JPH11266651A - 軌道式茶葉摘採機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 刈刃に対して茶葉を容易に挟み込み易くして
摘採効率が低下するのを防止する。 【解決手段】 摘採装置４は、茶樹畝の全面に亘って摘
採上面と略同じ円弧曲率で弯曲するバリカン刃４ａと、
バリカン刃４ａを駆動するエンジン４ｂと、バリカン刃
４ａの前部上方位置よりバリカン刃４ａの後方位置へ圧
力風を吹き出す送風ファン４ｃおよび導風ダクト４ｄ
と、バリカン刃４ａにて摘採された茶葉を茶葉袋に収容
する茶葉収納部４１，４２と、茶葉収納部４１，４２に
装備された茶葉袋を載せる袋載置台４６，４７とを有し
てなり、少なくとも、上記バリカン刃４ａ、送風ファン
４ｃおよび導風ダクト４ｄは、摘採作業終了時、摘採作
業のための移動方向と逆方向に移動する際に摘採作業時
の向きと逆方向に設置されて茶樹畝表面の茶葉を起こす
ように当接させられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、列状に栽植された茶樹
畝の各畝間に単一のレールが敷設され、茶樹畝を挾む左
右の畝間の敷設レールを一対の軌道として走行しながら
茶樹畝の全面にわたり茶葉の摘採，剪枝，防除等の各種
作業が行える軌道式の茶葉摘採機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】上述のような軌道式の茶葉摘採機は、従
来より公知のものであり、例えば特開平１−１７４３０
１号公報、特開平４−９１７１６号公報等に記載された
先行技術が知られ、また本出願人においても先に特開平
４−３２０６１３号公報に記載された先行技術を提案し
ている。

【０００３】この種の装置は、茶樹畝を挾む左右両側の
畝間に敷設されているレールを一対の軌道として、レー
ルに沿って移動する左右の軌道台車間に、茶樹畝を跨ぐ
門形のフレームを架設させ、この門形フレームに茶樹畝
の全面にわたる刈取部および茶葉収納部を備えた摘採装
置を上下動可能に装着している。そして、茶葉の摘採作
業を行うときは、刈刃を茶樹畝の摘採深さまで下降させ
た状態で軌道台車を前進させ、この前進により茶葉の摘
採作業を行うと共に摘採した茶葉を袋に収容しつつ進行
し、所定経路の摘採作業が終ると、刈刃を所定の高さま
で上昇させた状態にして摘採開始端まで高速で戻り、収
容した茶葉袋を交換して、次の摘採作業に移るようにし
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで上述のような
軌道式の茶葉摘採機では、その前進中に摘採作業を行
い、復動することになるが、このような一方向への移動
中に摘採作業を行う構成では次のような問題があった。
つまり、摘採時には、茶葉が倒れた状態で摘採されるた
め、作業終了後、斜めに摘採された茶葉が起き上がって
元の状態に復元することになる。このため、次回の摘採
時には、起き上がった状態にある前回摘採対象となった
茶葉、いわゆる、古葉が再度摘採されてしまう虞があ
る。そこで、古葉が次回の摘採時に摘採されないように
前回の摘採作業時とは逆方向に茶葉を刈ならし作業を行
う必要がある。そこで、上記した軌道式の茶葉摘採機に
より刈ならし作業を行うようにすることが考えられる
が、このような軌道式の茶葉摘採機は、軌道上で旋回す
ることが不可能であるので、かような軌道式の茶葉摘採
機によって刈ならし作業を行うことは現実的には不可能
であった。このため、軌道式の茶葉摘採機によって摘採
作業を行う際には、刈ならし作業を別な作業機械によっ
て行う必要があり、摘採後、茶葉摘採機を茶畝から外れ
た位置に置いた状態で刈ならし作業を行うというきわめ
て非効率な作業を要求されることになる。

