JPH11277217A - 放熱用基板およびその製造方法 - Google Patents

放熱用基板およびその製造方法

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JPH11277217A
JPH11277217A JP582699A JP582699A JPH11277217A JP H11277217 A JPH11277217 A JP H11277217A JP 582699 A JP582699 A JP 582699A JP 582699 A JP582699 A JP 582699A JP H11277217 A JPH11277217 A JP H11277217A
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JP
Japan
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thermal expansion
base material
porous body
molten metal
cavity
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JP582699A
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English (en)
Inventor
Masato Otsuki
真人 大槻
Noriaki Murahashi
紀昭 村橋
Toshio Sakamoto
敏夫 坂本
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高熱伝導率かつ低熱膨張率であって熱歪みの
少ない放熱用基板を提供する。 【解決手段】 SiC粉末等の熱膨張抑制材から成形し
た多孔質体を鋳造キャビティ内に配置した後、該キャビ
ティ内に初期温度750℃以下の母材溶湯を低速層流充
填する。次いで、10MPa〜100MPaの溶湯圧力
下で30秒以内に凝固を完了させ、引き続き400℃以
上凝固温度以下に設定された熱処理開始温度から少なく
とも200℃に到達するまで、10〜60℃/hrの冷
却速度にて徐冷焼鈍処理を行う。これにより、熱膨張係
数が互いに異なる内部層および表面層における熱応力を
十分に除去し、かつ湯流れ性向上等のために添加する合
金成分を十分に析出させている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MPUやパワーモ
ジュール等の半導体から発生した熱を吸収・放熱する放
熱用基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、純アルミニウム若しくはアル
ミニウム合金を母材として、これにSiCを主体とする
セラミックスを分散させることで、高熱伝導率を確保し
つつ熱膨張係数を低減させた放熱用基板およびその製造
方法が多く提案されている。この製造方法としては、S
iCを主体とするセラミックス成形体にアルミニウム合
金溶湯を鋳造溶浸させるものが多く提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
製造方法は、鋳造後の冷却収縮に際して大きな温度変化
を伴うため、母材とセラミックスの熱膨張係数の違いに
よって熱応力が生じ、変形,反り,クラック,アルミニ
ウム母相(以下、単に母相と称する。)の内部歪み、母
材とセラミックスとの界面剥離、あるいは後加工の際の
残留熱応力の解放によって更に変形、反りが発生する等
の問題がある。
【0004】また、鋳造時における母材溶湯の流動性
や、母材とセラミックスとの濡れ性を確保するために母
材溶湯中に添加したSi、Mg等の合金成分が母相に固
溶したままの状態であると、母相の硬化を招き、半導体
に実装されて加熱冷却のヒートサイクルが繰り返される
と、母相中に熱疲労による破壊が生じる場合がある。
【0005】そして、これらの欠陥は、放熱用基板に要
求されている放熱機能を著しく損なうことになる。ま
た、前記合金成分の母相への固溶にも起因して、熱伝導
率の低下を来たすという問題がある。
【0006】ところで、上記構成からなる放熱用基板の
ような複合材料の熱処理に関しては、例えば、いわゆる
T6処理と呼ばれる、溶体化焼き入れと、これに続いて
行われる時効硬化処理とによって母材を強化するもの
(特開平1−219131)、あるいは固相線温度以下
で熱処理を行うことによって母材とセラミックス間の界
面接合強度の改善を図るもの(特開昭62−3735
1)等が開示されている。
【0007】しかしながら、これらの技術は、いずれも
セラミックスの含有量が比較的少ない複合材料の強度あ
るいは耐食性の向上等を目的とするものであり、上述し
た高熱伝導率かつ低熱膨張率を目的としてセラミックス
を多量に含有させてなる複合材料に特有な熱歪みおよび
熱伝導率の低下といった問題を解決するためのものでは
ない。
【0008】さらに、上記構成の放熱用基板は、Niメ
ッキ等の表面処理を施した後に絶縁体とハンダ接合され
るものであり、アルミニウムとセラミックスという物理
的・化学的に特性の大きく異なる構成要素から構成され
る複合材であるため、例えばSiCが表面に露出してい
ると、機械加工およびメッキが困難になる。また、アル
ミニウムおよびセラミックスの両方をメッキで平滑に被
覆することも困難であり、メッキ後における良好なハン
ダの濡れ性が確保できない。
【0009】これらの対策として、鋳造時に前記複合材
の表面に、セラミックスを含まないアルミニウム層を形
成するといった方法が考えられるが、この場合にも、ア
ルミニウム層を厚く形成してしまうと、前記アルミニウ
ム製の放熱用基板と同様、熱伸縮が大きくなってしま
う。また、一度厚く形成したアルミニウム層を薄く機械
加工すると、鋳造凝固時に内部に蓄積された熱応力が開
放されて反りが発生してしまう。
【0010】一方、放熱用基板をダイカストや高圧鋳造
等によって製造する場合には、金型温度(約200〜2
50℃)がアルミニウム溶湯の凝固温度である600℃
前後に比べてかなり低いため、溶湯が金型によって急冷
され、湯じわ・湯廻り不良、セラミックス成形体内への
溶湯充填不良等の欠陥が生じるという問題がある。特
に、キャビティに湯道の狭い(薄い)部分があると、そ
の部分で溶湯の局部的な冷却が進み易く、前記欠陥が生
じ易い。
【0011】かかる欠陥の発生を回避するには、金型温
度を高めに設定しておけばよいが、この場合には、コス
ト上昇を来すだけでなく、加熱時間や凝固時間が長くな
るため、サイクルタイムが伸びて生産性の低下を来す。
さらに、熱疲労により型寿命が短くなったり、離型材が
塗布できない、若しくは高価な高温用特殊離型材が必要
になる等の不都合も生じる。
【0012】この対策として、セラミックス成形体を必
要な温度よりも高めに加熱しておいたり、溶湯温度を上
げることも考えられるが、かかる場合には、前記と同様
にコスト高や生産性低下を来すだけでなく、アルミニウ
ムとセラミックスとの間で界面反応が促進され、これに
より、熱伝導率の低下を来すという問題が生じる。
【0013】また、溶湯を放熱用基板の製造体積よりも
多めに加圧注入するといった方法も考えられるが、この
場合には、ニアネット形状での鋳造ができず、後加工量
が増えて歩留まりや生産性の低下を来す。
【0014】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、高熱伝導率かつ低熱膨張
率であって熱歪みの少ない放熱用基板を提供すること、
及びかかる機能を有する放熱用基板を低コストにて生産
性良く製造する製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために以下の構成を採用した。すなわち、請求項
1記載の放熱用基板は、アルミニウム若しくはアルミニ
ウム合金からなる母材よりも熱膨張係数の低い熱膨張抑
制材から成形した多孔質体に前記母材を溶浸させてなる
放熱用基板であって、前記母材と前記熱膨張抑制材との
界面および前記母材内部における熱応力が十分に除去さ
れてなることを特徴とするものである。
【0016】ここで、母材と熱膨張抑制材との界面およ
び母材内部における残留熱応力は、50MPa以下に抑
えられていることが好ましい。そして、このような構成
によれば、放熱用基板の変形,反り,クラック,母相の
内部歪み,および母材と熱膨張抑制材との界面剥離を防
止し、これらの欠陥に起因する熱伝導率の低下を防ぐこ
とができる。
【0017】さらに、母材がアルミニウム合金からなる
場合には、鋳造時における母材溶湯の流動性や、母材と
セラミックスとの濡れ性を確保するために母材溶湯に添
加するSi、Mg等の合金成分を十分に析出させておく
ことが好ましい。
【0018】かかる構成とした場合には、前記合金成分
の固溶による母相の硬化が抑制されるため、本発明に係
る放熱用基板が半導体に実装されて加熱冷却を繰り返し
ても、熱疲労による母相の破壊を防ぐことができ、ま
た、母相に固溶した添加元素に起因する熱伝導率の低下
も防ぐことができる。
【0019】請求項2記載の放熱用基板は、請求項1記
載の放熱用基板において、前記熱膨張抑制材として平均
粒子径1μm〜100μmのSiC,AlN,C,BN,
Al23,SiO2,Si34等の粉末,ファイバー,ウィ
スカ,またはそれらの混合物を体積分率にして50〜8
