JPH11317304A - 磁性材料およびボンド磁石 - Google Patents

磁性材料およびボンド磁石

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JPH11317304A
JPH11317304A JP11077427A JP7742799A JPH11317304A JP H11317304 A JPH11317304 A JP H11317304A JP 11077427 A JP11077427 A JP 11077427A JP 7742799 A JP7742799 A JP 7742799A JP H11317304 A JPH11317304 A JP H11317304A
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新哉 桜田
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昭彦 津田井
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隆大 平井
Tadataka Yanagida
忠孝 柳田
Masashi Sahashi
政司 佐橋
Tomohisa Arai
智久 新井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い残留磁束密度を有するTbCu7 型結晶
相を主相とする磁性材料を提供する。 【解決手段】 一般式R1x R2y z u
100-x-y-z-u 、ただし、R1は少なくとも一種の希土類
元素(Yを含む)、R2はZr、Hf及びScから選ば
れる少なくとも一種の元素、AはH、N、C及びPから
選ばれる少なくとも一種の元素、MはFe及びCoの少
なくとも1つの元素、x、y、z及びuは原子%でそれ
ぞれ2≦x、4≦x+y≦20、0.001≦z≦1
0、0≦u≦20を示す、にて表され、主相がTbCu
7 型結晶構造を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁性材料およびボン
ド磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高性能希土類永久磁石としてはS
m−Co系磁石、Nd−Fe−B系磁石などが知られて
おり、現在量産化が進められている。これらの磁石には
FeまたはCoが多量に含まれ、飽和磁束密度の増大に
寄与している。また、これらの磁石中の希土類元素は、
結晶場中における4f電子の挙動に由来する非常に大き
な磁気異方性をもたらす。これにより保磁力の増大化が
図られ、高性能な磁石が実現されている。このような高
性能磁石は主としてスピーカー、モーター、計測器など
の電気機器に使用されている。
【0003】近年、各種電気機器の小形化の要求が高ま
り、それに応えるために前記永久磁石の最大磁気エネル
ギー積を向上し、より高性能の永久磁石が求められてい
る。
【0004】これに対し本発明者らは、TbCu7 相を
主相とする磁性材料において、主相中のFe濃度が高
く、飽和磁束密度の高い磁性材料を提案した(特願平4
−277474)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなFe濃度が
高いTbCu7 相を主相とする磁性材料においても更な
る残留磁束密度の増大が要求されている。Fe濃度が高
いTbCu7 相を主相とする磁性材料に大きな保磁力を
付与するためには、例えば液体急冷、メカニカルアロイ
ング等の製造プロセスを採用することが有効である。し
かしながら、これらのプロセスを経た磁性材料は、結晶
粒が微細であり通常の磁場配向のような簡単なプロセス
での磁化容易軸方向への結晶配向が困難になる。その結
果、大きな残留磁束密度を有する磁性材料が得られない
という問題があった。
【0006】本発明は、主相がTbCu7 相で、残留磁
束密度の高い磁性材料を提供しようとするものである。
【0007】また、本発明は主相がTbCu7 相で、残
留磁束密度の高い磁性材料を含むボンド磁石を提供しよ
うとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる磁性材料
は、 一般式 R1x R2y z u 100-x-y-z-u ただし、R1は少なくとも一種の希土類元素(Yを含
む)、R2はZr、Hf及びScから選ばれる少なくと
も一種の元素、AはH、N、C及びPから選ばれる少な
くとも一種の元素、MはFe及びCoの少なくとも1つ
の元素、x、y、z及びuは原子%でそれぞれ2≦x、
4≦x+y≦20、0.001≦z≦10、0≦u≦2
0を示す、にて表され、主相がTbCu7 型結晶構造を
有することを特徴とするものである。
【0009】等方性の磁性材料において、個々の結晶粒
が独立に振る舞う場合には一般的に飽和磁束密度(B
s)に対する残留磁束密度(Br)の比率(Br/B
s)が0.5を越えない。ただし、微細化した結晶粒が
結晶粒界を介して交換相互作用により結合すると、等方
性の磁性材料であっても前記Br/Bsが0.5を越え
る場合がある。
【0010】TbCu7 相を主相とし、かつ硼素(B)
を含む前記一般式で示される本発明に係わる磁性材料
は、結晶粒間の交換相互作用が増大されるため、残留磁
束密度が向上される。これは、次に説明する硼素の挙動
によるものと考えられる。硼素は、例えばTbCu7
のインタースティシャル位置に侵入したり、希土類元
素、遷移金属元素と結合して粒界相を形成するなどの形
で磁性材料中に取り込まれる。このような磁性材料中へ
の硼素の取り込みは、結晶粒を微細化する、粒界構造に
影響を与える等により結晶粒間の交換相互作用を増強し
て前記Br/Bsが0.5を越える性質を発現でき、磁
性材料の残留磁束密度を向上することができる。
【0011】本発明に係わるボンド磁石は、一般式 R1x R2y z u 100-x-y-z-u ただし、R1はYを含む希土類元素から選ばれる少なく
とも1つの元素、R2はZr、HfおよびScから選ば
れる少なくとも1つの元素、Aは、H、N、CおよびP
から選ばれる少なくとも1つの元素、MはFeおよびC
oから選ばれる少なくとも1つの元素、x、y、z、u
はそれぞれ原子%でx≧2、4≦x+y≦20、0.0
01≦z≦10、0≦u≦20である、にて表され、主
相がTbCu7 型結晶構造を有する磁性材料粉末とバイ
ンダとを含むことを特徴とするものである。
【0012】このようなボンド磁石は、残留磁束密度の
高い磁性材料を含むため、大きな最大エネルギー積を有
する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の磁性材料は、一般式 R1x R2y z u 100-x-y-z-u ただし、R1は少なくとも一種の希土類元素(Yを含
む)、R2はZr、Hf及びScから選ばれる少なくと
も一種の元素、AはH、N、C及びPから選ばれる少な
くとも一種の元素、MはFe及びCoの少なくとも1つ
の元素、x、y、z及びuは原子%でそれぞれ2≦x、
4≦x+y≦20、0.001≦z≦10、0≦u≦2
0を示す、にて表され、主相がTbCu7 型結晶構造を
有する。
【0014】前記主相は、磁性材料中の占有量が最大の
相で、前記TbCu7 型結晶構造を有する主相は磁気特
性を担うものである。このため、本発明の磁性材料中の
主相の含有比率が低下すると、主相の特性が反映されな
いため、少なくとも50体積%以上の含有比率を有する
ことが望まれる。
【0015】本発明に係わる磁性材料において、前記T
bCu7 型結晶構造の格子定数a、cの比c/aは0.