【０００５】本発明の目的は、上記従来の茶葉摘採機に
関する問題に鑑み、軌道式の茶葉摘採機を用いた摘採作
業後に行われる刈ならし作業をその茶葉摘採機とは別の
機器類を準備することなく行えるようにして作業効率を
向上させることができる構成を備えた軌道式茶葉摘採機
を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、請求項１記載の発明は、列状に栽植された茶樹畝の
各畝間にレールが敷設され、２列の畝間の敷設レールを
一対の軌道として、該レールに沿って移動する左右の軌
道台車に、茶樹畝を跨ぐ門形フレームを架設させ、該門
形フレームに茶樹畝の摘採面に沿って茶葉を刈取る摘採
装置を上下動可能に装着してなる軌道式の茶葉摘採機に
おいて、上記摘採装置は、茶樹畝の全面に亘って摘採上
面と略同じ円弧曲率で弯曲するバリカン刃と、バリカン
刃を駆動するエンジンと、バリカン刃の前部上方位置よ
りバリカン刃の後方位置へ圧力風を吹き出す送風ファン
および導風ダクトと、バリカン刃にて摘採された茶葉を
茶葉袋に収容する茶葉収納部と、茶葉収納部に装備され
た茶葉袋を載せる袋載置台とを有してなり、少なくと
も、上記バリカン刃、送風ファンおよび導風ダクトは、
摘採作業終了時、摘採作業のための移動方向と逆方向に
移動する際に摘採作業時の向きと逆方向に設置したこと
を特徴としている。

【０００７】請求項２記載の発明は、請求項１記載の起
動式茶葉摘採機において、上記バリカン刃、送風ファン
および導風ダクトは、摘採機の支持部に対して着脱可能
に設けられていることを特徴としている。

【０００８】

【作用】請求項１および２記載の発明では、軌道上を摘
採作業の際の移動方向とは逆方向に相当する復動時に、
少なくとも摘採作業に用いられる部材であるバリカン
刃、送風ファンおよび導風ダクトが摘採作業時とは逆の
向きに設定し、茶樹畝表面の茶葉を刈ならしするように
しているので、摘採時に倒れて再度起き上がった古葉を
対象とした刈ならしが茶葉摘採機を復動させることで実
行することができる。しかも、請求項２記載の発明で
は、バリカン刃、送風ファンおよび導風ダクトが摘採機
の支持部に対して着脱可能に設けられているので、摘採
機が旋回しなくても上記部材の向きを逆方向にするだけ
で古葉を刈ならすことができる。

【０００９】

【実施例】以下、図示実施例により本発明の詳細を説明
する。図１，図２は、軌道式茶葉摘採機の全体を示し、
符号１は、列状に栽植された茶樹畝の各畝間に敷設され
ているレールである。軌道式茶葉摘採機では、１列の茶
樹畝を挾んでその左右の畝間に敷設されている２条のレ
ール１，１を一対の軌道とし、この一対のレール１，１
に沿って移動する左右の軌道台車２，２間に茶樹畝を跨
ぐ門形のフレーム３が架設され、この門形フレーム３の
左右列の支柱間に、茶樹畝の全面にわたる刈取部および
茶葉収納部を備えた摘採装置４が上下動可能に装着され
た構成になっている。

【００１０】上記軌道台車２は、レール１に沿って前後
方向へ延びる台車フレーム２ａの前端に遊動前輪２１
と、後端に駆動後輪２２とを有している。その駆動後輪
２２は車輪駆動用のモータ２３により、これよりチェン
伝動系２４を介して回転力が伝達されるようにしてい
る。

【００１１】上記台車フレーム２ａに備える遊動前輪２
１および駆動後輪２２は、左右列の軌道台車２，２間に
おいて、その一方側（図１の左側）の遊動前輪２１およ
び駆動後輪２２は各外周がパイプ製のレール１に嵌合す
るようにＵ字状に形成されて横移動が規制されている
が、他方側（図１の右側）の遊動前輪２１および駆動後
輪２２は、一対のレール１，１間の対向間隔に多少の広
狭があってもこれに対応するように広幅対応に構成され
ている。広幅対応の遊動前輪２１は、外周がビボン状に
形成されてレール１上を左右に所要巾移動可能な幅に構
成されている。一方、広幅対応の駆動後輪２２は、図８
に示すように車輪支持枠２ｃに、チェン伝動系２４から
回転力が伝達される角軸２ｄが軸支され、この角軸２ｄ
に駆動後輪２２が左右へスライド可能に挿通されてあ
り、角軸２ｄには駆動後輪２２の両側にコイルバネ２
ｅ，２ｆが巻回されていて常時は駆動後輪２２が、角軸
２ｄの軸方向長さの中央に位置し、左右のレール１，１
の対向間隔に広狭があると、それに応じてコイルバネ２
ｅあるいは２ｆを圧縮して左右方向へ移動可能な構成に
なっている。

【００１２】また左右の台車フレーム２ａの前端，後端
に備える遊動前輪２１および駆動後輪２２は、図３にも
示すようにそれぞれの車輪支持枠２ｂ，２ｃが、レール
１の軸線に対し左右位置に傾動偏位可能に台車フレーム
２ａに軸支されている。すなわち遊動前輪２１および駆
動後輪２２の各車輪支持枠２ｂ，２ｃは、台車フレーム
２ａの前端，後端に対し、上下に離間した２本の締結ボ
ルト２５，２６で固定され、この場合に上側のボルト２
５を挿通するボルト孔は、下側のボルト２６を中心とす
る円弧状の長孔に形成されていて、左右のレール１，１
間に高低差がある傾斜地では、上述の長孔に沿って車輪
支持枠２ｂ，２ｃを、下側のボルト２６を中心として左
右方向へ傾動させることで遊動前輪２１および駆動後輪
２２がレール１の軸線の鉛直線上に位置できるようにし
ている。

【００１３】また左右の軌道台車２，２の各台車フレー
ム２ａには、同じく図３に示すように上方へ直立する接
続支柱２７，２８が立設してあり、この接続支柱２７，
２８に、門形フレーム３を構成する左右列の前後支柱３
ａ，３ｂおよび３ｃ，３ｄの各下端をそれぞれ嵌合接続
させる構成としている。上記接続支柱２７，２８にはこ
れに複数の高さ調整用ボルト挿通孔２７ａ，２８ａが設
けてあり、任意のボルト挿通孔２７ａ，２８ａを選択し
て両者をボルト２７ｂ，２８ｂにより接続固定すること
で各軌道台車２，２の台車フレーム２ａに対し、門形フ
レーム３の左右列の前後支柱３ａ，３ｂ（あるいは３
ｃ，３ｄ）がそれぞれ各別に独立して高さ調整できるよ
うにしている。

【００１４】門形フレーム３は、中空の角パイプ材によ
り形成され、左右列に立設される前後２本の支柱３ａ，
３ｂおよび３ｃ，３ｄの各頂部を、横部材３ｅ，３ｆで
連結して門形に形成すると共に、前後の支柱間を継ぎ部
材３ｇ，３ｈで接続してなるものである。門形フレーム
３の各支柱３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄには、それぞれに挾
持コロを有する昇降体５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄが設けら
れ、左右列の支柱に設けた昇降体５ａ，５ｂおよび５
ｃ，５ｄを一組として門形フレーム３の左右列の支柱間
に摘採装置４が上下動可能に装着されている。

【００１５】上記昇降体５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄは、門
形フレーム３の前部支柱３ａの頂部に備えている駆動モ
ータ５１によって昇降動作されるもので、左右列の前部
支柱３ａ，３ｃには、昇降体５ａ，５ｃの各挾持コロを
案内させる昇降ガイド５２が設けられている。また図４
に示すように、前部支柱３ａの角パイプ内には、駆動モ
ータ５１からの動力伝達で回転駆動される螺旋軸５３が
軸支されてあり、この螺旋軸５３に噛合う滑動子５４
が、図示していないが昇降体５ａおよび摘採装置４に連
繋されていて、螺旋軸５３の回転による滑動子５４の上
下昇降によって昇降体５ａおよび摘採装置４が共に連動
して上下する構成となっている。なお駆動モータ５１か
らの回転動力は、図４に示している傘歯車５５を介して
横部材３ｅの角パイプ内に内装されている伝達軸５６に
より図示しない他方側の前部支柱３ｃ内の螺旋軸にも回
転力が伝達されて、左右列の昇降体５ａ，５ｃが同時に
昇降し、摘採装置４の左右両側部が同時に昇降動作する
ようにしている。

【００１６】摘採装置４は、その前部に、茶樹畝の全面
にわたる横巾を有した刈取部が構成され、その刈取部に
は、機枠の底部前縁に、茶樹畝の摘採上面と同じ円弧曲
率で弯曲するバリカン刃４ａが設けられてあり、また、
機枠の左右両側部には、各別にエンジン４ｂおよびエン
ジンで駆動される送風ファン４ｃが装備されている。バ
リカン刃４ａは、機枠の一側に搭載したエンジン４ｂか
ら刈刃駆動機構（図示省略）を介して伝達される動力に
より通常のように往復運動するように駆動されている。
左右に搭載した送風ファン４ｃには、通常のように導風
ダクト４ｄが接続されているが、この導風ダクト４ｄ
は、バリカン刃４ａの刈幅中央位置まで延びて２分割に
構成され、左右に分割された導風ダクト４ｄにはこれに
それぞれ所定間隔で多数の吹出しノズル４ｅが突出され
ている。導風ダクト４ｄは、図５，図６に示されるよう
に、バリカン刃４ａの前部上方位置に横架されてあり、
吹出しノズル４ｅを介して圧力風を、バリカン刃４ａの
後方へと吹き出し、これによりバリカン刃４ａで摘採さ
れた茶葉を後方に備える茶葉収納部としての袋受部４
１，４２を介してこれに装着された茶葉袋（図示省略）
に収容するようになっている。

【００１７】本実施例においては、上述の茶葉収納部と
しての袋受部４１，４２が、バリカン刃４ａによる刈幅
に対し右半部，左半部に２分割されていて、バリカン刃
４ａにより摘採された茶葉を右半部，左半部の袋受部４
１，４２に分流させてそれぞれの袋受部４１，４２の後
部開口に装着していて２個の茶葉袋に収容するようにし
ている。

【００１８】この際に、バリカン刃４ａの刈幅中央部で
刈取られた摘採茶葉が右半部，左半部の袋受部４１，４
２に分流されて洩れなく袋に収容し得るように、バリカ
ン刃４ａの刈幅中央位置の後部には、図５，図６に示す
ように右半部，左半部に分割された袋受部４１，４２の
中間仕切部に、中仕切枠４３が設けられ、その中仕切枠
４３の前部に、縦軸回りに回転駆動される回転ブラシ４
４が設けられている。そして、ブラシ４４の回転により
バリカン刃４ａの刈幅中央部で摘採された茶葉が、右ま
たは左に振り分けられ、中仕切枠４３により分流されて
右半部あるいは左半部の袋受部４１，４２に誘導される
ようにしている。上述の回転ブラシ４４は、その上部に
配置されたモータ４５にって駆動されるものである。上
述の右半部，左半部に分割された茶葉収納部は、図示の
実施例の場合、図７に示すように前後が開放されたトン
ネル形の袋受部４１，４２を介在した構成としている
が、この構成に代えて、左右２枚の茶葉袋の開口部を、
直接に刈取部機枠の底枠下板４ｇと上部後枠４ｆとに引
き掛けて右半部，左半部に開口された茶葉袋を装備する
構成としてもよい。この場合には、図７に示す袋受部４
１，４２を省略することができる。なお、前記軌道台車
２には、台車フレーム２ａの前端に設けた遊動前輪２１
の前部に光センサを用いた停止位置センサ１１が設けら
れている。本実施例では、この停止位置センサ１１は、
光源と受光部とを備えており、光源からの光を茶畝端部
に配置された反射鏡（図示されず）に出射し、反射鏡か
らの反射光を受光することで停止位置に接近したとして
低速運転に切り換える信号を図示しない制御部に出力す
る。本実施例では、上記停止位置センサ１１に加えて、
実際の停止位置を検知する機構も備えられており、この
機構は、図示しないが、停止位置センサ１１の近傍に配
置されているリミットスイッチが用いられる。このリミ
ットスイッチは、軌道台車２の停止位置に相当するレー
ル畝端側の箇所に配置されているストッパ（図示され
ず）により動作されるものであり、動作時には、上記停
止位置センサ１１によって低速運転に切り換えられた軌
道台車２を停止させ、低速で逆方向への復動を開始させ
るようになっている。この停止位置センサに関しては、
駆動後輪２２側にも設けられており、茶葉摘採機を戻り
位置で停止させるようになっている。なお、停止位置セ
ンサとしては、上記した光学的なセンサに代えてリミッ
トスイッチとこれを操作させる作動部材との組み合わせ
とすることも可能である。また、図１中、門形フレーム
３には、その頂部一側に発電機６と、他側頂部にアンテ
ナを備えたコントロールボックス７と、バッテリ９とが
設置されている。上記コントロールボックス７には、詳
細な説明を割愛するが、上昇位置より摘採位置に指令す
る動作ボタンと、摘採装置４の高さレベルを上下に制御
する操作スイッチと、摘採作業時にエンジン４ｂの回転
速度，バリカン刃４ａへの動力伝達のオン，オフ操作
と、軌道台車２の駆動後輪２３に対し低速前進を指令す
る走行ボタンと、高速バックと高速バック前に一旦停止
させた状態を維持させるための指令を発する走行ボタン
と、走行を非常停止させる非常停止ボタンと、作業を摘
採，防除の作業プログラムに切換えるスイッチと、作業
速度を低速，高速に微調整する操作ツマミ等が設けられ
ている。以上のような走行部における停止位置センサを
除いた摘採装置を主要部として備えた軌道式茶葉摘採機
は、本願の先願に係る特開平７−１１５８２８号公報に
より開示されている。

【００１９】本実施例による茶葉摘採機は、摘採装置４
に設けられているバリカン刃４ａ、送風ファン４ｃおよ
び導風ダクト４ｄが着脱可能に設けられており、前進後
には、取り付け方向を逆方向にすることができるように
なっている。つまり、図２および図５に示すように、上
部後枠４ｆとこの前方に位置する上部前枠４ｈとには、
それぞれ直立する支柱１０１が固定されており、その支
柱上端には摘採機の移動方向に沿った長手方向を有する
支持フレーム１００が取り付けられている。支持フレー
ム１００は、パイプ状部材で構成され、一方端が導風ダ
クト４ｄよりも前方に張り出して位置決めされている。
導風ダクト４ｄから前方に張り出している支持フレーム
１００の端部には、図示しないが径方向に貫通形成され
た係止孔が上周面に設けられている。

【００２０】一方、図２において支持フレーム１００と
対向する前支柱３ａには、支持フレーム１００を挿嵌可
能な大きさを有する係止部材１０２が設けられている。
係止部材１０２は、支持フレーム１００を挿嵌できる内
径を有したパイプ部材で構成され、支持フレーム１００
における導風ダクト４ｄから前方に張り出す端部が挿入
された際に、その端部に形成されている係止孔に対応す
る孔（図示されず）が形成されている。支持フレーム１
００側の係止孔と係止部材１０２側の孔とが一致する
と、その孔にピンなどを挿入して支持フレーム１００を
係止することができる。

【００２１】本実施例は以上のような構成であるから、
茶葉摘採時には、畝移動台車（図示されず）に載せて、
摘採作業を行う茶樹畝の始端側で左右列の軌道台車２，
２をレール１、１上に進入させる。作業開始にあたり発
電機６を始動し、コントロールボックス７により摘採装
置４の刈取り高さをセットする。次いで、エンジン４ｂ
を始動し、コントロールボックス７における指令操作に
よって摘採装置４を摘採位置まで下降させ、エンジン制
御シリンダ４ｈおよび刈刃制御シリンダ４ｋによりエン
ジン４ｂの回転を高速回転にすると共に、バリカン刃４
ａを駆動状態にし、回転ブラシ４４も回転させ、摘採作
業を開始する。

【００２２】摘採作業時は、軌道台車２の走行が低速前
進し、この進行過程で刈取部のバリカン刃４ａにより茶
葉が摘採され、摘採された茶葉は、導風ダクト４ｄの吹
出しノズル４ｅから吹き付けられる圧力風により後方へ
吹き飛ばされて右半部，左半部の袋受部４１，４２にセ
ットされている茶葉袋に収容される。この摘採作業時、
バリカン刃４ａにて刈取られた刈幅中央の摘採茶葉は、
ブラシ４４の回転によって左右に振り分けられ、中仕切
枠４３により分流されて左右の袋受部４１，４２に誘導
されるようになるから、茶樹畝の全面が一気に刈取られ
ても摘採茶葉が脱落することがなく収穫損失が発生しな
い。そして予め設定した作業終了位置まで到達すると、
遊動前輪２２の前側に設けた光センサからなる停止位置
センサ１１の動作によって軌道台車２の進行が摘採作業
終了位置で自動停止する。所要経路の摘採作業が終了し
て自動停止すると、摘採装置４が予め設定されたバック
位置の高さまで上昇し、軌道台車２は、摘採作業の開始
位置まで高速で戻る。このバック時は、駆動後輪２３の
側に設けているリミットスイッチ１２の操作子が、畝移
動台車８に設けている第１のストッパ８１に当接するこ
とでバック走行が低速になり、また第２のストッパ８１
に当接することで軌道台車２のバック走行が自動的に停
止する。

【００２３】一方、摘採装置４は、作業終了位置に達し
た場合、上述したように、高速バックが行われる場合
と、作業終了位置で摘採開始位置に向けバックする前に
一旦停止状態を維持された後、低速でバックする場合と
があり、一旦停止状態を維持される場合には、摘採時の
向きと逆の向きに付け替えることができるようになって
いる。つまり、摘採装置４は、図８に示すように、支持
フレーム１００の一端部を前支柱３ａ側に有する係止部
材１０２に挿嵌できる向きに反転され、係止部材１０２
に挿嵌された後、双方に形成されている係止孔および孔
に対してピンなどを挿入することで抜け止めされて係止
される。

【００２４】このように、摘採装置４が摘採時とは逆向
きに反転されて支持されると、摘採装置４の下面、つま
り、底枠下板４ｇが茶樹畝の表面側に位置して起き上が
っている前回摘採対象となった茶葉に対面することがで
きる。これにより、摘採開始位置に向け低速でバックが
開始されると、前回摘採対象となった、いわゆる古葉が
刈ならしされ、図示しないが、摘採装置４の後方に設け
られている飛散防止カバーによって刈ならされた古葉が
畝間に落とされる。

【００２５】低速バックによって刈ならしを行いながら
前進開始位置に摘採装置４が達したことを駆動後輪２２
側の停止位置センサによって検出されると、摘採装置４
は停止する。この状態では、再度、摘採装置４の向きを
反転させて摘採状態の向きに設定し直すことで新たな摘
採作業を開始することができる。

【００２６】本実施例によれば、停止位置センサを用い
て徐行運転に切り換えるようになっているので、急停止
を行った場合のように、摘採機の転倒などの事故を防止
することができる。

【００２７】

【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、請
求項１および２記載の発明によれば、軌道上を摘採作業
の際の移動方向とは逆方向に相当する復動時に、少なく
とも摘採作業に用いられる部材であるバリカン刃、送風
ファンおよび導風ダクトが摘採作業時とは逆の向きに設
定し、茶樹畝表面の茶葉を刈ならしするようになってい
るので、摘採時に倒れて再度起き上がった古葉を対象と
した刈ならしが茶葉摘採機を復動させることで実行する
ことができる。しかも、請求項２記載の発明によれば、
バリカン刃、送風ファンおよび導風ダクトが摘採機の支
持部に対して着脱可能に設けられているので、摘採機が
旋回しなくても上記部材の向きを逆方向にするだけで古
葉を刈ならすことができる。これにより、軌道上で旋回
動作ができない摘採機を用いて刈ならし作業を行えるの
で、刈ならしのための作業機械の準備が不要になるとと
もに、摘採後、茶葉摘採機を茶畝から外れた位置に置い
た状態で刈ならし作業を行うような必要もなくせるの
で、作業者の作業負担を軽減して作業効率を向上させる
ことが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による軌道台車を備えた軌道式茶葉摘採
機の一実施例を示す全体の斜視図である。

