JPH11258686A - フイルム平面保持装置 - Google Patents

フイルム平面保持装置

Info

Publication number
JPH11258686A
JPH11258686A JP8056298A JP8056298A JPH11258686A JP H11258686 A JPH11258686 A JP H11258686A JP 8056298 A JP8056298 A JP 8056298A JP 8056298 A JP8056298 A JP 8056298A JP H11258686 A JPH11258686 A JP H11258686A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
diaphragm
shape memory
memory alloy
pressure plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8056298A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiharu Tanaka
義治 田中
Shoichi Minato
祥一 湊
Akira Kosaka
明 小坂
Junichi Tanii
純一 谷井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Minolta Co Ltd filed Critical Minolta Co Ltd
Priority to JP8056298A priority Critical patent/JPH11258686A/ja
Publication of JPH11258686A publication Critical patent/JPH11258686A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Details Of Cameras Including Film Mechanisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 形状記憶合金を使用し、少ない部品点数で小
型に纏めたカメラのフイルム平面保持装置を提供する。 【解決手段】 カメラの裏蓋側に設けられた圧板13に
は支持部材15が固定され、中央部分には吸引軸16が
貫通する。ダイアフラムには吸引軸16が貫通し、軸1
6が図1で右に移動するとダイアフラムの中央部が牽引
され、圧板13とダイアフラム14との間の密閉空間が
拡大するように構成されている。形状記憶合金で形成さ
れたワイヤ20に通電し加熱すると、ワイヤ20はばね
18bの付勢力に抗して記憶形状に従つて縮み、吸引レ
バ−18を介して軸16を図1で右に牽引する。圧板1
3とダイアフラム14との間の密閉空間が拡大して負圧
が発生し、圧板13の前方のフイルムFを圧板13に吸
着して平面に保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、フイルム平面保
持装置に関し、特にカメラなどにおいて撮影位置に給送
されたフイルムの平面度を正確に保つフイルム平面保持
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の銀塩フイルムを使用するカメラで
は、一般的にはロ−ルフイルムが使用されており、フイ
ルムを1駒ずつ撮影位置に給送し、撮影レンズを通過し
た被写体光を露光するように構成されている。撮影位置
に給送されたフイルムは、フイルムの巻きぐせなどによ
り僅かながら凹凸が生じるから、フイルムの平面度を保
つため、従来のカメラは図33、図34に示すような構
成を採用している。
【0003】即ち、図33はカメラの光軸を含む断面図
で、図34は撮影位置附近にあるフイルムとフイルムア
パ−チャ−部及び圧板と関係を示した図である。カメラ
本体200を構成するフレ−ムには、撮影レンズ201
の後側の位置に、フイルムアパ−チャ−部APが設けら
れており、アパ−チャ−部APにはフイルムFを案内す
るフイルムレ−ル202と、フイルムの背面に位置する
圧板204が当接する圧板レ−ル203が形成されてい
る。
【0004】圧板204はカメラ本体の裏蓋210の側
に、ばね205を介して取り付けられており、裏蓋21
0をカメラ本体200に閉じると、ばね205の付勢力
によつて圧板204は圧板レ−ル203に向けて圧接さ
れる。
【0005】フイルムレ−ル202と圧板レ−ル203
との間にはフイルムの厚みよりもやや大きい段差が設け
られており、フイルムFの上下端部附近がこの段差によ
り形成された間隙の間に入つて保持されると共に、フイ
ルムFの背面は圧板204により押えられるので、一応
フイルムFの平面性が保持されている。
【0006】しかしながら、フイルムFは柔軟な材料に
より形成されており、また巻きぐせなどがあるため、フ
イルムアパ−チャ−部APの中央附近では、フイルムF
の面が圧板204からΔtだけ浮き上がつた部分が生じ
ることは避けられない。しかし、一般的にはΔtは撮影
レンズ201の焦点深度内にあると考えられ、特段の対
策は取られていなかつた。
【0007】もつとも、写真製版カメラなど特殊な用途
のカメラでは、高性能レンズを使用し且つ焦点深度の浅
い撮影条件での撮影となる場合が多く、またフイルム面
も広いので、真空吸引装置などによりフイルムを圧板に
吸引して平面性を厳密に確保するものが知られている
が、装置が大型になることは避けられない。
【0008】一般の携帯用カメラでも、最近の高性能レ
ンズの性能を十分に発揮するためにフイルムの平面性を
従来よりも厳密に確保することが求められるに至つた。
このため、圧板の後側にダイヤフラムで仕切つた密閉空
間を形成し、ダイヤフラムを電磁的に吸引して密閉空間
を負圧にし、フイルムを圧板に吸引する構成が提案され
ている(一例として、特開平3−279931号公報参
照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
たフイルムを圧板に吸引する構成は、電磁的な吸引機構
であるため、装置が大型になるほか重量も重くなり、部
品点数が多く製造コストが上昇するなどの不都合が指摘
されていた。
【0010】この発明は、上記した課題を解決し、部品
点数が少なく小型軽量なフイルム平面保持装置を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を解
決するもので、請求項1の発明は、1以上の貫通孔を設
けたフイルム圧板の背後に、前記貫通孔を囲むように容
積が可変の密閉空間を形成し、この密閉空間の容積を拡
大することで負圧を発生させ、前記圧板の表面に位置す
るフイルムを圧板に吸着させるフイルム平面保持装置に
おいて、前記密閉空間の一部を形成するダイアフラム
と、前記密閉空間の容積を変更するようにダイアフラム
を変位させる形状記憶合金で構成された第1の駆動部材
を含むダイアフラム駆動機構と、形状記憶合金への通電
により形状記憶合金の加熱を制御する制御手段とを備え
ることを特徴とするフイルム平面保持装置である。
【0012】また、前記ダイアフラム駆動機構は、前記
圧板の背後に形成された密閉室内に配置してもよい。
【0013】前記ダイアフラム駆動機構は、形状記憶合
金で構成された第1の駆動部材に通電して加熱するとき
前記密閉空間の容積が増大する方向に前記ダイアフラム
を変位させるダイアフラム駆動機構である。
【0014】前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前記
第1の駆動部材への通電加熱により密閉空間の容積が増
大する方向にダイアフラムを変位させたとき、該第1の
駆動部材をその位置に保持する係止機構を備える。
【0015】前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前記
係止機構による前記第1の駆動部材の係止を解除する形
状記憶合金で構成された第2の駆動部材を含む係止解除
機構を備える。
【0016】前記ダイアフラム駆動機構は、前記係止解
除機構を作動させるときは、前記ダイアフラム駆動機構
の形状記憶合金で構成された前記第1の駆動部材への通
電加熱の後、前記係止解除機構の形状記憶合金で構成さ
れた前記第2の駆動部材への通電加熱を行うように前記
制御手段により制御される。
【0017】前記ダイアフラム駆動機構は、形状記憶合
金で構成された前記第1の駆動部材に通電して加熱する
とき前記密閉空間の容積が減少する方向に前記ダイアフ
ラムを変位させる駆動機構としてもよい。
【0018】前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前記
第1の駆動部材により密閉空間の容積が減少する方向に
