JPH09316374A - 記録液およびこれを用いた記録方法 - Google Patents

記録液およびこれを用いた記録方法

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JPH09316374A
JPH09316374A JP13002996A JP13002996A JPH09316374A JP H09316374 A JPH09316374 A JP H09316374A JP 13002996 A JP13002996 A JP 13002996A JP 13002996 A JP13002996 A JP 13002996A JP H09316374 A JPH09316374 A JP H09316374A
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Japan
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dye
recording
ink
sample
recording liquid
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JP13002996A
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English (en)
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Michiko Kusano
道子 草野
Kengo Ito
謙吾 伊東
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銀塩写真像に匹敵し得る光学濃度および耐光
性を有する画像を形成可能とする記録液を提供する。ま
た、この記録液を用いた好適な記録方法を提供する。 【解決手段】 記録液に、フタロシアニン系染料とトリ
フェニルメタン系染料との両方を含有させる。トリフェ
ニルメタン系染料としてはC.I.アシッドブルー9を
用いて好適である。また、交換性陰イオンを有し、イオ
ン交換作用に基づくインターカレーション反応により染
料を定着保持させる層間化合物を含有する染料受容層
に、上述の記録液を被着させることにより記録を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるインクジ
ェット記録方式による画像形成に用いて好適な記録液に
関し、この記録液を用いた好適な記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータ等の普及
に伴い、該パーソナルコンピュータで作成した画像情報
等を銀塩写真と同じように記録紙に表示することが要求
されている。そして、記録紙に印刷する手段として、電
界や熱、圧力等を駆動源としてノズルより溶液状のイン
ク(記録液)を記録紙上に吐出させ、インクにより画像
を形成して印刷を行うインクジェット記録方式等が使用
されている。
【0003】上記インクジェット記録方式においては、
インクとして水性インクを使用し、記録紙として支持体
上に染料受容層の形成された記録紙を使用するのが一般
的である。
【0004】なお、上記水性インク中には水溶性染料,
水,多価アルコール等を含有させるようにしている。そ
して、上記水溶性染料としては、記録紙の構成材料とし
て一般的なセルロース系樹脂に対して十分な染着性を有
し、かつ単独でブラック色が出せる水溶性直接染料や水
溶性酸性染料(以下、これらを水溶性アニオン染料と称
する。)が主に使用されている。
【0005】また、上記記録紙の染料受容層としては、
水性インクの滲みを抑制するべく、染料との親和性に優
れた水溶性高分子中に種々の添加剤を分散した層が形成
される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なインクジェット記録方式において使用されている水溶
性アニオン染料は、その染色理論によると、染料受容層
に移行した後においては、染料受容層成分とのファンデ
ルワールス力、水素結合等の相互作用をすることによっ
て染料受容層中に保持されている。
【0007】従って、上記水溶性アニオン染料を含むイ
ンクにより形成される画像に、染料に対してより親和力
