JPH1128857A

JPH1128857A - 記録方法

Info

Publication number: JPH1128857A
Application number: JP9185418A
Authority: JP
Inventors: Hiroyuki Nakaarata; 弘幸中新田
Original assignee: Sony Corp
Current assignee: Sony Corp
Priority date: 1997-07-10
Filing date: 1997-07-10
Publication date: 1999-02-02

Abstract

(57)【要約】【課題】インクジェット記録方式において、銀塩写真
に匹敵し得る彩度、解像度、耐久性を有する画像の形成
を可能とする。【解決手段】交換性陰イオンを有し、イオン交換作用
に基づくインターカレーション反応により染料の定着保
持させる層間化合物を含有する染料受容層に、反応染料
Ｃ．Ｉ．ソルビライズドサルファーブラック２（C.I.SO
LUBILIZED SULPHUR BLACK2）である水溶性染料を含有す
る記録液を被着させることにより記録を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は支持体上に層間化合
物を含有する染料受容層が形成された被記録材の染料受
容層に、水溶性染料を有する記録液を被着させることに
より記録を行う記録方法に関する。詳しくは、層間化合
物の種類及び水溶性染料の種類を特定した記録方法に係
わるものである。

【０００２】

【従来の技術】近年パーソナルコンピュータ等の普及に
伴い、該パーソナルコンピュータで作成した画像情報等
を銀塩写真と同じように記録紙に表示することが要求さ
れている。そして、記録紙に印刷する手段として、電界
や熱、圧力等を駆動源としてノズルより溶液状のインク
を記録紙状に吐出させ、インクにより画像を形成して行
うインクジェット記録方式を使用している。

【０００３】上記インクジェット記録方式においては、
インクとして水性インクを使用し、記録紙として支持体
上に染料受容層の形成された記録紙を使用するのが一般
的である。

【０００４】なお、上記水性インク中には水溶性染料，
水，多価アルコール等を含有させるようにしている。そ
して、上記水溶性染料としては、記録紙の構成材料とし
て一般的なセルロース系樹脂に対して十分な染着性を有
し、かつ単独でブラック色が出せる水溶性直接染料や水
溶性酸性染料（以下、これらを水溶性アニオン染料と称
する。）が主に使用されている。

【０００５】また、上記記録紙の染料受容層としては、
水性インクの滲みを抑制するべく、染料との親和性に優
れた水溶性高分子中に種々の添加剤を分散した層が形成
される。

【０００６】ところで、上記のようなインクジェット記
録方式において使用されている水溶性アニオン染料は、
その染色理論によると、染料受容層に移行した後におい
ては、染料受容層成分とのファンデールワールス力、水
素結合の相互作用をすることによって染料受容層中に保
持されている。

【０００７】従って、上記水溶性アニオン染料を含むイ
ンクにより形成される画像に染料に対してより親和力の
優れた溶剤や樹脂等が接した場合、或いは染料と染料受
容層との相互作用を打ち消すだけの熱エネルギーが供給
された場合には、染料の溶出や移行が誘発されたり、画
像のボケが発生し、上記水溶性アニオン染料により形成
された画像においては銀塩写真のような完全な定着性を
確保することができない。

【０００８】そこで、例えば特公昭６２−７９８号公報
に示すように、水性インク用染料に反応性染料を用い、
染料受容層中の活性基と共有結合を形成する方法、或い
は米国特許第４６９４３０２号に示すように、染料アニ
オンと染料受容層中の有機高分子カチオン間にイオン結
合を形成させる方法、特公昭６３−１１１５８号公報に
示すように、染料アニオンと染受容層中の無機低分子カ
チオン間にイオン結合を形成させる方法等のような化学
結合に基づく手段が提案されている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような方法では、インクや染料受容層中の反応性が非
常に高くなり、インク或いは染料受容層の形成された記
録紙、又は記録紙上に記録された画像の保存性が十分で
なく、やはり銀塩写真ほどの定着性を確保することは困
難である。