ダイアフラムを変位させるときは、該駆動部材をその位
置に保持する係止機構を備える。
【0019】前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前記
係止機構によるダイアフラム駆動部材の係止を解除する
形状記憶合金で構成された第2の駆動部材を含む係止解
除機構を備える。
【0020】前記ダイアフラム駆動機構は、前記係止解
除機構を作動させるときは、前記ダイアフラム駆動機構
の形状記憶合金で構成された部材への通電加熱の後、前
記係止解除機構の形状記憶合金で構成された部材への通
電加熱を行うように前記制御手段により制御される。
【0021】請求項11の発明は、少なくともフイルム
を撮影位置に給送するフイルム給送機構と、撮影位置に
給送されたフイルムに露光するシャッタ機構を備えたカ
メラのフイルム平面保持装置において、前記撮影位置に
配置された1以上の貫通孔を設けたフイルム圧板と、前
記フイルム圧板の貫通孔を囲むように形成された容積が
可変の密閉空間の一部を形成するダイアフラムと、前記
密閉空間の容積を変更するようにダイアフラムを変位さ
せる形状記憶合金で構成された第1の駆動部材を含むダ
イアフラム駆動機構と、制御手段とを備え、前記制御手
段は、前記ダイアフラム駆動機構の形状記憶合金で構成
された第1の駆動部材に通電加熱して前記ダイアフラム
を変位させ、前記密閉空間の容積を変更してフイルム圧
板へのフイルムの吸着状態を制御することを特徴とす
る。
【0022】そして、前記ダイアフラム駆動機構は、前
記圧板の背後に形成された密閉室内に配置してもよい。
【0023】前記ダイアフラム駆動機構は、形状記憶合
金で構成された第1の駆動部材に通電して加熱するとき
前記密閉空間の容積が増大する方向に前記ダイアフラム
を変位させるダイアフラム駆動機構である。
【0024】前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前記
第1の駆動部材により密閉空間の容積が拡大する方向に
ダイアフラムを変位させたとき、該第1の駆動部材をそ
の位置に保持する係止機構を備える。
【0025】前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前記
係止機構による第1の駆動部材の係止を解除する形状記
憶合金で構成された第2の駆動部材を含む係止解除機構
を備える。
【0026】前記係止解除機構は、その作動の際は前記
第1の駆動部材への通電加熱の後、前記係止解除機構の
形状記憶合金で構成された前記第2の駆動部材への通電
加熱を行うように前記制御手段により制御される。
【0027】前記制御手段は、少なくとも前記シャッタ
機構に設定されたシャッタ速度が所定の速度以下の場合
に、前記係止機構によるダイアフラム駆動部材の係止を
許可するように制御する。
【0028】前記制御手段は、前記フイルム給送機構に
フイルムの給送が指令されたときは、フイルムの給送開
始に先立つて前記密閉空間の容積が減少する方向にダイ
アフラムを変位させるように前記形状記憶合金で構成さ
れた第1の駆動部材への通電加熱を行う制御を行う。
【0029】前記制御手段は、露光用シャッタの開動作
に先立つて、前記密閉空間の容積が拡大する方向にダイ
アフラムを変位させるように前記形状記憶合金で構成さ
れた第1の駆動部材に通電加熱する制御を行う。
【0030】前記制御手段は、露光動作の終了を示す信
号の出力からフイルムの巻上げ開始までの期間内に、前
記形状記憶合金で構成された第1の駆動部材への通電を
遮断するように制御する。
【0031】前記制御手段は、カメラ内部におけるフイ
ルムの給送の終了が検出されたときは、前記駆動部材の
形状記憶合金への通電を遮断する。
【0032】前記ダイアフラム駆動機構は、形状記憶合
金で構成された第1の駆動部材に通電して加熱するとき
前記密閉空間の容積が減少する方向に前記ダイアフラム
を変位させるダイアフラム駆動機構とすることができ
る。
【0033】前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前記
第1の駆動部材により密閉空間の容積が減少する方向に
ダイアフラムを変位させたとき、該第1の駆動部材をそ
の位置に保持する係止機構を備える。
【0034】前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前記
係止機構による第1の駆動部材の係止を解除する形状記
憶合金で構成された第2の駆動部材を含む係止解除機構
を備える。
【0035】前記係止解除機構は、その作動の際は前記
第1の駆動部材への通電加熱の後、前記係止解除機構の
形状記憶合金で構成された前記第2の駆動部材への通電
加熱を行うように前記制御手段により制御される。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を説
明する。以下説明する実施の形態は、この発明をカメラ
のフイルム平面保持装置に適用したもので、フイルム平
面保持装置が配置されるカメラ本体におけるアパ−チャ
−部の位置は、先に図33及び図34を参照して従来技
術として説明したカメラのアパ−チャ−部APと同一の
部分にあるから、カメラ本体におけるアパ−チャ−部の
位置等の説明は省略し、カメラのフイルム平面保持装置
について説明する。
【0037】[第1の実施の形態]図1乃至図3は、こ
の発明の第1の実施の形態のフイルム平面保持装置の構
成を示す図で、図1はその初期状態、即ちフイルムを圧
板に吸着していない状態を示す断面図、図2は図1の背
面(図1の右側)から見た正面図、図3は動作状態、即
ちフイルムを圧板に吸着した状態を示す断面図である。
【0038】図1乃至図3において、10はカメラ本体
のアパ−チャ−部AP附近のフレ−ム部分を示す。カメ
ラ本体のアパ−チャ−部APにはフイルムレ−ル11及
び圧板レ−ル12が形成されている。13は図示しない
カメラの裏蓋側に設けられた圧板で、圧板13には開孔
13aが設けられている。開孔13aの数は1又はそれ
以上とするとよい。15は圧板13に取り付けられた支
持部材で、圧板13、支持部材15は、カメラの裏蓋を
閉じると、図示しないばね等の弾性部材により圧板13
が圧板レ−ル12に圧接するように構成されている。な
お、Fはフイルムを示している。
【0039】支持部材15は、その下側端部に軸受15
bが設けられ、軸受15bにより支持された軸17によ
り吸引レバ−18を揺動自在に支持している。また、支
持部材15の中央部分には吸引軸16が貫通している。
【0040】吸引軸16は、その圧板13側の端部が軸
径よりも大きい円盤状の端部16aに形成されており、
吸引軸16の他の端部であるブロック16bにはピン1
8aが設けられ、吸引レバ−18の上端附近に結合され
ている。
【0041】14はダイアフラムで、ゴムその他の適当
な可撓性材料で形成されており、ダイアフラム14の周
辺は、圧板13とダイアフラム14との間に密閉空間が
形成されるように、圧板13と支持部材15により密着
挟持されている。また、ダイアフラムの中央部分には吸
引軸16が貫通し、吸引軸16が図1で右に移動すると
ダイアフラムの中央部分が牽引され、圧板13とダイア
フラム14との間の密閉空間が拡大するように構成され
ている。
【0042】吸引レバ−18は、軸17の回りに揺動自
在に支持されており、図1で反時計方向に付勢するばね
18bにより付勢されている。また、吸引レバ−18の
上端附近には形状記憶合金で形成されたワイヤ20が貫
通して固定されており、ワイヤ20の下端部は支持部材
15に設けられた端子15aに固定されると共に、給電
可能に構成されている。ワイヤ20の吸引レバ−18へ
の取り付け状態は、図2を参照すると明かであるが、ワ
イヤ20は支持部材15に設けられた一方の端子15a
から上方に伸び、吸引レバ−18の上端を貫通してから
下方に伸び、支持部材15に設けられた他方の端子15
aに固定されている。
【0043】なお、形状記憶合金で形成されたワイヤ2
0には縮み方向の形状が記憶されており、加熱すると記
憶した形状に縮む。
【0044】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、撮影する駒がカメラ
本体のアパ−チャ−部APに給送された状態では、吸引
レバ−18はばね18bにより反時計方向に付勢されて
おり、吸引軸16は図1に示す位置にあつて、フイルム
を圧板に吸引していない状態にある。従つてフイルムF
は湾曲しているため圧板13との間に隙間が存在してい
る。
【0045】次に、形状記憶合金で形成されたワイヤ2
0に通電すると、ワイヤ自体の抵抗により発熱し加熱さ
れる。ワイヤ20が加熱されると、ワイヤ20はばね1
8bの付勢力に抗して予め記憶された形状に縮むので、
