JP3846785B2 - 閉塞鍛造方法、金型及び閉塞鍛造生産システム - Google Patents

閉塞鍛造方法、金型及び閉塞鍛造生産システム Download PDF

Info

Publication number
JP3846785B2
JP3846785B2 JP2002091073A JP2002091073A JP3846785B2 JP 3846785 B2 JP3846785 B2 JP 3846785B2 JP 2002091073 A JP2002091073 A JP 2002091073A JP 2002091073 A JP2002091073 A JP 2002091073A JP 3846785 B2 JP3846785 B2 JP 3846785B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
forging
product
forged product
die
pressing direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002091073A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002361354A (ja
Inventor
政行 夏井
隆文 中原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko KK
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2002091073A priority Critical patent/JP3846785B2/ja
Publication of JP2002361354A publication Critical patent/JP2002361354A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3846785B2 publication Critical patent/JP3846785B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Forging (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、閉塞鍛造方法、閉塞鍛造方法で用いる金型、閉塞鍛造方法による鍛造生産システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図2に示す複数の枝部21,22,23を有するヨーク43は、車両用サスペンションに使用する継ぎ手部品の一つとして用いられている。
【0003】
従来、このヨーク43は、図3に示すように中実丸棒材31を鍛造用素材として鍛造製品の外側にバリ32を出して鍛造する、いわゆるバリ出し鍛造法で成形していた。
【0004】
また、別の方法として、図4に示すように、断面形状が製品とほぼ近い形に素材を押出し、切断して素材41とし、この素材41の突出部42をさらに機械的に切削加工しヨーク43に仕上げていた。
【0005】
一方、最近は車両用サスペンション部品として、軽量化を目的として従来の鉄材料に代わりアルミニウム合金を使用したものが増加している。特に機械的強度の向上を図り、かつ製品に使用する材料を低減させる為、これら車両用サスペンション部品は鍛造で製造されている。例えば、車両用サスペンションに用いられるアッパアームやロアーアーム等及びサスペンションを構成する部品の1つとして用いられてきている。
【0006】
従来、図5に示す車両用サスペンション部品であるアッパーアーム54は、例えば、3方向に枝状の部分51,52,53を有するため一回の鍛造工程では製造することが困難である為、まず最終製品の形状に近い図6に示すような粗形材61を鍛造によって製造し、更に複数回の鍛造工程を経由して図5に示すアッパーアーム54を製造している。
【0007】
具体的には、例えば図7に示す中実丸棒71から粗形材鍛造用金型で鍛造し、外側にバリ72を有する鍛造品よりトリム金型によりバリ72をバリ取り加工し、得られた粗形材73を複数回鍛造してアッパーアーム74を得ている。ここで、バリ72による材料ロスを低減するために、粗形材鍛造用金型は1つの中実丸棒素材71から複数の鍛造製品73aが一度に得られるような形状とすることがおこなわれている。
【0008】
一方、図8に示すVTR用シリンダー等の単純な円形の製品81を円板状の素材82から鍛造する方法として、バリを出さない閉塞鍛造方法が知られている。閉塞鍛造方法を用いて複数の枝状の部分を有する製品を製造する方法としては、特開平1−166842号公報に開示されているものが知られている。この開示されている方法は図9に示すように、放射状に複数の枝状部分を有する製品を鍛造する方法において、素材として中実丸棒材を用い、中実丸棒材をパンチ91で加圧しながら金型93,94内のインプレッションに押出し、放射状に広がった枝状の分岐部92を閉塞鍛造で形成する方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述した、ヨークを製造する従来の製造方法では、例えば、図3のバリ出し鍛造では、鍛造後にバリ除去を施すトリム工程が必要であり、バリ部が不要部となるために鍛造用素材に対する鍛造製品の歩留まりが悪かった。また、鍛造製品の加圧方向に対する投影面積が大きい為、大きな加圧力を有する大型で高価な鍛造機械が必要であり、生産コストが高くなる。
【0010】
また、押出品を切断したものを素材とし、切削加工で仕上げてヨークを製造する図4の方法においては、突出部42を切削加工により成形するために切削加工代が多くなり、その結果、素材41に対する製品歩留まりが悪く、また切削加工のための作業工数が必要となり、生産コストが高くなる。
【0011】
一方、車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアーム粗形材の従来の製造方法も、後工程でバリ除去を施すトリム工程が必要であり、バリ部が不要部となるために素材に対し得られるアッパーアームやロアアーム粗形材の製品歩留まりが悪かった。また、鍛造製品の加圧方向に対する投影面積が大きい為、大きな加圧力を有する大型で高価な鍛造機械が必要な為、生産コストが高くなる。
【0012】
上述の特開平1−166842号公報に記載されている閉塞鍛造方法では放射状に広がった枝状の分岐部92(図9)に、円柱状の素材を切断面の方向から加圧して素材を塑性流動させることを前提としているため、分岐部92が長い場合や分岐部92の形状が異なる場合には、素材の塑性流動速度や方向が鍛造製品各部で異なることが原因による欠肉や鍛造製品表面に発生するかぶりきず等の鍛造欠陥が発生するおそれがある。
【0013】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、複数の枝部を有する部材を製造する閉塞鍛造方法において、鍛造する際の加圧力を低減させ素材に対する製品の歩留まり向上を図る鍛造方法、上記方法に用いる金型および上記金型を用いた生産システムを提供することを目的としている。
また、この発明の他の目的は、車両用サスペンション部品やその粗形もしくはヨークを安価に、かつ効率よく製造できる方法を提供することにある。
更に、この発明の他の目的は、鍛造用素材を製品の複数の枝部に沿って塑性流動させて鍛造製品の枝部のメタルフローを層状とさせることによって、機械的強度を高めた鍛造製品を提供することにある。
【0014】
本明細書中で『素材』とは、一度も鍛造を行っていない物品を意味し、鋳塊、鍛造用素材、切断品、中実丸棒材、材料、中実丸棒、中実丸棒素材、円柱状素材、丸棒材、連続鋳造丸棒、円盤、ビレット材が含まれる。
本明細書中で『粗形材』とは、鍛造工程によって得られた製品であるが、最終製品とするには更に一回乃至複数回の鍛造工程を要する製品であって、粗材、荒地鍛造用粗材、荒地粗材が含まれる。
本明細書中で『鍛造製品』とは、鍛造工程を経て得られる製品を意味し、部材、製品、最終製品、鍛造品、鍛造済品が含まれる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、鍛造製品を製造する閉塞鍛造方法において、
鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比(短軸長/加圧方向の長さ)が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊である鍛造用の素材を、ダイスとパンチとで囲まれる鍛造製品を成形する空間の体積が上記鍛造製品の体積と同一で、上記ダイスで囲まれた上記鍛造製品を成形する空間の形状が加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比(短軸長/加圧方向の長さ)が1以下で、上記空間の短軸長と上記円柱状の素材の短軸長との比(円柱状の素材の短軸長/空間の短軸長)が1以下である形状の金型内に、上記円柱状の素材の上底面及び下底面を上記空間の投影面における短軸方向の両端面に一致させて投入し、上記円柱状の素材の側面から加圧することにより、上記円柱状の素材の上底面、下底面及び側面の輪郭を上記鍛造製品の輪郭に一致するように上記円柱状の素材を加圧方向及び加圧方向に垂直な方向に塑性流動させて上記鍛造製品を製造する。
上記円柱状の素材は、その直径(R)と厚さ(T)との比(T/R)の値が1以下であって、かつ上記鍛造製品の体積(V)と同一の体積であるように切断した円柱状の切断品であることを含む。
上記閉塞鍛造方法は、鍛造製品の体積(V)と、円柱状の素材の厚さ(T)と、鍛造製品の加圧方向に対する投影面積の長軸長(L)と、円柱状の素材の直径(R)との関係が、
