JPH11270147A - 構造物の補強方法 - Google Patents

構造物の補強方法

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JPH11270147A
JPH11270147A JP70499A JP70499A JPH11270147A JP H11270147 A JPH11270147 A JP H11270147A JP 70499 A JP70499 A JP 70499A JP 70499 A JP70499 A JP 70499A JP H11270147 A JPH11270147 A JP H11270147A
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JP
Japan
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resin
fiber sheet
reinforcing
weight
polymerization initiator
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Application number
JP70499A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Katano
弘章 片野
Takeshi Watanabe
武志 渡辺
Tsuneo Tanaka
常雄 田中
Kazuo Otani
和男 大谷
Tomio Yamamoto
富生 山本
Hideki Sendai
英毅 千代
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Mitsubishi Chemical Corp
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Showa Highpolymer Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】構造物の表面に繊維シートを被着して補強する
に際し、繊維シートの補強面への被着が常温ないしは低
温環境であっても短時間で且つ強固に行われる様に改良
された構造物の補強方法を提供する。 【解決手段】表面に炭素繊維および/またはアラミド繊
維から成る繊維シートを被着して構造物を補強する方法
において、補強面上にビニルエステル樹脂を樹脂主成分
とし且つ重合開始剤を含有するプライマー組成物を塗布
して光照射することにより硬化させ、形成されたプライ
マー層の表面への上記繊維シートの被着の前および/ま
たは後に、ビニルエステル樹脂を樹脂主成分とし且つ重
合開始剤を含有する含浸用樹脂組成物を塗布してシート
内の空隙に浸透させ、形成される繊維シート層を補強面
およびプライマー層と一体化させた状態で光照射するこ
とにより硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物の補強方法
に関し、詳しくは、繊維シートを使用した構造物の補強
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、コンクリートは、橋脚、高速
道路の支柱、建物などのコンクリート構造物の主要構造
として広く利用されている。コンクリートは、それ自身
の持つ強いアルカリ性によって内部の鉄筋の腐食を抑制
しているが、長い年月の間に空気中の二酸化炭素ガスに
より、表面からアルカリ性を失って中性化する。中性化
が鉄筋にまで到達した場合、次の様な欠陥が生じる。即
ち、鉄筋は、腐食を始め、体積が増大してコンクリート
構造物にひび割れを発生させ、構造物の劣化を加速す
る。
【0003】また、地震、地盤沈下、過荷重などにより
設計以上の力が加わった場合、コンクリート構造物に
は、ひび割れ、崩壊、一部欠落などが発生するという欠
陥が生じる。更に、種々の理由によりコンクリート構造
物の強度が低下したり、設計段階から強度が不足してい
る場合もある。
【0004】上記の欠陥を除去し、または、強度不足を
回復もしくは補強するため、コンクリート表面に高強度
炭素繊維プリプレグを被着して補強する方法が提案され
ている。例えば、特開平7−34677号公報には、補
強面上にエポキシ樹脂、尿素樹脂、レゾルシン樹脂、フ
ェノール樹脂などの常温硬化型樹脂をプライマーとして
塗布し、その上に、目付けが200g/m2以上で且つ
樹脂含有量が15%重量以下である炭素繊維プリプレグ
を張り付け、当該プリプレグの上から更にエポキシ樹脂
など上記の常温硬化型樹脂を塗布して硬化させる、構造
物の補強方法が提案されている。
【0005】ところで、例えばトンネル内や地下鉄にお
ける構造物の補強においては、時として緊急工事が必要
とされるため、短時間の硬化処理で実用的強度が発現さ
れる様な補強方法が望まれる。また、季節に制限されな
いと言う観点から、上記の効果は冬季の低温(特に0℃
以下)においても発揮されることが望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、例えばコンクリ
ート構造物の表面に繊維シートを被着して補強するに際
し、繊維シートの補強面への被着が常温ないしは低温環
境であっても短時間で且つ強固に行われる様に改良され
た構造物の補強方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、表面に炭素繊維および/またはアラミド繊維から成
る繊維シートを被着して構造物を補強する方法におい
て、補強面上にビニルエステル樹脂を樹脂主成分とし且
つ重合開始剤を含有するプライマー組成物を塗布して光
照射することにより硬化させ、形成されたプライマー層
の表面への上記繊維シートの被着の前および/または後
に、ビニルエステル樹脂を樹脂主成分とし且つ重合開始
剤を含有する含浸用樹脂組成物を塗布してシート内の空
隙に浸透させ、形成される繊維シート層を補強面および
プライマー層と一体化させた状態で光照射することによ
り硬化させることを特徴とする構造物の補強方法に存す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、コンクリート構造物の補強
を例に挙げて本発明を詳細に説明する。本発明の補強方
法は、概略、コンクリート構造物の補強面上にプライマ
ー組成物を塗布して光照射により硬化させてプライマー
層を形成し、次いで、必要によりパテ組成物を塗布して
光照射により硬化させた後、含浸用樹脂組成物で強化さ
れた繊維シート層を形成することから成る。
【0009】本発明の補強方法が適用されるコンクリー
ト構造物としては、例えば、橋脚、鉄道・高速道路など
の高架建造物の支柱、建築物中の柱および壁面、道路の
床板などのコンクリートを表面とする構造物が挙げられ
る。斯かるコンクリート構造物は、プライマー組成物の
塗布の前に必要により前処理される。斯かる前処理とし
ては、表面のレイタンス等の付着物の除去、表面に凹
凸、傷などがある場合はそれらの穴埋め、局部的な崩
壊、欠落個所があればこれらの補修などが挙げられる。
【0010】上記の凹凸および傷などの穴埋め、局部的
な崩壊および欠落個所の補修には、通常、エポキシ樹脂
に砂、砂利、砕石を混合した樹脂モルタル又は樹脂コン
クリートを使用することが出来る。
【0011】本発明において、前記の繊維シートとして
は、炭素繊維および/またはアラミド繊維から成る繊維
シートを使用する。斯かる繊維シートは、炭素繊維材料
および/またはアラミド繊維材料に少量の樹脂を含浸し
てシート状に形状することにより得られる。繊維シート
としては、繊維材料が織物または不織布などシート状に
配列された繊維シート状物であればよいが、強度発現の
観点から長いフィラメント状繊維が一方向に引き揃えて
配列されたシート状物が特に好ましい。
【0012】上記の炭素繊維としては、引張強度が通常
10×103〜100×103Kgf/cm2、好ましく
は20×103〜50×103Kgf/cm2であり、引
張弾性率が通常10×105〜100×105Kgf/c
2、好ましくは20×105〜70×105Kgf/c
2である炭素繊維が好適に使用される。
【0013】また、上記のアラミド繊維としては、引張
強度が通常10×103〜50×103Kgf/cm2
好ましくは20×103〜40×103Kgf/cm2
あり、引張弾性率が通常1×105〜50×105Kgf
/cm2、好ましくは5×105〜15×105Kgf/
cm2であるアラミド繊維が好適に使用される。
【0014】繊維シート中の繊維材料の目付は、通常1
00〜600g/m2とされるが、実用的には200g
/m2以上が好ましい。また、上記の繊維材料をシート
状に形状保持するために含浸される繊維シート中の樹脂
量は、通常15重量%以下、好ましくは4〜8重量%と
される。上記の樹脂としては、通常、硬化温度が70℃
以上である高温熱硬化性樹脂を使用する。斯かる樹脂の
具体例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビスマ
レイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、メラミン樹脂、
ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0015】本発明において、プライマー層の形成に使
用されるプライマー組成物および繊維シート層の形成に
使用される含浸用樹脂組成物の主成分としては、ビニル
エステル樹脂が使用される。
【0016】上記のビニルエステル樹脂は、公知であ
り、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させて得
られるエポキシ(メタ)アクリレート、または、飽和ジ
カルボン酸および/または不飽和ジカルボン酸と多価ア
ルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステ
ルにα,β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエ
ポキシ化合物を反応させて得られるポリエステル(メ
タ)アクリレートである。
【0017】上記のエポキシ樹脂としては、ビスフェノ
ール−A−ジグリシジルエーテル、その高分子量同族
体、ノボラック型ポリグリシジルエーテル類などが挙げ
られ、上記の飽和ジカルボン酸としては、活性不飽和基
を有していないジカルボン酸、例えば、フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジ
ピン酸、セバチン酸などが挙げられ、上記の不飽和ジカ
ルボン酸としては、活性不飽和基を有しているジカルボ
ン酸、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水フマル酸、
イタコン酸などが挙げられる。
【0018】上記の多価アルコール成分としては、例え
ば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−
ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブ
タンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオー
ル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シ
クロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノール
Aのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプ
ロピレンオキサイド付加物などの多価アルコールが挙げ
られ、上記のα,β−不飽和カルボン酸エステル基を含
有するエポキシ化合物としては、グリシジルメタクリレ
ートが代表例として挙げられる。
【0019】ビニルエステル樹脂の具体例としては、ビ
スフェノールAタイプのビニルエステル樹脂である昭和
高分子社製「リポキシR−808」、「R−806」、
「R−804」、「R−802」、ブロム化ビスフェノ
ールAタイプのビニルエステル樹脂である昭和高分子社
製「リポキシS−510」、「S−550」、ノボラッ
クタイプのビニルエステル樹脂である昭和高分子社製
「リポキシH−600」、「H−630」、「H−61
0」、「H−6001」、ラバー変性タイプの昭和高分
子社製「リポキシRT933」、「RT833」等が好
適である。
【0020】本発明においては、特にビスフェノールA
型ビニルエステル樹脂が好適に使用される。斯かるビニ
ルエステル樹脂は、通常、ビスフェノールAとエピクロ
ルヒドリンとの反応により生成されるビスフェノールA
型エポキシ樹脂とメタアクリル酸などの不飽和一塩基酸
とを開環付加反応して得られるオリゴマーを主体とした
樹脂であり、その一例としては次式で表される樹脂が挙
げられる。
【0021】
【化2】
【0022】上記のビニルエステル樹脂は、通常、スチ
レン等の反応性希釈剤が併用され、また、光照射により
硬化させるための重合開始剤が併用され、更に、必要に
より、充填材、着色剤、粘度調整剤、希釈剤およびその
他の添加剤が併用される。
【0023】スチレン以外の反応性希釈剤としては、α
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレ
ン等の芳香族モノマー、メチルメタクリレート、イソブ
チル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アク
リレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、
ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート等の(メタ)
アクリレートモノマー、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイ
ルモルホリン等のN−置換アクリルアミド等が挙げられ
る。
【0024】また、ビニルエステル樹脂には、必要に応
じて各種の硬化性(メタ)アクリル化合物を配合するこ
とが出来る。硬化性アクリル化合物の例としては、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと少なく
とも2つ以上のイソシアネート基を有する化合物との反
応で得られるウレタンアクリレート等があげられる。
【0025】本発明において、上記の重合開始剤として
は、照明用として使用されている安価なメタルハイドラ
ンプ、ハロゲンランプ等の利用をも可能にするため、
(a)下記の一般式(I)で表される有機ホウ素化合物
および(b)酸性化合物から成る重合開始剤、または、
更に、(c)可視光重合開始剤を組み合わせた重合開始
剤を使用するのが好ましい。
【0026】
【化3】
【0027】上記の式中、R1、R2、R3およびR4は、
それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、アラルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基(これら
は何れも置換されていてもよい)、複素環基、ハロゲン
原子を示し、Z+は陽イオンを示す。
【0028】一般式(1)で示される有機ホウ素化合物
の陽イオンZ+ の例としては、4級アンモニウム陽イオ
ン、4級ピリジニウム陽イオン、4級キノリニウム陽イ
オン、ジアゾニウム陽イオン、テトラゾリウム陽イオ
ン、スルホニウム陽イオン、オキソスルホニウム陽イオ
ン、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、
カルシウム等の金属陽イオン、フラビニウム、ピラニウ
ム等の酸素原子上に陽イオン電荷を持つ(有機)化合
物、トロピリウム、シクロプロピリウム等の炭素陽イオ
ン、ヨードニウム等のハロゲニウム陽イオン、ヒ素、コ
バルト、パラジウム、クロム、チタン、スズアンチモン
等の金属化合物の陽イオン等が挙げられる。
【0029】上記の有機ホウ素化合物と酸性化合物とを
接触させることにより、有機ホウ素化合物が分解し、ラ
ジカルが発生する。そして、このラジカルによって硬化
性樹脂組成物が硬化する。すなわち、重合開始剤として
有機ホウ素化合物と酸性化合物とを組合せて使用した場
合は、光を照射しなくても、また、低温条件下(特に0
℃以下)でも化学反応により安定的にラジカルが発生す
るするため、硬化反応が円滑に進行する。その際に使用
する酸性化合物は、所望の硬化速度を得るため、その酸
強度や量などに応じ、適宜選択することが出来る。
【0030】上記の酸性化合物の具体例としては、例え
ば、一般にブレンステッド酸として知られている無機
酸、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの他、有機酸であ
る、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、アジピン酸、
(メタ)アクリル酸、安息香酸、フタル酸類などのカル
ボン酸類、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン
酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸類
などが挙げられる。また、フェノール、アルコール類な
どの水酸基含有化合物、各種チオール類などのメルカプ
ト基を有する化合物、ルイス酸すなわち電子対を受け取
って共有結合を作り得る物質、例えば、塩化アルミニウ
ム、塩化第二スズ、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素なども
使用することが出来る。これらの酸については、例え
ば、モリソン・ポイド著「有機化学」第3版43頁に詳
細な説明がある。
【0031】上記の酸性化合物の中で、(無水)マレイ
ン酸、フマル酸、それらのハーフエステル、(メタ)ア
クリル酸、イタコン酸などの重合性不飽和基を有する酸
性化合物、それらの官能基を有するオリゴマー又はポリ
マー類などが特に好ましい。重合性不飽和化合物に含ま
れる酸性化合物の酸価は、通常0.1〜100mgKO
H/g、好ましくは5〜50mgKOH/gの範囲であ
る。
【0032】また、本発明においては、酸性化合物とし
て、潜在性酸発生剤を使用することが出来る。潜在性酸
発生剤とは、そのもの自体は酸性物質ではなく、加熱、
空気中の水分、酸素などの作用により、分解または反応
して酸性化合物を発生する化合物を言う。
【0033】上記の他、光照射により分解して酸性化合
物を発生する物質も知られており、例えば、光カチオン
重合開始剤と呼ばれている化合物は、本発明における酸
性化合物に該当する。光カチオン重合開始剤は、ジアゾ
ニウム化合物、スルホニウム化合物、ヨードニウム化合
物、金属錯体化合物、スルホン酸エステル類など様々な
化合物が知られており、「機能材料」1985年10月
号5頁、「UV・EB硬化技術の応用と市場」シーエム
シー社1989年発行78頁などに詳細な記述がある。
【0034】上記の潜在性触媒とも呼ぶべき化合物は、
通常の条件下では活性を示さず、ある特定の刺激を受け
て初めて活性を示す触媒であり、本発明においては、特
定の刺激を受けて初めて酸性化合物を発生する、潜在性
酸発生剤として使用される。上記の潜在性酸発生剤をは
じめとする潜在性触媒については、例えば高分子学会主
催:高分子可能性講座(1995年4月20日)講演要
旨集13頁などに詳細な説明がある。
【0035】可視光領域に感光性を有する可視光重合開
始剤としては、例えば、山岡などによる「表面」、2
7、(7)、548(1989)、佐藤などによる「第
3回ポリマー材料フォーラム要旨集」、IBP18(1
994)に記載のカンファキノン、ベンジルトリメチル
ベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、メチル
チオキサントン、ジシクロペンタジエニルチタニウム−
ジ(ペンタフルオロフェニル)等の単独の可視光重合開
始剤の他、有機過酸化物/色素系、ジフェニルヨードニ
ウム塩/色素、イミダゾール/ケト化合物、ヘキサアリ
ールビイミダゾール化合物/水素供与性化合物、メルカ
プトベンゾチアゾール/チオピリリウム塩、金属アレー
ン/シアニン色素、特公昭45−37377号公報に記
載のヘキサアリールビイミダゾール/ラジカル発生剤な
どの公知の複合開始剤系を挙げることが出来る。また、
紫外光から可視光領域まで感光性を有する公知の、アシ
ルホスフィンオキサイド系化合物を使用することも出来
る。
【0036】可視光重合開始剤としては、380nm〜
780nmの波長域に感光性を有する光重合開始剤であ
ればよく、それらは、組み合わせて使用してもよい。本
発明において、有機ホウ素化合物と可視光重合開始剤と
の組成比(重量比)は、通常0.1/5〜5/0、1、
好ましくは0.5/5〜5/0.5である。なお、上記
の各種の重合開始剤は、必要により、数種類を組み合わ
せて使用してもよい。
【0037】重合開始剤として、有機ホウ素化合物と酸
性化合物のみを使用した場合は、表面の硬化に比較的長
い時間を要する。これに対し、有機ホウ素化合物と酸性
化合物に可視光重合開始剤を併用した場合は、可視光重
合開始剤により表面が迅速に硬化し、有機ホウ素化合物
と酸性化合物の反応で発生するラジカルにより内部が硬
化する。すなわち、内部は光や熱を加えなくても硬化反
応が進行する。斯かる硬化反応は暗反応と呼ばれてい
る。従って、プライマー層、パテ層および含浸樹脂を硬
化させる各々の工程において、表面が硬化するまで光照
射を行った後に直ちに次工程に移行して内部を暗反応で
硬化させることが出来る。その結果、大幅に作業性を改
善することが出来る。
【0038】本発明に使用するプライマー組成物、パテ
組成物および含浸用樹脂組成物は、前記のビニルエステ
ル樹脂を樹脂主成分とするため、コンクリート構造物の
表面に繊維シートを被着してコンクリート構造物を補強
する場合、低温条件下または湿潤条件下であっても、取
り扱い性が良好で且つ補強面に繊維シートを強固に被着
することが出来る。
【0039】上記のプライマー組成物において、ビニル
エステル樹脂中のビニルエステル成分は、通常30〜7
5重量%、好ましくは55〜65重量%、反応性希釈剤
は、例えばスチレンの場合、通常25〜70重量%、好
ましくは50〜60重量%、重合開始剤は、全樹脂成分
100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ま
しくは0.5〜7重量部とされる。プライマー組成物の
塗布量は、補強の対象となるコンクリート構造物の補強
面の状態により、一律には規定できないが、通常50〜
500g/m2、好ましくは100〜300g/m2であ
る。プライマー組成物の塗布方法は、公知の方法が採用
される。
【0040】上記のパテ組成物には、通常、更に充填材
が配合される。斯かるパテ組成物において、ビニルエス
テル樹脂中のビニルエステル成分は、通常10〜60重
量%、好ましくは20〜50重量%、反応性希釈剤は、
例えばスチレンの場合、通常40重量%以下、好ましく
は10〜20重量%、充填材は、通常10〜80重量
%、好ましくは30〜70重量%、重合開始剤は、全樹
脂成分100重量部に対して、通常0.1〜10重量
部、好ましくは0.5〜6重量部とされる。上記の充填
材としては、例えば、シリカ、水酸化アルミニウム、炭
酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の無機微粒子が好
適に使用される。パテ組成物の使用量はプライマー層の
凹凸の状態により適宜決定され、その塗布方法は公知の
方法が採用される。
【0041】上記の含浸用樹脂組成物において、ビニル
エステル樹脂中のビニルエステル成分は、通常30〜8
0重量%、好ましくは55〜65重量%、反応性希釈剤
は、例えばスチレンの場合、通常20〜70重量%、好
ましくは35〜45重量%、重合開始剤は、全樹脂成分
100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ま
しくは0.5〜7重量部である。
【0042】繊維シート層は、プライマー層の表面上
(パテ層がある部分では当該パテ層上)にプライマー層
と一体となる様に形成される。繊維シート層を形成する
方法は、プライマー層またはパテ層表面上に繊維シート
を被着するに当たり、当該被着の前および/または後
に、含浸用樹脂組成物を塗布してて繊維シート内の空隙
に浸透させ、プライマー層またはパテ層と繊維シートと
含浸用樹脂組成物とを一体化させた状態で光照射により
硬化させる。なお、繊維シート層は、複数層を積層する
ことが出来る。繊維シートの被着の前および後に塗布す
る含浸用樹脂組成物の組成は、同一であってもよいし、
異なっていてもよいが、接着性の観点から、同一である
のが好ましい。
【0043】含浸用樹脂組成物の塗布量は、被着前塗
布、被着後塗布またはそれらの組み合わせにより、およ
び、繊維シートの目付け及び空隙含有率により変化する
が、通常200〜800g/m2、好ましくは500〜
700g/m2である。その塗布方法は、公知の方法が
採用される。なお、繊維シート被着の前および後の両方
に含浸用樹脂組成物を塗布する場合、含浸用樹脂組成物
の塗布量は、両者合わせて繊維シートとプライマー層と
が一体化できる範囲で減量することが出来る。
【0044】また、含浸用樹脂組成物は、繊維シート被
着の前および/または後に塗布し、繊維シートとプライ
マー層とが一体化した後に光硬化させるが、この際、光
硬化前にローラー等を使用して繊維シートの表面側から
押さえ、裏面に残存する気泡を除去するのが好ましい。
この結果、プライマー層と繊維シートとが完全に連続し
て一体となり、コンクリート構造物表面に強固に一体化
されて被着される。そして、同時に、被着された繊維シ
ートの各繊維は、含浸用樹脂組成物の光硬化により強固
に接合されて高い引張強度を有する繊維シート層を形成
する。
【0045】プライマー組成物、パテ組成物および含浸
用樹脂組成物組成物の光照射による硬化には、380〜
1200nmの可視光から近赤外光の波長領域の光を出
す光源を使用すればよい。具体的には、例えば、メタル
ハライドランプ、キセノンランプ、近赤外光ランプ、ナ
トリウムランプ、ハロゲンランプ、白熱灯、陽光ラン
プ、太陽光などを使用することが出来る。また、各種ラ
ンプを組み合わせて使用することも出来る。
【0046】光照射のみで完全に硬化させるための要す
る照射時間は、プライマー組成物、パテ組成物および含
浸用樹脂組成物の各場合によって異なるが、概ね5〜6
0分で十分である。また、表面が硬化するまで光照射を
行って内部を暗反応で硬化させる場合の可視光の照射時
間は、上記の各場合によって異なるが、概ね2〜10分
で十分である。表面のみが硬化したのか、内部まで完全
に硬化したのかの判断は、建研式接着強度または「AD
HESION TESTER elcometer」に
よる接着強度にて行うことが出来る。そして、内部まで
完全に硬化した場合は接着強度が15Kg/cm2以上
となる。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されない。なお、以下の実施例においては、コ
ンクリート構造物の模擬的補強試験を行うため、便宜
上、コンクリート構造物としてコンクリート板を使用し
た。また、パテ組成物は、本来、表面の凹凸を平滑化す
るため表面の凹凸部分のみに使用されるが、その接着性
を評価するためにプライマー層の全表面にパテ層を設け
た。使用した各材料は以下の通りである。
【0048】(1)コンクリート板:補強試験用のコン
クリート構造物として、表面寸法30cm×30cm、
厚さ5cmのコンクリート板を使用した。ディスクサン
ダーにより、コンクリート板の表面層のレイタンスを除
去して試験用コンクリート板を調製し、−5℃又は室温
の室内に24時間以上放置した後に使用した。
【0049】(2)繊維シート:炭素繊維シートには、
三菱化学株式会社製製品「リペラーク30タイプ」(目
付:300g/m2)を使用し、アラミド繊維シートに
は、東レ・デュポン社製製品「テープ AK−40−3
0」(目付:280g/m2)を使用した。何れの繊維
も予め−5℃又は室温の室内に24時間以上放置した後
に使用した。
【0050】(3)低温光硬化型プライマー組成物:ビ
スフェノールA型ビニルエステル樹脂(昭和高分子
(株)製「リポキシR−804」)90重量%とスチレ
ン10重量%の混合物100重量部に重合開始剤とし
て、テトラn−ブチルアンモニウム・トリフェニルn−
ブチルボレート(昭和電工株式会社製、「P3B」と略
す):3.0重量部、p−トルエンスルホン酸メチルエ
ステル(和光純薬製、以下「PTSM」と略す):2.
0重量部、ビス(2−o−クロロフェニル−4,5−ジ
フェニル)イミダゾール(和光純薬製、以下「BIm」
と略す):0.5重量部、2−メルカプトベンゾチアゾ
ール(和光純薬製、以下「MBT」と略す):0.5重
量部を添加して調製した。
【0051】(4)常温光硬化型プライマー組成物:ビ
スフェノールA型ビニルエステル樹脂(「リポキシR−
804」)100重量部に重合開始剤として、P3B:
2.0重量部、PTSM:1.0重量部、BIm:0.
5重量部、MBT:0.5重量部を添加して調製した。
【0052】(5)低温光硬化型パテ組成物:ビスフェ
ノールA型ビニルエステル樹脂(「リポキシR−80
4」)50重量%とSiO250重量%を含有するパテ
組成物100重量部に重合開始剤として、P3B:2.
5重量部、PTSM:1.5重量部、BIm:0.5重
量部、MBT:0.5重量部を添加して調製した。
【0053】(6)常温光硬化型パテ組成物:ビスフェ
ノールA型ビニルエステル樹脂(「リポキシR−80
4」)50重量%とSiO250重量%を含有するパテ
組成物100重量部に重合開始剤として、P3B:2.
0重量部、PTSM:1.0重量部、BIm:0.5重
量部、MBT:0.5重量部を添加して調製した。
【0054】(7)低温光硬化型含浸用樹脂組成物:ビ
スフェノールA型ビニルエステル樹脂(「リポキシR−
804」)100重量部に重合開始剤として、P3B:
3.0重量部、PTSM:2.0重量部、BIm:0.
5重量部、MBT:0.5重量部を添加して調製した。
【0055】(8)常温光硬化型含浸用樹脂組成物:ビ
スフェノールA型ビニルエステル樹脂(「リポキシR−
804」)100重量部に重合開始剤として、P3B:
2.0重量部、PTSM:1.0重量部、BIm:0.
5重量部、MBT:0.5重量部を添加して調製した。
【0056】(9)常温過酸化物硬化型プライマー組成
物:常温光硬化型プライマー組成物(4)の重合開始剤
をメチルエチルケトンパーオキサイド(日本油脂株式会
社製「パーメックN」):1.5重量部、ナフテン酸コ
バルト(金属含有量:6重量%):0.5重量部に変更
して調製した。
【0057】(10)常温過酸化物硬化型パテ組成物:
常温光硬化型パテ組成物(6)の重合開始剤を「パーメ
ックN」:1.0重量部、ナフテン酸コバルト:0.5
重量部に変更して調製した。 (11)常温過酸化物硬化型含浸用樹脂:常温光硬化型
含浸用樹脂組成物(8)の重合開始剤を「パーメック
N」:1.5重量部、ナフテン酸コバルト:0.5重量
部に変更して調製した。
【0058】参考例1 <光硬化型含浸用樹脂組成物を塗布含浸した炭素繊維シ
ートの引張強度試験>炭素繊維シートに低温光硬化型含
浸用樹脂組成物を塗布し(下側塗布樹脂量:0.4kg
/cm2、上側塗布樹脂量:0.4kg/cm2)、炭素
繊維シート内の空隙に浸透させ、−5℃のガラス板上に
積層し、−5℃の条件下、1mの距離から照明用2Kw
メタルハライドランプを30分間照射して光硬化させ、
得られた樹脂硬化炭素繊維シートの引張強度試験(JI
S K7073に準じた下記の試験)を行った。試験結
果を以下の表1に示す。また、低温光硬化型含浸用樹脂
組成物に代えて常温光硬化型含浸用樹脂組成物を使用
し、室温(23℃)のガラス板上に室温の環境下、1m
の距離から照明用2Kwメタルハライドランプを15分
間照射して光硬化させて得た樹脂硬化炭素繊維シートの
結果も併せて表1に示す。また、比較のため、常温過酸
化物硬化5時間後の場合とその後に更に120℃で2時
間アフターキュアーした場合の結果を併せて表1に示
す。
【0059】<CFRP引張強度試験>23℃測定環境
下、長さ250mm、幅12.5mmのCFRP引張強
度測定用試験片を島津オートグラフDSS−5000に
掴み間長さ100mmとなる様にセットし、2mm/m
inのスピードで引っ張ったときの最大引張荷重(Kg
f)を読取った。読取り値を試験片の断面積のうち炭素
繊維で構成される面積(mm2)で除し、CFRP引張
強度(Kgf/mm2)とした。上記試験は各々7試験
片について行い、その平均値を求めた。
【0060】
【表1】
【0061】参考例2 <光硬化型パテ組成物の圧縮強度試験>−5℃のコンク
リート板上に低温光硬化型パテ組成物を塗布し(硬化膜
厚さとして15mm相当)、−5℃の条件下、1mの距
離から照明用2Kwメタルハライドランプを15分間照
射して光硬化させ、得られた硬化膜の圧縮強度試験(J
IS−K720)を行った。試験結果を以下の表2に示
す。また、低温光硬化型パテ組成物に代えて常温光硬化
型パテ組成物を使用し、室温(23℃)のコンクリート
板上に室温の環境下、1mの距離から照明用2Kwメタ
ルハライドランプを15分間照射して光硬化させて得た
光硬化膜の結果も併せて表2に示す。また、比較のた
め、常温過酸化物硬化5時間後の場合とその後に更に1
20℃で2時間アフターキュアーした場合の結果を併せ
て表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】実施例1 −5℃の室内に放置したコンクリート板(寸法30cm
×30cm)の表面に、低温光硬化型プライマー組成物
を0.1Kg/m2塗布し、−5℃の環境下、1mの距
離から照明用2Kwメタルハライドランプを10分間照
射して光硬化させた。その後、低温光硬化型パテ組成物
を全面に0.8Kg/m2塗布し、−5℃の環境下、1
mの距離から上記のランプを5分間照射して光硬化させ
た。その後、低温光硬化型含浸用樹脂組成物を0.4K
g/m2塗布し、引き続き、炭素繊維シートを全面に被
着し、ローラーを使用して炭素繊維シートの下面の気泡
を脱泡し、15分間放置後、表面に同じ含浸用樹脂組成
物を0.3Kg/m2塗布し、−5℃の環境下、1mの
距離から上記のランプを30分間照射して光硬化させ
た。
【0064】上記で得たコンクリート板を光照射成形終
了後3時間目に「ADHESIONTESTER el
cometer」に供し(接着面積4.9cm2)、接
着試験を行った結果、接着強度は25.6Kg-f/c
2であり、破壊状態の観察の結果、コンクリート母材
破壊が確認された。
【0065】実施例2 室温(23℃)の室内に放置したコンクリート板(寸法
30cm×30cm)の表面に、常温光硬化型プライマ
ー組成物を0.1Kg/m2塗布し、常温の環境下、1
mの距離から照明用2Kwメタルハライドランプを10
分間照射して光硬化させた。その後、常温光硬化型パテ
組成物を全面に0.8Kg/m2塗布し、常温の環境
下、1mの距離から上記のランプを5分間照射して光硬
化させた。その後、常温光硬化型含浸用樹脂組成物を
0.4Kg/m2塗布し、引き続き、炭素繊維シートを
全面に被着し、ローラーを使用して炭素繊維シートの下
面の気泡を脱泡し、15分間放置後、表面に同じ含浸用
樹脂組成物を0.3Kg/m2塗布し、常温の環境下、
1mの距離から上記のランプを30分間照射して光硬化
させた。
【0066】上記で得たコンクリート板を光照射成形終
了後3時間目に「ADHESIONTESTER el
cometer」に供し(接着面積4.9cm2)、接
着試験を行った結果、接着強度は25.6Kg-f/c
2であり、破壊状態の観察の結果、コンクリート母材
破壊が確認された。
【0067】比較例1 室温(23℃)の室内に放置したコンクリート板(寸法
30cm×30cm)の表面に、常温過酸化物硬化型プ
ライマー組成物を0.1Kg/m2塗布し、3時間放置
させて表面を乾燥させた。その後、常温過酸化物硬化型
パテ組成物を全面に0.8Kg/m2塗布し、3時間放
置させて表面を乾燥させた。その後、常温過酸化物硬化
型含浸用樹脂組成物を0.4Kg/m2塗布し、引き続
き、炭素繊維シートを全面に被着し、ローラーを使用し
て炭素繊維シートの下面の気泡を脱泡し、15分間放置
後、表面に同じ含浸用樹脂組成物を0.3Kg/m2
布し、常温の環境下、3時間放置させて表面を乾燥させ
た。
【0068】上記で得たコンクリート板を乾燥終了後3
時間目に「ADHESION TESTER elco
meter」に供し(接着面積4.9cm2)、接着試
験を行った結果、接着強度は12.1Kg-f/cm2
あり、破壊状態の観察の結果、含浸用樹脂層/パテ層の
間、プライマー層/コンクリートの間に界面破壊が確認
された。また、乾燥終了後3日目に上記と同様の試験を
行った結果、接着強度は26.0Kg-f/cm2であ
り、破壊状態の観察の結果、コンクリート母材破壊が確
認された。
【0069】実施例3 実施例2において、炭素繊維シートの代わりにアラミド
繊維シートを使用した以外は、実施例2と同様に操作し
た。接着試験の結果、コンクリート板の接着強度は2
7.0Kg-f/cm2であり、破壊状態の観察の結果、
コンクリート母材破壊が確認された。
【0070】実施例4 室温(23℃)の室内に放置したコンクリート板(寸法
30cm×30cm)の表面に、常温光硬化型プライマ
ー組成物を0.1Kg/m2塗布し、常温の環境下、1
mの距離から照明用2Kwメタルハライドランプを3分
間照射したところ、表面が硬化して乾燥した。その後、
常温光硬化型パテ組成物を全面に0.8Kg/m2塗布
し、常温の環境下、1mの距離から上記のランプを2分
間照射したところ、表面が硬化して乾燥した。その後、
常温光硬化型含浸用樹脂組成物を0.4Kg/m2塗布
し、引き続き、炭素繊維シートを全面に被着し、ローラ
ーを使用して炭素繊維シートの下面の気泡を脱泡し、1
5分間放置後、表面に同じ含浸用樹脂組成物を0.3K
g/m2塗布し、常温の環境下、1mの距離から上記の
ランプを10分間照射したところ、表面が硬化して乾燥
した。
【0071】上記で得たコンクリート板を光照射成形終
了後3時間目の試料Aと5時間目の試料Bを「ADHE
SION TESTER elcometer」に供し
(接着面積4.9cm2)、接着試験を行った。その結
果、接着強度は、試料Aの場合10.0Kg-f/cm2
であり、試料Bの場合28.0Kg-f/cm2であっ
た。破壊状態の観察の結果、試料Aの場合はパテ/含浸
層の間の界面破壊が観察されたが、試料Bの場合は母材
破壊が確認された。上記の様に、表面が乾燥するまでの
光照射によっても光照射成形終了後5時間目には暗反応
の結果として十分に硬化することが確認された。
【0072】実施例5 実施例4において、室内の温度を−5℃に変更した以外
は、実施例4と同様に操作した。接着試験の結果、試料
Aの場合は7.0Kg-f/cm2であり、試料Bの場合
は24.0Kg-f/cm2であった。破壊状態の観察の
結果、コンクリート母材破壊が確認された。破壊状態の
観察の結果、試料Aの場合はパテ/含浸層の間の界面破
壊が観察されたが、試料Bの場合は母材破壊が確認され
た。
【0073】比較例2 −5℃の室内に放置したコンクリート板(寸法30cm
×30cm)の表面に、低温光硬化型プライマー組成物
を0.1Kg/m2塗布し、−5℃の環境下、1mの距
離から照明用2Kwメタルハライドランプを10分間照
射して光硬化させた。その後、低温光硬化型パテ組成物
を全面に0.8Kg/m2塗布し、−5℃の環境下、1
mの距離から上記のランプを5分間照射して光硬化させ
た。その後、ジエステルメタクリレート「BPE−20
0」(新中村化学(株)製)100重量部にアゾビスイ
ソブチロニトリル1.0重量部が配合された含浸用樹脂
組成物を0.4Kg/m2塗布し、引き続き、炭素繊維
シートを全面に被着し、ローラーを使用して炭素繊維シ
ートの下面の気泡を脱泡し、15分間放置後、表面に同
じ含浸用樹脂組成物を0.3Kg/m2塗布し、−5℃
の環境下、1mの距離から上記のランプを30分間照射
した。しかしながら、炭素繊維シートの裏面を硬化させ
ることは出来なかった。光照射終了後、5日経過しても
炭素繊維シートの裏面は硬化しなかった。因に、上記と
同様の含浸用樹脂組成物の硬化の際、メタルハライドラ
ンプに代えて1Kwハロゲンランプ(アールディーエス
社製「AL−スボットライト」)を使用(30cmの距
離から30分間照射)して上記と同様の操作を行ったが
炭素繊維シートの裏面は硬化しなかった。
【0074】比較例3〜9 比較例2において、アゾビスイソブチロニトリル1.0
重量部に代えて次の表に示す開始剤を使用した以外は、
比較例2と同様に操作した。何れの場合も炭素繊維シー
トの裏面は硬化しなかった。比較例8及び9で使用した
開始剤については、更に、メタルハライドランプに代え
て1Kw高圧水銀ランプ(岩崎電気(株)社製)を使用
(30cmの距離から30分間照射)して同様の操作を
行ったが炭素繊維シートの裏面は硬化しなかった。
【0075】
【表3】
【0076】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、構造物の
表面に炭素繊維シートを被着して補強するに際し、炭素
繊維シートの補強面への被着が常温ないしは低温環境で
あっても短時間で且つ強固に行われる様に改良された構
造物の補強方法を提供が提供され、従って、本発明の工
業的価値は極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 常雄 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 大谷 和男 群馬県伊勢原市富塚町1019−1 昭和高分 子株式会社東京研究所内 (72)発明者 山本 富生 群馬県伊勢原市富塚町1019−1 昭和高分 子株式会社東京研究所内 (72)発明者 千代 英毅 群馬県伊勢原市富塚町1019−1 昭和高分 子株式会社総合研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に炭素繊維および/またはアラミド
    繊維から成る繊維シートを被着して構造物を補強する方
    法において、補強面上にビニルエステル樹脂を樹脂主成
    分とし且つ重合開始剤を含有するプライマー組成物を塗
    布して光照射することにより硬化させ、形成されたプラ
    イマー層の表面への上記繊維シートの被着の前および/
    または後に、ビニルエステル樹脂を樹脂主成分とし且つ
    重合開始剤を含有する含浸用樹脂組成物を塗布してシー
    ト内の空隙に浸透させ、形成される繊維シート層を補強
    面およびプライマー層と一体化させた状態で光照射する
    ことにより硬化させることを特徴とする構造物の補強方
    法。
  2. 【請求項2】 繊維シートを被着するに当たり、形成さ
    れたプライマー層の表面にビニルエステル系樹脂を樹脂
    主成分とし且つ重合開始剤を含有するパテ組成物を塗布
    し、光照射することにより硬化させて表面を平滑化した
    後、シート層を形成する請求項1に記載の構造物の補強
    方法。
  3. 【請求項3】 重合開始剤が(a)下記の一般式(I)
    で表される有機ホウ素化合物および(b)酸性化合物か
    ら成る請求項1又は2に記載の補強方法。 【化1】 (式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立し
    て、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニ
    ル基、アルキニル基、シリル基(これらは何れも置換さ
    れていてもよい)、複素環基、ハロゲン原子を示し、Z
    +は陽イオンを示す。)
  4. 【請求項4】 重合開始剤が上記の一般式(I)で表さ
    れる有機ホウ素化合物、(b)酸性化合物および(c)
    可視光重合開始剤から成る請求項3に記載の補強方法。
  5. 【請求項5】 酸性化合物が光照射および/または加熱
    により酸を発生する潜在性酸発生剤である請求項3又は
    4に記載の補強方法。
  6. 【請求項6】 光照射の光源が可視光および/または近
    赤外光領域の波長の光を発する光源である請求項1〜5
    の何れかに記載の補強方法。
  7. 【請求項7】 繊維シートの目付けが200g/m2
    上で且つ樹脂含有量が15重量%以下である請求項1〜
    6の何れかに記載の補強方法。
  8. 【請求項8】 構造物がコンクリート構造物である請求
    項1〜7の何れかに記載の補強方法。
  9. 【請求項9】 プライマー層および含浸樹脂を硬化させ
    る各々の工程において、表面が硬化するまで光照射を行
    った後に直ちに次工程に移行して内部を暗反応で硬化さ
    せる請求項1〜8の何れかに記載の補強方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002338849A (ja) * 2001-05-21 2002-11-27 Nkk Corp 鋼−コンクリート複合体の防食方法
JP2006116748A (ja) * 2004-10-19 2006-05-11 Showa Highpolymer Co Ltd 繊維強化樹脂成形体付き構造体の製造方法
JP2007051464A (ja) * 2005-08-18 2007-03-01 Kumagai Gumi Co Ltd コンクリート構造体及びコンクリート構造体の施工方法
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