ワイヤ20が固定されている吸引レバ−18の上端は図
1で時計方向に回動し、吸引軸16を図1で右に牽引す
る。これによりダイアフラム14の中央部分も右に牽引
されるので、圧板13とダイアフラム14との間の密閉
空間が拡大して負圧が発生するから、圧板13の前方に
あるフイルムFが圧板13に吸着され、アパ−チャ−部
APのフイルムFを平面に保持することができる。図3
はワイヤ20が加熱された動作状態を示す断面図であ
る。
【0046】フイルムFが平面に保持されたときは撮影
を実行し、撮影が終了したならば形状記憶合金で形成さ
れたワイヤ20の加熱を停止する。ワイヤ20が周囲の
空気により冷却されると初期の形状に戻り、吸引レバ−
18はばね18bにより図1に示す初期状態の位置に復
帰し、吸引軸16及びダイアフラムも初期状態の位置に
復帰するから、フイルムFの圧板13への吸着が解除さ
れ、フイルムの巻き上げを実行することができる。
【0047】[第2の実施の形態]図4及び図5は、こ
の発明の第2の実施の形態のフイルム平面保持装置の構
成を示す図で、図4はその初期状態を示す断面図、図5
は動作状態を示す断面図である。
【0048】図1乃至図3で説明した第1の実施の形態
のものと同一部材には同一符号を付して詳細な説明は省
略し、相違点について説明する。
【0049】図4及び図5において、カメラ本体10の
アパ−チャ−部APにはフイルムレ−ル11及び圧板レ
−ル12が形成されている。カメラの裏蓋側に設けられ
た圧板13には開孔13aが設けられている。また、圧
板13に取り付けられた支持部材15は、カメラの裏蓋
を閉じると、図示しないばね等の弾性部材により圧板1
3が圧板レ−ル12に圧接するように構成されている。
なお、Fはフイルムを示している。
【0050】支持部材15の中央部分には吸引軸26が
貫通しており、吸引軸26の圧板13側の端部は軸径よ
りも大きい円盤状の端部26aに形成されており、吸引
軸26の他の端部は支持部材15の中央部分を貫通する
軸径よりも大きい大径部26b及び端部大径部26cに
形成されている。
【0051】吸引軸26の大径部26bの外側には形状
記憶合金で形成されたコイルばね27が嵌挿されてお
り、また、端部大径部26cの外側端面には、吸引軸2
6を圧板13の方向に付勢する板ばね28の先端が当接
するように配置され、板ばね28の他の端部は支持部材
15に固定されている。
【0052】形状記憶合金で形成されたコイルばね27
は、常温ではばねの長さは縮んだ状態にあるが、ばねの
長さが伸長した形状が記憶されているので(図5に示す
コイルばね27の形状参照)、加熱によりコイルばね2
7は伸長する。
【0053】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、撮影する駒がカメラ
本体のアパ−チャ−部APに給送された状態では、吸引
軸26は板ばね部材28により圧板13の方向に付勢さ
れているから図1に示す位置にあつて、フイルムを圧板
に吸引していない状態にある。従つてフイルムFは湾曲
しているため圧板13との間に隙間が存在している。
【0054】次に、形状記憶合金で形成されたコイルば
ね27に通電すると、コイルばね自体の抵抗により発熱
し、加熱される。コイルばね27が加熱されると、板ば
ね部材28の付勢力に抗して予め記憶された形状に伸長
し、吸引軸26を図4で右に牽引する。これによりダイ
アフラム14の中央部分も右に牽引されるので、圧板1
3とダイアフラム14との間の密閉空間が拡大して負圧
が発生するから、圧板13の前方にあるフイルムFが圧
板13に吸着され、アパ−チャ−部APのフイルムFを
平面に保持することができる。図5はコイルばね27が
加熱された動作状態を示す断面図である。
【0055】フイルムFが平面に保持されたときは撮影
を実行し、撮影が修了したならば形状記憶合金で形成さ
れたコイルばね27への給電を遮断し、加熱を停止す
る。コイルばね27が冷却されて初期の形状に戻ると、
吸引軸26は板ばね部材28により図4に示す初期状態
の位置に復帰し、フイルムFの圧板13への吸着が解除
されるので、フイルムの巻き上げを実行することができ
る。
【0056】[第3の実施の形態]図6は、この発明の
第3の実施の形態のフイルム平面保持装置の構成を示す
図で、図6はその初期状態を示す断面図である。
【0057】図1乃至図3で説明した第1の実施の形態
に類似した構成であるから、同一部材には同一符号を付
して詳細な説明は省略し、相違点について説明する。
【0058】図1に示した構成では、吸引軸16を牽引
する吸引レバ−18には、その上端附近に形状記憶合金
で形成されたワイヤ20が固定されており、形状記憶合
金で形成されたワイヤ20に直接通電することで、ワイ
ヤ自体の抵抗によりワイヤ20を加熱し、ワイヤ20に
縮み変形を生ずるように構成している。
【0059】これに対し、第3の実施の形態では、吸引
レバ−18に固定された形状記憶合金で形成されたワイ
ヤ20に直接通電せず、ワイヤ20の外側にニクロム線
などで構成した発熱体31を配置し、発熱体31に通電
することでワイヤ20を加熱し、ワイヤ20に縮み変形
を生ずるように構成したものである。
【0060】その他の部分の構成及び動作は第1の実施
の形態のものと同じであるから、説明を省く。
【0061】[第4の実施の形態]図7及び図8は、こ
の発明の第4の実施の形態のフイルム平面保持装置の構
成を示す図で、図7の(a)はその初期状態を示す断面
図、図7の(b)は初期状態における係止部分の構成と
動作を説明する図、図8の(a)はその吸引状態を示す
断面図、図8の(b)は動作状態における係止部分の構
成と動作を説明する図である。
【0062】第4の実施の形態は、第1の実施の形態の
ものにおいて、形状記憶合金で形成されたワイヤ20へ
通電して吸引レバ−18により吸引軸16の牽引した後
は、ワイヤ20への通電を遮断、即ち加熱を停止して
も、吸引軸16の牽引状態を維持するようにしたもので
ある。これによれば、例えば長時間の露光のような場合
に、フイルムを圧板に吸引した後はワイヤ20への通電
を遮断することができ、消費電力を節約することができ
る。
【0063】第4の実施の形態は、図1乃至図3で説明
した第1の実施の形態に類似した構成であるから、同一
部材には同一符号を付して詳細な説明は省略し、相違点
について説明する。
【0064】図7の(a)に示すように、支持部材15
には吸引軸16が貫通しているが、その貫通している吸
引軸16の上側に係止レバ−36が配置されている。
【0065】係止レバ−36は、図7の(b)に示すよ
うに、その一端が軸37により回動自在に支持されてお
り、ばね38により矢印a方向に付勢されている。ま
た、係止レバ−36の先端36a附近には形状記憶合金
で形成されたワイヤ35が固定されており、ワイヤ35
には縮む方向の形状が記憶されている。係止レバ−36
の先端36aは、吸引軸16が図7の(a)で右に移動
したときに支持部材15と吸引軸16のブロック16b
との間に形成される隙間に相当する寸法に形成されてお
り、吸引軸16が図7(a)で右に移動したとき、ばね
38の付勢力によりこの隙間に落下するように構成され
ている。
【0066】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、撮影する駒がカメラ
本体のアパ−チャ−部APに給送された状態では、形状
記憶合金で形成されたワイヤ20へ通電されておらず、
吸引レバ−18により吸引軸16が牽引されていないか
ら、図7の(a)に示す位置にあつて、フイルムを圧板
に吸引していない状態にある。従つてフイルムFは湾曲
しているため圧板13との間に隙間が存在している。ま
た、係止レバ−36の先端36aは、図7の(a)及び
(b)に示すように、吸引軸16のブロック16bの上
に乗つている。
【0067】次に、形状記憶合金で形成されたワイヤ2
0に通電して加熱し、ワイヤ20の縮み変位により吸引
軸16が牽引されると、図8の(a)に示す状態とな
り、ダイアフラム14の中央部分も右に牽引されるの
で、圧板13とダイアフラム14との間の密閉空間が拡
大して負圧が発生するから、圧板13の前方にあるフイ
ルムFが圧板13に吸着され、アパ−チャ−部APのフ
イルムFを平面に保持することができる。
【0068】このとき、支持部材15と吸引軸16のブ
ロック16bとの間に形成される隙間に係止レバ−36
の先端36aがばね38の付勢力により落下して図8の
(a)及び(b)に示す状態となるから、ワイヤ20へ
の通電が遮断されても吸引軸16が初期位置に復帰する
ことはない。
【0069】係止レバ−36を支持部材15と吸引軸1
6のブロック16bとの間の隙間から引き上げるには、
係止レバ−36の先端36a附近に固定された形状記憶
合金で形成されたワイヤ35に通電して加熱し、ばね3
