JP5038609B2 - アルミニウム合金棒の製造方法 - Google Patents
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に関する。
鍛造に使用されるピストン用アルミニウム合金として古くから知られているものは、JIS4032に代表されるAl−Si−Cu−Mg−Ni系合金であり、共晶組成(約11質量%)のSiをベースとして耐摩耗性を高め、強度向上のために数質量%のCuと1質量%以下のMgとが添加されている。更に、必要に応じて耐熱強度を上げるため、Ni、Mn、Fe等の遷移元素が少量添加されている。ピストン用アルミニウム合金は、一般に棒材の切断材を使用して冷間あるいは熱間にて鍛造され、所定の形状に切削加工されるが、小さなものは、棒材をそのまま切削加工して所定の部品に仕上げる。
この材料となる棒材は、通常は、連続鋳造(DC鋳造)にて数100mmφのビレットを製造し、均質化熱処理後、押出加工を行って所定の径寸法の棒材を得る、いわゆる押出材があり、この製造方法では、ダイス形状であらゆる径の棒材が製造できる。
例えば、特開平5−287427号公報(特許文献1)にDC鋳造ビレットから押出材を製造する開示がある。
これは、特にSiが11質量%を超え、12質量%に近づくと顕著になる。これを回避するため、Na、Sr等を添加することにより、Siの共晶点を若干高めにずらすことができるが、その発生阻止は十分ではなく、粗大な初晶Siの発生が避けられない。また、Srの添加は、中心部に引け巣を生じやすく、両方の意味で機械的特性を低下させる。
あるいは、最近では、100mmφ以下の連続鋳造棒を直接表面面削した、いわゆる連続鋳造棒を切断したものが多く使用されてきた。
なお、鍛造方法としては、高温で鍛造する熱間鍛造と常温で鍛造する冷間鍛造とがあり、また鍛造の仕方で、長手方向と直角に鍛造する横打ち鍛造、エンジンピストン等のカップ状のものは、長手方向に鍛造する縦打ち鍛造と呼ばれる。
例えば、特開2001−259781号公報(特許文献2)に横打ち鍛造の開示があり、特開平8−108243号公報(特許文献3)には縦打ち鍛造の開示がある。
また、DAT、DVD等の回転部品では、20mmφ以下の細径の切削加工用耐摩耗高強度材が求められている。
この方法では、10mmφ以下の線材まで製造可能であるが、鋳造方式が冷却の点から金型鋳物と類似なものである。通常の連続鋳造での鋳造出口で鋳塊を直接水冷するものと比較して、プロペルチ法は、金型を水冷するだけであるために冷却速度の非常に遅いものとなり、出来上がった棒の鋳造組織が荒く、最終棒材の強度が押出材、連鋳材と比較して落ちる。また、純アルミニウムのような凝固温度範囲の狭いものには、この製造方法は適当であるが、Si、Cu、Mgが高濃度で、凝固する際の温度範囲の広い合金の鋳造では、最終凝固部に巣が発生し、圧延割れや、内部欠陥として残ってしまい、これを解消することは困難であり、圧延後の棒材の信頼性がない。また、冷却速度が連鋳材より遅いため、初晶SiやAl−Cu系、Al−Mn−Fe−Si系の化合物が粗大に晶出しやすい。初晶Si晶出回避のためにNa、Sr等の添加物を入れることも試みられているが、ひけ巣を増加させるため、結果的に特性低下を招く。
(1)Siを8質量%〜12質量%、Cuを2質量%〜5質量%、Mgを0.2質量%〜1.0質量%含有し、Feを0.2質量%〜0.4質量%及び/又はMnを0.2質量%〜0.4質量%含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムである組成の合金を、冷却速度を1℃/sec〜15℃/secとして100mmφ以下の径で水平連続鋳造し、470℃〜495℃、1時間〜5時間の条件による均質化熱処理又は前記均質加熱処理の代用として行う400℃〜490℃で1時間以上保持する圧延前の加熱処理と、表面面削処理とを施し、圧下率を75%以上として、圧延率5%〜30%で複数回圧延し、引抜又はセンターレス研磨加工を施して20.0mmφ以下のアルミニウム合金棒を製造することを特徴とするアルミニウム合金棒の製造方法である。
(2)上記20.0mmφ以下で製造したアルミニウム合金棒に対し、水冷し、170℃×8hrの時効を行うことを特徴とする(1)に記載のアルミニウム合金棒の製造方法である。
(3)上記記20.0mmφ以下で製造したアルミニウム合金棒に対し、370℃〜390℃×2hr〜4hrの熱処理後、そのままの状態で炉冷することにより焼鈍熱処理を行うことを特徴とする(1)に記載のアルミニウム合金棒の製造方法である。
(4)前記合金に対して直接水冷しながら鋳造することを特徴とする(1)から(3)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金棒の製造方法である。
(5)水平連続鋳造における冷却速度を、4℃/sec以上としたことを特徴とする(1)から(4)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金棒の製造方法である。
(6)均質化熱処理又は均質加熱処理の代用として行う400℃〜490℃で1時間以上保持する圧延前の加熱処理の前に表面面削処理を行の前に表面面削処理を行うことにより、均質化熱処理と圧延前の加熱処理とを1回の工程で済ませることを特徴とする(1)から(5)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金棒の製造方法である。
(7)圧延における入口での元材の温度が固相温度から5℃以上低く且つ400℃以上であり、出口温度が100℃〜300℃であることを特徴とする(1)から(6)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金棒の製造方法である。
(1)から(7)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金棒の製造方法から得られたアルミニウム合金棒については、引抜加工又はセンターレス研磨し、切断し、焼鈍処理して鍛造用アルミニウム合金ブランク材としてもよい。
また、(1)から(7)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金棒の製造方法は、均質化熱処理後、表面面削又は表面研磨、加熱、圧延、切断、引抜又はセンターレス研磨を連続ラインで行ってもよい。
なお、本発明における溶体化処理とは、(a)連続鋳造後に圧延したものにそのまま施す溶体化処理、(b)連続鋳造後に圧延したものを切削加工する前に施す溶体化処理、(c)連続鋳造後に圧延した後に熱間鍛造したものに施す溶体化処理、(d)連続鋳造後に圧延しさらに引抜き加工し○材処理をした後に冷間鍛造したものに施す溶体化処理における溶体化処理を意味する。