の優れた溶媒や樹脂等が接した場合、或いは染料と染料
受容層との相互作用を打ち消すだけの熱エネルギーが供
給された場合には、染料の溶出や移行が誘発されたり、
画像のボケが発生し、上記水溶性アニオン染料により形
成された画像においては銀塩写真のような完全な定着性
を確保することができない。
【0008】また、上記水溶性アニオン染料を含むイン
クにより形成される画像に、銀塩写真に匹敵する光学濃
度を確保させることも困難である。通常、光学濃度は、
インク中の染料の含有量を増加させることによって向上
させることができると考えられるが、実際に、染料の含
有量を増加させると、分子会合が起こりやすくなるた
め、光学濃度を向上させることが難しい。また、染料の
含有量が溶解度を越えると、溶解できなくなった染料が
析出し、目詰まりの原因となってしまう。
【0009】特に、ブルーの色相を得るために用いるフ
タロシアニン系染料は、耐光性には優れたものである
が、光学濃度が不十分であるため、これを用いて形成さ
れた画像は、彩度が不十分なものとなってしまう。
【0010】このようなことから、従来のインクジェッ
ト記録方式により形成される画像は証明写真や屋外展示
用印刷物等の高品位な画像及び高度な画像耐久性が要求
される分野においては実用化が難しいとされている。し
かし、このような分野においてもインクジェット記録方
式により形成される画像を実用化できるように、インク
ジェット記録方式においては、画像の彩度及び解像度を
高めてより高品位な画像を形成するとともに画像の耐久
性を高めることが要求されている。
【0011】そこで、本発明は従来の実情に鑑みて提案
されたものであり、銀塩写真像に匹敵し得る光学濃度、
耐光性を有する画像を形成可能な記録液を提供すること
を目的とする。また、この記録液を用いた好適な記録方
法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者等は鋭意検討した結果、フタロシアニン系
染料を含有する記録液にトリフェニルメタン系染料を添
加することにより、優れた耐光性を維持しつつ、光学濃
度を高められることを見い出した。
【0013】即ち、本発明に係る記録液は、フタロシア
ニン系染料とトリフェニルメタン系染料との両方を含有
するものである。
【0014】ここで、トリフェニルメタン系染料として
は、C.I.アシッドブルー9であって好適である。そ
して、このC.I.アシッドブルー9は、フタロシアニ
ン系染料に対して、20〜70重量%含有されて好適で
ある。これは、C.I.アシッドブルー9の含有率が2
0重量%未満であると、十分な光学濃度が得られず、逆
に70重量%を越えると、耐光性の劣化が著しくなるか
らである。
【0015】また、以上のような記録液は、イオン交換
作用に基づくインターカレーション反応により染料を定
着保持させることが可能な層間化合物を含有する染料受
容層を有する被記録材に対して用いられて好適である。
【0016】即ち、本発明に係る記録方法は、支持体上
に少なくとも層間化合物を含有する染料受容層が形成さ
れてなる被記録材の染料受容層に、少なくとも水溶性染
料を含有する記録液を被着させることにより記録を行う
ものであって、層間化合物が交換性陰イオンを有し、イ
オン交換作用に基づくインターカレーション反応により
染料を定着保持させるものであり、記録液としてフタロ
シアニン系染料とトリフェニルメタン系染料との両方を
含有するものを用いることを特徴とする。
【0017】これは、水溶性アニオン染料が、水吸着性
若しくは水に対する膨潤性に優れかつアニオン交換能を
有する層間化合物の親水性の層間に、イオン交換作用に
基づくインターカレーション反応により強固に固定され
ることを利用するものである。このようにして、染料受
容層中に特定構造を有する層間化合物を含有させ、上述
した染料を含有する記録液を染料受容層上に被着させれ
ば、保存性及び定着性が良好で耐久性の良好な画像が形
成できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について示す。すなわち本発明に係る記録液は、フタ
ロシアニン系染料とトリフェニルメタン系染料との両方
を含有するものである。
【0019】ここで、フタロシアニン系染料は、化1に
示される構造を有する直接染料であり、化1中のP1
みを有し、P1 として(SO3 Na)2 を有するC.
