樹脂高さとは、樹脂部分の格子高さである。
【0052】
DVD用波長およびCD用波長の、偏光角度に対する回折効率(透過・反射効率)を図12に示す。格子面への入射角度は45度である。偏光角度は、0度がTM偏光、90度がTE偏光である。また、TEモードおよびTMモードの波長依存特性を図13に示す。図13は、図12のTE偏光およびTM偏光の状態から、波長を変化させたものである。DVD用波長およびCD用波長の、入射角依存性を図14に示す。図14は、図12のTE偏光およびTM偏光の状態から、入射角を変化させたものである。
【0053】
図12から明らかなように、DVD用波長のTE偏光は、80%以上反射され、DVD用波長のTM偏光は、80%以上透過される。しかし、図12から明らかなように、CD用波長に対しては、TE偏光及びTM偏光は、共に透過される。
【0054】
光ピックアップ光学系
本発明の偏光ビームスプリッタを使用した光ピックアップシステムの構成を、図15および図16にしたがって説明する。
【0055】
図15において、2波長レーザー光源1から発したビームは、偏光ビームスプリッタ2によって反射され、コリメータレンズ3、固定ミラー4および対物レンズ5を経てディスク(DVDまたはCD)6に至る。偏光ビームスプリッタ2とコリメータレンズ3との間には、図示しない1/4波長板が設けられる。ディスク6で反射されたビームは、対物レンズ5、固定ミラー4、コリメータレンズ3および1/4波長板を経由して偏光ビームスプリッタ2に戻る。ビームは戻るまで1/4波長板を2回通過しているので位相が90度変化する。このビームは、偏光ビームスプリッタ2を通過し、集光レンズ7を経てフォトダイオード8によって検出される。
【0056】
偏光ビームスプリッタ2として、数値実施例1の2層三角形状格子を使用している場合について説明する。DVD用波長の光は、2波長レーザー光源1から偏光ビームスプリッタ2にTE偏光の状態で入射される。したがって、偏光ビームスプリッタ2で反射される(図5の左の図)。戻った光は、TM偏光の状態であるので、偏光ビームスプリッタ2を透過する(図5の左の図)。他方、CD用波長の光は、レーザー光源1から偏光ビームスプリッタ2にTM偏光の状態で入射される。したがって、偏光ビームスプリッタ2で反射される(図5の右の図)。戻った光は、TE偏光の状態であるので、偏光ビームスプリッタ2を透過する(図5の右の図)。
【0057】
偏光ビームスプリッタ2として、数値実施例2の2層三角形状格子を使用している場合について説明する。DVD用波長の光は、2波長レーザー光源1から偏光ビームスプリッタ2にTE偏光の状態で入射される。したがって、偏光ビームスプリッタ2で反射される(図8の左の図)。戻った光は、TM偏光の状態であるので、偏光ビームスプリッタ2を透過する(図8の左の図)。他方、CD用波長の光も、レーザー光源1から偏光ビームスプリッタ2にTE偏光の状態で入射される。したがって、偏光ビームスプリッタ2で反射される(図8の右の図)。戻った光は、TM偏光の状態であるので、偏光ビームスプリッタ2を透過する(図8の右の図)。
【0058】
図16において、DVD波長レーザー光源9から発したビームは、偏光ビームスプリッタ10によって反射され、コリメータレンズ13、固定ミラー14および対物レンズ15を経てディスク(DVDまたはCD)16に至る。偏光ビームスプリッタ10とコリメータレンズ13との間には、図示しない1/4波長板が設けられる。ディスク16で反射されたビームは、対物レンズ15、固定ミラー14、コリメータレンズ13および1/4波長板を経由して偏光ビームスプリッタ10に戻る。ビームは戻るまで1/4波長板を2回通過しているので位相が90度変化する。このビームは、偏光ビームスプリッタ10を通過し、偏光ビームスプリッタ12を通過し、集光レンズ17を経てフォトダイオード18によって検出される。
【0059】
一方、CD波長レーザー光源11から発したビームは、偏光ビームスプリッタ12によって反射され、偏光ビームスプリッタ10を透過し、コリメータレンズ13、固定ミラー14および対物レンズ15を経てディスク(DVDまたはCD)16に至る。偏光ビームスプリッタ10とコリメータレンズ13との間には、図示しない1/4波長板が設けられる。ディスク16で反射されたビームは、対物レンズ15、固定ミラー14、コリメータレンズ13および1/4波長板を経由して偏光ビームスプリッタ10に戻る。ビームは戻るまで1/4波長板を2回通過しているので位相が90度変化する。このビームは、偏光ビームスプリッタ10を通過し、偏光ビームスプリッタ12を通過し、集光レンズ17を経てフォトダイオード18によって検出される。