【００１０】また、染料と染料受容層の反応が短時間で
終了しないため、画像が安定に形成されるまで長時間を
要する。若しくは安定に画像を形成するために加熱処理
を要するといった不都合も生じている。

【００１１】この様なことから、従来のインクジェット
記録方式により形成される画像は証明写真や屋外展示用
印刷物等の高度な画像耐久性が要求される分野において
は実用が難しいとされている。しかし、この様な分野に
おいてもインクジェット記録方式により形成される画像
を実現できるように、インクジェット記録方式において
は、画像の耐久性を高めることが要求されている。

【００１２】そこで、本発明は従来の実情に鑑みて提案
されたものであり、銀塩写真像に匹敵し得る耐久性を有
する画像の形成を可能にすることを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者等は鋭意検討した結果、水溶性アニオン染
料が、水吸着若しくは水に対する膨潤性に優れかつアニ
オン交換能を有する層間に、イオン交換作用に基づくイ
ンターカレーション反応により強固に固定されることを
利用し、染料受容層中に特定構造を有する層間化合物を
含有させ、水性インク中に特定構造を有する水溶性アニ
オン染料を含有させて上記水溶性インクを染料受容上に
被着させれば、保存性及び定着性が良好で耐久性の良好
な画像が形成されることを見いだした。

【００１４】すなわち本発明の記録方法は、交換性陰イ
オンを有し、イオン交換作用に基づくインターカレーシ
ョン反応により染料の定着保持させる層間化合物を含有
する染料受容層に、反応染料Ｃ．Ｉ．ソルビライズドサ
ルファーブラック２（C.I.SOLUBILIZED SULPHUR BLACK
2）である水溶性染料を含有する記録液を被着させるこ
とにより記録を行うことを特徴とするものである。

【００１５】なお、上記染料受容層中の層間化合物の含
有量は染料受容層中の固形分の１０重量％から９０重量
％であることが好ましく、１０重量％よりも少ないと染
料固定効果が不足し、９０重量％よりも多いと染料受容
層の柔軟性が低下するので好ましくない。

【００１６】そして、上記層間化合物としては、層間に
区間性陰イオンを有する層状無機高分子が好ましく、
０：１型粘度鉱物のＡｌＯ八面体シートからなる層状塩
であることがハイドロタルサイト群鉱物、中でも化１に
示される構造を有するものが好ましい。

【００１７】

【化１】

【００１８】また、上記染料受容層中の層間化合物の分
散性を高めるべく、該染料受容層中には樹脂が含有され
ていることが好ましく、記録液の例えば溶媒が浸透し易
い親水性樹脂が含有されていることが好ましい。

【００１９】なお、上記記録液中には、水溶性有機溶剤
を含有していても良く、上記水溶性有機溶剤としては、
脂肪族一価アルコール，多価アルコール，多価アルコー
ル誘導体の少なくとも１種類が好ましい。

【００２０】上記脂肪族一価アルコールは、記録液が被
記録剤の染料受容層に付着したときの滲みを均一とし、
被記録剤を形成する例えば紙への浸透能力に優れ、蒸散
能力を促進する効果を有し、上記多価アルコール誘導体
は、高沸点溶媒であり、吸湿性があり、ノズルの目詰ま
りを防止する効果を有し、記録液としてインクを形成し
た場合の保存性を高める効果も有する。

【００２１】また、上記記録液中には、界面活性剤，粘
度調節剤，消泡剤，防腐剤，ｐＨ調節剤のうちの少なく
とも１種を含有させてもよい。

【００２２】上記界面活性剤は、記録液としてインクを
形成した場合の表面張力を抑制する、記録液としてイン
クを形成した場合の保存性を高める効果を有し、粘度調
節剤は、記録液滴の吐出安定性を高める効果を有する。
また、消泡剤は、記録液の吐出安定性を高める効果を有
し、防腐剤は記録液としてインクを形成した場合の保存
性を高める効果を有し、ｐＨ調節剤は、使用される記録
装置を保護する、記録液としてインクを形成した場合の
保存性を高める効果を有する。

