JPH11310235A - 合成樹脂製パレット - Google Patents

合成樹脂製パレット

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JPH11310235A
JPH11310235A JP12118398A JP12118398A JPH11310235A JP H11310235 A JPH11310235 A JP H11310235A JP 12118398 A JP12118398 A JP 12118398A JP 12118398 A JP12118398 A JP 12118398A JP H11310235 A JPH11310235 A JP H11310235A
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勉 中山
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怜 石堂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で且つ大きい曲げ強度を備えると共に、
フォークリフトのフォークなどの衝突等により壊れやす
い外周領域における強度が高い合成樹脂製パレットを提
供すること。 【解決手段】 パレットを上下に分割した形状のパレッ
ト形成部材を射出成形によって形成し、これらを互いに
対向させて溶着一体化してなる合成樹脂製パレットにお
いて、各パレット形成部材10a、10bが、板状部1
1a、11bの内面に複数の脚形成部材12a〜14
a、12b〜14b及び格子状に形成された補強リブ1
5、16を備え、板状部の主に中央領域Cに設けられた
補強リブ内15、19にはガスチャンネル18がガスの
吹き込みにより形成され、この中央領域Cは、パレット
形成部材の外周縁に沿う位置に設けられた脚形成部材の
幅寸法で外周を占有する領域(外周領域)Fの内側領域
Cを指し、合成樹脂製パレットの外周領域Fにおける平
均嵩密度が中央領域Cよりも大きくされていることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は合成樹脂製パレット
に関し、更に詳細には物品の運搬、移動、収納などの際
に用いられるフォークリフト用パレットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フォークリフト用のパレットとし
ては、合成樹脂製のものが製造され、使用されている。
通常、この種の合成樹脂製パレットは、基本的には、パ
レットを脚部の高さ方向中間部で上下に分割した形状の
パレット形成部材を射出成形によって形成し、これら2
枚のパレット形成部材を熱溶着により一体化して形成さ
れる。
【0003】合成樹脂製パレットにも種々のタイプのも
のがあり、ここでは、2枚のパレット形成部材の構成が
若干異なるものについて説明する。このような合成樹脂
製パレットを形成する際には、最初に、射出成形によっ
て上型と下型のパレット形成部材が成形される。
【0004】上型及び下型の各パレット形成部材は、板
状部、この板状部の内面適所に設けられた脚形成部材、
更にこの板状部の内面に縦横に交差して格子状に設けら
れた補強リブを備えている。「板状部」とは上位概念的
な用語で、文字どおり比較的に広い面を持った板状の部
分を指し、特にその表面に荷を乗せることを予定してい
る板状部についてはそれを「デッキボード」と称してい
る。
【0005】従って、両面使用の合成樹脂製パレットの
場合には、両板状部ともがデッキボードであり、また片
面使用の合成樹脂製パレットにあっては、荷を乗せる板
状部を特にデッキボードと称し、他の面は単に板状部と
称している。このような上型と下型の各パレット形成部
材を互いに対向させて脚形成部材同士を突き合わせ、そ
の突き合わせ部を熱で溶着一体化して合成樹脂製パレッ
トが形成される。
【0006】また、各パレット形成部材における板状部
の内面には、補強リブが格子状に形成されているが、こ
のような補強リブは板状部の曲げ強度を高め、フォーク
リフトで積荷を運搬、移動する際等に板状部、特にデッ
キボードに撓みが発生するのを防止する上で極めて効果
のあるものとしてよく知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
合成樹脂製パレットは、 各パレット形成部材における
板状部の内面にその曲げ強度を高めるべく補強リブを格
子状に形成しているため、その重量が重くなると共に使
用樹脂材料も多くなるという問題があった。
【0008】ところで、このような補強リブは、各パレ
ット形成部材における板状部の曲げ強度を高めるという
利点があると共に、フォークリフトのフォークなどの衝
突等により壊れやすいフォーク差込み口近傍における合
成樹脂製パレットの破壊に対する強度も高めるという利
点がある。従って、このような補強リブが合成樹脂製パ
レットを構成する各パレット形成部材における板状部全
面に形成されていることは必要であった。
【0009】本発明の目的は、かかる従来の問題点を解
決するためになされたもので、軽量で且つ大きい曲げ強
度を備えると共に、フォークリフトのフォークなどの衝
突等により壊れやすい外周領域における強度が高い合成