溶体化条件は、470℃〜495℃に1時間〜5時間保持後に、15℃〜60℃の水で急冷し、その後、170℃で8時間の熱処理を行うものである。
○材処理の条件は、350℃〜390℃に2時間〜4時間保持後に、10℃/hr以下程度の速度で徐冷するものである。
そして、Feを0.2質量%〜0.4質量%、及び/又はMnを0.2質量%〜0.4質量%含有しているので、固溶強化、再結晶抑制が図れる。
さらに、断面マクロ組織のマクロ結晶粒が全面に渡って最大粒径で1mm未満の粒状晶であるので、粗大な再結晶粒を含まず、棒材の機械的特性が向上する。
そして、圧延入口での元材の温度が400℃〜(固相温度−5℃)又は400℃〜490℃であるので、変形時に伸びが追いつき、割れが入ることがなく、圧延機負荷が小さくなり、また、圧下率が75%以上であるので、圧延後の棒材の再結晶組織が微細な粒状となり、引張特性、特に0.2%耐力が向上する。
さらに、本発明のアルミニウム合金棒の製造方法によれば、冷却速度を1℃/sec〜15℃/secとして冷却した100mmφ以下の連続鋳造棒に、少なくとも、470℃〜495℃、1時間〜5時間の条件とした均質化熱処理と表面面削処理とを施した後に圧延したので、圧延元材の冷却速度を速くでき、粗大な初晶Siの晶出が抑制され、機械的特性が向上する。
また、冷却速度を1℃/sec〜15℃/secとして冷却した100mmφ以下の連続鋳造棒に、少なくとも、470℃〜495℃、1時間〜5時間の条件で均質化熱処理し、表面面削処理し、予備加熱処理した後に圧延したので、圧延元材の冷却速度を速くでき、粗大な初晶Siの晶出が抑制され、機械的特性が向上する。
本発明のアルミニウム合金棒の製造方法から得られる鍛造用アルミニウム合金ブランク材は、上記したアルミニウム合金棒を、引抜加工し、切断し、焼鈍処理したので、焼鈍後の硬度が低く、変形能の良く、径精度の良い鍛造用アルミニウム合金ブランク材となり、冷間鍛造加工性が良好になる。
そして、引抜加工に代えてセンターレス研磨を施したので、断面形状の精度と表面の平滑度とが良好な鍛造用アルミニウム合金ブランク材となり、鍛造加工性が良好になる。
本発明のアルミニウム合金棒の製造方法によれば、連続鋳造棒を圧延率5%〜30%で複数回繰り返して圧延するので、従来の大径ビレットより組織的に微細で特性を阻害する粗大な初晶Siのような晶出物の無い材料を容易に製造でき、更に、連続熱間加工を複数繰り返すことにより、急激な圧下率を避けて加工を容易にするとともに、熱間加工組織により強度の高いアルミニウム合金棒を容易に製造できる。
そして、圧下率を75%以上としたので、圧延後の棒材の再結晶組織が微細な粒状となり、引張特性、特に0.2%耐力が向上する。
さらに、連続鋳造棒を鋳造後、400℃〜(固相温度−5℃)又は400℃〜490℃で1時間以上保持して熱処理後、圧延するので、変形時に伸びが追いつき、割れが入ることがなく、圧延機負荷が小さくなる。
そして、冷却速度を1℃/sec〜15℃/secとして冷却した100mmφ以下の連続鋳造棒を使用するので、冷却速度を速くでき、粗大な初晶Siの晶出が抑制され、機械的特性が向上する。
本発明のアルミニウム合金棒材の製造方法は、連続鋳造棒を均質化熱処理後、表面面削又は表面研磨、加熱、圧延、切断、引抜を連続ラインで行ってもよく、高特性の細径棒が生産性よく製造できる。
また、連続鋳造棒を均質化熱処理後、表面面削又は表面研磨、加熱、圧延、切断、センターレス研磨を連続ラインで行ってもよく、断面形状の精度と表面の平滑度とが良好な鍛造用アルミニウム合金棒材となり、鍛造加工性が良好になる。
そして、連続鋳造棒を圧延率5%〜30%で複数回繰り返して圧延するので、従来の大径ビレットより組織的に微細で特性を阻害する粗大な初晶Siのような晶出物の無い材料を容易に製造でき、更に、連続熱間加工を複数繰り返すことにより、急激な圧下率を避けて加工を容易にするとともに、熱間加工組織により強度の高いアルミニウム合金棒を容易に製造できる。
また、圧下率を75%以上としたので、圧延後の棒材の再結晶組織が微細な粒状となり、圧延組織と混在化し、引張特性、特に0.2%耐力が向上する。
また、連続鋳造棒を鋳造後、400℃〜(固相温度−5℃)又は400℃〜490℃で1時間以上保持した熱処理後、圧延するので、変形時に伸びが追いつき、割れが入ることがなく、圧延機負荷が小さくなる。
また、本発明のアルミニウム合金棒の製造方法から得られる鍛造用アルミニウム合金棒材を切断し、焼鈍処理すれば、焼鈍後の硬度が低く、変形能の良い鍛造用アルミニウム合金ブランク材となり、冷間鍛造加工性が良好になる。
このほか、本発明のアルミニウム合金棒の製造方法による製造ラインによれば、連続鋳造棒を均質化熱処理後、表面面削又は表面研磨、加熱、圧延、切断、引抜を一貫連続ラインで行ってもよく、高特性の細径棒が生産性よく製造できる。
また、連続鋳造棒を均質化熱処理後、表面面削又は表面研磨、加熱、圧延、切断、センターレス研磨を一貫連続ラインで行ってもよく、断面形状の精度と表面の平滑度とが良好な鍛造用アルミニウム合金棒材となり、鍛造加工性が良好になる。
そして、連続鋳造棒を圧延率5%〜30%で複数回繰り返して圧延するので、従来の大径ビレットより組織的に微細で特性を阻害する粗大な初晶Siのような晶出物の無い材料を容易に製造でき、更に、連続熱間加工を複数繰り返すことにより、急激な圧下率を避けて加工を容易にするとともに、熱間加工組織により強度の高いアルミニウム合金棒を容易に製造できる。
また、圧下率を75%以上としたので、圧延後の棒材の再結晶組織が微細な粒状となり、引張特性、特に0.2%耐力が向上する。
また、連続鋳造棒を鋳造後、400℃〜(固相温度−5℃)又は400℃〜490℃で1時間以上保持した熱処理後、圧延するので、変形時に伸びが追いつき、割れが入ることがなく、圧延機負荷が小さくなる。
なお、本発明のアルミニウム合金棒の製造方法から得られる冷間鍛造品は、Siが8質量%〜12質量%、Cuが2質量%〜5質量%、Mgが0.2質量%〜1.0質量%の組成で、実質的に初晶Siが存在せず、鍛造成形後の溶体化処理後におけるマクロ組織が微細粒状晶であるので、初晶Siによる引張強度の低下が避けられ、微細マクロ組織により、引張強度特性が向上する。
そのための添加元素としてSiを8質量%〜12質量%添加する。Siは、鋳造時に共晶Siとなり、α晶間に数μmの大きさで分散する。この共晶Siが耐摩耗性を高める。Siの量が、8質量%未満では、その効果が低下し、12質量%を超えると、今度は初晶としての粗大なSiが晶出し始める。例えば粒径100μm程度のものが点在すると、圧延後も残って強度低下を招いたり、切削性を阻害する。初晶は、実質的に存在しないことが好ましい。この実質的とは、断面をランダムにミクロ検査したとき、95%以上の確率で見つからないことである。
