JP2011137233A - アルミニウム合金棒の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】変形時に伸びが追いつき、割れが入ることなく、圧延機負荷が小さく、高特性の細径棒を生産性よく製造できるアルミニウム合金棒材の製造方法を提供する。
【解決手段】Siを8質量%〜12質量%、Cuを2質量%〜5質量%、Mgを0.2質量%〜1.0質量%含有し、Feを0.2質量%〜0.4質量%及び/又はMnを0.2質量%〜0.4質量%含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムである組成の合金を、冷却速度を1℃/sec〜15℃/secとして100mmφ以下の径で連続鋳造装置で鋳造したアルミニウム合金連続鋳造棒を切断装置で切断し、切断したアルミニウム合金連続鋳造棒を熱処理装置で均質化熱処理した後、表面の面削、400℃〜固相温度での加熱、5%〜30%の圧延率での圧延を連続ラインで行って20.0mmφ以下のアルミニウム合金棒材を製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷間、熱間鍛造用あるいは切削加工用のアルミニウム合金棒の製造方法など
に関する。
カーエアコン、エンジン等のピストン部品は、軽量化の傾向、及び耐摩耗性と強度とを
要するため、最近はアルミニウム合金の鍛造品が多くなり、主流となってきている。
鍛造に使用されるピストン用アルミニウム合金として古くから知られているものは、J
IS4032に代表されるAl−Si−Cu−Mg−Ni系合金であり、共晶組成(約1
1質量%)のSiをベースとして耐摩耗性を高め、強度向上のために数質量%のCuと1
質量%以下のMgとが添加されている。更に、必要に応じて耐熱強度を上げるため、Ni
、Mn、Fe等の遷移元素が少量添加されている。ピストン用アルミニウム合金は、一般
に棒材の切断材を使用して冷間あるいは熱間にて鍛造され、所定の形状に切削加工される
が、小さなものは、棒材をそのまま切削加工して所定の部品に仕上げる。
また、VTR、DATのドラムのようなテープの摺動部材にも同種の合金が使用されて
いるが、これらは、20mmφ前後のものが増えている。これらは、棒材をそのままT6
加工したものを切削加工し、使用している。
この材料となる棒材は、通常は、連続鋳造(DC鋳造)にて数100mmφのビレット
を製造し、均質化熱処理後、押出加工を行って所定の径寸法の棒材を得る、いわゆる押出
材があり、この製造方法では、ダイス形状であらゆる径の棒材が製造できる。
例えば、特開平5−287427号公報(特許文献1)にDC鋳造ビレットから押出材
を製造する開示がある。
しかし、押出用ビレットでは、鋳造中に素材を直接水冷する、いわゆるDC鋳造である
ため、その冷却速度が金型鋳物よりは速いが、基となる鋳造材の鋳造径が6インチ〜10
インチ程度と大きいため、特に、Siの多い本合金のようなものは、鋳造材自体の熱伝導
も悪いため、水冷による冷却速度の緩いその中心部にて初晶Siが数10μm程度の大き
さで晶出する。
これは、特にSiが11質量%を超え、12質量%に近づくと顕著になる。これを回避
するため、Na、Sr等を添加することにより、Siの共晶点を若干高めにずらすことが
できるが、その発生阻止は十分ではなく、粗大な初晶Siの発生が避けられない。また、
Srの添加は、中心部に引け巣を生じやすく、両方の意味で機械的特性を低下させる。
あるいは、最近では、100mmφ以下の連続鋳造棒を直接表面面削した、いわゆる連
続鋳造棒を切断したものが多く使用されてきた。
これらは、実用的には、面削機の仕様から、30mmφ〜80mmφ程度のもので、一
般に鋳造後、均質化熱処理し、表面をピーリング面削し、そのまま棒材として使用するた
め、押出工程を省略できるためにコスト的に優位である。更に、ビレットより径が細いた
め、細いものを直接水冷するので、鋳造速度を上げることができ、冷却速度が速くなるこ
とで、例えばα晶のデンドライトが微細化されてDASが小さくなり、機械的特性が向上
する。あるいは、晶出物となる初晶Si、共晶粒、金属間化合物等が微細化され、同様に
特性向上となるメリットがある。特に、鋳造径が50mmφ以下では、その細径により鋳
造速度を速くすることが可能となり、冷却速度の向上から初晶Siは、理論的な共晶組成
からSi組成がやや高くずれても、発生しにくくなる。
なお、鍛造方法としては、高温で鍛造する熱間鍛造と常温で鍛造する冷間鍛造とがあり
、また鍛造の仕方で、長手方向と直角に鍛造する横打ち鍛造、エンジンピストン等のカッ
プ状のものは、長手方向に鍛造する縦打ち鍛造と呼ばれる。
例えば、特開2001−259781号公報(特許文献2)に横打ち鍛造の開示があり
、特開平8−108243号公報(特許文献3)には縦打ち鍛造の開示がある。
一方、20mmφ以下の細径棒の製造方法として、更に特開2001−200326号
公報(特許文献4)に開示されているようなプロペルチ法がある。これは、ホイール状金
型溝に溶湯を流し、冷却したホイール状金型に接触させることにより凝固した材料を熱い
状態のまま直接圧延機に入れ、細径棒を製造する連続鋳造圧延方法である。
特開平5−287427号公報 特開2001−259781号公報 特開平8−108243号公報 特開2001−200326号公報
近年、COコンプレッサのような使用条件が高圧なために断面積を小さくした部品、あ
るいは、ギヤチェンジのシフトフォークのような細いものを曲げて横打ち鍛造を行うよう
な部品などに用いる、従来より細径でかつ、同等以上の耐摩耗性、強度を持つ棒材が要求
されている。細径とは、例えば、18mmφとか20mmφとかをいう。
また、DAT、DVD等の回転部品では、20mmφ以下の細径の切削加工用耐摩耗高
強度材が求められている。
この用途に対して、ビレットを鋳造した後にそれを押出工法によって押出すことにより
、押出材は製造可能であるが、径が細くなるにつれて押出圧力が高まるため、押出速度を
下げる必要があり、生産性が更に悪くなる。これを回避するため、押出ダイス面に数個の
孔を開け、一度に数本押出すことも可能であるが、通常押出先端と後端は、ストレッチャ
ー矯正のつかみ部分で傷がつくため、その部分を相当長さ分捨てる必要があり、製品歩留
まりが悪化する。従ってかなり生産性が悪いものとなる。
更に、押出材特有の欠点として、特に加工度を下げると、押出材表面付近に数mm程度
の粗大なマクロ再結晶粒が発生することが多く、これが後工程での鍛造時の変形時に割れ
等を発生させ、鍛造性を阻害する要因となる。また、溶体化処理後の材料に粗大再結晶が
現れ、素材の機械的特性劣化の原因となる。
この用途に対して、連続鋳造棒(以下において、「連鋳材」とも言う。)については、
細径になるほど鋳造速度を上げられるので、生産性は落ちないが、細径の棒を鋳造するに
は水平鋳造技術を高度に完成する必要があり、特に鋳造スタート時の運転管理が難しい等
の面からの困難さがあり、現状では、20mmφ以下のものは、安定的に生産されていな
い。また、あまり鋳造径が小さくなると、表面の面削量は鋳造径に比例して小さくは出来
ないため、面削後の棒の歩留まりが悪くなる問題が出てくる。また、前述の曲げ加工後、
横打ち鍛造に用いた場合、押出材のような長手方向の加工組織を有していないために、直
角方向の曲げに対して押出材より弱い機械的特性を有するという弱点がある。
この用途に対して、20mmφ以下の細径棒の製造方法として、プロペルチ法がある。
この方法では、10mmφ以下の線材まで製造可能であるが、鋳造方式が冷却の点から
金型鋳物と類似なものである。通常の連続鋳造での鋳造出口で鋳塊を直接水冷するものと
比較して、プロペルチ法は、金型を水冷するだけであるために冷却速度の非常に遅いもの
となり、出来上がった棒の鋳造組織が荒く、最終棒材の強度が押出材、連鋳材と比較して
落ちる。また、純アルミニウムのような凝固温度範囲の狭いものには、この製造方法は適
当であるが、Si、Cu、Mgが高濃度で、凝固する際の温度範囲の広い合金の鋳造では
、最終凝固部に巣が発生し、圧延割れや、内部欠陥として残ってしまい、これを解消する
ことは困難であり、圧延後の棒材の信頼性がない。また、冷却速度が連鋳材より遅いため
、初晶SiやAl−Cu系、Al−Mn−Fe−Si系の化合物が粗大に晶出しやすい。
初晶Si晶出回避のためにNa、Sr等の添加物を入れることも試みられているが、ひけ
巣を増加させるため、結果的に特性低下を招く。
更に、現在使用されているプロペルチ法の鋳造鋳型の断面が円形でなく、四角あるいは
五角形であり、そのために鋳造棒はそのような断面形状を有しており、その状態から圧延
しているために最終棒を切断して縦打ちの据えこみ鍛造(側面を拘束しない自由鍛造。)
を行うと、完全な円形にならないことがあり、成形寸法精度が求められる鍛造材にむいて
いない。
本発明は、以下のような発明である。
Siを8質量%〜12質量%、Cuを2質量%〜5質量%、Mgを0.2質量%〜1.