0%含有してなる内部層と、表面から厚さ0.01mm
〜0.5mmの範囲において、その全体若しくは一部が
前記熱膨張抑制材として平均粒子径0.1μm〜10μ
mのSiC,AlN,C,BN,Al23,SiO2,Si3
4等の粉末,ファイバー,ウィスカ,またはそれらの
混合物を体積分率にして20%を越えない範囲で含有し
てなる表面層とから構成されていることを特徴とするも
のである。
【0020】このような構成によれば、上述の効果に加
えて、表面層の後処理性およびメッキ性の向上を図るこ
とができるとともに、半導体に実装されて温度変化を受
けた際に表面層と内部層の熱膨張係数の違いにより生じ
る熱応力が表面層と内部層の界面における残留熱応力に
付加されることによって生じる反りが抑制され、放熱効
率の低下を防ぐことができる。
【0021】また、母相の硬化、残留熱応力および前記
温度変化により繰り返し付加される熱応力による熱疲労
から生じる表面層と内部層との界面剥離、及びこれによ
る放熱効率の低下を防止することができる。
【0022】ここで、表面層の厚さを上記範囲に設定す
るのは、以下の理由による。すなわち、表面層の厚さを
0.01mm以上とするのは、メッキ処理前の表面エッ
チング処理時等に、内部層中の粗大な熱膨張抑制材が表
面に露出することを防止し、良好なメッキ性を確保する
ためである。
【0023】また、表面層の厚さを0.5mm以下とす
るのは、これを越えると熱膨張係数の低減が十分に行わ
れないだけでなく、たとえ熱応力が十分に除去されてい
ても、半導体に実装されて温度変化を受けた際に表面層
と内部層の熱膨張係数の違いにより生じる熱応力が不可
避的に残留する応力に付加されることによって生じる反
りが顕著になり、放熱熱交換機との十分な熱接触のため
の表面の平面性が確保できなくなるばかりでなく、前記
温度変化により繰り返し付加される熱応力による表面層
と内部層との界面剥離を防ぐことができなくなるからで
ある。
【0024】なお、前記母相の組成としては、Al-0〜1
5%Si-0〜0.5%Mg-0〜0.5%Cu-0〜0.5%Fe-0〜0.5%Mn0
〜0.5%Ni0〜0.5%Ti0〜0.1%Beが用いられ、アルミニ
ウム以外の合金成分の母相中への固溶量は、その合計が
0.5%以下、より好ましくは0.2%以下に抑えられ
ていることが熱伝導率および耐熱疲労特性を向上させる
上で好ましい。
【0025】請求項3記載の放熱用基板製造方法は、ア
ルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる母材より
も熱膨張係数の低い熱膨張抑制材から成形した多孔質体
を鋳造キャビティ内に配置した後、該キャビティ内に初
期温度750℃以下の母材溶湯を低速層流充填し、次い
で10MPa〜100MPaの溶湯圧力下で30秒以内
に凝固を完了させ、引き続き400℃以上凝固温度以下
に設定された熱処理開始温度から少なくとも200℃に
到達するまで、10〜60℃/hrの冷却速度にて徐冷
焼鈍処理することを特徴とするものである。
【0026】このような構成によれば、鋳造後冷却時に
おける母材と熱膨張抑制材間の熱膨張係数の相違、さら
には熱膨張抑制材の含有率が内部層よりも少ないか全く
含まない表面層を有する放熱用基板におけるこれら表面
層および内部層間の熱膨張係数の相違による熱応力の発
生、及びこれら熱応力に起因する放熱用基板の変形,反
り,クラック,母相の内部歪み,母材と熱膨張抑制材と
の界面剥離,並びに表面層と内部層との界面剥離を防止
することができる。
【0027】また、母材溶湯に添加した合金成分の母相
への固溶を抑制することができるため、母相の硬化が防
止され、本発明に係る放熱用基板が半導体に実装された
際に加熱冷却を繰り返しても熱疲労による母相の破壊を
防ぐことができるとともに、熱伝導率の低下も防ぐこと
ができる。
【0028】ここで、鋳造熱処理を上記条件下で行うの
は、以下の理由による。すなわち、焼鈍処理開始温度が
400℃未満、あるいは60℃/hrを越えた条件下で
は焼鈍による効果、すなわち熱応力の除去および添加合
金の析出が不十分となり、また、200℃以下の温度ま
で冷却してしまえば、それ以降は冷却速度を特に制御し
なくても焼鈍効果が失われないからである。
【0029】また、焼鈍処理開始温度が凝固温度を越え
たり、冷却速度を10℃/hr未満とした条件下で焼鈍
した場合には、所望の焼鈍効果が期待できず、また、母
材と熱膨張抑制材との界面にAl4C等の好ましくない反
応相が生成されたり、空孔が生成され、かえって熱伝導
率の低下を来すことがあるからである。
【0030】請求項4記載の放熱用基板製造方法は、請
求項3記載の放熱用基板製造方法において、表面層の全
体若しくは一部が内部層よりも高気孔率とされ、かつ前
記表面層の厚みが0.6mm以下に設定された多孔質体
を成形し、この多孔質体を前記母材溶湯の凝固温度以上
に加熱した後、200℃以上前記凝固温度以下に保温さ
れた前記鋳造キャビティ内にその内周面との間に0.6
mm以下の隙間を設け、かつこの隙間と前記表面層の厚
みとの合計が0.2mm〜0.6mmとなるように配置
し、前記徐冷焼鈍処理を凝固完了直後に凝固温度以下の
温度から引き続き行うことを特徴とするものである。
【0031】このような構成によれば、前述の効果に加
えて、熱膨張抑制剤の含有率が内部層よりも少ないか、
あるいは全く含まない表面層を有する複合材放熱用基板
において、良好な後加工性、およびメッキ性を示す表面
層を形成することができる。
【0032】また、凝固完了直後に引き続き凝固温度以
下の温度から徐冷焼鈍処理を行うことで、表面層および
内部層間の熱膨張係数の相違による熱応力の発生、及び
これら表面層と内部層との界面剥離や反りの発生をより
効果的に防止することができ、さらには、表面層を最終
加工する際の残留応力の解放によって生じる変形および
反りをより効果的に防止することができる。
【0033】ここで、鋳造加工を上記条件下で行うの
は、以下の理由による。すなわち、上記隙間と高気孔率
とされた多孔質体表面層との厚さの合計を0.2mm以
上とすることによって、表面鋳造肌を除去して平滑な表
面を得るための加工代を十分に確保することができる。
【0034】一方、その厚さの合計を0.6mm以下と
することにより、鋳造後焼鈍処理を施しても不可避的に
残留する熱応力の影響による反りや、表面層と内部層と
の界面剥離を十分に防ぐことができ、また、熱膨張抑制
材の含有率が内部層よりも少ないか全く含まない表面層
を有する放熱用基板において、0.5mm以下の厚さの
表面層を得るのに最小限の後加工で済ますことができ
る。
【0035】これにより、焼鈍処理を施しても不可避的
に残留する熱応力の解放に起因する変形、反りの発生を
より効果的に防止しつつ、平滑な表面を得ることができ
る。この後加工においては、表面層を表面から0.3m
mを越えない範囲で加工除去することによって上記効果
を得ることができる。
【0036】請求項5記載の放熱用基板製造方法は、請
求項3記載の放熱用基板製造方法において、鋳造キャビ
ティを形成する入れ子が金型に交換可能に装着されてな
る鋳造装置が用いられ、表面層の全体若しくは一部が内
部層よりも高気孔率とされ、かつ前記表面層の厚みが
0.6mm以下に設定された多孔質体を成形し、前記入
れ子を前記凝固温度以上に加熱した後、前記多孔質体を
直接あるいはその表面と前記入れ子の内周面との間に
0.6mm以下の隙間を設け、かつこの隙間と前記表面
層の厚みとの合計が0.2〜0.6mmとなるように、
前記鋳造キャビティ内に配置することを特徴とするもの
である。
【0037】このような構成によれば、上述の効果に加
えて、入れ子キャビティ内で形状を拘束保持した状態で
十分な徐冷焼鈍処理を行うことができるため、凝固時に
おける変形および反りの発生をより一層効果的に防止す
ることができる。
【0038】また、加熱された入れ子の保温効果によ
り、凝固を均一にして熱応力および熱変形の発生を防止
できるので、多孔質体および溶湯を過度に加熱する必要
がなくなり、母材と熱膨張抑制材との界面反応を防止す
ることができる。
【0039】さらに、入れ子をあらかじめ加熱しておく
ことにより、金型温度を低く設定することができるの
で、熱疲労による型寿命短命化の回避およびサイクルタ
イムの短縮化を図ることができ、低コストにて生産性良
く放熱用基板を製造することができる。
【0040】さらにまた、溶湯の湯廻りが良好になるた
め、注入量を放熱用基板の製造体積と同量としたニアネ
ット形状での鋳造が行え、後加工量が減り、より一層の
生産性の向上と歩留まり向上を図ることができる。
【0041】請求項6記載の放熱用基板は、アルミニウ
ム若しくはアルミニウム合金からなる母材よりも熱膨張
係数の低い熱膨張抑制材から成形した多孔質体に前記母
材を溶浸させてなる放熱用基板であって、その表面層の
全体若しくは一部が、内部層よりも前記熱膨張抑制材の
含有率の低い複合材層により構成されていることを特徴
とするものである。
【0042】複合材層中の熱膨張抑制材には、例えば、
平均粒子径0.5〜10μmのSiC,AlN,C,B
N,Al23,SiO2若しくはSi34等のセラミックス
粉末またはこれらの混合物が採用され、その体積分率は
2〜20%に設定される。すなわち、複合材層における
母材の体積分率は、80〜98%となる。また、粉末以
外にもファイバ若しくはウイスカを採用してもよい。