なお、DASの大きさは、例えば軽金属学会発行の『軽金属(1998年)、vol.38、No.1、p.45』に記載の『デンドライトアームスペーシングの測定方法』に従って測定できる。
あるいは、Siが12質量%近傍まで高くなると、初晶Siが晶出し易く、圧延加工後も初晶Siが残り、機械的特性を低下させたり、切断、切削加工時の鋸刃・工具寿命を著しく低下させる。従って鋳造径は、細いものほど鋳造速度を上げられ、高濃度組成でも初晶Siの晶出がないので、細いものほど良いが、50mmφ以下での鋳造が好ましい。
均質化熱処理が出来ない場合は、圧延前の加熱(例えば合金組成に応じて400℃〜490℃。)を1時間以上かけることにより、均質化熱処理の代用とすることが出来る。
表面面削により断面形状を円形状に整えることも出来る。断面形状が円形状であるものは後工程の加工において好ましい。
圧下率は断面積の比で表現し、具体的には、
圧下率が75%以上では、圧延後の棒材の断面再結晶組織が微細な粒状(例えば平均粒径50μm〜500μm。より好ましくは50μm〜100μm。)となり、1mm以上の粗大な粒や、柱状品等が見られない。この結果、T6後の組織も粗大化がなく、引張特性、特に0.2%耐力が向上する。
また、圧延ローラとの焼きつきを防止するために圧延油(クーラントオイル)がローラ面に流される。従って圧延終了時は、径によって100℃〜300℃になる。出口温度は、あまり高くなると、材料にハンドリング傷がつくため、あまり高くないほうが好ましい。出口温度は、好ましくは200℃以下である。従って必要な場合は、材料が圧延機から出たところで冷却をする必要がある。
また、熱間鍛造用素材の製造工程の一例を図2に示す。
図2において、加熱工程は、連続均熱炉を使用すれば、加熱と均質化とを兼ね、炉の冷却工程を入れずに圧延温度まで下げた時点で素材を取り出し、そのまま圧延することも可能である。
<<装置、工程の説明>>
<一貫ライン:溶解保持炉→溶湯処理装置→連続鋳造装置→同調切断装置→熱処理装置(ホモ)→ピーリング装置→矯正装置→非破壊検査装置→予備加熱装置→圧延装置→定尺切断装置>
図3において、溶解保持炉(溶解工程)は、アルミニウム合金用の原材料を溶解し、アルミニウム合金溶湯を得るためのものである。
溶湯処理装置(溶湯処理工程)は、溶解保持炉からのアルミニウム合金溶湯中のアルミニウム酸化物および水素ガスをインラインで除去するためのものである。
連続鋳造装置(連続鋳造工程)は、溶湯処理装置から供給されるアルミニウム合金溶湯から、後述するように、アルミニウム合金連続鋳造棒を鋳造するもので、本例では、水平式の連続鋳造装置である。
同調切断装置(切断工程)は、連続鋳造装置で鋳造したアルミニウム合金連続鋳造棒を、後述するように、定尺に切断するものである。
熱処理装置(熱処理工程)は、同調切断装置で切断した定尺のアルミニウム合金連続鋳造棒を均質化熱処理するものである。
ピーリング装置〔外周除去装置(外周除去工程)〕は、熱処理装置で熱処理したアルミニウム合金連続鋳造棒の外周部分を除去するものである。
矯正装置〔曲がり矯正装置(矯正工程)〕は、熱処理装置で熱処理したアルミニウム合金連続鋳造棒の内部を次の非破壊検査装置で検査する場合、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部を精度よく検査できるようにするためにアルミニウム合金連続鋳造棒の曲がりを矯正するものである。
非破壊検査装置(非破壊検査工程)は、矯正装置で曲がりを矯正したアルミニウム合金連続鋳造棒の内部に、欠陥があるかないかを検査するものである。
予備加熱装置は、圧延装置に投入する棒材を予熱処理するものである。
圧延装置は、予備加熱した棒材を圧延により連続圧延材に形成するものである。
定尺切断装置は、圧延装置により形成された連続圧延材を切断により定尺圧延材を製造するものである。
また、溶解保持炉→溶湯処理装置→連続鋳造装置→同調切断装置→ピーリング装置→熱処理装置(ホモ、均質化処理を兼ねる。)→圧延装置→定尺切断装置の順とすることもできる。
そして、図3のうち、溶解保持炉、連続鋳造装置、熱処理装置(ホモ)、ピーリング装置、圧延装置、定尺切断装置をミニマムシステムとして配設することにより、連続鋳造装置における鋳造材の連続鋳造、熱処理装置(ホモ)による熱処理、ピーリング装置における鋳造材の表層部切除、圧延装置における棒材の圧延による連続圧延材の形成、定尺切断装置における連続圧延材の切断による定尺圧延材の製造が連続して行える。
図4は水平式連続鋳造装置の一例を示す説明図である。
図4において、202はアルミニウム合金溶湯1を溜めるタンディッシュを示し、側壁に開口203が設けられている。
204は耐火性板状体を示し、タンディッシュ202の外側に開口203を囲むように取り付けられ、開口203に連通する注湯孔205が設けられている。
302は水平式連続鋳造装置301を構成する筒状の鋳型を示し、中心軸がほぼ水平となるように耐火性板状体204に取り付けられ、鋳型302とアルミニウム合金溶湯1との間の円周上へ、耐火性板状体204と鋳型302との間から気体を供給する気体供給路303と、鋳型302とアルミニウム合金連続鋳造棒2との間の円周上へ潤滑油を供給する潤滑油供給路304と、出口でアルミニウム合金連続鋳造棒2の周囲へ冷却水を供給する冷却水供給路305とが設けられている。
図示を省略した溶湯処理装置からタンディッシュ202内へ供給されたアルミニウム合金溶湯1は、耐火性板状体204の注湯孔205から、中心軸がほぼ水平となるように保持された鋳型302内へ供給され、鋳型302の出口で強制冷却されてアルミニウム合金連続鋳造棒2となる。
ここで、タンディッシュ202内に貯留するアルミニウム合金溶湯1の組成について説明する。
アルミニウム合金溶湯は、特に、Siを8質量%〜12質量%(好ましくは9質量%〜11質量%。)含有するものは、アルミニウム合金連続鋳造棒2中のアルミニウムとケイ素とが微細な共晶と称する層状構造を構成するため、機械的特性に優れ、かつ、硬質なケイ素により耐摩耗性が向上するために好ましい。
アルミニウム合金連続鋳造棒の合金成分の組成比は、例えば、JIS H 1305に記載されているような光電測光式発光分光分析装置により確認できる。
水平連続鋳造装置について説明したが、冷却速度を大きくすることができ、棒形状の鋳造ができる装置であれば、他に縦型連続鋳造装置、DC連続鋳造装置、ホットトップ鋳造装置、気体加圧式ホットトップ鋳造装置、電磁鋳造装置などを用いることができる。