【００２３】すなわち、本発明の記録方法においては、
交換性陰イオンを有し、イオン交換作用に基づくインタ
ーカレーション反応により染料を定着保持させる層間化
合物を含有する染料受容層に染料である水溶性染料を含
有する記録液を被着させることにより記録を行うため、
水溶性染料が層間化合物により染料受容層中に強固い定
着され、形成される保存性、定着性が良好となり、耐久
性も良好となる。

【００２４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について示す。すなわち本発明の記録方法は交換性陰
イオンを有し、イオン交換作用に基づくインターカレー
ション反応により染料を定着させる層間化合物を含有す
る染料受容層が支持体上に形成された被記録剤の染料受
容層に、反応染料Ｃ．Ｉ．ソルビライズドサルファーブ
ラック２（C.I.SOLUBILIZED SULPHUR BLACK2）である水
溶性染料を含有する記録液を被着させることにより記録
を行うものである。

【００２５】なお、上記被記録剤の支持体としては、例
えば記録紙の支持体上として一般的に用いられるものが
挙げられ、普通紙、合成紙等の紙類、或いはポリエチレ
ンテレフタレート等のプラスチックフィルム類、さらに
は紙類、或いはポリエチレンテレフタレート等のプラス
チック類、さらには紙類上にプラスチック類をコーティ
ングしたもの等が挙げられる。

【００２６】水溶性直接染料及び酸性染料を含む水溶性
アニオン染料は、水吸着性若しくは水に対する膨潤性に
優れかつアニオン交換能を有する層間化合物の親水性の
層間に、イオン交換作用に基づくインターカレーション
反応により強固に固定される。

【００２７】従って、本発明の記録方法においては、水
溶性染料が層間化合物により染料受容層中に強固に定着
され、該染料により画像が形成され、その保存性，定着
性は良好で耐久性も良好となる。

【００２８】すなわち、これらのことから、本発明の記
録方法により形成された画像は銀塩写真像に匹敵し得る
耐久性を有するものとなり証明写真や屋外展示用印刷物
等として十分使用し得るものとなる。

【００２９】なお、上記染料受容層中の層間化合物の含
有量は染料受容層中の固形分の１０重量％から９０重量
％であることが好ましく、４０重量％から８０重量％で
あることがより好ましい。１０重量％よりも少ないと染
料固定効果が不足し、９０重量％よりも多いと染料受容
層中の固形分の例えば後述の樹脂の含有量が相対的に小
さくなっても染料受容層の柔軟性が低下するので好まし
くない。

【００３０】すなわち、被記録剤を製造する場合、支持
体上に層間化合物，樹脂等を含有する染料受容層形成溶
液を塗布し被膜を形成して染料受容層を形成し、被記録
剤を製造するが、層間化合物の含有量があまりにも多い
と染料受容層に柔軟性を与えるために染料受容層形成溶
液中に添加される樹脂等の含有量が相対的に小さくな
り、柔軟性に富んだ被膜を形成することが困難となる。

【００３１】そして、上記層間化合物としては、層間に
交換性有機陰イオンを有する層状無機高分子材料である
ハイドロタルサイト群鉱物が好ましい。

【００３２】上記層間化合物としては、上記化１に示さ
れるハイドロタルサイト群鉱物の天然鉱物の他、若干組
成の異なる合成品が挙げられる。この合成品の微粉末は
天然品のように夾雑物を含まず純白色を呈し、結晶その
ものが光学的に透明である。従って、このような合成品
の微粉末を層間化合物として被記録材の染料受容層中に
含有させて本発明の記録方法に使用すれば、銀塩写真に
十分匹敵し得る彩度を有する画像を形成することが十分
可能である。

【００３３】さらには、ハイドロタルサイト群鉱物のイ
オン交換部位に水やアルコール等の高誘電率媒体に溶媒
和し易い無機イオン、例えばＮＯ，ＳＯ，ＣｌＯ，Ｆｅ
（ＣＮ），ヘテロポリリン酸イオン等或いはリンゴ酸等
の低級カルボキシレートイオンのような親水性有機アニ
オンを有するものが挙げられる。これに対し、高級カル
ボキシレートイオンは上述のようなイオンに比べ溶媒和
し難い層間を与える傾向があり好ましくない。

