JPH09249949A - アルミ押出し材鍛造製品の製造方法 - Google Patents

アルミ押出し材鍛造製品の製造方法

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JPH09249949A
JPH09249949A JP8333396A JP8333396A JPH09249949A JP H09249949 A JPH09249949 A JP H09249949A JP 8333396 A JP8333396 A JP 8333396A JP 8333396 A JP8333396 A JP 8333396A JP H09249949 A JPH09249949 A JP H09249949A
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treatment
forging
forged
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JP8333396A
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Hajime Kamio
一 神尾
Hidenobu Kawai
秀信 河合
Tatsu Yamada
達 山田
Hirotsugu Yunoki
裕嗣 柚木
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粗大成長した再結晶粒がない組織に制御され
たT6処理後の組織をもち、機械的性質に異方性のない
鍛造製品を得る。 【構成】 Si:8.0〜13.5%,Cu:0.5〜
4.0%,Mg:0.4〜1.5%,Fe:0.1〜
1.5%,Zn:0.5%以下に規制したアルミニウム
鋳塊を、480〜540℃×1〜48時間の均質化処理
を施した後、押出し前の加熱で330〜400℃に加熱
して押出し直後の素材表面温度が350〜420℃にな
るように押し出し、所定の長さに切断する。熱間鍛造で
は、鍛造直後の素材表面温度が370〜420℃となる
ように鍛造し、次いで480〜540℃×10分〜48
時間の溶体化処理を施し、水冷後、150〜220℃×
4〜10時間の時効処理を施す。アルミニウム合金は、
Mn:0.1〜1.5%,Cr:0.04〜0.3%,
Ti:0.005〜0.2%,B:0.0001〜0.
02%,Ni:0.5〜2.0%,Sb:0.05〜
1.0%を含むことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的強度及び耐摩耗
性に優れた車両用部品等のアルミニウム鍛造製品を製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両や産業用機器等に使用されるピスト
ンやシリンダー等の摺動部品としては、耐摩耗性や強
度,伸びに優れた鉄系の材料が多用されていた。しか
し、軽量化,高性能化に伴いアルミニウム合金の鍛造品
が用いられるケースが増加しつつある。アルミニウム合
金としては、Al−Si−Cu−Mg系合金が使用され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のAl
−Si−Cu−Mg系合金は、熱間鍛造又はその後の熱
処理によって加工組織が粗大な再結晶粒になったり、或
いは再結晶粒が急成長して二次再結晶組織が発生し、結
果として十分な強度及び靭性が得られない。本発明は、
このような問題を解消すべく案出されたものであり、使
用するアルミニウム合金の組成,押出し,鍛造及び熱処
理を特定された条件下で組み合わせることにより、全面
微細な再結晶粒にコントロールされた熱処理後の組織を
もち、機械的性質に異方性のない鍛造品を提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、そ
の目的を達成するため、Si:8.0〜13.5重量
%,Cu:0.5〜4.0重量%,Mg:0.4〜1.
5重量%,Fe:0.1〜1.5重量%,Zn:0.5
重量%以下に規制したアルミニウム鋳塊を、480〜5
40℃×1〜48時間の均質化処理を施した後、押出し
前の加熱で330〜400℃に加熱して押出し直後の素
材表面温度が350〜420℃になるように押し出し、
次いで該押出し材を所定の長さに切断する。熱間鍛造で
は、鍛造前の加熱で400〜450℃に加熱し、150
〜250℃に加熱された金型で鍛造直後の素材表面温度
が370〜420℃となるように鍛造する。次いで、4
80〜540℃×10分〜48時間の溶体化処理を施
し、水冷後、150〜220℃×4〜10時間の時効処
理を施すことにより溶体化処理時の再結晶粒の粗大成長
