JPH11286759A - アルミニウム押出し材を用いた鍛造製品の製造方法 - Google Patents

アルミニウム押出し材を用いた鍛造製品の製造方法

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JPH11286759A
JPH11286759A JP9184098A JP9184098A JPH11286759A JP H11286759 A JPH11286759 A JP H11286759A JP 9184098 A JP9184098 A JP 9184098A JP 9184098 A JP9184098 A JP 9184098A JP H11286759 A JPH11286759 A JP H11286759A
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JP
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weight
forging
heated
treatment
recrystallized grains
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JP9184098A
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English (en)
Inventor
Hidenobu Kawai
秀信 河合
Hirotsugu Yunoki
裕嗣 柚木
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 粗大成長した再結晶粒がない組織をもち、機
械的性質に異方性のない鍛造製品の製造方法の提供。 【解決手段】 Si,Cu,Mg,Fe,Zn成分を規
制したアルミニウム鋳塊に均質化処理を施した後、押出
前に330〜400℃に加熱し、300〜400℃に加
熱されたダイスを用いて押出し直後の素材表面温度が3
50〜400℃になるように押し出し、所定長に切断
後、300〜400℃に加熱し、150〜400℃に加
熱された金型で鍛造直後の素材表面温度が270〜37
0℃となるように鍛造する。次いで溶体化処理を施し、
水冷後、規定の時効処理を施すことで溶体化処理時の再
結晶粒の粗大成長を抑えた後、製品形状に機械加工す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的強度及び耐摩耗
性に優れた車両用部品,家電部品等のアルミニウム鍛造
製品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両や産業用機器等に使用されるピスト
ンやシリンダー,家電機器に使用されるスクロール等の
摺動部品としては、耐摩耗性や強度,伸びに優れた鉄系
の材料が多用されていた。しかし、軽量化,高性能化に
伴いアルミニウム合金の鍛造品が用いられるケースが増
加しつつある。アルミニウム合金としては、Al−Si
−Cu−Mg系合金が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のAl
−Si系合金は、熱間鍛造又はその後の熱処理によって
加工組織が粗大な再結晶粒になったり、或いは再結晶粒
が急成長して二次再結晶組織が発生し、結果として十分
な強度及び靭性が得られない。本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、使用するアルミ
ニウム合金の組成,押出し,鍛造及び熱処理を特定され
た条件下で組み合わせることにより、全面微細な再結晶
粒にコントロールされた熱処理後の組織をもち、機械的
性質に異方性のない鍛造品を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、そ
の目的を達成するため、Si:8.0〜13.5重量
%,Cu:0.5〜4.0重量%,Mg:0.4〜1.
5重量%,Fe:0.1〜1.5重量%,Zn:0.5
重量%以下に規制したアルミニウム鋳塊を、480〜5
40℃×1〜48時間の均質化処理を施した後、押出し
前の加熱で330〜400℃に加熱し、300〜400
℃に加熱されたダイスを用いて押出し直後の素材表面温
度が350〜420℃になるように押し出し、次いで該
押出し材を所定の長さに切断する。一工程で鍛造する場
合には、鍛造前の加熱で300〜400℃に加熱し、1
50〜400℃に加熱された金型で鍛造直後の素材表面
温度が270〜370℃となるように最終製品の形状に
鍛造する。以下、最終製品の形状にする鍛造を「最終鍛
造」という。次いで、480〜540℃×10分〜48
時間の溶体化処理を施し、水冷後、150〜220℃×
4〜10時間の時効処理を施すことにより溶体化処理時
の再結晶粒の粗大成長を抑えた後、製品形状に機械加工
することにより押出し材鍛造製品が製造される。
【0005】形状が複雑で多段階で鍛造する場合、切断
した押出し材を鍛造前の加熱で300〜450℃に加熱
し、150〜400℃に加熱された金型で鍛造直後の素
材表面温度が270〜420℃となるように一次鍛造
し、一次鍛造品を鍛造前の加熱で300〜400℃に再
加熱し、150〜400℃に加熱された金型で鍛造直後
の素材表面温度が270〜370℃となるように最終鍛
造する。なお、一次鍛造は、1回に限定されるものでは
なく、必要に応じて複数回行うこともできる。使用する
アルミニウム合金は、Mn:0.1〜1.5重量%,C
r:0.04〜0.3重量%,Ti:0.005〜0.