0質量%含有し、Feを0.2質量%〜0.4質量%及び/又はMnを0.2質量%〜0
.4質量%含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムである組成の合金を、冷却速度
を1℃/sec〜15℃/secとして100mmφ以下の径で水平連続鋳造し、470
℃〜495℃、1時間〜5時間の条件による均質化熱処理と、表面面削処理とを施し、4
00℃〜(固相温度−5℃)又は400℃〜490℃で1時間以上保持して圧延前の加熱
処理を施し、圧下率を75%以上として、圧延率5%〜30%で複数回圧延して20.0
mmφ以下のアルミニウム合金棒を製造することを特徴とするアルミニウム合金棒の製造
方法である。
なお、Feは0.2質量%〜0.4質量%、及び/又はMnは0.2質量%〜0.4質
量%含有している。
断面マクロ組織のマクロ結晶粒が全面に渡って最大粒径で1mm未満の粒状晶である。
圧延入口での元材の温度が400℃〜固相温度、圧下率75%以上の圧延加工が施して
いる。
100mmφ以下の連続鋳造棒に、少なくとも、均質化熱処理と表面面削処理とを施し
た後に圧延している。
100mmφ以下の連続鋳造棒に、少なくとも、均質化熱処理し、表面面削処理し、予
備加熱処理した後に圧延している。
引抜加工し、切断し、焼鈍処理した鍛造用アルミニウム合金ブランク材としてもよい。
センターレス研磨し、切断し、焼鈍処理した鍛造用アルミニウム合金ブランク材として
もよい。
連続鋳造棒を圧延率5%〜30%で複数回繰り返して圧延する。
圧下率を75%以上とする。
連続鋳造棒を鋳造後、400℃〜(固相温度−5℃)で1時間以上保持した熱処理後、
圧延する。
100mmφ以下の連続鋳造棒を使用する、といった特徴を備えることができる。
上記鍛造用アルミニウム合金棒材については、連続鋳造棒を均質化熱処理後、表面面削
又は表面研磨、加熱、圧延、切断、引抜を連続ラインで行う。
連続鋳造棒を均質化熱処理後、表面面削又は表面研磨、加熱、圧延、切断、センターレ
ス研磨を連続ラインで行う。
連続鋳造棒を圧延率5%〜30%で複数回繰り返して圧延する。
圧下率を75%以上とする。
連続鋳造棒を鋳造後、400℃〜(固相温度−5℃)で1時間以上保持した熱処理後、
圧延する。
切断し、焼鈍処理する。
連続鋳造棒を均質化熱処理後、表面面削又は表面研磨、加熱、圧延、切断、引抜を一貫
連続ラインで行う。
連続鋳造棒を均質化熱処理後、表面面削又は表面研磨、加熱、圧延、切断、センターレ
ス研磨を一貫連続ラインで行う、といった特徴を備えることができる。
上記製造ラインについては、連続鋳造棒を圧延率5%〜30%で複数回繰り返して圧延
する。
圧下率を75%以上とする。
連続鋳造棒を鋳造後、400℃〜(固相温度−5℃)で1時間以上保持した熱処理後、
圧延する、といった特徴を備えることができる。
なお、本発明における溶体化処理とは、(a)連続鋳造後に圧延したものにそのまま施
す溶体化処理、(b)連続鋳造後に圧延したものを切削加工する前に施す溶体化処理、(
c)連続鋳造後に圧延した後に熱間鍛造したものに施す溶体化処理、(d)連続鋳造後に
圧延しさらに引抜き加工し○材処理をした後に冷間鍛造したものに施す溶体化処理におけ
る溶体化処理を意味する。
溶体化条件は、470℃〜495℃に1時間〜5時間保持後に、15℃〜60℃の水で
急冷し、その後、170℃で8時間の熱処理を行うものである。
○材処理の条件は、350℃〜390℃に2時間〜4時間保持後に、10℃/hr以下
程度の速度で徐冷するものである。
本発明のSiを8質量%〜12質量%、Cuを2質量%〜5質量%、Mgを0.2質量
%〜1.0質量%含有し、Feを0.2質量%〜0.4質量%及び/又はMnを0.2質
量%〜0.4質量%含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムである組成の合金を、
冷却速度を1℃/sec〜15℃/secとして100mmφ以下の径で水平連続鋳造し
、470℃〜495℃、1時間〜5時間の条件による均質化熱処理と、表面面削処理とを
施し、400℃〜(固相温度−5℃)又は400℃〜490℃で1時間以上保持して圧延
前の加熱処理を施し、圧下率を75%以上として、圧延率5%〜30%で複数回圧延して
20.0mmφ以下のアルミニウム合金棒を製造するアルミニウム合金棒の製造方法から
得られる20.0mmφ以下のアルミニウム合金棒は、初晶Siによる引張強度の低下が
避けられ、微細マクロ組織により、引張強度特性が向上する。
そして、Feを0.2質量%〜0.4質量%、及び/又はMnを0.2質量%〜0.4
質量%含有しているので、固溶強化、再結晶抑制が図れる。
さらに、断面マクロ組織のマクロ結晶粒が全面に渡って最大粒径で1mm未満の粒状晶
であるので、粗大な再結晶粒を含まず、棒材の機械的特性が向上する。
そして、圧延入口での元材の温度が400℃〜(固相温度−5℃)又は400℃〜49
0℃であるので、変形時に伸びが追いつき、割れが入ることがなく、圧延機負荷が小さく
なり、また、圧下率が75%以上であるので、圧延後の棒材の再結晶組織が微細な粒状と
なり、引張特性、特に0.2%耐力が向上する。
さらに、冷却速度を1℃/sec〜15℃/secとして冷却した100mmφ以下の
連続鋳造棒に、少なくとも、470℃〜495℃、1時間〜5時間の条件とした均質化熱
処理と表面面削処理とを施した後に圧延したので、圧延元材の冷却速度を速くでき、粗大
な初晶Siの晶出が抑制され、機械的特性が向上する。
また、冷却速度を1℃/sec〜15℃/secとして冷却した100mmφ以下の連
続鋳造棒に、少なくとも、470℃〜495℃、1時間〜5時間の条件で均質化熱処理し
、表面面削処理し、予備加熱処理した後に圧延したので、圧延元材の冷却速度を速くでき
、粗大な初晶Siの晶出が抑制され、機械的特性が向上する。
本発明のアルミニウム合金棒の製造方法から得られる鍛造用アルミニウム合金ブランク
材は、上記したアルミニウム合金棒を、引抜加工し、切断し、焼鈍処理すれば、焼鈍後の
硬度が低く、変形能の良く、径精度の良い鍛造用アルミニウム合金ブランク材となり、冷
間鍛造加工性が良好になる。
そして、引抜加工に代えてセンターレス研磨を施せば、断面形状の精度と表面の平滑度
とが良好な鍛造用アルミニウム合金ブランク材となり、鍛造加工性が良好になる。
本発明のアルミニウム合金棒の製造方法によれば、連続鋳造棒を圧延率5%〜30%で
複数回繰り返して圧延するので、従来の大径ビレットより組織的に微細で特性を阻害する
粗大な初晶Siのような晶出物の無い材料を容易に製造でき、更に、連続熱間加工を複数
繰り返すことにより、急激な圧下率を避けて加工を容易にするとともに、熱間加工組織に
より強度の高いアルミニウム合金棒を容易に製造できる。
そして、圧下率を75%以上としたので、圧延後の棒材の再結晶組織が微細な粒状とな
り、引張特性、特に0.2%耐力が向上する。
さらに、連続鋳造棒を鋳造後、400℃〜(固相温度−5℃)又は400℃〜490℃
で1時間以上保持して熱処理後、圧延するので、変形時に伸びが追いつき、割れが入るこ
とがなく、圧延機負荷が小さくなる。
そして、冷却速度を1℃/sec〜15℃/secとして冷却した100mmφ以下の
連続鋳造棒を使用するので、冷却速度を速くでき、粗大な初晶Siの晶出が抑制され、機
械的特性が向上する。
本発明のアルミニウム合金棒材の製造方法は、連続鋳造棒を均質化熱処理後、表面面削
又は表面研磨、加熱、圧延、切断、引抜を連続ラインで行ってもよく、高特性の細径棒が
生産性よく製造できる。
また、連続鋳造棒を均質化熱処理後、表面面削又は表面研磨、加熱、圧延、切断、セン
ターレス研磨を連続ラインで行ってもよく、断面形状の精度と表面の平滑度とが良好な鍛
造用アルミニウム合金棒材となり、鍛造加工性が良好になる。
そして、連続鋳造棒を圧延率5%〜30%で複数回繰り返して圧延するので、従来の大
径ビレットより組織的に微細で特性を阻害する粗大な初晶Siのような晶出物の無い材料
を容易に製造でき、更に、連続熱間加工を複数繰り返すことにより、急激な圧下率を避け
て加工を容易にするとともに、熱間加工組織により強度の高いアルミニウム合金棒を容易
に製造できる。
また、圧下率を75%以上としたので、圧延後の棒材の再結晶組織が微細な粒状となり
、圧延組織と混在化し、引張特性、特に0.2%耐力が向上する。
また、連続鋳造棒を鋳造後、400℃〜(固相温度−5℃)又は400℃〜490℃で
1時間以上保持した熱処理後、圧延するので、変形時に伸びが追いつき、割れが入ること
がなく、圧延機負荷が小さくなる。
また、本発明のアルミニウム合金棒の製造方法から得られる鍛造用アルミニウム合金棒
材を切断し、焼鈍処理すれば、焼鈍後の硬度が低く、変形能の良い鍛造用アルミニウム合
金ブランク材となり、冷間鍛造加工性が良好になる。
このほか、本発明のアルミニウム合金棒の製造方法による製造ラインによれば、連続鋳
造棒を均質化熱処理後、表面面削又は表面研磨、加熱、圧延、切断、引抜を一貫連続ライ
ンで行ってもよく、高特性の細径棒が生産性よく製造できる。
また、連続鋳造棒を均質化熱処理後、表面面削又は表面研磨、加熱、圧延、切断、セン
ターレス研磨を一貫連続ラインで行ってもよく、断面形状の精度と表面の平滑度とが良好
な鍛造用アルミニウム合金棒材となり、鍛造加工性が良好になる。
そして、連続鋳造棒を圧延率5%〜30%で複数回繰り返して圧延するので、従来の大
径ビレットより組織的に微細で特性を阻害する粗大な初晶Siのような晶出物の無い材料
を容易に製造でき、更に、連続熱間加工を複数繰り返すことにより、急激な圧下率を避け
て加工を容易にするとともに、熱間加工組織により強度の高いアルミニウム合金棒を容易
に製造できる。
また、圧下率を75%以上としたので、圧延後の棒材の再結晶組織が微細な粒状となり
、引張特性、特に0.2%耐力が向上する。
また、連続鋳造棒を鋳造後、400℃〜(固相温度−5℃)又は400℃〜490℃で
1時間以上保持した熱処理後、圧延するので、変形時に伸びが追いつき、割れが入ること
がなく、圧延機負荷が小さくなる。
なお、本発明のアルミニウム合金棒の製造方法から得られる冷間鍛造品は、Siが8質
量%〜12質量%、Cuが2質量%〜5質量%、Mgが0.2質量%〜1.0質量%の組
成で、実質的に初晶Siが存在せず、鍛造成形後の溶体化処理後におけるマクロ組織が微
細粒状晶であるので、初晶Siによる引張強度の低下が避けられ、微細マクロ組織により
、引張強度特性が向上する。
本発明における冷間鍛造用ブランク材の製造工程の一例を示す説明図である。 本発明における熱間鍛造用素材の製造工程の一例を示す説明図である。 本発明のアルミニウム合金棒製造設備の一例を示す工程図である。 水平式連続鋳造装置の一例を示す説明図である。 同調切断装置の一例を示す説明図である。 外周除去装置の一例を示す説明図である。 矯正装置の一例を示す説明図である。 圧延装置の一例を示す説明図である。 表層部が切除された圧延材を多段階で圧延して断面円形の連続圧延材を製作する圧延例を示す説明図である。 センターレス研磨装置の一例を示す説明図である。 本発明で用いる圧延後の切断装置の一例を示す説明図である。 圧延装置に用いる圧延スタンドの他の例を示す説明図である。 図12に示した圧延スタンドを構成する圧延ローラの説明図である。 圧延装置で圧延した異形材の一例を示す説明図である。 非連続断面への成形を行う前に、縮径するとともに連続断面に圧延しておく一例を示す説明図である。 圧延装置を構成する圧延スタンドのさらに他の例を示す説明図である。 図16に示した圧延スタンドを構成する圧延ローラの説明図である。 圧延装置で圧延した異形材の他の例を示す説明図である。
本発明のアルミニウム合金材料は、摺動部材に使用されるため、耐摩耗性が必要である

そのための添加元素としてSiを8質量%〜12質量%添加する。Siは、鋳造時に共
晶Siとなり、α晶間に数μmの大きさで分散する。この共晶Siが耐摩耗性を高める。
Siの量が、8質量%未満では、その効果が低下し、12質量%を超えると、今度は初晶
としての粗大なSiが晶出し始める。例えば粒径100μm程度のものが点在すると、圧
延後も残って強度低下を招いたり、切削性を阻害する。初晶は、実質的に存在しないこと
が好ましい。この実質的とは、断面をランダムにミクロ検査したとき、95%以上の確率
で見つからないことである。
Cuは、鍛造後の溶体化処理により、析出硬化による強度を向上させるとともに、合金
マトリックスを強化する。Cuの量が、2質量%未満では、その効果が少なく、増加する
に従って効果は大きくなるが、5質量%を超えると、その効果は、それ以上に上がらず、
鍛造時の割れ等製造時の問題が出てくる。
Mgは、同様に溶体化により、析出時効硬化による機械的特性向上に寄与するが、0.