を抑えた後、製品形状に機械加工することにより押出し
材鍛造製品が製造される。使用するアルミニウム合金
は、Mn:0.1〜1.5重量%,Cr:0.04〜
0.3重量%,Ti:0.005〜0.2重量%及び
B:0.0001〜0.02重量%の1種又は2種以上
を、更にはNi:0.5〜2.0重量%及び/又はS
b:0.05〜1.0重量%を含むことができる。
【0005】
【作用】本発明で使用するアルミニウム合金に含まれる
合金元素,含有量等について説明する。 Si:8.0〜13.5重量% アルミニウム合金の耐摩耗性を向上させる作用を呈する
合金成分であり、8.5重量%未満ではその効果が乏し
い。逆に13.5重量%を超える多量添加では、Sb等
を添加し半連続鋳造で凝固速度を速くしても、初晶Si
が生成して押出し及び鍛造加工等を困難にする。また、
多量のSi添加は、アルミニウム合金の強度を下げる原
因ともなる。 Cu:0.5〜4.0重量% T6処理時の時効処理でCuAl2 ,Al−Cu−Mg
系金属間化合物を析出し、Mg2 Si析出による強度改
善作用を促進させ、強度改善に寄与する。このような効
果は、Cu含有量0.5重量%以上で顕著になる。しか
し、4.0重量%を超える多量のCuが含まれると、S
bを添加したとしてもCuが多量に含まれることによ
り、初晶Si及び共晶Siが粗大化し、押出し及び鍛造
加工等が困難になる。また、多量のCu含有は、耐食性
を低下させ、応力腐食割れを発生させ易くする。
【0006】Mg:0.4〜1.5重量% T6処理時の時効処理によりSiと反応しMg2 Si系
化合物となってマトリックスに析出し、アルミニウム合
金の強度を向上させる合金成分である。有効な析出硬化
を得るため、0.4重量%以上のMg含有量が必要であ
る。しかし、1.5重量%を超えるMgを含有させる
と、析出硬化作用が飽和するばかりでなく、焼入れ感受
性が高くなる。 Fe:0.1〜1.5重量% Al−Fe−Si系やAl−Fe系の金属間化合物とな
ってマトリックスに晶出し、アルミニウム合金の耐摩耗
性を向上させる。このような効果は、0.1重量%以上
のFe含有量で顕著になる。しかし、1.5重量%を超
える多量のFeが含まれると、Feを含む粗大化合物を
晶出し、アルミニウム合金の加工性を低下させる。
【0007】Zn:0.5重量%以下 アルミスクラップ等から混入してくる不可避的な不純物
であり、少ない方が望ましい。0.5重量%を超える多
量のZnは、応力腐食割れの原因となりやすいので、Z
n含有量の上限を0.5重量%に規定した。 Mn:0.1〜1.5重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、微細な分散粒
子を形成することにより再結晶粒の成長を抑制する。特
に、T6処理時の溶体化による再結晶粒の粗大化を抑制
する上で有効な合金成分であり、強度及び耐摩耗性の改
善にも有効に作用する。これらの効果は、0.1重量%
以上のMn含有量で顕著になる。しかし、1.5重量%
を超える多量のMnを含有させると、Mnを含む金属間
化合物が粗大に晶出し易くなり、加工性が悪くなる。
【0008】Cr:0.04〜0.3重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、再結晶粒の粗
大化を抑制する作用を呈する。その効果は、0.04重
量%以上の含有量で顕著になる。Crが再結晶粒の成長
を抑制する作用は、特に鍛造後のT6処理時における溶
体化処理時に発揮され、溶体化による再結晶粒の粗大化
を抑制する。しかし、0.3重量%を超えてCrを含有
させるとき、加工性が低下する。Mn及びCrがT6処
理時の溶体化処理時に再結晶粒の粗大化を抑制する作用
は、その詳細な理由は不明であるが、加工による歪みエ
ネルギーと関係し、これらの化合物の特定の形態や分布
が再結晶粒の粒界成長を抑制していることに起因するも
のと推察される。
【0009】Ti:0.005〜0.2重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、鋳造組織を微
細化させる作用を呈する。鋳造組織微細化作用は、Ti
含有量が0.005重量%を超えると顕著になる。ま
た、Ti添加によって組織が微細化されたアルミニウム
合金は、ビレットに鋳造割れ等の欠陥が発生するのを抑
制している。しかし、多量のTi含有は、アルミニウム
合金の靭性を劣化させるので、上限を0.2重量%に設
定した。 B:0.0001〜0.02重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、Tiと同様に
鋳造組織の微細化に有効に作用する。Bの効果は、0.