【００３４】さらに上記層間化合物としては、後述の樹
脂への分散性を改善するとともに、アルコールなどの非
水溶媒に対する膨潤性を改善するために、交換性陰イオ
ンの一部を有機アニオンで置換させ、層間距離を広げる
（ピラー効果）や層間を部分的に疎水化する効果を付与
しているものが挙げられる。この有機アニオンとして好
適なものは、カルボン酸アニオン類，スルホン酸アニオ
ン類，エステルアニオン類，燐酸エステルアニオン類が
挙げられる。

【００３５】上記ハイドロタルサイト類以外にも交換性
陰イオンを有する層間化合物としては、チタンやジルコ
ニウム，ランタン，ビスマス等の含水酸化合物或いは水
酸化燐酸塩等が存在するが、その光学的隠ぺい性若しく
は固有の着色のために透明性，光沢性，白色性が同時に
要求されないよう被記録材の染料受容層中に含有させる
場合には使用可能である。

【００３６】また、上記記録方法に使用される被記録材
においては、染料受容層中に樹脂が含有されていること
が好ましく、染料受容層中の層間化合物の分散性を高め
る作用を有し、本発明の記録方法で使用される水溶性染
料を含有する記録液である例えば水性インクの溶媒であ
る水やアルコール等が浸透する親水性樹脂が含有されて
いることが好ましい。

【００３７】上記樹脂としては、一般的な熱化塑性樹脂
が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂などのビニルア
ルコールのアセタール化物、ヒドロキシプロピルセルロ
ース樹脂等のセルロース系樹脂，ポリビニルピロリドン
一酢酸ビニル共重合体等のビニルピロリドン系樹脂、ポ
リビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等
が挙げられる。このとき、上記樹脂中に凝縮を引き起こ
したり画像の定着作用を阻害するような置換基、例えば
水溶性染料よりも相対的に層間にイオン交換し易く、保
持されやすい基を含むものは好ましくない。

【００３８】また、上記のような親水性樹脂を使用する
場合、上述のような親水性樹脂の他に、画像形成後の被
膜の耐久性を確保するべく、ウレタン系架橋剤等により
架橋させることが好ましい。従って、樹脂としてはＯＨ
基、カルボキシル基等の架橋反応にきよできる置換基
を、層間化合物の染料定着性を阻害しない範囲で有する
ものを使用することが好ましい。

【００３９】さらに、本発明において使用される水溶性
染料は反応染料Ｃ．Ｉ．ソルビライズドサルファーブラ
ック２（C.I.SOLUBILIZED SULPHUR BLACK2）である。

【００４０】なお、本発明で使用する記録液中には、水
溶性有機溶剤を含有させても良く、上記水溶性有機溶剤
としては脂肪族一価アルコール，多価アルコール，多価
アルコール誘導体の少なくとも１種が好ましい。

【００４１】上記脂肪族一価アルコールは、記録液が被
記録の染料受容層に付着したときの滲みを均一とし、被
記録材を形成する例えば紙への浸透能力を促進する効果
を有する、そして、上記脂肪族一価アルコールとして
は、エチルアルコールイソプロピルアルコール，Ｍ−ブ
チルアルコール等が使用し易いことから好ましく、中で
もイソプロピルアルコールが他のアルコールに比較して
適度な乾燥性を有し、臭気も少なく、ドット形成を向上
させることが可能であり好ましい。また、この脂肪族一
価アルコールの含有量であるが、記録液全体に対して１
重量％以上であれば良く、上限は記録液としてインクを
使用した場合におけるインクの表面張力及び染料の溶解
性を考え３０重量％程度であり、１重量％から２０重量
％とすることがより好ましい。

