JPH10264504A - 記録方法 - Google Patents

記録方法

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Publication number
JPH10264504A
JPH10264504A JP9072355A JP7235597A JPH10264504A JP H10264504 A JPH10264504 A JP H10264504A JP 9072355 A JP9072355 A JP 9072355A JP 7235597 A JP7235597 A JP 7235597A JP H10264504 A JPH10264504 A JP H10264504A
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JP
Japan
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recording
dye
water
recording liquid
recording method
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JP9072355A
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English (en)
Inventor
Michiko Kusano
道子 草野
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたインク浸透性を示すとともに、耐光性
を損なうことなく耐水性に優れた画像形成が可能な記録
方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 基材1上に層間化合物とバインダー樹脂
とを含有する染料定着層2とインク吸収層3とが形成さ
れてなる記録媒体に記録液を被着させることにより記録
を行う記録方法において、上記層間化合物は、インター
カレーション反応により水溶性染料を定着保持するもの
であり、上記記録液は、少なくとも1種の有機酸と水溶
性染料とを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材上に層間化合
物を含有する染料定着層が形成された記録媒体に記録液
を被着させることにより記録を行う記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パーソナルコンピューターやワードプロ
セッサー等により作成した画像情報や文字コード情報を
紙やOHP等の記録媒体に出力させる方法の一つとし
て、水溶性染料を含有する水性インクを電界、熱、圧力
等を駆動とする記録ノズルから記録媒体に吐出させて画
像形成を行うインクジェット記録方式が挙げられる。
【0003】このインクジェット記録方式は、記録時の
騒音が小さく、ランニングコストが低く、普通紙に画像
を形成することが可能であり、しかもインクリボン等の
廃棄物を伴わないという利点を有するために、オフィス
内や家庭内において、近年その利用が拡大している。
【0004】ところで、一般にこのインクジェット記録
方式に用いられる水溶性染料は、染料定着層に移行した
後、染料定着層成分とのファンデールワールス力や水素
結合等の相互作用により染料定着層に保持されている。
このため、水溶性染料に対して親和性の高い水等の溶媒
が画像に接触した場合、画像を構成する水溶性染料が溶
媒に溶出して画像のボケが発生するという問題がある。
また、画像を構成する水溶性染料と染料定着層成分との
間のファンデールワールス力や水素結合を打ち消すに足
る熱エネルギーや水蒸気が記録媒体に供給された場合に
も、染料が移動して画像のボケが生ずるという問題があ
る。更に、画像を構成する水溶性染料が紫外線等の高い
エネルギー光線に暴露された場合には、染料自体の分解
により画像の退色、変色あるいは画像濃度の低下が生ず
るという問題もある。
【0005】そこで、例えば特公昭62−798号公報
に示すように、水性インク用染料に反応性染料を用い、
染料定着層中の活性基と共有結合を形成する方法、或い