0001重量%以上の含有量で顕著になる。また、B含
有量の上限は、Ti含有量と同様な理由から0.02重
量%に設定した。
【0010】Ni:0.5〜2.0重量% Niを含む金属間化合物を晶出させ、アルミニウム合金
の耐熱性及び耐摩耗性を改善する。このような効果は、
Ni含有量に比例して大きくなり、0.5重量%以上の
Ni含有量で顕著になる。しかし、2.0重量%を超え
る多量のNi含有量では、Niを含む粗大化合物が晶出
し、アルミニウム合金の加工性を劣化させる。 Sb:0.05〜1.0重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、Cuの影響を
受けて粗大化し易い初晶Si及び共晶Siを微細化し、
引張強さ及び耐摩耗性を改善し、加工性を良好にする作
用を呈する。このような効果は、0.05重量%以上の
Sb含有で顕著になる。しかし、1.0重量%を超える
多量のSb含有では、Sbを含む金属間化合物が晶出し
易くなり、アルミニウム合金の加工性を低下させる。本
発明で使用するアルミニウム合金は、他の有効な元素と
してSrを含むことができる。 Sr:0.005〜0.05重量% Sbと同様に初晶Si及び共晶Siの微細化を図る目的
で単独又はSbと複合して添加される。0.005重量
%に達しない含有量では、Sr添加による微細化効果が
不十分である。逆に0.05重量%を超えるSr添加で
は、Srを含む粗大な金属間化合物が晶出し易くなり、
加工性が低下する。なお、本発明で使用されるアルミニ
ウム合金は、その他の主要な不可避不純物として0.1
重量%以下のPbやSnを含むことがある。
【0011】以上のように成分調整されたアルミニウム
合金は、通常の半連続鋳造法で円柱状断面をもつビレッ
ト等の鋳塊に鋳造され、均質化処理後、最終製品形状に
見合った形状に押出し加工される。次いで、押出し材を
所定の長さに切断する。 押出し 押出しは、その後の製品特性を大きく作用するので、押
出し条件を細かく制御する必要がある。先ず、押出しに
先立って鋳造されたビレットに、凝固によって生じたミ
クロ偏析を解消する均質化やCr,Mn等の過飽和固溶
元素を析出させるため、480〜540℃×1〜48時
間の均質化処理を施した後、冷却し、必要長さに切断す
る。その後、再度加熱炉に装入し、押出し前に330〜
400℃に加熱する。このとき、押出し直後の素材表面
温度が350〜420℃となるように加熱条件を制御す
ることが重要であり、加熱温度が330℃未満では押出
し材の表面温度が350℃未満になり、逆に400℃を
超える加熱温度では押出し材の表面温度が420℃を超
えてしまう。押出し材の表面温度が420℃よりも高い
と、鍛造品のT6処理時の溶体化処理で再結晶粒が粗大
化し易くなる。これは、押出し加工中に導入された歪み
が冷却途上で回復し、再結晶により解放されるため、蓄
積されるエネルギーが少なくなり、結果として溶体化処
理時の再結晶粒の成長エネルギーが小さくなることに起
因する。そのため、再結晶粒が一斉に成長するのではな
く、ある特定の再結晶粒が優先的に成長し、粗大な再結
晶粒が出現するものと推察される。逆に押出し直後の押
出し素材の表面温度が350℃よりも低いと、ダイスに
メタルが詰まり、押出しが不可能になる。
【0012】鍛造 鍛造に供する前に、切断された鋳造素材を加熱炉に装入
し、鍛造前に400〜450℃に加熱する。このときの
加熱温度は、最終製品のT6処理後の組織を微細にする
上で重要である。400〜450℃に加熱された素材を
型鍛造によって上下方向に潰し、鍛造品を製造する。或
いは、自由鍛造によって鍛造品を製造することもでき
る。このときの加熱温度が450℃を超えると、T6処
理での溶体化処理時に最終製品の再結晶粒が粗大化し易
くなり、逆に400℃に達しない加熱温度では鍛造時の
変形抵抗が大きくなり、鍛造品又は金型に割れが発生し
易くなる。加熱保持は、温度の均一化を図るために1時
間程度行われる。鍛造では、金型を150〜250℃に
加熱している。この金型温度は、鍛造中の素材が過度に
冷却することを防止する上で重要である。鍛造中の素材
は、金型を150〜250℃に保持することによって、
鍛造直後の素材の表面温度が370〜420℃の温度範
囲に維持される。370〜420℃の温度範囲は、T6
処理での溶体化処理時に再結晶粒の成長を抑制する上で
