JPH11298043A - 半導体素子およびiii族窒化物超格子構造の作製方法 - Google Patents

半導体素子およびiii族窒化物超格子構造の作製方法

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JPH11298043A
JPH11298043A JP10224898A JP10224898A JPH11298043A JP H11298043 A JPH11298043 A JP H11298043A JP 10224898 A JP10224898 A JP 10224898A JP 10224898 A JP10224898 A JP 10224898A JP H11298043 A JPH11298043 A JP H11298043A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低抵抗のp型伝導性薄膜層を用いた高性能半
導体素子を可能とすること。 【解決手段】 III族窒化物半導体層を含む半導体素
子において、III族窒化物の閃亜鉛鉱型層とウルツ鉱
型層とでなる超格子構造にアクセプタ不純物を添加した
p型伝導性薄膜層をその構造に含むことに特徴を有して
いる。すなわち、裏面に約200nmのSiO2 をスッ
パッタリングにより堆積したGaAs基板9、厚さ約1
0nmのSiドープGaN緩衝層10、厚さ1μmのS
iドープn型Al0.15Ga0.85Nクラッド層11、厚さ
0.2μmのノンドープGaN活性層12、膜厚0.3
μmのMgドープp型Al0.15Ga0.85Nクラッド層1
3、膜厚1μmのMgドープp型GaNコンタクト層1
4からなるヘテロ構造である。クラッド層13、コンタ
クト層14を堆積する過程では原料以外にPH3を流し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体素子およびI
II族窒化物超格子構造の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】III族窒化物半導体では緑から青の発
光ダイオードが実用化されている。さらにレーザダイオ
ードの実用化、量産が期待されているが、再現性良く特
性の良い素子を作製することが難しい。その主たる原因
は素子抵抗が高いためであり、中でも低抵抗なp型伝導
層の実現が課題となっている。低抵抗化を図るためには
正孔濃度を上げることが重要であるが、III族窒化物
ではアクセプタ準位が深いため、アクセプタの活性化率
が低くなり、十分に高い正孔濃度を得ることが難しい。
さらに正孔濃度は結晶品質に非常に敏感であるため大量
のアクセプタ不純物を加えた上で再現性良く高濃度p型
層を作製することも難しい。これによって、レーザダイ
オード等の高電流密度を必要とする素子では素子抵抗が
高くなることにより発熱が大きく、素子特性が動作中に
大きく低下するという問題がある。このような問題に対
して十分高い正孔濃度を得る試みとして、AlGaN/
GaN組成変調超格子構造を用いた変調ドーピングが用
いられている。
【0003】図4は、AlGaN/GaN組成変調超格
子の価電子帶頂上付近のバンド構造及びアクセプタ準位
を表した図である。バンドギヤップエネルギーの大きな
AlGaN中にのみドーピングを行うと、図に示すよう
に、AlGaN層中アクセプタレべルのGaN価電子帯
頂上からの深さ(図中ΔE’a)はGaNのアクセプタ
レべル(図中ΔEa)と比べると浅い。このため、Ga
Nの価電子帯に励起される正孔のみかけ上アクセプタレ
べルが浅くなり、活性化率向上につながるものである。
活性化率をより大きくするために、AlGaNのAlN
組成を大きくしてGaNとAlGaNの価電子帯頂上の
不連続差,いわゆるΔEvを大きくすることが考えられ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】AlN組成を大きくす
ることによリGaNとAlGaNの価電子帯頂上の不連
続差ΔEvは大きくなるが、AlN組成増大にともなっ
てアクセプタ準位も深くなるため、AlGaN中のアク
セプタレベルとGaNの価電子帯頂上を効率的に近づけ
ることができず、十分な効果が得られていない。さら
に、GaNとAlGaNの超格子ではAlN組成が大き
くなるとGaNとの格子定数差が大きくなることによ