8の付勢力に抗してワイヤ35に縮み変位を発生させる
と、係止レバ−36は図7の(b)に示す初期位置に引
き上げられ、復帰させることができる。係止レバ−36
が初期位置に復帰した後はワイヤ35への通電を遮断す
ることができる。
【0070】以上の構成において、係止レバ−36を初
期位置に復帰させるときは、ワイヤ35に通電する前に
ワイヤ20へ通電加熱し、吸引軸16を再度牽引した上
でワイヤ35に通電加熱すると、支持部材15と吸引軸
16の大径部16bとの間の隙間が僅かに拡がるから、
係止レバ−36を初期位置に復帰させ易くなる。
【0071】[第5の実施の形態]第5の実施の形態
は、ダイアフラム及びダイアフラムを移動させる駆動源
を密閉室内に配置したフイルム平面保持装置の構成を示
す図で、図9はフイルム平面保持装置の初期状態を示す
断面図、図10は動作状態を示す断面図である。
【0072】図1乃至図3で説明した第1の実施の形態
のものと同一部材には同一符号を付して詳細な説明は省
略し、相違点について説明する。
【0073】図9及び図10において、図示しないカメ
ラの裏蓋側に設けられた圧板13と圧板13に取り付け
られた支持部材15とで密閉室が形成される。
【0074】支持部材15の中央部分には吸引軸46が
貫通しており、吸引軸46の中間には軸径よりも大きい
円盤状部材46dが形成されている。そして、円盤状部
材46dよりも圧板13側の吸引軸46上に形状記憶合
金で形成されたコイルばね41が嵌挿されており、円盤
状部材46dよりも支持部材15側の吸引軸46上にダ
イアフラム14とコイルばね42が嵌挿されている。コ
イルばね42は、鋼その他の弾性材料で作成された通常
のコイルばねである。
【0075】形状記憶合金で形成されたコイルばね41
は、常温ではばねの長さは縮んだ状態にあるが、ばねの
長さが伸長した形状が記憶されているので(図10に示
すコイルばね41の形状参照)、加熱によりコイルばね
41は伸長する。
【0076】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、撮影する駒がカメラ
本体のアパ−チャ−部APに給送された状態では、吸引
軸46の円盤状部材46dはコイルばね42により圧板
13の方向に付勢されているから、図9に示す位置にあ
つて、フイルムを圧板に吸引していない状態にあり、湾
曲したフイルムFと圧板13との間には隙間が存在して
いる。
【0077】次に、形状記憶合金で形成されたコイルば
ね41に通電すると、コイルばね自体の抵抗により発熱
し、コイルばね41が加熱される。コイルばね41が加
熱されると、コイルばね42の付勢力に抗して予め記憶
された形状に伸長し、吸引軸46の円盤状部材46dを
図9で右に押出して図10に示す状態になる。これによ
りダイアフラム14の中央部分も右に牽引されるので、
圧板13とダイアフラム14との間の密閉空間が拡大し
て負圧が発生するから、圧板13の前方にあるフイルム
Fが圧板13に吸着され、アパ−チャ−部APのフイル
ムFを平面に保持することができる。
【0078】フイルムFが平面に保持されたときは撮影
を実行し、撮影が修了したならば形状記憶合金で形成さ
れたコイルばね41の加熱を停止する。コイルばね41
が冷却されて初期の形状に戻ると、吸引軸46はコイル
ばね41の付勢力により図9に示す初期状態の位置に復
帰し、フイルムFの圧板13への吸着が解除されるの
で、フイルムの巻き上げを実行することができる。
【0079】以上の構成によれば、ダイアフラム14
と、ダイアフラム14を移動させる吸引軸46、形状記
憶合金で形成されたコイルばね41、及び通常の弾性材
料で作成されたコイルばね42などダイアフラムを移動
させる駆動源を圧板13と支持部材15で構成された密
閉室の内部に配置することができ、装置を小型化するこ
とができる。
【0080】[第6の実施の形態]第6の実施の形態も
フイルム平面保持装置の構成を示す図で、ダイアフラム
及びダイアフラムを移動させる駆動源を密閉室の内部に
配置したものである。図11及び図12は、この発明の
第6の実施の形態のカメラのアパ−チャ−部APの構成
を示す図で、図11はその初期状態を示す断面図、図1
2は背面(図1の右側)から見た内側要部の正面図であ
る。
【0081】図11乃至図12において、図示しないカ
メラの裏蓋側に設けられた圧板53と圧板53に取り付
けられた支持部材55とで密閉室が形成される。
【0082】図11及び図12において、50はカメラ
本体を示し、カメラ本体のアパ−チャ−部APにはフイ
ルムレ−ル51及び圧板レ−ル52が形成されている。
図示しないカメラの裏蓋側に設けられた圧板53には、
フイルムFを圧板53に吸引する開孔53aが設けられ
ている。
【0083】圧板53の裏側(フイルムFと反対側)に
は、その上部に軸受53aが設けられ、軸受53aによ
り支持された軸57により吸引レバ−58の上端が揺動
自在に支持されている。
【0084】また、支持部材55の中央部分には吸引軸
56が貫通しており、吸引軸56にはその中央部分にブ
ロック56aが形成され、ブロック56aに固定されて
いるピン56bに、吸引レバ−58の下端が結合されて
いる。
【0085】54はダイアフラムで、ゴムその他の適当
な可撓性材料で形成されており、ダイアフラム54の周
辺は、圧板53とダイアフラム54との間に密閉空間が
形成されるように、圧板53と支持部材55により密着
挟持されている。また、ダイアフラムの中央部分には吸
引軸56が貫通し、吸引軸56が図11で右に移動する
と、圧板53とダイアフラム54との間の密閉空間が拡
大するように構成されている。
【0086】吸引レバ−58は、軸57の回りに揺動自
在に支持されており、図11で時計方向に付勢するばね
58bにより付勢されている。また、吸引レバ−58の
下端附近には形状記憶合金で形成されたワイヤ60が貫
通固定されており、ワイヤ60の上端部は支持部材55
に設けられた端子55aに固定されると共に、給電可能
に構成されている。なお、形状記憶合金で形成されたワ
イヤ60には縮み方向の形状が記憶されており、加熱す
ると記憶した形状に縮む。
【0087】また、圧板53の裏側(フイルムFと反対
側)には、図11に示すように、吸引軸56の下側に係
止レバ−61が配置されている。係止レバ−61は、図
12に示すように、その一端が圧板53上に取り付けら
れた軸62により回動自在に支持されており、ばね63
により時計方向に付勢されている。また、係止レバ−6
1の先端61a附近には形状記憶合金で形成されたワイ
ヤ64が固定されており、ワイヤ64には縮む方向の形
状が記憶されている。
【0088】係止レバ−61の先端61aは、吸引軸5
6が図11に示すように右に移動したとき、圧板53と
吸引軸56のブロック56aとの間に形成される隙間に
押し上げられて挟み込まれる寸法に形成されている。
【0089】次に、その動作を説明する。初期状態で
は、形状記憶合金で形成されたワイヤ60へも、また、
形状記憶合金で形成されたワイヤ64にも通電されてい
ない。吸引レバ−58は、ばね58bにより軸57の回
りに時計方向に付勢されており、また、係止レバ−61
の先端61aは、支持部材55と吸引軸56のブロック
56aとの間から離脱した状態にあるから、ブロック5
6aは圧板53の裏側(フイルムFと反対側)に接して
おり、図11に示す位置にあつて、フイルムを圧板に吸
引していない状態にある。このとき、フイルムFの中央
附近は図11で点線で示すように、圧板53の表面から
浮き上がつた状態にある。
【0090】次に、形状記憶合金で形成されたワイヤ6
0に通電して加熱すると、吸引レバ−58はばね58b
の付勢力に抗して軸57の回りに反時計方向に回動し、
吸引レバ−58に結合している吸引軸56を図11で右
方向に移動させる。これにより、吸引軸56のブロック
56aに係合しているダイアフラム54の中央部分も右
方向に移動するから、圧板53とダイアフラム54との
間の密閉空間が拡大して負圧が生じ、フイルムFは圧板
53に吸着され、平面性が保持される。
【0091】吸引レバ−58に結合している吸引軸56
が図11で右方向に移動すると、吸引軸56の下に位置
している係止レバ−61の先端61aが、ばね63の時
計方向の付勢力によつて、圧板53と吸引軸56のブロ
ック56aとの間の隙間に押し上げられて挟み込まれ
る。これにより、形状記憶合金で形成されたワイヤ60
への通電が遮断されて冷却し、ワイヤ60が初期の形状
に戻つても、吸引軸56は初期位置に復帰することがな
い。
【0092】係止レバ−61を圧板53と吸引軸56の
ブロック56aとの間から離脱させ、初期状態に戻すに
は、係止レバ−61の先端61a附近に固定されている
ワイヤ64に通電加熱すると、ワイヤ64は記憶されて
いる形状が復元して、ばね63の時計方向の付勢力に抗
して係止レバ−61を図12で下方向に牽引する。