樹脂製パレットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は合成樹脂製パレ
ットであり、前述した技術的課題を達成するために以下
のように構成されている。すなわち、本発明は、パレッ
トを上下に分割した形状のパレット形成部材を射出成形
によって形成し、これらを互いに対向させて溶着一体化
してなる合成樹脂製パレットであって、2つのパレット
形成部材が、板状部と、パレット形成部材を溶着一体化
して合成樹脂製パレットとする時、フォーク差込み用の
通路を区画形成すべく板状部の内面に形成された複数の
脚形成部材と、板状部の内面に格子状に形成された補強
リブと、パレット形成部材の成形時に、主に中央領域に
存する補強リブにガスを吹き込んで形成されたガスチャ
ンネルとを備え、中央領域は、パレット形成部材の外周
縁における幅5cmの幅寸法で外周を占有する領域(外
周領域)の内側領域を指し、合成樹脂製パレットの外周
領域における平均嵩密度が中央領域よりも大きくされて
いることを特徴とする。
【0011】<本発明における具体的構成>本発明の合
成樹脂製パレットは、前述した必須の構成要素からなる
が、その構成要素が具体的に以下のような場合であって
も成立する。その具体的構成要素とは、前記板状部の内
面に形成される脚形成部材を構成する壁部の一部がパレ
ット形成部材の四隅にあり、パレット形成部材の四隅に
位置する脚形成部材のパレット外周に面する壁部が中実
であることを特徴とする。
【0012】また、本発明の合成樹脂製パレットでは、
前記脚形成部材の1つが、各パレット形成部材における
板状部の中心位置を囲むように当該板状部の内面に形成
され、これらの脚形成部材同士が溶着一体化されて密閉
空間の脚部を形成する時、この脚部が中央脚部であり、
更にその両側ににそれぞれ側方脚部が整列して形成され
た二方差しパレットであることを特徴とする。
【0013】更に、本発明の合成樹脂製パレットでは、
前記脚形成部材の1つが、各パレット形成部材における
板状部の中心位置を囲むように当該板状部の内面に形成
され、これらの脚形成部材同士が溶着一体化されて密閉
空間の脚部を形成する時、この脚部が中央脚部であり、
更にその周囲に8つの脚部が縦横に整列配置されて設け
られた四方差しのパレットであることを特徴とする。
【0014】本発明の合成樹脂製パレットによると、全
体としては、パレットを上下に分割した形状のパレット
形成部材が射出成形によって形成され、これらを互いに
対向させて溶着一体化して形成される。各パレット形成
部材を射出成形によって形成する際、デッキボードの内
面及び底面の内面に縦横に設けられる補強リブの内部が
固化する前にパレット形成部材の中央部から補強リブに
気体を注入し、これを各補強リブ内に行き渡らせ、その
内部にガスの吹き込みによる中空部即ちガスチャンネル
を形成する。
【0015】その時、このガスチャンネルは、主にパレ
ット形成部材の中央領域における補強リブ内に形成され
る。ここで、パレット形成部材の「外周領域」とは、合
成樹脂製パレットにおける各パレット形成部材の外周縁
に沿う幅5cmの環状四角形領域を指す。そして、「中
央領域」とは、パレット形成部材において前述した「外
周領域」を除いたその内側の領域を指す。
【0016】合成樹脂製パレットには四方差し、二方差
し等があるが、上記外周領域、中央領域の定義は変わら
ない。合成樹脂製パレットは、その使用にあたって、外
方からフォークリフト等のフォークが差込まれ、移動・
運搬等が行われる。従って、作業時にフォーク等の当接
しやすいパレットの外周縁は、フォーク等の衝撃に耐え
るように壁部やリブがその内部まで合成樹脂が充填され
た構造即ち「中実」構造であることが望ましく、内側領
域は軽量化のために壁やリブの内部に空洞部分を形成し
た構造即ち「中空」構造とされていることが望ましい。
【0017】このような構造を実現させるためには、パ
レット形成部材を射出成形する際、金型内で樹脂が未だ
完全に固化する前にパレット形成部材の中央近傍から空
気等を注入し、中央部分の樹脂を外周縁部分に押し込
み、内側領域のリブを中空に、外周縁部分のリブは中実
にすることによって達成される。
【0018】これにより、合成樹脂製パレットの外周領
域(外周縁幅5cmの環状領域)における平均嵩密度
は、中央領域よりも大きくなる。この「平均嵩密度」と
は、パレット形成部材におけるある領域の体積に対する
重量の比を指す。すなわち、平均嵩密度をρとすると、
ρ=重量/体積、ということになる。
【0019】従って、パレット形成部材において中央領
域と外周領域とにおける平均嵩密度を比較する場合に
は、中央領域及び外周領域のそれぞれについて、重量/
体積を計算する。この合成樹脂製パレットでは、パレッ
ト形成部材の外周領域における補強リブ内にはガスチャ
ンネルがあまり形成されておらず、中央領域における補
強リブ内に多くのガスチャンネルを形成するようにする
ので、平均嵩密度は外周領域の方が中央領域より大きく
なる。
【0020】これにより、本発明の合成樹脂製パレット
では、中央領域では管状の構造部分が多くなるため特に
板状部に対する曲げ強度が高く、しかも軽量化を得るこ
とができる。また外周領域では中実部分が多いので特に
衝撃強度が高いという性質を与えることができる。外周
領域の平均嵩密度/中央領域の平均嵩密度、即ち密度の
比は、1.05〜1.8程度、好ましくは1.1〜1.
5となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の合成樹脂製パレッ
トを図に示される実施形態について更に詳細に説明す
る。図1は本発明の一実施形態に係る四方差しの合成樹
脂製パレット10の側面図、図2はこの合成樹脂製パレ
ット10を上下半分に分割し、その上型のパレット形成
部材10aについて外側から見た平面図、図3はパレッ
ト形成部材10aの内側表面を見た平面図である。
【0022】また、図4は図3の上型パレット形成部材
の中央領域に設けられた代表的な補強リブの断面図、図
5は図3の上型パレット形成部材の外周領域に設けられ
た補強リブの断面図、図6は下型のパレット形成部材1
0bについて外側から見た底面図、図7は下型のパレッ
ト形成部材10bについて内側から見た平面図である。
【0023】図1〜図5に示されるように上型パレット
形成部材10aは、デッキボード11aと、その内側
に、縦横に所定の間隔で整然と配列された九つの脚形成
部材12a、13a、14aとを備えて構成されてい
る。すなわち、これら九つの脚形成部材12a〜14a
において、参照符号12aは、上型パレット形成部材1
0aの中央部に設けられた断面ほぼ四角形の1つの中央
脚形成部材を示している。
【0024】また、参照符号13aはこの中央脚形成部
材12aを囲むようにデッキボード11aの内側四隅即
ち各コーナー部に設けられたコーナー脚形成部材を示
し、参照符号14aはデッキボード11aの内側周囲縁
に沿い且つ各コーナー部間の中間部に設けられた中間脚
形成部材を示している。
【0025】ここで、説明の便宜上、図8に示されるよ
うに合成樹脂製パレット10において、パレット形成部
材10aの外周縁に沿って5cmの幅(図8にAで示
す)で外周を占有する領域を「外周領域」とし、この外
周領域によって囲まれた部分を「中央領域」という。図
8において、この中央領域は参照符号Cで示され、また
外周領域は参照符号Fで示される。
【0026】この上型パレット形成部材10aの中央領
域Cには、デッキボード11aの内面に補強リブ15が
縦横に交差して格子状に設けられている。このように上
型パレット形成部材11aの中央領域Cに形成される補
強リブ15はデッキボード11における曲げ強度の向上
に特に寄与する。
【0027】また、上型パレット形成部材10aに外周
領域Fにもデッキボード11aの内面に補強リブ16が
縦横に交差して設けられ、更にこの補強リブ16はコー
ナー脚形成部材13a及び中間脚形成部材14aの内部
にも設けられている。このように上型パレット形成部材
10aの外周領域Fに形成される補強リブ16は、合成
樹脂製パレット10の外方からの衝撃や脚部外方からの
衝撃等に対する衝撃強度の向上に特に寄与する。
【0028】中央脚形成部材12aの内部には、ガス流
通用リブ17が対角線位置に形成され、これらのガス流
通用リブ17の端部は中央脚形成部材12aの壁部を介
して補強リブに接続されている。その結果、少なくとも
上型パレット形成部材10aの中央領域Cに設けられた
大部分の補強リブ15は中央脚形成部材12a内に×形
に設けられたガス流通用リブ17に接続していることに
なり、このガス流通用リブ17に接続された補強リブ1
5の内部には、図4に示されるように中空部即ちガスチ
ャンネル18が形成される。
【0029】すなわち、前述したように射出成形後にパ
レット形成部材12aの中央部近くからガス(空気)を
吹き込むことによりパレット形成部材12aの中央領域
Cのリブの多くは中空リブとなる。
【0030】他方、上型パレット形成部材10aの外周
領域Fにおけるデッキボード11aの内面に設けられて
いる補強リブ16は、図5に示されるようにその内部に
ガスチャンネルが形成されにくく、中実なリブが多くな
る。
【0031】上型パレット形成部材10aの中央領域C
に形成された補強リブ15の内部に中空部18を形成す
る方法について更に詳しく説明する。中央脚形成部材1
2a内で×形に配置されたガス流通用リブ17の交点
は、この中央脚形成部材12aの中心点であり、またパ
レット形成部材10aの中心点でもある。この×形のガ
ス流通用リブ17における交点がガスを吹込み位置とさ
れる。
【0032】すなわち、上型パレット形成部材10aを
成形するパレット成形金型(図示せず)には、前述した
パレット形成部材10の内側中心位置に対応する部分に
1つのガス注入穴(図示せず)が設けられている。そし