【数2】
Figure 0003846785
であることを含む。
上記円柱状の素材の厚さ(T)が0.8〜1.0×(鍛造製品の加圧方向に対する投影面積の短軸長(t))であることを含む。
上記鍛造用の素材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることを含む。
また、本発明の閉塞鍛造方法に用いる鍛造用金型は、パンチとダイスとノックまたは、パンチと稼働機構を有するダイスを含むことから成る。
更に本発明に依る素材切断装置と、鍛造機械とを含む閉塞鍛造生産システム、上記鍛造機械がパンチとダイスとノックから成る金型、または、パンチと稼働機構を有するダイスとから成る金型を有することから成ることを含む。
【0016】
本発明に依る閉塞鍛造方法は、上述のように、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない円柱状の素材を用い、該円柱状の素材の側面から加圧するので、円柱状の素材が鍛造製品の複数の枝部に層状に塑性流動する為、鍛造製品の機械的特性が向上し、鍛造製品にはバリ取り痕が無く、円柱状の素材に対する製品の歩留まりが向上する。
また、上記閉塞鍛造方法で製造された車両用サスペンション部品であるアッパーアームまたはロアアームの粗形材、または、車両用サスペンションに使用される継ぎ手部品であるヨークは、円柱状の素材が鍛造製品の複数の枝部に層状に塑性流動するため、機械的特性が向上する。
上記閉塞鍛造方法で用いる金型は、パンチとダイスとノックおよび/またはブッシュで囲まれた空間の形状が、またはパンチ、稼働機構を有するダイスで囲まれた空間の形状が、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、円柱状の素材の側面から加圧できるように構成されているので、鍛造時の加圧力が低減でき、かつ円柱状の素材に対する製品の歩留まりが向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、鍛造製品を製造する閉塞鍛造方法とその閉塞鍛造生産システム、素材に対する製品歩留り向上、鍛造製品のメタルフローと鍛造製品の機械的強度の関係について鋭意研究をおこないその知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明に用いる鍛造用素材は、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊である。
ここで、同一である体積とは、少なくとも鍛造製品で許容される寸法公差の範囲内の体積である。例えば、製品体積の2%以内が好ましく、1%以内がより好ましい。
【0018】
鍛造用素材と鍛造製品の体積が同一でない場合、例えば、(鍛造製品体積)>(鍛造用素材の体積)の場合、鍛造製品に欠肉が発生し、また、(鍛造製品体積)<(鍛造用素材の体積)の場合、鍛造製品にバリが発生する為、そのままでは鍛造品として使用できなかったり、金型が破損することになる。鍛造製品にバリが発生した場合は、バリを取り除く工程が必要となり、作業工程が増加すると共に鍛造製品の歩留りが悪くなる。
本発明に依る閉塞鍛造方法は、複数の枝部を有する部材を製造するのに好適である。
本明細書中で、複数の枝部を有する部材とは、複数の枝端(例えば、枝部は該部材が使用されるときに他部品と結合または他部品から支持される部位となる。)から任意の経路を通り、各枝端を頂点とした多角形の範囲内にある合流部(例えば重心が挙げられる。)に向かって各枝端から枝部が伸びて合流している形状が基本形状であって上記枝部に向かって伸びる側枝を有することなく、かつ、枝端から伸びる枝部の合流部が他枝端そのもので有る場合を含む。
枝部は軽量化のために、打ち抜き穴を設けることもある。複数の枝部を有する部材は、逆に合流部から見ると合流部から複数の枝部が伸びている形状を有した部材である。伸びている枝部が合流部に対して対称な場合または非対称な場合でも本発明は適用できる。例えば、車両用サスペンション部品に使用される継ぎ手部品であるヨーク、車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアーム等などが挙げられる。これらの製品では枝部の機械的強度向上が求められる。
【0019】
本発明の閉塞鍛造方法は、加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材を用い、上記円柱状の鍛造用素材の側面から加圧することから成る。
形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状とは、例えば、底面の形状が角を含まない曲線で囲まれたものである円柱、底面の形状が角を含まない曲線で囲まれたものである円錐台、楕円柱、楕円錐台などが挙げられる。
鍛造用素材の加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1を超えた場合、加圧方向に対する投影面積が大きくなる為、鍛造加圧力が大きくなる。その結果、必要以上に鍛造加圧力が大きくなり鍛造製品の鍛造状態が不安定になるおそれがある。車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの粗形材、車両用サスペンションに使用される継ぎ手部品であるヨークを鍛造する場合にはその影響が大きい。また、より大きな鍛造加圧力を有する高価な鍛造機械が鍛造する為に必要となり、高コストとなってしまうので好ましくない。
【0020】
本発明では、上述のような素材の側面に対して加圧するので、素材の塑性流動はメタルフローが投影面積の小さい部位から長軸方向に流れることになり、そこの部位の強度を高めることができる。鍛造製品が複数の枝部を有する部材の場合、枝部のメタルフローが枝部の形状に沿って層状になり、その結果枝部の強度を高めることができる。
【0021】
鍛造用素材を丸棒材から輪切りにして切断品とする場合は、丸棒材の切断面を鍛造加圧面と同一とするのではなく、丸棒材の切断面に垂直な面、すなわち、丸棒材の側面と鍛造加圧面とを同一にする。
【0022】
丸棒材の切断面と鍛造加圧面が同一となるような鍛造方法では、車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの粗形材、車両用サスペンションの継ぎ手部品に使用されるヨークのような枝部を有する場合、切断面と切断品外周面(側面)とからなる角部が鍛造品の枝部に移動しながら鍛造用素材が枝部に塑性流動する。この時、素材の塑性流動速度や塑性流動方向が切断面と切断外周面の各部位によって異なる為、上記角部が原因となるかぶり等の鍛造欠陥が鍛造製品の枝部表面に生じることになる。その結果、該鍛造欠陥が鍛造製品の破壊起点となるおそれがあるために、より高品質の特性を要求される鍛造品としては使用できない。
【0023】
本発明では、形状が角を含まない円柱状の鋳塊を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧しているので、前記のような角部は鍛造品の外周の輪郭部と一致するように素材は塑性流動されるので鍛造品の枝部にかぶり等の鍛造欠陥が発生することを抑えることができる。また、加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下であるため、鍛造品の加圧方向に対する投影面積が小さくなり加圧荷重を小さくできる。
【0024】
円柱状の鍛造用素材の側面から丸棒材の切断品を切断面に垂直面である外周面から加圧した場合は、前記のような角部は鍛造品の外周の輪郭部と一致するように素材は塑性流動されるので鍛造品の枝部にかぶり等の鍛造欠陥が発生することを抑えることができるので好ましい。また、丸棒材を切断した切断品の直径に対して該切断品の厚さの比が1以下であるため、鍛造品の加圧方向に対する投影面積が小さくなり加圧荷重を小さくできるので好ましい。
【0025】
本発明による製法では、鍛造用素材の上底面及び/または下底面の輪郭は、角を含まず滑らかであれば良い。例えば、円、縦長楕円、横長楕円、角部が滑らかなつながりをもつ多角形形状であれば、かぶり等の鍛造欠陥が発生しない為より好ましい。
【0026】
本発明で用いられる鍛造用素材は、丸棒材を直径(R)[mm]と厚さ(T)[mm]との比(T/R)の値が1以下(好ましくは(π/4)以下。より好ましくは0.5以下。)となるように切断した円柱状の切断品であるのがコスト、素材加工の容易性の点から好ましい。
【0027】
本発明による鋳造の方法では、鍛造素材の材料として金属材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、鉄、マグネシウム、およびこれらを主成分とする合金を挙げることができる。アルミニウム合金であれば、Al−Mg−Si系合金、AlCu系合金、AlSi系合金などを挙げることができる。AlMgSi系合金としては、JIS6061合金、SU610合金を挙げることができる。
また、Al−Cu系合金であれば、JIS2024合金、2014合金等を挙げることができる。Al−Si系合金であればJIS4032合金等を挙げることができる。
【0028】
本発明に用いる素材は、連続鋳造法、押出法、圧延法等いずれの方法で製造されたもので良い。アルミニウムやアルミニウム合金の場合、連造鋳造された丸棒材が安価で好ましい。アルミニウム合金においては、気体加圧式ホットトップ鋳造法(例えば、SHOTIC材)で連続鋳造された丸棒材が、優れた内部健全性を持ち、結晶粒が微細であり、かつ、塑性加工による結晶粒の異方性がない為より好ましい。本発明の鍛造方法において鍛造素材が鍛造製品枝部により均一に層状に塑性流動し、欠肉等の鍛造欠陥が発生せず、また、製品の機械的強度を向上させる面からより好ましいからである。
【0029】