2質量%未満では、効果が乏しく、1質量%を超えると、鋳造時の酸化物が増し、機械的
特性が低下し、鍛造時の割れが発生しやすくなる。
FeとMnは、固溶強化、再結晶抑制として使用される。主として鋳造条件、例えば鋳
造径が太くなり、凝固速度が遅い場合、Si共晶よりも粗大な金属間化合物を晶出する可
能性があり、機械的特性を阻害低下させる要因となる。FeとMnは、0.2質量%未満
では、固溶強化、再結晶抑制としての効果はうすく、0.4質量%を越えると、焼鈍時の
硬度が高くなったり、晶出する金属間化合物が冷間鍛造時の変形を阻害するので、いずれ
も必要に応じて最大0.4質量%までに抑えるのが好ましい。
圧延の元材として、上記組成の100mmφ以下(好ましくは40mmφ〜100mm
φ、さらに好ましくは45mmφ〜80mmφ。)の連続鋳造品を使用し、圧延すること
が好ましい。連続鋳造は、通常100mmφを超えると、縦型の鋳造のものが多いが、1
00mmφ以下では、縦型あるいは横型(水平)にて鋳造されている。いずれも鋳造時に
直接鋳造物を水冷しながら鋳造するため、冷却速度は、金型鋳物、プロペルチ式等より速
く(大きく)なる。冷却速度は、例えば1℃/sec以上(より好ましくは4℃/sec
〜15℃/sec。)であるのが好ましい。また、押出材の鋳造のように太い径のビレッ
トを鋳造するものでないので、機械的特性を阻害するような粗大な晶出物が出来にくい。
また、材料として100mmφを超えると、鋳造速度を上げられず、冷却速度が遅くなり
、鋳造組織が荒くなる。これに伴い、DAS(2次デンドライトアームスペース)が大き
くなり、圧延加工後の機械的特性が低下する。DASは、平均15μm以下が好ましい。
なお、DASの大きさは、例えば軽金属学会発行の『軽金属(1998年)、vol.
38、No.1、p.45』に記載の『デンドライトアームスペーシングの測定方法』に
従って測定できる。
あるいは、Siが12質量%近傍まで高くなると、初晶Siが晶出し易く、圧延加工後
も初晶Siが残り、機械的特性を低下させたり、切断、切削加工時の鋸刃・工具寿命を著
しく低下させる。従って鋳造径は、細いものほど鋳造速度を上げられ、高濃度組成でも初
晶Siの晶出がないので、細いものほど良いが、50mmφ以下での鋳造が好ましい。
また、Fe、Mn等を添加した場合は、それらが多くなる(例えば0.4質量%を超え
る。)と、初晶Siと同様な傾向のFe、Mn等を含む晶出物を粗大化し、晶出させるこ
とがある。従って、圧延前の連鋳材は、冷却速度を上げてDASを細かくし、その晶出間
隙を小さくする意味で100mmφ以下での鋳造が好ましい。最適なのは、50mmφ以
下で、細いほど内部鋳造組織が細かく、DASも細かくなり、最終的にT6後の引張機械
的特性が向上する。更に、圧延回数を少なく出来るため、製造時に圧延時の負荷荷重をさ
げることが出来、機械能力を小さいもので可能とする。
共晶Siの平均粒径は、平均3μm以下が機械的特性を向上させるために好ましい。そ
のためにも、50mmφ以下での連鋳材が好ましい。
なお、圧延前の連鋳材は、均質化熱処理を行っておくほうが、高温での変形能が上がる
ために好ましい。均質化熱処理は、固相線より10℃〜20℃程度低い温度にて数時間(
例えば合金組成に応じて470℃〜495℃、1時間〜5時間。)保持し、以降空冷する
ことで行われる。
均質化熱処理が出来ない場合は、圧延前の加熱(例えば合金組成に応じて400℃〜4
90℃。)を1時間以上かけることにより、均質化熱処理の代用とすることが出来る。
圧延前の連鋳材は、表面面削したものが良い。面削をしない場合は、ごく表面の偏析等
で圧延時に表面割れが入る可能性がある。面削は、通常1m程度までの長さのものは、旋
盤加工でも良いが、ピーリング加工機により更に長物の面削が精度良く、自動的に高速で
行えるので、ピーリング加工機で行うのが好ましい。ピーリング加工機を使用する場合は
、連続して欠陥検査のための渦流探傷、超音波探傷等の検査を自動的に行えるので、好都
合である。表面鋳肌が比較的良好な場合は、面削の代わりに、センターレス研磨のような
研磨にて表面の偏析層を取り除いてもよい。
表面面削により断面形状を円形状に整えることも出来る。断面形状が円形状であるもの
は後工程の加工において好ましい。
なお、連鋳材を均質化熱処理する場合は、ピーリング前の工程にて行うほうが、ピーリ
ング加工負荷抵抗を下げ、表面面削肌を良くするので好ましい。
次に、上記のようにして得られた連鋳材は圧延の元材として、圧延処理工程に投入され
る。
圧下率は断面積の比で表現し、具体的には、
Figure 2011137233
として計算する。
圧下率が75%以上では、圧延後の棒材の断面再結晶組織が微細な粒状(例えば平均粒
径50μm〜500μm。より好ましくは50μm〜100μm。)となり、1mm以上
の粗大な粒や、柱状品等が見られない。この結果、T6後の組織も粗大化がなく、引張特
性、特に0.2%耐力が向上する。
圧延機は、連続して圧延する多段式圧延機が使用される。例えば、2方向、あるいは3
方向から対峙させたローラ間を通すもので、前段と次段は、2方向の場合は互いに90度
回転した方向、3方向の場合は60度回転した方向となるように配置した組み合わせをと
る。この場合、前述のプロペルチ式の圧延機を本発明の目的に合うように応用して利用す
ることも可能である。
圧延は、前段側の材料を高温にして加工するほうが圧延機の負荷が小さくなるので好ま
しい。本合金では、圧延入口では元材の固相温度以下で行うが、固相温度から5℃以上低
いことが好ましい。あまり温度が高すぎると、変形時に伸びが追いつかず、粒界割れが入
ることがあるためである。逆に温度が低すぎると、圧延機負荷が大きくなり、極端な場合
、圧延できなくなる場合がある。本合金では、圧延入口での元材の温度は400℃以上が
好ましい。複数段で圧延する場合、材料の体積と圧延油の量との兼ね合いで見ると、半分
から前の段は圧延油を絞り気味にし、比較的温度低下が少なくなるようにして、後段にい
くほど多量の圧延油をかけるのが好ましい。出口温度は100℃〜300℃が好ましい。
圧延前の加熱は、バッチ式の炉で行い、1本ずつ高温の棒を取り出して行うか、あるい
は誘導加熱方式の炉を前段に置いて加熱・圧延を連続して行うことが効率的な生産を可能
とする。
圧延機の1段あたりの圧延率は、5%〜30%である。ここで、圧延率とは、各段での
処理前後での断面積比のことである。
また、圧延ローラとの焼きつきを防止するために圧延油(クーラントオイル)がローラ
面に流される。従って圧延終了時は、径によって100℃〜300℃になる。出口温度は
、あまり高くなると、材料にハンドリング傷がつくため、あまり高くないほうが好ましい
。出口温度は、好ましくは200℃以下である。従って必要な場合は、材料が圧延機から
出たところで冷却をする必要がある。
このようにして得られた圧延材は、圧延組織と再結晶組織とが混在しており、完全な再
結晶のみでない高圧延組織が残るため、後工程での焼鈍熱処理を施した際に適当な範囲へ
の硬度低下が得られ、また、結晶粒も1mm未満のものであり、その結果、冷間条件での
加工性が向上し、冷間加工材(例えば、鍛造用素材、引抜用素材、塑性加工用素材、切削
加工用素材。)として好ましい。
単なる連鋳材をそのまま用いた従来の場合では、圧延加工が加わっていないため、焼鈍
後の硬度は、はるかに高いのに対して、本発明の棒材は、焼鈍後の硬度が小さいものとな
る。
また、従来の押出材では、押出加工が高温での加工であるため、加工度の低い部分で粗
大な再結晶組織が生じやすく、さらに、溶体化処理後の材料に粗大再結晶が現れ、素材の
機械的特性劣化の原因となるのに対して、本発明の棒材は、粗大な再結晶組織が生じにく
く、また、溶体化処理後の材料に粗大再結晶が現れにくいものとなる。
また、従来のプロペルチ法による棒材は、鋳造組織が荒く、最終棒材の強度が押出材、
連鋳材と比較して落ちるが、本発明の棒材は、鋳造組織が細かく、最終棒材の強度が低下
しない。また、プロペルチ法による棒材は、Si、Cu、Mgが高濃度で、凝固する際の
温度範囲の広い合金の場合、最終凝固部に巣が発生し、圧延割れや、内部欠陥として残っ
てしまうが、本発明の棒材は、Si、Cu、Mgが高濃度で、凝固する際の温度範囲の広
い合金であっても、凝固巣が発生することがないので、圧延割れや内部欠陥として残るこ
ともない。また、プロペルチ法による棒材は、最終棒を切断して縦打ちの据えこみ鍛造(
側面を拘束しない自由鍛造。)を行うと、完全な円形にならないことがあるが、本発明の
棒材は、断面が丸状形状の連続鋳造棒を、あるいは表面面削により断面が丸状形状の元材
を圧延しているので、最終棒を切断して縦打ちの据えこみ鍛造を行った場合に好ましい円
形とすることができ、成形寸法の精度が求められる鍛造材として好適である。
本発明の圧延材は、圧延機から出た直後、切断して必要な長さにすることもできる。こ
の場合、太物で出口速度が遅い場合は、定尺切断機を使用してもよいが、細物で出口速度
が速い場合は、シヤー切断あるいは、回転切断機を用いて連続で定尺長さに切断してもよ
い。細物であれば、コイル状に巻き取ることも可能である。これは、径と温度とが巻き取
れる条件に影響するので、切断かコイルかは、圧延出口条件と鍛造機械の使用条件あるい
は切削加工機械により決めることが好ましい。
また、圧延後に欠陥検査のための渦流探傷機のような検査装置をつけることも可能で、
一般的には、サーチコイルを貫通させるタイプのものが多い。この場合、圧延出口温度が
あまり高いと、サーチコイルが損傷するので、圧延出口温度は200℃以下が好ましい。
熱間鍛造用素材としては、圧延終了後20mmφ以下の細物では、横打ち鍛造(例えば
バリだし鍛造。)に用いることが多いので、その場合は径公差を0.数mm程度(例えば
0.2mm〜0.3mm。)にでき、これを圧延のまま必要長さに切断してそのまま使用
できる。この場合、断面の真円度は、あまり問題とならず、定尺切断品の単位あたりの重
量をそろえるため、圧延断面が一定断面であればよい。
冷間鍛造用素材として使用する場合、通常は材料をスライスしたものを型に入れ縦打ち
鍛造(例えば密閉鍛造。)を行うので、素材と成形済品との体積関係を管理する必要があ
るために、素材の寸法(径)精度が厳しい。従って、圧延ローラのみの径精度で必要な精