【0093】これにより、係止レバ−61は圧板53と
ブロック56aとの間から離脱し、初期位置に復帰す
る。このとき、ワイヤ64に通電する前にワイヤ60へ
通電加熱して吸引軸16を再度右方向に移動させた上で
ワイヤ64に通電加熱すると、圧板53とブロック56
aとの間が僅かに拡がるから、係止レバ−61初期位置
に復帰させ易くなる。
【0094】[形状記憶合金で形成された部材の加熱]
次に、形状記憶合金で形成されたワイヤ、コイルばね
(以下、ワイヤという)の部材の加熱について説明す
る。上記した実施の形態では、形状記憶合金で形成され
たワイヤに直接電流を流し、或いは形状記憶合金で形成
されたワイヤの周囲に配置した発熱体に電流を流して発
生するジュ−ル熱と、周囲温度との平衡状態により形状
記憶合金で形成されたワイヤの温度が決定される。従つ
て周囲温度に応じて印加する電流値を調整する必要があ
り、また、形状記憶合金を変態温度よりも高温に加熱し
過ぎると(一般的には60℃以上)、記憶が薄れたり耐
久性が劣化するため望ましくない。
【0095】図13は、所定の縮み形状を記憶させた形
状記憶合金のワイヤSMAにスプリングSによつて一定
の張力の負荷を与えたテストピ−スを説明する図であ
り、形状記憶合金のワイヤSMAが非加熱の状態ではス
プリングSによりワイヤSMAは伸長され、図13の
(a)に示す状態にある。ワイヤSMAが加熱された状
態では記憶された形状にまで縮み、スプリングSは伸長
されるので、図13の(b)に示す状態になる。また、
図13の(c)はワイヤSMAにスプリングによる負荷
が与えられていない状態を示している。
【0096】図14は、図13に示す所定の縮み形状を
記憶させた形状記憶合金のワイヤについて、周囲温度を
T1 及びT2 の条件の下で、ワイヤを加熱する電流値と
形状記憶合金に記憶された形状の復元状態の関係を説明
する図である。
【0097】即ち、周囲温度T1 の環境では、電流を流
さない非加熱状態ではスプリングの張力により形状記憶
合金のワイヤは長さaだけ引き伸ばされているが、電流
を増加するにつれスプリングの張力に抗してワイヤは縮
み、電流値I1 において記憶された形状に復元すること
を示している。
【0098】また、周囲温度T2 の環境でも同様で、電
流を流さない非加熱状態では、スプリングの張力により
ワイヤは長さaだけ引き伸ばされているが、電流を増加
するにつれスプリングの張力に抗してワイヤは縮み、電
流値I2 において記憶された形状に復元することを示し
ている。
【0099】従つて、形状記憶合金のワイヤに記憶され
た形状を復元させるには、周囲温度T1 の環境では電流
値I1 を流して加熱し、周囲温度T2 の環境では電流値
I2を流して加熱すれば良いことになる。
【0100】使用される環境により形状記憶合金の周囲
温度範囲が広く変動する場合には、予め使用される環境
に応じて周囲温度Tn を2以上設定し、それぞれの周囲
温度Tn に対して加熱する電流値In を決定しておき、
検出された周囲温度Tn に応じて加熱する電流値In を
選択決定するようにすればよい。この他、周囲温度Tn
と加熱する電流値In とを、例えば一次の関数式で予め
決定しておき、検出された周囲温度Tn から電流値In
を算出決定するようにしてもよい。
【0101】以上の説明では、形状記憶合金のワイヤの
加熱の制御において、印加する電流を調整するようにし
ているが、これに代えて印加する電圧値を調整するよう
にしても、電流値を調整する場合と全く同様に加熱制御
することができる。
【0102】図15は電流値I1 周囲温度T1 及びT2
の条件の下で、ワイヤに印加する電圧と形状記憶合金に
記憶された形状の復元状態の関係を示すもので、周囲温
度T1 の場合は印加電圧値V1 で記憶形状が復元し、周
囲温度T2 の場合は印加電圧値V2 で記憶形状が復元す
ることを示している。
【0103】以上の説明では、形状記憶合金のワイヤの
加熱の制御において、印加する電流又は電圧を調整して
いる。これに代えて、電流又は電圧が一定のパルスを印
加するようにし、パルス幅、即ちデュ−テイ比を変更し
て形状記憶合金の加熱を制御することもできる。周囲温
度Tn が高いときは通電時間の長いデュ−テイ比Dnを
選択し、周囲温度Tn が低いときは通電時間の短いデュ
−テイ比Dn を選択すればよい。この場合、周囲温度T
n とデュ−テイ比の関係を、例えば一次の関数式で予め
決定しておき、検出された周囲温度Tn からデュ−テイ
比Dn を算出決定するようにすることもできる。
【0104】[カメラのフイルム巻上げ巻戻し機構及び
カメラ制御回路]この発明のフイルム平面保持装置は、
カメラのフイルム巻上げ巻戻し機構、及びカメラの制御
動作と関連するので、フイルム巻上げ巻戻し機構とカメ
ラの制御回路について説明する。
【0105】図16は、カメラのフイルム巻上げ巻戻し
機構を説明する図である。図16において、71はモ−
タで、そのロ−タ軸には歯車72が固定されており、モ
−タ71の回転は歯車列73を経て遊星歯車機構の太陽
歯車74に伝達される。
【0106】歯車74及び76で構成される遊星歯車機
構の太陽歯車74の軸P1に回動自在に装着されたレバ
−75の先端には遊星歯車76が取り付けられ、太陽歯
車74と噛合している。太陽歯車74とレバ−75との
間にはフリクシヨン機構が設けられており、太陽歯車7
4の回転方向によりレバ−75が軸P1の回りに時計方
向に或いは反時計方向に回転し、遊星歯車76と巻戻し
歯車列79の歯車79aとが噛合し、或いは遊星歯車7
6と巻上げ歯車列81の歯車81aとが噛合する。
【0107】歯車78は増速歯車列77を経て歯車72
に接続される歯車で、モ−タ71の回転が増速されて伝
達される。歯車78にはエンコ−ダのデイスク78aが
一体に固定されており、デイスク78aが図示しないフ
ォトカプラの間で回転することによりパルス信号が出力
されるように構成されている。
【0108】モ−タ71が所定の第1方向に回転し、太
陽歯車74が図16において時計方向に回転すると、レ
バ−75が軸P1の回りに時計方向に回転し、遊星歯車
76が巻戻し歯車列79の歯車79aに噛合して図16
に示す状態となる。この状態では、モ−タ71の第1方
向の回転は、巻戻し歯車列79を経てフォ−クが一体的
に設けられている歯車80に伝達されるので、フォ−ク
がフイルムパトロ−ネのスプ−ル軸を回転してフイルム
を巻き戻すことができる。
【0109】モ−タ71が先と逆の第2方向に回転し、
太陽歯車74が図16において反時計方向に回転する
と、レバ−75が軸P1の回りに反時計方向に回転し、
遊星歯車76が巻上げ歯車列81の歯車81aに噛合す
る。この状態では、モ−タ71の第2方向の回転は、巻
上げ歯車列81を経てスプ−ル83が一体的に設けられ
ている歯車82に伝達される。スプ−ルにはフイルムの
パ−フォレ−ションに係合する爪83aが設けられてい
るので、歯車82の回転はスプ−ル83を回転し、フイ
ルムを巻上げることができる。
【0110】図17はフイルム巻上げ巻戻し機構のフイ
ルム給送経路を示す図である。86はカメラ本体(構造
体)で、画枠86a、スプ−ル室86b、パトロ−ネ室
86cが形成されている。スプ−ル室86bにはスプ−
ル83が設けられており、スプ−ル83に巻上げられた
フイルムはスプ−ル室86b内に収納される。
【0111】パトロ−ネ室86cにはフォ−ク87が設
けられており、パトロ−ネ室86c内にフイルムパトロ
−ネが装填されると、パトロ−ネのスプ−ル軸がフォ−
ク87に係合し、フォ−ク87の回転によりスプ−ル軸
が回転する。
【0112】84は従動スプロケットで、従動スプロケ
ット84にはフイルムのパ−フォレ−ションに係合する
爪84aが設けられており、フイルムの巻上げ巻戻しに
連動して従動スプロケット84が回転する。従動スプロ
ケット84の回転はスイッチS1(図18参照)をオン
/オフし、出力されるパルス信号によりフイルムの1駒
分の給送や撮影駒数など、フイルム給送状態が検出され
る。
【0113】また、85はフイルム検知ピンで、図示し
ないばねにより図17で下方向に付勢されている。フイ
ルムが装填され、フイルム検知ピン85の下に来るとピ
ン85は押し上げられて、スイッチS2(図18参照)
をオンとし、フイルム検知信号を出力する。88は圧板
である。この圧板部分は、先に図1乃至図12で説明し
た構成を備えている。
【0114】図18は、カメラの制御回路のブロック図
で、制御回路はCPU90を中心に構成される。CPU
90には図示しない電池から給電され、図示しない定電
圧回路で所定の一定電圧に制御された定電圧Vccが供給
される。CPU90のリセット端子には抵抗R1 により
定電圧Vccが接続され、例えば電池が交換されるなどし
てLレベルからHレベルに変化したときCPU90はリ
セットされる。このほか、CPU90には水晶発振器X