図5(a),(b)は同調切断装置の一例を示す説明図であり、図5(a)は側面図、図5(b)は平面図に相当する。
図5において、306はガイドローラを示し、鋳型302の出口付近に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を支持して誘導するものである。
307はピンチローラを示し、ガイドローラ306に隣接させて下流(アルミニウム合金連続鋳造棒2の移動する方向、以下、同じ。)に設けられ、上下のローラでアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を挟持し、図示を省略した駆動機構によって鋳型302の鋳造速度と同一速度でアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を引き出して移送するものである。
402は同調クランプ機構を示し、ピンチローラ307に隣接させて下流に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を油圧機構によって押圧把持したり、解放するものである。
403は駆動機構を示し、同調クランプ機構402の下側に設けられ、同調クランプ機構402をアルミニウム合金連続鋳造棒2の列に沿って上流(アルミニウム合金連続鋳造棒2の移動する方向と逆方向、以下、同じ。)へ駆動したり、同調クランプ機構402の動きを自由にするものである。
404は支持ローラを示し、同調クランプ機構402の移動に支障をきたさない下流に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を支持するものである。
405は移動架台を示し、支持ローラ404の下流に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列に沿って往復動するものである。
406A,406Bは軌条を示し、移動架台405に、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列に直交させて所定間隔で設けられている。
407A,407Bはモータを示し、モータ407Aは軌条406Aに対応させてアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の幅方向の外側の移動架台405に設けられ、モータ407Bは軌条406Bに対応させてアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の幅方向の外側の移動架台405に設けられている。
408A,408Bは切断機を示し、モータ407A,407Bによって駆動され、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の半分ずつを切断するものである。
409は移動架台クランプ機構を示し、移動架台405に設けられ、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列を油圧機構によって押圧把持したり、解放するものである。
410は駆動機構を示し、移動架台405の下側に設けられ、移動架台405をアルミニウム合金連続鋳造棒2の列に沿って上流へ駆動したり、移動架台クランプ機構409の動きを自由にするものである。
411は長さ検出器を示し、移動架台405の下流側に取り付けられ、切断するアルミニウム合金連続鋳造棒2の長さを検出するものである。
なお、水平式連続鋳造装置301は、鋳型302〜ピンチローラ307で構成されている。
また、同調切断装置401は、同調クランプ機構402〜長さ検出器411で構成されている。
まず、鋳型302から出るアルミニウム合金連続鋳造棒2の列は、ガイドローラ306で支持されて誘導された後、ピンチローラ307によって平列に挟持され、図示を省略した駆動機構の駆動力によって鋳造速度で移送される。
そして、移送されるアルミニウム合金連続鋳造棒2の列は、同調クランプ機構402で押圧挟持される。このとき、駆動機構403は同調クランプ機構402の移動を自由にしているので、同調クランプ機構402は、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列の移送に伴って移動する。
この間、移動架台405は駆動機構410によって上流側、すなわち、ピンチローラ307の方向へ移動させられ、所定の位置に達して停止し、駆動装置410が移動架台405に対して移動自由な待機状態となる。
そして、移送されているアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の先端が長さ検出器411に当接すると同時に、移動架台クランプ機構409がアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を把持し、切断機408A,408Bが作動するが、移動架台405はアルミニウム合金連続鋳造棒2の列とともに移動するので、アルミニウム合金連続鋳造棒2は移送方向に対して直角に切断される。
そして、切断が終了すると、切断機408A,408Bは、元の位置に戻り、同時に移動架台クランプ機構409が解放され、移動架台405は駆動機構410によって上流側へ移動させられ、所定の位置に達して停止するとともに、駆動装置410が移動自由となって待機状態になる。
一方、同調クランプ機構402は、移動架台クランプ機構409がアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を把持した直後にアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を解放し、駆動機構403によって上流側へ移動させられ、所定の位置に達して停止するとともに、駆動装置403が移動自由となって待機状態になる。
この待機状態の同調クランプ機構402は、切断機408A,408Bによるアルミニウム合金連続鋳造棒2の列の切断が終了し、移動架台クランプ機構409がアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を解放する直前にアルミニウム合金連続鋳造棒2の列を把持し、アルミニウム合金連続鋳造棒2の列とともに移動する。
均質化処理の炉は、バッチ式と連続式とがある。