重要である。金型温度は高い方が望ましいが、250℃
を超えると鍛造素材の温度上昇を招き、素材の表面温度
が420℃を超えるため結晶粒が粗大化する。逆に15
0℃未満の金型温度では素材温度が下がりすぎて変形能
が小さくなるため、素材が割れたり、金型の破損が生じ
易くなる。
【0013】熱処理 鍛造品は、T6処理、すなわち480〜540℃×10
分〜48時間で溶体化処理し、水冷後、150〜220
℃×4〜10時間加熱する時効処理が施される。480
〜540℃×10分〜48時間の溶体化処理は、Mg,
Si,Cu等を固溶させる溶体化処理である。固溶した
Mg,Siは、後の時効工程でMg2 Siとなって析出
し、強度を確保する。Cuは、マトリックスを強化する
と共に、一部がCuAl2 及びAl−Cu−Mg系の金
属間化合物として時効処理時に析出し、強度を更に向上
させる。鍛造直後の素材温度が370〜420℃付近の
とき、熱間加工中に導入された歪みが多く残存し、残存
歪みが溶体化処理時に再結晶粒の成長エネルギーとな
り、一斉に多数の微細な鍛造後の再結晶粒を成長させ、
特定の少数の再結晶粒の粗大化が阻止されるものと推察
される。一方、370℃よりも低い温度で鍛造すると、
素材の変形能が小さくなり、鍛造そのものが困難になっ
て健全な製品が得られ難くなる。逆に450℃よりも高
い温度で鍛造すると、鍛造時に導入された歪みが冷却途
上における再結晶粒の成長で解放され、溶体化処理前に
鍛造品中に蓄積される歪みエネルギーが小さくなる。そ
のため、溶体化処理時の再結晶の成長に利用できるエネ
ルギーが小さくなるが、その反面一斉に再結晶粒が成長
するのではなく、ある特定の再結晶粒が優先的に粗大な
再結晶粒に成長し易くなる可能性があり、その結果とし
て粗大再結晶粒が出現するものと推察される。このとき
の歪みエネルギーは、変形率とも関係することから、変
形率が異なる部分をもつ同一試料内での再結晶粒の粗大
成長は均一でない。溶体化処理された製品は、水焼入れ
され、150〜220℃で4〜10時間加熱する時効処
理が施される。この時効処理により、Mg2 Si,Cu
Al2及びAl−Cu−Mg系金属間化合物等が析出
し、マトリックスの強度が確保される。 機械加工 熱処理された製品は、各部の板厚調整やネジ孔加工等の
ために機械加工される。
【0014】
【実施例】
実施例:表1に示す成分・組成をもつアルミニウム合金
を半連続鋳造し、直径240mmのビレットを鋳造し
た。このビレットに520℃×6時間の均質化処理を施
した後、所定長さに切断し、押出し前に390℃に加熱
して押出し、直径35mmの丸棒を得た。押出し棒の押
出し直後の表面温度は400℃であった。この押出し棒
から直径35mm,長さ90mmのテスト用鍛造素材を
切り出した。試料No.1〜3共に本発明で規定した範囲
にある組成をもち、そのうち試料No.2はSb無添加,
試料No.3はMn,Cr,Ti,B及びSb無添加のア
ルミニウム合金である。
【0015】
【0016】得られた鍛造素材を鍛造前に430℃及び
520℃で1時間加熱した後、金型温度230℃,素材
各部の変形率として平均変形率70%で長さ方向に対し
て垂直な方向から鍛造し、図1に示す成形品形状に鍛造
した。このときの鍛造直後の素材は、430℃加熱のと
きは表面温度が400℃,520℃加熱のときは表面温
度が490℃であった。鍛造素材の上下方向断面のマク
ロ組織を観察すると、鍛造温度に関係なく、図2,図3
に示すように何れの鍛造素材も全面均一で微細な組織を
もっていた。鍛造品に510℃×4時間→水焼入れの処
理を施した後、上下方向の断面マクロ組織を観察した。
マクロ組織は、鍛造温度が430℃のとき、図4に示す
ように4000系の展伸材としては比較的微細な再結晶
組織になっており、試料内の変形率の差を示すように均
一な再結晶粒ではないが、再結晶粒の粗大成長が検出さ
れなかった。これに対し、鍛造温度が520℃のもので
は、図5に示すように全域,特に加工率の低い部分にお
いて再結晶粒が粗大に成長した組織になっていた。図5
から明らかなように、鍛造中の温度が520℃と高いと
再結晶粒が急成長し、粗大再結晶になることを示してい
る。特に試料No.3は、試料No.1,2に比較して再結
晶粒の粗大化が顕著である。これは、共晶Siの微細化