度を得ることが無理な場合、後工程に引抜をする必要がある。引抜にて±0.1mm以下
程度の径精度が出せる。また、この引抜工程の代わりに、センターレス研磨を使用するこ
とも可能である。これは、回転する砥石の間を通すことにより、表面研磨を行うもので、
引抜と同等の精度と表面の平滑度とが得られる。また、引抜の場合は、先端を引くための
先付け部分を捨てる必要があるが、センターレス研磨は、この必要がないので、好ましい
冷間鍛造を行う場合、なるべく素材の硬度を下げるほうが変形能がよくなる。このため
、スライスしたブランク材を、焼鈍のための熱処理を行うことが好ましい。通常、本合金
では、350℃〜390℃程度の温度で数時間(例えば2時間〜4時間。)保持し、炉冷
(10℃/hr以下程度が好ましい。)を行うことで硬度の低下が得られる。特に、本発
明のように圧延後の材料を焼鈍することにより、焼鈍時の析出が促進され、連続鋳造材の
面削材を圧延せずにそのまま焼鈍するよりも低硬度の変形能の良い材料が得られる。
上記は、丸棒素材を中心に説明してきたが、圧延段階においてローラ形状を変えること
により、異型断面の長尺棒も製造可能となる。
冷間鍛造用ブランク材の製造工程の一例を図1に示す。
また、熱間鍛造用素材の製造工程の一例を図2に示す。
図2において、加熱工程は、連続均熱炉を使用すれば、加熱と均質化とを兼ね、炉の冷
却工程を入れずに圧延温度まで下げた時点で素材を取り出し、そのまま圧延することも可
能である。
以下、この発明の装置、工程について説明する。
<<装置、工程の説明>>
<一貫ライン:溶解保持炉→溶湯処理装置→連続鋳造装置→同調切断装置→熱処理装置(
ホモ)→ピーリング装置→矯正装置→非破壊検査装置→予備加熱装置→圧延装置→定尺切
断装置>
図3は本発明のアルミニウム合金棒製造設備の一例を示す工程図である。
図3において、溶解保持炉(溶解工程)は、アルミニウム合金用の原材料を溶解し、ア
ルミニウム合金溶湯を得るためのものである。
溶湯処理装置(溶湯処理工程)は、溶解保持炉からのアルミニウム合金溶湯中のアルミ
ニウム酸化物および水素ガスをインラインで除去するためのものである。
連続鋳造装置(連続鋳造工程)は、溶湯処理装置から供給されるアルミニウム合金溶湯
から、後述するように、アルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造するもので、本例では、水平
式の連続鋳造装置である。
同調切断装置(切断工程)は、連続鋳造装置で鋳造したアルミニウム合金連続鋳造棒を
、後述するように、定尺に切断するものである。
熱処理装置(熱処理工程)は、同調切断装置で切断した定尺のアルミニウム合金連続鋳
造棒を均質化熱処理するものである。
ピーリング装置〔外周除去装置(外周除去工程)〕は、熱処理装置で熱処理したアルミ
ニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するものである。
矯正装置〔曲がり矯正装置(矯正工程)〕は、熱処理装置で熱処理したアルミニウム合
金連続鋳造棒の内部を次の非破壊検査装置で検査する場合、アルミニウム合金連続鋳造棒
の内部を精度よく検査できるようにするためにアルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを矯
正するものである。
非破壊検査装置(非破壊検査工程)は、矯正装置で曲がりを矯正したアルミニウム合金
連続鋳造棒の内部に、欠陥があるかないかを検査するものである。
予備加熱装置は、圧延装置に投入する棒材を予熱処理するものである。
圧延装置は、予備加熱した棒材を圧延により連続圧延材に形成するものである。
定尺切断装置は、圧延装置により形成された連続圧延材を切断により定尺圧延材を製造
するものである。
アルミニウム合金棒の製品仕様によっては、矯正装置、非破壊検査装置を省略すること
が出来る。
また、溶解保持炉→溶湯処理装置→連続鋳造装置→同調切断装置→ピーリング装置→熱
処理装置(ホモ、均質化処理を兼ねる。)→圧延装置→定尺切断装置の順とすることもで
きる。
そして、図3のうち、溶解保持炉、連続鋳造装置、熱処理装置(ホモ)、ピーリング装
置、圧延装置、定尺切断装置をミニマムシステムとして配設することにより、連続鋳造装
置における鋳造材の連続鋳造、熱処理装置(ホモ)による熱処理、ピーリング装置におけ
る鋳造材の表層部切除、圧延装置における棒材の圧延による連続圧延材の形成、定尺切断
装置における連続圧延材の切断による定尺圧延材の製造が連続して行える。
<連続鋳造装置>
図4は水平式連続鋳造装置の一例を示す説明図である。
図4において、202はアルミニウム合金溶湯1を溜めるタンディッシュを示し、側壁
に開口203が設けられている。
204は耐火性板状体を示し、タンディッシュ202の外側に開口203を囲むように
取り付けられ、開口203に連通する注湯孔205が設けられている。
302は水平式連続鋳造装置301を構成する筒状の鋳型を示し、中心軸がほぼ水平と
なるように耐火性板状体204に取り付けられ、鋳型302とアルミニウム合金溶湯1と
の間の円周上へ、耐火性板状体204と鋳型302との間から気体を供給する気体供給路
303と、鋳型302とアルミニウム合金連続鋳造棒2との間の円周上へ潤滑油を供給す
る潤滑油供給路304と、出口でアルミニウム合金連続鋳造棒2の周囲へ冷却水を供給す
る冷却水供給路305とが設けられている。
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒2の鋳造について説明する。
図示を省略した溶湯処理装置からタンディッシュ202内へ供給されたアルミニウム合
金溶湯1は、耐火性板状体204の注湯孔205から、中心軸がほぼ水平となるように保
持された鋳型302内へ供給され、鋳型302の出口で強制冷却されてアルミニウム合金
連続鋳造棒2となる。
ここで、タンディッシュ202内に貯留するアルミニウム合金溶湯1の組成について説
明する。
アルミニウム合金溶湯は、特に、Siを8質量%〜12質量%(好ましくは9質量%〜
11質量%。)含有するものは、アルミニウム合金連続鋳造棒2中のアルミニウムとケイ
素とが微細な共晶と称する層状構造を構成するため、機械的特性に優れ、かつ、硬質なケ
イ素により耐摩耗性が向上するために好ましい。
アルミニウム合金連続鋳造棒の合金成分の組成比は、例えば、JIS H 1305に
記載されているような光電測光式発光分光分析装置により確認できる。
水平連続鋳造装置について説明したが、冷却速度を大きくすることができ、棒形状の鋳
造ができる装置であれば、他に縦型連続鋳造装置、DC連続鋳造装置、ホットトップ鋳造
装置、気体加圧式ホットトップ鋳造装置、電磁鋳造装置などを用いることができる。
<同調切断装置>
図5(a),(b)は同調切断装置の一例を示す説明図であり、図5(a)は側面図、
図5(b)は平面図に相当する。
図5において、306はガイドローラを示し、鋳型302の出口付近に設けられ、アル
ミニウム合金連続鋳造棒2の列を支持して誘導するものである。
307はピンチローラを示し、ガイドローラ306に隣接させて下流(アルミニウム合
金連続鋳造棒2の移動する方向、以下、同じ。)に設けられ、上下のローラでアルミニウ
ム合金連続鋳造棒2の列を挟持し、図示を省略した駆動機構によって鋳型302の鋳造速
度と同一速度でアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を引き出して移送するものである。
402は同調クランプ機構を示し、ピンチローラ307に隣接させて下流に設けられ、
アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を油圧機構によって押圧把持したり、解放するもので
ある。
403は駆動機構を示し、同調クランプ機構402の下側に設けられ、同調クランプ機
構402をアルミニウム合金連続鋳造棒2の列に沿って上流(アルミニウム合金連続鋳造
棒2の移動する方向と逆方向、以下、同じ。)へ駆動したり、同調クランプ機構402の
動きを自由にするものである。
404は支持ローラを示し、同調クランプ機構402の移動に支障をきたさない下流に
設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を支持するものである。
405は移動架台を示し、支持ローラ404の下流に設けられ、アルミニウム合金連続
鋳造棒2の列に沿って往復動するものである。
406A,406Bは軌条を示し、移動架台405に、アルミニウム合金連続鋳造棒2
の列に直交させて所定間隔で設けられている。
407A,407Bはモータを示し、モータ407Aは軌条406Aに対応させてアル
ミニウム合金連続鋳造棒2の列の幅方向の外側の移動架台405に設けられ、モータ40
7Bは軌条406Bに対応させてアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の幅方向の外側の移
動架台405に設けられている。
408A,408Bは切断機を示し、モータ407A,407Bによって駆動され、ア
ルミニウム合金連続鋳造棒2の列の半分ずつを切断するものである。
409は移動架台クランプ機構を示し、移動架台405に設けられ、アルミニウム合金
連続鋳造棒2の列を油圧機構によって押圧把持したり、解放するものである。
410は駆動機構を示し、移動架台405の下側に設けられ、移動架台405をアルミ
ニウム合金連続鋳造棒2の列に沿って上流へ駆動したり、移動架台クランプ機構409の
動きを自由にするものである。
411は長さ検出器を示し、移動架台405の下流側に取り付けられ、切断するアルミ
ニウム合金連続鋳造棒2の長さを検出するものである。
なお、水平式連続鋳造装置301は、鋳型302〜ピンチローラ307で構成されてい
る。
また、同調切断装置401は、同調クランプ機構402〜長さ検出器411で構成され
ている。
次に、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の切断について説明する。
まず、鋳型302から出るアルミニウム合金連続鋳造棒2の列は、ガイドローラ306
で支持されて誘導された後、ピンチローラ307によって平列に挟持され、図示を省略し