【0043】他方、内部層中の熱膨張抑制材には、例え
ば、平均粒子径1〜100μmのSiC,AlN,C,B
N,Al23,SiO2若しくはSi34等のセラミックス
粉末またはこれらの混合物がされ、その体積分率は50
〜80%に設定される。すなわち、内部層における母材
の体積分率は、20〜50%となる。また、粉末以外に
もファイバ若しくはウイスカを採用してもよいことは、
上記と同様である。
【0044】このような構成によれば、高熱伝導率を維
持しつつ、熱膨張抑制材の存在によって放熱用基板全体
の熱膨張係数が低くなるため、接合される絶縁体の熱膨
張係数との乖離が小さくなり、熱伸縮による接合強度の
低下および半導体の変形を防止することができる。
【0045】また、複合材層における熱膨張抑制材を上
述のように設定すれば、熱膨張抑制材の体積分率が小さ
くかつその粒度が微細であることによって、後加工にお
ける機械加工性,メッキ性およびメッキ後のハンダの濡
れ性を向上させることができる。
【0046】さらに、前記複合材層の厚みを0.01mm
〜0.5mmの範囲に設定すれば、使用時における熱応力
による反りや熱変形を最小限に抑えることができる他、
放熱熱交換器との熱接触を確保するための平滑面を機械
加工することなく容易に得ることができるようになる。
【0047】請求項7記載の放熱用基板は、アルミニウ
ム若しくはアルミニウム合金からなる母材よりも熱膨張
係数の低い熱膨張抑制材から成形した多孔質体に前記母
材を溶浸させてなる放熱用基板であって、その表面層の
全体が、前記熱膨張抑制材を含まない母材層によって構
成されていることを特徴とするものである。
【0048】このような構成によっても、上述と同様の
作用効果を得ることができる。特に、これらの発明にお
いては、表面層が熱膨張抑制材を含まない母材層によっ
て構成されているため、熱膨張抑制材が表面に露出する
ことがなく、後加工における機械加工性,メッキ性およ
びメッキ後のハンダの濡れ性をより一層向上させること
ができる。
【0049】さらに、ハンダ接合ならびにその前処理で
あるメッキを施すことなく、母材層を介して拡散接合を
行うことによって、熱膨張抑制材を絶縁体に直接接合す
ることが可能となる。なお、母材層の厚みは、0.01
mm〜0.5mmの範囲に設定されていることが好ましい。
【0050】請求項8記載の放熱用基板の製造方法は、
請求項6記載の放熱用基板の製造方法であって、前記熱
膨張抑制材から表面層の全体若しくは一部が内部層より
も高気孔率とされた多孔質体を成形する成形工程と、前
記多孔質体を前記母材の溶湯凝固温度以上に加熱する工
程と、加熱した多孔質体を200℃以上前記溶湯凝固温
度以下に保温した金型キャビティ内に配置し、該金型キ
ャビティ内に前記溶湯を加圧注入する工程とを備えるこ
とを特徴とするものである。
【0051】このような構成では、多孔質体が母材の溶
湯凝固温度以上に加熱され、かつ金型も所定の温度に保
温されているため、鋳造時における保温効果を高めるこ
とができ、キャビティ内に加圧注入された溶湯が金型に
よって急速に冷却されることがなく、湯流れを良好にす
ることができる。
【0052】しかも、多孔質体は、その表面層の気孔率
が内部層よりも高くなるように成形されているため、溶
湯が多孔質体内の気孔に確実に充填されることはもちろ
んのこと、湯じわ・湯廻り不良等を防止することができ
る。
【0053】なお、多孔質体を加熱する前に、あらかじ
めその表面に離型材を塗布しておけば、金型に離型材を
塗布する必要がなくなる。よって、金型を高温状態に保
持しておくことができ、保温効果をより一層向上させる
ことができる。
【0054】請求項9記載の放熱用基板の製造方法は、
キャビティを形成する入れ子が金型に交換可能に装着さ
れる鋳造装置を用いて請求項6記載の放熱用基板を製造
する製造方法であって、前記熱膨張抑制材から表面層の
全体若しくは一部が内部層よりも高気孔率とされた多孔
質体を成形する成形工程と、前記入れ子を前記母材の溶
湯凝固温度以上に加熱する加熱工程と、前記多孔質体を
配した入れ子キャビティ内に前記溶湯を加圧注入する工
程とを備えることを特徴とするものである。
【0055】このような構成では、入れ子が溶湯凝固温
度以上に加熱されているため、金型温度を前記溶湯凝固
温度よりもかなり低く設定した場合であっても、該金型
によってキャビティに加圧注入された溶湯が急速に冷却
されることがない。よって、キャビティ内に加圧注入さ
れた溶湯が金型によって急速に冷却されることなく溶湯
の湯流れが良くなり、溶湯が多孔質体内の気孔に確実に
充填されることはもちろんのこと、湯じわ・湯廻り不良
等を防止することができる。
【0056】しかも、加熱された入れ子の保温効果によ
って金型による急冷を防止し、これにより、凝固および
その後の冷却を均一なものとして熱応力および熱変形の
発生を防止するとともに、過度の多孔質体加熱および溶
湯加熱を不要にして、アルミニウムと熱膨張抑制材との
界面反応を防止することができる。
【0057】また、入れ子による保温効果によって金型
温度を低く設定することができるので、熱疲労による型
寿命の短命化を回避するとともに、金型温度の加熱・冷
却のための時間を短縮することができる。さらに、湯流
れが良くなることによって溶湯を余分に注入する必要が
なくなり、ニアネット形状での鋳造が行えるため、後加
工量が減り、さらなる生産性の向上および歩留まり向上
を図ることができる。
【0058】また、入れ子の外面を金型への装着面に合
わせて形成するとともに、内面を所望の形状に型彫りし
た入れ子を適宜交換することにより、種々の形状に対応
可能な鋳造装置を構成することができる。
【0059】なお、請求項9記載の放熱用基板製造方法
は、前記多孔質体の予備成形体を前記入れ子内に収納
し、この予備成形体を入れ子と共に加熱して乾燥脱脂焼
成を行うことにより前記成形工程および加熱工程を同時
に行う構成であってもよい。
【0060】この構成では、入れ子の加熱と同時に、セ
ラミックス粉末等をバインダで結合してなる予備成形体
の脱脂焼成も当該入れ子内において同時に行えるため、
入れ子による拘束によって脱脂処理の際に生じる変形が
抑制されるとともに、バインダ含有量を減らすことがで
きる。
【0061】また、請求項9記載の放熱用基板製造方法
における成形工程は、前記入れ子を前記多孔質体の予備
成形体を成形する成形型として用い、この成形型から前
記予備成形体を取り出さずにこれを乾燥脱脂することに
より多孔質体を成形する構成であってもよい。
【0062】この構成では、成形型を構成する入れ子内
において予備成形体の脱脂処理が行われるため、成形型
(入れ子)による拘束によって脱脂処理の際に生じる変
形が抑制されるとともに、多孔質体のバインダ含有量を
減らすことができる。また、成形型をそのまま入れ子と
して用いるため、工程の簡略化を図ることができる。
【0063】さらに、これらの成形工程は、成形型内に
おいて粉末または繊維状の熱膨張抑制材からなる内部層
と、それらよりも微細な粉末,繊維またはフィラー状の
熱膨張抑制材を含有する表面層とから構成される予備成
形体を成形し、この予備成形体を乾燥脱脂することによ
り、多孔質体を成形する構成であってもよい。
【0064】フィラーとしては、脱脂加熱時に、分解、
蒸発、昇華、酸化等により消失する材質のもの、例え
ば、セルロース、ポリビニルブチル、カルボキシルメチ
ルセルロースおよびカーボン等の粉末もしくは繊維等が
用いられる。この構成では、脱脂処理によってフィラー
が消失し、内部層よりも気孔率の高い表面層が、微細な
粉末または繊維状の熱膨張抑制材によって形成される。
【0065】さらに、これらの成形工程は、成形型内の
キャビティ面にフィラーを含有するスラリーを塗布し、
その乾燥後、前記キャビティ内に粉末または繊維状の熱
膨張抑制材を含有するスラリーを充填して予備成形体を
成形し、該予備成形体を乾燥脱脂することにより多孔質
体を成形する構成であってもよい。
【0066】フィラーとしては、上記と同様、セルロー
ス,ポリビニルブチル,カルボキシルメチルセルロー
ス,およびカーボン等の粉末もしくは繊維等が用いられ
る。この構成では、微細な粉末または繊維状の熱膨張抑
制材のみがフィラーの粉末または繊維間に選択的に入り
込んだ状態で予備成形体が成形される。このため、脱脂
処理によってフィラーが消失すると、内部層よりも気孔
率の高い表面層が、微細な粉末または繊維状の熱膨張抑
制材によって形成される。
【0067】さらにまた、これらの成形工程は、前記成
形型として耐火物からなる成形体を用い、該耐火物成形
体と前記予備成形体とを同時に脱脂焼成する構成であっ
てもよい。
【0068】この構成では、耐火物成形体を、例えば断
熱セラミックス等によって構成し、耐火物成形体と予備
成形体とを脱脂焼成することによって、脱脂焼成された
耐火物成形体が保温効果を奏し、鋳造時における溶湯の
湯流れを良好にすることができる。
【0069】請求項10記載の放熱用基板の製造方法
は、キャビティを形成する入れ子が交換可能に装着され
る金型を備えた鋳造装置を用いて請求項7記載の放熱用
基板を製造する製造方法であって、前記入れ子を前記母
材の溶湯凝固温度以上に加熱し、前記熱膨張抑制材から
成形した多孔質体をその表面と前記入れ子の表面との間
に隙間をあけた状態で前記キャビティ内に配置して、該
キャビティ内に前記溶湯を加圧注入することを特徴とす
るものである。