847以上であることが好ましい。前記c/aは、Tb
Cu 7 相中のFeおよびCo濃度と密接に関連してお
り、c/aの上昇に伴ってFeおよびCo濃度が増大す
る。TbCu7 相中のFeおよびCo濃度の増大は、飽
和磁束密度の増大に繋がり、磁気特性を向上させること
ができる。このような効果は、c/aが0.847以上
の磁性材料において特に顕著である。前記c/aの値
は、磁性材料を構成する成分の比率または製造方法によ
り制御することができる。
【0016】次に、(1)前記一般式の磁性材料を構成
する各成分の働きおよび各成分の配合量を規定した理
由、(2)A元素を含まない磁性材料の製造方法、
(3)A元素としてNを配合した磁性材料の製造方法、
(4)A元素としてCを配合した磁性材料の製造方法、
(5)磁石の製造方法について詳細に説明する。
【0017】(1)前記一般式の磁性材料を構成する各
成分の働きおよび各成分の配合量を規定した理由 (1−1)R1元素 R1元素である希土類元素としては、La、Ce,P
r、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Lu、Yが挙げられ、これらは1種または2
種以上の混合物で使用される。R1元素は、前記磁性材
料に大きな磁気異方性をもたらし、高い保磁力を付与す
る。特に、R1元素は50原子%以上がSmであること
が好ましい。この場合、Sm以外の残部はPr、Ndで
あることが好ましい。
【0018】前記R1元素を2原子%未満にすると磁気
異方性の低下が著しく大きな保磁力を有する磁性材料を
得ることが困難になる。一方、前記R1元素が過剰に配
合されると、磁性材料の飽和磁束密度が低下する。した
がって、R1元素含有量xは4≦x≦16であることが
好ましい。
【0019】(1−2)R2元素 R2元素としては、Zr、Hf及びScの群から選ばれ
る少なくとも1つの元素を用いることができる。このよ
うなR2元素は、主として主相の希土類サイトを占有
し、希土類サイトの平均原子半径を低減させるなどの作
用により、主相であるTbCu7 型相中のFeおよびC
o濃度を高めることが可能になる。好ましいR2元素の
含有量yは、0.1≦y≦10、さらに好ましくは1≦
y≦3である。
【0020】また、R1元素及びR2元素の合計量を4
原子%未満にするとα−Fe(Co)の析出が著しく大
きな保磁力を有する磁性材料を得ることが困難になる。
一方、R1元素及びR2元素の合計量が20原子%を越
えると磁性材料の飽和磁束密度が低下する。より好まし
いR1元素及びR2元素の合計含有量(x+y)は、4
≦x+y≦16である。
【0021】(1−3)B(硼素) 硼素は、本発明の目的である残留磁束密度の高い磁性材
料を得るために有効な元素である。硼素の含有量を0.
001原子%未満にすると、残留磁束密度の高い磁性材
料を得ることが困難になる。一方、硼素の含有量が10
原子%を越えるとR2 Fe14B相の生成が顕著になり、
磁性材料の磁気特性が劣化する。好ましい硼素の含有量
zは、0.01≦z≦4、さらに好ましくは0.1≦z
≦3である。
【0022】(1−4)A元素 A元素は、H、N、C、Pから選ばれる少なくとも1つ
の元素である。前記A元素は、主として主相の格子間位
置に存在し、前記A元素を含まない場合と比較して前記
主相のキュリー温度、磁気異方性を向上させる働きを有
する。
【0023】前記A元素は、少量の配合でその効果が発
揮されるが、20原子%を越えるとα−Fe(Co)の
析出が多くなる。より好ましいA元素の含有量uは、2
≦u≦20、更に好ましくは5≦u≦10である。
【0024】(1−5)M元素 M元素は、FeおよびCoから選ばれた少なくとも1つ
の元素であり、磁性材料の飽和磁束密度を増大させる働
きを有する。前記M元素は、磁性材料中に70原子%以
上含有されることにより効果的に飽和磁束密度が増大さ
れる。
【0025】M元素の一部をCr、V、Mo、W、M
n、Ni、Sn、Ga、Al、Siから選ばれる少なく
とも1つのT元素で置換することを許容する。このよう
なT元素の置換により、磁性材料全体に占める主相の割
合を増加させたり、主相中のMおよびTの総量を増加さ
せることが可能になる。また、磁性材料の保磁力を増大
させることが可能になる。
【0026】ただし、前記T元素でM元素を多量に置換
すると、飽和磁束密度の低下を招く。このため、T元素
の置換量は原子%でM元素の20%以下にすることが望
ましい。また、飽和磁束密度の高い磁性材料を得る観点
から、M元素およびT元素の総量中に占めるFe量は5
0原子%以上にすることが好ましい。
【0027】本発明に係わる磁性材料は、酸化物などの
不可避的不純物を含有することを許容する。
【0028】(2)磁性材料の製造方法 (2−1)まず、所定量のR1、R2、Mの各元素およ
び必要に応じて前記M元素の一部を置換するT元素を含
有するインゴットをアーク溶解または高周波溶解にて調
製する。このインゴットを小片に切り出し、所定量の硼
素(B)とともに高周波誘導加熱等により溶融した後、
溶湯を高速で回転する単ロール上に噴出して急冷薄帯を
製造する。インゴット中に予め硼素を含有させ、この溶
湯から急冷薄帯を製造することも可能である。
【0029】前記溶湯の温度は、高くし過ぎるとR2
14B相が急冷薄帯中に生成する恐れがある。このた
め、前記溶湯の温度は900℃〜1500℃にすること
が好ましい。
【0030】前記液体急冷法としては、単ロール法のほ
かに双ロール法、回転ディスク法、ガスアトマイズ法な
どの手段を用いてもよい。
【0031】(2−2)所定量のR1、R2、B、Mの
各元素および必要に応じて前記M元素の一部を置換する
T元素の各原料粉末の混合体に機械的エネルギーを付与
し、固相反応により合金化させるメカニカルアロイング
法またメカニカルグラインディング法により磁性材料を
製造する。
【0032】なお、前記磁性材料の製造方法において、
急冷工程および固相反応工程をAr、Heなどの不活性
ガス雰囲気で行うことが望ましい。このような雰囲気で
急冷または固相反応させることによって、酸化による磁
気特性の劣化が防止された磁性材料を製造することが可
能になる。
【0033】前記方法で得られた磁性材料は、必要に応
じてAr、Heなどの不活性ガス雰囲気中または真空
中、300〜1000℃で0.1〜10時間の熱処理が
施されることを許容する。このような熱処理を施すこと
により、保磁力等の磁気特性を向上させたりすることが
可能になる。
【0034】(3)A元素としてNを配合した磁性材料
の製造方法 まず、前記(2−1)、(2−2)の方法で得られた合
金材料をボールミル、ブラウンミル、スタンプミル、ジ
ェットミル等によって平均粒径数μm〜数100μmに
粉砕し、この合金粉末を窒素ガス雰囲気中で熱処理(窒
化処理)することにより磁性材料を製造する。ただし、
前記(2)の方法のようにメカニカルアロイング法また
はメカニカルグラインディング法で製造された合金材料
は粉末状態であるため前記粉砕工程を省略することも可
能である。
【0035】前記窒化処理が施される合金粉末の原料と
して前記(1)の液体急冷法で得られる合金材料(薄
帯)を用いる場合には、急冷直後の保磁力(iHc)が
56kA/m(700 Oe)以下、より好ましくは2
0kA/m(250 Oe)以下であるか、または厚さ
が30μm以下の薄帯を用いることが望ましい。前者の