が接続され、CPUの動作に不可欠なクロック信号が供
給される。
【0115】CPU90の入出力ポ−トには、フイルム
給送状態を検出するスイッチS1、フイルム検知信号を
出力するスイッチS2、レリ−ズスイッチS3、フイル
ムの途中巻戻しを指示するスイッチS4、モ−タ71に
より駆動されるエンコ−ダのデイスク78aの回転を検
知してパルス信号を出力するフォトカプラ91、形状記
憶合金で構成されたワイヤ等の部材を加熱するヒ−タS
MA1 、SMA2 が接続される。
【0116】ここで、ヒ−タSMA1 、SMA2 は先に
説明したとおり、形状記憶合金で構成されたワイヤ等の
部材に直接電流を流す場合は、形状記憶合金自体がヒ−
タSMA1 、SMA2 として示してあり、別体のヒ−タ
を使用する場合は別体のヒ−タをSMA1 、SMA2 と
して示してある。
【0117】このほか、CPU90の入出力ポ−トには
形状記憶合金で構成されたワイヤ等の部材の周囲温度を
検出する温度センサTS、露出制御のためのAE回路9
2、焦点検出のためのAF回路93、フイルム給送のた
めのモ−タ71などが接続されている。
【0118】[圧板へのフイルムの吸引の制御]次に、
CPU90で実行される制御回路の制御動作のうち、撮
影の際の圧板へのフイルムの吸引に関する制御動作を説
明する。
【0119】図19に示すフロ−チヤ−トは、先に説明
した第1の実施の形態の構成の場合の制御動作を示すも
のである。以下、図19及び図1、図2、図3を参照し
つつ制御動作を説明する。
【0120】まず、カメラのシャッタ釦(レリ−ズスイ
ッチS3 )のオンを検出する(ステツプP11)。オン
の場合は温度センサTSにより周囲温度を検出し(ステ
ツプP12)、周囲温度に基づいて電流値を決定し(ス
テツプP13)、決定された電流値をヒ−タSMA(図
1のワイヤ20)に流す(ステツプP14)。
【0121】これにより、形状記憶合金で形成されたワ
イヤ20は加熱され、ワイヤ20が固定された吸引レバ
−18の上端は図1で時計方向に回動し、吸引軸16を
右に牽引する。これにより図3に示す状態となり、圧板
13とダイヤフラム14との間の密閉空間が拡大して負
圧が発生し、フイルムFが圧板13に吸着されて平面に
保持される。
【0122】AF回路による焦点制御及びAE回路によ
る露出制御を行ない露光を実行する(ステツプP1
5)。ヒ−タSMAへの電流の供給を遮断してフイルム
Fの圧板13への吸着状態を解除し(ステツプP1
6)、フイルムを1駒巻上げ(ステツプP17)、次の
撮影のために待機状態に入る(ステツプP18)。
【0123】上記フロ−チヤ−トでは、温度センサTS
による周囲温度の検出をシャッタ釦のオンの後に行つて
いるが、必ずしもこのタイミングで行う必要はなく、ま
た連続して複数駒の撮影が行われる場合は、必ずしも撮
影の都度周囲温度を検出しなくともよい。
【0124】第2の実施の形態、第3の実施の形態及び
第5の実施の形態の構成における制御動作も上記した制
御動作と同じであり、第2の実施の形態(図4、図5参
照)ではヒ−タSMAは形状記憶合金で形成されたコイ
ルばね27、第3の実施の形態(図6参照)ではヒ−タ
SMAはニクロム線のヒ−タ31、第5の実施の形態
(図9、図10参照)ではヒ−タSMAは形状記憶合金
で形成されたコイルばね41に対応する。
【0125】図20は、図19に示すフロ−チヤ−トで
ステツプP13で示した電流値の決定の詳細を示すフロ
−チヤ−トである。ここでは、温度範囲を温度T1 より
も低い領域A、温度T1 と温度T2 との間の領域B、温
度T2 よりも高い領域Cの3つの領域に分割した場合を
示している。即ち、検出された周囲温度Tと温度T1と
を比較し(ステツプP21、P22)、T<T1 の場
合、即ち検出された周囲温度Tが領域Aにある場合は電
流値IをI1 (I←I1 )に設定し(ステツプP2
5)、T>T2 の場合、即ち検出された周囲温度Tが領
域Cにある場合は電流値IをI3 (I←I3 )に設定し
(ステツプP24)、T1 ≦T≦T2 、即ち検出された
周囲温度Tが領域Bにある場合は電流値IをI2 (I←
I2 )に設定する(ステツプP23)。
【0126】なお、先に形状記憶合金で形成されたワイ
ヤ等の加熱に関して、周囲温度に応じて電流値を決定す
る代わりに周囲温度に応じて電圧値を決定してもよく、
また、電流または電圧が一定のパルスを印加する場合は
周囲温度に応じてデュ−テイ比を決定してもよいことを
説明したが、この場合は、上記した図20のフロ−チヤ
−トにおいて電流値Iを電圧値Vに、或いは電流値Iを
デュ−テイ比Dに置き換えることで全く同様に説明する
ことができる。
【0127】図21に示すフロ−チヤ−トは、先に説明
した第4の実施の形態の構成の場合の制御動作を示すも
のである。以下、図21及び図7を参照しつつ制御動作
を説明する。
【0128】まず、カメラのシャッタ釦(レリ−ズスイ
ッチS3 )のオンを検出する(ステツプP31)。オン
の場合は温度センサTSにより周囲温度を検出し(ステ
ツプP32)、周囲温度に基づいて電流値を決定し(ス
テツプP33)、決定された電流値を所定時間だけヒ−
タSMA1 (図7のワイヤ20)に流す(ステツプP3
4)。
【0129】このとき、係止レバ−36は支持部材15
と吸引軸16のブロック16bとの間の隙間に落下する
ので、ヒ−タSMA1 (図7のワイヤ20)への通電を
遮断しても、吸引軸16は初期位置に戻らない。
【0130】ヒ−タSMA1 への通電により形状記憶合
金で形成されたワイヤ20は加熱されて記憶された形状
に縮むから、ワイヤ20が固定された吸引レバ−18の
上端は図7で時計方向に回動し、吸引軸16を図7で右
に牽引するから、圧板13とダイヤフラム14との間の
密閉空間が拡大して負圧が発生し、フイルムFが圧板1
3に吸着されて平面に保持される。
【0131】AF回路による焦点制御及びAE回路によ
る露出制御を行ない露光を実行する(ステツプP3
5)。
【0132】次に、係止レバ−36及び吸引軸16を初
期位置に復帰させるため、周囲温度に基づいて電流値を
決定し(ステツプP36)、決定された電流値を所定時
間だけヒ−タSMA2 (図7のワイヤ35)に流す(ス
テツプP37)。ヒ−タSMA2 への通電により形状記
憶合金で形成されたワイヤ35は加熱されて記憶された
形状に縮むから、ワイヤ35が固定された係止レバ−3
6を引上げる。これにより、係止レバ−36は支持部材
15と吸引軸16のブロック16bとの間の隙間から離
脱し、吸引軸16は初期位置に復帰する。ヒ−タSMA
2 への通電を遮断しても吸引軸16は初期位置に復帰し
ているので、係止レバ−36は吸引軸16は初期位置に
復帰する。
【0133】このとき、ヒ−タSMA1 は電流の供給が
停止されて冷却されているから、フイルムFの圧板13
への吸着状態は解除されているので、フイルムを1駒巻
上げ(ステツプP38)、次の撮影のために待機状態に
入る(ステツプP39)。
【0134】上記フロ−チヤ−トでは、温度センサTS
による周囲温度の検出をシャッタ釦のオンの後に行つて
いるが、必ずしもこのタイミングで行う必要はなく、ま
た連続して複数駒の撮影が行われる場合は、必ずしも撮
影の都度周囲温度を検出しなくともよい。
【0135】第6の実施の形態の構成における制御動作
も上記した制御動作と同じである。即ち、第6の実施の
形態(図11、図12参照)では、ヒ−タSMA1 はワ
イヤ60に、ヒ−タSMA2 はワイヤ64に対応する。
【0136】ヒ−タSMA1 、ヒ−タSMA2 に供給す
る電流値の決定は、先に図20に示すフロ−チヤ−トで
説明した方法と変わらない。また、電流値を決定する代
わりに周囲温度に応じて電圧値を決定してもよいこと、
パルスを印加する場合は周囲温度に応じてデュ−テイ比
を決定することも、先に説明したとおりである。
【0137】また、ヒ−タSMA1 、ヒ−タSMA2 へ
通電する「所定時間」とは、形状記憶合金で形成された
ワイヤ等が所定の温度に到達するに必要な時間であり、
係止レバ−が所定の作動を完了するに十分な時間であつ
て、予め実験により決定されている時間である。
【0138】図22に示すフロ−チヤ−トは、先に説明
した第4の実施の形態の構成の場合の制御動作の他の例
を示すものである。以下、図22及び図7を参照しつつ
制御動作を説明する。
【0139】まず、カメラのシャッタ釦(レリ−ズスイ
ッチS3 )のオンを検出する(ステツプP41)。オン
の場合は温度センサTSにより周囲温度を検出し、周囲
温度に基づいて電流値を決定し(ステツプP42)、決
定された電流値を所定時間だけヒ−タSMA1 (図7の
ワイヤ20)に流す(ステツプP43)。
【0140】このとき、係止レバ−36は支持部材15
と吸引軸16のブロック16bとの間の隙間に落下する
ので、ヒ−タSMA1 への通電を遮断しても、吸引軸1