効果をもつSbや、再結晶粒の粗大化抑制効果をもつM
n及びCrを添加していないことに起因する。なお、時
効処理では再結晶粒が粗大化していなかった。
【0017】比較例:表1の試料No.1の組成におい
て、ビレットに520℃×6時間の均質化処理を施した
後、同じ長さに切断し、押出し前に430℃に加熱して
押し出し、直径35mmの丸棒を得た。押出し直後の押
出し棒の表面温度は、450℃であった。この鍛造素材
に430℃×1時間の鍛造前加熱処理を施した後、金型
温度230℃,素材各部の平均変形率70%で長さ方向
に対して垂直な方向から鍛造し、図1に示す成形品形状
に鍛造した。この鍛造品は、鍛造直後の表面温度が40
0℃であった。得られた鍛造品に510℃×4時間→水
焼入れの処理を施した後、上下方向の断面マクロ組織を
観察したところ、全域が図5のNo.1のように粗粒化し
ていた。このことから、押出し直後の素材表面温度が3
70〜420℃を外れると、T6処理での溶体化処理時
に再結晶粒が粗大化することが確認された。
【0018】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、組成,押出し及び鍛造を特定条件下で組み合わせる
ことにより、T6処理での溶体化処理時に再結晶粒の粗
大化が抑制された再結晶組織となる。そのため、機械的
性質に異方性がなく、品質信頼性の高い高強度鍛造製品
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で製造したテスト用鍛造品
【図2】 鍛造前温度430℃で鍛造したテスト用鍛造
品のマクロ組織を示す写真
【図3】 鍛造前温度520℃で鍛造したテスト用鍛造
品のマクロ組織を示す写真
【図4】 鍛造前温度430℃で鍛造した後、溶体化処
理し水焼入れしたテスト用鍛造品のマクロ組織を示す写
【図5】 鍛造前温度520℃で鍛造した後、溶体化処
理し水焼入れしたテスト用鍛造品のマクロ組織を示す写
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 達 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 柚木 裕嗣 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:8.0〜13.5重量%,Cu:
    0.5〜4.0重量%,Mg:0.4〜1.5重量%,
    Fe:0.1〜1.5重量%,Zn:0.5重量%以下
    に規制したアルミニウム鋳塊を、480〜540℃×1
    〜48時間の均質化処理を施した後、押出し前の加熱で
    330〜400℃に加熱して押出し直後の素材表面温度
    が350〜420℃になるように押し出し、次いで該押
    出し材を切断後、鍛造前の加熱で400〜450℃に加
    熱し、150〜250℃に加熱された金型で鍛造直後の
    素材表面温度が370〜420℃となるように鍛造し、
    次いで480〜540℃×10分〜48時間の溶体化処
    理を施し、水冷後、150〜220℃×4〜10時間の
    時効処理を施すことにより溶体化処理時の再結晶粒の粗
    大化を抑制したアルミ押出し材鍛造製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 更にMn:0.1〜1.5重量%,C
    r:0.04〜0.3重量%,Ti:0.005〜0.
    2重量%及びB:0.0001〜0.02重量%の1種
    又は2種以上を含むアルミニウム合金を使用する請求項
    1記載の溶体化処理時の再結晶粒の粗大化を抑制したア
    ルミ押出し材鍛造製品の製造方法。
  3. 【請求項3】 更にNi:0.5〜2.0重量%及び/
    又はSb:0.5〜2.0重量%を含むアルミニウム合
    金を使用する請求項1又は2記載の溶体化処理時の再結
    晶粒の粗大化を抑制したアルミ押出し材鍛造製品の製造
    方法。
JP8333396A 1996-03-12 1996-03-12 アルミ押出し材鍛造製品の製造方法 Pending JPH09249949A (ja)

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