た駆動機構の駆動力によって鋳造速度で移送される。
そして、移送されるアルミニウム合金連続鋳造棒2の列は、同調クランプ機構402で
押圧挟持される。このとき、駆動機構403は同調クランプ機構402の移動を自由にし
ているので、同調クランプ機構402は、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の移送に伴
って移動する。
この間、移動架台405は駆動機構410によって上流側、すなわち、ピンチローラ3
07の方向へ移動させられ、所定の位置に達して停止し、駆動装置410が移動架台40
5に対して移動自由な待機状態となる。
そして、移送されているアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の先端が長さ検出器411
に当接すると同時に、移動架台クランプ機構409がアルミニウム合金連続鋳造棒2の列
を把持し、切断機408A,408Bが作動するが、移動架台405はアルミニウム合金
連続鋳造棒2の列とともに移動するので、アルミニウム合金連続鋳造棒2は移送方向に対
して直角に切断される。
そして、切断が終了すると、切断機408A,408Bは、元の位置に戻り、同時に移
動架台クランプ機構409が解放され、移動架台405は駆動機構410によって上流側
へ移動させられ、所定の位置に達して停止するとともに、駆動装置410が移動自由とな
って待機状態になる。
一方、同調クランプ機構402は、移動架台クランプ機構409がアルミニウム合金連
続鋳造棒2の列を把持した直後にアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を解放し、駆動機構
403によって上流側へ移動させられ、所定の位置に達して停止するとともに、駆動装置
403が移動自由となって待機状態になる。
この待機状態の同調クランプ機構402は、切断機408A,408Bによるアルミニ
ウム合金連続鋳造棒2の列の切断が終了し、移動架台クランプ機構409がアルミニウム
合金連続鋳造棒2の列を解放する直前にアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を把持し、ア
ルミニウム合金連続鋳造棒2の列とともに移動する。
<熱処理装置(均質化処理装置)>
均質化処理の炉は、バッチ式と連続式とがある。
バッチ式は、台車に仮梱包した材料を積載し、炉に横から台車ごと挿入する。昇温、保
持を行ってから、通常は、空冷の冷却炉へ入れ替える。この冷却炉にて常温まで冷却した
後、台車から降ろす。バッチ式の場合は、積載位置、梱包位置により、昇温時の温度のバ
ラツキが生じるので、雰囲気が保持温度になってから、材料全体が保持温度になるまで時
間がかかる。従って、場所により保持時間に差ができるが、全体が一定時間以上になるよ
うな設定を行うことで問題は無い。
連続式は、入口からコンベア等により、順次材料を炉に挿入していき、均熱帯を通過す
る間に定温での保持を行う。その後、冷却帯を通り、常温まで冷却する。材料が梱包され
ていないので、均熱帯を同じ様に動いていくため、全材料の温度履歴にバラツキが少ない
。また、連続して取り出せるので、前工程の鋳造から後工程のピーリングの連続ラインと
してつくり易い。
<ピーリング装置(外周除去装置)>
表面に発生した偏析層は、合金成分濃度が高いため、その後の圧延によって割れが発生
しやすい。割れが偏析層内で止まっている場合は鋳造圧延材の皮むきによって除去するこ
とが可能であるが、割れが鋳造圧延材内部まで伝播すると、皮むきでは除去できず、製品
価値の無いものとなる。従って、圧延前に偏析層を除去しておけば、圧延による割れの発
生を防止することができる。また、偏析層のある圧延材切断で生じる切断刃の寿命低下も
防ぐことができ、切断面の品質向上も図ることができる。
図6(a),(b)は外周除去(ピーリング)装置の一例を示す説明図であり、図6(
a)は切削刃駆動機構を除いた斜視図、図6(b)は支持ローラを示す側面図に相当する

図6において、611は搬送ローラを示し、側面から見てアルミニウム合金連続鋳造棒
3を上下分割で搬送保持する4つで構成され、隣り合う搬送ローラ611同士は、搬送す
るアルミニウム合金連続鋳造棒3の長さに応じて所定間隔に設定されている。
616は切削刃を示し、搬送ローラ611で長手方向へ搬送されるアルミニウム合金連
続鋳造棒3の円周上に、外周部分を削り残しがなく切削できるように、90度分割で4つ
配設され、図示を省略した切削刃駆動機構で回転駆動される。
617は外周を除去されるアルミニウム合金連続鋳造棒3をガタつかないように支持す
る支持ローラ、618は外周を除去されたアルミニウム合金連続鋳造棒4をガタつかない
ように支持する支持ローラを示し、アルミニウム合金連続鋳造棒3,4を60度分割で支
持する。
なお、外周除去(ピーリング)装置601は、搬送ローラ611、切削刃616〜支持
ローラ618などで構成されている。
次に、本装置601を用いたアルミニウム合金連続鋳造棒3の外周除去について説明す
る。
まず、各搬送ローラ611を、図示を略した駆動機構で回転させるとともに、図示を省
略した切削刃駆動機構で切削刃616を回転させる。
そして、搬送ローラ611の間へアルミニウム合金連続鋳造棒3を導入することにより
、アルミニウム合金連続鋳造棒3は順次搬送ローラ611で左側へ送られ、回転する切削
刃616で外周部分(例えば不均一組織である鋳肌。)を削り残しなく切削され、所定の
外径のアルミニウム合金連続鋳造棒4となる。
この外周除去装置によれば、従来用いられている旋盤に比べ、被切削体(アルミニウム
合金連続鋳造棒)が旋回せず、切削機構部(カッターヘッド、切削刃)が回転し、被切削
体は搬送ローラ対で推進力を与えられ、切削機構部を通過することで切削が完了するため
、ハンドリング時間がゼロで連続的に加工を行えること、被切削体の旋回加工はハンドリ
ングの制約上、被切削体の長さは有限だが、このピーリング加工は、理論的には被切削体
の長さが無限であることから生産性がよく、ピーリングマシンが有利である。特に細径材
(例えば20mmφ〜80mmφ。)では被切削体自身が有する曲がりが大きいため、削
り残しの問題の起き易い被切削体の旋回加工よりもピーリング加工の方が有利である。
また、外周除去工程において鋳肌を除去する際に発生した切粉を連続的に破砕して溶解
工程へ戻すことが好ましい。例えば、切粉破砕機を用いて切粉を微小にし、その微小な切
粉を加圧エアを用いて圧送する。その結果、発生した切粉を一次的に貯留し、オペレータ
が貯留した切粉をフークリフトなどで運搬する手間がなくなるため、一貫連続運転をより
容易に実施できる。
ピーリング装置は、連続鋳造棒の表面を切削した結果、断面真円度を0.1mm未満と
するものが好ましい。ここで真円度とは、断面及び長さ方向を含めた最大の径差で定義す
る。真円度がこの範囲を超えると、後工程の非破壊検査としての渦流探傷の検査精度低下
、圧延長さのばらつきとなる恐れがあるからである。
<矯正装置>
鋳造した状態のアルミニウム合金連続鋳造棒は長さ方向に曲がりを有しており、鋳造後
に熱処理を施した場合、さらに曲がりは大きくなり、例えば60mmφ以下の細径では非
破壊検査装置などへ投入するに際して無視できないレベルとなる。例えば、曲がりが5m
m/1000mm以上になると、非破壊検査装置としての超音波検査装置などで検出器と
被検査面であるアルミニウム合金連続鋳造棒側面との隙間にバラツキが生じ、検出結果に
バラツキが生じる恐れがある。また、非破壊検査装置などの投入口に設けられている、隙
間のバラツキを抑えるためのガイドブッシュを通過させる際、ガイドブッシュに接触して
アルミニウム合金連続鋳造棒の表面に傷が付いてしまう恐れがある。
ここで、5mm/1000mmとは、長手方向1000mmに対して曲がり量が5mm
であることを意味する。
例えば曲がりが5mm/1000mm以上になると、アルミニウム合金連続鋳造棒の搬
送ガタが大きく、ガイドブッシュ通過時の通材性が悪くなるので、超音波検査で表面波、
底面波を欠陥エコーとして検出しまうなどの問題が生じる。そこで、曲がりを5mm/1
000mm未満(より好ましくは、2mm/1000mm以下。)に抑えられていること
が望ましい。その結果、安定した一貫連続運転をより容易に実施できる。
上記のようにアルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを矯正する矯正機は、ローラ矯正機
を用いることが好ましい。これは、側面(周面)が軸方向に凹形状のローラと、側面(周
面)が軸方向に凸形状のローラとの間にアルミニウム合金連続鋳造棒を通過させることに
よって曲がりを小さくするものである。加工条件は、ロール角度、圧下荷重、ローラの回
転数を調整することによって設定する。その結果、曲がりが減少するので、搬送時、装置
への投入持のトラブルが減少するため、一貫連続運転をより容易に実施できる。
また、外周除去(ピーリング)工程の、外周面削加工において被切削材であるアルミニ
ウム合金連続鋳造棒に曲がりが、例えば5mm/1000mm以上存在すると、外周切削
時に偏芯が起こって外周部に削り残しが生じたり、削りが不均一になる原因となる。そこ
で、表面状態の品質を一定に保ったアルミニウム合金連続鋳造棒を連続一貫製造するため
には、アルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを5mm/1000mm未満(好ましくは、
2mm/1000mm以下。)にした状態で外周除去工程に投入するのが望ましい。
図7(a),(b)は矯正装置の一例を示す説明図であり、図7(a)は平面図、図7
(b)は側面図に相当する。
図7において、702はローラ対を示し、平面に見て軸線が交差するように配設された
上下一対の凹形ローラ703、凸形ローラ704で構成され、隣り合うローラ対702同
士は、矯正すべきアルミニウム合金連続鋳造棒4の外径に対応させた最適値に設定されて
いる。
αはロール角度を示す。
なお、矯正装置701は、ローラ対702などで構成されている。
次に、本装置701を用いたアルミニウム合金連続鋳造棒4の曲がりの矯正について説
明する。