本発明に用いる素材の製造方法は、鍛造製品の体積(V)[mm3]と、丸棒の厚さ(T)[mm]と、該鍛造製品の加圧方向に対する投影面積の長軸長(L)[mm]と、丸棒材の直径(R)[mm]との関係が、
【数3】
Figure 0003846785
であることが好ましい。
【0030】
丸棒切断品の直径(R)が、
【数4】
Figure 0003846785
である場合、一回の鍛造で鍛造品枝部に素材を塑性流動させるのにプレスの能力以上の大きな加圧力が必要となる為複数回の鍛造工程が必要となり、加圧不足により目的の鍛造製品が得られず鍛造製品に欠肉が生じるおそれがある。また、この場合は素材の塑性流動距離が長くなることを意味しており、その場合鍛造素材と金型との間の潤滑膜切れが発生することにより、鍛造製品に焼きつきやかじり等の鍛造欠陥が発生し、鍛造欠陥除去の為機械加工が必要となる場合がある。また、長軸長Lが直径Rよりも小さいと、下式の如くなって、
【数5】
Figure 0003846785
丸棒切断品を鍛造金型に投入することができない為、閉塞鍛造することができない。
【0031】
本発明に用いる鍛造用素材は、丸棒材の厚さ(T)[mm]が0.8〜1.0×(鍛造製品の加圧方向に対する投影面積の短軸長(t)[mm])であることが好ましい。該丸棒切断品の厚さが0.8×t以上では、鍛造用素材が金型内で傾いたりすることはなく、金型への鍛造用素材投入位置が金型内より安定する為に、鍛造時に欠肉や偏肉、かぶり等の鍛造欠陥が生じず、品質の安定した鍛造品を製造する事ができる。また、該丸棒切断品の厚さが1.0×tを超えると鍛造用素材を鍛造金型に投入することができない為、バリの発生しない閉塞鍛造をすることができない。
【0032】
本発明の製造方法は、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧する閉塞鍛造方法であるので、鍛造時の加圧力が低減でき、かつ鍛造用素材に対する製品歩留りが優れており、鍛造品の機械的強度を向上させる効果をもっている。
【0033】
本発明の方法において、円柱状の鍛造用素材の側面から加圧することにより、車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの鍛造用粗形材を製造することができ、また、鍛造時の加圧力が低減できかつ鍛造用素材に対する製品歩留りが優れている製造方法となる。さらにこの方法で製造された車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの鍛造用粗形材は、鍛造用素材が鍛造製品の複数の枝部にそって塑性流動することにより、鍛造製品枝部のメタルフローが製品形状に沿って層状となるので、その結果、機械的強度向上が得られる為より好ましい。
本明細書中で、メタルフローとは塑性加工である鍛造によってできる鍛造製品の結晶粒の流れである。メタルフローが層状であるとは、鍛造製品形状に沿って結晶粒の流れが一様であることを示し、観察される縞状の流れが鍛造製品の形状に沿っていて表面から外に出て途切れたり、鍛造製品内部で乱れていないことである。このような状態を鍛流線が鍛造製品枝部に沿った流れになっているという。
また、JIS2014、JIS6061等のアルミニウム合金に於ては、塑性流動量が大きいほど機械的強度が向上するが、過剰な塑性流動が加わると鍛造品の一部に於いて結晶粒の粗大化が生じる。この結晶粒の粗大化により、機械的強度は大幅に低下する。従来のバリ出し鍛造方法ではパーティングライン付近の塑性流動量が大きい。従って、従来の製法に於いてはこのパーティングライン付近では結晶粒の粗大化を生じ機械的強度が低下していた。
しかし、本発明の方法はバリを生じないためパーティングラインは存在しない。従って本発明の方法は、従来の方法に比べて結晶粒の粗大化を抑制することが出来、局部的な強度の低下を生じない点で優れている。
【0034】
上述の如くこの発明の方法で製造された車両用サスペンション部品であるアッパーアームやロアアームの鍛造用粗形材はバリが発生しない為、その結果粗形材にバリ取り痕がなく、また製品歩留り向上の点からより好ましい。
【0035】
本発明の方法において、円柱状の鍛造用素材の側面から加圧することにより車両用サスペンション部品に使用される継ぎ手部品であるヨークを製造することができ、また、鍛造時の加圧力が低減できかつ鍛造用素材に対する製品歩留りが優れている製造方法となる。さらにこの方法で製造された車両用サスペンション部品であるヨークは、鍛造用素材が製品のこのような複数の枝部に沿って塑性流動することにより、製品枝部のメタルフローは層状となるので、その結果、機械的強度向上の点から好ましい。
【0036】
この方法で製造された車両用サスペンション部品であるヨークはバリが発生しない為、その結果鍛造製品にバリ取り痕がなく、また、製品歩留り向上の点から好ましい。
【0037】
次に、本発明での閉塞鍛造方法に用いる閉塞鍛造生産システムを説明する。
図10は、前述した閉塞鍛造方法を含む閉塞鍛造生産システムの構成例の一例の概略を示している。
【0038】
図10において、閉塞鍛造生産システムは、素材切断装置101と、鍛造機械105とを含んでいる。素材を加熱してから鍛造する熱間鍛造の場合であれば、素材加熱装置103を含ませることが必要である。さらに、素材供給装置102と、素材搬送装置104と、鍛造製品搬出装置106とを含ませると一貫自動生産システムに構成される。鍛造済品が最終製品の形状になっている場合は鍛造製品熱処置炉107を含ませるのが好ましい。
【0039】
素材切断装置101は、連続鋳造丸棒を鍛造製品と同体積の長さに切断するためのものである。素材供給装置102は一定量の鍛造用素材をホッパー内に保留し、次工程へ鍛造用素材を供給するためのものである。素材搬送装置104は鍛造用素材を金型へ搬送するためのものである。鍛造機械105は鍛造用素材を鍛造するためのものである。鍛造製品搬出装置106はノックアウト機構により鍛造製品を金型内から排出し次工程へ搬送するためのものである。または、分割ダイス内の鍛造製品を金型内から取り出し、次工程へ搬送する場合にも使用する。素材加熱装置103は鍛造用素材を加熱して鍛造加工性を高めるためのものでる。鍛造製品熱処置炉107は取り出した鍛造製品を連続的に溶体化・時効処理を実施する熱処理のためのものである。
【0040】
本発明の鍛造機械に取り付けられる鍛造用金型の構成例の概略を図11をもとに説明する。
【0041】
本発明の鍛造用金型は、パンチ111、ダイス112と、ブッシュ113と、ノック114を含むものである。また、必要に応じて、例えば鍛造用素材を加熱してから鍛造を行う熱間鍛造の場合、金型への潤滑剤噴霧装置115を鍛造用金型あるいは鍛造機械に取りつけることが好ましい。また、潤滑剤噴霧装置115は、潤滑装置単体として設置しその動作を鍛造機械と連動させたものでも良い。
【0042】
ここで、本発明の金型は、パンチ、ダイス、ノックおよび/またはブッシュで囲まれた空間の形状が、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧できるように鍛造用素材を設置できるようになっている。
【0043】
本発明の金型は、パンチ、ダイス、ノックおよび/またはブッシュで囲まれた空間の形状が、複数の枝部を有する部材を閉塞製造する形状になっていて、丸棒材を直径(R)[mm]と厚さ(T)[mm]との比(T/R)の値が1以下であって、かつ鍛造製品の体積(V)[mm3]と同一の体積であるように切断した円柱状の切断品を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧できるように鍛造用素材を設置できるようになっている。
【0044】
とくに、上記空間の枝部の合流付近に接触して鍛造用素材を設置できるような構成になっているのがメタルフローの点から好ましい。
【0045】
本発明の金型は、鍛造製品の体積(V)[mm3]と、丸棒材の厚さ(T)[mm]と、該鍛造製品の加圧方向に対する投影面積の長軸長(L)[mm]と、丸棒材の直径(R)[mm]との関係が、
【数6】
Figure 0003846785
となるようなパンチ、ダイス、ノックおよび/またはブッシュで囲まれた空間の形状を有していることが好ましい。
【0046】
本発明の金型は、丸棒材の厚さ(T)[mm]が0.8〜1.0×(鍛造製品の加圧方向に対する投影面積の短軸長(t)[mm])となるようなパンチ、ダイス、ノックおよび/またはブッシュで囲まれた空間の形状を有していることが好ましい。
【0047】
本発明の閉塞鍛造生産システムはパンチ、ダイス、ノックおよび/またはブッシュで囲まれた空間の形状が、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧できるように鍛造用素材を設置できるようになっている金型を有している。
【0048】
本発明の閉塞鍛造生産システムは、パンチ、ダイス、ノックおよび/またはブッシュで囲まれた空間の形状が、複数の枝部を有する部材を閉塞製造する形状になっていて、丸棒材を直径(R)[mm]と厚さ(T)[mm]との比(T/R)の値が1以下であって、かつ鍛造製品の体積(V)[mm3]と同一の体積であるように切断した円柱状の切断品を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧できるように鍛造用素材を設置できるようになっている金型を有しているのが好ましい。
【0049】
本発明の閉塞鍛造生産システムにおける鍛造用金型の構成において、ダイス、ブッシュ、ノックの組み合わせは、構成する部品点数を1つとし、例えば、ダイスのみで構成される一体型金型としても良い。または2ヶ以上の構成部品点数を組み合わせたものを1構成部品とし、例えば複数のブッシュをダイスに組み込んであるような分割型金型としても良い。金型寿命向上の点からは、分割型金型がより好ましい。