2重量%及びB:0.0001〜0.02重量%の1種
又は2種以上を、更にはNi:0.5〜2.0重量%,
Sb:0.05〜2.0重量%,Sr:0.005〜
0.05重量%の1種又は2種以上を含むことができ
る。
【0006】
【作用】本発明で使用するアルミニウム合金に含まれる
合金元素,含有量等について説明する。 Si:8.0〜13.5重量% アルミニウム合金の耐摩耗性を向上させる作用を呈する
合金成分であり、8.5重量%未満ではその効果が乏し
い。逆に13.5重量%を超える多量添加では、Sb等
を添加し半連続鋳造で凝固速度を速くしても、初晶Si
が生成して押出し及び鍛造加工等を困難にする。また、
多量のSi添加は、アルミニウム合金の強度を下げる原
因ともなる。 Cu:0.5〜4.0重量% T6処理時の時効処理でCuAl2 ,Al−Cu−Mg
系金属間化合物を析出し、Mg2 Si析出による強度改
善作用を促進させ、強度改善に寄与する。このような効
果は、Cu含有量0.5重量%以上で顕著になる。しか
し、4.0重量%を超える多量のCuが含まれると、S
bを添加したとしてもCuが多量に含まれることによ
り、初晶Si及び共晶Siが粗大化し、押出し及び鍛造
加工等が困難になる。また、多量のCu含有は、耐食性
を低下させ、応力腐食割れを発生させ易くする。
【0007】Mg:0.4〜1.5重量% T6処理時の時効処理によりSiと反応しMg2 Si系
化合物となってマトリックスに析出し、アルミニウム合
金の強度を向上させる合金成分である。有効な析出硬化
を得るため、0.4重量%以上のMg含有量が必要であ
る。しかし、1.5重量%を超えるMgを含有させる
と、析出硬化作用が飽和するばかりでなく、焼入れ感受
性が高くなる。 Fe:0.1〜1.5重量% Al−Fe−Si系やAl−Fe系の金属間化合物とな
ってマトリックスに晶出し、アルミニウム合金の耐摩耗
性を向上させる。このような効果は、0.1重量%以上
のFe含有量で顕著になる。しかし、1.5重量%を超
える多量のFeが含まれると、Feを含む粗大化合物を
晶出し、アルミニウム合金の加工性を低下させる。
【0008】Zn:0.5重量%以下 アルミスクラップ等から混入してくる不可避的な不純物
であり、少ない方が望ましい。0.5重量%を超える多
量のZnは、応力腐食割れの原因となりやすいので、Z
n含有量の上限を0.5重量%に規定した。 Mn:0.1〜1.5重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、微細な分散粒
子を形成することにより再結晶粒の成長を抑制する。特
に、T6処理時の溶体化による再結晶粒の粗大化を抑制
する上で有効な合金成分であり、強度及び耐摩耗性の改
善にも有効に作用する。これらの効果は、0.1重量%
以上のMn含有量で顕著になる。しかし、1.5重量%
を超える多量のMnを含有させると、Mnを含む金属間
化合物が粗大に晶出し易くなり、加工性が悪くなる。
【0009】Cr:0.04〜0.3重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、再結晶粒の粗
大化を抑制する作用を呈する。その効果は、0.04重
量%以上の含有量で顕著になる。Crが再結晶粒の成長
を抑制する作用は、特に鍛造後のT6処理時における溶
体化処理時に発揮され、溶体化による再結晶粒の粗大化
を抑制する。しかし、0.3重量%を超えてCrを含有
させるとき、加工性が低下する。Mn及びCrがT6処
理時の溶体化処理時に再結晶粒の粗大化を抑制する作用
は、その詳細な理由は不明であるが、加工による歪みエ
ネルギーと関係し、これらの化合物の特定の形態や分布
が再結晶粒の粒界成長を抑制していることに起因するも
のと推察される。
【0010】Ti:0.005〜0.2重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、鋳造組織を微
細化させる作用を呈する。鋳造組織微細化作用は、Ti
含有量が0.005重量%を超えると顕著になる。ま
た、Ti添加によって組織が微細化されたアルミニウム
合金は、ビレットに鋳造割れ等の欠陥が発生するのを抑
制している。しかし、多量のTi含有は、アルミニウム
合金の靭性を劣化させるので、上限を0.2重量%に設
定した。 B:0.0001〜0.02重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、Tiと同様に
鋳造組織の微細化に有効に作用する。Bの効果は、0.