I.ダイレクトブルー86及び化1中のP1 及びP2
有し、P1 として(SO3 Na)12 を有し、P2
として(SO2 NH223 を有するC.I.ダイ
レクトブルー199が挙げられる。
【0020】
【化1】
【0021】トリフェニルメタン系染料は、化2に示さ
れる構造を有する酸性染料であり、具体的には、化3に
示されるC.I.アシッドブルー7、化4に示される
C.I.アシッドブルー9、化5に示されるC.I.ア
シッドブルー104、化6に示されるC.I.アシッド
グリーン3、化7に示されるC.I.アシッドグリーン
9が挙げられる。
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】但し、フタロシアニン系染料がブルーの色
相を有するものであるため、トリフェニルメタン系染料
もブルーの色相を有するものを選択して好適であり、特
に、一般に食料色素として用いられているC.I.アシ
ッドブルー9を用いて好適である。
【0029】そして、このC.I.アシッドブルー9
は、フタロシアニン系染料に対して、20〜70重量%
含有されて好適である。これは、C.I.アシッドブル
ー9の含有率が20重量%未満であると、十分な光学濃
度が得られず、逆に70重量%を越えると、耐光性の劣
化が著しくなるからである。
【0030】なお、本発明に係る記録液中には、水溶性
有機溶剤を含有させても良く、水溶性有機溶剤としては
脂肪族一価アルコール,多価アルコール,多価アルコー
ル誘導体の少なくとも1種が好ましい。
【0031】脂肪族一価アルコールは、記録液が被記録
材の染料受容層に付着したときの滲みを均一とし、被記
録材を形成する例えば紙への浸透能力に優れ、蒸散能力
を促進する効果を有する。そして、脂肪族一価アルコー
ルとしては、エチルアルコール,イソプロピルアルコー
ル,M−ブチルアルコール等が使用し易いことから好ま
しく、中でもイソプロピルアルコールが他のアルコール
に比較して適度な乾燥性を有し、臭気も少なく、ドット
形成性を向上させることが可能であるため、好ましい。
また、この脂肪族一価アルコールの含有量は、記録液全
体量に対して1重量%以上であれば良く、上限は記録液
としてインクを使用した場合におけるインクの表面張力
及び染料の溶解性を考えて30重量%程度であり、1重
量%〜20重量%とすることがより好ましい。
【0032】多価アルコール及び多価アルコール誘導体
は、高沸点溶媒であり、吸湿性があり、ノズルの目詰ま
りを防止する効果を有し、記録液としてインクを形成し
た場合の保存性を高める効果も有する。そして、多価ア
ルコールのうち、ジエチレングリコールやグリセリン等
は染料の優れた溶剤ともなる。さらにこれらにおいて
は、記録液としてインクを形成する場合に母体となる水
の氷点を低下させてインクの保存性を高める効果も有す
る。また、多価アルコール及び多価アルコール誘導体の
含有量は、記録液全体量に対して1重量%以上であれば
良く、上限は記録液としてインクを使用した場合におけ
るインクの粘性及び乾燥性を考えて40重量%程度であ
り、5重量%〜30重量%とすることがより好ましい。
【0033】さらに、記録液中には、界面活性剤,粘度
調整剤,消泡剤,防腐剤,pH調整剤のうちの少なくと
も1種を含有させても良い。
【0034】界面活性剤は、記録液としてインクを形成
した場合の表面張力を制御し、また、記録液としてイン
クを形成した場合の保存性を高める効果を有する。界面
活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩類等のアニオ
ン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
類,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類等のノニオン
界面活性剤が挙げられ、使用目的により1種以上使用す
れば良い。また、界面活性剤の含有量は、界面活性剤の
種類により異なるものの、記録液全体量に対して0.0
1重量%〜5重量%が好ましい。
【0035】粘度調整剤は、記録液滴の吐出安定性を高
める効果を有するものであり、一般的な粘度調整剤がい
ずれも使用可能である。
【0036】また、消泡剤は、例えば記録液のインク中
に気泡が発生すると、吐出安定性に影響を及ぼし、最悪
の場合吐出不可能となってしまうため、このような気泡
の発生を抑え、記録液の吐出安定性を高めるために添加
されるものであり、一般的な消泡剤がいずれも使用可能
である。
【0037】防腐剤は、記録液としてインクを形成した
場合の腐敗を防止し、カビの発生を防止して保存性を高
める効果を有するものであり、一般的な防腐剤がいずれ
も使用可能である。
【0038】さらに、pH調整剤は、記録液のpHが該
記録液の接する部分の材料に及ぼす影響をなくし、使用
される記録装置を保護する効果や、記録液としてインク
を形成した場合の保存性を高める効果を有するものであ
り、一般的なpH調整剤がいずれも使用可能である。ま
た、pH調整剤は、記録液がpH7.0〜11.0の範
囲となる程度、好ましくはpH7.5〜9.0の範囲と
なる程度、ややアルカリ性を示す程度に添加されて好適
である。
【0039】本発明に係る記録液は、上述したように、
フタロシアニン系染料とトリフェニルメタン系染料との
両方を含有するものであるため、優れた耐光性を有し、
且つ、高い光学濃度を有する画像を形成できる。
【0040】ところで、上述のような記録液は、イオン
交換作用に基づくインターカレーション反応により染料
を定着保持させることが可能な層間化合物を含有する染
料受容層を有する被記録材に対して用いられて好適であ
る。
【0041】即ち、本発明に係る記録方法は、支持体上
に少なくとも層間化合物を含有する染料受容層が形成さ
れてなる被記録材の染料受容層に、少なくとも水溶性染
料を含有する記録液を被着させることにより記録を行う
ものであり、層間化合物として、交換性陰イオンを有
し、イオン交換作用に基づくインターカレーション反応
により染料を定着保持させるものを用い、記録液として
前述したようなフタロシアニン系染料とトリフェニルメ
タン系染料との両方を含有するものを用いる。
【0042】なお、被記録材の支持体としては、例えば
記録紙の支持体として一般的に用いられるものが挙げら
れ、普通紙,合成紙等の紙類、或いはポリエチレンテレ
フタレート等のプラスチックフィルム類、さらには紙類
上にプラスチック類をコーティングしたもの等が挙げら
れる。
【0043】染料受容層中の層間化合物の含有量は染料
受容層中の固形分の10重量%〜90重量%であること
が好ましく、40重量%〜80重量%であることがより
好ましい。10重量%よりも少ないと染料固定効果が不
足し、90重量%よりも多いと染料受容層中の固形分中
の例えば後述の樹脂の含有量が相対的に小さくなって染
料受容層の柔軟性が低下するので好ましくない。
【0044】すなわち、被記録材を製造する場合、支持
体上に層間化合物,樹脂等を含有する染料受容層形成溶
液を塗布し皮膜を形成して染料受容層を形成し、被記録
材を製造するが、層間化合物の含有量があまり多いと染
料受容層に柔軟性を与えるために染料受容層形成溶液中
に添加される樹脂等の含有量が相対的に小さくなり、柔
軟性に富んだ皮膜を形成することが困難となる。
【0045】そして、層間化合物としては、層間に交換
性陰イオンを有する層状無機高分子材料であることが好
ましく、0:1型粘土鉱物のAlO6 八面体シートから
なる層状塩であるハイドロタルサイト群鉱物、中でも化
8に示される構造を有するものが好ましい。
【0046】
【化8】
【0047】層間化合物としては、上述した化8に示さ
れるハイドロタルサイト群鉱物の天然鉱物の他、若干組
成の異なる合成品が挙げられる。この合成品の微粉末は
天然品のように夾雑物を含まず純白色を呈し、結晶その
ものが光学的に透明である。従って、このような合成品
の微粉末を層間化合物として被記録材の染料受容層中に
含有させて本発明の記録方法に使用すれば、銀塩写真に
十分匹敵し得る彩度を有する画像を形成することが十分
可能である。
【0048】さらには、ハイドロタルサイト群鉱物のイ
オン交換部位に水やアルコール等の高誘電率媒体に溶媒
和し易い無機イオン、例えばNO3 - ,SO4 2 - ,C
lO4 - ,Fe(CN)6 4 - ,ヘテロポリリン酸イオ
ン等或いは低級カルボキシレートイオンのような親水性
有機アニオンを有するものが挙げられる。これに対し、
高級カルボキシレートイオンは上述のようなイオンに比
べ溶媒和し難い層間を与える傾向があり好ましくない。
【0049】さらに層間化合物としては、後述の樹脂へ
の分散性を改善するとともに、アルコールなどの非水溶
