JPH1131509A - リチウムイオン2次電池用負極材料とその電極 - Google Patents

リチウムイオン2次電池用負極材料とその電極

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JPH1131509A
JPH1131509A JP9183975A JP18397597A JPH1131509A JP H1131509 A JPH1131509 A JP H1131509A JP 9183975 A JP9183975 A JP 9183975A JP 18397597 A JP18397597 A JP 18397597A JP H1131509 A JPH1131509 A JP H1131509A
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教之 禰宜
Hideya Kaminaka
秀哉 上仲
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウムイオン2次電池用のバインダ含有電
極における金属間化合物粉末の充填密度と粉末間の電気
的接触を改善することで粉末の利用率を高め、繰り返し
充放電による利用率低下を抑制する。 【解決手段】 大径粉末と小径粉末との混合物とし、平
均粒子径の比が大径粉末:小径粉末=2:1〜20:1で
ある大小2種類の金属間化合物粉末を、大径粉末:小径
粉末の重量比=5:1〜1.5 :1の割合で混合する。大
径粒子が球形粉末であり、かつ前記小径粒子が球形また
は不定形粉末である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン2
次電池用負極金属間化合物粉末と、それを用いて作製し
たリチウムイオン2次電池用の負極に関する。本発明に
かかるリチウム2次電池用の負極粉末を用いて作製した
電極は、活物質であるリチウムの利用率が高く、長期寿
命に優れるリチウムイオン2次電池を構成することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】携帯用の小型電気・電子機器の普及に伴
い、Ni−水素電池やリチウムイオン電池といった新型の
2次電池の開発が盛んになってきている。
【0003】この中でリチウムイオン電池は、リチウム
を負極活物質とし、非水溶媒を電解液に用いる電池であ
る。リチウムが非常に卑な金属であるため、高電圧を取
り出すことができ、エネルギー密度の高い電池となるこ
とから、1次電池として大量に使用されている。しかし
金属リチウムを2次電池に適用すると、充放電の繰り返
しによって負極からリチウムがデンドライト状に成長
し、絶縁体であるセパレータを貫通して正極と短絡する
ようになるため、充放電の繰り返しのサイクル寿命が短
いという欠点があった。
【0004】このような金属リチウムを負極に用いた2
次電池の問題点を解決する一つの手段として、リチウム
イオンを吸蔵・放出することのできる炭素質材料 (例、
天然黒鉛、人造黒鉛、石油コークス、樹脂焼成体、炭素
繊維、熱分解炭素、カーボンブラック、メソフェーズ小
球体、バルクメソフェーズなど) を負極材料として用い
ることが提案された。例えば、特開昭57−208079号公
報、特開平4−115458号、同5−234584号、同5−3079
58号公報など。
【0005】この炭素質材料から負極を構成したリチウ
ムイオン2次電池では、充放電時の負極での反応は、リ
チウムイオン (Li+ ) が炭素 (黒鉛) の層間に出入りす
るだけである。すなわち充電時には、負極の炭素質材料
に電子が送り込まれて炭素は負に帯電し、正極に吸蔵さ
れていたリチウムイオンが脱離して負に帯電した負極の
炭素質材料に吸蔵 (インターカレート) される。逆に、
放電時には負極の炭素質材料に吸蔵されていたリチウム
イオンが脱離 (デインターカレート) して、正極に吸蔵
される。このような機構を用いることで金属リチウムの
負極での析出を防ぐことができ、デンドライトの析出に
よる負極劣化の問題を回避することができる。
【0006】しかし、上記のような炭素質材料を負極に
用いたリチウムイオン2次電池では、放電容量が小さか
ったり、あるいはリチウムイオンの吸蔵量の大きい高結
晶性の黒鉛質材料のものは、初期放電容量は高くても、
1サイクル目のクーロン効率(放電容量/充電容量) ×1
00 <%>) が極端に低下するため余分な電気量を消費
してしまうという欠点があった。