0001重量%以上の含有量で顕著になる。また、B含
有量の上限は、Ti含有量と同様な理由から0.02重
量%に設定した。
【0011】Ni:0.5〜2.0重量% Niを含む金属間化合物を晶出させ、アルミニウム合金
の耐熱性及び耐摩耗性を改善する。このような効果は、
Ni含有量に比例して大きくなり、0.5重量%以上の
Ni含有量で顕著になる。しかし、2.0重量%を超え
る多量のNi含有量では、Niを含む粗大化合物が晶出
し、アルミニウム合金の加工性を劣化させる。 Sb:0.05〜2.0重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、Cuの影響を
受けて粗大化し易い初晶Si及び共晶Siを微細化し、
引張強さ及び耐摩耗性を改善し、加工性を良好にする作
用を呈する。このような効果は、0.05重量%以上の
Sb含有で顕著になる。しかし、2.0重量%を超える
多量のSb含有では、Sbを含む金属間化合物が晶出し
易くなり、アルミニウム合金の加工性を低下させる。本
発明で使用するアルミニウム合金は、他の有効な元素と
してSrを含むことができる。
【0012】Sr:0.005〜0.05重量% Sbと同様に初晶Si及び共晶Siの微細化を図る目的
で単独又はSbと複合して添加される。0.005重量
%に達しない含有量では、Sr添加による微細化効果が
不十分である。逆に0.05重量%を超えるSr添加で
は、Srを含む粗大な金属間化合物が晶出し易くなり、
加工性が低下する。なお、本発明で使用されるアルミニ
ウム合金は、その他の主要な不可避不純物として0.1
重量%以下のPbやSnを含むことがある。
【0013】以上のように成分調整されたアルミニウム
合金は、通常の半連続鋳造法で円柱状断面をもつビレッ
ト等の鋳塊に鋳造され、均質化処理後、最終製品形状に
見合った形状に押出し加工される。次いで、押出し材を
所定の長さに切断する。押出し押出しは、その後の製品
特性を大きく作用するので、押出し条件を細かく制御す
る必要がある。先ず、押出しに先立って鋳造されたビレ
ットに、凝固によって生じたミクロ偏析を解消する均質
化やCr,Mn等の過飽和固溶元素を析出させるため、
480〜540℃×1〜48時間の均質化処理を施した
後、冷却し、必要長さに切断する。その後、再度加熱炉
に装入し、押出し前に330〜400℃に加熱する。こ
のとき、300〜400℃に加熱されたダイスを用い、
押出し直後の素材表面温度が350〜420℃となるよ
うに加熱条件を制御することが重要である。
【0014】加熱温度が330℃未満では押出し材の表
面温度が350℃未満になり、逆に400℃を超える加
熱温度では押出し材の表面温度が420℃を超えてしま
う。また、ダイス温度が300〜400℃の範囲にない
と、押出し中に素材が過度に冷却される。ダイスを30
0〜400℃に加熱しておくことにより、押出し直後の
素材表面温度を350〜420℃に維持できる。押出し
材の表面温度が420℃よりも高いと、鍛造品のT6処
理時の溶体化処理で再結晶粒が粗大化し易くなる。これ
は、押出し加工中に導入された歪みが冷却途上で回復
し、再結晶により解放されるため、蓄積されるエネルギ
ーが少なくなり、結果として溶体化処理時の再結晶粒の
成長エネルギーが小さくなることに起因する。そのた
め、再結晶粒が一斉に成長するのではなく、ある特定の
再結晶粒が優先的に成長し、粗大な再結晶粒が出現する
ものと推察される。逆に押出し直後の押出し素材の表面
温度が350℃よりも低いと、ダイスにメタルが詰ま
り、押出しが不可能になる。
【0015】最終鍛造では、150〜400℃に加熱さ
れた金型が使用される。金型温度は、最終鍛造中に素材
が過度に冷却することを防止する上で重要である。15
0〜400℃に加熱された金型を使用することにより、
最終鍛造直後の素材温度が270〜370℃に維持さ
れ、T6処理後の再結晶粒の成長が抑制される。300
〜400℃に加熱された素材を型鍛造で上下方向に潰