て、別に設けた溶融樹脂注入専用穴(ゲート部)から溶
融樹脂を注入して上型パレット形成部材10aを射出成
形する時、補強リブ15及びガス流通用リブ17の内部
が固化する前にこのガス注入穴から空気又は窒素等の適
当な気体(以下、単にガスと称する)が所定の圧力で注
入される。
【0033】ガス注入穴から注入されたガスは、ガス流
通用リブ17の交点から当該リブ17を介して補強リブ
15に進入し、それらの内部に中空部18を形成する。
従って、図4に示される中空部18は、補強リブ15に
形成された注入気体の導通路でもあり、補強リブ15内
の導通路は連通していることになる。
【0034】その際、ガス注入穴から注入されたガスが
上型パレット形成部材10aの中央領域Cを越えて外周
領域Fの補強リブ16内にはあまり進入しないように、
ガス注入圧力及び注入ガス量等が調整される。勿論、注
入されるガスの厳密なコントロールは難しいので、外周
領域Fの一部にガスが達することもあるが、相対的には
中空領域に中空部18が多く、外周領域Fには中実のリ
ブが多く残る。
【0035】ガス流通用リブ17を介して補強リブ15
内に吹き込まれたガスの内圧は、金型部分の内壁に均等
に作用するため、成形された補強リブ15の肉厚が極端
に薄くなるようなことはない。このようにして補強リブ
15内に中空部18を形成することにより合成樹脂製パ
レットの軽量化、成形時の寸法変動の減少、成形時間の
短縮などの効果を得ることができる。
【0036】また、ガス圧により外周領域Fのリブに樹
脂が多く充填される(保圧が加わった状態となる)た
め、中実のリブの位置に冷却時のヒケが発生しないとい
う極めて優れた区も奏する。
【0037】なお、ガス流通用リブ17の交点からガス
を吹き込んだ後の当該交点には、ガス注入口としての開
口が形成され、補強リブ15内の中空部18はこのガス
注入口を介して大気に連通した状態となる。しかし、こ
のガス注入口は、中央脚形成部材12aの内側にあっ
て、後述する下型パレット形成部材10bが上型のパレ
ット形成部材10aと溶着一体化されて合成樹脂製パレ
ット10とされた時、この中央脚部形成部材12aは他
の中央脚部形成部材12bと協働して密閉された中空筒
状の中央脚部となることから、外部(大気)に露出する
ことはない。そのため、合成樹脂製パレットの使用中に
雨水がこのガス注入口を介して補強リブ15内の中空部
18に浸入することはない。
【0038】他方、図6及び図7に示される下型のパレ
ット形成部材10bについても同様に板状部11bの内
側に、中央脚形成部材12b、コーナー脚形成部材13
b、及び中間脚形成部材14bが設けられている。これ
らの中央脚形成部材12bとその周囲の脚形成部材13
b、14bは、前述した上型パレット形成部材10aに
おいて対応する各脚形成部材12a、13a、14aと
その形成位置、断面形状及び大きさはまったく同じであ
る。
【0039】この下型パレット形成部材10bでは、中
央脚形成部材12bの中心を通る縦方向中心線及び横方
向中心線で仮想的に分割される、4分の1について見た
時、4つの脚形成部材12b、13b、14bにほぼ内
接する位置に補強リブ19が環状に形成されている。そ
して、中央脚形成部材12bの内部には、ガス流通用リ
ブ20が対角線位置に形成され、各ガス流通用リブ20
の端部は中央脚形成部材12bの壁部を介して前述した
4区画における環状の補強リブ19にそれぞれ接続され
ている。
【0040】また、中央脚形成部材12bの内部にその
対角線位置に形成されたガス流通用リブ20の交点に
は、上型のパレット形成部材10aと同様に最終的にガ
ス注入口が形成される。この結果、ガス流通用リブ20
に接続された補強リブ19は、外周縁に沿って5cmの
幅で外周を占有する外周領域よりも内側、即ち「中央領
域C」にあり、従ってその内部には図4で示された補強
リブ15と同様に中空部即ちガスチャンネルが形成され
ている。この補強リブ19内に中空部を形成する方法
は、上型パレット形成部材10aにおける補強リブ15
内に中空部18を形成する場合と同じであるのでその説
明を省略する。
【0041】なお、この下型パレット形成部材10b
は、前述したような4分の1の区画ごとに、4つの脚形
成部材12b、13b、14bにほぼ内接する位置に形
成された補強リブ19で囲まれる部分に開口部21が形
成されている。この開口部21は、ハンドリフトにより
この合成樹脂製パレットを扱う際に車輪の出入り口とな