薄帯は、例えば液体急冷法として単ロール法を採用した
場合、前記ロールの回転速度を高めることにより得られ
る。後者の薄帯は、例えば液体急冷法として単ロール法
を採用した場合、溶湯を噴射するノズルと単ロールとの
ギャップを調整することにより得られる。このような薄
帯を粉砕して得られた合金粉末を窒化処理することによ
り残留磁束密度がさらに向上された磁性材料を得ること
が可能になる。
【0036】前記窒化処理は、0.001〜100気圧
の窒素ガス雰囲気中、200〜700℃の温度下で行う
ことが好ましい。このような圧力および温度下での窒化
処理は、0.1〜300時間行えばよい。
【0037】特に、窒化処理時の窒素圧力をp(気
圧)、窒化処理温度をT(℃)とした時、pが2気圧以
上で、かつ2p+400≦T≦2p+420の関係を満
たすことが好ましい。
【0038】すなわち、本発明者らは前記合金粉末を窒
化処理する際、窒素圧力と窒素吸収開始温度との間に図
1に示す関係があることを見出した。ここで、窒素吸収
開始温度は、窒素含有ガス中で室温より昇温した場合に
窒素吸収が起こる温度とする。α−Fe相が磁性材料中
に析出し始める温度は、前記窒素吸収開始温度とほぼ等
しいため、窒素圧力を高めた場合、窒素圧力が低い場合
に比較して高温で窒化処理を行ってもα−Fe相の析出
を少なくすることが可能になる。したがって、前記条件
で窒化処理を行うことにより過剰のα−Fe相の析出を
抑制しつつ、前記合金粉末内部への窒素の拡散が容易に
なり、磁気特性が良好に磁性材料を得ることが可能にな
る。
【0039】ただし、窒素圧力が2気圧以上の条件でそ
の温度をT<2p+400にすると、窒化処理を行って
も単位時間当りの窒素吸収量が少なく、窒化処理時間が
長くなってコストの増大を招く恐れがある。一方、窒素
圧力が2気圧以上の条件でその温度をT>2p+420
にすると、窒素圧力を高めてもα−Fe相の析出が多く
なって、磁性材料の磁気特性を劣化させる恐れがある。
【0040】前記窒化処理の雰囲気は、窒素ガスに代え
てアンモニア等の窒素化合物ガスを用いてもよい。この
アンモニアの使用により、窒化反応速度を高めることが
可能になる。
【0041】前記窒化処理の前工程として0.001〜
100気圧の水素ガス雰囲気中、100〜700℃の温
度下で熱処理を行うか、または窒素ガスに水素を混合し
たガスを用いることにより、高効率の窒化を行うことが
可能になる。
【0042】前記窒化処理においては、窒素を含まない
別のガスを混合することも可能であるが、酸素を混合す
る場合には熱処理中の酸化物生成による磁気特性劣化を
避けるために、酸素分圧を0.02気圧以下にすること
が望ましい。
【0043】なお、前記合金粉末の調製過程においてR
N(Rは前述したR1およびR2からの選ばれる少なく
とも1種)等の窒素化合物を原料として用い、固相反応
により調製することによって前記A元素として窒素が配
合された磁性材料を製造することも可能である。
【0044】(4)A元素としてCを配合した磁性材料
の製造方法 まず、前記(2−1)、(2−2)の方法で得られた合
金材料をボールミル、ブラウンミル、スタンプミル、ジ
ェットミル等によって平均粒径数μm〜数100μmに
粉砕し、この合金粉末を例えばメタン等の炭素含有ガス
の雰囲気中で熱処理することにより炭素が取り込まれた
磁性材料を製造する。ただし、前記(2)の方法のよう
にメカニカルアロイング法またはメカニカルグラインデ
ィング法で製造された合金材料は粉末状態であるため前
記粉砕工程を省略することも可能である。
【0045】前記熱処理が施される合金粉末の原料とし
て前記(1)の液体急冷法で得られる合金材料(薄帯)
を用いる場合には、急冷直後の保磁力(iHc)が56
kA/m(700 Oe)以下、より好ましくは20k
A/m(250 Oe)以下であるか、もしくは厚さが
30μm以下の薄帯を用いることが望ましい。このよう
な薄帯を粉砕して得られた合金粉末を炭素含有ガスの雰
囲気中で熱処理することにより残留磁束密度がさらに向
上された磁性材料を得ることが可能になる。
【0046】前記熱処理は、0.001〜100気圧の
炭素含有ガスの雰囲気中、200〜700℃の温度下で
行うことが好ましい。このような圧力および温度下での
熱処理は、0.1〜300時間行えばよい。
【0047】A元素としてCを配合した磁性材料は、前
記メタンのような炭素含有ガスを用いる他に、合金の調
製段階で炭素を添加することにより製造することが可能
である。
【0048】なお、A元素としてリンを配合した磁性材
料は、合金の調製段階でリンを添加することにより製造
することが可能である。
【0049】(5)永久磁石の製造方法 永久磁石を製造する場合には、通常、前記磁性材料を粉
砕した合金粉末を用いる。ただし、前記磁性材料の製造
工程において既に粉砕が行われている場合にはこれを省
略することが可能である。このような合金粉末を用いて
下記に示すような方法で永久磁石を製造する。
【0050】(5−1)前記合金粉末をバインダと混合
し、圧縮成形することによりボンド磁石を製造する。
【0051】前記合金粉末としては、粒径2.8μm以
下の微細な粉末の含有量が5体積%以下、より好ましく
は2体積%以下であるものを用いることが望ましい。こ
のような微細な合金粉末は、比表面積が大きいために酸
化され易く、かつ固気反応によりα−Feを生成し易
い。このため、前記微細な合金粉末を含まない合金粉末
を用いることによって、磁気特性がより向上されたボン
ド磁石を得ることが可能になる。
【0052】前記合金粉末中の微細な粉末を除去するに
は、例えば前記合金粉末を気流分散機を用いて分級する
方法、または前記合金粉末を溶媒中に分散させ、浮遊粒
子を除去する方法等を採用することができる。
【0053】前記バインダは、例えばエポキシ樹脂、ナ
イロン等の合成樹脂を用いることができる。前記合成樹
脂としてエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂を用いる場
合には、圧縮成形後、100〜200℃の温度でキュア
処理を施すことが好ましい。前記合成樹脂としてナイロ
ンのような熱可塑性樹脂を用いる場合には、射出成形法
を用いることが望ましい。
【0054】前記圧縮成形工程において、磁場を印加し
て合金粉末の結晶方位を揃えることにより、高磁束密度
を有するボンド磁石を得ることが可能になる。
【0055】前記ボンド磁石において、R2 Fe14B相
(ただし、RはYを含む希土類元素から選ばれる少なく
とも1つの元素を示す)を主相とする磁性材料粉末を含
むことを許容する。
【0056】前記一般式R1x R2y z u
100-x-y-z-u (u=0)の合金粉末を窒化処理する際、
粉末内部まで十分かつ均一に窒化するためには粉末粒径
は小さい、例えば50μm以下、更には30μm以下程
度、であることが好ましい。ただし、前述したように比
表面積を大きくする粒径2.8μm以下の微細な粉末の
含有量が5体積%以下である合金粉末を用いることが好
ましい。しかしながら、このような50μm以下の微細
な粉末を用いてボンド磁石を製造すると、充填率を上げ
ることが困難になる。その結果、ボンド磁石の磁気特性
を向上することが困難になる。
【0057】一方、前記R2 Fe14B系の磁性材料は余
り細かく粉砕すると磁気特性が劣化する。したがって、