【0050】
本発明の金型は、パンチ、ダイス、ノックおよび/またはブッシュで囲まれた空間の形状が、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧できるように鍛造用素材を設置できるようになっているので、鍛造時の加圧力が低減でき、かつ鍛造用素材に対する製品歩留りが優れており、鍛造製品の機械的強度を向上させる効果をもっている。
【0051】
つぎに、図10の閉塞鍛造生産システムおよび図11の金型を用いた本発明の製造方法の一実施形態を説明する。
【0052】
本発明の閉塞鍛造方法は、
1)連続鋳造丸棒を鍛造製品と同体積の長さに切断する工程と、
2)一定量の鍛造用素材をホッパー内に保留し、次工程へ鍛造用素材を供給する工程と、
3)鍛造用素材を金型へ搬送する工程と、
4)鍛造用素材を鍛造する工程と、
5)ノックアウト機構により鍛造製品を金型内から排出する工程と、
6)取り出した鍛造製品を連続的に溶体化・時効処理を実施する熱処理工程とを含む。
【0053】
また、鍛造製品の形状が安易であり、常温にて鍛造用素材を鍛造する冷間鍛造の場合、必要に応じて、鍛造前に、鍛造用素材に化成皮膜処理を施すボンデ処理を実施する工程を追加する事が、鍛造荷重の減少、鍛造製品と金型との焼きつき防止の点から好ましい。
【0054】
また、鍛造製品形状が複雑であり、鍛造用素材を加熱してから鍛造する熱間鍛造の場合、必要に応じて鍛造用素材を予備加熱を行う工程、鍛造用素材を鍛造前に例えば、鍛造用素材に水溶性黒鉛潤滑処理を施す工程、閉塞鍛造用金型を所定の温度に予備加熱する工程、閉塞鍛造用金型に、例えば、閉塞鍛造用金型の鍛造成形部位に水溶性黒鉛潤滑剤をスプレーで噴霧する工程、もしくは、閉塞鍛造用金型の鍛造成形部位に、油性潤滑剤を噴霧する工程から選ばれる工程を追加することが鍛造荷重を減少させる点、または鍛造製品と金型との焼きつきを防止する点から好ましい。
【0055】
前述の閉塞鍛造用金型であるダイスとして、稼動機構を備えた分割ダイスを用いた構成例の概略を図12に示す。
図12において、一対の分割ダイス121は所定の間隔を隔てて鍛造品成型部が彫られている面を対面させるようにして配置されている。各分割ダイス121の背面には、腕部122がそれぞれ設けられ、上記腕部122の他端には、油圧シリンダー、電動機等の駆動機構(図示せず)が動力伝達機構を介して接続し、鍛造時には、上記駆動機構により一対の分割ダイス121は互に前進して圧着し、閉塞鍛造用金型を形成する。
鍛造終了後は、駆動機構を上記とは反対方向へ駆動して、分割ダイス121を開かせ、製品を取り出す。
分割ダイス121の背面に設ける腕部122の位置は金型の枝部が集まる位置の背面が、偏荷重が掛からないため好ましい。また精密な寸法の製品を鍛造する場合は、1個の分割ダイス121に対して、複数の腕部122を必要箇所に設け、金型を形成する。
尚、図12の実施例では、両方の分割ダイスに稼動機構を設けたが、一方の分割ダイスを固定し、他方の分割ダイスのみに稼動機構を設け、稼動させて鍛造を行っても良い。
上述の如く、分割ダイスを用いることにより、前述の閉塞鍛造用金型で得られる効果のほかに、製品の排出方向が、分割ダイス上方向のみでなく分割ダイスの開口部方向よりも可能となるため、ノックアウトストロークに関係なく製品を金型内から取り出すことができる。特に上記の閉塞鍛造用金型では得ることができない、アンダーカット形状の製品を鍛造することができる。尚、アンダーカット形状とは、ノックアウト機構を用いても金型から鍛造製品を取り出すことのできない形状のことである。
更に、金型を分割するので、潤滑油を金型全体に噴霧することが容易となり、ダイス表面のメンテナンス性が向上する。
【0056】
本発明の閉塞鍛造生産システムは、パンチ、ダイス、ノックおよび/またはブッシュで囲まれた空間の形状が、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材とし、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧できるように鍛造用素材を設置できるようになっている金型を有しているので、鍛造時の加圧力が低減でき、かつ鍛造用素材に対する製品歩留りが優れており、鍛造製品の機械的強度を向上させる効果をもっている。
【0057】
以下に本発明の実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもではない。
【0058】
〔実施例1〕
図2に示す車両用サスペンションに使用される継ぎ手部品としてのヨーク43を鍛造して製造する為、このヨーク43と同一体積のJIS6061アルミニウム合金の切断品を鍛造用素材として次のように設計した。
【0059】
まず、ヨーク43の製品体積はコンピューターによるCADシステムにより体積を計算した。計算結果より、切断品の体積を38.8[cm3]とし、この計算した製品体積に対して±1%の切断誤差範囲を切断公差とした。
【0060】
次に図13に示す鍛造製品の加圧方向Aに垂直な図14中の符号Bで示した短軸長tの長さの0.95倍である34[mm]を切断品素材の厚さ(T)とし、切断品の体積と切断品の厚さより丸棒材の切断品の直径(R)を、
【数7】
Figure 0003846785
とした。ここでRは、
【数8】
Figure 0003846785
を満たしている。
なお、図13中、131はパンチ、132はダイス、133はノック、134はノックアウト、135は鍛造製品としてのヨークである。
【0061】
この設計に基づき、JIS6061に示されるアルミニウム合金の連続鋳造丸棒(直径38.1[mm])から、直径38.1[mm]、厚さ34[mm]、体積38.8[cm3]の円盤状の切断品を10ヶ切り出した。円盤状の切断品の重量は、切断品個数10ヶの平均値が104.8[g]であった。
【0062】
この円盤状の切断品151を、従来公知のボンデ処理を施して、図15に示すような金型の位置に置いた。次に、常温条件で円盤の外周面からパンチで加重して冷間鍛造を実施した。鍛造装置はAIDA社製400tプレス装置を用いた。このときの鍛造加圧力の平均値は1372[kN]であった。鍛造製品の重量は、鍛造製品10ヶの平均値が104[g]であり、得られた鍛造製品の図14中の符号Cに示す加圧方向に対する投影面の長軸長Lは、平均値で51[mm]であった。
【0063】
上記条件により鍛造を行った結果、鍛造製品に焼きつき等は見られず、また、鍛造荷重の急激な上昇等の不具合は発生しなかった。
【0064】
品質確認の為、鍛造製品の外観検査を目視にて実施した結果、焼きつき、かぶり等の鍛造欠陥発生率は、(発生個数/試料個数)=(0ヶ/10ヶ)であり、鍛造欠陥発生率は0%であった。焼きつきが発生していないので素材の塑性流動抵抗は大きくならず、鍛造加圧力の急激な上昇が発生しなかった。この、鍛造加圧力の急激な上昇がないので、鍛造金型の寿命を長くすることができると予想される。
鍛造製品の素材重量に対する製品重量の歩留まりは約99%となった。
【0065】
〔比較例1〕
図2に示す車両用サスペンションに使用される継ぎ手部品としてのヨーク43を従来製法であるバリ出し熱間鍛造により製造した。
【0066】
鍛造用素材は、JIS6061連続鋳造丸棒直径(40.6[mm])から、直径40.6[mm]、厚さ50[mm]、体積65[cm3]の円盤状の切断品を10ヶ切り出した。円盤状の切断品の重量は、切断品個数10ヶの平均値が175[g]であった。
【0067】
この円盤状の切断品161の表面に、従来公知の水溶性黒鉛潤滑剤の塗布処理を施して図16に示すような金型(ダイス163、パンチ162)の位置に置いた。次に、熱間バリ出し鍛造条件として、鍛造用素材を420℃に加熱し、金型を200℃に予備加熱し、鍛造金型に水溶性黒鉛潤滑材をスプレーで噴霧した。その後、円盤の外周面からパンチで加重して熱間鍛造を実施した。鍛造装置はAIDA社製400tプレス装置を用いた。このときの鍛造加圧力の平均値は2940[kN]であった。鍛造後トリム金型を用いて、バリ取りを施して形状を整えて製品とした。鍛造製品の重量は、鍛造個数10ヶの平均値が104[g]であり、鍛造製品の素材重量に対する製品重量の歩留まりは約59%となった。
【0068】
〔強度試験、メタルフロー観察〕
本発明による閉塞鍛造により得られた鍛造製品(実施例1)と、従来製法であるバリ出し熱間鍛造で得られた鍛造製品(比較例1)とを溶体化条件(510℃で6時間保持)、時効処理条件(170℃で6時間保持)にて熱処理を実施した後、図2の符号Pに示す部分より図17に示す引張試験片ASTM−R5号(幅2.87mm、標点距離11.5mm)を製品の枝部と平行に切りだし、機械的特性を測定した。引張り試験機は、(株)島津製作所製オートグラフを使用し、引張荷重5[kN]の条件にて実施した。計測は、実施例の鍛造品10個及び比較例の鍛造品10個に対してそれぞれ行い、この時得られた各機械的特性のデータを実施例1を表1に、比較例1を表2にそれぞれ示す。
【0069】
【表1】
Figure 0003846785
【0070】
【表2】
Figure 0003846785
【0071】
表1、表2の結果より、本発明による閉塞鍛造により得られた鍛造製品の方が、従来製法であるバリ出し熱間鍛造で得られた鍛造製品よりも、引張強さ、0.2%耐力の数値が約10%高く、機械的特性が高くなっていることがわかる。
【0072】