バッチ式は、台車に仮梱包した材料を積載し、炉に横から台車ごと挿入する。昇温、保持を行ってから、通常は、空冷の冷却炉へ入れ替える。この冷却炉にて常温まで冷却した後、台車から降ろす。バッチ式の場合は、積載位置、梱包位置により、昇温時の温度のバラツキが生じるので、雰囲気が保持温度になってから、材料全体が保持温度になるまで時間がかかる。従って、場所により保持時間に差ができるが、全体が一定時間以上になるような設定を行うことで問題は無い。
連続式は、入口からコンベア等により、順次材料を炉に挿入していき、均熱帯を通過する間に定温での保持を行う。その後、冷却帯を通り、常温まで冷却する。材料が梱包されていないので、均熱帯を同じ様に動いていくため、全材料の温度履歴にバラツキが少ない。また、連続して取り出せるので、前工程の鋳造から後工程のピーリングの連続ラインとしてつくり易い。
表面に発生した偏析層は、合金成分濃度が高いため、その後の圧延によって割れが発生しやすい。割れが偏析層内で止まっている場合は鋳造圧延材の皮むきによって除去することが可能であるが、割れが鋳造圧延材内部まで伝播すると、皮むきでは除去できず、製品価値の無いものとなる。従って、圧延前に偏析層を除去しておけば、圧延による割れの発生を防止することができる。また、偏析層のある圧延材切断で生じる切断刃の寿命低下も防ぐことができ、切断面の品質向上も図ることができる。
図6において、611は搬送ローラを示し、側面から見てアルミニウム合金連続鋳造棒3を上下分割で搬送保持する4つで構成され、隣り合う搬送ローラ611同士は、搬送するアルミニウム合金連続鋳造棒3の長さに応じて所定間隔に設定されている。
616は切削刃を示し、搬送ローラ611で長手方向へ搬送されるアルミニウム合金連続鋳造棒3の円周上に、外周部分を削り残しがなく切削できるように、90度分割で4つ配設され、図示を省略した切削刃駆動機構で回転駆動される。
617は外周を除去されるアルミニウム合金連続鋳造棒3をガタつかないように支持する支持ローラ、618は外周を除去されたアルミニウム合金連続鋳造棒4をガタつかないように支持する支持ローラを示し、アルミニウム合金連続鋳造棒3,4を60度分割で支持する。
なお、外周除去(ピーリング)装置601は、搬送ローラ611、切削刃616〜支持ローラ618などで構成されている。
まず、各搬送ローラ611を、図示を略した駆動機構で回転させるとともに、図示を省略した切削刃駆動機構で切削刃616を回転させる。
そして、搬送ローラ611の間へアルミニウム合金連続鋳造棒3を導入することにより、アルミニウム合金連続鋳造棒3は順次搬送ローラ611で左側へ送られ、回転する切削刃616で外周部分(例えば不均一組織である鋳肌。)を削り残しなく切削され、所定の外径のアルミニウム合金連続鋳造棒4となる。
また、外周除去工程において鋳肌を除去する際に発生した切粉を連続的に破砕して溶解工程へ戻すことが好ましい。例えば、切粉破砕機を用いて切粉を微小にし、その微小な切粉を加圧エアを用いて圧送する。その結果、発生した切粉を一次的に貯留し、オペレータが貯留した切粉をフークリフトなどで運搬する手間がなくなるため、一貫連続運転をより容易に実施できる。
鋳造した状態のアルミニウム合金連続鋳造棒は長さ方向に曲がりを有しており、鋳造後に熱処理を施した場合、さらに曲がりは大きくなり、例えば60mmφ以下の細径では非破壊検査装置などへ投入するに際して無視できないレベルとなる。例えば、曲がりが5mm/1000mm以上になると、非破壊検査装置としての超音波検査装置などで検出器と被検査面であるアルミニウム合金連続鋳造棒側面との隙間にバラツキが生じ、検出結果にバラツキが生じる恐れがある。また、非破壊検査装置などの投入口に設けられている、隙間のバラツキを抑えるためのガイドブッシュを通過させる際、ガイドブッシュに接触してアルミニウム合金連続鋳造棒の表面に傷が付いてしまう恐れがある。
ここで、5mm/1000mmとは、長手方向1000mmに対して曲がり量が5mmであることを意味する。
図7において、702はローラ対を示し、平面に見て軸線が交差するように配設された上下一対の凹形ローラ703、凸形ローラ704で構成され、隣り合うローラ対702同士は、矯正すべきアルミニウム合金連続鋳造棒4の外径に対応させた最適値に設定されている。
αはロール角度を示す。
なお、矯正装置701は、ローラ対702などで構成されている。
まず、各ローラ対702の各ローラ703,704の少なくとも一方を、図示を省略した駆動機構で回転させる。
そして、例えば右端のローラ対702の各ローラ703,704の間へアルミニウム合金連続鋳造棒4を導入することにより、アルミニウム合金連続鋳造棒4は回転しながら左側へ送られ、曲がりを矯正されるとともに、真円に矯正される。
このようにして曲がりを矯正したアルミニウム合金連続鋳造棒の内部に欠陥があると、圧延加工した製品が不良品となるので、アルミニウム合金連続鋳造棒の内部に欠陥があるかないかを非破壊検査装置で検査することが望ましい。
この非破壊検査装置として超音波探傷検査装置を用いるのが好ましい。超音波探傷は探触子から照射された超音波の被検査体、すなわち、アルミニウム合金連続鋳造棒中での挙動により内部検査を行うことができるからである。内部検査の方式としては、他にX線透過検査があるが、X線を発生させるために高電圧装置が必要なことなど、設備の管理に手間がかかる。また、X線透過検査は、その原理上、異物などの体積を有する欠陥の検出能力が高いが、体積が小さく、品質特性上甚大な影響を及ぼす割れのような欠陥の検出能力が劣る。
一方、超音波探傷は割れに対しても検出能力が高く、また、検出した電気信号を処理することにより、画像処理が必要なX線と比較して、欠陥の自動判定が容易に可能となり、検査の精度が高く安定した検査ができる。
バッチ処理炉、トンネル式誘導過熱炉を用いることができる。
また、圧延装置に導入される鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒)の温度は、ある程度の高温を保っていることが好ましい。高温であれば、圧延時の変形抵抗が低減され、圧延ローラの負荷が小さくなり、圧延ローラの摩耗や破損も生じにくくなる。しかし、過度に高温である場合は、変形抵抗が小さくなりすぎ、圧延ローラの表面形状が転写されにくくなるおそれがある。また、粒界割れを起こすため、圧延装置に導入される鋳造材の温度は、400℃〜(固相温度)が好ましく、特に本合金では、450℃〜480℃が好ましい。
図8(a),(b)は圧延装置の一例を示す説明図であり、図8(a)は前段側、図8(b)は後段側に相当する。
図8において、圧延装置1001は、連続断面に成形するための複数の圧延ローラ1012Aを1組とする圧延スタンド1011Aと、連続断面に成形するための複数の圧延ローラ1012Bを1組とする圧延スタンド1011Bとを有する。