まず、各ローラ対702の各ローラ703,704の少なくとも一方を、図示を省略し
た駆動機構で回転させる。
そして、例えば右端のローラ対702の各ローラ703,704の間へアルミニウム合
金連続鋳造棒4を導入することにより、アルミニウム合金連続鋳造棒4は回転しながら左
側へ送られ、曲がりを矯正されるとともに、真円に矯正される。
<非破壊検査装置>
このようにして曲がりを矯正したアルミニウム合金連続鋳造棒の内部に欠陥があると、
圧延加工した製品が不良品となるので、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部に欠陥がある
かないかを非破壊検査装置で検査することが望ましい。
この非破壊検査装置として超音波探傷検査装置を用いるのが好ましい。超音波探傷は探
触子から照射された超音波の被検査体、すなわち、アルミニウム合金連続鋳造棒中での挙
動により内部検査を行うことができるからである。内部検査の方式としては、他にX線透
過検査があるが、X線を発生させるために高電圧装置が必要なことなど、設備の管理に手
間がかかる。また、X線透過検査は、その原理上、異物などの体積を有する欠陥の検出能
力が高いが、体積が小さく、品質特性上甚大な影響を及ぼす割れのような欠陥の検出能力
が劣る。
一方、超音波探傷は割れに対しても検出能力が高く、また、検出した電気信号を処理す
ることにより、画像処理が必要なX線と比較して、欠陥の自動判定が容易に可能となり、
検査の精度が高く安定した検査ができる。
<熱処理装置(予備加熱)>
バッチ処理炉、トンネル式誘導過熱炉を用いることができる。
また、圧延装置に導入される鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒)の温度は、ある程
度の高温を保っていることが好ましい。高温であれば、圧延時の変形抵抗が低減され、圧
延ローラの負荷が小さくなり、圧延ローラの摩耗や破損も生じにくくなる。しかし、過度
に高温である場合は、変形抵抗が小さくなりすぎ、圧延ローラの表面形状が転写されにく
くなるおそれがある。また、粒界割れを起こすため、圧延装置に導入される鋳造材の温度
は、400℃〜(固相温度)が好ましく、特に本合金では、450℃〜480℃が好まし
い。
<圧延装置>
図8(a),(b)は圧延装置の一例を示す説明図であり、図8(a)は前段側、図8
(b)は後段側に相当する。
図8において、圧延装置1001は、連続断面に成形するための複数の圧延ローラ10
12Aを1組とする圧延スタンド1011Aと、連続断面に成形するための複数の圧延ロ
ーラ1012Bを1組とする圧延スタンド1011Bとを有する。
圧延スタンド1011A,1011Bは、図8(a),(b)に示すように、回転軸1
016A,1016Bで回転する、回転方向の両端につば部1014A,1014Bを有
する3つの圧延ローラ1012A,1012Bを120度毎に配置して3方向から圧延す
るようにしたものである。さらに、設置された複数の圧延スタンド1011A,1011
Bの圧延ローラ1012A,1012Bの配置は、次段ではその角度を変えてあるので、
圧延方向が前段とは異なるようにしてある。そして、圧延ローラ1012A,1012B
が設置された複数の圧延スタンド1011A,1011Bの圧延ローラ1012A,10
12Bの径は後段に行くに従って大きくしてあるので、圧延材(アルミニウム合金連続鋳
造棒4)の径は次第に小さくなっていく。他に圧延ローラの成形面の形状を次第に変えて
いく、例えば、曲率半径を次第に変えていく方法でも良い。
なお、圧延装置を構成する圧延スタンドは、2つに限定されず、少なくとも2つ以上で
あればよい。そして、1つの圧延スタンドを構成する圧延ローラ数は限定されない。また
、1つの圧延スタンドでは5%〜30%の圧延率で圧延が行われる。そして、複数段の圧
延において、圧延率は、開始側が大きく、定尺切断側に向かって徐々に小さくなっていく
のが変形抵抗を下げる意味では好ましい。また、得られた圧延材(アルミニウム合金連続
鋳造棒)の断面の真円度が向上するので好ましい。
図9は、120度毎に3方向に圧延ローラを配置し、表層部が切除された圧延材(アル
ミニウム合金連続鋳造棒4)を多段階で圧延して断面円形の連続圧延材(アルミニウム合
金連続鋳造棒5)を製作する圧延例を示している。
<引抜き装置(引抜加工装置)>
引抜きは、通常、アルミニウム押出品で行われている超鋼ダイスにて径公差を揃え、真
円度を出すために使用される。
圧延品の先端をダイスに入るように若干細くするために口付け作業を行う。口付機は、
材料先端を叩いて鍛伸する方式のものが一般に使用されている。口付け後、その先端をダ
イス内に入れ、反対側から掴んで引抜く。これは、通常、口付機と引抜機とが隣接した場
所で材料(アルミニウム合金連続鋳造棒)を送りながら行われる。引抜の径は、0.5m
m程度落とすことで十分である。引抜き時は、潤滑油として鉱物油が用いられる。
通常のダイスの代わりに、皮むきダイスを使用することも可能である。これは、通常の
引抜きダイスが減面することで径を揃えることの代わりに、積極的に表面を削ってしまお
うとするものである。この場合、表面の削り代は、0.数mmが限度である。
<センターレス研磨装置(センターレス研磨加工装置)>
引抜きの代わりに、センターレス研磨を行うことで、より表面状態を良くすることが出
来る。これは、図10に示すように、研削砥石1101と調整砥石1102との間に加工
材(被研磨材、アルミニウム合金連続鋳造棒5)を挟み、各砥石1101,1102を回
転させながら加工材を、支持台1106上で回転させて研磨するものである。これは、前
後に送り装置を設ければ、連続して送ることが出来るとともに、先端の加工がいらない。
これにより、適切な条件を選ぶことで真円度は、引抜と同等以上にできる。
<定尺切断装置>
図11は定尺切断装置の一例を示す説明図である。
定尺切断装置1201は、連続的に圧延されてくる連続圧延材(アルミニウム合金連続
鋳造棒5)を所要の長さの定尺の定尺圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒)に切断する
。しかし、鋳造速度に応じて圧延速度を調整したり、圧延時のローラ滑りにより連続圧延
材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の速度が変化することがあり、必ずしも連続圧延材
の速度は一定ではないため、一定時間間隔で切断すると切断長がばらつくことがある。そ
のため、正確に所期する長さに切断するために、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造
棒5)の実送り量を常時計測しながら切断タイミングを設定することが好ましい。測長手
段は何ら限定されないが、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)にエンコーダ付
ローラを接触させて送り量を測定する測長ローラ1202、あるいは非接触式のレーザ式
測長装置を例示でき、正確に測長できる点で測長ローラ1202を推奨できる。
切断時の台車の走行速度は、切断前の連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の
速度と同じ速度とするのが好ましいが、連続圧延材の速度±10%であれば問題なく切断
でき、連続圧延材の速度±5%であればなお好ましい。連続圧延材(アルミニウム合金連
続鋳造棒5)の走行速度は上述した測長手段によって計測することができる。走行する連
続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)を切断するには、例えば図11に示すように
、切断手段を台車に取り付けて連続圧延材の移動に同期させて走行させれば良く、連続圧
延材の走行速度を落とさずに遅滞なく切断することができる。図示した例では、連続圧延
材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)を上、下側拘束治具1203a,1203bで挟む
とともに、下側拘束治具1203bにローラを取り付けて走行可能とし、上側拘束治具1
203aに取り付けたシャー1204を下降させることにより、せん断による切断を行う
ものである。また、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)を拘束することによっ
て連続圧延材に曲がり等の不具合を生じさせることなく切断することができる。走行部の
駆動方法は限定されず、エアシリンダや油圧シリンダ、電動モータと歯車、電動モータと
ボールねじ等を例示できる。これらの駆動装置は、上述した測長手段による測定結果(連
続圧延材の走行速度)に基づいて走行速度が制御される。
連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の移動速度(切断時の被切断品の速度)
は各種条件、最終径等により幅を有するが、鋳造材の移動速度よりも高速な状態、例えば
5m/min〜300m/minとなる。具体的には、50mmφの棒を10mmφまで
圧延した場合は、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の速度は鋳造材の入口速
度の25倍となる。このような高速で走行する連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒
5)においても、測長手段による連続圧延材送りの実測に基づいた切断制御を行うことに
より、切断長や切断面精度の安定化を図ることができる。
切断台車、切断タイミングの動作について制御の一例を説明する。
(イ)定尺切断装置1201前に設置された移動検出器1205(例えば移動量を検出
する測長手段、測長器、測長ローラなど。)にて連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造
棒5)の移動量を計測する。移動検出器1205もしくは制御装置1206にて、検出し
た移動量より移動速度を算出する。移動検出器で移動速度を直接検出できるものを用いて
も良い。
(ロ)移動検出器1205での計測結果と制御装置1206上に予め設定した切断長さ