次に、得られた鍛造製品の枝部のメタルフローを観察する為、鍛造製品からメタルフロー観察用素材を切りだし、メタルフローの観察面をエメリー紙にて研磨し、20%濃度の苛性ソーダ液に30秒間浸漬しエッチング処理を行って試料を作成した。目視によるマクロ組織観察によりメタルフローの確認を行った。その結果、本発明により得られた鍛造製品は、鍛造用素材の切断面とその外周面の角部が該鍛造品の外周輪郭と一致していた為、かぶり等の欠陥発生が見られなかった。また、鍛造製品の複数の枝部に沿って一様な流れ模様が観察され、途切れたり、乱れたりしていない層状のメタルフローが観察された。このことは、鍛造用素材が鍛造品の枝部に沿って層状の塑性流動をしていることを示している。一方、従来方法であるバリ出し熱間鍛造によって得られた鍛造製品のマクロ組織観察を上記条件にて観察した結果、複数の枝部方向とは全く無関係なメタルフローが観察された。
【0073】
また、本発明による閉塞鍛造方法により得られた鍛造製品は、トリム工程(バリ取り工程とも言う)がない為、鍛造製品にバリ取り痕がなく、これは、鍛造用素材に対する製品歩留りの向上を表している。一方、従来方法であるバリ出し熱間鍛造によって得られた鍛造製品は、製品の外側のバリをトリムする必要がある為、トリム工程が必要となり、鍛造製品にはバリ取り痕が見られた。
【0074】
〔実施例2〕
図18に示す車両用サスペンションに使用される継ぎ手部品部品ヨークを鍛造する為、このヨークと同一体積のJIS6061アルミニウム合金の切断品を鍛造用素材として次のように設計した。
【0075】
まず、ヨークの製品体積はコンピュータによるCADシステムにより計算した。計算結果より、切断品の体積を84.0[cm3]とし、この計算した製品体積に対して±1%の切断誤差範囲を切断公差とした。
【0076】
次に図19に示す鍛造製品の加圧方向Dに垂直な図20中の符号Eで示した短軸長tの長さの0.95倍である30[mm]を切断品素材の厚さとし、切断品の体積と切断品の厚さより丸棒材の切断品の直径(R)を、
【数9】
Figure 0003846785
とした。ここでRは、
【数10】
Figure 0003846785
を満たさず、
【数11】
Figure 0003846785
となっている。
なお、図19中、191はパンチ、192はダイス、193はノック、194はノックアウト、195は鍛造製品としてのヨークである。
【0077】
この設計に基づき、JIS6061に示されるアルミニウム合金の連続鋳造丸棒(直径59.7[mm])から、直径59.7[mm]、厚さ30[mm]、体積84.0[cm3]の円盤状の切断品を10ヶ切り出した。円盤状の切断品の重量は、切断品10ヶの平均値が227[g]であった。
【0078】
この円盤状の切断品211の表面に、従来公知のボンデ潤滑剤の塗布処理を施して図21に示すような金型の位置に置いた。次に、常温条件で円盤の外周面からパンチで加重して冷間鍛造を実施した。鍛造装置はコマツ社製800tプレスを用いた。鍛造製品の平均重量は226.5[g]であり、得られた鍛造製品の図20中の符号Fに示す加圧方向に対する投影面の長軸長Lの平均値は200[mm]であった。
【0079】
マクロ組織観察の結果、鍛造用素材の切断面と外周面との角部は、該鍛造品の外周輪郭部に沿っている事が確認でき、また、鍛造用素材は、鍛造製品の複数の枝部に沿ってメタルフローしており、鍛造素材が鍛造品枝部に層状に塑性流動していることが確認できた。
【0080】
上記条件により鍛造を行った場合、図19に示すG部までの素材塑性流動距離が大きくなり、特に図19に示すH部において、鍛造製品と金型間の潤滑膜切れによる焼きつきが見られた。発生率は、(発生数/試料数)=(8ヶ/10ヶ)であり、発生率は80%であった。鍛造製品の表面に素材と金型間の潤滑膜切れによる焼きつきが発生した為、この焼きつき部の除去加工を実施した。
【0081】
〔実施例3〕
実施例1において図14中の符号Bで示した長さの0.7倍である25mmを円盤状切断品の厚さとし、丸棒材からの切断品の直径(R)を、
【数12】
Figure 0003846785
とした。
その他の鍛造条件は、実施例1と同条件にて鍛造を行った。その結果、鍛造を実施した際に、鍛造金型内において鍛造用素材の位置が鍛造金型内で不安定となり、鍛造金型内で鍛造用素材が傾いた為、欠肉やかぶり等の鍛造欠陥発生率が50%であった。
【0082】
〔実施例4〕
図6に示す自動車用サスペンション部品であるアッパーアーム荒地粗材を鍛造する為、このアッパーアーム荒地粗材と同一体積のJIS6061アルミニウム合金の切断品を鍛造用素材として次のように設計した。
【0083】
まず、アッパーアーム荒地粗材の製品体積はコンピューターによるCADシステムにより体積を計算した。計算結果より、切断品の体積を862[cm3]とし、この計算した製品体積に対して±1%の切断公差範囲を切断誤差とした。
【0084】
次に図1に示す加圧方向Iに垂直な図22中の符号Jで示した短軸長tの長さの0.95倍である28[mm]を切断品の厚さとし、切断品の体積と切断品の厚さより、丸棒材の切断品の直径(R)を、
【数13】
Figure 0003846785
とした。ここでRは、
【数14】
Figure 0003846785
の条件を満たしている。
【0085】
この設計に基づき、JIS6061アルミニウム合金の連続鋳造製のビレット材(直径198[mm])から、直径198[mm]、厚さ28[mm]、体積862[cm3]の円盤状の切断品を10ヶ切り出した。円盤状の切断品の平均重量は2330[g]であった。
なお、図1中、11はパンチ、12はダイス、13はノック、14はノックアウト、15はアッパーアームの鍛造用粗形材である。
【0086】
この円盤状の切断品231の表面に、従来公知である水溶性黒鉛潤滑剤の塗布処理を施し、また、鍛造金型に従来公知の水溶性黒鉛潤滑剤を噴霧し、図23に示すような金型の位置に置き円盤の外周面からパンチで加重して熱間鍛造を実施した。鍛造装置は住友重機械工業社製3000tプレスを用いた。鍛造条件は、素材の加熱温度500℃、金型温度200℃で熱間鍛造とした。このときの鍛造加圧力の平均値は6370[kN]であった。製品の平均重量は2328[g]であった。図22中の符号Kに示す加圧方向に対する鍛造製品の投影面の長軸長Lは平均値で392[mm]であった。
鍛造製品の素材重量に対する製品重量の歩留まりは約99%であった。
【0087】
また、鍛造製品は複数の枝部にメタルが層状に塑性流動する為、機械的強度が向上し、また、閉塞鍛造である為、本発明によって得られた鍛造製品にはトリム痕が無く、製品歩留りの点から好ましいものになった。
この荒地粗材を従来からの製法であるバリ出し熱間鍛造方法にて図5に示すアッパーアーム54を製造した。鍛造成型回数は2回とし、鍛造条件は、素材の加熱温度を500℃、金型温度は150℃とした。この時の鍛造荷重は、1回目が22540[kN]2回目が17640[kN]であった。鍛造後、トムリ金型を用いてバリ取りを施し、形状を整えて製品とした。この時、円盤状の切断品の平均重量2330gに対し、図5に示すアッパーアームの製品は1650gとなり、鍛造製品の素材重量に対する歩留りは71%となった。
【0088】
〔比較例2〕
実施例4でのアッパーアーム荒地粗材を、図7に示した従来からの製法であるバリ出し熱間鍛造方法にて製造した。鍛造条件は、素材の加熱温度500℃、金型温度180℃とした。JIS6061に示されるアルミニウム合金の連続鋳造丸棒材(直径80[mm])から,切断品直径80[mm]、長さ360[mm]、体積1810[cm3]、素材重量4900[g]を切断し、鍛造用素材として用いた。このときの鍛造荷重は49000[kN]であった。鍛造後、トリム金型を用いてバリ取りを施し、形状を整えて製品とした。この方法では1ヶの鍛造用素材からアッパーアーム荒地粗材が2個製造できる。2個の平均製品重量は、1960[g]となった。この為、1個の荒時粗材を製造するのに必要な鍛造荷重に換算する為、上記鍛造荷重を単純に半分にすると約24500[kN]の荷重となる。また、鍛造製品の素材重量に対する歩留りは80%であった。
この荒地粗材を従来からの製法であるバリ出し熱間鍛造方法にて、図7に示すアッパーアーム74を製造した。鍛造形成回数は2回目とし、鍛造条件は、素材の加熱温度を500℃、金型温度は180℃とした。
この時の鍛造荷重は、1回目が14700[kN]、2回目が14700[kN]であった。鋳造後、トリム金型を用いてバリ取りを施し、形状を整えて製品とした。この時、切断品素材(中実丸棒71)の重量4900[g]に対し、図7に示すアッパーアーム74の製品1650[g]が2ヶとなり、鍛造製品の素材重量に対する歩留りは約67%となった。
【0089】
〔実施例5〕
図24に示す車両用サスペンション部品であるアッパーアームを製造する為、図25に示すアッパーアーム荒地鍛造用粗材を製造した。このアッパーアーム荒地粗材と同一体積のJIS6061アルミニウム合金の切断品を鍛造用素材としてを次のように設計した。
【0090】
アッパーアーム荒地粗材の製品体積はコンピューターによるCADシステムにより体積を計算し、切断品の体積をこの計算した製品体積の±1%の誤差範囲である595[cm3]とした。
【0091】
次に図26に示す加圧方向Mに垂直な図27中の符号Nで示した短軸長tの長さの0.95倍である30[mm]を切断品の厚さとし、切断品の体積と切断品の厚さより、丸棒材の切断品の直径(R)を、
【数15】
Figure 0003846785
とした。ここでRは、
【数16】
Figure 0003846785
の条件を満たしている。
なお、図26中、261はパンチ、262はダイス、263はノック、264はノックアウト、265はアッパーアームの鍛造用粗形材である。
【0092】
この設計に基づき、JIS6061に示されるアルミニウム合金の連続鋳造製のビレット材(直径167[mm])から、直径167[mm]、厚さ30[mm]、体積595[cm3]の円盤状の切断品を10ヶ切り出した。円盤状の切断品の平均重量は1607[g]であった。
【0093】
