JP2004055761A - アルミニウム−炭化珪素質複合体とその製造方法 - Google Patents

アルミニウム−炭化珪素質複合体とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セラミックス回路基板や放熱フィンとの密着性が良好で、めっき付着性がよく、放熱性、及び耐温度変化特性に優れたアルミニウム−炭化珪素質複合体とその製造方法を提供する。
【解決手段】平板状の多孔質炭化珪素成形体の一主面に高純度のAl板を配置して積層体とし、前記積層体を加圧容器内に配置し、前記高純度Alよりも低融点のアルミニウムを主成分とした金属の溶湯を注入して、多孔質炭化珪素成形体の空隙に含浸すると共に、前記Al板を前記アルミニウム−炭化珪素質複合体と一体化させるアルミニウム−炭化珪素質複合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板や放熱フィンとの密着性が良好で、めっき付着性がよく、放熱性、及び冷熱サイクル特性に優れたアルミニウム−炭化珪素質複合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体チップの高集積化や高速化、あるいは大電力モジュールの開発などに伴い、回路基板上で発生する熱量が増大しており、そのために回路基板の絶縁層には、樹脂に代わり、より高熱伝導性を有するセラミックス材料が用いられ、また基板にも銅、アルミニウムといった高熱伝導性を有する金属またはその合金が用いられている。代表的なモジュールとしては、半導体チップを搭載したセラミックス回路基板を、銅又はアルミニウムからなる金属製ヒートシンクに半田付けした構造を更に放熱フィン等の放熱部材に固着した構造を有するものが挙げられる。
【0003】
前記構造において、例えば、アルミニウム(Al)−炭化珪素(SiC)質複合体等の金属−セラミックス複合体をヒートシンク材として、セラミックス回路基板を半田付けした構造のものも開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記構造のモジュールにおいて、高放熱性を考えると、ヒートシンクには熱伝導率の高い銅が最も適しているが、銅は比重が大きいため、モジュール全体の重量が重くなってしまい、軽量化が要求される用途には問題となる。
【0005】
またセラミックス回路基板を金属製ヒートシンクに半田付けした構造のものはセラミックスと金属製ヒートシンクとの間の熱膨張率の差が大きく、そのため半田層等にクラックが生成しやすい。特にアルミニウムのような低剛性の金属をヒートシンクに用いた場合には、実装工程で被る温度変化を受けてヒートシンクがセラミックス回路基板の回路側に大きく凸に反ってしまう(ヒートシンクの裏面を基準にとって言えば、凹面に反る)場合がある。その結果、モジュールの組立に支障を来すとともに、ヒートシンクを放熱フィンにネジ止めする際に隙間が生じ、放熱性を悪化させるという点も問題となっている。
【0006】
そこで、上記問題解決を狙いに、金属に比べて熱膨張率の小さく、軽量な金属−セラミックス複合体を用いたヒートシンクが開発されており、代表的なものとしてはAl合金と炭化珪素の複合体(以下、アルミニウム−炭化珪素質複合体という)が挙げられる。この材料は金属に比べて一般に熱膨張係数が小さく(約8ppm)、従ってセラミックスとの熱膨張率差が小さくなるため、金属製ヒートシンクを用いた場合に比べ、耐温度変化性に優れ、また温度変化を被ったときに発生する反りも小さくなる。
【0007】
アルミニウム−炭化珪素質複合体は、一般的には、炭化珪素粒子からなる粉末をあらかじめ成形することでプリフォームを形成し、そのプリフォームの粒子間に基材(マトリックス)となるアルミニウム(Al)又はアルミニウム合金(Al合金)を含浸(溶浸ともいう)させて作製する。しかしこれは金属とセラミックスという物性の異なる材料の複合体であることから、形状、特に反りの制御が困難であるという問題がある。ヒートシンクを密着性よく放熱フィンにネジ止めする場合には、ヒートシンクのフィン側の面は若干凸面の反りを有していることが好適であるが、硬いセラミックスである炭化珪素を構成成分としていることから、後加工による形状制御は容易ではなく、大幅なコストアップを招いてしまう。
【0008】
一方ヒートシンクの回路基板と接合する側の面に関しては、回路基板を半田付けすることになるが、この複合体はそのままでは半田に濡れ難いので、表面を処理する必要があり、一般にはNiめっき処理等が施される。しかし、炭化珪素プリフォームにAl又はAl合金溶湯を含浸させて複合体を作製する際、溶湯温度を下げて作業性を高めようとしてAl合金を採用する場合には、含浸後の冷却過程でAl合金が相分離して合金成分が析出し、それがめっきの未着を引き起こすことがある。めっき未着は半田ボイドの生成につながり、放熱性や温度サイクルに対する信頼性に悪影響を及ぼす。
【0009】
前記のめっき未着に関しては、純Alを用いて含浸すれば合金成分の析出は無くなるが、融点が高くなるため溶湯の粘性が上がり、高圧鋳造法などで緻密な複合体を得ることが難しくなる他、含浸操作温度自体も高くなり、作業性が悪化し、コストアップを招くし、また複合体を構成する金属自体の硬度が低下することから、複合体の機械的特性も低下する問題がある。
【0010】
更に、アルミニウム−炭化珪素質複合体とセラミックス回路基板の熱膨張係数のミスマッチは金属とセラミックス回路基板とのそれに比べて小さいとはいえ、モジュール作製時にはやはり接合界面或いはその近傍に応力が発生することは避けられない。この場合、半田に応力が集中してクラックが発生する可能性があり、それを防ぐ為には応力を緩和できる層がセラミックス回路基板/アルミニウム−炭化珪素質複合体間に存在していることが望ましい。しかしセラミックス回路基板/アルミニウム−炭化珪素質複合体間に応力を緩和できる層を付与することになると、新たな工程を設ける必要があり、コストアップは避けられず、またその部分で新たに信頼性の問題などが生じる可能性がある。
【0011】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたもので、ヒートシンクの反り制御の向上、めっき未着の問題解決、並びにセラミックス回路基板とアルミニウム−炭化珪素質複合体からなるヒートシンクとの界面部分の応力の発生防止といった、従来技術の諸問題を解決し、セラミックス回路基板や放熱フィンとの密着性が良好で、めっき付着性がよく、放熱性、及び耐温度変化特性に優れたアルミニウム−炭化珪素質複合体とその製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成する為に鋭意研究した結果、アルミニウム−炭化珪素質複合体作製時、高純度のAl板を炭化珪素質プリフォームの一主面に接触配置した状態のままで含浸することにより、一主面に高純度のAl層を有するアルミニウム−炭化珪素質複合体が安定して得ることができ、しかも得られるアルミニウム−炭化珪素質複合体が、特定方向に反りを有し、高熱伝導率でしかも低熱膨張率を有していて、セラミックス回路基板と放熱フィン等の放熱部品間に介在するように用いられるヒートシンク等の放熱部品として好適であるという知見を得て、本発明に至ったものである。
【0013】
すなわち、本発明は、平板状の炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる複合体において、一主面に高純度のAl層を有することを特徴とするアルミニウム−炭化珪素質複合体である。
【0014】
また、本発明は、前記高純度Al層を有する一主面の反対側が100mm当り20μ以上の反りを有する凸面であることを特徴とする前記のアルミニウム−炭化珪素質複合体であり、好ましくは、熱伝導率が180W以上、熱膨張係数が9×10−6/K以下であることを特徴とする前記のアルミニウム−炭化珪素質複合体である。
【0015】
更に、本発明は、前記のアルミニウム−炭化珪素質複合体を用いてなることを特徴とする放熱部品である。
【0016】
加えて、本発明は、平板状の多孔質炭化珪素成形体の一主面に高純度のAl板を配置して積層体となし、前記積層体を加圧容器内に配置し、前記高純度Alよりも低融点であるアルミニウムを主成分とした金属の溶湯を前記加圧容器内に注入して、前記多孔質炭化珪素成形体の空隙に溶融金属を含浸してアルミニウム−炭化珪素質複合体とすると共に、前記Al板を前記アルミニウム−炭化珪素質複合体と一体化させることを特徴とするアルミニウム−炭化珪素質複合体(以下、Al−炭化珪素質複合体という)の製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
金属−セラミックス複合体の製法については、大別すると含浸法と粉末冶金法の2種がある。このうち粉末冶金による方法は特性面で充分なものが得られておらず、検討段階といえる。実際に商品化されているのは、含浸法によるものである。含浸法にも種々あり、常圧で行うものと、高圧下で行うタイプ(高圧鋳造法)のものがある。高圧下で行うタイプのものは、更に、溶湯鍛造法とダイキャスト法がある。
【0018】
本発明に適用できる方法は、高圧下で行うタイプのものであり、具体的には、溶湯鍛造法とダイキャスト法で複合体を得る製法に関するものである。溶湯鍛造にしろ、ダイキャストにしろ、型、或いは、枠と板で構成された型(以下、単に金型という)内(或いは部屋内)に、ある程度の強度を有する炭化珪素質多孔体(SiCプリフォーム)を装填し、これにAl合金の溶湯を高圧で含浸させて複合体を得る方法である。
【0019】
以下、本発明について、溶湯鍛造法による場合の一つを例にして詳述する。先ず、Al−炭化珪素質複合体の製造方法を説明すると、炭化珪素粉を成形、仮焼してプリフォームを得て、枠状の型内にセットし、一つのブロックとする。前記ブロックを予備加熱した後、高圧容器内に配置し、ブロックの温度低下を防ぐため出来るだけ速やかにAl合金溶湯を高圧容器内に注ぎ、パンチで高圧容器を密閉し更にAl合金溶湯を加圧し、Al合金を金型内に置いたプリフォームの空隙中に含浸することでAl−炭化珪素質複合体が形成される。
【0020】
この工程のなかで、プリフォームを金型内にセットする際に、前記プリフォームの一主面に直接接して高純度のAl板を配置しておくとき、通常の操作と全く同じ操作で、一主面上に高純度のAl層を有するAl−炭化珪素質複合体を作製することができる。また、予め一個のプリフォームの一主面に多数の高純度Al板を配置しておけば、一主面に複数の高純度Al層を有するアルミニウム−炭化珪素質複合体を得ることができるし、逆に、一枚の高純度Al板の一主面上に複数の平板状プリフォームを配置して、高純度Alが繋がった構造のアルミニウム−炭化珪素質複合体を得ることもできる。
【0021】
本発明において、使用する炭化珪素質多孔体(SiCプリフォーム)は、特殊な制限を設ける必要はなく、従来公知の方法で得ることができる。例えば、炭化珪素粉末にシリカ或いはアルミナ等を結合材として添加して混合、成形し、800℃以上で焼成することによって得ることができる。成形方法についても特に制限は無く、プレス成形、押し出し成形、鋳込み成形等を用いることができ、必要に応じて保形用バインダーを用いても良いが、次に記載するように、特定の範囲の特性を有するものを選択することが好ましい。
【0022】
Al−炭化珪素質複合体の特性の中で特に重要な特性は、熱伝導率と熱膨張率である。複合体中の炭化珪素(SiC)含有率の高い方が、熱伝導率が高く、熱膨張率が低く、好ましいが、あまりにも高い場合には含浸操作が容易でなくなる。実用的には、多孔質炭化珪素成形体の相対密度が55〜75体積%の範囲にあって、構成する炭化珪素粒子が粗いものを多く含むものが好ましい。また前記成形体の強度は、曲げ強度で3MPa以上あれば、取り扱い時や含浸中の割れの心配もなく、好ましい。
【0023】
前記の多孔質炭化珪素成形体を得る為の、原料炭化珪素(SiC)粉については、粒度配合を行うことが好ましい。粗粉のみでは、強度発現に乏しく、微粉のみでは、得られる複合体が高い熱伝導率は望めないからである。本発明者の検討によれば、例えば、#350以上の粒径の炭化珪素粗粉40〜80質量%と、#1000以下の粒径の炭化珪素微粉を60〜20質量%とを混合して用いると良い。
【0024】
成形体は、一般的に、脱脂、仮焼の工程を経て、プリフォーム(多孔質焼結体)となり、含浸操作に供される。そこで、前記のプリフォームの強度を発現させるために、成形体を非酸性雰囲気下或いは酸性雰囲気下で焼成するが、その場合の焼成温度は、850℃以上であれば、3MPa以上の曲げ強度のプリフォームとすることができる。焼成温度が高い程、プリフォームの高強度が達成でき好ましいが、空気中で焼成する場合は炭化珪素(SiC)が酸化する問題がある。空気中で1100℃を超える温度で焼成すると、得られる複合体の熱伝導率が低下してしまう程に影響するので、空気中では1100℃以下で焼成することが望ましい。
【0025】
一方、本発明の炭化珪素質複合体中の金属は、含浸時にプリフォームの一主面に接触して配置されるAl層の溶融を防ぐ為、融点がなるべく低いことが好ましく、このようなアルミニウム合金として、シリコンを7〜25質量%含有したものが挙げられる。更にマグネシウムを1質量%以下含有すると、炭化珪素粒と金属部分との結合がより強固になり好ましい。合金中のアルミニウム、シリコン、マグネシウム以外の金属成分に関しては、極端に合金の特性が変化しない範囲であれば銅等が含まれていても良い。
【0026】
本発明に用いられる高純度のAl板としては、プリフォーム中に空隙に含浸される金属よりも高融点のものであればどの様なものであっても構わないが、セラミックス回路基板と接合されたとき、更にモジュールに組み立てられ、電子部品を実装する工程やモジュールとして実使用されたときに熱変化を受けたときなどに発生する応力を緩和しやすいことから、高純度のAlが選択される。高純度Al箔としては、98.5%質量以上の純度を有するAlであれば、問題無く使用できる。尚、前記Al板から構成されるAl−炭化珪素質複合体中でのAl層の厚みは、Al層の効果が発現され、さらに複合体としての物性、特に熱膨張率の利点が維持されるという観点から、0.1〜1mm程度が好ましい。またこの純Al層には、必要に応じてアルマイト処理等の表面処理を施したものを用いることもできる。
【0027】
上記に例示した方法により、本発明の平板状のアルミニウム−炭化珪素質複合体が得られるが、このものは、一主面上に高純度のAl層を有しているので、良好な放熱特性と共に応力緩和性を有しており、例えば、セラミックス回路基板と放熱フィン等の放熱部品との間に介在するヒートシンクとして好適な材料である。
【0028】
また、本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体は、前記構造を有しているので、二つの主面の構成材料が異なることに基づいて、高純度Al層を有する一主面の反対側が凸面状である形状を有している特徴を有している。そして、前記特徴を有するので、本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体をセラミックス回路基板のヒートシンクとして適用するときに、ヒートシンクと放熱フィン等の放熱部品との間の接触が良好であり、得られるモジュールの放熱特性も優れる効果が達成できる。特に、組み合わせる材料の組成、厚さ等を調整するとき、前記反りの量を、前記効果が安定して得ることのできる、100mm当り20μm以上の値に調整することができる。
【0029】
更に、本発明のアルミニウム−炭化珪素質複合体は、その好ましい実施態様において、熱伝導率が180W以上、熱膨張係数が9×10−6/K以下である特性を有している。前記効果に加えて、高熱伝導率を有し、しかも半導体部品やセラミックス回路基板と同等レベルの低膨張率を有しているので、これを用いた放熱部品、更にそれを用いたモジュールは、放熱特性に優れ、また、温度変化を受けても変形し難く、その結果、信頼性に富むものが一層得やすい特徴がある。
【0030】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
〔実施例1〕炭化珪素粉末A(太平洋ランダム社製:NG−220、平均粒径:60μm)70g、炭化珪素粉末B(屋久島電工社製:GC−1000F、平均粒径:10μm)30g、及びシリカゾル(日産化学社製:スノーテックス)10gを秤取し、攪拌混合機で30分間混合した後、120mm×120mm×2.6mmの寸法の平板状に圧力10MPaでプレス成形した。得られた成形体を、大気中、温度900℃で2時間焼成して、相対密度(嵩密度)が65体積%の炭化珪素質多孔体を得た。
【0032】
次に、得られた炭化珪素質多孔体を、溶湯が流入できる湯口のついた122×122×3.05mmの鉄製枠に入れ、片面に120mm×120mm×0.4mmの高純度Al板(4N材)を配し、両面をカーボンコートしたSUS板で挟んで一体としたものを電気炉で650℃に予備加熱した。次にそれをあらかじめ加熱しておいた内径200mmφのプレス型内に収め、シリコンを12質量%含有するAl合金の溶湯を注ぎ、100MPaの圧力で2分間加圧して炭化珪素質多孔体にAl合金を含浸させた。室温まで冷却した後、挟んだSUS板をはがすとともに湿式バンドソーにて鉄枠を切断し、複合体を得た。
【0033】
上記複合体より、研削加工により熱膨張率測定用試験体(直径3mm長さ10mm)、熱伝導率測定用試験体(直径11mm厚さ3mm)、反り形状測定用試験体(100mm×50mm×3mm)の試験片を作製した。それぞれの試験片を用いて、25〜250℃の熱膨張係数を熱膨張計(セイコー電子工業社製;TMA300)で、25℃での熱伝導率をレーザーフラッシュ法(理学電機社製;LF/TCM−8510B)で測定した。また反り形状については輪郭形状測定機(東京精密社製;コンターレコード1600D−22)を用いて長さ100mm当りの反り量を測定した。その結果を表1に示す。
【0034】
〔比較例1〕高純度Al板を配置せず、炭化珪素質多孔体単独にAl合金を含浸させたこと以外は、すべて実施例1と同様な方法で複合体を作製、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 2004055761
【0036】
〔実施例2〕実施例1と同様に作製した複合体を加工して、90mm×90mm×3mmの形状としたものを10枚作製し、これらに無電解Niめっき処理を行って全面に5μm厚のめっき層を形成した後、その複合体上下表面のめっき未着の有無を観察した。次に、市販の窒化アルミニウム回路基板(大きさ;25mm×60mm)を、前記のめっき処理した複合体に、半田を用いて接合してヒートシンクが一体化された回路基板を作製し、それをアルミニウム合金製の放熱フィンにネジ固定してモジュール構造体を作製した。
【0037】
前記モジュール構造体について−40℃から+125℃の間で、温度の上昇、保持、下降の1サイクルが40分の温度サイクルを3000回かける熱衝撃試験を行い、セラミックス回路基板の回路間や接合した半田層におけるクラックの有無、また回路の剥離の有無を観察した。その結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 2004055761
【0039】
〔比較例2〕比較例1と同様に作製した複合体を用い、90mm×90mm×3mmの形状に加工したものを10枚作製し、あとは実施例2と同様に処理、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0040】
【発明の効果】
本発明の複合体は、高熱膨張率、高熱伝導率を有するだけでなく、片面に高純度Al層を有していることから、反りが適当に制御されており、特に高信頼性を要求される半導体部品を搭載するセラミックス回路基板のベース材として好適である。更に本発明の製造方法は、特別な工程を加えることなく、上記複合体を作製することができ、産業上非常に有用である。

Claims (5)

  1. 平板状の炭化珪素質多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸してなる複合体において、一主面に高純度のAl層を有することを特徴とするアルミニウム−炭化珪素質複合体。
  2. 前記高純度Al層を有する一主面の反対側が100mm当り20μ以上の反りを有する凸面であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム−炭化珪素質複合体。
  3. 熱伝導率が180W以上、熱膨張係数が9×10−6/K以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアルミニウム−炭化珪素質複合体。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3記載のアルミニウム−炭化珪素質複合体を用いてなることを特徴とする放熱部品。
  5. 平板状の多孔質炭化珪素成形体の一主面に高純度のAl板を配置して積層体となし、前記積層体を加圧容器内に配置し、前記高純度Alよりも低融点であるアルミニウムを主成分とした金属の溶湯を前記加圧容器内に注入して、前記多孔質炭化珪素成形体の空隙に溶融金属を含浸してアルミニウム−炭化珪素質複合体とすると共に、前記Al板を前記アルミニウム−炭化珪素質複合体と一体化させることを特徴とするアルミニウム−炭化珪素質複合体の製造方法。
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