し、最終鍛造品を製造する。或いは、自由鍛造によって
最終鍛造品を製造することもできる。このときの加熱温
度が400℃を超えると、T6処理での溶体化処理時に
最終製品の再結晶粒が粗大化し易くなり、逆に300℃
に達しない加熱温度では鍛造時の変形抵抗が大きくな
り、鍛造品又は金型に割れが発生し易くなる。素材を3
00〜400℃に加熱する場合、温度の均一化を図るた
め加熱時間を1時間程度に設定することが好ましい。
【0016】また、複雑な形状の製品を製造する場合に
は、最終鍛造に先立って一次鍛造する。一次鍛造は、次
の製品形状に近い形を成形するための工程であり、変形
率が小さいと最終鍛造が難しくなる。しかし、過度に大
きな変形率では、鍛造割れが生じるばかりでなく、最終
鍛造による成形も困難になる。そこで、[(初期の押出
し材長さ又は外径−鍛造後の素材長さ又は外径)×
((初期の押出し材長さ又は外径)-1×100]で定義
される上下方向の変形率を好ましくは50〜70%の範
囲に設定する。変形率をこの範囲に維持して一次鍛造す
ると、押出しで形成されている繊維状組織が変形方向に
長く伸ばされ、高強度の最終製品に有効な素材となる。
【0017】一次鍛造 素材は、一次鍛造に先立って300〜450℃で、好ま
しくは加熱保持1時間程度で加熱される。このときの加
熱温度は、最終製品のT6処理後の組織を微細にする上
で重要である。一次鍛造では、鍛造直後の鍛造品表面温
度が270〜420℃となるように、150〜400℃
に加熱された金型が使用される。金型温度は高いほど好
ましいが、400℃を超える高温に加熱された金型では
鍛造素材の温度上昇を招き、素材の表面温度が420℃
を超えるため結晶粒が粗大化し易くなる。逆に、150
℃に満たない金型温度では、過度に鍛造素材が冷却され
て変形能が小さくなるため、素材の割れや金型の損傷が
発生し易くなる。
【0018】熱処理 鍛造品又は最終鍛造品は、T6処理、すなわち480〜
540℃×10分〜48時間で溶体化処理し、水冷後、
150〜220℃×4〜10時間加熱する時効処理が施
される。480〜540℃×10分〜48時間の溶体化
処理は、Mg,Si,Cu等を固溶させる溶体化処理で
ある。固溶したMg,Siは、後の時効工程でMg2
iとなって析出し、強度を確保する。Cuは、マトリッ
クスを強化すると共に、一部がCuAl2 及びAl−C
u−Mg系の金属間化合物として時効処理時に析出し、
強度を更に向上させる。
【0019】鍛造直後の素材温度が270〜370℃付
近のとき、熱間加工中に導入された歪みが多く残存し、
残存歪みが溶体化処理時に再結晶粒の成長エネルギーと
なり、一斉に多数の微細な鍛造後の再結晶粒を成長さ
せ、特定の少数の再結晶粒の粗大化が阻止されるものと
推察される。一方、270℃よりも低い温度で鍛造する
と、素材の変形能が小さくなり、鍛造そのものが困難に
なって健全な製品が得られ難くなる。逆に370℃より
も高い温度で鍛造すると、鍛造時に導入された歪みが冷
却途上における再結晶粒の成長で解放され、溶体化処理
前に鍛造品中に蓄積される歪みエネルギーが小さくな
る。そのため、溶体化処理時の再結晶の成長に利用でき
るエネルギーが小さくなるが、その反面一斉に再結晶粒
が成長するのではなく、ある特定の再結晶粒が優先的に
粗大な再結晶粒に成長し易くなる可能性があり、その結
果として粗大再結晶粒が出現するものと推察される。こ
のときの歪みエネルギーは、変形率とも関係することか
ら、変形率が異なる部分をもつ同一試料内での再結晶粒
の粗大成長は均一でない。
【0020】溶体化処理された製品は、水焼入れされ、
150〜220℃で4〜10時間加熱する時効処理が施
される。この時効処理により、Mg2 Si,CuAl2
及びAl−Cu−Mg系金属間化合物等が析出し、マト
リックスの強度が確保される。 機械加工 熱処理された製品は、各部の板厚調整やネジ孔加工等の
ために機械加工される。
【0021】
【実施例】実施例:表1に示す成分・組成をもつアルミ