は米国特許4694302号明細書に示すように、染料
アニオンと染料定着層の有機高分子カチオン間にイオン
結合を形成する方法、特公昭63−11158号公報に
示すように、染料アニオンと染料定着層中の無機低分子
カチオン間にイオン結合を形成させる方法等のような化
学結合に基づく手段が提案されている。
【0006】また、画像の耐光性を高めるために、染料
の分子構造を改変することが試みられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような方法では、インクや染料定着層中の反応性が非
常に高くなり、インク或いは染料定着層の形成された記
録紙、又は記録紙上に記録された画像の保存性が十分で
なく、やはり銀塩写真ほどの定着性を確保することは困
難である。
【0008】また、染料と染料定着層の反応が短時間で
終了しないため、画像が安定に形成されるまで長時間を
要する、若しくは安定に画像を形成するために加熱処理
を要するといった不都合も生じている。
【0009】このようなことから、従来のインクジェッ
ト記録方式により形成される画像は証明写真や屋外展示
用印刷物等の高度な画像耐久性が要求される分野におい
て実用が難しいとされている。しかし、このような分野
においてもインクジェット記録方式により形成される画
像を実現できるように、インクジェット記録方式におい
ては、画像の耐久性を高めることが要求される。
【0010】そこで、水溶性染料をイオン交換作用に基
づくインターカレーション反応により定着保持する層間
化合物を染料定着層に含有させる記録方法が提案されて
いる。これにより得られる画像は、水溶性染料が層間化
合物の層間に強固に固定されるため、従来のインクジェ
ット記録方式により形成される画像に比べて耐久性に優
れている。
【0011】しかしながら、層間化合物を含有する染料
定着層に記録液を被着させるこの記録方法においても、
インク浸透性及び画像の耐水性が十分であるとはいえ
ず、更なる耐久性の向上が求められている。
【0012】本発明は、このような課題を解決するため
に提案されたものであり、良好なインク浸透性を付与す
るとともに、耐光性を損なうことなく耐水性に優れた画
像形成が可能な記録方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、水溶性染料と
有機酸とを含有する記録液を使用することにより、形成
される画像の耐光性を損なうことなく、良好なインク浸
透性を付与し、形成される画像に優れた耐水性を付与す
ることができることを見いだした。
【0014】すなわち、本発明に係る記録方法は、基材
上に少なくとも層間化合物とバインダー樹脂とを含有す
る染料定着層が形成されてなる記録媒体に記録液を被着
させることにより記録を行う記録方法において、上記層
間化合物は、インターカレーション反応により水溶性染
料を定着保持するものであり、上記記録液は、少なくと
も1種の有機酸と水溶性染料とを含有することを特徴と
するものである。
【0015】本発明に係る記録方法においては、記録液
に有機酸を含有させてなることから、良好なインク浸透
性が付与されるとともに、耐光性を損なうことなく耐水
性に優れた画像形成が可能となる。
【0016】なお、ここで、上記有機酸は、炭素数が1
〜20であることが好ましい。
【0017】また、上記記録液は、有機酸を記録液の重
量に対して0.5〜30重量%の割合で含有することが
好ましい。有機酸の含有量が0.5重量%よりも少ない
場合には、画像の耐水性及び耐光性が低下する。有機酸
の含有量が30重量%より多い場合には、印画紙等の記
録媒体に付着した後の乾燥性が低下したり、記録媒体の
光沢性がなくなり画像の品位が低下するので好ましくな
い。
【0018】また、上記記録液には、水溶性有機溶剤を
含有させてもよく、脂肪族一価アルコール、多価アルコ
ール、多価アルコール誘導体の少なくとも1種を用いる
ことが好ましい。脂肪族一価アルコールは、記録液が記
録媒体の染料定着層に付着したときのにじみを均一と
し、記録媒体を形成する例えば紙への浸透能力に優れ、
蒸散能力を促進する効果を有するため好ましい。多価ア
ルコール及び多価アルコール誘導体は、高沸点溶媒であ