【００４２】上記多価アルコール及び多価アルコール誘
導体は、高沸点溶媒であり、吸湿性があり、ノズルの目
詰まりを防止する効果を有する。そして、上記多価アル
コールのうち、ジエチレングリコールやグリセリン等は
染料の優れた溶剤ともなる。さらにこれらにおいては、
記録液としてインクを形成する場合に母体となる水の氷
点を低下させてインクの保存性を高める効果も有する。
また、上記多価アルコール誘導体の含有量であるが、記
録液全体量に対して１重量％以上であれば良く、上限は
記録液としてインクを使用した場合におけるインクの粘
性及び乾燥性を考えて４０重量％程度であり、５重量％
から３０重量％とすることがより好ましい。

【００４３】さらに、上記記録液中には界面活性剤，粘
度調節剤，防腐剤，ｐＨ調節剤のうち少なくとも１種を
含有させてもよい。

【００４４】上記界面活性剤は、記録液としてインクを
形成した場合の表面張力を抑制する、記録液としてイン
クを形成した場合の保存性を高める効果を有する。上記
界面活性剤としては、アルキル塩類等のアニオン界面活
性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類，ポリオ
キシエチレン脂肪酸エステル類等のノニオン界面活性剤
が挙げられ、使用目的により１種以上を使用すればよ
い。また、上記界面活性剤の含有量であるが、界面活性
剤の種類により異なるものの、記録液全量に対して０．
０１重量％から５重量％が好ましい。

【００４５】粘度調節剤は、記録液滴の吐出安定性を高
める効果を有し、一般的な粘度調整剤を使用すればよ
い。

【００４６】また、上記消泡剤は、例えば記録液中のイ
ンク中に気泡が発生すると、吐出安定性に影響を及ぼ
し、最悪の場合吐出不可能となってしまうため、気泡の
発生を抑え、記録液の吐出安定性を高めるために添加
し、一般的な消泡剤を使用すればよい。

【００４７】さらに、上記ｐＨ調節剤は、記録液のｐＨ
が該記録液の接する部分の材料に及ぼす影響をなくし、
使用される記録装置を保護する、記録液としてインクを
形成した場合の保存性を高める効果を有し、一般的なｐ
Ｈ調節剤を使用すればよい。また、上記ｐＨ調節剤は、
記録液がｐＨ７．０〜１１．０の範囲となる程度、好ま
しくはｐＨ７．５〜９．０の範囲となる程度、ややアル
カリ性を示す程度に添加すれば良い。

【００４８】

【実施例】以下、本発明を適用した好適な実施例につい
て実験結果に基づいて説明する。

【００４９】実験例１本実施例においては、被記録紙を用意し、水溶性染料と
して反応染料を含有した記録液としてインクを用意し、
これらを用いて本発明の記録方法により形成した画像の
耐久性を調査した。

【００５０】［サンプルの作製］＜記録紙サンプル＞エチルアルコール６４ｇと水１４ｇ
との混合溶媒中層間化合物として、有機酸処理ハイドロ
タルサイト（協和化学工業（株）：ＫＷ２２００１６
ｇにリンゴ酸１０ｍｇを当量吸着処理したもの）と樹脂
としてポリアミド（商品名：Ｍ−１２７６プラーテ・
ボン社製）／ポリビニルピロリドン（商品名：Ｋ−９０
ＢＡＳＦ（株）社製）８ｇを加えてビーズミルで８時
間分散させて懸濁溶液を得た。

【００５１】続いて、厚さ１２５μｍの透明ポリエステ
ルフィルム（商品名：ルミラーＴ−６０東レ社製）を
用意した。そして、このフィルム上に、上記懸濁溶液を
乾燥厚１０μｍとなるようにワイヤーバーを使用して塗
布し、１００℃１分の条件で乾燥させ、染料受容層を形
成し、これを記録サンプルとした。

【００５２】（記録紙比較サンプル）記録紙サンプルで
使用して懸濁溶液中から有機酸処理ハイドロタルサイト
を除いた懸濁溶液を用意した。そして、記録紙サンプル
と同様に、懸濁溶液を透明ポリエステルフィルムに塗布
して染料受容層を形成し、これを記録紙比較サンプルと
した。