ニウム合金を半連続鋳造し、直径240mmのビレット
を鋳造した。このビレットに520℃×6時間の均質化
処理を施した後、所定長さに切断し、押出し前に390
℃に加熱して押し出し、直径35mmの丸棒を得た。押
出し棒の押出し直後の表面温度は400℃であった。こ
の押出し棒から直径35mm,長さ90mmのテスト用
鍛造素材を切り出した。試料No.1〜3共に本発明で規
定した範囲にある組成をもち、そのうち試料No.2はS
b無添加,試料No.3はMn,Cr,Ti,B及びSb
無添加のアルミニウム合金である。
【0022】
【0023】得られた鍛造素材に400℃×1時間の熱
処理を施した後、金型温度200℃,素材各部の変形率
として平均変形率50%で長さ方向に対して垂直な方向
から鍛造し、図1の二次成形品に近い形状に先ず成形し
た。このときの鍛造直後の素材温度は、370℃であっ
た。一次鍛造品を380℃及び450℃に1時間加熱し
た後、金型温度200℃,平均変形率70%で長さ方向
に対して垂直な方向から鍛造し、図1に示す二次成形品
形状に成形した。最終鍛造直後の素材温度は、380℃
加熱のときは350℃,450℃加熱のときは420℃
であった。
【0024】最終鍛造品に510℃×4時間→水焼入れ
の処理を施した後、上下方向の断面マクロ組織を観察し
た。マクロ組織は、最終鍛造温度が350℃のとき、図
2に示すように4000系の展伸材としては比較的微細
な再結晶組織になっており、試料内の変形率の差を示す
ように均一な再結晶粒ではないが、再結晶粒の粗大成長
が検出されなかった。他方、最終鍛造温度が450℃の
ものでは、図3に示すように再結晶粒が粗大に成長した
組織になっていた。これは、Mg2 Si系,CuAl2
系,Al−Cu−Mg系金属間化合物等の微細な第2相
化合物粒子がマトリックスに固溶し始め、第2相化合物
粒子の個数が増減することにより転位の移動を抑制する
作用が低下し、結果として再結晶粒が大きくなっている
ことを示している。特に試料No.3は、試料No.1,2
に比較して再結晶粒の粗大化が顕著に進行しており、共
晶Siの微細化効果をもつSbや再結晶粒の粗大化抑制
効果をもつMn,Crを添加していない結果であること
が窺われる。なお、何れの試料も、時効処理では再結晶
粒の成長が観察されなかった。
【0025】比較例:表1の試料No.1の組成におい
て、ビレットに520℃×6時間の均質化処理を施した
後、同じ長さに切断し、押出し前に430℃に加熱して
押し出し、直径35mmの丸棒を得た。押出し直後の押
出し棒の表面温度は、450℃であった。この鍛造素材
に440℃×1時間の鍛造前加熱処理を施した後、金型
温度200℃,素材各部の平均変形率50%で長さ方向
に対して垂直な方向から鍛造し、図1の二次成形品に近
い形状に鍛造した。この一次鍛造品は、鍛造直後の表面
温度が410℃であった。一次鍛造品に510℃×4時
間→水焼入れの処理を施した後、上下方向の断面マクロ
組織を観察したところ、中心部が粗粒化していた。この
ことから、押出し直後の素材表面温度が270〜420
℃を外れると、T6処理での溶体化処理時に再結晶粒が
粗大化することが確認された。
【0026】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、組成,押出し及び鍛造を特定条件下で組み合わせる
ことにより、T6処理での溶体化処理時に再結晶粒の粗
大化が抑制された再結晶組織となる。そのため、機械的
性質に異方性がなく、品質信頼性の高い高強度鍛造製品
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で製造したテスト用鍛造品
【図2】 鍛造温度380℃で最終鍛造し溶体化処理し
たテスト用最終鍛造品のマクロ組織を示す写真
【図3】 鍛造温度450℃で最終鍛造し溶体化処理し
たテスト用最終鍛造品のマクロ組織を示す写真