比較的大きい粒径、例えば50μm以上程度の粒径を有
するR2 Fe14B系の粉末と、それより粒径の小さい前
記一般式R1x R2y z u 100-x-y-z-u の粉末と
を混合して用いることにより、充填率を向上することが
でき、結果として磁気特性の優れたボンド磁石を得るこ
とができる。
【0058】前記一般式R1x R2y z u
100-x-y-z-u にて表される合金粉末(A)と前記R2
14B相を主相とする合金粉末(B)の混合比率は、重
量割合でA/Bが0.1〜10であること好ましい。前
記A/Bを0.1未満にすると、ボンド磁石中に占める
残留磁束密度のような磁気特性の優れた合金粉末(A)
の量が低下して磁気特性を十分に高めることが困難にな
る。一方、前記A/Bが10を越えると、ボンド磁石の
最密充填性を改善することが困難になる。
【0059】(5−2)前記合金粉末を低融点金属また
は低融点合金と混合した後、圧縮成形することによりメ
タルボンド磁石を製造する。
【0060】前記低融点金属としては、例えばAl、P
b、Sn、Zn、Cu、Mgなどの金属を挙げることが
でき、前記合金は前記金属の合金を用いることができ
る。
【0061】前記圧縮成形工程において、磁場を印加し
て前記合金粉末の結晶方位を揃えることにより、高磁束
密度を有するメタルボンド磁石を得ることが可能にな
る。
【0062】(5−3)前記合金粉末をホットプレスま
たは熱間静水圧プレス(HIP)により高密度の成形体
として一体化することにより永久磁石を製造する。
【0063】前記加圧工程において、磁場を印加して前
記合金粉末結晶方位を揃えることにより、高磁束密度を
有する永久磁石を製造できる。
【0064】前記加圧工程後に300〜700℃の温度
で加圧しながら塑性変形加工を施すことにより、前記合
金粉末が磁化容易軸方向に配向した永久磁石を製造する
ことが可能になる。
【0065】(5−4)前記合金粉末を焼結することに
より永久磁石を製造する。
【0066】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0067】(実施例1)まず、高純度のSm、Zr、
Co、Fe原料を、Ar雰囲気中でアーク溶解してイン
ゴットを調製した。インゴットの組成は、Sm7.5原
子%、Zr2.5原子%、Co27原子%、残部をFe
とした。このインゴットを20g程度の小片に切り出
し、60mg程度のBとともに石英製のノズルに装填
し、アルゴンガス雰囲気中で高周波誘導加熱により溶融
した後、溶湯を周速40m/sで回転する銅製の単ロー
ル上に噴出して合金薄帯を作製した。噴出する際の温度
は、1300℃とした。ICPによる組成分解の結果、
前記合金薄帯中には1.88原子%のBが含有され、S
7.35Zr2.45Co26.51.88Febal の組成を有する
ものであった。つづいて、前記合金薄帯を石英管に真空
封入し、720℃で15分間熱処理を施した。
【0068】前記熱処理後の合金薄帯における生成相を
X線回折にて調べた。その結果、回折パターン上、微小
なα−Feの回折ピークの他はすべての回折ピークが六
方晶系のTbCu7 型結晶構造にて指数付けされ、Tb
Cu7 相が主相をなすことが確認された。また、X線回
折の結果より、TbCu7 相の格子定数はa=0.48
53nm、c=0.4184nmと評価でき、格子定数
比c/aは0.8621であることがわかった。
【0069】前記熱処理後の合金薄帯について、乳鉢を
用いて粒径100μm以下に粉砕し、この磁性材料粉末
にエポキシ樹脂を2重量%添加し混合した後、8000
kg/cm2 の圧力で圧縮成型し、さらに150℃の温
度で2.5時間キュア処理を施することによりボンド磁
石を製造した。
【0070】得られたボンド磁石の室温における磁気特
性を測定した結果、残留磁束密度、保磁力及び最大エネ
ルギー積はそれぞれ0.75T、210kA/m、64
kJ/m3 であった。
【0071】(実施例2)前記実施例1の合金薄帯を石
英管に真空封入し、720℃で15分間熱処理を施し
た。熱処理材について、乳鉢を用いて粒径32μm以下
に粉砕した後、1気圧の窒素ガス雰囲気中、440℃で
65時間熱処理(窒化処理)を施して磁性材料粉末を合
成した。この磁性材料粉末の組成は、Sm6.76Zr2.25
Co24.35 1.708.12Febal であった。
【0072】前記磁性材料粉末における生成相をX線回
折にて測定することにより図2に示すX線回折パターン
を得た。図2に示すように、回折パターン上、微小なα
−Feの回折ピークの他はすべての回折ピークが六方晶
系のTbCu7 型結晶構造にて指数付けされ、TbCu
7 相が主相をなすことが確認された。また、X線回折の
結果より、TbCu7 相の格子定数はa=0.4927
nm、c=0.4255nmと評価でき、格子定数比c
/aは0.8636であることがわかった。
【0073】次いで、前記磁性材料粉末をエタノール中
で浮遊させ、浮遊物を除去することにより粒径3.8μ
m以下の微細な粉末を5体積%以下まで除去した。この
ような微粉除去後の磁性材料粉末にエポキシ樹脂を2重
量%添加し混合した後、8000kg/cm2 の圧力で
圧縮成型し、その後150℃の温度で2.5時間キュア
処理を施したボンド磁石を製造した。
【0074】得られたボンド磁石の室温における磁気特
性を測定した結果、残留磁束密度、保磁力及び最大エネ
ルギー積はそれぞれ0.75T、560kA/m、81
kJ/m3 であった。
【0075】(実施例3〜10)まず、高純度のSm、
Nb、Pr、Dy、Zr、Hf、V、Ni、Cr、A
l、Ga、Mo、W、Si、Co、Feの各原料をAr
雰囲気中でアーク溶解して8種のインゴットを作製し
た。つづいて、これらのインゴットの小片を硼素(B)
とともに石英製のノズルにそれぞれ装填し、アルゴンガ
ス雰囲気中で高周波誘導加熱により溶融した後、溶湯を
周速40m/sで回転する銅製の単ロール上に噴出して
8種の合金薄帯を作製した。これらの合金薄帯を石英管
に真空封入し、720℃で15分間熱処理を施し、さら
に乳鉢を用いて粒径32μm以下に粉砕した後、1気圧
の窒素ガス雰囲気中、440℃で65時間熱処理(窒化
処理)をそれぞれ施することにより下記表1に示す組成
の8種の磁性材料粉末を合成した。
【0076】前記各磁性材料粉末は、X線回折の結果、
全てTbCu7 相が主相をなすことが確認され、その格
子定数比c/aは0.854〜0.876の範囲である
ことがわかった。
【0077】次いで、前記磁性材料粉末を用いて前記実
施例2と同様な方法により8種のボンド磁石を製造し
た。
【0078】得られた各ボンド磁石の室温における残留
磁束密度、保磁力、最大エネルギー積を調べた。これら
の結果を下記表1に併記した。
【0079】
【表1】
【0080】前記表1から明らかなように実施例3〜1
0のボンド磁石は、残留磁束密度、保磁力、最大エネル
ギー積が大きく、優れた磁気特性を示すことがわかる。
【0081】(比較例1)まず、高純度のSm、Zr、
Fe、Coの各原料を所定量調合し、実施例1と同様な
条件で合金薄帯を作製し、真空中で熱処理した後、実施
例2と同様の方法で窒化処理を施して磁性材料粉末を製
造した。なお、インゴットの組成はSm7.5原子%、
Zr2.5原子%、Co27原子%、残部をFeとし
た。またBの添加量は14原子%となるように調整し
た。