【0007】さらに、高結晶性のものはリチウムイオン
の出入りによる格子体積の膨張・収縮が繰り返し行われ
るため負極材料に割れが生じ、電池としてのサイクル特
性が優れないという欠点があった。
【0008】この炭素質材料に代わって金属間化合物を
リチウムイオンのホスト材料に用いる方法が提案され
た。これら金属間化合物にはFeSi2 、YSi2、MoSi2 など
が挙げられ、これを用いることで放電容量は黒鉛系炭素
質材料のもつ理論容量372mAh/gを超えるほど向上し、電
解液の反応によって生じる不可逆容量が低下することで
1サイクル目のクーロン効率が向上した。特開平7−24
0201号公報、特開平5−159780号公報および特開平9−
63651 号公報参照。このように、リチウムイオン2次電
池用の負極材料として金属間化合物粉末は、今まさに検
討が進められている。
【0009】このような材料を用いて作製するリチウム
イオン2次電池も、炭素質材料を使用して作製する電池
と同様の方法で作製が行われる。金属間化合物を用いた
リチウムイオン2次電池用の電極は、粉末状にした金属
間化合物をバインダとなる有機物と混合し、スラリまた
はペースト状とした後、これを電極基板上に塗布または
充填し、乾燥後に金属間化合物粉末の充填密度を高める
ためロール圧延等により加圧することにより作製するこ
とが一般的な方法である。
【0010】こうして作製されたシート状の電極を負極
とし、有機系電解液 (ジエチルカーボネート、プロピレ
ンカーボネート等) を含浸させたポリプロピレン製のセ
パレータを間に挟んで、コバルト酸リチウムなどを塗布
したアルミ製のシート状正極と一緒に渦巻き状に巻い
て、円筒形の密閉容器内に収容すると、円筒形のリチウ
ムイオン2次電池が製造される。
【0011】金属間化合物を用いた電極作製方法には上
記のような方法と、もう1つ別の金属間化合物電極の作
製方法として、有機物バインダを使用せずに成形した
後、高温に加熱して金属間化合物粉末を焼結させる方法
も考えられる。この焼結電極は絶縁性の有機物を含んで
いないので、合金粉末の充填密度が上がり、高容量の電
池を作製することができるが、高温の加熱工程が必要で
あって高価である上、得られた電極に可撓性がなく、渦
巻き状に曲げ加工することが困難であるため、次に述べ
る角型電池として使用するか、あるいは加工性を維持す
るために焼結の程度を弱くし、電気的特性をある程度犠
牲にする必要があった。
【0012】角型のリチウムイオン2次電池は、矩形に
裁断した複数枚のシート状の負極、正極、およびセパレ
ータを矩形容器内に組み込んだものである。しかし、複
数枚の極板やセパレータを組み込むため電池の構造が複
雑になり、円筒形電池に比べてかなり高価な電池にな
る。
【0013】リチウムイオン2次電池用負極金属材料の
粉末化法は、溶解した金属間化合物を金属製等の鋳型に
鋳造した後、得られたインゴットを粉砕する方法と、ガ
スアトマイズ法や回転電極法等により直接粉末状の金属
間化合物を得る方法とに大別される。得られる粉末の形
状は、前者の方法では不定形であり、後者の方法ではほ
ぼ球形である。他に、回転ドラム法等により得た薄帯状
の金属間化合物粉末を粉砕して得た不定形の粉末もあ
る。
【0014】このようにして得た金属間化合物を電極と
して使用する場合、金属間化合物の粉末が電気的接触を
保った状態で電極上に存在する必要があり、何らかの原
因で電気的接触が断たれた粉末粒子が存在すると、その
粒子は電極反応に寄与できなくなり、電気を貯える機能
を示さなくなる。電極作製時や電池の使用中にこのよう
な粉末粒子が多く存在すると、リチウムイオンを多く収
納し得る高容量の金属間化合物粉末を用いても、あるい
は粉末の充填密度が高くても、電極容量は低下してしま
う。この粉末間の電気的接触の欠如は、特に有機物バイ
ンダを用いた電極で問題となり、これは電気伝導性の低
い有機物が粉末粒子間に存在することに起因すると考え
られる。さらに金属間化合物の組成により、合金の導電
性は大きく異なり、特に硅化物を主体とする金属間化合
物の中でSiの組成割合が多いものは上記のような導電性
の低下が起こりやすい。
【0015】これを改善する手法として、球形の金属間
化合物粉末を用いて電極への粉末充填率を向上させる方
法が考えられるが、球形粉末は粉末粒子間の接触が点接
触となり、電気的接触面積が小さいため、金属間化合物
粉末の充填密度は高くなっても電極として利用可能な容
量が小さくなることが起こりうるのである。またさら