媒に対する膨潤性を改善するために、交換性陰イオンの
一部を有機アニオンで置換させ、層間距離を広げる効果
(ピラー効果)や層間を部分的に疎水化する効果を付与
しているものも挙げられる。この有機アニオンとして好
適なものは、カルボン酸アニオン類,スルホン酸アニオ
ン類,エステルアニオン類,燐酸エステルアニオン類が
挙げられる。
【0050】ハイドロタルサイト類以外にも交換性陰イ
オンを有する層間化合物としては、チタンやジルコニウ
ム,ランタン,ビスマス等の含水酸化物或いは水酸化燐
酸塩等が存在するが、その光学的隠ぺい性若しくは固有
の着色のために透明性,光沢性,白色性が同時に要求さ
れない被記録材の染料受容層中に含有させる場合には使
用可能である。
【0051】また、被記録材における染料受容層中には
樹脂が含有されていることが好ましく、染料受容層中の
層間化合物の分散性を高める作用を有し、記録液の溶媒
である水やアルコール等が浸透する親水性樹脂が含有さ
れていることが好ましい。
【0052】樹脂としては、一般的な熱可塑性樹脂が挙
げられ、ポリビニルブチラール樹脂などのビニルアルコ
ールのアセタール化物,ヒドロキシプロピルセルロース
樹脂等のセルロース系樹脂,ポリビニルピロリドン−酢
酸ビニル共重合体等のポリビニルピロリドン系樹脂、ポ
リビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等
が挙げられる。このとき、樹脂中に凝集を引き起こした
り画像の定着作用を阻害するような置換基、例えば水溶
性染料よりも相対的に層間にイオン交換し易く、保持さ
れやすい基を含むものは好ましくない。
【0053】また、上述のような親水性樹脂を使用する
場合、上述のような親水性樹脂の他に、画像形成後の皮
膜の耐水性を確保するべく、ウレタン系架橋剤等により
架橋させることが好ましい。従って、樹脂としてはOH
基、カルボキシル基等の架橋反応に寄与できる置換基
を、層間化合物の染料定着性を阻害しない範囲で有する
ものを使用することが好ましい。
【0054】本発明の記録方法を適用すると、前述した
ような染料が、水吸着性若しくは水に対する膨潤性に優
れかつアニオン交換能を有する層間化合物の親水性の層
間に、イオン交換作用に基づくインターカレーション反
応により強固に固定される。したがって、染料が層間化
合物により染料受容層中に強固に定着され、該染料によ
り画像が形成され、その保存性,定着性は良好で耐久性
も良好となる。また、画像の彩度,解像度も十分に確保
される。
【0055】すなわち、これらのことから、本発明の記
録方法により形成された画像は銀塩写真像に匹敵し得る
彩度,解像度,耐久性を有するものとなり、証明写真や
屋外展示用印刷物等として十分使用し得るものとなる。
【0056】
【実施例】以下、本発明を適用した好適な実施例につい
て実験結果に基づいて説明する。
【0057】実験1 本実験においては、フタロシアニン系染料とトリフェニ
ルメタン系染料との両方を含有した記録液としてインク
を用意し、これを用いて記録紙に形成した画像の光学濃
度を調査した。
【0058】〔サンプルの作製〕 〈インク基準サンプル〉先ず、下記に示すような配合の
インク基準サンプルを用意した。なお、このインク基準
サンプルは、トリフェニルメタン系染料が添加される前
のインクであり、染料としてはフタロシアニン系染料で
あるC.I.ダイレクトブルー199のみを含有するも
のである。
【0059】 (インク配合) C.I.ダイレクトブルー199 2.5 重量部 (商品名:DAIWA319H ダイワ化成(株)社製) 水 86.99重量部 ジグリセリンボラート 0.5 重量部 (ボロンインターナショナル(株)社製) ジエチレングリコールモノメチルエーテル 9.5 重量部 非イオン性界面活性剤 0.01重量部 (商品名:ノイゲンEA120 第一工業製薬(株)社製) ここで、ジグリセリンボラートは湿潤剤、抗菌剤として
働くものである。
【0060】〈インク実施サンプル1〉次に、上述した
インク基準サンプルに、トリフェニルメタン系染料であ
るC.I.アシッドブルー9(商品名:DAIWA10
9H ダイワ化成(株)社製)を0.5重量部添加した
インクを用意し、これをインク実施サンプル1とした。
【0061】なお、このインク実施サンプル1において
は、C.I.ダイレクトブルー199に対するC.I.
アシッドブルー9の含有率、即ち、フタロシアニン系染
料に対するトリフェニルメタン系染料の含有率が、2
0.0重量%となっている。
【0062】〈インク比較サンプル1〉次に、上述した
インク基準サンプルに、C.I.アシッドブルー9を添
加する代わりに、C.I.ダイレクトブルー199をさ
らに0.5重量部添加したインクを用意した。これをイ
ンク比較サンプル1とする。
【0063】即ち、このインク比較サンプル1において
は、インク実施サンプル1と染料全体としての含有量は
同じとされているが、トリフェニルメタン系染料を含有
せず、フタロシアニン系染料のみが単独で用いられてい
る。
【0064】〈記録紙サンプル〉先ず、イソプロピルア
ルコール90gに層間化合物として焼成ハイドロタルサ
イト(商品名:KW2000 協和化学工業(株)社
製)7gと樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(商品
名:エスレックBL−S 積水化学工業(株)社製)
1.5gとポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体
(商品名:ルビスコールVA64 BASF(株)社
製)1.5gを加えて2週間ロールミルで分散させて懸
濁溶液を得た。
【0065】続いて、厚さ125μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルムを用意し、この上に上述した懸濁
溶液を乾燥厚10μmとなるようにバーコーターを使用
して塗布して染料受容層を形成し記録紙を得た。これを
記録紙サンプルとする。
【0066】〔特性の評価〕ここで、上記のようにして
得られた各インクサンプルと記録紙サンプルを使用して
印字サンプルの記録を行い、得られた印字サンプルの光
学濃度を調査した。
【0067】すなわち、上述のようにして得られた各イ
ンクサンプルをエプソン社製のプリンター(機種名:M
J−800C)のインクとして詰め替えておき、これを
使用して記録紙サンプルに印字サンプルを記録し、画像
を形成した。そして、各印字サンプルの濃度をマクベス
社製濃度計(機種名:TR−924)により測定した。
この結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】表1より、染料としてフタロシアニン系染
料のみを含有するインク基準サンプルに、同じくフタロ
シアニン系染料を添加したインク比較サンプル1に比し
て、トリフェニルメタン系染料を添加したインク実施サ
ンプル1の方が、光学濃度の上昇率が大きくなることが
確認された。
【0070】即ち、本発明を適用して、フタロシアニン
系染料とトリフェニルメタン系染料とを組み合わせて用
いると、染料全体としての含有量を増加させずとも、光
学濃度を高めることができる。このため、十分な光学濃
度を確保しても、染料が析出して目詰まりが生じる虞れ
がなく、吐出性にも優れた記録液となる。
【0071】実験2 本実験においては、フタロシアニン系染料とトリフェニ
ルメタン系染料との両方を含有した記録液としてインク
を用意し、これを用いて記録紙に形成した画像の耐光性
を調査した。
【0072】〔サンプルの作製〕 〈インク実施サンプル2〉先ず、下記に示すような配合
のインク実施サンプル2を用意した。
【0073】 (インク配合) C.I.ダイレクトブルー199 7.0 重量部 (商品名:DAIWA319H ダイワ化成(株)社製) C.I.アシッドブルー9 2.0 重量部 (商品名:DAIWA109H ダイワ化成(株)社製) 水 80.99重量部 ジグリセリンボラート 0.5 重量部 (ボロンインターナショナル(株)社製) ジエチレングリコールモノメチルエーテル 9.5 重量部 非イオン性界面活性剤 0.01重量部 (商品名:ノイゲンEA120 第一工業製薬(株)社製) なお、このインク実施サンプル2においては、C.I.
ダイレクトブルー199に対するC.I.アシッドブル
ー9の含有率、即ち、フタロシアニン系染料に対するト
リフェニルメタン系染料の含有率が28.6重量%とな
っている。
【0074】〈インク実施サンプル3〉C.I.ダイレ
クトブルー199の含有量を3.0 重量部とした以外
は、上述したインク実施サンプル2と同様の配合として
インクを調製し、これをインク実施サンプル3とした。
【0075】なお、このインク実施サンプル3において
は、C.I.ダイレクトブルー199に対するC.I.
アシッドブルー9の含有率、即ち、フタロシアニン系染
料に対するトリフェニルメタン系染料の含有率が66.
7重量%となっている。
【0076】〈インク比較サンプル2〉C.I.アシッ
ドブルー9を除いた以外は、上述したインク実施サンプ
ル2と同様の配合としてインクを調製し、これをインク
比較サンプル2とした。即ち、インク比較サンプル2に
おいては、C.I.ダイレクトブルー199に対する
C.I.アシッドブルー9の含有率、即ち、フタロシア
ニン系染料に対するトリフェニルメタン系染料の含有率
は0重量%である。
【0077】〈インク比較サンプル3〉C.I.アシッ
ドブルー9を除いた以外は、上述したインク実施サンプ
ル3と同様の配合としてインクを調製し、これをインク
比較サンプル3とした。即ち、インク比較サンプル3に
おいても、C.I.ダイレクトブルー199に対する
C.I.アシッドブルー9の含有率、即ち、フタロシア
ニン系染料に対するトリフェニルメタン系染料の含有率
は0重量%である。
【0078】〈インク比較サンプル4〉染料としてC.
I.アシッドブルー9のみを3.0重量部用いた以外
は、上述したインク実施サンプル2と同様の配合として
インクを調製し、これをインク比較サンプル4とした。
即ち、インク比較サンプル4においては、フタロシアニ
ン系染料を含有せず、トリフェニルメタン系染料のみが
単独で用いられている。
【0079】〔特性の評価〕ここで、上述のようにして
得られた各インクサンプルと記録紙サンプルを使用して
印字サンプルの記録を行い、得られた印字サンプルの耐
光性を調査した。
【0080】すなわち、上述のようにして得られた各イ
ンクサンプルを使用して記録紙サンプルに印字サンプル
を記録し、画像を形成した。そして、各印字サンプルに
ついて、GRETAG社製分光計(機種名:SPM10
0−11)を用いて、L* ,a* ,b* を測定した。そ
の後、キセノンアークフェードメーター(機種名:Ci
35 アトラス社製)により72時間かけて90kJ/
2 のエネルギーを照射してから、再び、上述したよう
にして各印字サンプルのL* ,a* ,b* を測定した。
そして、エネルギー照射後の各印字サンプルにおける色
差を下記の式(1)により求めた。この結果を表2に示
す。
【0081】 色差 = [ (ΔL* )+(Δa* )+(Δb* ) ]1/2 ・・・(1)
【0082】
【表2】
【0083】また、さらに、JIS L0841第3露
光法で6級に相当する600kJ/m2 のエネルギーを
照射してから、再び、上述したようにして各印字サンプ
ルのL* ,a* ,b* を測定し、色差を求めた。この結
果を表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】表2より、染料としてC.I.アシッドブ
ルー9のみが含有されるインク比較サンプル4において
は色差が非常に大きくなっているが、C.I.アシッド
ブルー9がC.I.ダイレクトブルー199と共に用い
られているインク実施サンプル2およびインク実施サン
プル3においては、インク比較サンプル2およびインク
比較サンプル3に比して、色差の劣化がほとんどないこ
とがわかる。これより、C.I.アシッドブルー9は、
単独では耐光性が劣るものであるが、C.I.ダイレク
トブルー199と組み合わせて用いれると、耐光性を劣
化させないことがわかった。
【0086】また、表3より、インク実施サンプル2お
よびインク実施サンプル3においては、JIS L08
41第3露光法で6級に相当するエネルギーを照射して
も、上述した効果が維持されることがわかった。
【0087】以上、実験1および実験2の結果より、本
発明を適用して、フタロシアニン系染料にトリフェニル
メタン系染料を添加すると、フタロシアニン系染料が有
する優れた耐光性を損なうことなく、光学濃度を上昇さ
せることができるようになることがわかった。
【0088】なお、ここでは、被記録材として、少なく
とも層間に陰イオンを有する層間化合物であるハイドロ
タルサイト群鉱物を含有する染料受容層が支持体上に形
成されている記録紙サンプルを用いているが、この記録
紙サンプルの使用も、上述したような記録液が優れた特
性を発揮するのに貢献している。記録紙サンプルの染料
受容層中のハイドロタルサイト群鉱物がインクサンプル
中の染料をイオン交換作用に基づくインターカレーショ
ン反応により定着保持し、染料が層間化合物により染料
受容層中に強固に定着されるからである。
【0089】従って、本発明の記録液および記録方法を
適用することにより、銀塩写真像に匹敵し得る光学濃度
と耐久性を有する画像が形成できるようになり、証明写
真や屋外展示用印刷物等として十分使用し得るものとな
る。
【0090】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の記録液を用いると、優れた耐光性と高い光学濃度と
を有する画像を形成できる。
【0091】また、この記録液を、交換性陰イオンを有
し、イオン交換作用に基づくインターカレーション反応
により染料を定着保持させる層間化合物を含有する染料
受容相に被着させて記録を行うと、上述した効果が十分
に発揮されるようになる。
【0092】したがって、本発明の記録方法により形成
された画像は銀塩写真像に匹敵し得る彩度,解像度,耐
久性を有するものとなり、証明写真や屋外展示用印刷物
等として十分使用し得るものとなり、その工業的価値は
非常に高い。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フタロシアニン系染料とトリフェニルメ
    タン系染料との両方を含有することを特徴とする記録
    液。
  2. 【請求項2】 前記トリフェニルメタン系染料がC.
    I.アシッドブルー9であることを特徴とする請求項1
    記載の記録液。
  3. 【請求項3】 前記フタロシアニン系染料に対して、前
    記C.I.アシッドブルー9が20〜70重量%含有さ
    れていることを特徴とする請求項2記載の記録液。
  4. 【請求項4】 支持体上に少なくとも層間化合物を含有
    する染料受容層が形成されてなる被記録材の染料受容層
    に記録液を被着させることにより記録を行う記録方法に
    おいて、 前記層間化合物が交換性陰イオンを有し、イオン交換作
    用に基づくインターカレーション反応により染料を定着
    保持させるものであり、 前記記録液として、フタロシアニン系染料とトリフェニ
    ルメタン系染料との両方を含有するものを用いることを
    特徴とする記録方法。
  5. 【請求項5】 前記層間化合物が、層間に交換性陰イオ
    ンを有する層状無機高分子材料であることを特徴とする
    請求項4記載の記録方法。
  6. 【請求項6】 前記トリフェニルメタン系染料として、
    C.I.アシッドブルー9を用いることを特徴とする請
    求項4記載の記録方法。
  7. 【請求項7】 前記フタロシアニン系染料に対して、前
    記C.I.アシッドブルー9を20〜70重量%含有さ
    せることを特徴とする請求項6記載の記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002302630A (ja) * 2001-04-03 2002-10-18 Tohoku Ricoh Co Ltd 孔版印刷青色用w/o型エマルションインキ

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