を基に、制御装置1206が切断タイミングを設定する。
(ハ)(ロ)で設定した切断タイミングで切断するように、台車が走行開始して連続圧
延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)と同じ速度になるまで加速する。
(ニ)設定された切断タイミングで連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)をク
ランプし、切断する。
(ホ)切断終了とともに連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)はアンクランプ
され、その後台車は減速し、必要に応じてブレーキがかかる。
(ヘ)台車は次の切断のために初期位置へ戻るために、連続圧延材(アルミニウム合金
連続鋳造棒5)の走行方向と逆方向に走行する。
(ト)(イ)へ戻り繰り返す。
ここで、制御装置1206に設定される切断タイミング、台車の移動は以下(a)〜(
f)のように設定処理される。
(a)台車の加速能力、加速カーブは予め調査しておき、そのデータは制御装置120
6に入力される。
(b)切断動作を実行する切断位置を設定する。
(c)(a)のデータと(b)のデータとから台車が切断位置まで移動するのに必要な
時間が算出される。
(d)一方、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の測長結果、速度演算(ま
たは計測)結果より、連続圧延材の切断箇所が、いつ切断位置に達するかを算出する。
(e)(d)で算出された切断時間に台車が切断位置に到達するようにタイミングを逆
算して台車移動開始時刻を設定する。
(f)必要に応じて上記サイクルに合うように、(b)の切断位置、台車の待機位置を
調整する。
また、以下(g)〜(h)のような切断台車への制御を実施しても良い。
(g)連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)と同じ速度になっているか否かを
モニタして台車の速度を制御する。例えば、台車に速度検出器を搭載して連続圧延材の速
度を検出しモニタしてその相対速度がゼロとなるように台車速度を制御する。または、連
続圧延材と台車とに、別々に速度を検出する検出器を配備し、それぞれの速度を検出、モ
ニタしてその差がゼロになるように台車速度を制御する。
(h)このように速度が制御されている状態で切断開始の位置を以下の(h1)〜(h
4)のようにトレースして見つけ出し、クランプして切断する。
(h1)移動検出器で切断長さに対応した切断箇所を検出した時点で、その時点から時
間、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の速度を計測開始して(例えば制御装
置にタイマを配備しておく。)、その時間、速度から切断箇所の移動位置を演算してトレ
ースする。
(h2)または、移動検出器で切断箇所を検出したら、マーキング装置で連続圧延材(
アルミニウム合金連続鋳造棒5)表面にマーキングし、一方切断台車にそのマークを検出
する検出器を搭載して切断箇所の移動位置をモニタする。
(h3)一方、移動検出器で切断箇所を検出したら、台車の待機位置、加速能力を考慮
して、台車をスタートさせ、移動している切断箇所に到達したときに台車と連続圧延材(
アルミニウム合金連続鋳造棒5)との速度が同じになるように台車は加速される。
(h4)速度が同じになって、切断箇所を捕まえた時点(切断タイミング)でクランプ
して、切断を開始する。
なお、切断手段も限定されず、シャー等のせん断による切断、鋸刃による切断等を例示
できる。
これらの切断手段の材質は特に限定されないが、せん断刃としては、ハイス鋼や超硬材
、あるいはこれらにTiN、TiC、TiAlN、CrN、DLC等の表面処理を施した
ものを推奨できる。これらの材質や表面処理は耐摩耗性に優れるとともに、被切断材(ア
ルミニウム合金連続鋳造棒5)が凝着しにくく、高寿命とすることができる。
鋸刃についても外径や材質を限定するものではないが、刃先部に超硬チップをろう付し
たチップソーを推奨できる。これらの鋸刃であれば刃先部が摩耗しにくい。また、ハイス
鋼や超硬材、あるいはこれらにTiN、TiC、TiAlN、CrN、DLC等の表面処
理を施したものを推奨できる。これらの材質や表面処理は耐摩耗性に優れるとともに、被
切断材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)が凝着しにくく、高寿命とすることができる。
また、鋸刃の外径も被切断材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)径に応じて適宜選定すれ
ば良く、例えば100mmφ以下の被切断材であれば、200mmφ〜610mmφのも
のを推奨できる。鋸刃の直径が小さくなると、外周長が短くなって刃数が少なくなり、1
つの刃の切削回数が多くなるために鋸刃の寿命が短くなる。逆に直径が大きくなると、鋸
刃の剛性が低くなるために切断面精度が悪化する。また、鋸刃の回転数は、鋸刃の直径に
応じて1000r.p.m〜3500r.p.mを推奨できる。回転数が過度に高くなる
と、鋸刃自体が共振することによって切断面精度が悪化するおそれがあり、回転数が過度
に低くなると、切断時間が長くなってしまうためである。
切断時の被切断材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の温度は特に限定されないが、常
温〜300℃が好ましく、特に100℃〜300℃が好ましい。高温になるほど切削抵抗
が低下するが、100℃以上であれば、切断抵抗が顕著に低下して切断刃の寿命向上を図
ることができる。また、300℃以下であれば、切断された定尺圧延材(アルミニウム合
金連続鋳造棒)の搬出の際に傷がつきにくい。このような温度調整は、圧延装置1001
で使用する潤滑油、例えばエマルジョンタイプの潤滑油の供給量を調整したり、圧延後に
冷却することによって実施することができる。圧延後の冷却方法としては、連続圧延材(
アルミニウム合金連続鋳造棒5)に水、油、圧延部で使用するようなエマルジョンタイプ
の潤滑油に浸漬したり浴びせたりする方法を例示できる。
切断された定尺圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒)は搬出装置により製造装置から
払い出されるが、搬出方法は何ら限定されない。搬出方法として、切断した定尺圧延材(
アルミニウム合金連続鋳造棒)をコンベア上に落下させて搬出したり、スロープ上に落下
させ、転がして搬出したりする方法を例示することができる。仕切付のコンベアを用いて
定尺圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒)同士の接触を防ぎ、表面に傷がつかないよう
にすることも好ましい。また、定尺切断装置1201直下に定尺圧延材(アルミニウム合
金連続鋳造棒)を溜めておき、まとめて搬出することもできる。
また、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒)の切断済品(定尺圧延材、アルミニ
ウム合金連続鋳造棒)側に支持手段を設けることもできる。支持手段は、少なくとも切断
時に高速で移動する被切断品と同期して安定して支持できるものであれば良く、例えば切
断台車に支持クランプを設けたもの、または切断台車と支持クランプ台車とが分離可能な
ように連結されているものなどを挙げることができる。支持手段は、切断後、場合によっ
てはそのまま搬送移動した後、切断済品を解放して切断済品を次工程に受け渡す。次工程
はコンベア、積載テーブル、多関節ロボットなどとすることができる。
<<他の装置、工程の説明>>
<溶解保持炉→連続鋳造装置→同調切断装置→ピーリング装置→熱処理装置(ホモ、均質
化処理)→圧延装置>
ピーリング工程を熱処理工程の前で行う(処理する)こともできる。その場合は、熱処
理工程を1回とすることにより、均質化の加熱処理と圧延前の加熱処理を兼ねることがで
き、工程を省略化できるので好ましい。
<異形に圧延する場合>
本発明における圧延材の他の形状について説明する。
棒材を圧延する際に長手方向に垂直な断面の形状が長手方向で変化する非連続面に圧延
することにより、最終製品形状もしくはそれに近いニアネット形状の異形材を連続して製
造するのに用いる圧延装置の一例について説明する。
図12において、圧延装置1001は、非連続断面に成形するための複数の圧延ローラ
1022を1組とする圧延スタンド1021を少なくとも1つ有する。
圧延スタンド1021は、3つの圧延ローラ1022を120度毎に配置して3方向か
ら圧延するようにしたものである。さらに、各圧延ローラ1022は、図13に示すよう
に、ローラ本体部1023の断面において、回転軸1026から周面までの距離が周方向
で変化するローラであり、前記距離が大きくて鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)
を小径に圧延する小径成形部1023aと、前記距離が小さくて鋳造材を大径に圧延する
大径成形部1023bとが形成されている。そして、圧延ローラ1022の回転により、
小径成形部1023aと大径成形部1023bとが交互に鋳造材(アルミニウム合金連続
鋳造棒4)に接し、鋳造材が圧延されてこれらの形状が転写される。図12(a)は大径
成形部1023bが鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)を圧延し、図12(b)は
小径成形部1023aが鋳造材を圧延している状態を示している。この圧延により、図1
4に示すように、大径部51と小径部52とが交互に連続し、非連続断面を有する無限長
の異形材(アルミニウム合金連続鋳造棒5A)に成形される。なお、図12において、1
024はローラ本体部1023の回転軸方向の両端に設けられたつば部を示す。
また、非連続断面への成形を行う前に、図15に示すような断面円形の圧延ローラ10
32を有する圧延スタンド1031を配置し、縮径するとともに連続断面に圧延しておく