り吸湿性があり、ノズルの目詰まりを防止する点から好
ましい。
【0019】また、上記記録媒体は、染料定着層上にイ
ンク吸収層が形成されてなることが好ましい。インク吸
収層は、使用される記録液の溶媒である水やアルコール
等を吸収し、インク浸透性を向上させる。
【0020】また、上記染料定着層は、層間化合物を染
料定着層中の固形分に対して10〜90重量%の割合で
含有することが好ましい。層間化合物の含有量が10重
量%よりも少ない場合には、染料固定効果が不足する。
また、層間化合物の含有量が90重量%よりも多い場合
には、染料定着層中の固形分中例えば樹脂の含有量が相
対的に少なくなって染料定着層の柔軟性が低下するので
好ましくない。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る記録方法につ
いて詳細に説明する。
【0022】先ず、始めに、本発明に係る記録方法で使
用される記録媒体について、図1を参照して具体的に説
明する。
【0023】図1に示される記録媒体は、基材1上に染
料定着層2が形成され、更にその上にインク吸収層3が
形成された構造を有する。
【0024】上記基材1は、パルプを主体とするいわゆ
る紙、あるいはそれに何らかのコーティングをほどこし
たもの、ポリエチレンテレフタレートをはじめとする熱
可塑性樹脂フィルム等のシート状物質が用いられる。紙
の場合には、サイズ剤無添加或いは適度なサイジングを
施した紙で、填料は含まれても、また含まれなくてもよ
い。
【0025】また、上記染料定着層2は、層間化合物を
染料定着層2中の固形分に対して10〜90重量%の割
合で含有することが好ましい。層間化合物の含有量が1
0重量%よりも少ない場合には、染料固定効果が不足す
る。また、層間化合物の含有量が90重量%よりも多い
場合には、染料定着層2中の固形分中例えば樹脂の含有
量が相対的に少なくなって染料定着層2の柔軟性が低下
するので好ましくない。
【0026】そして、上記層間化合物としては、層間に
交換性陰イオンを有する層状無機高分子材料が好まし
く、中でもMg0.7Al0.31.15で示される構造を有す
るハイドロタルサイト群鉱物が好ましい。
【0027】また、上記のようなハイドロタルサイト群
鉱物の天然鉱物の他、若干組成の異なる合成品を用いる
こともできる。この合成品の微粉末は、天然品のように
夾雑物を含まず純白色を呈し、結晶そのものが光学的に
透明である。従って、このような合成品の微粉末を層間
化合物として記録媒体の染料定着層2中に含有させるこ
とにより、銀塩写真に十分に匹敵し得る彩度を有する画
像を形成することが十分可能である。
【0028】さらには、ハイドロタルサイト群鉱物のイ
オン交換部位に水やアルコール等の高誘電率媒体に溶媒
和しやすい無機イオン、例えばNO3 -、SO4 2-、Cl
4 -、Fe(CN)6 4-、ヘテロポリリン酸イオン等或
いは低級カルボキシレートイオンのような親水性有機ア
ニオンを有するものが挙げられる。これに対し、高級カ
ルボキシレートイオンは、上述のようなイオンに比べ溶
媒和し難い層間を与える傾向があり好ましくない。
【0029】さらに上記層間化合物としては、後述の樹
脂への分散性を改善するとともに、アルコール等の非水
溶媒に対する膨潤性を改善するために、交換性陰イオン
の一部を有機アニオンで置換させ、層間距離を広げる
(ピラー効果)や層間を部分的に疎水化する効果を付与
してもよい。この有機アニオンとして好適なものは、カ
ルボン酸アニオン類,スルホン酸アニオン類,エステル
アニオン類,燐酸エステルアニオン類が挙げられる。
【0030】また、上記染料定着層2には、樹脂が含ま
れていることが好ましく、層間化合物の分散性を高める
作用を有し、後述する記録液の例えば水性インクの溶媒
である水やアルコール等が浸透する親水性樹脂が含有さ
れていることが好ましい。
【0031】上記樹脂としては、一般的な熱可塑性樹脂
が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂等のビニルアル
コールのアセタール化物,ヒドロキシプロピルセルロー