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年4月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C22F 1/00 602 C22F 1/00 602 604 604 612 612 630 630A 630D 630K 651 651B 682 682 683 683 691 691B 691C 694 694B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:8.0〜13.5重量%,Cu:
    0.5〜4.0重量%,Mg:0.4〜1.5重量%,
    Fe:0.1〜1.5重量%,Zn:0.5重量%以下
    に規制したアルミニウム鋳塊を、480〜540℃×1
    〜48時間の均質化処理を施した後、押出し前の加熱で
    330〜400℃に加熱し、300〜400℃に加熱さ
    れたダイスを用いて押出し直後の素材表面温度が350
    〜420℃になるように押し出し、次いで該押出し材を
    切断後、鍛造前の加熱で300〜400℃に加熱し、1
    50〜400℃に加熱された金型で鍛造直後の素材表面
    温度が270〜370℃となるように鍛造し、次いで4
    80〜540℃×10分〜48時間の溶体化処理を施
    し、水冷後、150〜220℃×4〜10時間の時効処
    理を施すことにより溶体化処理時の再結晶粒の粗大化を
    抑制したアルミニウム押出し材を用いた鍛造製品の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 Si:8.0〜13.5重量%,Cu:
    0.5〜4.0重量%,Mg:0.4〜1.5重量%,
    Fe:0.1〜1.5重量%,Zn:0.5重量%以下
    に規制したアルミニウム鋳塊を、480〜540℃×1
    〜48時間の均質化処理を施した後、押出し前の加熱で
    330〜400℃に加熱し、300〜400℃に加熱さ
    れたダイスを用いて押出し直後の素材表面温度が350
    〜420℃になるように押し出し、次いで該押出し材を
    切断後、鍛造前の加熱で300〜450℃に加熱し、1
    50〜400℃に加熱された金型で鍛造直後の素材表面
    温度が270〜420℃となるように一次鍛造し、一次
    鍛造品を鍛造前の加熱で300〜400℃に再加熱し、
    150〜400℃に加熱された金型で鍛造直後の素材表
    面温度が270〜370℃となるように最終鍛造し、次
    いで480〜540℃×10分〜48時間の溶体化処理
    を施し、水冷後、150〜220℃×4〜10時間の時
    効処理を施すことにより溶体化処理時の再結晶粒の粗大
    化を抑制したアルミニウム押出し材を用いた鍛造製品の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 更にMn:0.1〜1.5重量%,C
    r:0.04〜0.3重量%,Ti:0.005〜0.
    2重量%及びB:0.0001〜0.02重量%の1種
    又は2種以上を含むアルミニウム合金を使用する請求項
    1又は2記載の溶体化処理時の再結晶粒の粗大化を抑制
    したアルミニウム押出し材を用いた鍛造製品の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 更にNi:0.5〜2.0重量%,S
    b:0.05〜2.0重量%及びSr:0.005〜
    0.05重量%の1種又は2種以上を含むアルミニウム
    合金を使用する請求項1〜3の何れかに記載の溶体化処
    理時の再結晶粒の粗大化を抑制したアルミニウム押出し
    材を用いた鍛造製品の製造方法。
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