に、電極に塗布された金属間化合物粉末は、電池の充放
電 (すなわち、リチウムイオンの吸収・脱離) の繰り返
し毎に起こる体積の膨張・収締による歪み等が原因とな
って、細かなひび割れにより微粉化することが考えら
れ、接触点の少ない球形粉末の場合には、ヒビ割れによ
り1つの粒子が分割され、接触点が粒子本体から切り離
される確率が高く、充放電の繰り返しにより容量が低下
しやすいという問題もある。従って金属間化合物粉末の
充填密度を上げる手法だけでは電極としての容量を上げ
ることができず、粉末粒子間の電気的接触を多くする工
夫が必要であることは明らかである。
【0016】また金属間化合物粉末の電気的接触を改善
する方法として、粉末表面を金属被覆する方法や金属粉
末を混合する方法が考えられる。しかし表面被覆処理は
高価であり、また金属粉を混合する方法では、容積が限
定されている電池の場合、金属粉を添加した量だけ金属
間化合物粉末の充填量を減らさなければならないため、
電極容量はむしろ低下するという問題がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】以上に説明したよう
に、PVDFなどの有機物バインダを含有する非焼結型
のリチウムイオン2次電池用の金属間化合物電極におい
て、金属間化合物粉末の充填密度と粉末間の電気的接触
の両者を同時に改善できる手段は未だ確立していないの
が現状である。
【0018】本発明の目的は、この充填密度と粉末間の
電気的接触の両者を改善することができ、金属間化合物
粉末の電極での利用率が高く、繰り返し充放電による利
用率低下が抑制された金属間化合物粉末と、それを用い
た2次電池用のバインダ含有電極を提供することであ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、リチウム
イオン2次電池用のバインダ含有金属間化合物電極にお
ける金属間化合物粉末の利用率に関して研究を行った。
ここで金属間化合物粉末の利用率とは、負極活物質であ
る金属間化合物粉末がリチウムイオン2次電池の充放電
過程で有効利用された割合を示す指標であり、実際にリ
チウムイオン2次電池に使用する負極材料の理論放電容
量に対する比率である。
【0020】理論放電容量の値は、例えばFeSi2 を負極
材料に用いたとき、FeSi2:1モルに対してLi:1モルが
反応し、LiFeSi2 を生成するまで電気量を消費したとき
の容量を用いた。
【0021】ここに、不定形粉末でほぼ正規分布に従う
粒度分布を有する金属間化合物粉末とこの金属間化合物
粉末に対して10%の銅粉末とPVDF2%をバインダとして
混合し、NMP を用いてこれをスラリとした後、ドクター
ブレード法にて電極を作製した。このリチウムイオン2
次電池用電極 (A電極という) で得られた最大放電容量
を比較する。この電極AはPVDFが極微量であって、さら
に通常導電材として用いる黒鉛粉より導電性に優れるCu
粉を用いるため放電容量は通常の電極より大きい値を示
すが、サイクル特性が非常に悪く実用的なレベルではな
い電極である。
【0022】次に、同様の金属間化合物粉末と金属粉末
に対して黒鉛粉10%、PVDFバインダ10%が混合されたリ
チウムイオン2次電池用負極を作製し、これを電極Bと
する。これとA電極とを放電容量について比較した結
果、電極Aの方が活物質単位重量当たりの放電容量が高
く、電極Bでは活物質の利用率が低下した。これは電極
Bでは、絶縁性の有機物が金属間化合物粉末間に多く存
在することにより、粉末間の電気的接触が妨げられたた
めである。
【0023】次に球形粉末の影響を調査した。粉末の充
填密度が高い球形粉から作製した有機物バインダである
PVDFを10%含有する電極は、不定形の粉砕粉を用いた同
様の電極に比べて粉末の充填密度が高いため、電極の単
位面積当たりの活物質の付着量は多くなるが、充放電試
験で実際の放電容量を調べると、両者の間に放電容量の
大きな差はなかった。つまり、球形粉は充填率が向上す
るため、金属間化合物粉末の付着量は増大するが、電気
的接触が点接触となって活物質の利用率が粉砕粉より低
くなるため、電極の放電容量向上には必ずしも結びつか
ないことが判明した。
【0024】そこで、平均粒径の異なる大小2種類の不
定形粉末を混合した粉末を用いて同じPVDFバインダ10%
の電極を作製したところ、電極容量に大きな向上が認め
られた。さらにそれだけではなく、平均粒径の異なる大
小2種類の球形粉に粉末を変更すると、前述の電極容量