ス樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルピロリドン−
酢酸ビニル共重合体等のポリビニルピロリドン系樹脂、
ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂
等が挙げられる。このとき、上記樹脂中に凝集を引き起
こしたり画像の定着作用を阻害するような置換基、例え
ば水溶性染料よりも相対的に層間にイオン交換しやすく
保持されやすい基を含むものは好ましくない。
【0032】なお、上記染料定着層2の層厚としては、
通常2μm〜40μm、好ましくは4μm〜15μmで
ある。
【0033】また、上述した染料定着層2上に形成され
るインク吸収層3は、使用される記録液の溶媒である水
やアルコール等を吸収し、インク浸透性を向上させるこ
とができる。このため、染料定着層2上に、好ましく形
成される。なお、インク吸収層3には、後述する記録液
の例えば水性インクの溶媒である水やアルコール等が浸
透する親水性樹脂が含有されていることが好ましい。
【0034】上記樹脂としては、ヒドロキシプロピルセ
ルロース系高分子、ポリアミド系高分子、ポロビニルピ
ロリドン系高分子、ポリビニルアルコール系高分子等、
ポリビニルブチラール樹脂それぞれ単独でもしくは混合
して形成することができる。
【0035】上記インク吸収層3の層厚としては、通常
0.1μm〜5μm、好ましくは0.5μm〜1.5μ
mである。インク吸収層3の層厚が0.1μm未満の場
合には記録液の吸収が不足し、5μmを越えた場合には
記録液がインク吸収層3に吸収・保持されてしまい、イ
ンターカレーション反応により染料を定着保持する層間
化合物におけるインクの浸透性が低下するので好ましく
ない。
【0036】さて、本発明に係る記録方法は、上述した
ような記録媒体に後述する記録液を被着させることによ
り記録を行うものである。つぎに、この記録液について
説明する。
【0037】本発明で使用される記録液は、少なくとも
1種の有機酸と水溶性染料とを含有することを特徴とす
るものである。
【0038】記録液中に有機酸を含有させることによ
り、良好なインク浸透性が付与されると共に、耐光性を
損なうことなく耐水性に優れた画像形成が可能となる。
【0039】なお、有機酸の炭素数は1〜20とするこ
とが好ましい。有機酸の炭素数が20を越えるた場合に
は、有機酸の溶解性が悪くなって水性インクとのなじみ
が悪くなり、粘度が高くなるため好ましくない。
【0040】上記有機酸としてはカルボン酸、スルホン
酸、スルフィン酸、エノール、イミド、オキシム、芳香
族スルホンアミド等が挙げられる。
【0041】また、有機酸の含有量は、記録液全体量に
対して、0.5重量%〜30重量%とすることが好まし
い。有機酸の含有量が0.5重量%よりも少ない場合に
は、画像の耐水性、耐光性の効果が低下する。また、3
0重量%よりも多い場合には、印画紙等の記録媒体に付
着した後の乾燥性が低下したり、記録媒体の光沢がなく
なり画像の品位が低下するため好ましくない。
【0042】また、本発明で使用する水溶性染料として
は直接染料、酸性染料、反応性染料が好ましい。
【0043】なお、本発明で使用する記録液中には、水
溶性有機溶剤を含有させても良く、上記水溶性有機溶剤
としては脂肪族一価アルコール、多価アルコール、多価
アルコール誘導体の少なくとも1種が好ましい。
【0044】上記脂肪族一価アルコールは、記録液が記
録媒体の染料定着層2に付着したときのにじみを均一と
し、記録媒体を形成する例えば紙への浸透能力に優れ、
蒸散能力を促進する効果を有する。そして、上記脂肪族
一価アルコールとしては、エチルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、M−ブチルアルコール等が使用しやす
いことから好ましく、中でもイソプロピルアルコールが
他のアルコールに比較して適度な乾燥性を有し、臭気も
少なく、ドット形成を向上させることが可能であり好ま
しい。また、脂肪族一価アルコール含有量であるが、記
録液全体量に対して1重量%以上であれば良く、上限は
記録液としてインクを形成する場合のインク表面張力及
び染料の溶解性を考えて30重量%程度であり、1重量