この円盤状切断品281の表面に、従来公知の水溶性黒鉛潤滑剤の塗布処理を施し、また、鍛造金型に従来公知の水溶性黒鉛潤滑剤を噴霧し、図28に示すような金型の位置に置き円盤の外周面からパンチで加重して熱間鍛造を実施した。鍛造装置は住友重機械工業社製3000tプレスを用いた。鍛造条件は、素材の加熱温度温度500℃、金型温度200℃で熱間鍛造とした。このときの鍛造加圧力の平均値は4900[kN]であった。
【0094】
製品の平均重量は1800[g]であった。図27中の符号Oに示す加圧方向に対する鍛造製品の投影面の長軸長Lは平均値で310[mm]であった。
【0095】
鍛造製品の素材重量に対して、製品重量の歩留まりは99%であった。
また、鍛造製品は複数の枝部にメタルが層状に塑性流動する為、機械的強度が向上し、また、閉塞鍛造である為、本発明によって得られた鍛造製品にはトリム痕が無く、製品歩留りの点から好ましいものになった。
【0096】
〔実施例6〕
前述の実施例4において、鍛造用素材のアルミニウム合金種を以下の様に変更した以外、その他の鍛造条件は同条件にて鍛造を行った。
【0097】
図6に示す自動車用サスペンション部品であるアッパーアーム荒地素材を鍛造するため、このアッパーアーム荒地素材を同一体積のSU610アルミニウム合金(重量%でMg:0.8〜1.2%、Si:0.7〜1.0%、Cu:0.3〜0.6%、Cr:0.14〜0.3%、Mn:0.14〜0.3%含有し、残部がAl及び不純物から成るアルミニウム合金)の連続鋳造棒切断品を鍛造用素材として使用した。
【0098】
〔比較例3〕
前述の比較例2において、鍛造用合金種を実施例6と同じものを用い、その他の鍛造条件は同じで鍛造を行った。
【0099】
〔強度試験・メタルフロー観察〕
本発明による閉塞鍛造により得られた鍛造製品(実施例6)と、従来方法であるバリ出し熱間鍛造で得られた鍛造製品(比較例3)とを溶体化処理条件(530℃で6時間保持)、時効処理条件(180℃で6時間保持)にて熱処理を実施した後、図6中の符号Qで示す部分より図17に示す引張試験片はASTM―R3号(標点間の径6.4mm、標点間距離25.4mm)を切りだし、機械的特性を調査した。引張試験機は、(株)島津製作所オートグラフを使用し、引張荷重20[kN]の条件にて実施した。試料数はそれぞれ各3本とし、この時得られた各機械的特性のデータを表3に示す。
【0100】
【表3】
Figure 0003846785
【0101】
表3より、本発明による閉塞鍛造により得られた鍛造製品の方が従来製法であるバリ出し熱間鍛造で得られた鍛造製品よりも引張り強さ、0.2%耐力、伸びの値が高く、機械的特性が高くなっていることが分かる。
次に、得られた鍛造製品の枝部のメタルフロー観察及びパーティングライン近傍の結晶粒を観察するため、鍛造製品からマクロ組織観察用素材を切りだし、観察面をエメリー紙にて研磨し、20%濃度の苛性ソーダ液に30秒間浸積しエッチング処理を行って試料を作成した。目視によるマクロ組織観察により、メタルフロー観察及びパーティングライン近傍の結晶粒の観察を行った。その結果、本発明により得られた鍛造製品は、鍛造用素材の切断面とその外周面の角部が鍛造製品の外周輪郭と一致していた為、かぶり等の欠陥発生が認められなかった。また鍛造製品の複数の枝部に沿って一様な流れ模様が観察され、とぎれたり乱れたりしていない層状のメタルフローが観察された。このことは、鍛造用素材が鍛造品の枝部に沿って層状の塑性流動をしていることを示している。更に、本発明により得られた鍛造製品にはパーティングラインが存在しないため、製品端部における結晶粒の粗大化は認められなかった。
一方、従来方法であるバリ出し熱間鍛造によって得られた鍛造製品のマクロ組織観察を上記条件にて観察した結果、複数の枝部方向とは全く無関係なメタルフローが観察された。また、製品端部のパーティングライン付近に於いては結晶粒の粗大化が認められた。
【0102】
〔実施例7〕
前述の実施例6に於いて、金型として図12に示す稼動機構を有する分割ダイス121を用いた以外は、鍛造条件は同条件にて鍛造を行った。
【0103】
ダイスは、一方の分割ダイスを固定し、他方の分割ダイスを機械的に稼動させた。この時、ダイスはパンチが鍛造機械により稼動している間は閉とし、鍛造が終了し、パンチが鍛造機械の上死点で停止してから開とした。
【0104】
上記条件により鍛造を行った結果、鍛造製品に焼きつき等の鍛造荷重の急激な上昇等の不具合は発生しなかった。
【0105】
【発明の効果】
本発明は、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材として用い、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧する閉塞鍛造方法であるので、鍛造用素材が鍛造製品の複数の枝部に層状に塑性流動する為、機械的特性が向上し、また、鍛造製品にはバリ取り痕が無く、鍛造用素材に対する製品の歩留り向上に適した製造方法である。
【0108】
本発明の金型は、パンチ、ダイス、ノックおよび/またはブッシュで囲まれた空間の形状が、またはパンチ、稼動機構を有するダイスで囲まれた空間の形状が、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材として用い、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧できるように鍛造用素材を設置できるようになっているので、鍛造時の加圧力が低減でき、かつ鍛造用素材に対する製品の歩留りが優れており、鍛造製品の機械的強度を向上させる効果をもっている。
【0109】
本発明の閉塞鍛造生産システムは、パンチ、ダイス、ノックおよび/またはブッシュで囲まれた空間の形状が、または、パンチ、稼動機構を有するダイスで囲まれた空間の形状が鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊を鍛造用素材として用い、該円柱状の鍛造用素材の側面から加圧できるように鍛造用素材を設置できるようになっている金型を有しているので、鍛造時の加圧力が低減でき、かつ鍛造用素材に対する製品の歩留りが優れており、鍛造製品の機械的強度を向上させる効果をもっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す図で、車両用サスペンション部品であるアッパーアームの鍛造用粗形材を鍛造した時に、上型が下死点位置に達した状態の断面図である。
【図2】本発明の実施形態の一例のヨークの外観図である。
【図3】ヨークのバリ出し熱間鍛造方法の概略図である。
【図4】ヨークの押し出しから切断、機械加工工程による製造方法の概略図である。
【図5】本発明の実施形態の一例から製造されるアッパーアームの外観図である。
【図6】本発明の実施形態の一例のアッパーアームの鍛造用粗形材の外観図である。
【図7】アッパーアームのバリ出し熱間鍛造方法の概略図である。
【図8】VTRシリンダーを閉塞鍛造方法で製造した場合の概略図である。
【図9】従来知られている閉塞鍛造方法の概略図である。
【図10】本発明の実施形態の一例の閉塞鍛造生産システム構成の概略図である。
【図11】本発明の実施形態の一例の閉塞鍛造金型の構成の概略図であり、図11(a)は一体型の金型の例、図11(b)は図11(a)の金型の断面図、図11(c)は、分割型金型の例である。
【図12】本発明の閉塞鍛造に用いる分割型金型の他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図13】本発明の実施形態の一例のヨークの閉塞鍛造方法を実施したときの断面図である。
【図14】図13の加圧方向に対する垂直な投影面の図である。
【図15】図13における素材と金型との鍛造開始前の配置の図である。
【図16】ヨークの熱間バリ鍛造工程における素材と金型との配置の図である。
【図17】引張試験片の図である。
【図18】実施例2で製造したヨークの外観図である。
【図19】実施例2でヨークを閉塞鍛造方法により製造したときの断面図である。
【図20】図19の加圧方向に対する垂直な投影面の図である。
【図21】図19における素材と金型との鍛造開始前の配置の図である。
【図22】図1の加圧方向に対する垂直な投影面の図である。
【図23】図1における素材と金型との鍛造開始前の配置の図である。
【図24】本発明の実施形態の一例から製造される車両用サスペンション部品である別のアッパーアームの外観図である。
【図25】図24に用いる本発明の別の実施形態のアッパーアームの鍛造用粗形材の外観図である。
【図26】図25を製造する為の閉塞鍛造方法を実施したときの断面図である。
【図27】図26の加圧方向に対する垂直な投影面の図である。
【図28】図26における素材と金型との鍛造開始前の配置の図である。
【符号の説明】
11,91,111,131,162 ,191,261 パンチ
12,112,132,163,192,262 ダイス
13,114,133,193,263 ノック
14,134,194,264 ノックアウト
15,61,73,265 粗形材
21,22,23 枝部
31 中実丸棒材
32,72 バリ
41,82 素材
42 突出部
43,135,195 ヨーク
51,52,53 部分
54,74 アッパーアーム
71 中実丸棒
73a 鍛造製品
81 製品
92 分岐部
93,94 金型
101 素材切断装置
102 素材供給装置
103 素材加熱装置
104 素材運搬装置
105 鍛造機械
106 鍛造製品搬出装置
107 鍛造製品熱処理炉
113 ブッシュ
115 潤滑剤噴霧装置
121 分割ダイス
122 腕部
151,161,211,231 切断品
281 円盤状切断品
A,D,I,M 加圧方向
B,E,J,N 短軸長
C,F,K,O 長軸長
G 枝最先端部
H 焼き付き部
P,Q 部分