圧延スタンド1011A,1011Bは、図8(a),(b)に示すように、回転軸1016A,1016Bで回転する、回転方向の両端につば部1014A,1014Bを有する3つの圧延ローラ1012A,1012Bを120度毎に配置して3方向から圧延するようにしたものである。さらに、設置された複数の圧延スタンド1011A,1011Bの圧延ローラ1012A,1012Bの配置は、次段ではその角度を変えてあるので、圧延方向が前段とは異なるようにしてある。そして、圧延ローラ1012A,1012Bが設置された複数の圧延スタンド1011A,1011Bの圧延ローラ1012A,1012Bの径は後段に行くに従って大きくしてあるので、圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)の径は次第に小さくなっていく。他に圧延ローラの成形面の形状を次第に変えていく、例えば、曲率半径を次第に変えていく方法でも良い。
なお、圧延装置を構成する圧延スタンドは、2つに限定されず、少なくとも2つ以上であればよい。そして、1つの圧延スタンドを構成する圧延ローラ数は限定されない。また、1つの圧延スタンドでは5%〜30%の圧延率で圧延が行われる。そして、複数段の圧延において、圧延率は、開始側が大きく、定尺切断側に向かって徐々に小さくなっていくのが変形抵抗を下げる意味では好ましい。また、得られた圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒棒)の断面の真円度が向上するので好ましい。
引抜きは、通常、アルミニウム押出品で行われている超鋼ダイスにて径公差を揃え、真円度を出すために使用される。
圧延品の先端をダイスに入るように若干細くするために口付け作業を行う。口付機は、材料先端を叩いて鍛伸する方式のものが一般に使用されている。口付け後、その先端をダイス内に入れ、反対側から掴んで引抜く。これは、通常、口付機と引抜機とが隣接した場所で材料(アルミニウム合金連続鋳造棒)を送りながら行われる。引抜の径は、0.5mm程度落とすことで十分である。引抜き時は、潤滑油として鉱物油が用いられる。
通常のダイスの代わりに、皮むきダイスを使用することも可能である。これは、通常の引抜きダイスが減面することで径を揃えることの代わりに、積極的に表面を削ってしまおうとするものである。この場合、表面の削り代は、0.数mmが限度である。
引抜きの代わりに、センターレス研磨を行うことで、より表面状態を良くすることが出来る。これは、図10に示すように、研削砥石1101と調整砥石1102との間に加工材(被研磨材、アルミニウム合金連続鋳造棒5)を挟み、各砥石1101,1102を回転させながら加工材を、支持台1106上で回転させて研磨するものである。これは、前後に送り装置を設ければ、連続して送ることが出来るとともに、先端の加工がいらない。これにより、適切な条件を選ぶことで真円度は、引抜と同等以上にできる。
図11は定尺切断装置の一例を示す説明図である。
定尺切断装置1201は、連続的に圧延されてくる連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)を所要の長さの定尺の定尺圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒)に切断する。しかし、鋳造速度に応じて圧延速度を調整したり、圧延時のローラ滑りにより連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の速度が変化することがあり、必ずしも連続圧延材の速度は一定ではないため、一定時間間隔で切断すると切断長がばらつくことがある。そのため、正確に所期する長さに切断するために、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の実送り量を常時計測しながら切断タイミングを設定することが好ましい。測長手段は何ら限定されないが、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)にエンコーダ付ローラを接触させて送り量を測定する測長ローラ1202、あるいは非接触式のレーザ式測長装置を例示でき、正確に測長できる点で測長ローラ1202を推奨できる。
(イ)定尺切断装置1201前に設置された移動検出器1205(例えば移動量を検出する測長手段、測長器、測長ローラなど。)にて連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の移動量を計測する。移動検出器1205もしくは制御装置1206にて、検出した移動量より移動速度を算出する。移動検出器で移動速度を直接検出できるものを用いても良い。
(ロ)移動検出器1205での計測結果と制御装置1206上に予め設定した切断長さを基に、制御装置1206が切断タイミングを設定する。
(ハ)(ロ)で設定した切断タイミングで切断するように、台車が走行開始して連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)と同じ速度になるまで加速する。
(ニ)設定された切断タイミングで連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)をクランプし、切断する。
(ホ)切断終了とともに連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)はアンクランプされ、その後台車は減速し、必要に応じてブレーキがかかる。
(ヘ)台車は次の切断のために初期位置へ戻るために、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の走行方向と逆方向に走行する。
(ト)(イ)へ戻り繰り返す。
(a)台車の加速能力、加速カーブは予め調査しておき、そのデータは制御装置1206に入力される。
(b)切断動作を実行する切断位置を設定する。
(c)(a)のデータと(b)のデータとから台車が切断位置まで移動するのに必要な時間が算出される。
(d)一方、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の測長結果、速度演算(または計測)結果より、連続圧延材の切断箇所が、いつ切断位置に達するかを算出する。
(e)(d)で算出された切断時間に台車が切断位置に到達するようにタイミングを逆算して台車移動開始時刻を設定する。
(f)必要に応じて上記サイクルに合うように、(b)の切断位置、台車の待機位置を調整する。