%〜20重量%とすることが好ましい。
【0045】上記多価アルコール及び多価アルコール誘
導体は、高沸点溶媒であり、吸湿性があり、ノズルの目
詰まりを防止する効果を有する。そして、上記多価アル
コールのうち、ジエチレングリコールやグリセリン等
は、染料の優れた溶剤ともなり、記録液としてインクを
形成する場合に母体となる水の氷点を低下させてインク
の保存性を高める効果も有する。また、上記多価アルコ
ール及び多価アルコール誘導体の含有量であるが、記録
液全体量に対して1重量%以上であれば良く、上限は記
録液としてインクを形成した場合のインクの粘性及び乾
燥性を考えて40重量%程度であり、5重量%〜30重
量%とすることが好ましい。
【0046】さらに、上記記録液中には、界面活性剤,
粘度調節剤,防腐剤,pH調節剤のうち少なくとも1種
を含有させてもよい。
【0047】界面活性剤は、記録液としてインクを形成
した場合の表面張力を抑制し、記録液としてインクを形
成した場合の保存性を高める効果を有する。この界面活
性剤としては、アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン
界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、
ポリオキシエチレン脂肪族エステル類等のノニオン界面
活性剤が挙げられ、使用目的により1種以上を使用すれ
ばよい。また、上記界面活性剤の種類により異なるもの
の、記録液全量に対して0.01重量%〜5重量%が好
ましい。
【0048】粘度調節剤は、記録液の吐出安定性を高め
る効果を有する。この粘度調節剤には、一般的な粘度調
節剤を使用すればよい。
【0049】消泡剤は、気泡の発生を抑え、記録液の吐
出安定性を高めるために添加するとよい。例えば記録液
のインク中に気泡が発生すると、吐出安定性に悪影響が
及ぼされ、最悪の場合吐出不可能となってしまう。この
消泡剤には、一般的な消泡剤を使用すればよい。
【0050】さらに、pH調節剤は、記録液のpHが該
記録液の接する部分の材料に及ぼす影響をなくす、使用
される記録装置を保護する、記録液としてインクを形成
した場合の保存性を高める効果を有する。このpH調節
剤には、一般的なpH調節剤を使用すれば良い。また、
上記pH調節剤は、記録液がpH7.0〜11.0の範
囲となる程度、好ましくはpH7.5〜9.0の範囲と
なる程度、ややアルカリ性を示す程度に添加すれば良
い。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。
【0052】本実施例においては、基材上に染料定着層
とインク吸収層とが形成されてなる記録紙サンプル1を
用意し、有機酸と水溶性染料として直接染料、酸性染料
及び反応染料を含有する記録液を用意し、これらを用い
てインク浸透性、形成した画像の耐水性及び耐光性を調
査した。
【0053】先ず始めに記録紙サンプル1を以下のよう
に作成した。
【0054】エチルアルコール14gと水64gとの混
合溶媒中に、ポリビニルアルコール樹脂(商品名:KH
−20;日本合成化学社製)4gを添加して溶解させ、
更に層間化合物として、有機酸処理ハイドロタルサイト
(ハイドロタルサイト(商品名:KW2200;協和化
学社製)4gにリンゴ酸2.5g当量を吸着したもの)
を添加した。そして、これをサンドミルで8時間分散処
理し、染料定着層形成用分散液とした。次に、得られた
染料定着層形成用分散液を乾燥厚4μmとなるように1
25μm厚の透明ポリエステルフィルム基材(商品名:
ルミラーT−60;東レ社製)にワイヤーバーにて塗布
し、100℃1分という条件で乾燥して染料定着層を形
成した。
【0055】次に、エチレンアルコール90gにヒドロ
キシプロピルセルロース(商品名:HPC−L;日本曹
達社製)1.6gを溶解し、インク吸収層形成用溶液を
調製した。そして、このインク吸収層形成用溶液を染料
定着層に乾燥厚1μmとなるようにワイヤーバーにより
塗布乾燥してインク吸収層を形成し、記録紙サンプル1
を作成した。
【0056】実施例1 始めに、下記に示すような配合の記録液を調製した。な
お、染料には、C.Iダイレクトイエロー132、C.