Claims (12)

  1. 鍛造製品を製造する閉塞鍛造方法において、鍛造製品の体積と同一の体積であって加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比(短軸長/加圧方向の長さ)が1以下である形状を有し、形状が角を含まない上底面及び下底面と、側面とからなる円柱状の鋳塊である鍛造用の素材を、ダイスとパンチとで囲まれる鍛造製品を成形する空間の体積が上記鍛造製品の体積と同一で、上記ダイスで囲まれた上記鍛造製品を成形する空間の形状が加圧方向に垂直な投影面の短軸長と加圧方向の長さとの比(短軸長/加圧方向の長さ)が1以下で、上記空間の短軸長と上記円柱状の素材の短軸長との比(円柱状の素材の短軸長/空間の短軸長)が1以下である形状の金型内に、上記円柱状の素材の上底面及び下底面を上記空間の投影面における短軸方向の両端面に一致させて投入し、上記円柱状の素材の側面から加圧することにより、上記円柱状の素材の上底面、下底面及び側面の輪郭を上記鍛造製品の輪郭に一致するように上記円柱状の素材を加圧方向及び加圧方向に垂直な方向に塑性流動させて上記鍛造製品を製造することを特徴とする閉塞鍛造方法。
  2. 上記円柱状の素材は、直径(R)と厚さ(T)との比(T/R)の値が1以下であって、かつ鍛造製品の体積(V)と同一の体積であるように切断した円柱状の切断品であることを特徴とする請求項1に記載の閉塞鍛造方法。
  3. 上記鍛造製品の体積(V)と、上記円柱状の素材の厚さ(T)と、上記鍛造製品の加圧方向に対する投影面積の長軸長(L)と、上記円柱状の素材の直径(R)との関係が、
    Figure 0003846785
    であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の閉塞鍛造方法。
  4. 上記円柱状の素材の厚さ(T)が0.8〜1.0×(上記鍛造製品の加圧方向に対する投影面積の短軸長(t))であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の閉塞鍛造方法。
  5. 上記鍛造用の素材をアルミニウムまたはアルミニウム合金とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の閉塞鍛造方法。
  6. 上記鍛造製品が複数の枝部を有する部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の閉塞鍛造方法。
  7. 上記複数の枝部を有する部材が車両用サスペンション部品であるアッパーアームまたはロアアームの粗形材であることを特徴とする請求項6に記載の閉塞鍛造方法。
  8. 上記複数の枝部を有する部材が車両用サスペンションに使用される継ぎ手部品としてのヨークであることを特徴とする請求項6に記載の閉塞鍛造方法。
  9. 金型がパンチと、ダイスと、ノックとを含む鍛造用金型であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載された閉塞鍛造方法に使用される金型。
  10. 素材切断装置と、鍛造機械とを含む閉塞鍛造生産システムにおいて、上記鍛造機械が請求項に記載された金型を有する鍛造機械であることを特徴とする閉塞鍛造生産システム。
  11. 金型がパンチと、稼動機構を有するダイスを含む鍛造用金型あることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載された閉塞鍛造方法に使用させる金型。
  12. 素材切断装置と、鍛造機械とを含む閉塞鍛造生産システムにおいて、上記鍛造機械が請求項11に記載された金型を有する鍛造機械であることを特徴とする閉塞鍛造生産システム。
JP2002091073A 2001-03-29 2002-03-28 閉塞鍛造方法、金型及び閉塞鍛造生産システム Expired - Fee Related JP3846785B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002091073A JP3846785B2 (ja) 2001-03-29 2002-03-28 閉塞鍛造方法、金型及び閉塞鍛造生産システム