【００５３】＜インクサンプル１＞下記に示すような配
合のインクサンプルを用意した。なお染料としては、
Ｃ．Ｉ．ソルビライズドサルファーブラック２（C.I.SO
LUBILIZED SULPHUR BLACK2）を使用する。染料３重量部水８４．８重量部ジグリセリンボラート０．５重量部ジエチレングリコールモノメチルエーテル９．５重量部非イオン性界面活性剤０．０２重量部（商品名：ＬＢ−１２０ボロンインターナショナル製）

【００５４】＜インクサンプル２＞下記に示すような配
合のインクサンプルを用意した。なお染料としては、
Ｃ．Ｉ．スキッドブラック２（C.I.Scid BLACK2）を使
用する。染料３重量部水８４．８重量部ジグリセリンボラート０．５重量部ジエチレングリコールモノメチルエーテル９．５重量部非イオン性界面活性剤０．０２重量部（商品名：ＬＢ−１２０ボロンインターナショナル製）

【００５５】［画像耐久性試験］次に、上記のようにし
て得られたインクサンプル１と記録紙サンプル、記録紙
比較サンプルを使用して印字サンプルの記録を行い、ま
た、インクサンプル２も同様の記録を行い、これらの得
られた印字サンプルの耐久性及び耐温室性を調査した。

【００５６】すなわち、上記のようにして得られたイン
クサンプルをエプソン社製のプリンター（ＭＪ−８００
Ｃ）のインクとして詰め替えておき、これを使用して記
録紙実施のサンプル及び記録紙比較サンプルに印字サン
プルを記録紙、画像を形成した。

【００５７】次に、耐久性を調査すべく、記録紙実施サ
ンプルと記録紙比較サンプルにインクサンプルにより記
録された各印字サンプルの濃度をマクベス社製濃度計
（機種名：ＴＲ−９２４）により測定した。

【００５８】次に、上記記録紙実施サンプルと記録紙比
較サンプルにキセノンアークフェードメーター（スガ試
験機）により７２時間かけて９０，０００ＫＪ／ｍのエ
ネルギーを照射した。

【００５９】続いて、エネルギー照射後の記録紙実施サ
ンプルと記録紙比較サンプルのインクサンプルにより記
録された各印字サンプルの濃度を上述のように測定し
た。そして、エネルギー照射後の各印字サンプルにおけ
る濃度残存率を数１より、またエネルギー照射後の色差
を数２よりそれぞれ求めた。結果を表１に示す。

【００６０】

【数１】

【００６１】

【数２】

【００６２】

【表１】

【００６３】表１の結果から、少なくとも層間に陰イオ
ンを有する層間化合物であるハイドロタルサイト群鉱物
を含有する染料受容層が支持体上に形成されている記録
紙実施サンプルに少なくとも特定構造を有する反応染料
を含有インクサンプルを使用し記録した印字サンプルに
おいては、染料受容層中に層間化合物を含有しない記録
紙比較サンプルにインクサンプルを使用して記録した印
字サンプルよりも濃度残存率及び色差が大幅に向上して
いることが確認された。また、同じ記録紙実施サンプル
においてインク中の染料が、Ｃ．Ｉ．ソルビライズドサ
ルファーブラック２（C.I.SOLUBILIZED SULPHUR BLACK
2）の方が濃度残存率及び色差が向上していることが確
認された。

【００６４】さらに、高温高湿度における画像の耐久性
を調査するべく、２種のインクサンプルでそれぞれ記録
された記録紙実施サンプルと記録紙比較サンプルを６０
℃、８５％ＲＨの条件下で４８時間保存した。

【００６５】続いて、高温高湿度保存後のこれらの各印
字サンプルの濃度を上述のように測定した。そして、保
存後の各印字サンプルにおける濃度残存率を数１より、
またエネルギー照射後の色差を数２よりそれぞれ求め
た。結果を表２に示す。