Iリアクティブレッド237、C.Iアシッドブラック
2をそれぞれ用意した。
【0057】<記録液配合> 染料 5重量部 水 64.97重量部 フタル酸 20重量部 ジグセリンボラート 0.5重量部 イソプロピルアルコール 9.5重量部 非イオン界面活性剤 0.03重量部 (商品名:LB−120;ボロンインターナショナル社
製) 次に、この記録液をインクジェット記録方式プリンター
(商品名;MJ−800C;セイコーエプソン社製)の
記録液として詰め替えた。そして、これを使用して上記
記録紙サンプル1に印字サンプルを記録した。
【0058】実施例2〜実施例6 フタル酸に代えてパラトルエンスルホン酸、ベンゼンス
ルフィン酸、アセト酢酸エチル、フタルイミド、ベンズ
アルキシドムをそれぞれ使用する以外は、実施例1と同
様の配合で記録液を調製した。そして、実施例1と同様
に記録紙サンプル1に印字サンプルを記録した。
【0059】実施例7 フタル酸に代えてフタル酸/リンゴ酸=2/1の混合有
機酸を使用する以外は、実施例1と同様の配合で記録液
を調製した。そして、実施例1と同様に記録紙サンプル
1に印字サンプルを記録した。
【0060】比較例1 実施例1の記録液からフタル酸を除いて、すなわち、下
記に示される配合の記録液を用意した。
【0061】<記録液配合> 染料 5重量部 水 84.97重量部 ジグセリンボラート 0.5重量部 イソプロピルアルコール 9.5重量部 非イオン界面活性剤 0.03重量部 (商品名:LB−120;ボロンインターナショナル社
製) これ以外は、実施例1と同様に記録液を調製し、記録紙
サンプル1に印字サンプルを記録して画像を形成した。
【0062】実験例1 フタル酸の添加量を40重量%として、すなわち下記に
示される配合の記録液を調製した。
【0063】<記録液配合> 染料 5重量部 水 44.97重量部 フタル酸 40重量部 ジグセリンボラート 0.5重量部 イソプロピルアルコール 9.5重量部 非イオン界面活性剤 0.03重量部 (商品名:LB−120;ボロンインターナショナル社
製) これ以外は、実施例1と同様に記録液を調製し、記録紙
サンプル1に印字サンプルを記録した。
【0064】以上、実施例1〜実施例7及び比較例1、
実験例1の印字サンプル記録時のインク吸収性と、形成
された画像の耐水性及び耐久性を以下に説明するように
評価した。
【0065】インク浸透性の評価 画像形成の際に、記録液が染料定着層に浸透して吸収さ
れるか否かを目視にて観察し、以下の評価基準に従って
評価した。その結果を表1に示す。なお、以下、表中、
C.Iダイレクトイエロー132、C.Iリアクティブ
レッド237、C.Iアシッドブラック2の染料をそれ
ぞれY、M、Bと記す。
【0066】<インク吸収性評価基準> ○:記録液が染料定着層中に浸透して吸収された場合 ×:記録液が染料定着層中に浸透せず、吸収されない場
【0067】
【表1】
【0068】耐水性の評価 画像が形成された各記録紙サンプル1の全体を水中に1
0分間浸漬した後、水中から引き上げ、画像の変化を目
視にて観察し、以下の評価基準に従って評価した。その
結果を表2に示す。
【0069】 ○:画像が変化しない場合 △:画像は滲んでいるが、実用上問題がない場合 ×:画像が著しく流れたり、あるいは滲んでしまった場
【0070】
【表2】
【0071】耐光性の評価 各記録紙サンプル1に形成された画像について、分光計
(機種名:SPM100−11、GRTAG社製)によ
りJIS Z 8105に規定される*L,*a,*b
を測定した。
【0072】次に、上記画像が記録された各記録紙に、
WEATHER−OMETER(アトラス社製)により
72時間かけて90kJ/m2のエネルギーを照射し、
上述したように、エネルギー照射後の各サンプルの画像
の*L,*a,*bを測定した。
【0073】そして、エネルギー照射後の各サンプルに
おける色差ΔEを下記の(1)式により求め、以下の基
準に従って評価した。その結果を表3に示す。
【0074】 色差ΔE=[(Δ*L)2+(Δ*a)2+(Δ*b)21/2 ・・・(1) Δ*L=試験前後の*Lの差 Δ*a=試験前後の*aの差 Δ*b=試験前後の*bの差 ○:ΔE≦5 △:5<ΔE≦5 ×:ΔE>15
【0075】
【表3】
【0076】表1、2、3の結果から、少なくとも1種