り、結晶性が悪化し、正孔の活性化がより難しくなると
いう問題が生じる。このため、十分に正孔濃度の高い低
抵抗p型III族窒化物薄膜を用いた半導体素子を再現
性良く作製する技術が望まれていた。
【0005】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたもので、その目的は、低抵抗のp型伝導性薄膜層
を用いた高性能半導体素子を得ることを可能とするこ
と、及び低抵抗p型III族窒化物超格子構造の作製方
法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】これまで、III族窒化
物は安定状態のウルツ鉱型の結晶構造相以外に準安定状
態の閃亜鉛鉱型構造の結晶構造をもつ相の存在が知られ
ている。また、両相のバンドギヤップエネルギーが違う
ことは良く知られており、本発明者らはウルツ鉱型/閃
亜鉛鉱型窒化物ヘテロ界面でのバンドラインアップがタ
イプII構造になることを、フォトルミネッセンススペ
クトルを解析することにより見出した。すなわち、荷電
子帯の上端のバンド構造はウルツ鉱型に比べ閃亞鉛鉱型
窒化物のエネルギが小さい。両構造を用いてウルツ鉱/
閃亜鉛鉱型窒化物超格子構造にアクセプタ不純物を添加
すると、各々の層中でアクセプタ準位が形成される。
【0007】本発明の発明者らはIII族窒化物の結晶
成長中にリン原料を流すことにより、容易にウルツ鉱/
閃亜鉛鉱型超格子を制御して作製できることを見出し
た。さらに、この現象を利用してアクセプタ不純物を添
加して作製したウルツ鉱型/閃亜鉛鉱型III族窒化物
構造変調超格子を用いて、見かけ上のアクセプタ準位を
低下させることにより正孔の活性化率向上を図った膜を
実現した。さらにこれにより低抵抗になったp型III
族窒化物薄膜を高性能半導体素子への適用を図った。
【0008】この超格子構造は、III族窒化物の結晶
成長中に少量のリン原料を添加することによって容易に
形成できる。リン原料によりリン化物が析出することに
より、III族窒化物の2次元ステップフロ−成長が阻
害される。このため、細かい積層の変化が導入され、結
果として構造変調超格子が形成される。リン原料が窒素
原料に対するモル比が10%より大きくなると、リン化
物の析出が多くなりすぎるため、窒化物に大きな欠陥が
生じてp型化が困難になる。したがって、リン原料流量
は10%以下に抑える必要がある。この方法を用いる
と、従来型のMOVPE装置を用いて容易にこの構造変
調超格子構造を実現でき、不純物アクセプタの添加も従
来と同様な方法でおこなうことが可能である。さらに、
リン原料流量の変化によりウルツ鉱型層と閃亜鉛鉱型層
の比を変化させた所望のウルツ鉱型/閃亜鉛鉱型III
族窒化物超格子構造を作成することも可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】上記課題を解決するために本発明
の半導体素子は、III族窒化物半導体層を含む半導体
素子において、III族窒化物の閃亜鉛鉱型層とウルツ
鉱型層とでなる超格子構造にアクセプタ不純物を添加し
たp型伝導性薄膜層をその構造に含むことに特徴を有し
ている。また、前記アクセプタ不純物がMgであること
に特徴を有している。
【0010】上記課題を解決するために本発明のIII
族窒化物超格子構造の作製方法は、III族原料と窒素
原料とアクセプタ不純物原料とを用いて有機金属気相成
長法によってIII族窒化物半導体相を成長させる際
に、窒素原料に対してモル比10%以下のフォスフィン
またはターシャリブチルフォスフィンまたはイソブチル
フォスフィンを添加して成長させることに特徴を有して
いる。
【0011】
【実施例】本発明の実施例について説明する。なお、実
施例は一つの例示であって、本発明の精神を逸脱しない
範囲で、種々の変更或いは改良を行いうることはいうま
でもない。
【0012】以下、本発明の第1実施例を図面に基づい
て説明する。図1は、半導体発光素子の断面を表した図
である。裏面に約200nmのSiO2 をスッパッタリ
ングにより堆積したGaAs(100)基板9を有機洗
浄した後、硫酸過酸化水素水水溶液で表面の加工損傷層
を除去する。この後、有機金属気相エピタキシャル成長
法により、基板を砒素雰囲気中約720℃で熱処理し、
まず550℃で厚さ約10nmのSiドープGaN緩衝