6は初期位置に戻らない。
【0141】ヒ−タSMA1 への通電により形状記憶合
金で形成されたワイヤ20は加熱されて記憶された形状
に縮むから、ワイヤ20が固定された吸引レバ−18の
上端は図7で時計方向に回動し、吸引軸16を図7で右
に牽引するから、圧板13とダイヤフラム14との間の
密閉空間が拡大して負圧が発生し、フイルムFが圧板1
3に吸着されて平面に保持される。AF回路による焦点
制御及びAE回路による露出制御を行ない露光を実行す
る(ステツプP44)。
【0142】次に、係止レバ−36及び吸引軸16を初
期位置に復帰させるのであるが、まず周囲温度に基づい
て電流値を決定し(ステツプP45)、決定された電流
値をヒ−タSMA1 (図7のワイヤ20)に流す(ステ
ツプP46)。これにより、支持部材15と吸引軸16
のブロック16bとの間の隙間が拡げられるので、係止
レバ−36を引上げ易くなる。
【0143】次に、周囲温度に基づいて電流値を決定し
(ステツプP47)、決定された電流値をヒ−タSMA
2 (図7のワイヤ35)に流す(ステツプP48)。ヒ
−タSMA2 への通電により形状記憶合金で形成された
ワイヤ35は加熱されて記憶された形状に縮み、ワイヤ
35が固定された係止レバ−36は引上げられる。これ
により、係止レバ−36は支持部材15と吸引軸16の
ブロック16bとの間の隙間から離脱し、吸引軸16は
初期位置に復帰する。ヒ−タSMA2 への通電を遮断し
ても吸引軸16は初期位置に復帰しているので、係止レ
バ−36は吸引軸16は初期位置に復帰する。
【0144】この後、ヒ−タSMA1 、SMA2 への電
流の供給を遮断する(ステツプP49)。これによりフ
イルムFの圧板13への吸着状態は解除されるので、フ
イルムを1駒巻上げ(ステツプP50)、次の撮影のた
めに待機状態に入る(ステツプP51)。
【0145】[第7の実施の形態]先に説明した第1乃
至第6の実施の形態のフイルム平面保持装置は、アパ−
チャ−部にフイルムが給送された後、形状記憶合金で形
成されたワイヤ等を加熱して吸引機構を作動させてフイ
ルムを圧板に吸引してフイルムを平面に保持するように
構成されている。
【0146】しかし、この構成ではフイルムの途中まで
撮影したままの状態で長時間放置したような場合には、
フイルムが僅かに移動して駒の位置がずれる駒ずれのお
それがある。
【0147】以下説明する実施の形態では、カメラ内部
でフイルムが給送される期間だけフイルムの圧板への吸
引を中止し、フイルムの給送が行われない期間は、カメ
ラの電源が遮断された状態においてもフイルムが圧板に
吸引されているように構成したもので、撮影途中で長時
間放置したような場合でも駒ずれの生ずるおそれがな
い。
【0148】図23及び図24は、第7の実施の形態の
フイルム平面保持装置の構成を示す図で、図23はフイ
ルムを圧板へ吸引した状態を示す断面図、図24はその
吸引解除状態を示す断面図である。
【0149】図23及び図24において、100はカメ
ラ本体を示し、カメラ本体のアパ−チャ−部APにはフ
イルムレ−ル101及び圧板レ−ル102が形成されて
いる。103は図示しないカメラの裏蓋側に設けられた
圧板で、圧板103には開孔103aが設けられてい
る。また、105は圧板103に取り付けられた支持部
材で、圧板103、及び支持部材105は、カメラの裏
蓋を閉じると、図示しないばね等の弾性部材により圧板
103が圧板レ−ル102に圧接するように構成されて
いる。Fはフイルムを示している。
【0150】支持部材105には、その下側端部に軸受
が設けられ、軸受により支持された軸107により吸引
レバ−108を揺動自在に支持している。また、支持部
材105の中央部分には吸引軸106が貫通している。
【0151】吸引軸106は、その圧板103側の端部
が軸径よりも大きい円盤状の端部106aに形成されて
おり、吸引軸106の他の端部のブロック106bには
ピン108aが設けられ、吸引レバ−108の上端附近
が結合されている。
【0152】ダイヤフラム104はゴムその他の適当な
可撓性材料で形成されており、ダイヤフラム104の周
辺は、圧板103とダイヤフラム104との間に密閉空
間が形成されるように、圧板103と支持部材105に
より密着挟持されている。また、ダイヤフラム104の
中央部分には吸引軸106が貫通し、吸引軸106が図
23で右に移動すると、圧板103とダイヤフラム10
4との間の密閉空間が拡大するように構成されている。
【0153】吸引レバ−108は、軸107の回りに揺
動自在に支持されており、図23で時計方向に付勢する
ばね108bにより付勢されている。また、吸引レバ−
108の上端附近には形状記憶合金で形成されたワイヤ
120が固定されており、ワイヤ120の端部は支持部
材105に設けられた端子105aに固定されると共
に、給電可能に構成されている。なお、形状記憶合金で
形成されたワイヤ120には縮み方向の形状が記憶され
ており、加熱すると記憶した形状に縮む。
【0154】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、フイルムFをカメラ
本体のアパ−チャ−部APに給送するときは、形状記憶
合金で形成されたワイヤ120に通電して加熱し、予め
記憶された形状に縮ませる。吸引レバ−18は、ばね1
08bの付勢に抗して図24に示す位置に移動し、吸引
軸106を図23で左に移動させる。このとき、ダイヤ
フラム104には吸引軸106による牽引力が加わらな
いから、圧板103とダイヤフラム104との間の密閉
空間の負圧が減少し、吸引解除の状態となる。フイルム
Fは圧板103に吸引されないから、圧板の表面に沿つ
て自由に給送することができる。
【0155】次に、形状記憶合金で形成されたワイヤ1
20への通電を遮断すると、ワイヤ120は冷却されて
初期の形状に復元する。吸引レバ−108はばね108
bにより時計方向に付勢されているので図23に示す位
置に移動し、吸引軸16を右に牽引する。これによりダ
イヤフラム104の中央部分も右に牽引されるので、圧
板103とダイヤフラム104との間の密閉空間が拡大
して負圧が発生するから、圧板103の前方にあるフイ
ルムFは圧板103に吸着されて吸引状態となり、アパ
−チャ−部APのフイルムFは平面に保持されると共に
移動しない。この状態では、撮影を行うことも撮影を行
なわないでおくこともできる。
【0156】フイルムを巻上げるときや巻戻すときは、
再び形状記憶合金のワイヤ120に通電し、吸引レバ−
108を図24に示す位置に移動させ、フイルムFの圧
板103への吸引を解除する。
【0157】[第8の実施の形態]第8の実施の形態
は、第7の実施の形態の構成において、形状記憶合金で
形成されたワイヤ120へ通電加熱してフイルムの圧板
への吸引状態を解除した後は、ワイヤ120への通電を
遮断しても吸引解除状態を保持できるように構成したも
のである。
【0158】図25及び図26は、この発明の第8の実
施の形態のフイルム平面保持装置の構成を示す図で、図
25の(a)はフイルムを圧板へ吸引した状態を示す断
面図、図25の(b)はその係止部分の構成と動作を説
明する図、図26の(a)はその吸引解除状態を示す断
面図、図26の(b)はその係止部分の構成と動作を説
明する図である。図23及び図24に示す第7の実施の
形態のものと類似した構成であるから、同一部材には同
一符号を付して説明を省き、相違点を説明する。
【0159】図25の(a)に示すように、支持部材1
05には吸引軸106が貫通しているが、その貫通して
いる吸引軸106の上側に係止レバ−130が配置され
ている。
【0160】吸引軸106は、その圧板103側の端部
が軸径よりも大きい円盤状の端部106aに形成されて
ダイヤフラム104を係止しており、端部106aより
内側は支持部材105を貫通する部分の軸径よりも太径
106cに構成されている。また、吸引軸106の他の
端部のブロック106bにはピン108aが設けられ、
吸引レバ−108の上端附近が結合されている。
【0161】ダイヤフラム104はゴムその他の適当な
可撓性材料で形成されており、ダイヤフラム104の周
辺は、圧板103とダイヤフラム104との間に密閉空
間が形成されるように、圧板103と支持部材105に
より密着挟持されている。また、ダイヤフラム104の
中央部分には吸引軸106が貫通し、吸引軸106が図
23で右に移動すると、圧板103とダイヤフラム10
4との間の密閉空間が拡大するように構成されている。
【0162】吸引レバ−108は、軸107の回りに揺
動自在に支持されており、図25で時計方向に付勢する
ばね108bにより付勢されている。また、吸引レバ−
108の上端附近には形状記憶合金で形成されたワイヤ
120が固定されており、ワイヤ120の端部は支持部