る部分である。
【0042】また、このようにハンドリフトの車輪出入
り口用の開口部21を有するような下型パレット形成部
材10bでは、その板状部11b表面に多数の補強リブ
22が形成されている(図6)が、これらの補強リブ2
2にもガスチャンネルが形成されることはなく、従って
内部は中実である。
【0043】本実施形態に係る合成樹脂製パレットは、
この上型及び下型の各パレット形成部材10a、10b
を互いに対向させて各脚形成部材12a、12b、13
a、13b、及び14a、14bを突き合わせ、その突
合わせ部を溶着一体化して形成される。このように上型
及び下型のパレット形成部材10a、10bを対向さ
せ、各脚形成部材12a、12b、13a、13b及び
14a、14bを突き合わせて溶着一体化することによ
り、中空筒状の脚部が形成され、これら脚部と脚部との
間の空間(孔)がフォーク差込み孔23となる。
【0044】このような構成の合成樹脂製パレット10
では、中央領域Cにおける補強リブ15内にガスチャン
ネル18が形成され、外周領域Fにおける補強リブ16
は中実部分が多いため、合成樹脂製パレット10の外周
領域Fにおける平均嵩密度は、中央領域Cよりも大きく
なる。
【0045】すなわち、「平均嵩密度」とは、ある領域
の体積に対する重量の比を指す。すなわち、平均嵩密度
をρとすると、ρ=重量/体積、ということになる。従
って、パレット形成部材において中央領域と外周領域と
における平均嵩密度を比較する場合には、中央領域C及
び外周領域Fのそれぞれについて、重量/体積を計算す
る。
【0046】この合成樹脂製パレット10では、前述し
たようにパレット形成部材10a、10bの外周領域F
における補強リブ16内にはガスチャンネルが形成され
ておらず、中央領域における補強リブ15内にのみガス
チャンネルが形成されているので、平均嵩密度は外周領
域Fの方が中央領域Cより大きくなる。外周領域の嵩密
度/中央領域の嵩密度、即ちその密度の比は1.05〜
1.8程度、好ましくは1.1〜1.5であることが所
望の効果を得る上で好ましい。
【0047】これにより、この合成樹脂製パレット10
では、中央領域Cでは特にデッキボード11a又は板状
部11bに対する曲げ強度が高く、しかし外周領域Fで
は特に衝撃強度が高い、という性質を与えることがで
き、しかも軽量化をも得ることができる。
【0048】また、この実施形態に係る合成樹脂製パレ
ット10では、デッキボード11aの四隅における内面
に形成される脚形成部材の壁面基部にガスの回り込みが
ない(外周縁部で、ガス吹込口から最も離れているので
ガスの回り込むことがない)ことから、その部分にガス
チャンネルが形成されることはない。これにより、パレ
ットの角部における対衝撃性は充分に保たれる。
【0049】前述した実施形態は四方差しの合成樹脂製
パレット10であったが、本発明は二方差しの合成樹脂
製パレットにも適用することができる。この二方差しの
合成樹脂パレット30は図9〜図12に示されている。
【0050】図9は、二方差しの合成樹脂製パレット3
0を上下半分に分割し、その上型パレット形成部材30
aのデッキボード31aを見た平面図、図10はこの上
型パレット形成部材30aの内側表面をみた平面図、図
11は二方差しの合成樹脂製パレット30を構成する他
方の下型パレット形成部材30bの底面を見た平面図、
図12はこの下型パレット形成部材30bの内側表面を
見た平面図である。
【0051】二方差しの合成樹脂製パレット30では、
図10及び図12から明らかなように各パレット形成部
材30a、30bにおけるデッキボード31a及び板状
部31bの内側表面にそれぞれ筒状をした3つの脚形成
部材32a、33a、32b、33bが整列して形成さ
れている。
【0052】すなわち、これら脚形成部材の配置を1つ
のパレット形成部材30aについて説明すると、上型パ
レット形成部材30aにおけるデッキボード31a内面
には、1組の相対向する周囲縁(辺)に沿ってそれぞれ
側方脚形成部材33aが形成され、その中間位置に中央
脚形成部材32aが形成されている。
【0053】そして、二方差しの合成樹脂製パレット3
0も、これら上型及び下型の各パレット形成部材30
a、30bを互いに対向させて各脚形成部材32a、3
2b及び33a、33bを突き合わせ、その突合わせ部
を溶着一体化して形成される。このように上型及び下型
のパレット形成部材30a、30bを対向させ、各脚形