【0082】得られた磁性材料粉末のX線回折を行なっ
た結果、TbCu7 相、R2 Fe14B相及びα−Fe相
の生成が確認された。また、それぞれの相のメインピー
クの回折強度比は、TbCu7 相:R2 Fe14B相:α
−Fe相=19:33:48であった。
【0083】次いで、前記磁性材料粉末を用いて実施例
1と同様にしてボンド磁石を製造した。得られたボンド
磁石の室温における残留磁束密度、保磁力、最大エネル
ギー積は、それぞれ0.12T、32kA/m、1.0
kJ/m3 と低い磁気特性であった。これは、磁性材料
中の硼素(B)の配合量が本発明の範囲(10原子%以
下)を越え、前述した粉末X線回折の結果からα−Fe
相およびR2 Fe14B相の析出が著しいことに起因する
ものと考えられる。
【0084】(比較例2)高純度のSm、Zr、Fe、
Coの各原料を所定量調合し、実施例1と同様な条件で
合金薄帯を作製し、真空中で熱処理した後、実施例2と
同様の方法で窒化処理を施して磁性材料粉末を製造し
た。なお、インゴットの組成はSm7.5原子%、Zr
2.5原子%、Co27原子%、残部がFeであり、B
は添加されていなかった。
【0085】得られた磁性材料粉末について、粉末のX
線回折を行なった結果、実施例1と同様にTbCu7
が主相をなすことが確認され、TbCu7 相の格子定数
比c/aは0.861であることがわかった。
【0086】次いで、前記磁性材料粉末を用いて実施例
1と同様にしてボンド磁石を製造した。得られたボンド
磁石の室温における残留磁束密度、保磁力、最大エネル
ギー積は、それぞれ0.60T、550kA/m、57
kJ/m3 であり、実施例2と比較して磁気特性が劣
る。これは、Bの添加を行わなかったことにより、残留
磁束密度が実施例2より小さく、これに起因して最大エ
ネルギー積も実施例1より低下したものと推測される。
【0087】(実施例11−1〜11−3)まず、高純
度のSm、Zr、Co、Feの各原料を、Ar雰囲気中
でアーク溶解してインゴットを調製した。なお、インゴ
ットの組成はSm7.5原子%、Zr2.5原子%、C
o27.0原子%、残部がFeであった。このインゴッ
トを所定量のBとともに石英製のノズルに装填し、アル
ゴンガス雰囲気中で高周波誘導加熱により溶融した後、
溶湯を周速40m/sで回転する直径300mmの銅製
の単ロール上に噴出して合金薄帯を作製した。噴出する
際の温度は、1350℃とした。ICPによる組成分析
の結果、前記合金薄帯中には1.9原子%のBが含有さ
れ、Sm7.4 Zr2.4 Co29.81.9 Febal の組成を
有するものであった。得られた合金薄帯の保磁力を振動
試験型磁力計(VSM)を用いて測定した。その結果、
保磁力は12〜68kA/mであった。
【0088】次いで、保磁力が12kA/m、36kA
/mおよび68kA/mの合金薄帯を選び、これら合金
薄帯をそれぞれ不活性雰囲気(Ar;0.9気圧)中、
700℃で30分間熱処理を施した。つづいて、これら
合金薄帯をボールミルにより平均粒径20μm前後にそ
れぞれ粉砕した後、それぞれ1気圧の窒素ガス雰囲気
中、450℃で50時間熱処理(窒化処理)を施するこ
とにより下記表2に示す組成の3種の磁性材料粉末を合
成した。
【0089】前記各磁性材料粉末は、X線回折の結果、
全てTbCu7 相が主相をなすことが確認され、その格
子定数比c/aは0.854〜0.876の範囲である
ことがわかった。
【0090】前記各磁性材料粉末について、振動試験型
磁力計(VSM)を用いて磁気特性(残留磁束密度、最
大エネルギー積)を調べた。なお、これらの磁気特性は
磁性材料粉末の密度を7.74g/cm3 として計算
し、反磁界係数0.15として補正した結果を下記表2
に示す。
【0091】(実施例12〜15)まず、高純度のS
m、Nb、Pr、Dy、Zr、Hf、Mn、Ni、C
r、Al、Ga、Mo、W、Si、Nb、Co、Feの
各原料をAr雰囲気中でアーク溶解した後、鋳型に注入
して4種のインゴットを作製した。これらのインゴット
を所定量のBとともに石英製のノズルに装填し、アルゴ
ンガス雰囲気中で高周波誘導加熱により溶融した後、溶
湯を周速40m/sで回転する直径300mmの銅製の
単ロール上に噴出して合金薄帯を作製した。前記各溶湯
を噴出する際の温度は、1320℃とした。ICPによ
る組成分析の結果、前記各合金薄帯中には1.1原子
%、1.6原子%、0.5原子%、1.7原子%のBが
それぞれ含有され、Sm7.9 Zr2.2 Ni3.3 Ga1.1
Co22.01.1 Febal.(実施例12)、Sm6.5 Nd
1.1 Zr2.6 Mo2.2 Cr1.1 Si1.1 Co25.01.6
Feba l.(実施例13)、Sm7.4 Pr1.1 Zr1.6
0.5 0.5 Al0.2 2.2 Co33.90.5 Fe
bal.(実施例14)、Sm7.2 Nd0.6 Dy2.2 Zr
2.7 Mn 1.1 Nb1.1 Co26.01.7 Febal.(実施例
15)の組成を有するものであった。得られた各合金薄
帯の保磁力を振動試験型磁力計(VSM)を用いて測定
した。その結果、実施例12〜15の合金薄帯の保磁力
はそれぞれ20kA/m、33kA/m、29kA/
m、22kA/mであった。
【0092】次いで、前記各合金薄帯をそれぞれ不活性
雰囲気(Ar;0.9気圧)中、700℃で30分間熱
処理を施した。つづいて、これら合金薄帯をボールミル
により平均粒径20μm前後にそれぞれ粉砕した。ひき
つづき、実施例12、13、14の合金粉末をそれぞれ
1気圧の窒素ガス雰囲気中、450℃で50時間熱処理
(窒化処理)を施することにより下記表2に示す組成の
3種の磁性材料粉末を合成した。また、実施例15の合
金粉末を0.02気圧のアンモニアガスおよび1気圧の
窒素ガスの雰囲気中、350℃で10時間熱処理を施す
ることにより下記表2に示す組成の磁性材料粉末を合成
した。
【0093】前記各磁性材料粉末は、X線回折の結果、
全てTbCu7 相が主相をなすことが確認され、その格
子定数比c/aは0.854〜0.876の範囲である
ことがわかった。
【0094】前記各磁性材料粉末について、振動試験型
磁力計(VSM)を用いて磁気特性(残留磁束密度、最
大エネルギー積)を調べた。なお、これらの磁気特性は
磁性材料粉末の密度を7.74g/cm3 として計算
し、反磁界係数0.15として補正した結果を下記表2
に示す。
【0095】
【表2】
【0096】前記表2から明らかなように急冷直後の保
磁力が56kA/m以下の合金薄帯(12kA/m、3
6kA/m)を用いて窒化処理することにより得られた
実施例11−1、11−2の磁性材料粉末は、いずれも
最大エネルギー積が急冷直後の保磁力が56kA/mを
越える合金薄帯(68kA/m)を用いて窒化処理する
ことにより得られた実施例11−3の磁性材料粉末に比
べて大きいことがわかる。
【0097】また、急冷直後の保磁力が56kA/m以
下の合金薄帯を用いて窒化処理することにより得られた
実施例12〜15の磁性材料粉末は、いずれも磁気特性
が優れていることがわかる。
【0098】なお、実施例11−1〜11−3の合金薄
帯の作製において、保磁力が56kA/mを越えるもの
の割合が30%弱であったが、溶湯が噴射される銅ロー
ルの回転速度(周速度)を42m/secにすることに
より保磁力が56kA/mを越えるものの割合を5%未