層10を堆積後、950℃で厚さ1μmのSiドープn
型Al0.15Ga0.85Nクラッド層11、厚さ0.2μm
のノンドープGaN活性層12、膜厚0.3μmのMg
ドープp型Al 0.15Ga0.85Nクラッド層13、膜厚1
μmのMgドープp型GaNコンタクト層14からなる
ヘテロ構造を堆積する。
【0013】Mgドープp型Al0.15Ga0.85Nクラッ
ド層13、膜厚1μmのMgドープp型GaNコンタク
ト層14を堆積する過程では原料以外にPH3 を流し
た。このとき、NH3 100ccmに対し、1000p
pmに水素希釈したPH3 を50ccm供給した。窒素
雰囲気中900℃で10分間熱処理した後、基板裏面の
SiO2 を緩衝フッ酸で除去し、膜表面にp型電極1
5、基板側にn型電極16を形成する。端面は基板とと
もに襞開することによって作製した。
【0014】p型電極に正の電圧をn型電極に負の電圧
を加えると、活性層は389nmの波長でレーザ発振し
た。最大出力は13mWであり、外部量子効率は7%で
あった。p型層の成長過程にPH3 を用いなかった場
合、発光は確認できたが、発振はしなかった。p型層の
成長過程にPH3 を用いることにより立方晶/六方晶超
格子構造が形成され、立方晶層の価電子帯上端のエネル
ギーが六方晶のそれより低いため、Mg準位の見かけ上
の深さが浅くなり、活性化率が上がった。このp型層の
ホール測定から、PH3 を用いなかった場合1×1017
cm-3であったキャリア濃度が2×1018cm-3まで上
がり、抵抗率が1×10-2(Ωcm)から2×10
-3(Ωcm)に下がっていることを確認した。この結
果、活性層に効率的に電流を注入することが可能にな
リ、レーザ発振が可能になった。
【0015】本発明の第2実施例を図面に基づいて説明
する。図2は、半導体発光素子の断面を表した図であ
る。サファイア(0001)基板17を有機洗浄した
後、硫酸過酸化水素水水溶液で表面の加工損傷層を除去
する。この後、有機金属気相エピタキシャル成長法によ
り、基板を水素雰囲気中約1100℃で熱処理し、まず
570℃で厚さ約10nmのノンドープGaN緩衝層1
8を堆積後、1050℃で厚さ2μmのSiドープn型
GaN層19、厚さ1μmのSiドープn型Al0. 15
0.85N光閉じ込め層20、0.2μmのSiドープn
型GaNキャリア閉じ込め層21、厚さ10nmのIn
0.1 Ga0.9 Nと厚さ10nmのIn0.2 Ga0.8 Nを
交互に6層積層した多重量子井戸層22、膜厚0.2μ
mのMgドープp型GaNキャリア閉じ込め層23、膜
厚1μmのMgドープp型Al0.15Ga0.85N光閉じ込
め層24、膜厚1μmのMgドープp型GaNコンタク
ト層25からなるヘテロ構造を堆積する。
【0016】Mgドープp型GaNキャリア閉じ込め層
23、Mgドープp型Al0.15Ga 0.85N光閉じ込め層
24、膜厚1μmのMgドープp型GaNコンタクト層
25を堆積する過程では原料以外にターシャリブチルフ
ォスフィン(TBP)を流した。このとき、NH3 21
mに対し、TBPをバブラ水素流量100ccmで供給
した。窒素雰囲気中900℃で10分間熱処埋した後、
ドライエッチングにより、SiドープGaN層までエッ
チングした表面にn型電極26、膜表面側にp型電極2
7を形成する。端面はドライエッチングによって作製し
た。
【0017】p型電極に正の電圧をn型電極に負の電圧
を加えると、410nmの波長でレーザ発振した。最大
出力は13mWであり、外部量子効率は7%であった。
p型層の成長過程にTBPを用いなかった場合、発光は
確認できたが、発振はしなかった。p型層の成長過程に
TBPを用いることにより立方晶/六方晶超格子構造が
形成され、立方晶層のMgアクセプタの活性化が上が
り、Mg準位の見かけ上の深さが浅くなり、活性化率が
上がった。このp型層のホール測定により、TBPを用
いなかった場合2×1017cm-3であったキャリア濃度
が4×1018cm -3まで上がり、抵抗率が4×10
-2(Ωcm)から4×10-3(Ωcm)に下がっている
ことを確認した。この結果、活性層に効率的に電流を注
入することが可能になリ、レーザ発振が可能になった。
【0018】図3は、本発明のIII族窒化物超格子構
造の作製方法における六方晶/立方晶構造変調超格子の
価電子帯頂上付近のバンド構造及びアクセプタ準位を表