【0070】このような構成では、請求項9記載の発明
と同様、入れ子が溶湯凝固温度以上に加熱されているた
め、金型温度を前記溶湯凝固温度よりもかなり低く設定
した場合であっても、該金型によってキャビティに加圧
注入された溶湯が急速に冷却されることがない。
【0071】よって、溶湯は多孔質体内の気孔に確実に
充填されるとともに、母材層を形成するためのキャビテ
ィ空間(前記隙間)を流れる際も凝固することなくキャ
ビティ全体に行き渡り、湯じわ・湯廻り不良等を防止す
ることができる。
【0072】なお、請求項9および請求項10に記載の
放熱用基板の製造方法は、前記入れ子として分割可能に
組み立てられた金属を用い、該入れ子を前記溶湯凝固後
に分割することによって鋳込まれた放熱用基板を取り出
す構成であってもよい。
【0073】この金属としては、高温強度および耐酸化
性が良好で、しかも放熱用基板との熱膨張係数の差の小
さな金属が好ましく、耐熱合金,サーメット,タングス
テン系合金等が用いられる。
【0074】この構成では、入れ子の熱伝導性が良好な
ため、該入れ子の加熱時間を短縮して生産性の向上を図
ることができるとともに、キャビティに注入された溶湯
への伝熱性も高められ、不均一な凝固,湯じわ・湯廻り
不良,多孔質体内の気孔への溶湯の充填不良等を防止す
ることができる。
【0075】また、凝固冷却時の入れ子と放熱用基板と
の収縮量の違いによる変形、型バラシ不良を生じること
がなく、更には、鋳込まれた放熱用基板を取りだした
後、該入れ子の再利用が可能である。
【0076】さらに、請求項9および請求項10に記載
の放熱用基板の製造方法は、前記入れ子として耐火物を
用い、該耐火物を溶湯凝固後に破砕することによって鋳
込まれた放熱用基板を取り出す構成であってもよい。こ
の耐火物としては、適度な熱伝導性と小さい比熱を有
し、かつ安価なアルミナ,シリカ,カーボン等が用いら
れる。
【0077】この構成では、前記金属入れ子の場合と同
様、入れ子の加熱時間を短縮することが可能であると共
に、入れ子を破砕することによって鋳込まれた放熱用基
板の取り出しを行うため、離型材を用いることなく容易
かつ迅速に放熱用基板の取り出しが行え、低コストにて
生産性良く放熱用基板を製造することができる。
【0078】さらにまた、請求項8〜請求項10に記載
の放熱用基板の製造方法は、前記溶湯を、 溶湯初期温度:750℃以下、 溶湯加圧圧力:10〜100MPa、 注湯凝固時間:30秒以下 の条件で前記キャビティ内に低速層流充填する構成であ
ってもよい。
【0079】この構成では、キャビティ内に注入される
溶湯がダイカストのような高速噴霧充填ではなく低速層
流充填であるため、多孔質体がバインダ含有量の少ない
ものであっても、破壊することなく気孔に溶湯を溶浸さ
せることができる。また、比較的低温かつ短時間での鋳
造であるため、溶湯と熱膨張抑制材との間の界面反応も
抑制できる。
【0080】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る放熱用基板お
よびその製造方法の実施形態について、図面を参照しな
がら説明する。図1は放熱用基板の第一の実施形態を示
す斜視図、図2は同放熱用基板の要部拡大断面図であ
り、これらの図中、符号1は放熱用基板、2は母材、3
は熱膨張抑制材、4は表面層、5は内部層を示してい
る。
【0081】この放熱用基板1は、図1および図2に示
すように、アルミニウム若しくはアルミニウム合金から
なる母材2よりも熱膨張係数の低い熱膨張抑制材3から
成形した多孔質体に、前記母材2を溶浸させてなり、そ
の表面層4の全体若しくは一部が内部層5よりも熱膨張
抑制材3の含有率が低くなるように構成されている。
【0082】表面層4における熱膨張抑制材3は、例え
ば平均粒子径0.1〜10μm、SiC、AlN、C、B
N、Al23、SiO2若しくはSi34等のセラミックス
粉末,ファイバー,ウィスカ,又はこれらの混合物から
その体積分率が20%を越えないように構成されてい
る。すなわち、表面層4における母材2の体積分率は、
80%以上に設定される。
【0083】また、内部層5における熱膨張抑制材3
は、例えば平均粒子径1μm〜100μmのSiC、Al
N、C、BN、Al23、SiO2若しくはSi34等のセ
ラミックス粉末,ファイバー,ウィスカ,又はこれらの
混合物からその体積分率が50〜80%となるように構
成されている。すなわち、内部層5における母材2の体
積分率は、20〜50%に設定される。
【0084】ただし、内部層5における熱膨張抑制材3
の体積分率は、放熱用基板1が絶縁体を介して半導体に
接合されることを考慮して、該絶縁体の熱膨張係数に近
い値に設定しておくことが好ましい。例えば、絶縁体と
して窒化アルミニウムを用いた場合には、約60〜80
%に設定する。このように、本実施形態の放熱用基板1
は、母材2および熱膨張抑制材3の体積分率がそれぞれ
異なる表面層4および内部層5とから構成されている。
【0085】一方、母材2としては、Al-0〜15%Si-0
〜0.5%Mg-0〜0.5%Cu-0〜0.5%Fe-0〜0.5%Mn0〜0.5%
Ni0〜0.5%Ti0〜0.1%Beが用いられ、アルミニウム以
外の合金成分の母相中への固溶量としては、その合計が
0.5%以下、より好ましくは0.2%以下に抑えられ
ていることが熱伝導率および耐熱疲労特性を向上させる
上で好ましい。
【0086】さらに、本実施形態の放熱用基板1には、
所定の熱処理等が施され、母材2中に含まれるSi,Mg
等の合金成分がアルミニウム母相から十分に析出し、こ
れら合金成分が母相中に実質的に固溶していない状態と
され、かつ母材2内の残留熱応力および母材2と熱膨張
抑制材3との界面における残留熱応力が50MPa以下
に抑えられた構成となっている。
【0087】また、表面層4の厚さは、0.01〜0.
5mmの範囲に設定されている。その理由は、0.01
mm以上であれば、メッキ処理前の表面エッチング処理
時に内部層5中の粗大なセラミックスが表面に露出する
ことを防止し得て、良好なメッキ性を確保することがで
きるからである。
【0088】ただし、0.5mmを越えてしまうと、熱
膨張係数を十分に低減させることができなくなるだけで
なく、たとえ残留熱応力が上記の値以下に十分に除去さ
れていても、半導体に実装されて温度変化を受けた際に
表面層4と内部層5の熱膨張係数の違いにより生じる熱
応力が不可避的に残留する熱応力に付加されることによ
って生じる反りが顕著になり、放熱熱交換機との十分な
熱接触のための平面性が表面に確保できなくなるばかり
でなく、前記温度変化により繰り返し付加される熱応力
による表面層4と内部層5との界面剥離を防ぐことがで
きなくなるからである。
【0089】しかるに、このように構成された放熱用基
板1では、表面層4および内部層5間に生じる熱応力に
よる変形,反り,クラック,母相の内部歪み,および表
面層4と内部層5との界面剥離を防止し、これらの欠陥
に起因する熱伝導率の低下を防ぐことができる。
【0090】また、母材2内の合金成分が母相中に固溶
することによって生じる母相の硬化が抑制され、本実施
形態の放熱用基板1が半導体に実装された際に加熱冷却
を繰り返しても熱疲労による母相の破壊を防ぐことがで
き、かつ母相に固溶した添加元素に起因する熱伝導率の
低下も防ぐことができる。
【0091】さらに、表面層4の後加工性およびメッキ
性の向上が図られるとともに、当該表面層4を後加工し
た際の残留応力の解放による更なる変形、反り発生を防
止することができる。
【0092】次に、本発明に係わる放熱用基板の第二の
実施形態について、図3を参照しながら説明する。同図
中、符号6は母材層であり、その他の構成要素について
は図2と同一の符号を付している。
【0093】本実施形態の放熱用基板1’は、前記表面
層4(図2参照)に相当する部分が熱膨張抑制材3を含
まない母材層6によって構成されているという点で、前
述の第一の実施形態における放熱用基板1と構成を異に
するが、その他の構成については同様の構成である。
【0094】この放熱用基板1’は、その表層部分が熱
膨張抑制材3を含まない構成であるから、母材層6と内
部層5との熱膨張係数の乖離が大きくなっているが、こ
れらの間の残留熱応力が上記値(50MPa)以下にな
っているため、熱応力による前記欠陥の発生が防止され
る。また、ハンダ接合ならびにその前処理であるメッキ
を施すことなく、母材層6を介して拡散接合を行うこと
によって絶縁体に直接接合することが可能となる。
【0095】次に、本発明に係る放熱用基板製造方法の
第一の実施形態について、図4〜図6を参照しながら説
明する。図4および図5は本実施形態に係る鋳造金型の
縦断面図、図6は製造工程を示すフローチャートであ
る。
【0096】鋳造金型11は、駆動手段(図示略)によ
って相互接離可能とされ、図4に示す型開き状態と、図
5に示す型締め状態とに維持可能となっている。また、
型締め状態では溶湯加圧室12とキャビティ13とが画
成され、上型には溶湯加圧室12に母材溶湯14を導入
するための導入路15が形成されている。
【0097】溶湯加圧室12には、プランジャ16が往
復移動可能に挿入されており、このプランジャ16によ
って導入路15を介して溶湯加圧室12内に導入された
母材溶湯14が加圧され、金型キャビティ13内に配さ
れた多孔質体P内の気孔Hに母材溶湯14が浸透するよ
うになっている。
【0098】この多孔質体Pは、例えばSiC粉末を外
形寸法:79mm(縦)×149mm(横)×3.2m
m(厚さ)に成形したプレス成形体から作製されたもの
であり、その内層部は、平均粒径50μmのSiC粉末
から体積分率が65%となるように厚さ2.6mmに形
成され、また、表層部は、平均粒径1.5μmのSiC
粉末から体積分率が8%となるように前記内層部の両側
面上にそれぞれの厚さが0.3mmとなるように形成さ
れている。
【0099】このようにして成形された多孔質体Pは、
図6のフローチャートに示すように、離型材が表面に塗
布されて700℃に予備加熱された後、250℃に保温
された鋳造金型11内に、その内周面と当該多孔質体P
の上下面との間に、それぞれ0.1mmの隙間を設けた
状態で配置される。
【0100】すなわち、この隙間と多孔質体Pの表層部
とを合わせた厚さ方向の寸法は、片面だけについて言え
ば合計0.4mmになっている。なお、前記隙間は、母
材2と同材質の合金粉末や箔を敷いたり、ブロック、ピ
ン等の隙間形成部材を配置し、これらを充填した母材溶
湯14に溶解させる等の手段を採用することができる。
【0101】そして、プランジャ16を0.1m/sの
速度で移動させて初期温度720℃の母材溶湯14を溶
湯加圧室12内に低速層流充填する。このような条件下
で溶湯充填を行うのは、ダイカストのような高速噴霧充
填ではなく低速層流充填とすることによって、バインダ
含有量の少ない多孔質体Pであっても破壊されることが
ないようにするためである。
【0102】次いで、50MPaに保持した溶湯圧力下
において凝固を10秒間で完了させ、引き続き450℃
から30℃/hrの冷却速度にて凝固中の母材溶湯14
が少なくとも200℃になるまで徐冷焼鈍処理を行う。
【0103】このような条件下で熱処理を行うのは、焼
鈍処理開始温度が400℃未満、あるいは60℃/hr
を越える条件下では焼鈍による効果、すなわち熱応力の
除去および添加合金の析出が不十分となり、また、20
0℃以下の温度まで冷却してしまえば、それ以降は冷却
速度を特に制御しなくても焼鈍効果が失われないからで
ある。
【0104】また、焼鈍処理開始温度が凝固温度を越え
たり、冷却速度を10℃/hr未満とした条件下で焼鈍
した場合には、所望の焼鈍効果が期待できず、母材2と
熱膨張抑制材3との界面にAl4C等の好ましくない反応
相が生成されたり、空孔が生成され、かえって熱伝導率
の低下を来すことがあるからである。
【0105】しかるに、このようにして得られた鋳造体
の上下面には、それぞれ研削加工が施され、最終的に厚
さ3.0mmの放熱用基板1が作製されることとなる。
この放熱用基板1の諸特性は、以下の通りであることが
確認されている。
【0106】[実施例1] 厚さ方向の熱伝導率:220W/mK 面方向の熱膨張係数:7.5×10-6/K 面の反り :0.03mm/100mm
【0107】本実施形態との比較のため、多孔質体Pの
表層部の厚さを0.3mmに設定し、鋳造後の冷却速度
を100℃/hr以上にて放冷することによって作製し
た放熱用基板の諸特性は、以下の通りである。
【0108】[比較例1] 厚さ方向の熱伝導率:190W/mK 面の反り :0.1mm/100mm なお、本比較例では、表面層と内部層との界面にクラッ
クが発生した。
【0109】また、別の比較例として、多孔質体Pの表
層部の厚さを1mmに設定し、鋳造後の冷却速度を10
0℃/hrにて放冷することによって作製した放熱用基
板の諸特性は、以下の通りである。
【0110】[比較例2] 厚さ方向の熱伝導率:150W/mK 面の反り :0.8mm/100mm なお、本比較例では、上下面のいずれか一方のみに0.
5mmの研削加工を施している。
【0111】これらの比較結果から明らかなように、本
実施形態の製造方法によれば、他の比較例に比べて熱歪
みが抑制されて反りの発生が極めて小さく、しかも高熱
伝導率かつ低熱膨張係数を有する放熱用基板1が得られ
ることが確認された。
【0112】すなわち、本実施形態の製造方法において
は、溶湯凝固後直ちに上述の徐冷焼鈍処理が行われて、
表面層4および内部層5に発生する熱応力が実質的に零
となるように十分に除去されるため、これら表面層4お
よび内部層5間の熱膨張係数の相違によって溶湯凝固時
に発生する熱応力を原因とした変形,反り,クラック,
母相の内部歪み,および表面層4と内部層5との界面剥
離を防止することができる。
【0113】また、かかる徐冷焼鈍処理によって、母材
溶湯14に添加した合金成分の母相への固溶も抑制する
ことができるため、熱伝導率の低下を防ぐことができる
とともに母相の硬化が抑制され、本実施形態によって作
製した放熱用基板1が半導体に実装された際に加熱冷却
を繰り返しても、熱疲労による母相の破壊も防ぐことが
できる。
【0114】なお、多孔質体Pは、前記セラミックスの
粉末等をプレス成形して作製する他、バインダによる結
合,焼結,ファイバを束ねる等して作製してもよい。
【0115】次に、本発明に係る放熱用基板製造方法の
第二の実施形態について、図7〜図9を参照しながら説
明する。本実施形態の製造方法は、前記放熱用基板1’
(図3参照)の製造に好適なものである。
【0116】本製造方法は、鋳造キャビティ(以下、単
にキャビティと称する。)が金型に交換可能に装着され
る入れ子によって形成されるという点で、前述の製造方
法と構成を異にする。図7は、本製造方法の実施に用い
られる鋳造金型の断面図であり、これらの図中、符号2
1はキャビティ、22は入れ子、23は金型を示してい
る。
【0117】金型23は、一方の面に形成された凹部2
4に入れ子22が交換可能に装着されるとともに、他方
の面が鋳造装置本体(図示略)に固定され、駆動手段
(図示略)の作動により相互に接離可能とされている。
そして、図7に示すように、型締め時に入れ子22によ
ってキャビティ21が形成されるようになっている。
【0118】これら入れ子22としては、例えば、耐熱
合金,サーメット,タングステン系合金等が用いられ、
金型23に装着される外面が凹部24の形状に合わせて
形成されるとともに、キャビティ21を形成する内面が
放熱用基板1の形状に合わせて型彫りされている。
【0119】本実施形態では、図8に示すように、入れ
子22の少なくともいずれか一方の内面に、該入れ子2
2の表面とキャビティ21に配される多孔質体Pの表面
との間に隙間31を形成するための突起32が設けられ
ている。すなわち、この突起32によって入れ子22と
多孔質体Pとの間に形成された隙間31に母材溶湯14
を流入させ、これにより、表層部に母材層6を形成する
ようにしている。
【0120】このとき、隙間31の厚さが0.05〜
0.6mmとなるように、突起32の高さを設定してお
けば、後工程における母材層6の機械加工を最小限です
ませたり、省略することができるので、後加工時におけ
る残留熱応力の解放によって反りを生じさせることな
く、母材層6の厚さを容易に0.01〜0.5mmに仕
上げることが可能となる。
【0121】次に、上記構成の金型23を備えた鋳造装
置を用いて放熱用基板を製造する工程について、図9の
フローチャートを参照しながら説明する。まず、入れ子
22に離型材を塗布した後、該入れ子22内にあらかじ
め成形しておいた多孔質体Pを配置して700℃に加熱
する。
【0122】次いで、多孔質体Pとともに加熱した入れ
子22をあらかじめ50℃に保温しておいた金型23に
装着し、前記駆動手段を作動させて型締めする。そし
て、母材溶湯14を射出スリーブ25からランナー26
(図7参照)を介してキャビティ21に加圧注入する。
【0123】なお、本実施形態においても、母材溶湯1
4の射出条件および徐冷焼鈍処理条件は、前述の製造方
法と同様にして行う。そして、徐冷焼鈍処理が終了した
ら、金型23を開き、入れ子22を金型23から取り外
して鋳込まれた放熱用基板1’を取り出し、その上下面
に研削加工を施す。
【0124】本実施形態の放熱用基板製造方法によれ
ば、前記第一実施形態の製造方法により得られる効果に
加えて、キャビティ21内において形状を拘束保持した
状態で十分な徐冷焼鈍処理を行うことができるため、溶
湯凝固時における変形および反りの発生をより一層効果
的に防止することができる。
【0125】また、入れ子22が母材2の溶湯凝固温度
以上に加熱されているため、金型23の温度を50℃と
いう低い温度に設定しておいても、該金型23によって
キャビティ21に加圧注入された溶湯が急速に冷却され
ることがなく、母材溶湯14が多孔質体P内の気孔Hに
確実に充填されるとともに、母材層6を形成するための
隙間31を流れる際も凝固することなくキャビティ21
全体に行き渡り、湯じわ・湯廻り不良等を防止すること
ができる。
【0126】しかも、加熱された入れ子22の保温効果
により、凝固を均一にして熱応力および熱変形の発生を
防止できるので、湯流れを良くするために多孔質体Pお
よび溶湯を過度に加熱する必要がなくなり、表面層4お
よび内部層5間の界面反応を防止することができる。
【0127】また、入れ子22をあらかじめ加熱してお
くことにより、金型温度を低く設定することができるの
で、熱疲労による型寿命短命化の回避およびサイクルタ
イムの短縮化を図ることができ、低コストにて生産性良
く放熱用基板1’を製造することができる。
【0128】さらに、溶湯の湯廻りが良好になるため、
注入量を放熱用基板1’の製造体積と同量としたニアネ
ット形状での鋳造が行え、後加工量が減り、より一層の
生産性の向上と歩留まり向上を図ることができる。
【0129】なお、本実施形態では、入れ子22の表面
に突起32を設けることによって、母材層6を形成する
ための隙間31を形成するようにしたが、母材2と同材
質の合金粉末や箔を敷いたり、ブロック,ピン等の隙間
形成部材を配置し、これらを注入した溶湯に溶解させる
ようにしてもよい。この構成によれば、放熱用基板1’
の表面が平坦に仕上がるため、ニアネット形状での鋳造
が行え、後加工量の軽減を図ることができる。
【0130】上述した放熱用基板1,1’は、いずれも
徐冷焼鈍等の熱処理が施されたものであるが、かかる熱
処理が施されていない構成であっても、表面層4の全体
若しくは一部が、内部層5よりも熱膨張抑制材3の含有
率の低い複合材層または母材層6により構成された形態
であれば、以下に示すような優れた作用効果を発揮する
ことができる。
【0131】すなわち、この形態では、熱膨張抑制材3
を含まないアルミニウム製の放熱用基板に比して高熱伝
導率を維持しつつ放熱用基板全体の熱膨張係数を低く抑
えることができ、また、放熱用基板と前記絶縁体との熱
膨張係数の乖離を小さくし得るため、放熱用基板の熱伸
縮による接合強度の低下、及び半導体の変形防止を図る
ことができる。
【0132】なお、この形態における母材2および熱膨
張抑制材3の体積分率は、内部層については第一実施形
態に係る放熱用基板1の内部層と同様に設定され、ま
た、表面層(複合材層)については熱膨張抑制材3の平
均粒子径および体積分率をそれぞれ0.5〜10μmお
よび2〜20%に設定され、かつ母材2の体積分率を8
0〜98%に設定される。
【0133】これにより、複合材層では、熱膨張抑制材
の体積分率が小さく、かつ含まれるセラミックス粉末の
粒度が微細となるため、後工程における機械加工性,メ
ッキ性およびメッキ後のハンダの濡れ性を向上させるこ
とができる。
【0134】また、複合材層の厚みを放熱用基板1と同
様に0.01mm〜0.5mmの範囲に設定しておけば、使
用時における熱応力による反りや熱変形を最小限に抑え
ることができ、しかも、放熱熱交換器との熱接触を確保
するための平滑面を機械加工することなく容易に得るこ
とができる。
【0135】ちなみに、この放熱用基板は、図10に示
す製造工程を経て作製されるが、鋳造金型は、先に述べ
た図4および図5に示したものと同様の金型が使用され
る。以下、図4,図5,および図10を参照しながら、
本発明に係る放熱用基板製造方法の第三の実施形態につ
いて説明する。
【0136】本実施形態において、多孔質体Pは、Si
C等の粉末、繊維にバインダを加えてプレス成形等で所
定形状に成形してなる成形体本体の表面に、SiC等の
微細な粉末,繊維,フィラーの粉末もしくは繊維,バイ
ンダ,および分散媒体からなる表層部を形成した予備成
形体を作製し、これを乾燥脱脂することで作製される。
【0137】すなわち、この脱脂処理によって、表層部
のフィラーが消失し、表層部にフィラー混合率に応じた
気孔Hが形成されるため、表層部の気孔率が内層部より
も高い多孔質体Pが作製されることになる。
【0138】フィラーには、脱脂加熱処理によって分
解,蒸発,昇華,酸化等して消失し、これにより、予備
成形体に消失孔を形成することのできる材質のものが用
いられる。例えば、セルロース、ポリビニルブチル、カ
ルボキシメチルセルロース、カーボン等が好適である。
【0139】上述の成形工程を経て成形された多孔質体
Pは、図10のフローチャートに示すように、離型材が
表面に塗布された後、母材2の溶湯凝固点温度以上(例
えば、700℃)に加熱される。
【0140】そして、200℃以上前記溶湯凝固温度以
下に保温された鋳造金型キャビティ13内に加熱した多
孔質体Pを配置して、プランジャ16を前進移動させる
と、溶湯加圧室12内に導入された溶湯14が加圧さ
れ、多孔質体P内の気孔Hに溶湯14が浸透してゆく。
【0141】ここで、溶湯14を貯留する炉内の温度は
750℃以下に、また、溶湯加圧圧力は約10〜100
MPaの範囲内に設定し、かつ溶湯注入後は、約30秒、
またはそれ以下の凝固時間をおいて放熱用基板を取り出
すのが好ましい。
【0142】このような鋳造条件によれば、金型キャビ
ティ13内に注入される溶湯14がダイカストのような
高速噴霧充填ではなく低速層流充填であるため、バイン
ダ含有量の少ない多孔質体Pであっても破壊されること
なく、その気孔Hに溶湯が溶浸する。また、比較的低温
かつ短時間での鋳造であるため、溶湯14と熱膨張抑制
材3との間の界面反応も抑制できる。
【0143】また、本実施形態の製造方法によれば、多
孔質体Pを母材2の溶湯凝固温度以上に加熱し、かつ多
孔質体Pを加熱する前に、あらかじめその表面に離型材
を塗布することによって鋳造金型11への離型材を塗布
を不要にし、該鋳造金型11を高温に保持できるように
しているため、鋳造時における保温効果が高められ、金
型キャビティ13内に加圧注入された溶湯14の湯流れ
が良好になっている。
【0144】しかも、多孔質体Pの表層部は気孔率が高
いため、溶湯14が多孔質体P内の気孔Hに確実に充填
されることはもちろんのこと、湯じわ・湯廻り不良等を
防止することもできる。
【0145】なお、多孔質体Pは、上述の成形工程に限
らず、以下の工程によっても成形可能である。 (1)SiC等の粉末、繊維にバインダを加えてプレス
成形等で所定形状に成形してなる成形体本体の表面に、
フィラーの粉末もしくは繊維,バインダ,分散媒体およ
びSiC等の微細な粉末、繊維の混合スラリーを塗布す
る、あるいは該スラリー中に成形体本体を浸漬し、これ
を乾燥脱脂する。
【0146】(2)内層部がバインダ,SiC等の粉
末、繊維からなり、また、表層部がバインダ,フィラー
の粉末もしくは繊維,SiC等の微細な粉末、繊維から
なる3層プレス成形体を成形し、これを乾燥脱脂する。 (3)SiC等の粉末、繊維の焼成体表面に多孔質セラ
ミックスの焼成シートを張り付ける。
【0147】(4)成形型のキャビティ面に、フィラー
の粉末もしくは繊維,分散媒体およびSiC等の微細な
粉末、繊維にバインダを加えた混合スラリーをあらかじ
め塗布しておき、キャビティ内にSiC等の粉末、繊維
を充填してプレス成形後、これを乾燥脱脂する。この場
合、プレス成形に限らず射出成形であってもよく、ま
た、キャビティ内にSiC粉末等の混合スラリーを充填
してもよい。
【0148】なお、上述の各成形工程において、多孔質
体Pの表層部厚さを0.05mm〜0.6mmに設定してお
けば、後工程における複合材層の機械加工を最小限です
ませたり、あるいは省略することができるので、反りの
発生を抑えつつ、複合材層の厚さを0.01mm〜0.5
mmに仕上げることが可能となる。
【0149】次に、本発明に係る放熱用基板製造方法の
第四の実施形態について説明する。本実施形態の主たる
特徴は、多孔質体Pの成形工程において、乾燥脱脂前の
予備成形体の表層部を形成するスラリーやシート中にセ
ラミックス粉末が含まれていないという点にあり、その
他は前記第三実施形態と同様の構成である。
【0150】本実施形態では、例えば、成形型のキャビ
ティ面に、バインダ,フィラーの粉末もしくは繊維,お
よび分散媒体の混合スラリーをあらかじめ塗布してお
き、その乾燥後、キャビティ内にバインダ,分散媒体,
およびSiC等の粉末、繊維の混合スラリーを充填して
予備成形体を作製し、これを乾燥脱脂することによって
多孔質体Pが成形される。
【0151】すなわち、本実施形態では、予備成形体の
内層部に含まれるセラミックス粉末のうち、微細なもの
だけが表層部のフィラーの粉末もしくは繊維間に選択的
に入り込む。よって、内層部よりも気孔率の高い表層部
が微細なセラミックス粉末のみからなる多孔質体Pが成
形される。
【0152】なお、微細なセラミックス粉末のみを表層
部のフィラーの粉末もしくは繊維間に選択的に入り込ま
せるといった多孔質体Pの成形工程は、上述のものに限
られず、以下の工程によっても成形することができる。
【0153】(1)成形型のキャビティ面に、多孔質フ
ィラーシートをあらかじめ設置しておき、その後、キャ
ビティ内にバインダ,分散媒体およびSiC等の粉末、
繊維の混合スラリーを充填し、これを乾燥脱脂する。
【0154】(2)成形型のキャビティ面に、多孔質セ
ラミックス生成用シートをあらかじめ設置しておき、そ
の後、キャビティ内にバインダおよびSiC等の粉末、
繊維を充填してプレス成形後、乾燥脱脂する。この場
合、プレス成形に限らず射出成形であってもよく、ま
た、キャビティ内にSiC粉末等の混合スラリーを充填
してもよい。
【0155】次に、本発明に係る放熱用基板製造方法の
第五の実施形態について説明する。本実施形態の主たる
特徴は、多孔質体Pを成形する工程において、成形型と
して耐火物からなる成形体を用い、該耐火物成形体と予
備成形体とを同時に脱脂焼成するという点にあり、その
他は前述の第三実施形態と同様の構成である。
【0156】すなわち、本実施形態では、断熱セラミッ
クス成形体からなる成形型内の予備成形体にプレス成形
や射出成形等を施すことによって、上下面に断熱セラミ
ックス層が一体成形されてなる5層構造の予備成形体を
成形し、これを脱脂焼成して多孔質体Pを作製するもの
である。
【0157】例えば、成形型内に、(1)フィラーの粉末
もしくは繊維とバインダとを加えたSiC粉末,(2)Si
C成形体,(3)フィラーの粉末もしくは繊維とバインダ
とを加えたSiC粉末を、この順に積層状態に充填して
プレス成形することによって、表層部が断熱セラミック
ス層からなる5層プレス成形体を成形する。
【0158】このような構成によれば、5層プレス成形
体の表層部を覆う耐火物成形体によって保温効果が奏さ
れ、これにより、鋳造時における鋳造金型による溶湯の
急冷が防止されて湯流れを良好にすることができる。
【0159】なお、5層プレス成形体は、プレス成形に
よって成形されるものに限られず、SiC粉末成形体の
表面にフィラーの粉末もしくは繊維,バインダ,分散媒
体およびSiC粉末の混合スラリーを塗布する、また
は、該混合スラリー中にSiC粉末成形体を浸漬した
後、これを断熱セラミックススラリー中に浸漬すること
によって成形されるものでもよく、これを乾燥脱脂する
ことによっても多孔質体Pを作製することができる。
【0160】次に、本発明に係る放熱用基板製造方法の
第六の実施形態について説明する。本実施形態では、金
型に交換可能に装着される入れ子によってキャビティが
形成されるという点で、前記第二実施形態の放熱用基板
製造方法と共通する。以下、図4,図5,および図11
を参照しながら、第二実施形態に係る放熱用基板製造方
法との相違点について説明する。
【0161】本実施形態において、金型23は、製造す
べき放熱用基板の形状に応じ、適宜入れ子22を取り外
して所望のキャビティ21を形成し得る他の入れ子22
と交換することによって、種々の形状に対応可能な鋳造
装置を構成できるようになっている。
【0162】そして、図11のフローチャートにおい
て、溶湯射出後、所定の凝固時間が経過したら、金型2
3を開き、入れ子22を金型23から取り外す。次い
で、金型23から取り外した入れ子22をばらし、鋳込
まれた放熱用基板1を取り出す。この入れ子22は、放
熱用基板1を取り出した後、再利用される。
【0163】ここで、ばらし工程を行っている間に、あ
らかじめ加熱工程にて多孔質体Pとともに加熱しておい
た別の入れ子22を金型23にセットして射出工程を行
うようにすれば、生産性良く放熱用基板の製造を行うこ
とができる。しかるに、本実施形態によっても、第二実
施形態と同様の効果を得ることができる。
【0164】なお、本実施形態において、図11では、
あらかじめ成形しておいた多孔質体Pを入れ子22内に
配置し、これらを加熱する構成を示したが、図12のフ
ローチャートに示すように、入れ子22を予備成形体を
成形するための成形型として用い、成形された予備成形
体を入れ子22から取り出さずに乾燥脱脂するととも
に、そのまま入れ子22と共に加熱する形態(第七の実
施形態)としてもよい。
【0165】この第七実施形態では、成形型を構成する
入れ子22内において予備成形体の脱脂処理を行うた
め、入れ子22による拘束によって脱脂処理の際に生じ
る変形を抑制することができるとともに、成形された多
孔質体Pのバインダ含有量も同時に減らすことができ、
さらなる工程の簡略化を図ることができる。
【0166】次に、本発明に係る放熱用基板製造方法の
第八の実施形態について説明する。本実施形態は、金型
23に装着する入れ子として、適度な熱伝導性と小さい
比熱を有し、かつ安価なアルミナ,シリカ,カーボン等
の耐火物を用い、該耐火物を溶湯凝固後に破砕すること
によって、鋳込まれた放熱用基板を取り出すという点
で、前記第六実施形態と構成を異にする。
【0167】すなわち、第六実施形態における製造方法
では、入れ子22は放熱用基板を取り出した後、再利用
されていたが、本実施形態の製造方法では、1度使用に
供されると、破砕される。
【0168】これにより、離型材を用いることなく容易
かつ迅速に放熱用基板の取り出しが行えるので、本実施
形態にあっても、低コストにて生産性良く放熱用基板を
製造することができる。更には、メッキ、ハンダを用い
ることなく、絶縁体との直接接合を可能にすることがで
きる。
【0169】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、次のような効果を奏することができる。 (1)請求項1記載の放熱用基板によれば、母材と熱膨
張抑制材との界面および母材内部の熱応力による放熱用
基板の変形,反り,クラック,母相の内部歪み,および
母材と熱膨張抑制材との界面剥離を防止し、これらの欠
陥に起因する熱伝導率の低下を防ぐことができる。よっ
て、高熱伝導率かつ低熱膨張率であって熱歪みの小さな
放熱用基板の提供が可能になる。
【0170】(2)請求項2記載の放熱用基板によれ
ば、上述の効果(1)に加えて、表面層の後処理性およ
びメッキ性の向上が図られるとともに、半導体に実装さ
れて温度変化を受けた際に表面層と内部層の熱膨張係数
の違いにより生じる熱応力が、表面層と内部層の界面に
おける残留熱応力に付加されることによって生じる反り
が抑制され、放熱効率の低下を防ぐことができる。
【0171】(3)また、母相の硬化、残留熱応力およ
び前記温度変化により繰り返し付加される熱応力による
熱疲労から生じる表面層と内部層との界面剥離、及びこ
れによる放熱効率の低下を防止することができる。さら
に、表面層を後加工した際の残留応力の解放による更な
る変形、反り発生を防止することができる。
【0172】(4)請求項3記載の放熱用基板製造方法
によれば、鋳造後冷却時における母材と熱膨張抑制材間
の熱膨張係数の相違、さらには熱膨張抑制材の含有率が
内部層よりも少ないか全く含まない表面層を有する放熱
用基板における表面層および内部層間の熱膨張係数の相
違による熱応力の発生、及びこの熱応力に起因する変
形,反り,クラック,母相の内部歪み,母材と熱膨張抑
制材との界面剥離,並びに表面層と内部層との界面剥離
を防止することができる。
【0173】(5)また、母材溶湯に添加する合金成分
の母相への固溶を抑制することができるため、母相の硬
化が防止され、本発明に係る放熱用基板が半導体に実装
された際に加熱冷却を繰り返しても熱疲労による母相の
破壊を防ぐことができるとともに、熱伝導率の低下も防
ぐことができる。
【0174】(6)請求項4記載の放熱用基板製造方法
によれば、上述の効果(4),(5)に加えて、熱膨張
抑制材の含有率が内部層よりも少ないか全く含まない表
面層を有する複合材放熱用基板において、良好な後加工
性およびメッキ性を示す表面層を形成することができ
る。
【0175】(7)また、凝固完了直後に引き続き凝固
温度以下の温度から冷焼鈍処理を行うことで、表面層お
よび内部層間の熱膨張係数の相違による熱応力の発生、
及びこれら表面層と内部層との界面剥離や反りの発生を
より効果的に防止することができ、さらには、表面層を
最終加工する際の残留応力の解放によって生じる変形お
よび反りも防止することができる。
【0176】(8)請求項5記載の放熱用基板製造方法
によれば、上述の効果(4)〜(7)に加えて、入れ子
キャビティ内で形状を拘束保持した状態で十分な徐冷焼
鈍処理を行うことができるため、凝固時における変形お
よび反りの発生をより一層効果的に防止することができ
る。
【0177】(9)また、加熱された入れ子の保温効果
により、凝固を均一にして熱応力および熱変形の発生を
防止できるので、多孔質体および溶湯を過度に加熱する
必要がなくなり、母材と熱膨張抑制材との界面反応を防
止することができる。
【0178】(10)さらに、入れ子をあらかじめ加熱
しておくことにより、金型温度を低く設定することがで
きるので、熱疲労による型寿命短命化の回避およびサイ
クルタイムの短縮化を図ることができ、低コストにて生
産性良く放熱用基板を製造することができる。
【0179】(11)さらにまた、溶湯の湯廻りが良好
になるため、注入量を放熱用基板の製造体積と同量とし
たニアネット形状での鋳造が行え、後加工量が減り、よ
り一層の生産性の向上と歩留まり向上を図ることができ
る。
【0180】(12)請求項6記載の放熱用基板によれ
ば、表面層の全体若しくは一部を内部層よりも熱膨張抑
制材の含有率の低い複合材層によって構成したことによ
り、高熱伝導率を維持しつつ放熱用基板全体の熱膨張係
数を低下させることができるため、接合される絶縁体の
熱膨張係数との乖離が小さくなり、熱伸縮による接合強
度の低下および半導体の変形を防止することができる。
【0181】(13)請求項7記載の放熱用基板によれ
ば、表面層を熱膨張抑制材を含まない母材層によって構
成したことにより、熱膨張抑制材が表面に露出すること
がなくなり、後加工における機械加工性,メッキ性およ
びメッキ後のハンダの濡れ性をより一層向上させること
ができる。
【0182】(14)請求項8記載の放熱用基板の製造
方法によれば、多孔質体を母材の溶湯凝固温度以上に加
熱し、かつ金型も所定温度に保温しているため、鋳造時
における保温効果を高めることができ、キャビティ内に
加圧注入された溶湯が金型によって急速に冷却されるこ
とがなく、湯流れを良好にすることができる。しかも、
多孔質体表層部の気孔率が高いため、溶湯が多孔質体内
の気孔に確実に充填されることはもちろんのこと、湯じ
わ・湯廻り不良等を防止することもできる。
【0183】(15)請求項9および請求項10に記載
の放熱用基板の製造方法によれば、金型に交換可能に装
着される入れ子を溶湯凝固温度以上に加熱しているた
め、金型温度を低く設定した場合であっても、該金型に
よってキャビティに加圧注入された溶湯が急速に冷却さ
れることがない。