満にすることができ、特に得られた合金薄帯を分別する
ことなくそのまま加熱処理、粉砕、窒化処理等を施すこ
とにより実施例11−1、11−2と同様な特性を有す
る磁性材料粉末を得ることができる。
【0099】(実施例16−1、16−2)まず、高純
度のSm、Zr、Co、Feの各原料を、Ar雰囲気中
でアーク溶解してインゴットを調製した。なお、インゴ
ットの組成はSm7.5原子%、Zr2.5原子%、C
o27原子%、残部がFeであった。このインゴットを
所定量のBとともに石英製のノズルに装填し、アルゴン
ガス雰囲気中で高周波誘導加熱により溶融した後、溶湯
を周速40m/sで回転する直径300mmの銅製の単
ロール上に噴出して合金薄帯を作製した。噴出する際の
温度は、1350℃とした。ICPによる組成分析の結
果、前記合金薄帯中には1.9原子%のBが含有され、
Sm7.4 Zr2.4 Co29.81.9 Febal の組成を有す
るものであった。得られた複数の合金薄帯の厚さをノギ
スを用いて測定した。その結果、前記各合金薄帯の厚さ
は5〜45μmであった。
【0100】次いで、厚さが30μm以下の合金薄帯お
よび厚さが30μmを越える合金薄帯をそれぞれ選び、
これら合金薄帯をそれぞれ不活性雰囲気(Ar;0.9
気圧)中、700℃で30分間熱処理を施した。つづい
て、これら合金薄帯をボールミルにより平均粒径20μ
m前後にそれぞれ粉砕した後、それぞれ1気圧の窒素ガ
ス雰囲気中、430℃で100時間熱処理(窒化処理)
を施することにより下記表3に示す組成の2種の磁性材
料粉末を合成した。
【0101】前記各磁性材料粉末は、X線回折の結果、
全てTbCu7 相が主相をなすことが確認され、その格
子定数比c/aは0.854〜0.876の範囲である
ことがわかった。
【0102】前記各磁性材料粉末について、振動試験型
磁力計(VSM)を用いて磁気特性(残留磁束密度、最
大エネルギー積)を調べた。なお、これらの磁気特性は
磁性材料粉末の密度を7.74g/cm3 として計算
し、反磁界係数0.15として補正した結果を下記表3
に示す。
【0103】(実施例17〜20)まず、高純度のS
m、Nb、Pr、Dy、Zr、Hf、Mn、Ni、C
r、Al、Ga、Mo、W、Si、Nb、Co、Feの
各原料をAr雰囲気中でアーク溶解した後、鋳型に注入
して4種のインゴットを作製した。これらのインゴット
を所定量のBとともに石英製のノズルに装填し、アルゴ
ンガス雰囲気中で高周波誘導加熱により溶融した後、溶
湯を周速40m/sで回転する直径300mmの銅製の
単ロール上に噴出して合金薄帯を作製した。前記各溶湯
を噴出する際の温度は、1340℃とした。ICPによ
る組成分析の結果、前記各合金薄帯中には1.1原子
%、1.6原子%、0.5原子%、1.7原子%のBが
それぞれ含有され、Sm7.9 Zr2.2 Ni3.3 Ga1.1
Co22.01.1 Febal.(実施例17)、Sm6.5 Nd
1.1 Zr2.6 Mo2.2 Cr1.1 Si1.1 Co25.01.6
Feba l.(実施例18)、Sm7.4 Pr1.1 Zr1.6
0.5 0.5 Al0.2 Co33.90.5 2.2 Fe
bal.(実施例19)、Sm7.2 Nd0.6 Dy2.2 Zr
2.7 Mn 1.1 Nb1.1 Co26.01.7 Febal.(実施例
20)の組成を有するものであった。得られた各合金薄
帯の厚さをノギスを用いて測定した。その結果、前記各
合金薄帯は下記表3に示す厚さを有していた。
【0104】次いで、前記各合金薄帯をそれぞれ不活性
雰囲気(Ar;0.9気圧)中、700℃で30分間熱
処理を施した。つづいて、これら合金薄帯をボールミル
により平均粒径20μm前後にそれぞれ粉砕した。ひき
つづき、実施例17、18、19の合金粉末をそれぞれ
1気圧の窒素ガス雰囲気中、430℃で100時間熱処
理(窒化処理)を施することにより下記表3に示す組成
の3種の磁性材料粉末を合成した。また、実施例20の
合金粉末を0.02気圧のアンモニアガスおよび1気圧
の窒素ガスの雰囲気中、350℃で10時間熱処理を施
することにより下記表3に示す組成の磁性材料粉末を合
成した。
【0105】前記各磁性材料粉末は、X線回折の結果、
全てTbCu7 相が主相をなすことが確認され、その格
子定数比c/aは0.854〜0.876の範囲である
ことがわかった。
【0106】前記各磁性材料粉末について、振動試験型
磁力計(VSM)を用いて磁気特性(残留磁束密度、最
大エネルギー積)を調べた。なお、これらの磁気特性は
磁性材料粉末の密度を7.74g/cm3 として計算
し、反磁界係数0.15として補正した結果を下記表3
に示す。
【0107】
【表3】
【0108】前記表3から明らかなように急冷直後の厚
さが30μm以下の合金薄帯(厚さ15〜20μm)を
用いて窒化処理することにより得られた実施例16−1
の磁性材料粉末は、最大エネルギー積が急冷直後の厚さ
が30μmを越える合金薄帯(厚さ32〜36μm)を
用いて窒化処理することにより得られた実施例16−2
の磁性材料粉末に比べて大きいことがわかる。
【0109】また、急冷直後の厚さが30μm以下の合
金薄帯を用いて窒化処理することにより得られた実施例
17〜20の磁性材料粉末は、いずれも磁気特性が優れ
ていることがわかる。
【0110】(実施例21〜30)まず、高純度のS
m、Zr、Co、B、Feの各原料を、Ar雰囲気中で
アーク溶解してインゴットを調製した。なお、インゴッ
トの組成はSm7.7原子%、Zr2.5原子%、Co
27原子%、B2.2原子%、残部がFeであった。こ
のインゴットを石英製のノズルに装填し、アルゴンガス
雰囲気中で高周波誘導加熱により溶融した後、溶湯を周
速45m/sで回転する直径300mmの銅製の単ロー
ル上に噴出して合金薄帯を作製した。噴出する際の温度
は、1360℃とした。
【0111】次いで、前記合金薄帯を石英管に真空封入
し、700℃で20分間熱処理を施した。この熱処理合
金薄帯をボールミルを用いて平均粒径30μm以下に粉
砕した。この合金粉末についてX線回折を行った。その
結果、TbCu7 相が主相をなすことが確認された。ま
た、X線回折の結果より、TbCu7 相の格子定数はa
=0.486nm、c=0.419nmと評価でき、格
子定数比c/aは0.862であることがわかった。
【0112】次いで、前記合金粉末について下記表4に
示す条件で窒化処理をそれぞれ施することにより10種
の磁性材料粉末を合成した。
【0113】前記各磁性材料粉末について、α−Fe相
の割合および振動試験型磁力計(VSM)を用いて最大
エネルギー積を調べた。なお、α−Fe相の割合はX線
回折から求めたα−Fe相の主反射強度(IFe)および
TbCu7 相の主反射強度(ITb)を下記式に代入する
ことにより算出した主反射強度比(I)により評価し
た。
【0114】 I(%)=[IFe/(IFe+ITb)]×100 また、前記最大エネルギー積は磁性材料粉末の密度を
7.74g/cm3 として計算し、反磁界係数0.15
として補正した。これらの結果を下記表4に示す。
【0115】
【表4】
【0116】前記表4から明らかなように窒化処理時の
窒素圧力をp(気圧)、窒化処理温度をT(℃)とした
時、pが2気圧以上で、かつ2p+400≦T≦2p+
420の関係を満たす条件で窒化処理することにより得
られた実施例21〜28の磁性材料粉末は、最大エネル