(g)連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)と同じ速度になっているか否かをモニタして台車の速度を制御する。例えば、台車に速度検出器を搭載して連続圧延材の速度を検出しモニタしてその相対速度がゼロとなるように台車速度を制御する。または、連続圧延材と台車とに、別々に速度を検出する検出器を配備し、それぞれの速度を検出、モニタしてその差がゼロになるように台車速度を制御する。
(h)このように速度が制御されている状態で切断開始の位置を以下の(h1)〜(h4)のようにトレースして見つけ出し、クランプして切断する。
(h1)移動検出器で切断長さに対応した切断箇所を検出した時点で、その時点から時間、連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)の速度を計測開始して(例えば制御装置にタイマを配備しておく。)、その時間、速度から切断箇所の移動位置を演算してトレースする。
(h2)または、移動検出器で切断箇所を検出したら、マーキング装置で連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)表面にマーキングし、一方切断台車にそのマークを検出する検出器を搭載して切断箇所の移動位置をモニタする。
(h3)一方、移動検出器で切断箇所を検出したら、台車の待機位置、加速能力を考慮して、台車をスタートさせ、移動している切断箇所に到達したときに台車と連続圧延材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)との速度が同じになるように台車は加速される。
(h4)速度が同じになって、切断箇所を捕まえた時点(切断タイミング)でクランプして、切断を開始する。
これらの切断手段の材質は特に限定されないが、せん断刃としては、ハイス鋼や超硬材、あるいはこれらにTiN、TiC、TiAlN、CrN、DLC等の表面処理を施したものを推奨できる。これらの材質や表面処理は耐摩耗性に優れるとともに、被切断材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)が凝着しにくく、高寿命とすることができる。
鋸刃についても外径や材質を限定するものではないが、刃先部に超硬チップをろう付したチップソーを推奨できる。これらの鋸刃であれば刃先部が摩耗しにくい。また、ハイス鋼や超硬材、あるいはこれらにTiN、TiC、TiAlN、CrN、DLC等の表面処理を施したものを推奨できる。これらの材質や表面処理は耐摩耗性に優れるとともに、被切断材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)が凝着しにくく、高寿命とすることができる。また、鋸刃の外径も被切断材(アルミニウム合金連続鋳造棒5)径に応じて適宜選定すれば良く、例えば100mmφ以下の被切断材であれば、200mmφ〜610mmφのものを推奨できる。鋸刃の直径が小さくなると、外周長が短くなって刃数が少なくなり、1つの刃の切削回数が多くなるために鋸刃の寿命が短くなる。逆に直径が大きくなると、鋸刃の剛性が低くなるために切断面精度が悪化する。また、鋸刃の回転数は、鋸刃の直径に応じて1000r.p.m〜3500r.p.mを推奨できる。回転数が過度に高くなると、鋸刃自体が共振することによって切断面精度が悪化するおそれがあり、回転数が過度に低くなると、切断時間が長くなってしまうためである。
<溶解保持炉→連続鋳造装置→同調切断装置→ピーリング装置→熱処理装置(ホモ、均質化処理)→圧延装置>
ピーリング工程を熱処理工程の前で行う(処理する)こともできる。その場合は、熱処理工程を1回とすることにより、均質化の加熱処理と圧延前の加熱処理を兼ねることができ、工程を省略化できるので好ましい。
本発明における圧延材の他の形状について説明する。
棒材を圧延する際に長手方向に垂直な断面の形状が長手方向で変化する非連続面に圧延することにより、最終製品形状もしくはそれに近いニアネット形状の異形材を連続して製造するのに用いる圧延装置の一例について説明する。
圧延スタンド1021は、3つの圧延ローラ1022を120度毎に配置して3方向から圧延するようにしたものである。さらに、各圧延ローラ1022は、図13に示すように、ローラ本体部1023の断面において、回転軸1026から周面までの距離が周方向で変化するローラであり、前記距離が大きくて鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)を小径に圧延する小径成形部1023aと、前記距離が小さくて鋳造材を大径に圧延する大径成形部1023bとが形成されている。そして、圧延ローラ1022の回転により、小径成形部1023aと大径成形部1023bとが交互に鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)に接し、鋳造材が圧延されてこれらの形状が転写される。図12(a)は大径成形部1023bが鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)を圧延し、図12(b)は小径成形部1023aが鋳造材を圧延している状態を示している。この圧延により、図14に示すように、大径部51と小径部52とが交互に連続し、非連続断面を有する無限長の異形材(アルミニウム合金連続鋳造棒5A)に成形される。なお、図12において、1024はローラ本体部1023の回転軸方向の両端に設けられたつば部を示す。
図15において、1036は圧延ローラ1032の回転軸を示す。
なお、図16まはた図17において、1044はローラ本体部1043の回転軸方向の両端に設けられたつば部、1046は圧延ローラ1042の回転軸を示す。
また、非連続断面への圧延に際しては、必ずしも圧延ローラの全周で鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)を変形させる必要はなく、周の一部分で鋳造材を変形させ、他の部分では鋳造材を変形させることなく走行させることもできる。例えば、図12、図13に示した圧延ローラ1022を用いる場合、図15の連続断面成形用の圧延ローラ1032で鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)を大径部51の直径まで縮径して連続断面の丸棒に成形しておき、その後に非連続断面成形用の圧延ローラ1022で小径成形部1023aの形状を転写して縮径し、小径部52を成形する。このとき、圧延ローラ1022の大径成形部1023bでは鋳造材を縮径することなく、送りローラとして機能している。前記大径成形部1023bは鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)を縮径しないため、必ずしも鋳造材に接触させなくてもよい。しかし、小径成形部1023aからの材料流動により、小径成形部1023aと大径成形部1023bとの境界部およびその近傍で拡径されてしまうことがある。このような現象を防止するため、大径成形部1023bで縮径しない場合でも大径成形部1023bが鋳造材(アルミニウム合金連続鋳造棒4)に接触するように大径成形部1023bを設計し、大径成形部1023bで鋳造材を拘束することが好ましい。