した図である。図において、h−GaN及びc−GaN
はそれぞれウルツ鉱型GaN及び閃亜鉛鉱型GaNを示
しており、III族窒化物の中で代表的なGaN(窒化
ガリウム)である。アクセプタ不純物を添加することに
よって形成されるアクセプタ準位はウルツ鉱型と閃亜鉛
鉱型それぞれの価電子帯頂上からほぼ同じ深さ(Ea)
であるため、閃亜鉛鉱型構造のアクセプタ準位はウルツ
構造からみると浅く(E’a)、見かけ上のアクセプタ
レベルは浅くなる。このためヘテロ界面において容易に
正孔が活性化できる。この結果、正孔の活性化率が高く
なるため、正孔キャリア濃度を高くすることが可能とな
り、p型層の抵抗を大幅に低減できる。
【0019】また、ウルツ鉱型と閃亜鉛鉱型構造の違い
は原子層の積層順の違いのみであるため、ウルツ鉱型c
軸と閃亜鉛鉱型[111]軸が平行になるようにヘテロ
構造を形成すると、欠陥なくヘテロ構造の形成が可能で
ある。さらに、これら二つの結晶構造間でボンド長がほ
とんど同じであるため、格子定数差が無視できる条件で
結晶品質を損なうことなく超格子構造を実現できる利点
もある。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、M
gアクセプタの見かけ上の準位が浅くなり活性化率が上
がったため、高正孔濃度のp型ドーピングが可能となっ
た。これにより、p型層の抵抗およびp型電極の接触抵
抗が低下した結果、素子の抵抗が下がり素子の高効率化
が図れる。さらに、抵抗による発熱のための素子性能の
低下も大幅に防止でき、半導体素子性能が向上する。ま
た、リン原料流量を変化させるだけで超格子構造の作成
が可能なため、非常に容易に、また、再現性良く膜の作
成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における半導体発光素子の断面
を表した図である。
【図2】本発明の他の実施例における半導体発光素子の
断面を表した図である。
【図3】本発明のIII族窒化物超格子構造の作製方法
における六方晶/立方晶構造変調超格子の価電子帯頂上
付近のバンド構造及びアクセプタ準位を表した図であ
る。
【図4】AlGaN/GaN組成変調超格子の価電子帶
頂上付近のバンド構造及びアクセプタ準位を表した図で
ある。
【符号の説明】
1 ウルツ鉱III族窒化物層 2 閃亜鉛鉱III族窒化物層 3 アクセプタ準位 4 正孔 5 GaN層 6 AlGaN層 7 アクセプタ準位 8 正孔 9 GaAs(100)基板 10 SiドープGaN緩衝層 11 SiドープAl0.15Ga0.85Nクラッド層 12 GaN活性層 13 MgドープAl0.15Ga0.85Nクラッド層 14 MgドープGaNコンタクト層 15 p型電極 16 n型電極 17 サファイア(0001)基板 18 GaN緩衝層 19 Siドープn型GaN層 20 Siドープn型Al0.15Ga0.85N光閉じ込め層 21 Siドープn型GaNキャリア閉じ込め層 22 In0.1 Ga0.9 N/In0.2 Ga0.8 N多重量
子井戸層 23 Mgドープp型GaNキャリア閉じ込め層 24 Mgドープp型Al0.15Ga0.85N光閉じ込め層 25 Mgドープp型GaNコンタクト層 26 n型電極 27 p型電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 III族窒化物半導体層を含む半導体素
    子において、 III族窒化物の閃亜鉛鉱型層とウルツ鉱型層とでなる
    超格子構造にアクセプタ不純物を添加したp型伝導性薄
    膜層をその構造に含むことを特徴とする半導体素子。
  2. 【請求項2】 前記アクセプタ不純物がMgであること
    を特徴とする請求項1記載の半導体素子。
  3. 【請求項3】 III族原料と窒素原料とアクセプタ不
    純物原料とを用いて有機金属気相成長法によってIII
    族窒化物半導体相を成長させる際に、窒素原料に対して
    モル比10%以下のフォスフィンまたはターシャリブチ
    ルフォスフィンまたはイソブチルフォスフィンを添加し
    て成長させることを特徴とするIII族窒化物超格子構
    造の作製方法。
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