にさらなる向上が認められた。これは粒径の小さな粒子
が大きな粒子の間に入り、電気的接触点数が増加するこ
とにより、活物質の利用率が向上したため容量が向上し
たものと考えられる。
【0025】この点についてさらに検討した結果、大径
粉末と小径粉末が粒径比および混合比が一定範囲内にあ
る時に、特に充填密度が高く電極容量が高くなること、
この中で、大径粉末は球形であるが、小径粉末は球形粉
ではなくても、粉砕粉のように不定形粉末でも特に大き
い利用率の向上が得られることを見出し、本発明に到達
した。
【0026】ここに、本発明は、平均粒子径の比が大径
粉末:小径粉末=2:1〜20:1である大小2種類の金
属間化合物粉末を、大径粉末:小径粉末の重量比=5:
1〜1.5 :1の割合で混合した大径粉末と小径粉末との
混合物からなる、リチウムイオン2次電池用負極材料で
ある。本発明の好適態様にあっては、大径粉末が球形粉
末で、小径粉末が球形または不定形粉末であるものであ
る。
【0027】さらに別の面からは、本発明は、平均粒径
が大径粉末:小径粉末=2:1〜20:1である、大小2
種類の金属間化合物粉末を、大径粉末:小径粉末の重量
比=5:1〜1.5 :1の割合で混合した大径粉末と小径
粉末との混合物と有機物バインダとから成るリチウムイ
オン2次電池電極用負極である。
【0028】本発明のさらに別の態様によればまた、上
記金属間化合物粉末の混合物とPVDFなどの有機物バイン
ダから作製されたリチウムイオン2次電池用電極も提供
される。
【0029】ここで、球形粉末とは、実質的に球形の形
状を有していればよく、具体的にはアスペクト比2以下
の球形粉末までが許容される。このような球形粉末は、
ガスアトマイズ法や回転電極法により得ることができ
る。一方、不定形粉末とは、球形粉末以外の全ての粉末
を意味するが、代表的には粉砕粉である。前述した薄帯
状の金属間化合物を粉砕した粉末も不定形粉末に含まれ
る。
【0030】金属間化合物粉末の粒径は、粒径が最大と
なる方向で測定した粒径を意味し、平均粒径は体積累積
が50%となる粒径である。平均粒径は、例えば、レーザ
ー回折式粒度分布測定装置 (例えば、日機装製マイクロ
トラックFRA)により求めることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明にかかる金属間化合物粉末
の混合物は、充填密度と粉末間の電気的接触面積とを改
善するのに有効な粒子形態および粒径を規定した点に特
徴があり、それらの効果は金属間化合物の組成いかんに
よらず得ることができる。従って、金属間化合物の組成
は特に制限されず、リチウムイオン2次電池等の2次電
池の電極として利用可能な任意の組成のものでよい。
【0032】この種の代表的な金属間化合物は、リチウ
ムイオンを吸収、収納しうる金属間化合物である。この
ようなものは前述の FeSi2、NiSi2 、MoSi2 、WSi2
Mg2Si などの硅化物である。もちろん、これにAサイ
ト、Bサイトのいずれを問わず置換元素を添加したもの
であっても構わない。例えばAサイトには、Mn、Co、M
o、Cr、Nb、V、Cu、Fe、Ni、W、Ti、Zr、Ta、Bサイト
には、Si、C、Ga、Sm、Pb、Al、Pが置換してもよい。
【0033】溶製による金属間化合物の製造方法には、
急冷凝固法とインゴット法がある。急冷凝固法として
は、ガスアトマイズ法や回転電極法といった球形粉末を
得る方法と、回転ドラム上や水冷銅板に注湯して薄帯状
の金属間化合物を得る方法とに大別される。インゴット
や薄帯状の金属間化合物は、その後に粉砕して粉末化す
る必要がある。
【0034】粉砕法としては、機械的な粉砕 (例、イン
ゴットで粗粉砕と微粉砕の組合わせ) の他に、水素を吸
蔵させた時の体積膨張を利用した粉砕も可能である。ま
た、メカニカルアロイング法による粉末作製も有効な手
段の一つである。
【0035】急冷凝固法で製造した金属間化合物粉末
は、急冷歪みを緩和するために熱処理を施すことが好ま
しい。また、金属間化合物粉末の表面活性を高めるため
に、酸などで表面処理することが考えられるが、本発明
で用いる金属間化合物粉末についても、このような各種
の表面処理を適用してもよい。
【0036】本発明の好適態様では、平均粒径の異なる
大小2種類の金属間化合物粉末を使用し、大径粉末は球
形粉末であるとさらに負極活物質の利用率が大きくなる
ことは前述の通りである。従って大径粉末は、ガスアト