また、圧延ローラ1022の圧延面の形状は、成形過程において素材の流動を考慮した体積バランスを得られるような形状とすることが好ましい。例えば、体積バランス調整のための駄肉部を形成するための凹部および/または凸部を、成形品のつなぎ目箇所に対応する圧延面に設けることができる。
圧延品は、20.5mmφとなり、続いて引抜ダイスを用いて20.0mmφに引抜いて加工した。得られた引抜き材の一部を切断し、400℃に加熱し、2点支持し中央で90度に押し込んで曲げた。このときの曲げ部の割れの有無(○:割れ無し、×:割れ有り。)を見た。また、別に試験片として一部を引張試験用に切断し、495℃×2hrの熱処理後、水冷し、170℃×8hrの時効を行った(溶体化処理)。その後、引張試験用に切断した端面を一部取り、その断面マクロ組織を目視観察した。全面1mm以下の細かい粒状晶であった。その後、引張試験用試験片に加工し、試験を行った。
ここで、
同時に別の比較例として、プロペルチ連続圧延機にて鋳造、圧延して得られた、20.5mmφの棒材を得た。その後、引抜きダイスにより、上記同様に20.0mmφまで引抜き、上記と同様の試験を行った(No.3,6,10)。前と同様なT6処理(溶体化処理)後の検査で、断面マクロ組織は、数mmの粗い粒状晶と、1mm以下の粒状晶との混在した組織であった。
更に、別の比較例として、50mmφの水平連続鋳造品を均質化処理後、20.5mmφまでピーリング機により面削して、削り出しにより20.0mmφの棒材を得た。これを同様の試験材に加工し、上記と同様に試験した(No.7,11)。これをT6処理(溶体化処理)し、断面マクロ組織を目視観察したが、柱状晶がつぶされた組織と、数mmの粗い粒状晶との混在した組織であった。
2〜5B アルミニウム合金連続鋳造棒
51 大径部
52 小径部
53 大径部
54 小径部
55 くびれ
202 タンディッシュ
203 開口
204 耐火性板状体
205 注湯孔
301 水平式連続鋳造装置
302 鋳型
303 気体供給路
304 潤滑油供給路
305 冷却水供給路
306 ガイドローラ
307 ピンチローラ
401 同調切断装置
402 同調クランプ機構
403 駆動機構
404 支持ローラ
405 移動架台
406A 軌条
406B 軌条
407A モータ
407B モータ
408A 切断機
408B 切断機
409 移動架台クランプ機構
410 駆動機構
411 長さ検出器
601 外周除去装置
611 搬送ローラ
616 切削刃
617 支持ローラ
618 支持ローラ
701 矯正装置
702 ローラ対
703 凹形ローラ
704 凸形ローラ
1001 圧延装置
1011A 圧延スタンド
1011B 圧延スタンド
1012A 圧延ローラ
1012B 圧延ローラ
1014A つば部
1014B つば部
1016A 回転軸
1016B 回転軸
1021 圧延スタンド
1022 圧延ローラ
1023 ローラ本体部
1023a 小径成形部
1023b 大径成形部
1024 つば部
1026 回転軸
1031 圧延スタンド
1032 圧延ローラ
1036 回転軸
1041 圧延スタンド
1042 圧延ローラ
1043 ローラ本体部
1043a 小径成形部
1043b 大径成形部
1043c 突起
1044 つば部
1046 回転軸
1101 研削砥石
1102 調整砥石
1106 支持台
1201 定尺切断装置
1202 測長ローラ
1203a 上側拘束治具
1203b 下側拘束治具
1204 シャー
1205 移動検出器
1206 制御装置
α ロール角度
Claims (7)
- Siを8質量%〜12質量%、Cuを2質量%〜5質量%、Mgを0.2質量%〜1.0質量%含有し、Feを0.2質量%〜0.4質量%及び/又はMnを0.2質量%〜0.4質量%含有し、残部が不可避的不純物とアルミニウムである組成の合金を、
冷却速度を1℃/sec〜15℃/secとして100mmφ以下の径で水平連続鋳造し、
470℃〜495℃、1時間〜5時間の条件による均質化熱処理又は前記均質加熱処理の代用として行う400℃〜490℃で1時間以上保持する圧延前の加熱処理と、表面面削処理とを施し、
圧下率を75%以上として、圧延率5%〜30%で複数回圧延し、
引抜又はセンターレス研磨加工を施して20.0mmφ以下のアルミニウム合金棒を製造する、
ことを特徴とするアルミニウム合金棒の製造方法。 - 前記20.0mmφ以下で製造したアルミニウム合金棒に対し、水冷し、170℃×8
hrの時効を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金棒の製造方法。 - 前記20.0mmφ以下で製造したアルミニウム合金棒に対し、370℃〜390℃×
2hr〜4hrの熱処理後、そのままの状態で炉冷することにより焼鈍熱処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金棒の製造方法。 - 前記合金に対して直接水冷しながら鋳造する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金棒の
製造方法。 - 水平連続鋳造における冷却速度を、4℃/sec以上とした、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金棒の
製造方法。 - 均質化熱処理又は前記均質加熱処理の代用として行う400℃〜490℃で1時間以上保持する圧延前の加熱処理の前に表面面削処理を行うことにより、均質化熱処理と圧延前の加熱処理とを1回の工程で済ませる、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金棒の製造方法。 - 圧延における入口での元材の温度が固相温度から5℃以上低く且つ400℃以上であり
、出口温度が100℃〜300℃である、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金棒の
製造方法。
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