ギー積が前記条件から外れる窒化処理を施すことにより
得られた実施例29、30の磁性材料粉末に比べて高
く、磁気特性がより向上されることがわかる。
【0117】(実施例31−1、31−2)まず、高純
度のSm、Zr、Co、B、Feの各原料を、Ar雰囲
気中でアーク溶解してインゴットを調製した。なお、イ
ンゴットの組成はSm7.7原子%、Zr2.5原子
%、Co27原子%、B2.2原子%、残部がFeであ
った。このインゴットを石英製のノズルに装填し、アル
ゴンガス雰囲気中で高周波誘導加熱により溶融した後、
溶湯を周速45m/sで回転する直径300mmの銅製
の単ロール上に噴出して合金薄帯を作製した。噴出する
際の温度は、1300℃とした。
【0118】次いで、前記合金薄帯を石英管に真空封入
し、700℃で20分間熱処理を施した。つづいて、こ
の熱処理合金薄帯をボールミルを用いて粉砕し、分級す
ることにより下記表5に示す粒度分布を有する合金粉末
(実施例31−1)および粒径22μm以下の合金粉末
(実施例31−2)を得た。実施例31−1の合金粉末
は、下記表5に示すように粒径2.8μm以下の微細粉
末の体積比率が0.93%であることが確認された。
【0119】
【表5】
【0120】次いで、前記各合金粉末を10気圧の窒素
ガス雰囲気中、440℃で65時間熱処理(窒化処理)
を施することにより下記表6に示す組成の2種の磁性材
料粉末を合成した。得られた各磁性材料粉末についてX
線回折を行った。その結果、α−Feの回折ピークのほ
かはすべて回折ピークがTbCu7 型結晶構造で指数付
けられることが確認された。また、X線回折の結果よ
り、TbCu7 相の格子定数はa=0.4930nm、
c=0.4252nmと評価でき、格子定数比c/aは
0.8625であることがわかった。さらに、前記各磁
性材料粉末について粒度分布測定を行った。その結果、
実施例31−1の磁性材料粉末は粒径2.8μm以下の
微細粉末の含有量が体積比率で1.08%、実施例31
−2の磁性材料粉末の同粒径の微細粉末の含有量が体積
比率で5.35%、であった。
【0121】次いで、前記各磁性材料粉末にエポキシ樹
脂を2重量%添加し混合した後、8000kg/cm2
の圧力で圧縮成型し、さらに150℃の温度で2.5時
間キュア処理を施することにより2種のボンド磁石を製
造した。
【0122】得られた各ボンド磁石の室温における磁気
特性(残留磁束密度、保磁力および最大エネルギー積)
を測定した。その結果を下記表6に併記する。
【0123】(実施例32〜36)まず、高純度のS
m、Nb、Pr、Er、Zr、Hf、Ni、V、Ga、
Mo、W、Si、B、Co、Feの各粉末をAr雰囲気
中でアーク溶解した後、鋳型に注入して5種のインゴッ
トを作製した。これらのインゴットを石英製のノズルに
装填し、アルゴンガス雰囲気中で高周波誘導加熱により
溶融した後、溶湯を周速45m/sで回転する銅製の単
ロール上に噴出して合金薄帯を作製した。前記各溶湯を
噴出する際の温度は、1310℃とした。ICPによる
組成分析の結果、前記各合金薄帯はSm6.3 Nd2.2
2.2 Mo2.2 Si1.1 Co22.80.9Febal.(実施
例32)、Sm7.2 Pr1.1 Zr2.2 2.2 1.1 Ni
3.2 Co 17.20.9 Febal.(実施例33)、Sm8.2
Er1.1 Zr1.1 Hf1.1 Mo2. 2 Ga1.1 Co20.7
0.9 Febal.(実施例34)、Sm6.6 Nd2.2 Zr
2.2Co15.21.4 1.1 Febal.(実施例35)、S
7.6 Nd1.1 Zr2.2 Co 15.11.9 Febal.(実施
例36)の組成を有するものであった。
【0124】次いで、前記各合金薄帯をそれぞれ石英管
に真空封入し、700℃で20分間熱処理を施した。つ
づいて、これら熱処理合金薄帯をボールミルを用いて粉
砕して合金粉末を得た。
【0125】次いで、前記各合金粉末を10気圧の窒素
ガス雰囲気中、440℃で65時間熱処理(窒化処理)
を施することにより下記表6に示す組成の5種の磁性材
料粉末を合成した。得られた各磁性材料粉末についてX
線回折を行った。その結果、α−Feの回折ピークのほ
かはすべて回折ピークがTbCu7 型結晶構造で指数付
けられることが確認された。また、X線回折の結果よ
り、格子定数比c/aは0.852〜0.873である
ことがわかった。さらに、前記各磁性材料粉末について
粒度分布測定を行った。その結果、実施例32〜36の
磁性材料粉末は粒径2.8μm以下の微細粉末の含有量
がそれぞれ体積比率で1.01%、1.23%、2.0
6%、0.98%、0.92%、であった。
【0126】次いで、前記各磁性材料粉末にエポキシ樹
脂を2重量%添加し混合した後、8000kg/cm2
の圧力で圧縮成型し、さらに150℃の温度で2.5時
間キュア処理を施することにより5種のボンド磁石を製
造した。
【0127】得られた各ボンド磁石の室温における磁気
特性(残留磁束密度、保磁力および最大エネルギー積)
を測定した。その結果を下記表6に併記する。
【0128】
【表6】
【0129】前記表6から明らかなように粒径2.8μ
m以下の微細粉末の含有割合が5体積%以下の磁性材料
粉末を用いて得られた実施例31−1のボンド磁石は、
室温における残留磁束密度、保磁力および最大エネルギ
ー積がいずれも同粒径の微細粉末の含有割合が5体積%
を越える磁性材料粉末を用いて得られた実施例31−2
のボンド磁石に比べて優れていることがわかる。
【0130】また、粒径2.8μm以下の微細粉末の含
有割合が5体積%以下の磁性材料粉末を用いて得られた
実施例32〜36のボンド磁石は、室温における残留磁
束密度、保磁力および最大エネルギー積が優れているこ
とがわかる。
【0131】(実施例37−1〜37−5)まず、高純
度のSm、Zr、Co、Fe原料を、Ar雰囲気中でア
ーク溶解してインゴットを調製した。インゴットの組成
は、Sm7.5原子%、Zr2.5原子%、Co27原
子%、残部をFeとした。このインゴットをBとともに
石英製のノズルに装填し、アルゴンガス雰囲気中で高周
波誘導加熱により溶融した後、溶湯を周速42m/sで
回転する銅製の単ロール上に噴出して合金薄帯を作製し
た。噴出する際の温度は、1350℃とした。ICPに
よる組成分解の結果、前記合金薄帯中には2.16原子
%のBが含有されていることがわかった。
【0132】次いで、前記合金薄帯を石英管に真空封入
し、720℃で15分間熱処理を施した。前記熱処理後
の合金薄帯を乳鉢を用いて粒径30μm以下に粉砕した
後、10気圧の窒素ガス雰囲気中、450℃で80時間
熱処理(窒化処理)を施して磁性材料粉末を合成した。
この磁性材料粉末の組成は、Sm6.88Zr2.29Co24
.77 1.979.00Febal であった。
【0133】前記磁性材料粉末は、X線回折の結果よ
り、微小なα−Feの回折ピークの他はすべての回折ピ
ークが六方晶系のTbCu7 型結晶構造にて指数付けさ
れ、TbCu7 相が主相をなすことが確認された。ま
た、X線回折の結果より、TbCu7 相の格子定数はa
=0.4925nm、c=0.4258nmと評価で
き、格子定数比c/aは0.8646であることがわか
った。
【0134】ついで、前記TbCu7 型の磁性材料粉末
と篩分けにより50μm以上の粒径のみからなるR2
14B系の磁性材料粉末(GM社製商品名;MQP−B
パウダー)とを下記表7に示す割合で混合した5種の混
合磁性材料粉末を調製し、これら混合磁性材料粉末にエ
ポキシ樹脂をそれぞれ2重量%添加し混合した後、80
00kg/cm2 の圧力で圧縮成型し、さらに150℃
の温度で2.5時間キュア処理を施することにより5種
のボンド磁石を製造した。
【0135】得られた各ボンド磁石の嵩密度および室温
における磁気特性(残留磁束密度、保磁力および最大エ
ネルギー積)を測定した。その結果を下記表7に併記す
る。なお、下記表7中には前記TbCu7 型の磁性材料
粉末のみを用いて製造したボンド磁石(実施例37−
6)とR2 Fe14B系の磁性材料粉末のみを用いて製造
したボンド磁石(比較例3)の嵩密度および室温におけ
る磁気特性を併記する。
【0136】
【表7】
【0137】前記表7から明らかなようにTbCu7
の磁性材料粉末とR2 Fe14B系の磁性材料粉末からな
る混合磁性材料粉末を用いて製造した実施例37−1〜
37−5のボンド磁石はTbCu7 型の磁性材料粉末を
用いて製造した実施例37−6のボンド磁石に比べて充
填密度が向上し、磁石の高性能化が図れたことがわか
る。
【0138】また、R2 Fe14B系の磁性材料粉末のみ
を用いて製造した比較例3のボンド磁石は腐食し易く、
これに伴う磁気特性の劣化が顕著である。
【0139】これに対し、TbCu7 型の磁性材料粉末
とR2 Fe14B系の磁性材料粉末からなる混合磁性材料
粉末を用いて製造した実施例37−1〜37−5のボン
ドは耐蝕性が向上される。例えば、湿度が90%、温度
80℃の恒温恒湿槽で50hの耐蝕試験を行なった後の
磁気特性の変化を調べた。TbCu7 型の磁性材料粉末
を50体積%以上含むホンド磁石は、錆の発生は認めら
れず優れた耐蝕性を示した。R2 Fe14B系の磁性材料
粉末の比率が増えるにしたがって錆の発生が顕著にな
り、磁気特性の劣化も顕著となった。
【0140】下記表8に前記表7中の実施例37−1〜
37−3および比較例3の耐蝕試験の結果を示す。
【0141】
【表8】
【0142】
【0143】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば残
留磁束密度が高い磁性材料を提供することができる。ま
た、このような磁性材料を用いることにより、磁気特性
の優れたボンド磁石のような永久磁石を製造することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる合金粉末を窒化処理する際
の窒素圧力と窒素吸収開始温度との関係を示す特性図。
【図2】実施例2の磁性材料粉末のX線回折パターンを
示す特性図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳田 忠孝 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 佐橋 政司 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地 株式会 社東芝川崎事業所内 (72)発明者 新井 智久 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 橋本 啓介 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 R1x R2y z u 100-x-y-z-u ただし、R1は少なくとも一種の希土類元素(Yを含
    む)、R2はZr、Hf及びScから選ばれる少なくと
    も一種の元素、AはH、N、C及びPから選ばれる少な
    くとも一種の元素、MはFe及びCoの少なくとも1つ
    の元素、x、y、z及びuは原子%でそれぞれ2≦x、
    4≦x+y≦20、0.001≦z≦10、0≦u≦2
    0を示す、にて表され、主相がTbCu7 型結晶構造を
    有することを特徴とする磁性材料。
  2. 【請求項2】 前記TbCu7 型結晶構造の格子定数
    a、cの比であるc/aが0.847以上であることを
    特徴とする請求項1記載の磁性材料。
  3. 【請求項3】 前記一般式中のR1は、50原子%以上
    がSmであることを特徴とする請求項1または2記載の
    磁性材料。
  4. 【請求項4】 前記一般式中のzは、0.1≦z≦3で
    あることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の磁
    性材料。
  5. 【請求項5】 前記一般式中のMは、50原子%以上が
    Feであることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記
    載の磁性材料。
  6. 【請求項6】 前記一般式中のMは、70原子%以上含
    有することを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の
    磁性材料。
  7. 【請求項7】 前記一般式中のyは、0.1≦y≦10
    であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の
    磁性材料。
  8. 【請求項8】 前記一般式中のuは、0.1≦u≦10
    であることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の
    磁性材料。
  9. 【請求項9】 一般式 R1x R2y z u 100-x-y-z-u ただし、R1はYを含む希土類元素から選ばれる少なく
    とも1つの元素、R2はZr、HfおよびScから選ば
    れる少なくとも1つの元素、Aは、H、N、CおよびP
    から選ばれる少なくとも1つの元素、MはFeおよびC
    oから選ばれる少なくとも1つの元素、x、y、z、u
    はそれぞれ原子%でx≧2、4≦x+y≦20、0.0
    01≦z≦10、0≦u≦20である、にて表され、主
    相がTbCu7 型結晶構造を有する磁性材料粉末と、 バインダとを含むことを特徴とするボンド磁石。
  10. 【請求項10】 前記バインダは、合成樹脂からなるこ
    とを特徴とする請求項9記載のボンド磁石。
  11. 【請求項11】 前記磁性材料粉末は、粒径2.8μm
    以下の粉末の含有割合が5体積%以下であることを特徴
    とする請求項9または10記載のボンド磁石。
  12. 【請求項12】 R2 Fe14B相(ただし、RはYを含
    む希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素を示
    す)を主相とする磁性材料粉末がさらに配合されること
    を特徴とする請求項9乃至11いずれか記載のボンド磁
    石。
  13. 【請求項13】 前記一般式R1x R2y z u
    100-x-y-z-u の磁性材料粉末(A)と前記R2 Fe14
    相を主相とする磁性材料粉末(B)の混合比率は、重量
    割合でA/Bが0.1〜10であることを特徴とする請
    求項12記載のボンド磁石。
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