マイズ法または回転電極法で作製することができる。中
でも、真球に近いほぼ完全な球状の球形粉末が得られる
ガスアトマイズ法が好ましい。
【0037】小径粉末の方は、球形粉末でも不定形粉末
でもよいので、上述したいずれの方法で金属間化合物粉
末を作製してもよい。例えば、インゴットを粉砕した粉
砕粉も使用することができる。しかし、一般に急冷凝固
法で作製した金属間化合物の方が、冷却速度の遅いイン
ゴット法で作製したものより、偏析が少なく耐食性に優
れることから、急冷凝固法で作製した球形粉末 (例、ガ
スアトマイズ粉) や不定形粉末 (薄帯状の金属間化合物
を粉砕したもの) が好ましい。また、低融点化合物のた
め真空中の溶解が不向きな合金組成の場合、メカニカル
アロイング法による粉末作製が好ましい。
【0038】2種類の金属間化合物粉末の平均粒径比
は、大径粉末:小径粉末=2:1〜20:1とする。大小
の金属間化合物粉末がこの範囲内の粒径比にあれば、有
機物バインダの電極を作製した時に、活物質の利用率を
著しく向上させることができる。小径粉末の平均粒径
が、大径粉末の平均粒径の1/20より小さいか、あるいは
1/2 より大きくなると、大小2種類の金属間化合物粉末
を混合しても、活物質の利用率はあまり改善されない。
【0039】例えば、小径粉末の平均粒径が小さすぎる
と、大径粉末間の空隙を小径粉末が埋めても、隙間が大
きいため、充填密度は向上するものの、電気的接触は改
善されないので、活物質の利用率はさほど向上しない
上、比表面積が増大するため、1サイクル目のクーロン
効率が低下する。逆に、小径粉末の平均粒径が大きすぎ
ると、大径粉末の配置が乱れるため、充填密度が低下す
ると同時に、大径粒子間の接触も悪くなり、活物質の利
用率の向上は得られない。この平均粒径比は、好ましく
は大径粉末:小径粉末=3:1〜5:1である。
【0040】なお、本発明の趣旨からは大径粉末の平均
粒径は制限されないが、実際の電極の厚みが100 μm程
度であり、実用的観点からは20〜120 μmの範囲内、特
に30〜50μmの範囲内が好ましい。大径粉末の平均粒径
が小さすぎると、さらに小さい小径粉末の平均粒径が小
さくなりすぎ、比表面積が大きくなり過ぎて、1サイク
ル目のクーロン効率が低下してしまう。
【0041】上述した大小2種類の金属間化合物粉末の
混合粉末を用いて、有機物バインダの電極の活物質の利
用率を著しく向上させるには、この2種類の粉末の混合
比を、大径粉末:小径粉末の重量比=5:1〜1.5 :1
の範囲内とすることが適切である。小径粉末が大径粉末
の1/5 より少ないと、大径粉末の間隙に入る小径粉末が
少なすぎて、十分な利用率の改善効果が得られない。小
径粉末が大径粉末の1/1.5 より多くなると、大径粉末の
間隙に充填するのに必要な量より小径粉末が多くなりす
ぎ、大径粉末の配列が乱れて、充填密度が低下するだけ
でなく、比表面積が大きい小径粉末が増加するため、耐
食性が劣化し、充放電繰り返し寿命が低下する。この混
合比は、好ましくは大径粉末:小径粉末の重量比=4:
1〜1.5:1の範囲内である。
【0042】このように、大小2種類の金属間化合物粉
末を使用する本発明において、電極特性が改善される適
正な平均粒径比および混合比は、充填密度が最大となる
平均粒径比および混合比よりかなり広い範囲である。こ
れは、最大充填密度に必要な条件より大径粉末がやや多
いか、少なくなっても、不完全な充填状態となるため、
かえって一部の接触点では局所的に高い接触面圧で接す
ることになり、この接触点で良好な電気的接触が実現す
るためと考えられる。
【0043】すなわち、最大充填密度が得られる混合条
件では、小径粉末が大径粉末の間隙にきれいに納まるた
めに、接触点数が多く、各接触点に加わる圧力がほぼ均
等となり、良好な電気的接触が得られる。一方、最大充
填密度が得られる条件より平均粒径比または混合比が少
しずれた条件では、粉末間の接触点数は減少するもの
の、一部の接触点では強い圧力が加わるため、そのよう
な接触点における電気的接触が良好となる。その結果、
電極全体の電気伝導性は最大充填密度の場合と同様に改
善され、最大充填密度となる混合条件よりも広い範囲
で、改善された電極特性を得ることができる。
【0044】前述したように、大径粉末としては球形粉
末を使用した方が好ましい。大径粉末が不定形であると
充填密度が低下するため、放電容量を十分に高くするこ
とができない上、比表面積が増大するので、耐食性劣化
による充放電繰り返し寿命の低下が大きくなる。
【0045】しかし、大径粉末の間隙に充填される小径
粉末の方は、球形粉末と不定形粉末とのいずれでもよ
い。小径粉末が不定形粉末であると、球形粉末を使用し
た場合に比べて、充填密度はやや減少するものの、電極
特性はむしろ改善される。これは、粉砕した不定形の粉
末粒子には平面が多数あるため、曲面で構成される球形
粉末より粉末接触面積が大きくなり、利用率の改善効果
の点では球形粉末より優れているためである。すなわ
ち、不定形の小径粉末を使用する場合は、充填性は不明
ではあるが、利用率が向上するため、電極としての特性
は、より充填密度が高くなる小径粉末が球形粉末である
場合と同様に、改善することができる。
【0046】本発明にかかる金属間化合物粉末の混合物
と有機物バインダとを使用して、従来と同様の方法によ
り2次電池用の電極を作製することができる。有機物バ
インダの例は、PVDF、PVA 、PTFE、PEO 、PMMA等であ
る。有機物バインダの使用量は、金属間化合物粉末の結
合に必要な範囲内で少量とすることが好ましく、通常は
合金粉末の0.1 〜10重量%程度で十分である。
【0047】電極の作製は、例えば、前述のバインダと
溶剤(NMP、DMF など) を混合し、良く攪拌した後、これ
に金属間化合物粉末の混合物を投入、ホモジナイザ、ガ
ラスビーズなどで十分に攪拌を行う。このようにして得
られた混練物をスラリまたはペースト状にし、これを電
極基板 (例えば、Cu金属箔、ステンレス箔など) にドク
ターブレード法、スクリーン印刷法などによって塗布
し、乾燥して溶媒を除去した後、ロール加圧もしくはプ
レスして成形することにより行うことができる。また、
これらの攪拌方法、塗布法、プレス方法はこれによるも
のではなく、攪拌方法は均一にできれば良く、さらに塗
布法は基板に対して平滑に塗着できるものであれば良
く、プレス方法も、基板全体に均一に圧力がかかる方法
であれば構わない。
【0048】
【実施例】以下に述べる実施例では、NiSi2 という化学
組成を持つ硅化物の金属間化合物を用いた。この金属間
化合物の作製に用いた原料は、純度99.999%のSi、純度
99.9%のフレーク状Niであった。
【0049】これらの原料を所定比率に混合し、急冷凝
固法であるArガスアトマイズ法 (30kg/ch)により金属間
化合物の球形粉末 (アトマイズ粉) を、ロール急冷法に
より鋳造した薄片 (5kg/ch)の機械粉砕 (軽くハンマー
で粉砕した後、Arガス雰囲気中アトリションミルで微粉
砕) により金属間化合物の不定形粉末 (粉砕粉またはロ
ール急冷薄片粉砕粉) をそれぞれ作製した。アトマイズ
粉と粉砕粉の各々に、純度99.99 %のAr雰囲気中で900
℃×15hrの熱処理を施した。
【0050】アトマイズ粉と粉砕粉のいずれも篩い分け
により、平均粒径の異なる各種の粉末を調製した。この
分級における各平均粒径の粉末の粒度分布は次の通りで
ある。
【0051】 平均粒径 (μm) 粉砕粉粒度分布 (μm) アトマイス゛ 粉粒度分布 (μm) 100 45〜250 52〜250 65 32〜125 37〜125 50 25〜75 28〜75 30 〜60 5〜60 25 〜45 5〜45 18 〜30 5〜30 8 〜20 〜15 5 〜15 〜10 3 〜10 〜10 (実施例1)本実施例は、大径粉末と小径粉末の両方とも
がロール急冷薄片粉砕粉、すなわち、不定形形状である
金属間化合物の混合粉末について例示する。
【0052】篩い分けで得られた平均粒径100 μmのロ
ール急冷薄片粉砕粉の不定形粉末を大径粉末として使用
し、これを平均粒径がより小さい同じくロール急冷薄片
粉砕粉の不定形粉末と所定比率で混合した。なお、大径
粉末の平均粒径を100 μmにしたのは、小径粉末との平
均粒径比を算出し易くするためであり、この平均粒径が
大径粉末に最適であるということではない。
【0053】この金属間化合物の混合粉末100 gの粉末
に対して10wt%の有機物バインダ(PVDF)、アセチレンブ
ラック5wt%を添加し、さらにNMP120gを投入し、混練
した。得られた金属間化合物粉末のペーストを表面を電
解粗面処理した銅箔にドクターブレード法を用いて塗布
し、乾燥した後、1.0 ton/cm2 の圧力でロール加圧によ
り成形して、金属間化合物粉末を基板上に担持させ、電
極を作製した。この電極の金属間化合物粉末の担持量は
最大で5gを目標とした。
【0054】この電極を負極とし、正極、参照極にも金
属Liを用い、正極と負極の間のポリプロピレン製のセパ
レータを配し、これらを挟んで両側からネジなどで固定
し、通常のリチウムイオン2次電池を構成した。これは
電池の充填・放電反応に伴う体積変化によって負極活物
質が基板からはずれても、構成粒子間の接触を保てるよ
うにするためである。この電池を0.2 mA/cm2の電流でLi
基準電位に対して0.0Vまで充電、同じように0.2 mA/cm2
の電流でLi基準電位に対して1.5Vまで放電を行った時の
放電容量の大きさを比較した。
【0055】これと比較するための容量として、金属間
化合物粉末の理論放電容量の値は、例えばNiSi2 を負極
材料に用いた時、NiSi2 1モルに対してLi 1モルが反応
し、LiNiSi2 を生成するまで電気量を消費したときの容
量、855mAh/cm3を用いた。これらの結果から、次式によ
り粉末利用率を算出し、電極特性を判定した。粉末利用
率が90%以上あれば、金属間化合物電極性能は合格であ
る。
【0056】
【数1】粉末利用率(%) ={実際の放電容量(mAh)/理論
放電容量(mAh) }×100 混合粉末によるサイクル寿命特性の評価は、試験用リチ
ウムイオン2次電池の充放電試験を100 サイクル行い、
第1サイクルと100 サイクル後の放電容量を求め、次式
によりサイクル寿命(%) を求め90%以上を合格とした。
【0057】
【数2】サイクル寿命(%) ={100 サイクル後の放電容
量(mAh)/第1サイクル放電容量(mAh) }×100 また3つ目の電極試験の指標として、第1サイクル目の
クーロン効率を次のように設定した。このクーロン効率
は90%以上であれば合格とした。
【0058】
【数3】クーロン効率(%) ={放電容量(mAh)/充電容量
(mAh) }×100 混合粉末の充填密度は、タップ試験により評価した。こ
の試験ではホソカワミクロン社製パウダーテスタにより
タップ密度を求めた。このタップ密度が物質の理論比重
の65%以上であれば充填密度は十分であり、70%以上で
あれば充填密度は非常に高い。例えばNiSi2 を例にとる
と、材料本来の比重は4.83と見積もることができるの
で、タップ密度が3.13以上のときを合格とした。以上の
試験結果を、大小2種類の粉末の平均粒径および混合比
と共に表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1から、大径粉末の単一粉末では、タッ
プ密度、粉末利用率のいずれも不十分であることがわか
る。また、小径粉末に相当するより平均粒径の小さい不
定形粉末だけでも、やはりタップ密度、粉末利用率のい
ずれも改善することができなかった。
【0061】これに対し、本発明に従って、大径粉末に
小径粉末を混合すると、タップ密度、粉末利用率、サイ
クル寿命のいずれも大きく改善され、放電容量が高く、
充放電繰り返し寿命の長い、高性能のリチウムイオン2
次電池が得られることがわかる。
【0062】また、大径粉末に小径粉末を混合しても、
小径粉末の平均粒径が本発明の範囲外であるか、小径粉
末の混合比が本発明の範囲外であると、粉末の利用率や
容量低下率はなお不十分なままであり、タップ密度の向
上もそれほど大きくなかった。小径粉末の粒径があまり
に小さいと、比表面積が大きくなり過ぎ、電解液との接
触面積が増加するため、第1サイクル目のクーロン効率
が低下してしまう。
【0063】(実施例2)次に大径粉末と小径粉末の両方
ともがアトマイズ粉、すなわち、球形粉末である金属間
化合物の混合粉末について例示する。
【0064】篩い分けで得られた平均粒径100 μmのア
トマイズ法の球形粉末を大径粉末として使用し、これを
平均粒径がより小さいアトマイズ法の球形粉末と所定比
率で混合した。なお、前述と同様に、大径粉末の平均粒
径を100 μmにしたのは、小径粉末との平均粒径比を算
出し易くするためであり、この平均粒径が大径粉末に最
適であるということではない。
【0065】この金属間化合物の混合粉末100 gの粉末
に対して10wt%の有機物バインダ(PVDF)、アセチレンブ
ラック5wt%を添加し、さらにNMP100gを投入し、混練
した。実施例1の場合とNMP の量が異なるのは、金属間
化合物粉末の形状が大径粒子、小径粒子とも球形の時は
流動性が優れており、ドクターブレード法で厚みを調整
するにはNMP の量を減らす必要があるからである。得ら
れた合金粉末のペーストを表面を電解粗面処理した銅箔
にドクターブレード法を用いて塗布し、乾燥した後、1.
0 ton/cm2 の圧力でロール加圧により成形して、金属間
化合物粉末を基板上に担持させ、電極を作製した。この
電極の金属間化合物粉末の担持量は最大で5gを目標と
した。
【0066】また、大径粉末の粒径の影響を調査するた
めに、平均粒径65、50、25μmの粉末を大径粉末として
用い、上記と同様の処理を行って電極を作成した。
【0067】この電極を用い、前述の充電・放電方式と
同じような方法で電極試験を行った。また、タップ密
度、利用率などについても同上の方法で行った。この結
果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】表2から、たとえ球形粉末でも大径粉末だ
けの単一粉末では、タップ密度、粉末利用率のいずれも
不定形粉末の時に比べると改善はなされるが、不十分で
あることがわかる。また、小径粉末に相当するより平均
粒径の小さい不定形粉末だけでも、やはりタップ密度、
粉末利用率のいずれも大きな改善が見られなかった。
【0070】これに対し、本発明に従って大径粉末に小
径粉末を混合すると、タップ密度、粉末利用率のいずれ
も大きく改善され、放電容量が高く、サイクル寿命の長
い、高性能のリチウムイオン2次電池が得られることが
わかる。
【0071】一方、大径粉末に小径粉末を混合しても、
小径粉末の平均粒径が本発明の範囲外であるか、小径粉
末の混合比が本発明の範囲外であると、粉末の利用率や
容量低下率はなお不十分なままであり、タップ密度の向
上もそれほど大きくなかった。小径粉末の粒径があまり
に小さいと、比表面積が大きくなり過ぎ、電解液との接
触面積が増加するため、クーロン効率が低下する。ま
た、大径粉末の粒径を変えた場合、大径粉末の粒径が25
μm、小径粉末の粒径が5μmになると、クーロン効率
が他より相対的に低下する。
【0072】(実施例3)小径粉末として、ガスアトマイ
ズ法で得られた球形粉末に代えて、ロール急冷薄片粉砕
粉である不定形粉末を使用した以外は、実施例2にある
ような方法を繰り返した。試験結果を、大小2種類の粉
末の平均粒径および混合比と共に表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】表3から、本発明に従って不定形の小径粉
末を球形の大径粉末に混合した混合粉末は、小径粉末も
球形粉末である実施例2に比べて、タップ密度 (すなわ
ち、充填密度) が低下することがわかる。しかし、粉末
の利用率は、逆に不定形の小径粉末を用いた方が、球形
粉末を用いた実施例2より良好な結果が得られた。充填
密度が低いにもかかわらず、粉末利用率が高くなるの
は、前述したように、実施例2のように球形粉末同士を
混合した場合に比べて、不定形粉末を混合すると接触面
積が大きくなるためであると考えられる。
【0075】本実施例で不定形粉末として用いたロール
急冷薄片粉砕粉は、冷却速度が非常に早いため成分偏析
が少なく、これとアトマイズ粉を混合して使用した場
合、格子間にLiイオンが挿入されるとすると放電容量に
最大なると考えられる。そのため、不定形粉末をインゴ
ット粉砕粉にすると放電容量がやや少なくなることが考
えられるが、熱処理温度、時間などを調節すれば放電容
量の低下はごく僅かに押さえることができると考えられ
る。
【0076】平均粒径が100 μmの大径の不定形粉末だ
けからなる単一粉末では、粉末のタップ密度 (充填密
度) は、同じ平均粒径の球形粉末だけの時に比べて低く
なったが、接触面積が大きいため、粉末利用率は高くな
った。
【0077】一方、小径粉末の平均粒径または混合比が
本発明の範囲外である比較例では、実施例2の時と同様
に、粉末の利用率と容量低下率のどちらも十分に改善す
ることができなかった。
【0078】(実施例4)最後に、大径粉末を不定形粉末
に、小径粉末をガスアトマイズ法で得られた球形粉末に
代えて実施例3にあるような方法を繰り返した。試験結
果を、大小2種類の粉末の平均粒径および混合比と共に
表4に示す。本例の場合もこれまでと同様の結果が得ら
れ、粉末粒径とその混合比を規定することで、電池の利
用率、クーロン効率などを向上させることができた。
【0079】
【表4】
【0080】
【発明の効果】本発明の金属間化合物粉末は、有機物バ
インダを使用して電極を作製した時に、粉末の充填密度
と電気的接触の良好な電極を得ることができる。その結
果、この電極を用いてリチウムイオン2次電池とした時
に、負極活物質の金属間化合物粉末の利用率が高く、放
電容量の高い2次電池になる。また、大径粉末が球形で
あり、比表面積が比較的小さい時は特に耐食性も良好で
あり、充放電繰り返し寿命も改善され、高性能のリチウ
ムイオン2次電池用電極が得られる。また、リチウムイ
オン2次電池に限らず他のアルカリ金属およびアルカリ
土類金属等の金属イオンを利用した2次電池の金属イオ
ンを吸蔵・放出する電極材料あるいは電極を得ることが
できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径の比が大径粉末:小径粉末=
    2:1〜20:1である大小2種類の金属間化合物粉末
    を、大径粉末:小径粉末の重量比=5:1〜1.5 :1の
    割合で混合した大径粉末と小径粉末との混合物からな
    る、リチウムイオン2次電池用負極材料。
  2. 【請求項2】 前記大径粒子が球形粉末であり、かつ前
    記小径粒子が球形または不定形粉末である請求項1記載
    のリチウムイオン2次電池用負極材料。
  3. 【請求項3】 前記金属間化合物が硅化物である請求項
    1または2記載のリチウムイオン2次電池用負極材料。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかのリチウム
    イオン2次電池用負極材料と有機物バインダとから作製
    されたリチウムイオン2次電池用負極。
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