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001096193 2001-03-29
JP2001-96193 2001-03-29
JP2002091073A JP3846785B2 (ja) 2001-03-29 2002-03-28 閉塞鍛造方法、金型及び閉塞鍛造生産システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002361354A JP2002361354A (ja) 2002-12-17
JP3846785B2 true JP3846785B2 (ja) 2006-11-15

Family

ID=26612566

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002091073A Expired - Fee Related JP3846785B2 (ja) 2001-03-29 2002-03-28 閉塞鍛造方法、金型及び閉塞鍛造生産システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3846785B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4703961B2 (ja) * 2003-02-18 2011-06-15 昭和電工株式会社 金属鍛造製品の製造方法
WO2004073903A1 (en) 2003-02-18 2004-09-02 Showa Denko K.K. Metal forged product upper or lower arm preform of the arm production method for the metal forged product forging die and metal forged product production system
JP4927929B2 (ja) * 2003-02-18 2012-05-09 昭和電工株式会社 粗形材
JP2011098380A (ja) * 2009-11-06 2011-05-19 Toyoshima Seisakusho:Kk 鋼製板状部品製造方法、ポールパーキング、及び冷間鍛造用金型
JP5828153B2 (ja) * 2014-03-24 2015-12-02 鹿児島県 鍛造パンチの設計方法及びヨークの製造方法
JP6391871B1 (ja) 2017-03-31 2018-09-19 美津濃株式会社 アイアンゴルフクラブヘッドの製造方法、アイアンゴルフクラブヘッド、及びアイアンゴルフクラブ
CN114310179B (zh) * 2021-12-30 2023-03-03 吉安大禾工业机械制造有限公司 控制臂一体成型装置及其生产工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002361354A (ja) 2002-12-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2846263B2 (ja) 半割り機械部品の製造方法
CN109093048B (zh) 一种大型机闸类锻件模具及锻造方法
JP4080111B2 (ja) 鍛造用アルミニウム合金製ビレットの製造方法
KR100572560B1 (ko) 밀폐 단조 방법, 그 방법을 이용한 단조 제조 시스템, 그방법 및 시스템에 이용되는 단조용 다이, 및 그 방법 및시스템에 의해 제조되는 조형재 및 요크
JP6412496B2 (ja) 切削用素材の製造方法
JP5553291B2 (ja) 成形品の製造方法
US10442241B2 (en) Methods and apparatus to produce high performance axisymmetric components
JP4355140B2 (ja) ユニバーサルジョイントヨークの製造方法及び鍛造用金型
JP3846785B2 (ja) 閉塞鍛造方法、金型及び閉塞鍛造生産システム
CZ101698A3 (cs) Způsob výroby kol z lehkých slitin
JP5483292B2 (ja) 金属鍛造製品の製造方法
JP4703961B2 (ja) 金属鍛造製品の製造方法
JP2006043770A (ja) 成形品製造方法、鍛造用金型、成形品、および鍛造生産システム
JP4298633B2 (ja) 成形品の製造方法およびその生産ライン
JP3920988B2 (ja) 半溶融鍛造方法
WO2023068361A1 (ja) アルミニウム合金板加工方法
Lozares et al. Semisolid forging of 250 automotive spindles of S48C steel
JP4261705B2 (ja) 異種金属の半溶融鍛造方法
JP2005163179A5 (ja)
JPH05123809A (ja) 穴を有する精密アルミニウム製品の加工方法
JP2001212644A (ja) 断面一定のアルミニウム製品の製造方法
JP2004202540A (ja) 半溶融金属の成形加工方法
JP2004034115A (ja) アルミニウム合金鍛造材の製造方法
JPH01317681A (ja) 複合ロールの製造方法
JPH09271881A (ja) アルミニウム合金の超高温熱間鍛造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040705

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060523

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060720

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060815

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060818

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3846785

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090901

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120901

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120901

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150901

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees