JP2008311632A - 放熱部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複合部材の一面に金属層を具える放熱部材を生産性よく製造することができる放熱部材の製造方法、及び放熱部材を提供する。
【解決手段】金属板の一面に、この金属板を構成する金属よりも液相線温度が低い低融点金属からなる接合層を形成する。この金属板を鋳型に配置し、溶融した金属マトリクスにセラミックス粒子を混合した混合溶湯をこの鋳型に注湯する。そして、混合溶湯を凝固させて複合部材を形成すると共に、混合溶湯により接合層を溶融して複合部材と金属板とを接合して金属層を形成し、複合部材の一面に金属層を具える放熱部材を得る。接合層を形成した金属板を利用することで、鋳型の温度を低くすることができ、放熱部材の生産性を向上することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体デバイスのヒートスプレッダーなどに利用される放熱部材、及び放熱部材の製造方法に関するものである。特に、放熱部材を生産性よく製造することができる放熱部材の製造方法に関するものである。
従来より、半導体デバイスでは、半導体素子などから発生する熱を効率よく外部に放出するためにヒートスプレッダーと呼ばれる放熱部材が利用されている。ヒートスプレッダーは、熱伝導性に優れることに加えて、上記素子などと熱膨張係数が近いことが望まれる。このような要求に対応したヒートスプレッダーとして、セラミックス粒子と金属(マトリクス)とを複合した複合材料からなるものが提案されている。複合材料は、Al-SiCといったアルミニウム系複合材料が知られており(特許文献1,2参照)、その製造方法として、金属溶湯とセラミックス粒子とを混合した混合溶湯を鋳造する溶製法(鋳造法)が提案されている(特許文献2参照)。
ヒートスプレッダーには、通常、絶縁材を介して半導体素子が装着される。この絶縁材をヒートスプレッダーに接合し易くするために、ヒートスプレッダーの表面にニッケルめっきを施すことが行われている。ところが、上記複合材料からなるヒートスプレッダーは、セラミックス粒子を含有することから表面が粗く、めっきが付着し難い。そこで、めっきが付着し易いように、複合材料からなる基材の表面に、複合材料の金属マトリクスと同種の金属板を接合することが提案されている(特許文献1参照)。基材と金属板との接合は、鋳ぐるみと呼ばれる方法で行う。具体的には、鋳型に金属板を配置した後、この鋳型にセラミックスを充填し、金属マトリクスの溶湯を注湯して凝固することで複合材料からなる基材を形成すると共に、基材と金属板とを接合する。
特開2002-235126号公報 特開2006-108317号公報
しかし、従来の鋳ぐるみでは、放熱部材の生産性に劣る。
従来、金属板と複合材料からなる基材とを鋳ぐるみにより接合する場合、鋳型を650℃程度に加熱した状態で使用することがある。この場合、鋳型の加熱時間が長くなり、放熱部材の生産性が低下する。また、加熱状態の維持や管理も手間である。更に、鋳型を高温にするためのエネルギーが多量に必要である、加熱状態を維持するために大掛かりな保温設備が必要である、鋳型の熱劣化が著しいため頻繁に交換が必要である、といったことから生産コストも高くなり易い。
そこで、本発明の目的の一つは、放熱部材を生産性よく製造することができる放熱部材の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記製造方法により製造された放熱部材を提供することにある。
金属マトリクス中にセラミックス粒子が分散された複合部材と、金属板とを一体に具える放熱部材を生産性よく製造するには、鋳型の温度を低くすることが効果的である。そこで、本発明者らは、鋳型の温度を低くして、複合部材と金属板とを一体にすることを検討した。しかし、鋳型の温度を低くすると、複合部材と金属板とを全く接合できず、一体物が得られなかった。
本発明者らは更に検討した結果、鋳型の温度をできるだけ高くせずに、複合部材と金属板とを一体にするには、金属板に接着剤として機能する層を設けることが好ましいとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明放熱部材の製造方法は、金属マトリクス中にセラミックス粒子が分散された複合部材の表面の少なくとも一部に金属板を接合して金属層を形成し、複合部材と金属層とを具える放熱部材を製造する方法であり、以下の工程を具える。
1. 金属板の一面に接合層を形成する工程。接合層は、前記金属板を構成する金属よりも液相線温度が低い低融点金属で形成する。
2. 溶融した金属マトリクスにセラミックス粒子を混合した混合溶湯を準備する工程。
3. 上記接合層を有する金属板を鋳型に配置する工程。金属板は、接合層が溶湯に接することができるように鋳型に配置する。
4. 上記金属板を配置した鋳型に上記混合溶湯を注湯し、混合溶湯を凝固させて複合部材を形成すると共に、混合溶湯により接合層を溶融して複合部材と金属板とを接合する工程。
金属板を構成する金属よりも液相線温度(純金属では融点に相当)が低い低融点金属で接合層を形成し、この接合層が混合溶湯に接触するように金属板を鋳型に配置し、この状態で混合溶湯を注湯すると、接合層は、混合溶湯が接触して溶湯の熱によって、金属板よりも先に溶融する。従って、溶融した接合層は、混合溶湯と十分になじむことができる。この状態で鋳型を冷却すると、混合溶湯が凝固して複合部材となると共に、溶融した接合層を利用して、複合部材と金属板(金属層)とを接合することができる。このように金属板に特定の接合層を設けておくことで、複合部材と金属板との接合を十分に行えることから、本発明製造方法は、鋳型の温度を低くできる。そのため、本発明製造方法は、複合部材と金属層とを具える放熱部材の生産性を向上することができる。
<金属マトリクス>
本発明製造方法は、溶製法により複合部材を形成する。即ち、本発明製造方法は、複合部材のうち主として金属マトリクスを構成する金属の溶湯に、複合部材中に分散させるセラミックス粒子を混合して混合溶湯を作製し、この混合溶湯を鋳型に注湯した後、冷却して凝固させることで、複合部材を形成する。複合部材は、放熱部材の本体を形成することから、熱伝導性に優れると共に、半導体素子などの搭載部品と熱膨張係数ができるだけ近いことが望まれる。このような要求を満たすために、上記金属マトリクスを構成する金属は、純アルミニウム(以下、単にアルミニウムと呼ぶ)、アルミニウム合金、純マグネシウム(以下、単にマグネシウムと呼ぶ)、及びマグネシウム合金から選択される一種が好ましい。
アルミニウムやアルミニウム合金は、マグネシウムよりも取り扱い易く、上記熱特性に優れることに加えて(熱膨張係数α:23(×10-6/K),熱伝導率κ:237(W/m・K))、軽量であることから、軽量が望まれる車載用半導体デバイスの放熱部材の形成材料に好適である。アルミニウムは、99.9質量%以上がAlであり、残部が不純物からなるものが挙げられる。アルミニウム合金は、例えば、以下が挙げられる。
1.質量%でSiを5〜40%,Niを1〜20%,Mgを0.01〜5%含有し、残部がAl及び不純物。例えば、Al-20%Si-9%Ni-0.6%Mg(質量%)が挙げられる。
2.質量%で、Siを2〜20%,Mgを0.01〜5%,Tiを0.01〜5%含有し、残部がAl及び不純物。例えば、Al-9%Si-0.6%Mg-0.15%Ti(質量%)が挙げられる。
3.質量%で、Siを10〜30%,Cuを0.5〜10%,Mgを0.01〜5%,Feを0.01〜5%含有し、残部がAl及び不純物。例えば、Al-15%Si-4.2%Cu-0.6%Mg-0.3%Fe(質量%)が挙げられる。
4.質量%で、Siを0超〜0.6%,Feを0超〜0.7%,Cuを0.05〜0.20%,Mnを1.0〜1.5%,Znを0超〜0.1%含有し、残部がAl及び不純物。
例えば、Al-0.6%Si-0.7%Fe-0.1%Cu-1.0%Mn-0.10%Zn(質量%)が挙げられる。このようなアルミニウム合金として、JIS合金番号3003相当のアルミニウム合金が挙げられる。
5.質量%で、Siを9.0〜10.5%,Feを0超〜0.8%,Cuを0超〜0.25%,Mnを0超〜0.10%,Mgを1.0〜2.0%,Znを0超〜0.20%含有し、残部がAl及び不純物。
例えば、Al-10%Si-0.8%Fe-0.25%Cu-0.10%Mn-1.5%Mg-0.20%Zn(質量%)が挙げられる。このようなアルミニウム合金として、JIS合金番号4004相当のアルミニウム合金が挙げられる。
マグネシウムやマグネシウム合金は、アルミニウムよりも更に軽量である点で好ましい。但し、マグネシウムは、酸素と結合し易いため、溶湯の作製時などで取り扱いに注意する必要がある。また、マグネシウムは、α:27(×10-6/K),κ:156(W/m・K)であることから、取り扱いや熱特性を考慮すると、アルミニウムやアルミニウム合金が金属マトリクスに好適である。マグネシウム合金は、例えば、Siを含有するもの、具体的には、Mg-0.5〜10質量%Siが挙げられる。
<セラミックス粒子>
上記金属マトリクスにセラミックス粒子を分散させて、金属マトリクスのみの場合よりも熱膨張係数を小さくする。セラミックス粒子は、金属マトリクスよりも熱膨張係数が小さいものが利用でき、特に、炭化珪素(SiC)からなる粒子は、熱膨張係数が小さく、熱伝導性にも優れるため好ましい。その他のセラミックス粒子は、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化珪素(Si3N4)、硼化チタン(TiB2)、酸化珪素(SiO2)、酸化ベリリウム(BeO)、窒化アルミニウム(AlN)が挙げられる。これらセラミックス粒子は、いずれか1種でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
複合部材中のセラミックス粒子の含有量は、複合部材を100体積%とするとき、体積%で10%以上55%以下が好ましく、25%以上45%以下がより好ましい。含有量が10体積%未満では、複合部材の熱膨張係数の低減かつ熱伝導率の向上という双方の効果を十分に得ることが難しく、55体積%超では、混合溶湯の粘度が上昇して撹拌しにくくなり、複合部材にボイドが生じたり、十分に撹拌できないためにセラミックス粒子が金属マトリクスに不均一に分散される恐れがある。ボイドの存在やセラミックス粒子の偏在は、複合部材の熱特性の劣化を招く。また、セラミックス粒子が偏在すると、複合部材が反るなどの変形が生じ易い。複合部材中のセラミックス粒子の含有量は、例えば、複合部材の断面を光学顕微鏡で観察し(倍率:25〜200倍)、この観察像を市販の画像解析処理装置で画像処理して、この断面に存在する全ての粒子の合計面積を求め、この合計面積を体積割合に換算することで求められる。後述する晶析出物の含有量も同様にして求められる。
金属マトリクスの溶湯に添加するセラミックス粒子の平均粒径は、10μm以上100μm以下が好ましく、15μm以上60μm以下がより好ましい。10μm未満と小さ過ぎても、100μm超と大き過ぎても、金属マトリクスに均一的に分散させにくい。なお、複合部材中のセラミックス粒子の平均粒径は、金属マトリクスの溶湯に添加するセラミックス粒子の平均粒径とほぼ同等である。複合部材中のセラミックス粒子の平均粒径は、例えば、断面を光学顕微鏡観察し(倍率:25〜200倍)、この観察像を画像処理して、断面に存在する粒子の直径を測定し、その平均をとることで求められる。後述する晶析出物の粒径も同様にして求められる。
<混合溶湯>
複合部材中の含有量が所望の量となるようにセラミックス粒子の量を調整して、溶融した金属マトリクス(以下、金属溶湯と呼ぶ)にセラミックス粒子を添加して撹拌し、混合溶湯を作製する。金属溶湯を完全に液相状態として撹拌してもよいが、半溶融状態で撹拌を行うと、短時間で均一的にセラミックス粒子を溶湯中に分散できる。撹拌は、大気圧雰囲気で行ってもよいが、真空雰囲気で行うと、ボイドが生じ難く、良好な表面性状の複合部材が得られる。撹拌は、撹拌羽根などを利用して、溶湯中にセラミックス粒子が均一的に分散されるように十分に行うことが好ましい。
<鋳型>
上記混合溶湯は、接合層(後述)が溶融可能な温度に調整して、鋳型に注湯する。鋳型は、複合部材の形状に応じて適宜選択する。複合部材は、直方体状が代表的な形状である。直方体の少なくとも一面側にフィン部を有する複合部材としてもよい。フィン部を具えた複合部材は、放熱性をより高められる。フィン部は、複数の薄い板状片が間隔をあけて並列された形状が代表的である。その他、複数の棒状片が間隔をあけて、例えば縦横に並列された形状のフィン部とすると、表面積がより増加するため、放熱効率を高められると考えられる。フィン部を具えた複合部材は、所望の形状のフィン部形成箇所を有する鋳型を利用することで形成できる。
<金属板>
上記鋳型には、金属板を配置して、複合部材の表面の少なくとも一部に金属板(金属層)が接合された放熱部材を作製する。金属板は、混合溶湯を鋳型に注湯している際に溶解せずに形状を保持する必要があるため、比較的液相線温度が高い金属からなるものが利用できる。かつ、金属板は、放熱部材の一部を構成することから熱伝導性に優れる金属が利用できる。例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、ニッケル、銀、金、及びこれらの合金から選択される1種が挙げられる。特に、金属板を構成する金属は、複合部材の金属マトリクスを構成する金属と同じ、或いは主成分が同じであると、熱特性が同程度になるため好ましい。例えば、金属マトリクスをアルミニウム又はアルミニウム合金とする場合、金属板もアルミニウム又はアルミニウム合金(添加元素が金属マトリクスと異なるものでも良い)とすることが好ましい。
金属板は、複合部材の表面の少なくとも一部に接合されて金属層を形成する。例えば、複合部材の一面に金属板を接合したり、複合部材の一面とこの一面の対向面とのそれぞれに金属板を接合してもよい。金属板の接合数は、適宜選択するとよい。フィン部を有する複合部材とする場合、金属板は、フィン部を設ける側以外の面に接合する。金属板の大きさは、複合部材において金属板を接合する箇所の大きさに応じて調整する。また、金属板の厚さは適宜選択することができる。本発明製造方法では、鋳型の温度を低くすることができるため、従来の鋳ぐるみに用いられていた金属板よりも薄い金属板を利用することができる。例えば、厚さが100〜3000μm程度の金属板を用いることができる。
<接合層>
上記金属板において混合溶湯と接する側の面に、接合層を設ける。接合層の形成材料は、金属板よりも液相線温度が低く、混合溶湯を鋳型に注湯したとき、混合溶湯に接触して十分に溶融する金属が望まれるため、金属板の液相線温度との差が10℃以上、特に50℃以上であるものが好ましい。但し、上記液相線温度の差が大き過ぎると、注湯時に接合層の形成材料が速やかに溶解して、注湯時の圧力(混合溶湯の流れる勢い)により撹拌・散乱されて、接合層として機能することが困難となると考えられる。したがって、上記液相線温度の差は、300℃以内、特に250℃以内、更に100℃以内が好ましい。
接合層の構成金属は、単一金属でも合金でもよい。特に、金属板及び金属マトリクスの少なくとも一方となじみ易い金属で接合層を形成すると、金属板と接合層との接合性や金属マトリクスと接合層との接合性を高められる。例えば、金属板(金属マトリクス)及び接合層のいずれか一方を合金で形成する場合、他方をその合金の主成分で形成する。具体的には、金属板をアルミニウム(液相線温度:約660℃)で構成する場合、接合層は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム合金で、液相線温度がアルミニウムより低いもの、例えば、アルミニウムシリコン(Al-Si合金;Siを11〜13質量%含有し、残部がAl及び不純物、液相線温度:580℃程度)やアルミニウム亜鉛(Al-Zn合金;Znを70〜99質量%含有し、残部Al及び不純物、液相線温度:380℃程度)、JIS合金番号4004相当合金(液相線温度:590℃程度)で形成する。ZnやSiは、Alよりも熱伝導率が低い。しかし、Al-Si合金やAl-Zn合金は、二相合金であり、ZnやSiがAlにほとんど固溶しないため、ZnやSiの添加による熱伝導率の低下度合いが小さい。従って、接合層を形成していたAl-Si合金やAl-Zn合金が複合部材と金属層との境界近傍に残存しても、熱特性の劣化を低減できると考えられる。
接合層の形成方法は、溶射、圧延、ブレージングシートの利用、冷間圧接、溶融めっきなどが挙げられる。
特に、溶射は、量産性に優れると共に、くさび効果により接合層と金属板との接合性を高められて好ましい。溶射による接合層の厚さは、10〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。10μm未満では、接着剤として十分に機能できず、200μm以下で接着剤として十分に機能するため、200μmを超えて設けなくてもよいと考える。
圧延により接合層を形成する場合、接合層と金属板との接合強度が高くて好ましい。金属板の表面は、空気に曝されると、空気中の酸素により酸化される。従って、接合層の形成を空気中で行うと、酸化膜を具える金属板の上に接合層が形成されることになる。これに対して、金属板と接合層用板とを圧延する際、金属板の表面の酸化膜が圧延により割れることで、酸化されていない新生面(酸化膜で覆われていない面)が露出し、この新生面と接合層用板とが接合されることで、金属板と接合層との接合性に優れると考えられる。また、圧延により接合層を形成する場合、溶射で形成する場合と比較して、接合層の厚さを均一的に形成し易い。接合層の厚さの均一性が高いことから、接合層と複合部材とが均一的に接合されることで、金属層(金属板)と複合部材との接合性にも優れると考えられる。圧延により金属板に接合層を形成する場合、上記低融点金属からなる接合層用板を予め形成しておく。接合層の厚さは、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、上限は特に設けないが200μm以下で接着剤として十分に機能すると思われる。従って、接合層用板は、圧延後の厚さが50〜200μm程度となるような薄板が利用できる。接合層と金属板とが圧延で一体にされた一体物は、金属板が芯材、接合層がロウ材であるブレージングシートに相当する。
或いは、ブレージングシート(芯材の片面又は両面にロウ材がクラッドされたもの)そのものを接合層に用いてもよい。ロウ材を溶融して金属板に接合することで、接合層を簡単に形成できる。シートの厚さは、薄過ぎるとシートが溶けるため、1μm以上が好ましく、上限は特に設けないが200μm以下で接着剤として十分に機能すると思われる。
<混合溶湯の注湯>
金属板に接合層を設けたら、接合層を設けた側が混合溶湯に接触できるように金属板を鋳型に配置し、この状態で混合溶湯を注湯する。本発明製造方法は、金属板に接合層を設けたことで混合溶湯により接合層が溶融するため、鋳型の温度を室温以上650℃未満、特に550℃未満、更には300℃未満といった比較的低温としても、金属板と複合部材とを十分に接合できる。また、溶製法は、後述するように複合部材中に晶析出物を存在させることができることからセラミックス粒子を過剰に添加させなくてもよい。そのため、溶製法は、混合溶湯が流動性に優れることから、比較的低温の鋳型にも混合溶湯を十分に充填できる。従って、本発明製造方法は、従来の鋳ぐるみのように650℃程度に加熱した状態で鋳型を使用することがなく、鋳型の加熱時間を短縮することができ、放熱部材の生産性の向上を図ることができる。また、本発明製造方法は、高温加熱のためのエネルギーの低減、高温加熱による鋳型の損傷の低減も図ることができる。
鋳型を加熱して鋳型温度を高くするほど、混合溶湯が鋳型の隅々に行き渡り易くなり、充填性を高められる反面、上述のように鋳型が損傷し易くなる。従って、鋳型の熱劣化の抑制を考慮すると、鋳型温度は、80℃以上550℃未満が好ましく、80℃以上300℃未満がより好ましい。更に、鋳型温度は、接合層を構成する金属の液相線温度未満が好ましい。この場合、接合層は、鋳型の熱により実質的に溶けず、混合溶湯に接することで溶け始めるため、接合層として機能し易い。
また、混合溶湯を加圧状態で鋳型に注湯する(加圧注入する)と、鋳型が比較的低温でも、混合溶湯が鋳型の隅々に行き渡り易くなり、充填性を高められる。例えば、溶湯注入直後の射出シリンダに加わる圧力が400〜800kg/cm2程度、好ましくは、500〜600kg/cm2程度となるように注入する。もちろん、上記範囲内において鋳型の加熱と加圧注入との双方を行ってもよい。このように鋳型を550℃未満の範囲で加熱したり、混合溶湯を加圧注入することで、直方体状といった簡単な形状だけでなく、フィン付きといった複雑な形状の複合部材でも、高精度に成形することができる。混合溶湯の注湯は、大気中で行ってもよいが、真空中で行うと、複合部材にボイドが形成されにくい。
<複合部材の形成及び金属板と複合部材との接合>
鋳型に混合溶湯を注湯すると、接合層は、混合溶湯の熱により溶融して、混合溶湯の構成元素と、金属板の構成元素とが接合層に拡散する。同時に混合溶湯は、鋳型や金属板などに接触することで冷却されて凝固していき、複合部材が形成されていく。また、鋳型に混合溶湯を充填したら鋳型を冷却して、混合溶湯を完全に凝固させて複合部材を完成させる。この溶融・拡散と凝固とにより、金属板と複合部材とが接合され、複合部材の表面の一部に金属層を有する放熱部材が形成される。
<晶析出物>
本発明製造方法は、溶製法とすることで、得られた複合部材中に晶析出物を存在させることができる。この晶析出物は、セラミックス粒子と同様に複合部材の熱膨張係数を小さくする機能を果たす。そのため、本発明製造方法は、セラミックス粒子を過剰に添加しなくても、複合部材の熱膨張係数を小さくできる。また、晶析出物は、溶湯中の元素から生じ、混合溶湯中では、液相として存在する。そのため、本発明製造方法は、セラミックス粒子を大量に添加した場合と比較して、混合溶湯の粘度の上昇を抑制でき、溶湯の撹拌を容易にかつ十分に行えて、製造性がよい。加えて、本発明製造方法は、ボイドの発生やセラミックス粒子の偏在などが生じ難く、高品質の複合部材を具える放熱部材を製造できる。
晶析出物は、小さい方が好ましく、最大粒径が500μm以下、特に200μm以下が好ましい。晶析出物の粒径は、例えば、金属マトリクスの添加元素の添加量や種類を調整したり、混合溶湯の冷却速度を調整することで制御することができる。特に、晶析出物の成長を抑制するために混合溶湯を急冷することが好ましい。冷却速度は、5℃/sec以上、特に、10℃/sec以上が好ましい。冷却速度の調整は、例えば、複合部材の大きさ(厚さなど)や冷却方法を調整することで行える。冷却方法は、上記冷却速度を満たせば、空冷でも水冷などの強制冷却でもよい。このような急冷を行うことで、晶析出物を微細にすると共に、複合部材中に晶析出物を均一的に分散させることができる。
晶析出物の含有量は、複合部材を100体積%とするとき、体積%で20%以上60%以下、特に、15%以上45%以下が好ましい。晶析出物の含有量は、例えば、添加元素の添加量を調整することで調整することができる。
<放熱部材>
本発明製造方法により得られた放熱部材は、金属マトリクス中にセラミックス粒子が分散された複合部材と、この複合部材の表面の少なくとも一部に設けられた金属層とを具え、複合部材と金属層との間の少なくとも一部に中間層を有する。金属層は、上記金属板により形成される層である。中間層は、基本的には、金属板に形成した接合層が溶融してなる接合層に基づく層であり、接合層と同じ組成からなる領域、即ち、金属層を構成する金属よりも液相線温度が低い材料(金属)からなる低融点領域を有する。但し、金属板に形成した接合層は、溶融時に、金属板からの元素や金属マトリクスからの元素が拡散することで組成が変化する。つまり、放熱部材において金属層と複合部材との間には、接合層の組成と異なる領域(金属中の原子拡散領域)を有し得る。そこで、本発明放熱部材は、接合層と同じ組成を有する低融点領域と拡散領域とを含む中間層を具えることを許容する。究極的には、中間層は、拡散領域のみからなることが好ましい。つまり、中間層は、1.上記接合層と同じ組成を有する部分、つまり、拡散領域が無い、或いは拡散領域が非常に薄く存在を確認できない部分、2.上記1.と拡散領域とからなる部分、3.拡散領域からなる部分の少なくとも一つから構成される。中間層の組成は、例えば、EPMA分析により測定することができる。
本発明放熱部材を半導体デバイスなどのヒートスプレッダーに利用する際、金属層の表面にニッケル、銀、金といった金属めっきを施すことが好ましい。或いは、本発明放熱部材は、金属層の表面に上記金属めっきを施したものとしてもよい。
本発明製造方法は、複合部材の表面の少なくとも一部に金属層を具える本発明放熱部材を生産性よく製造することができる。
(実施例1)
アルミニウム合金からなるマトリクス中に炭化珪素粒子が分散された複合部材の一面にアルミニウム層を具える放熱部材を以下の手順で作製し、得られた放熱部材について、複合部材とアルミニウム層との接合状態を調べた。
JIS合金番号1050のアルミニウムからなるアルミニウム板(幅:180mm,長さ:90mm,厚さ:1mm)を用意し、一面にAl-12質量%Siの組成のアルミニウム合金(アルミニウムシリコン、液相線温度:約580℃)を溶射して、アルミニウムシリコンからなる接合層(厚さ:100μm)を形成した。接合層を形成した後、幅:180mm、長さ:90mm、厚さ:3mmの直方体状の複合部材が形成可能な鋳型を用意し、200℃に予熱した鋳型の内壁面の一面に上記接合層を形成したアルミニウム板を配置した。アルミニウム板は、接合層を形成していない面を鋳型の内壁面に接させ、接合層が鋳型の内側を向くように配置した。
一方、アルミニウムインゴット(Al:99.0質量%以上、残部:不可避的不純物)を大気中において電気炉で溶解し、更に、添加元素を添加して、Al-20%Si-9%Ni-0.6%Mg(質量%)の組成のアルミニウム合金の溶湯を作製した。るつぼと撹拌羽根とを有し、真空引きが可能な複合炉に、上記溶湯を移槽した後、溶湯表面に形成された酸化膜を除去し、炉内を真空引きした。この状態で撹拌羽根を回転して溶湯を撹拌し、溶湯の撹拌が安定したことを確認した後、平均結晶粒径50μmの炭化珪素粒子を添加して更に撹拌し、アルミニウム合金と炭化珪素との混合溶湯を作製した。炭化珪素粒子は、複合部材を100体積%とするとき、39体積%となるように溶湯に添加した。
上記アルミニウム板を配置した鋳型に上記混合溶湯(680〜720℃)を加圧注湯した。この注湯は、鋳型を200℃に保持した状態で行った。溶湯注入圧力は、600kg/cm2とした。鋳型の温度が200℃と低めであったが、混合溶湯は、鋳型の隅々まで十分に充填することができた。混合溶湯が鋳型に充填されたことを確認してから、鋳型を冷却し、混合溶湯を凝固して複合部材を形成すると共に、複合部材とアルミニウム板とを接合させた。冷却は、空冷とし、冷却速度は、10℃/秒とした。
なお、フィン部を有する複合部材を形成可能な鋳型を用意し、この鋳型に上記アルミニウム板を配置した後、上記混合溶湯を同様の条件で加圧注湯したところ、混合溶湯は、鋳型の隅々まで十分に充填できた。充填後、同様の条件で鋳型を冷却し、混合溶湯を凝固することで、フィン部を有する複合部材とアルミニウム板との一体物が得られた。
図1は、得られた放熱部材の断面の顕微鏡写真(100倍)である。図1において下方側の灰色の領域に黒い粒子(炭化珪素粒子)が分散している領域が複合部材、上方側の白い領域がアルミニウム層、複合部材とアルミニウム層との間の白がかった領域、及び上記黒い粒子がない灰色の領域が中間層である。図1に示すように、得られた放熱部材は、複合部材とアルミニウム層とが中間層を介して隙間無く接合していることが分かる。複合部材とアルミニウム層との境界は、不明瞭であり、中間層は、接合層に基づくと考えられる領域(図1において白がかった領域)と、接合層に複合部材の金属マトリクスを構成する元素やアルミニウム板からの元素が拡散したと考えられる領域(図1において黒い粒子がない灰色の領域)とから構成されている。このような拡散領域が存在することから、接合層を十分に溶融して、複合部材とアルミニウム板とを強固に接合することができたと考えられる。
また、図1から、この複合部材は、金属マトリクス中に炭化珪素粒子が均一的に分散していること、ボイドがほとんど存在しないことが分かる。従って、この放熱部材は、熱特性のばらつきが小さく、高品質であると考えられる。
更に、得られた複合部材について、晶析出物の有無、大きさ、及び含有量を調べたところ、晶析出物が均一的に分散して存在しており、最大粒径(μm)は500μm、含有量(体積%)は、複合部材の体積を100体積%とするとき、40体積%であった。晶析出物の最大粒径は、断面の任意の10視野について全晶析出物の粒径を測定し(顕微鏡写真(100倍)を利用)、その中で最大の粒径とした。晶析出物の含有量は、上記10視野の平均面積率を求め、この面積率を体積率と等価とした。また、この複合部材の熱膨張係数は、9.8×10-6/K、熱伝導率は、185W/m・Kであった。従って、この放熱部材は、半導体デバイスのヒートスプレッダーに好適に利用することができる。
(実施例2)
接合層の組成を上記実施例1と異ならせた放熱部材を作製し、得られた放熱部材について、複合部材とアルミニウム層との接合状態を調べた。
実施例2の放熱部材は、接合層の組成を変えた以外は、実施例1と同様にして作製した。即ち、実施例1と同じアルミニウム板を用意し、一面にAl-85質量%Znの組成のアルミニウム合金(アルミニウム亜鉛、固相線温度:約380℃、液相線温度:約390℃)を溶射して、アルミニウム亜鉛からなる接合層(厚さ:100μm)を形成した。200℃に予熱した鋳型にこのアルミニウム板を配置し、この鋳型に、実施例1と同様にして用意した混合溶湯を加圧注湯した。混合溶湯を鋳型に充填した後、実施例1と同様の条件で鋳型を冷却し、実施例2の放熱部材を得た。
図2は、得られた放熱部材の断面の顕微鏡写真(100倍)である。図2において下方側の濃い灰色の領域に黒い粒子(炭化珪素粒子)が分散している領域が複合部材、上方側の白い領域がアルミニウム層、複合部材とアルミニウム層との間の薄い灰色の領域が中間層であり、複合部材とアルミニウム層との間に存在する黒い領域は、空隙である。図2に示すように、得られた放熱部材は、複合部材とアルミニウム層とが中間層を介してほぼ隙間無く接合していることが分かる。図2において中間層は、接合層に基づくと考えられる材料から構成されている。複合部材とアルミニウム層との境界近傍を調べたところ、中間層に複合部材の金属マトリクスを構成する元素やアルミニウム板からの元素が拡散したと考えられる領域が確認された。複合部材とアルミニウム層との間にこのような拡散領域が存在することから、接合層が十分に溶融されて、複合部材とアルミニウム板とを強固に接合することができたと考えられる。
また、この複合部材も実施例1と同様に金属マトリクス中に炭化珪素粒子が均一的に分散しており、ボイドがほとんど存在しなかった。更に、この複合部材も実施例1と同様に微細な晶析出物が均一的に分散していた。
(比較例)
接合層を形成していないアルミニウム板を用いて上記実施例1と同様にして放熱部材を作製し、得られた放熱部材について、複合部材とアルミニウム板との接合状態を調べた。
比較例の放熱部材は、接合層を形成していないアルミニウム板を用いた以外のことは、実施例1と同様にして作製した。即ち、実施例1と同じアルミニウム板を用意し、このアルミニウム板をそのまま200℃に予熱した鋳型に配置し、この鋳型に、実施例1と同様にして用意した混合溶湯を加圧注湯し、充填後、実施例1と同様の条件で鋳型を冷却し、比較例の放熱部材を得た。
図4は、得られた放熱部材の断面の顕微鏡写真(100倍)である。図4において下方側の灰色の領域に黒い粒子(炭化珪素粒子)が分散している領域が複合部材、上方側の白い領域がアルミニウム板、複合部材とアルミニウム板との間の黒い領域は、隙間である。図4に示すように、得られた放熱部材は、複合部材とアルミニウム板との間に隙間があり、両者が全く接合していないことが分かる。
(実施例3)
接合層の形成方法を上記実施例1と異ならせた放熱部材を作製し、得られた放熱部材について、複合部材とアルミニウム合金層との接合状態を調べた。
この実施例3は、アルミニウム合金板の表面に接合層を圧延により形成した。具体的には、JIS合金番号3003相当合金(固相線温度:645℃、液相線温度:655℃、組成:Al-0.6%Si-0.7%Fe-0.1%Cu-1.0%Mn-0.10%Zn)からなるアルミニウム合金板と、JIS合金番号4004相当合金(固相線温度:560℃、液相線温度590℃、組成:Al-10%Si-0.8%Fe-0.25%Cu-0.10%Mn-1.5%Mg-0.20%Zn)からなる接合層用板を用意した。用意したアルミニウム合金板と接合層用板とを圧延して、アルミニウム合金板に接合層用板をクラッドして、厚さ1mmのアルミニウム合金板に対して、厚さ100μmの接合層を有するブレージングシートを作製した。
200℃に予熱した鋳型(実施例1と同様の鋳型)に作製したブレージングシートを配置し、この鋳型に、実施例1と同様にして用意した混合溶湯を加圧注湯した。混合溶湯を鋳型に充填した後、実施例1と同様の条件で鋳型を冷却して、複合部材の表面にアルミニウム合金層を具える実施例3の放熱部材を得た。
図3は、得られた放熱部材の断面の顕微鏡写真(100倍)である。図3において下方側の濃い灰色の領域に黒い粒子(炭化珪素粒子)が分散している領域が複合部材、上方側の白い領域がアルミニウム合金層、複合部材とアルミニウム合金層との間の薄い灰色の領域に細かい黒い粒子(晶析出物)が分散している領域が中間層である。図3に示すように、得られた放熱部材は、複合部材とアルミニウム合金層とが中間層を介して隙間無く接合していることが分かる。また、中間層は、均一的な厚さであることが分かる。中間層の組成を調べたところ、中間層は、接合層に基づくと考えられる材料から構成されていた。複合部材とアルミニウム合金層との間を調べたところ、接合層に複合部材の金属マトリクスを構成する元素やアルミニウム合金板からの元素が拡散したと考えられる領域が確認された。複合部材とアルミニウム合金層との間にこのような拡散領域が存在することから、接合層が十分に溶融されて、複合部材とアルミニウム板とを強固に接合することができたと考えられる。
接合層を溶射により作製した実施例1の放熱部材と、接合層を圧延により形成した実施例3の放熱部材とにおいて、複合部材の表面に具える金属層の剥離試験を実施した。剥離試験は、以下のように行った。作製した180mm×90mmの放熱部材を10mm×10mmのサイズに切り出して小片とし、これら複数の小片を試験片とする。小片は、放熱部材において、複合部材と金属層(アルミニウム又はアルミニウム合金からなる層)とが十分に接合している部分から切り出した。複合部材及び金属層のそれぞれに樹脂系接着剤を塗布し、治具で挟持するように試験片を治具に接着して、複合部材と金属層とを剥離するために治具に引っ張り応力を加える。そして、複合部材と金属層とが剥離した時点の応力を接合力と定義する。実施例1,3のそれぞれに対して、10個の試験片について接合力を測定した。また、各実施例1,3のそれぞれに対して10個の接合力の標準偏差を用いて、接合力のばらつきを評価した。
剥離試験の結果、実施例1,3のいずれも、2kg/mm2以上という十分な接合力を有した。特に、接合層を圧延により形成した実施例3は、接合力が約5kg/mm2であり、溶射により作製した実施例1(約3kg/mm2)よりも接合力が高かった。この理由は、アルミニウム合金板の表面において酸化されていない新生面に接合層がクラッドされたためであると考えられる。これに対して、溶射により接合層を形成した実施例1は、酸化膜を有した状態のアルミニウム板に接合層を形成したことで、実施例3よりも接合力が低くなったと考えられる。また、実施例3は、接合力のばらつきも少なかった。この理由は、接合層の厚みが均一的であったためであると考えられる。
上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、金属マトリクスを構成する金属として、アルミニウムや、マグネシウム、マグネシウム合金を利用することができる。また、例えば、複合部材において、セラミックス粒子の含有量をより少なくしたり、晶析出物の量を多くすることができる。更に、セラミックス粒子の大きさを変更することができる。
本発明放熱部材は、車載用のパワーデバイスといった種々の半導体デバイスのヒートスプレッダーに好適に利用することができる。また、本発明放熱部材の製造方法は、上記本発明放熱部材の製造に好適に利用することができる。
実施例1において、複合部材と金属層との境界近傍の断面を示す顕微鏡写真である。 実施例2において、複合部材と金属層との境界近傍の断面を示す顕微鏡写真である。 実施例3において、複合部材と金属層との境界近傍の断面を示す顕微鏡写真である。 比較例において、複合部材と金属板との境界近傍の断面を示す顕微鏡写真である。

Claims (9)

  1. 金属マトリクス中にセラミックス粒子が分散された複合部材と、この複合部材の表面の少なくとも一部に設けられた金属層とを具える放熱部材であって、
    前記複合部材と金属層との間の少なくとも一部に中間層を有しており、
    前記中間層は、前記金属層を構成する金属よりも液相線温度が低い材料からなる低融点領域を具えることを特徴とする放熱部材。
  2. 金属マトリクスは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなり、
    セラミックス粒子は、炭化珪素からなる粒子を含み、
    金属層は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1に記載の放熱部材。
  3. 金属層は、アルミニウムからなり、
    低融点領域は、アルミニウムシリコン、又はアルミニウム亜鉛からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の放熱部材。
  4. 複合部材は、金属層が設けられていない側にフィン部を具えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱部材。
  5. 金属マトリクス中にセラミックス粒子が分散された複合部材の表面の少なくとも一部に金属板を接合して金属層を形成し、複合部材と金属層とを具える放熱部材を製造する放熱部材の製造方法であって、
    金属板の一面に、この金属板を構成する金属よりも液相線温度が低い低融点金属からなる接合層を形成する工程と、
    溶融した金属マトリクスにセラミックス粒子を混合した混合溶湯を準備する工程と、
    前記接合層を有する金属板を、接合層が前記混合溶湯に接することができるように鋳型に配置する工程と、
    前記金属板を配置した鋳型に前記混合溶湯を注湯し、混合溶湯を凝固させて複合部材を形成すると共に、混合溶湯により接合層を溶融して複合部材と金属板とを接合する工程とを具えることを特徴とする放熱部材の製造方法。
  6. 接合層は、溶射により形成することを特徴とする請求項5に記載の放熱部材の製造方法。
  7. 接合層の形成は、前記低融点金属からなる接合層用板を用意し、この接合層用板と金属板とを圧延することで行うことを特徴とする請求項5に記載の放熱部材の製造方法。
  8. 混合溶湯の注湯は、鋳型を80℃以上550℃未満に加熱した状態で行うことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の放熱部材の製造方法。
  9. 混合溶湯は、加圧状態で鋳型に注湯することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の放熱部材の製造方法。
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