【図２】同軌道式茶葉摘採機の全体側面図である。

【図３】軌道台車の一方を拡大して示す斜視図である。

【図４】門形フレームに支持した摘採装置の昇降機構を
示す断面図である。

【図５】摘採装置の刈取部および袋受部の一部を示す側
断面図である。

【図６】同摘採装置の刈取部および袋受部の一部を示す
平面図である。

【図７】図２に示した摘採装置に用いられる袋受部の斜
視図である。

【図８】図１に示した軌道式茶葉摘採機の作用を説明す
るための図２相当の全体側面図である。

【符号の説明】

１ レール １１，１２ リミットスイッチ １３ ストッパ ２ 軌道台車 ２ａ 台車フレーム ２１ 遊動前輪 ２２
駆動後輪 ２３ 駆動モータ ２４ チエン伝動系 ２ｂ，２ｃ 車輪支持枠 ２ｄ 角軸 ２ｅ，２ｆ コイルバネ ２５，２６ 締結ボルト ２７，２８ 接続支柱 ２７ａ，２８ａ ボルト挿通孔 ２７ｂ，２８ｂ 固
定ボルト ３ 門形フレーム ３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄ 支柱 ３ｅ，３ｆ 横
部材 ３ｇ，３ｈ 継ぎ部材 ４ 摘採装置 ４ａ バリカン刃 ４ｂ エンジン ４ｃ
送風ファン ４ｄ 導風ダクト ４ｅ 吹出しノズル ４ｆ
上部後枠 ４ｇ 底枠下板 ４ｈ エンジン制御シリンダ ４ｋ 刈刃制御シリンダ ４１，４２ 袋受部 ４１ａ 下板 ４３ 中仕切枠 ４４ 回転ブラシ ４５
モータ ４６，４７ 袋載置台 ４８ 掛止め金具 ４９
引掛け金具 ５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄ 昇降体 ５１ 駆動モータ ５２ 昇降ガイド ５３
螺旋軸 ５４ 滑動子 ５５ 傘歯車 ５６
伝達軸 ５１ａ スプロケット ５１ｂ 近接スイッチ ６ 発電機 ７ コントロールボックス ７ａ 制御盤 ７ｂ 電源スイッチ ７ｃ スイ
ッチ ７ｄ 高さ設定カウンター ７ｅ 動作
ボタン ７ｆ，７ｇ 走行ボタン ７ｈ 非常
停止ボタン ７ｋ 作業切換えスイッチ ７ｍ，７ｎ
操作ツマミ ７ｐ 距離設定カウンター ８ 畝移動台車 ８１ 第１のストッパ ８２ 第２のストッパ ９ バッテリ １００ 支持フレーム １０１ 支柱 １０２ 係止部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 列状に栽植された茶樹畝の各畝間にレー
   ルが敷設され、２列の畝間の敷設レールを一対の軌道と
   して、該レールに沿って移動する左右の軌道台車に、茶
   樹畝を跨ぐ門形フレームを架設させ、該門形フレームに
   茶樹畝の摘採面に沿って茶葉を刈取る摘採装置を上下動
   可能に装着してなる軌道式の茶葉摘採機において、 上記摘採装置は、茶樹畝の全面に亘って摘採上面と略同
   じ円弧曲率で弯曲するバリカン刃と、バリカン刃を駆動
   するエンジンと、バリカン刃の前部上方位置よりバリカ
   ン刃の後方位置へ圧力風を吹き出す送風ファンおよび導
   風ダクトと、バリカン刃にて摘採された茶葉を茶葉袋に
   収容する茶葉収納部と、茶葉収納部に装備された茶葉袋
   を載せる袋載置台とを有してなり、 少なくとも、上記バリカン刃、送風ファンおよび導風ダ
   クトは、摘採作業終了時、摘採作業のための移動方向と
   逆方向に移動する際に摘採作業時の向きと逆方向に設置
   したことを特徴とする軌道式茶葉摘採機。
2. 【請求項２】 請求項１記載の軌道式茶葉摘採機におい
   て、 上記バリカン刃、送風ファンおよび導風ダクトは、摘採
   機の支持部に対して着脱可能に設けられていることを特
   徴とする軌道式茶葉摘採機。