成部材32a、32b及び33a、33bを突き合わせ
て溶着一体化することにより、中空筒状の脚部32、3
3が形成され、これら脚部と脚部との間の空間(孔)が
フォーク差込み孔34となる。このような二方差しの合
成樹脂製パレット30でも四方差しパレットと同様に外
周縁に沿って5cmの幅で占有する環状の部分を外周領
域Fとする。
【0054】ところで、上型パレット形成部材30aに
おけるデッキボード31aの内面に設けられた中央脚形
成部材32aの長手方向二等分線上には、補強リブ35
が当該中央脚形成部材の横断方向に伸長し、その両端が
壁面に接続して設けられている。この補強リブ35の長
さ方向二等分位置は、中央脚形成部材32aの中心部で
あり、同時に上型パレット形成部材の中心点でもある。
【0055】このような上型パレット形成部材30aの
内面には、中央脚形成委部材32a及び側方脚形成部材
33aの内部も含めて縦横に交差して補強リブ36が格
子状に形成され、これらの補強リブ36のすべては、前
述した補強リブ35に繋がっている。そして、中央領域
に存する補強リブ36の内部に中空部を形成するために
ガスは、前述の中心点から補強リブ35に注入される。
従って、この補強リブ35はガス流通用リブとしても機
能する。
【0056】他方、下型パレット形成部材30bにおけ
る板状部31bの内側表面には、図1〜図7に示される
実施形態の合成樹脂製パレット10と同様にハンドフォ
ークリフトの車輪出入り用の開口部37が形成され、こ
の開口部37は図11から明らかなように中央脚形成部
材32bと各側方脚形成部材33bとで形成される各フ
ォーク差込み孔34上に2つづつ相互に間隔をあけて設
けられている。
【0057】各フォーク差込み孔34上に並んで形成さ
れた2つの開口部37の隣接側の側縁部と、この開口部
の側縁部に沿う両脚形成部材32b、33bの各壁面内
側基部とには補強リブ38が形成されている。すなわ
ち、各開口部37の3つの側縁部に沿って補強リブ38
が形成されていることになり、これら3つの補強リブ3
8は連続している。
【0058】そして、中央脚形成部材32bにおける仮
想の長手方向二等分線上の中央位置は、前述した上型パ
レット形成部材30aと同様に当該下型パレット形成部
材30bの中心点でもあり、この中心点が交点となるよ
うにガス流通用リブ39が×型に設けられ、これらのガ
ス流通用リブ39の端部は、各フォーク差込み孔34上
に並んで形成された2つの開口部37の隣接側の側縁部
に沿って設けられた補強リブ38の端部と接続してい
る。
【0059】下型パレット形成部材30bについてのガ
ス注入は、×型をしたガス流通用リブ39の交点即ち下
型パレット形成部材30bの中心点から行われ、ガス流
通用リブ39を介して補強リブ38内に進入し、それら
の内部にガスチャンネルが形成される。このような二方
差し合成樹脂製パレット30についても、ガスチャンネ
ルの形成は、主に中央領域Cに存する補強リブに対して
であり、外周領域Fに存する補強リブは対象とされな
い。
【0060】従って、二方差しの合成樹脂製パレット3
0についても平均嵩密度は外周領域Fの方が中央領域C
より大きくなる。これにより、この合成樹脂製パレット
30でも、中央領域Cでは特にデッキボード31a又は
板状部31bに対する曲げ強度が高く、しかし外周領域
Fでは特に衝撃強度が高い、という性質を与えることが
でき、しかも軽量化を得ることもできる。
【0061】なお、この二方差し合成樹脂製パレット3
0の下型パレット形成部材30bにおける板状部31b
の底面には、多数の補強リブ42が形成されている(図
11)が、これらの補強リブ42にも、一部ガスチャン
ネルが形成される。
【0062】また、この二方差し合成樹脂製パレット3
0についても、デッキボード31aの四隅における外面
に形成される脚形成部材の壁面にガスの回り込みがない
ことから、パレットの角部の耐衝撃性を低下させること
はない。
【0063】なお、これら各実施形態の合成樹脂製パレ
ット10、30において、補強リブに沿ってその直上に
おけるデッキボード表面に溝を形成し、この溝に滑り止
め40(図2及び図9)を配置することがある。その
際、前述したように主に中央領域に存する補強リブの内
部に中空部が形成されているため、この溝の底面に「ひ
け」による窪みの発生を防止することができる。
【0064】次に、パレット形成部材10a、10b又
は30a、30bの射出成形条件について説明する。パ