【0184】よって、多孔質体内の気孔に溶湯を確実に
充填させることができるとともに、キャビティ内におい
て溶湯が多孔質体の表層部近傍を流れる際も凝固するこ
となくキャビティ全体に行き渡り、湯じわ・湯廻り不良
等を有効に防止することができる。
【0185】(16)しかも、加熱された入れ子の保温
効果により、凝固およびその後の冷却を均一なものとし
て熱応力および熱変形の発生を防止するとともに、過度
の多孔質体加熱および溶湯加熱を不要にして、アルミニ
ウムと熱膨張抑制材との界面反応を防止して熱伝導率の
低下を防止することができる。
【0186】(17)さらに、金型温度を低く設定する
ことができるので、熱疲労による型寿命の短命化を回避
するとともに、金型温度の加熱・冷却のための時間を短
縮することができる。
【0187】(18)また、ニアネット形状での鋳造が
行えるので後加工量が減り、更なる生産性の向上および
歩留まり向上を図ることができる。 (19)さらに、製造すべき放熱用基板の形状に合わせ
て入れ子を適宜交換することにより、種々の形状に対応
可能な鋳造装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る放熱用基板の第一の実施形態を
示す斜視図である。
【図2】 同放熱用基板の断面の一部を拡大した要部拡
大断面図である。
【図3】 本発明に係る放熱用基板の第二の実施形態を
示す要部拡大断面図である。
【図4】 本発明に係る放熱用基板製造方法の第一の実
施形態に用いられる鋳造金型を示す断面図である。
【図5】 図4に示す鋳造金型を用いて放熱用基板を製
造している状態を示す断面図である。
【図6】 図4に示す鋳造金型を用いた放熱用基板の製
造工程を示すフローチャートである。
【図7】 本発明に係る放熱用基板製造方法の第二の実
施形態に用いられる鋳造金型を示す断面図である。
【図8】 図7に示す鋳造金型のキャビティ内に多孔質
体を配置した状態を示す要部拡大断面図である。
【図9】 図7に示す鋳造金型を用いた放熱用基板の製
造工程を示すフローチャートである。
【図10】 本発明に係る放熱用基板製造方法の第三の
実施形態を示すフローチャートである。
【図11】 本発明に係る放熱用基板製造方法の第六の
実施形態を示すフローチャートである。
【図12】 本発明に係る放熱用基板製造方法の第七の
実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1、1’ 放熱用基板 2 母材 3 熱膨張抑制材 4 表面層 5 内部層 6 母材層 11、23 金型 13、21 鋳造キャビティ 14 母材溶湯 22 入れ子 31 隙間 P 多孔質体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 32/00 C22C 32/00 Q C22F 1/04 C22F 1/04 A H01L 23/373 1/00 627 // C22F 1/00 627 651Z 651 681 681 682 682 691B 691 692A 692 692B H01L 23/36 M

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金
    からなる母材よりも熱膨張係数の低い熱膨張抑制材から
    成形した多孔質体に前記母材を溶浸させてなる放熱用基
    板であって、 前記母材と前記熱膨張抑制材との界面および前記母材内
    部における熱応力が十分に除去されてなることを特徴と
    する放熱用基板。
  2. 【請求項2】 前記熱膨張抑制材として平均粒子径1μ
    m〜100μmのSiC,AlN,C,BN,Al23
    SiO2,Si34等の粉末,ファイバー,ウィスカ,ま
    たはそれらの混合物を体積分率にして50〜80%含有
    してなる内部層と、 表面から厚さ0.01mm〜0.5mmの範囲におい
    て、その全体若しくは一部が前記熱膨張抑制材として平
    均粒子径0.1μm〜10μmのSiC,AlN,C,B
    N,Al23,SiO2,Si34等の粉末,ファイバー,
    ウィスカ,またはそれらの混合物を体積分率にして20
    %を越えない範囲で含有してなる表面層とから構成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の放熱用基板。
  3. 【請求項3】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金
    からなる母材よりも熱膨張係数の低い熱膨張抑制材から
    成形した多孔質体を鋳造キャビティ内に配置した後、該
    キャビティ内に初期温度750℃以下の母材溶湯を低速
    層流充填し、 次いで10MPa〜100MPaの溶湯圧力下で30秒
    以内に凝固を完了させ、引き続き400℃以上凝固温度
    以下に設定された熱処理開始温度から少なくとも200
    ℃に到達するまで、10〜60℃/hrの冷却速度にて
    徐冷焼鈍処理することを特徴とする放熱用基板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 表面層の全体若しくは一部が内部層より
    も高気孔率とされ、かつ前記表面層の厚みが0.6mm
    以下に設定された多孔質体を成形し、 この多孔質体を前記母材溶湯の凝固温度以上に加熱した
    後、200℃以上前記凝固温度以下に保温された前記鋳
    造キャビティ内にその内周面との間に0.6mm以下の
    隙間を設け、かつこの隙間と前記表面層の厚みとの合計
    が0.2mm〜0.6mmとなるように配置し、 前記徐冷焼鈍処理を凝固完了直後に凝固温度以下の温度
    から引き続き行うことを特徴とする請求項3記載の放熱
    用基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 鋳造キャビティを形成する入れ子が金型
    に交換可能に装着されてなる鋳造装置が用いられ、 表面層の全体若しくは一部が内部層よりも高気孔率とさ
    れ、かつ前記表面層の厚みが0.6mm以下に設定され
    た多孔質体を成形し、 前記入れ子を前記凝固温度以上に加熱した後、前記多孔
    質体を直接あるいはその表面と前記入れ子の内周面との
    間に0.6mm以下の隙間を設け、かつこの隙間と前記
    表面層の厚みとの合計が0.2〜0.6mmとなるよう
    に、前記鋳造キャビティ内に配置することを特徴とする
    請求項3記載の放熱用基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金
    からなる母材よりも熱膨張係数の低い熱膨張抑制材から
    成形した多孔質体に前記母材を溶浸させてなる放熱用基
    板であって、 その表面層の全体若しくは一部が、内部層よりも前記熱
    膨張抑制材の含有率の低い複合材層により構成されてい
    ることを特徴とする放熱用基板。
  7. 【請求項7】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金
    からなる母材よりも熱膨張係数の低い熱膨張抑制材から
    成形した多孔質体に前記母材を溶浸させてなる放熱用基
    板であって、 その表面層の全体が、前記熱膨張抑制材を含まない母材
    層によって構成されていることを特徴とする放熱用基
    板。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の放熱用基板の製造方法で
    あって、 前記熱膨張抑制材から表面層の全体若しくは一部が内部
    層よりも高気孔率とされた多孔質体を成形する成形工程
    と、 前記多孔質体を前記母材の溶湯凝固温度以上に加熱する
    工程と、 加熱した多孔質体を200℃以上前記溶湯凝固温度以下
    に保温した金型キャビティ内に配置し、該金型キャビテ
    ィ内に前記溶湯を加圧注入する工程とを備えることを特
    徴とする放熱用基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 キャビティを形成する入れ子が金型に交
    換可能に装着される鋳造装置を用いて請求項6記載の放
    熱用基板を製造する製造方法であって、 前記熱膨張抑制材から表面層の全体若しくは一部が内部
    層よりも高気孔率とされた多孔質体を成形する成形工程
    と、 前記入れ子を前記母材の溶湯凝固温度以上に加熱する加
    熱工程と、 前記多孔質体を配した入れ子キャビティ内に前記溶湯を
    加圧注入する工程とを備えることを特徴とする放熱用基
    板の製造方法。
  10. 【請求項10】 キャビティを形成する入れ子が交換可
    能に装着される金型を備えた鋳造装置を用いて請求項7
    記載の放熱用基板を製造する製造方法であって、 前記入れ子を前記母材の溶湯凝固温度以上に加熱し、 前記熱膨張抑制材から成形した多孔質体をその表面と前
    記入れ子の表面との間に隙間をあけた状態で前記キャビ
    ティ内に配置して、 該キャビティ内に前記溶湯を加圧注入することを特徴と
    する放熱用基板の製造方法。
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