または2種以上の有機酸を含有する記録液を用いた実施
例1〜実施例7の記録方法においては、形成された画像
の耐光性を損なうことなく、良好なインク浸透性を示
し、形成された画像の耐水性も良好であることが確認さ
れた。これに対し、有機酸を含有しない記録液を用いた
比較例1では、インク浸透性、耐水性に劣っていた。
【0077】なお、実験例1の結果から、有機酸を過剰
に含有させることは、記録媒体としての性能を大幅に劣
化させることが確認された。有機酸の含有量は、30重
量%以下が好ましい。
【0078】また、上述した記録紙サンプル1に対し
て、有機酸処理ハイドロタルサイトを含有しない記録紙
サンプル2を用意して、実施例1〜実施例7及び比較例
1で示される印字サンプルの記録を行った。そして、上
述したようにインク浸透性、耐水性、耐光性の評価を行
ったが、いずれも良好な結果をえることができなかっ
た。このことから、記録媒体として、染料定着層に層間
化合物を含有することが必要であることがわかる。
【0079】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係る記録方法においては、基材上に少なくとも水溶
性染料をインターカレーション反応により定着保持する
層間化合物とバインダー樹脂とからなる染料定着層が形
成されてなる記録媒体に、少なくとも1種の有機酸と水
溶性染料を含有した記録液を被着させることにより、良
好なインク浸透性が付与され、耐光性を損なうことなく
耐水性に優れた画像形成が可能となる。すなわち、これ
らのことから、本発明に係る記録方法により記録された
画像は、銀塩写真に匹敵し得る耐久性を有するものとな
り、証明写真や屋外展示印刷物として充分使用し得るも
のとなり、工業的価値は非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した記録媒体の構成を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 基材 2 染料定着層 3 インク吸収層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に少なくとも層間化合物とバイン
    ダー樹脂とを含有する染料定着層が形成されてなる記録
    媒体に記録液を被着させることにより記録を行う記録方
    法において、 上記層間化合物は、インターカレーション反応により水
    溶性染料を定着保持するものであり、 上記記録液は、少なくとも1種の有機酸と水溶性染料と
    を含有することを特徴とする記録方法。
  2. 【請求項2】 上記有機酸は、炭素数が1〜20である
    ことを特徴とする請求項1記載の記録方法。
  3. 【請求項3】 上記記録液は、有機酸を記録液の重量に
    対して0.5〜30重量%の割合で含有することを特徴
    とする請求項1記載の記録方法。
  4. 【請求項4】 上記記録液は、水溶性有機溶剤を含有す
    ることを特徴とする請求項1記載の記録方法。
  5. 【請求項5】 上記水溶性有機溶剤が脂肪族一価アルコ
    ール、多価アルコール、多価アルコール誘導体の少なく
    とも1種であることを特徴とする請求項4記載の記録方
    法。
  6. 【請求項6】 上記記録媒体は、染料定着層上にインク
    吸収層が形成されてなることを特徴とする請求項1記載
    の記録方法。
  7. 【請求項7】 上記染料定着層は、層間化合物を染料定
    着層中の固形分に対して10〜90重量%の割合で含有
    することを特徴とする請求項1記載の記録方法。
  8. 【請求項8】 上記層間化合物は、ハイドロタルサイト
    群鉱物であることを特徴とする請求項1記載の記録方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017119833A (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 キヤノン株式会社 インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

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