レット形成部材の射出成形条件は、通常の条件でよく、
例えば、高密度ポリエチレンを材料として用いた場合、
溶融温度(シリンダ温度)200〜250℃、射出率2
000〜5000cc/sec程度の条件が好ましい。
また、パレットを構成する合成樹脂としてはポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体等
のポリオレフィンが一般的であるが、場合によっては他
の樹脂を用いてもよいことは言うまでもない。
【0065】更に、着色剤、充填剤等の添加剤を適宜用
いてもよいことも勿論である。さらにまた、これらの合
成樹脂に、通常使用されている有機質又は無機質のもの
を含む従来知られている発泡剤を混入し、発泡体として
もよい。この場合の発泡率は1.01〜1.4倍程度が
望ましい。この場合にはパレット全体の見掛け密度が原
料合成樹脂の密度の0.65倍〜0.95倍程度となる
ようにするのがよい。
【0066】なお、図3及び図10において符号41
は、本合成樹脂製パレットを使用する時、フォーク差込
み孔にフォークを差し込んだ際にフォークと当該合成樹
脂製パレットとの相対的な滑りを生じさせないようにデ
ッキボードの内面に形成された補強リブの交差部に設け
られた穴に圧入装着された滑り止め用のゴム製グロメッ
トを示している。
【0067】前述した本発明の各実施形態に係る合成樹
脂製パレットでは、補強リブの断面形状が図4及び図5
に示されるようなほぼ台形状であったが、本発明はこの
形状に限定されるものではない。例えば、側面を湾曲面
とした補強リブ、或いは半円形をした断面形状の補強リ
ブ等としてもよい。
【0068】また、中央領域に存する補強リブには、デ
ッキボードとの交差部近傍における最も肉厚の厚い部分
に湾曲部を設け、その湾曲部の大きさを適宜設計するこ
とにより成型時に吹き込まれたガス(気体)による中空
部の大きさを制御することができる。これは、補強リブ
におけるデッキボードとの交差部近傍を湾曲部として実
質的な肉厚を大きくすることでガスの流動を促進し、ガ
ス流路の形成が容易となる。その結果、意図する場所に
ガスを流入させることができる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の合成樹脂
製パレットによれば、上型又は下型のパレット形成部材
を溶着一体化させて合成樹脂製パレットを形成する時、
主にパレット形成部材の中央領域における補強リブ内に
ガスチャンネルを形成するようにして、その平均嵩密度
を外周領域の方が中央領域より大きくなるようにしたこ
とにより、中央領域では特に板状部に対する曲げ強度が
高く、しかし外周領域では特に衝撃強度が高い、という
性質を与えることができ、しかも軽量化を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る四方差しの合成樹脂
製パレットを示す側面図である。
【図2】図1に示される合成樹脂製パレットを上下に分
割して、上型のパレット形成部材のデッキボード表面を
示す平面図である。
【図3】図2に示される上型パレット形成部材の内表面
を示す平面図である。
【図4】図3に示される上型パレット形成部材の内表面
において中央領域に形成された補強リブの断面を示す断
面図である。
【図5】図3に示される上型パレット形成部材の内表面
において外周領域に形成された補強リブの断面を示す断
面図である。
【図6】図1に示される合成樹脂製パレットを上下に分
割して、下型のパレット形成部材の板状部底面を示す平
面図である。
【図7】図6に示される下型パレット形成部材の内表面
を示す平面図である。
【図8】図2に示される四方差しの合成樹脂製パレット
における中央領域と外周領域とを概略的に示す説明図で
ある。
【図9】本発明の他の実施形態に係る二方差しの合成樹
脂製パレットを上下に分割して、上型のパレット形成部
材のデッキボード表面を示す平面図である。
【図10】図9に示される上型パレット形成部材の内表
面を示す平面図である。
【図11】図10に示される合成樹脂製パレットを上下
に分割して下型のパレット形成部材の板状部底面を示す
平面図である。
【図12】図11に示される下型パレット形成部材の内
表面を示す平面図である。
【図13】図9に示される二方差しの合成樹脂製パレッ
トにおける中央領域と外周領域とを概略的に示す説明図
である。
【符号の説明】