ことができる。特に、鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)が台形や五角形である場
合は、非連続断面への圧延前に最終断面形状に近い形状に成形しておく方が、異形材(ア
ルミニウム合金連続鋳造棒)の形状的な正否を確保し易くなる。
図15において、1036は圧延ローラ1032の回転軸を示す。
上述した連続断面への圧延および非連続断面への圧延は、いずれも一組の圧延ローラで
実施する他、複数の圧延スタンドを設置し、複数組の圧延ローラを用いて多段階に成形す
ることができる。例示した圧延装置は、連続断面成形用の3つの圧延スタンド1031と
、非連続断面成形用の1つの圧延スタンド1021とによって構成されている。また、非
連続断面成形用の圧延スタンド1021を2つ以上配置することも任意であり、連続断面
への圧延を行わずに非連続断面への圧延のみを行うことも任意である。また、これらの圧
延ローラは全てを駆動する必要はなく、前後の圧延ローラの駆動力により圧延ローラに材
料が噛み込めば問題ないものである。
また、1つの圧延スタンドを構成する圧延ローラ数は限定されず、非連続断面形状も任
意に設定することができる。図16に例示する圧延スタンド1041は、図17に示す2
つの圧延ローラ1042で構成され、ローラ本体部1043は小径成形部1043aと大
径成形部1043bとを有し、さらに、小径成形部1043aの周方向の中央部に外方に
突出する突起1043cが形成されている。そして、圧延ローラ1042を用いて圧延す
ると、図18に示す異形材(アルミニウム合金連続鋳造棒5B)は大径部53と小径部5
4とが交互に連続し、かつ小径部54の中央に縮径されたくびれ55が形成されたものに
なる。
なお、図16または図17において、1044はローラ本体部1043の回転軸方向の
両端に設けられたつば部、1046は圧延ローラ1042の回転軸を示す。
以上に示した圧延ローラ1022,1032,1042は対向するローラが対称形状で
あるが、異なる形状の圧延ローラを組み合わせることにより非対称圧延材とすることもで
きる。
また、非連続断面への圧延に際しては、必ずしも圧延ローラの全周で鋳造材(アルミニ
ウム合金連続鋳造棒4)を変形させる必要はなく、周の一部分で鋳造材を変形させ、他の
部分では鋳造材を変形させることなく走行させることもできる。例えば、図12、図13
に示した圧延ローラ1022を用いる場合、図15の連続断面成形用の圧延ローラ103
2で鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)を大径部51の直径まで縮径して連続断面
の丸棒に成形しておき、その後に非連続断面成形用の圧延ローラ1022で小径成形部1
023aの形状を転写して縮径し、小径部52を成形する。このとき、圧延ローラ102
2の大径成形部1023bでは鋳造材を縮径することなく、送りローラとして機能してい
る。前記大径成形部1023bは鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)を縮径しない
ため、必ずしも鋳造材に接触させなくてもよい。しかし、小径成形部1023aからの材
料流動により、小径成形部1023aと大径成形部1023bとの境界部およびその近傍
で拡径されてしまうことがある。このような現象を防止するため、大径成形部1023b
で縮径しない場合でも大径成形部1023bが鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)
に接触するように大径成形部1023bを設計し、大径成形部1023bで鋳造材を拘束
することが好ましい。
また、圧延ローラ1022の圧延面の形状は、成形過程において素材の流動を考慮した
体積バランスを得られるような形状とすることが好ましい。例えば、体積バランス調整の
ための駄肉部を形成するための凹部および/または凸部を、成形品のつなぎ目箇所に対応
する圧延面に設けることができる。
Figure 2011137233
本発明の例として、表1に示す組成の冷却速度5℃/secで鋳造した50mmφ水平
連続鋳造品を490℃×3hrの均質化処理後、48mmφにピーリングし、長さ1mに
切断後、所定の加熱温度にて圧延を行った(No.1,4,8)。圧延機は、三方ローラ
により、7段の圧延で各段15%〜25%の圧延率にて行った。50mmφを表面1mm
ピーリング後、最終的に20.5mmφにまで圧延したので、圧下率は82%となった。
圧延品は、20.5mmφとなり、続いて引抜ダイスを用いて20.0mmφに引抜い
て加工した。得られた引抜き材の一部を切断し、400℃に加熱し、2点支持し中央で9
0度に押し込んで曲げた。このときの曲げ部の割れの有無(○:割れ無し、×:割れ有り
。)を見た。また、別に試験片として一部を引張試験用に切断し、495℃×2hrの熱
処理後、水冷し、170℃×8hrの時効を行った(溶体化処理)。その後、引張試験用
に切断した端面を一部取り、その断面マクロ組織を目視観察した。全面1mm以下の細か
い粒状晶であった。その後、引張試験用試験片に加工し、試験を行った。
さらに、引抜材は、別に20mm厚(長手方向の長さ)に鋸切断を行い、370℃×4
hrの熱処理後、そのままの状態で炉冷することにより焼鈍熱処理を行い、断面硬度と真
円度を測定した。さらに、据込率を変えて常温で長手方向に据え込み、鍛造加工の一例と
して圧縮試験を行った。据込品の側面に割れが見られたときの据込率を測定し、その据込
率をもって冷間鍛造しやすさとした。
ここで、
Figure 2011137233
とした。据え込み後、断面の形状を観察し、充分な円形状が得られているかを目視判定し
た。
比較例として、200mmφのビレットを鋳造し、均質化処理後、4孔の押出しダイス
を用い手20.5mmφの棒に押出加工した。これを引抜ダイスにより、上記と同様に2
0.0mmφに引抜いた。得られた棒材を上記と同様の試験を行った(No.2,5,9
)。前と同様なT6処理(溶体化処理)後、引張試験用に切断した端面を一部取り、その
断面マクロ組織を目視観察したが、数mmの粗い再結晶の粒状晶が多数見られた。
同時に別の比較例として、プロペルチ連続圧延機にて鋳造、圧延して得られた、20.
5mmφの棒材を得た。その後、引抜きダイスにより、上記同様に20.0mmφまで引
抜き、上記と同様の試験を行った(No.3,6,10)。前と同様なT6処理(溶体化
処理)後の検査で、断面マクロ組織は、数mmの粗い粒状晶と、1mm以下の粒状晶との
混在した組織であった。
更に、別の比較例として、50mmφの水平連続鋳造品を均質化処理後、20.5mm
φまでピーリング機により面削して、削り出しにより20.0mmφの棒材を得た。これ
を同様の試験材に加工し、上記と同様に試験した(No.7,11)。これをT6処理(
溶体化処理)し、断面マクロ組織を目視観察したが、柱状晶がつぶされた組織と、数mm
の粗い粒状晶との混在した組織であった。
この結果、本発明の合金棒は、焼鈍後の硬度が低く、据込率が高く取れるので、冷間鍛
造時の変形能が良く、また、比較例に示した他の製造方法による合金棒と比較して、T6
処理後の引張試験特性に優れている。更に、熱間曲げにより特性が劣ることがないことか
ら、熱間鍛造にも問題なく使用できる材料であることがわかる。
1 アルミニウム合金溶湯
2〜5B アルミニウム合金連続鋳造棒
51 大径部
52 小径部
53 大径部
54 小径部
55 くびれ
202 タンディッシュ
203 開口
204 耐火性板状体
205 注湯孔
301 水平式連続鋳造装置
302 鋳型
303 気体供給路
304 潤滑油供給路
305 冷却水供給路
306 ガイドローラ
307 ピンチローラ
401 同調切断装置
402 同調クランプ機構
403 駆動機構
404 支持ローラ
405 移動架台
406A 軌条
406B 軌条
407A モータ
407B モータ
408A 切断機
408B 切断機
409 移動架台クランプ機構
410 駆動機構
411 長さ検出器
601 外周除去装置
611 搬送ローラ
616 切削刃
617 支持ローラ
618 支持ローラ
701 矯正装置
702 ローラ対
703 凹形ローラ
704 凸形ローラ
1001 圧延装置
1011A 圧延スタンド
1011B 圧延スタンド
1012A 圧延ローラ
1012B 圧延ローラ
1014A つば部
1014B つば部
1016A 回転軸
1016B 回転軸
1021 圧延スタンド
1022 圧延ローラ
1023 ローラ本体部
1023a 小径成形部
1023b 大径成形部
1024 つば部
1026 回転軸
1031 圧延スタンド
1032 圧延ローラ
1036 回転軸
1041 圧延スタンド
1042 圧延ローラ
1043 ローラ本体部
1043a 小径成形部
1043b 大径成形部
1043c 突起
1044 つば部
1046 回転軸
1101 研削砥石
1102 調整砥石
1106 支持台
1201 定尺切断装置
1202 測長ローラ
1203a 上側拘束治具
1203b 下側拘束治具
1204 シャー
1205 移動検出器
1206 制御装置
α ロール角度

Claims (1)

  1. Siを8質量%〜12質量%、Cuを2質量%〜5質量%、Mgを0.2質量%〜1.
    0質量%含有し、Feを0.2質量%〜0.4質量%及び/又はMnを0.2質量%〜0
    .4質量%含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムである組成の合金を、
    冷却速度を1℃/sec〜15℃/secとして100mmφ以下の径で水平連続鋳造
    し、
    470℃〜495℃、1時間〜5時間の条件による均質化熱処理と、表面面削処理とを
    施し、
    400℃〜(固相温度−5℃)又は400℃〜490℃で1時間以上保持して圧延前の
    加熱処理を施し、
    圧下率を75%以上として、圧延率5%〜30%で複数回圧延して20.0mmφ以下
    のアルミニウム合金棒を製造する、
    ことを特徴とするアルミニウム合金棒の製造方法。
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