【００６６】

【表２】

【００６７】表２の結果から、少なくとも層間に陰イオ
ンを有する層間化合物であるハイドロタルサイト群鉱物
を含有する染料受容層が支持体上に形成されている記録
紙実施サンプルに少なくとも特定構造を有する反応染料
を有するインクサンプルを使用して記録した印字サンプ
ルにおいては、染料受容層中に層間化合物を含有しない
記録紙比較サンプルにインクサンプルを使用して記録し
た印字サンプルよりも高温高湿における染料の滲みがな
く画像の耐久性が大幅に向上していることが確認され
た。また、同じ記録紙実施サンプルにおいてインク中の
染料が、Ｃ．Ｉ．ソルビライズドサルファーブラック２
（C.I.SOLUBILIZED SULPHUR BLACK2）の方が濃度残存率
及び色差が向上していることが確認された。

【００６８】すなわち、これらのことから上記のように
記録紙実施サンプルの染料受容層中にハイドロタルサイ
ト群鉱物がインクサンプルの特定構造を有する反応染料
をイオン交換作用に基づくインターカレーション反応に
より定着保持し、反応染料が層間化合物により染料受容
層中に強固に定着されることが確認された。

【００６９】

【発明の効果】従って、本発明の記録方法によれば、画
像の保存性、定着性が良好となり、耐久性も良好となる
ことが確認された。

【００７０】また、本発明の記録方法により形成された
画像は銀塩写真に匹敵し得る耐久性を有するものとな
り、証明写真や屋外表示用印刷物とし十分使用し得るも
のとなることが確認された。

【００７１】以上の説明からも明らかなように、本発明
の記録方法においては、交換性陰イオンを有し、イオン
交換作用に基づくインターカーレーション反応により染
料を定着保持させる層間化合物を含有する染料受容層
に、反応染料である水溶性を含有する記録液を被着させ
ることにより記録を行うため、水溶性染料が層間化合物
により染料受容層中に強固に定着され、形成される画像
の保存性，定着性が良好となり、耐久性も良好となる。

【００７２】すなわち、これらのことから、本発明の記
録方法により形成された画像は銀塩写真に匹敵し得る耐
久性を有するものとなり、証明写真や屋外展示用印刷物
等として十分使用し得るものとなり、その工業的価値は
非常に高い。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】支持体上に少なくとも層間化合物を含有
する染料受容層が形成されてなる被記録材の染料受容層
に、少なくとも水性染料を含有する記録液を被着させる
ことにより記録を行う記録方法において、上記層間化合物が交換性陰イオンを有し、イオン交換作
用に基づくインターカレーション反応により染料を定着
保持させるものであり、上記水性染料を含有する記録液中の染料が、反応染料
Ｃ．Ｉ．ソルビライズドサルファーブラック２であるこ
とを特徴とする記録方法。
【請求項２】染料受容層中の層間化合物の含有量は染
料受容層中の固形分の１０重量％から９０重量％である
ことを特徴とする請求項１記載の記録方法。
【請求項３】層間化合物が層間に交換性有機陰イオン
を有する層状無機高分子材料であることを特徴とする請
求項１記載の記録方法。
【請求項４】上記層状無機高分子材料がハイドロタル
サイト群鉱物であることを特徴とする請求項３記載の記
録方法。
【請求項５】染料受容層中に樹脂が含有されているこ
とを特徴とする請求項１記載の記録方法。
【請求項６】上記樹脂が親水性樹脂であることを特徴
とする請求項５記載の記録方法。
【請求項７】記録液中に水溶性有機溶剤を含有してい
ることを特徴とする請求項１記載の記録方法。
【請求項８】上記水溶性有機溶剤が脂肪族一価アルコ
ール，多価アルコール，多価アルコール誘導体の少なく
とも１種であることを特徴とする請求項７記載の記録方
法。
【請求項９】記録液中に界面活性剤，粘度調整剤，消
泡剤，防腐剤，ｐＨ調節剤のうち少なくとも１種類を含
有することを特徴とする請求項１記載の記録方法。