C 中央領域 F 外周領域 10、30 合成樹脂製パレット 10a 上型のパレット形成部材 10b 下型のパレット形成部材 11a デッキボード 11b 板状部 12a 中央脚形成部材 12b 中央脚形成部材 13a コーナー脚形成部材 13b コーナー脚形成部材 14a 中間脚形成部材 14b コーナー脚形成部材 15 補強リブ 16 補強リブ 17 ガス流通用リブ 18 中空部(ガスチャンネル) 19 補強リブ 20 ガス流通用リブ 21 開口部 22 補強リブ 23 フォーク差込み孔 31a デッキボード 31b 板状部 32a 中央脚形成部材 32b 中央脚形成部材 33a 側方脚形成部材 33b 側方脚形成部材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パレットを上下に分割した形状のパレッ
    ト形成部材を射出成形によって形成し、これらを互いに
    対向させて溶着一体化してなる合成樹脂製パレットであ
    って、 2つの前記パレット形成部材が、板状部と、前記パレッ
    ト形成部材を溶着一体化して前記合成樹脂製パレットと
    する時、フォーク差込み用の通路を区画形成すべく前記
    板状部の内面に形成された複数の脚形成部材と、前記板
    状部の内面に格子状に形成された補強リブと、前記パレ
    ット形成部材の成形時に、主に中央領域に存する前記補
    強リブにガスを吹き込んで形成されたガスチャンネルと
    を備え、 前記中央領域は、前記パレット形成部材の外周縁におけ
    る幅5cmの幅寸法で外周を占有する領域(外周領域)
    の内側領域を指し、 前記合成樹脂製パレットの前記外周領域における平均嵩
    密度が前記中央領域よりも大きくされていることを特徴
    とする合成樹脂製パンレット。
  2. 【請求項2】 前記板状部の内面に形成される前記脚形
    成部材を構成する壁部の一部が前記パレット形成部材の
    四隅にあり、前記パレット形成部材の四隅に位置する前
    記脚形成部材のパレット外周に面する前記壁部が中実で
    あることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製パレ
    ット。
  3. 【請求項3】 前記脚形成部材の1つが、前記各パレッ
    ト形成部材における前記板状部の中心位置を囲むように
    当該板状部の内面に形成され、この脚形成部材士が溶着
    一体化されて密閉空間の前記脚部を形成する時、この脚
    部が中央脚部であり、更にその両側にそれぞれ側方脚部
    が整列して形成された二方差しパレットであることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製パレット。
  4. 【請求項4】 前記脚形成部材の1つが、前記各パレッ
    ト形成部材における前記板状部の中心位置を囲むように
    当該板状部の内面に形成され、この脚形成部材同士が溶
    着一体化されて密閉空間の前記脚部を形成する時、この
    脚部が中央脚部であり、更にその周囲に8つの脚部が縦
    横に整列配置されて設けられた四方差しのパレットであ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製
    パレット。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1652648A1 (en) * 2004-10-29 2006-05-03 CGR System S.R.L. Plastic pallet
KR100729286B1 (ko) * 2001-07-16 2007-06-18 가부시키가이샤 메이지 고무 가세이 합성수지제 팰릿
KR100781948B1 (ko) * 2001-07-30 2007-12-05 가부시키가이샤 메이지 고무 가세이 플라스틱제 팰릿
JP2008127046A (ja) * 2006-11-20 2008-06-05 Gifu Plast Ind Co Ltd パレット
JP2010116169A (ja) * 2008-11-11 2010-05-27 Dic Corp 合成樹脂製パレット形成部材
JP2011079530A (ja) * 2009-10-02 2011-04-21 Dic Corp 合成樹脂製パレット

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