【0060】
偏光ビームスプリッタ10として、数値実施例3の2層矩形状格子を使用する場合について説明する。DVD用波長の光は、DVD波長レーザー光源9から偏光ビームスプリッタ10にTE偏光の状態で入射される。したがって、偏光ビームスプリッタ10で反射される(図12の左の図)。戻った光は、TM偏光の状態であるので、偏光ビームスプリッタ2を透過する(図12の左の図)。他方、CD用波長の光は、レーザー光源11から偏光ビームスプリッタ12にTM偏光の状態で入射される。したがって、偏光ビームスプリッタ12で反射され、偏光ビームスプリッタ10に入射され透過する(図12の右の図)。戻った光は、TE偏光の状態であるので、偏光ビームスプリッタ10を透過し(図12の右の図)、偏光ビームスプリッタ12に入射され透過する。
Claims (13)
- 偏光素子であって、基板に断面が三角形状の、一定周期Λの格子パターンを形成し、当該格子パターン上に基板に比べて屈折率の高い膜を付着させた2層構造からなり、第1の波長λ1および第2の波長λ2が
λ1<λ2 の関係を満たす場合に、格子面に対する入射角度を、θ0としてΛcosθ0<λ1 であり、第1の波長λ1に対して、TE偏光の0次回折光の反射効率は、偏光素子が反射素子として機能するのに十分な所定の値以上であり、TM偏光の0次回折光の透過効率は、偏光素子が透過素子として機能するのに十分な所定の値以上であり、第2の波長λ2に対して、TE偏光の0次回折光の透過効率は、偏光素子が透過素子として機能するのに十分な所定の値以上であり、TM偏光の0次回折光の反射効率は、偏光素子が反射素子として機能するのに十分な所定の値以上であるように格子周期、格子高さおよび膜厚を定めた偏光素子。 - 所定の値が、0.7である請求項1に記載の偏光素子。
- 偏光素子であって、基板に断面が三角形状の、一定周期Λの格子パターンを形成し、当該格子パターン上に基板に比べて屈折率の高い膜を付着させた2層構造からなり、第1の波長λ1および第2の波長λ2がλ1<λ2 の関係を満たす場合に、格子面に対する入射角度を、θ0としてΛcosθ0<λ1 であり、第1の波長λ1に対して、TE偏光の0次回折光の反射効率は、偏光素子が反射素子として機能するのに十分な所定の値以上であり、TM偏光の0次回折光の透過効率は、偏光素子が透過素子として機能するのに十分な所定の値以上であり、第2の波長λ2に対して、TE偏光の0次回折光の反射効率は、偏光素子が反射素子として機能するのに十分な所定の値以上であり、TM偏光の0次回折光の透過効率は、偏光素子が透過素子として機能するのに十分な所定の値以上であるように格子周期、格子高さおよび膜厚を定めた偏光素子。
- 所定の値が、0.7である請求項3に記載の偏光素子。
- 基板が合成樹脂から構成される請求項1から4のいずれか一項に記載の偏光素子。
- 基板が透明樹脂から構成される請求項5に記載の偏光素子。
- 基板の格子パターンが金型からの転写によって形成される請求項1から6のいずれか一項に記載の偏光素子。
- 膜が蒸着膜である請求項1から7のいずれか一項に記載の偏光素子。
- 蒸着膜が基板の屈折率より高い屈折率の材料からなる請求項8に記載の偏光素子。
- 蒸着膜の厚みが0.3マイクロメータよりも小さい請求項8または9に記載の偏光素子。
- 格子高さが格子周期よりも小さい請求項1から10のいずれか一項に記載の偏光素子。
- 前記第1の波長がデジタルバーサタイルディスク用波長であり、前記第2の波長がコンパクト・ディスク用波長である請求項1から11のいずれか一項に記載の偏光素子。
- 前記第1の波長の光源と、前記第2の波長の光源と、請求項1から12のいずれか1項の偏光素子とを含む光学系であって、偏光素子は、前記第1および第2の波長の光源からの光を、ディスクに到達するように反射させ、ディスクに反射された戻りの光を透過させるように構成された、光学系。
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