材105に設けられた端子105aに固定されると共
に、給電可能に構成されている。なお、形状記憶合金で
形成されたワイヤ120には縮み方向の形状が記憶され
ており、加熱すると記憶した形状に縮む。
【0163】係止レバ−130は、図25の(b)に示
すように、その一端が軸131により回動自在に支持さ
れており、ばね132により矢印a方向に付勢されてい
る。また、係止レバ−130の先端130a附近には形
状記憶合金で形成されたワイヤ135が固定されてお
り、ワイヤ135には縮む方向の形状が記憶されてい
る。係止レバ−130の先端130aは、吸引軸106
が図25の(a)で左に移動したとき、支持部材105
と吸引軸106の太径部106cとの間の隙間に落下で
きる寸法に形成されている。
【0164】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、フイルムFをカメラ
本体のアパ−チャ−部APに給送するときは、形状記憶
合金で形成されたワイヤ120に通電して加熱し、予め
記憶された形状に縮ませると、吸引レバ−108は、ば
ね108bの付勢に抗して図26の(a)に示す位置に
移動する。ダイヤフラム104には吸引軸106による
牽引力が加わらないから、圧板103とダイヤフラム1
04との間の密閉空間の負圧が減少し、吸引解除の状態
となる。フイルムFは圧板103に吸引されないから、
圧板の表面に沿つて自由に給送することができる。
【0165】このとき、係止レバ−130の先端130
aは、図26の(a)に示すように、支持部材105と
吸引軸106の太径部106cとの間の隙間に落下し、
吸引軸106が吸引状態の位置に復帰することを妨げ
る。
【0166】次に、吸引状態に復帰させるときは、係止
レバ−130の先端130a附近に固定された形状記憶
合金で形成されたワイヤ135に通電して加熱する。ワ
イヤ135は記憶されている形状に縮み、係止レバ−1
30を図25の(b)に示す位置に引き上げ、形状記憶
合金で形成されたワイヤ120への通電を遮断すると、
ワイヤ120は冷却されたときの形状に復元するととも
に、吸引レバ−108はばね108bにより時計方向に
付勢されているので図25の(a)に示す位置に移動
し、吸引軸16を右に牽引する。これによりダイヤフラ
ム104の中央部分も右に牽引されるので、圧板103
とダイヤフラム104との間の密閉空間が拡大して負圧
が発生するから、圧板103の前方にあるフイルムFは
圧板103に吸着されて吸引状態となり、アパ−チャ−
部APのフイルムFは平面に保持されると共に移動しな
い。この状態では、撮影を行うことも撮影を行なわない
でおくこともできる。
【0167】フイルムを巻上げるときや巻戻すときは、
再び形状記憶合金のワイヤ120に通電し、吸引レバ−
108を図26の(a)に示す位置に移動させ、フイル
ムFの圧板103への吸引を解除する。
【0168】[第9の実施の形態]第9の実施の形態
も、フイルムの圧板への吸引状態を解除した後は、形状
記憶合金のワイヤへの通電を遮断しても、吸引解除状態
を保持できる機構を備え、これ等の駆動源を密閉室内に
配置したものである。
【0169】図27及び図28は、第9の実施の形態の
フイルム平面保持装置の構成を示す図で、図27はフイ
ルムの圧板への吸引状態を示す断面図、図28は背面
(図27の右側)から見た内側要部の正面図である。
【0170】100はカメラ本体を示し、カメラ本体の
アパ−チャ−部APにはフイルムレ−ル101及び圧板
レ−ル102が形成されている。103は図示しないカ
メラの裏蓋側に設けられた圧板で、圧板103には開孔
103aが設けられている。また、140は圧板103
に取り付けられた支持部材で、圧板103、及び支持部
材140は、カメラの裏蓋を閉じると、図示しないばね
等の弾性部材により圧板103が圧板レ−ル102に圧
接するように構成されている。Fはフイルムを示してい
る。
【0171】図27に示すように、支持部材140には
吸引軸141が貫通しているが、その貫通している吸引
軸141の下側に係止レバ−144が配置されている。
【0172】吸引レバ−142は、圧板103に設けら
れた軸143の回りに揺動自在に支持されており、図2
7で反時計方向に付勢するばね142bにより付勢され
ている。また、吸引レバ−142の下端附近には形状記
憶合金で形成されたワイヤ145が固定されており、ワ
イヤ145の端部は圧板103に設けられた端子103
aに固定されると共に、給電可能に構成されている。な
お、形状記憶合金で形成されたワイヤ145には縮み方
向の形状が記憶されており、加熱すると記憶した形状に
縮む。
【0173】係止レバ−144は、図28に示すよう
に、その一端が軸146により回動自在に支持されてお
り、ばね146aにより矢印a方向に付勢されている。
また、係止レバ−144には形状記憶合金で形成された
ワイヤ147が固定されており、ワイヤ147には縮む
方向の形状が記憶されている。係止レバ−144の先端
144aは、吸引軸141が図27で左に移動したと
き、吸引軸141のブロック141aに形成された係合
溝141bに係合し、吸引軸141の軸方向移動を係止
するように構成されている。
【0174】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、フイルムFをカメラ
本体のアパ−チャ−部APに給送するときは、形状記憶
合金で形成されたワイヤ145に通電して加熱し、予め
記憶された形状に縮ませると、吸引レバ−142は、ば
ね142bの付勢に抗して図27で左に移動し、吸引軸
141も図27で左に移動する。このとき、ダイヤフラ
ム104には吸引軸141による牽引力が加わらないか
ら、圧板103とダイヤフラム104との間の密閉空間
の負圧が減少して吸引解除状態となる。フイルムFは圧
板103に吸引されないので、フイルムFを圧板の表面
に沿つて自由に給送することができる。
【0175】このとき、係止レバ−144の先端144
aは吸引軸141のブロック141aに形成された係合
溝141bに係合し、吸引軸141の軸方向移動を係止
するから、形状記憶合金で形成されたワイヤ145への
通電を遮断しても、吸引解除状態が維持される。
【0176】次に、吸引状態に復帰させるときは、係止
レバ−144に固定された形状記憶合金で形成されたワ
イヤ147に通電して加熱し、ワイヤ147を予め記憶
された形状に縮ませて係止レバ−144を図27、図2
8で下方に引き下げると、係止レバ−144の先端14
4aと吸引軸141のブロック141aの係合溝141
bとの係合が外れるから、吸引軸141はばね142b
により反時計方向に付勢されている吸引レバ−142に
より図27で右方向に移動し、ダイヤフラム104の中
央部分も右方向に移動する。
【0177】これにより圧板103とダイヤフラム10
4との間の密閉空間が拡大して負圧が発生するから、圧
板103の前方にあるフイルムFは圧板103に吸着さ
れて吸引状態となり、アパ−チャ−部APのフイルムF
は平面に保持されると共に移動しない。この状態では、
撮影を行うことも撮影を行なわないでおくこともでき
る。
【0178】フイルムを巻上げるときや巻戻すときは、
再び形状記憶合金のワイヤ145に通電し、吸引レバ−
142を図27に示す位置に移動させ、フイルムFの圧
板103への吸引を解除する。
【0179】[圧板へのフイルムの吸引及び吸引解除の
制御]第7の実施の形態乃至第9の実施の形態で説明し
た、カメラ内部でフイルムが給送される期間だけフイル
ムの圧板への吸引を中止し、フイルムが給送されない期
間はカメラの電源が遮断された状態においてもフイルム
が圧板に吸引されている構成について、制御回路の制御
動作を説明する。
【0180】制御回路の構成は、図18で示した構成と
変わらないので説明を省略し、制御動作について説明す
る。
【0181】図29に示すフロ−チヤ−トは、先に説明
した第7の実施の形態の構成の場合の制御動作のうち、
カメラにフイルムを装填した時の初期処理を示す。以
下、図29及び図23、図24を参照しつつ初期処理の
制御動作を説明する。
【0182】まず、カメラにフイルムが装填され、裏蓋
が閉じられたことを検出し(ステップP61)、裏蓋が
閉じられたときは、温度センサTSにより周囲温度を検
出し(ステツプP62)、周囲温度に基づいて電流値を
決定し(ステツプP63)、決定された電流値をヒ−タ
SMA(図23のワイヤ120)に流す(ステツプP6
4)。これは、フイルムを圧板に吸引する準備処理であ
り、圧板103とダイヤフラム104との間の密閉空間
の容積を減少する処理である。即ち、形状記憶合金で形
成されたワイヤ120が通電加熱されると、ワイヤ12
0が固定された吸引レバ−118の上端は図23で時計
方向に回動し、吸引軸16は図23で左に移動し、圧板
103とダイヤフラム104との間の密閉空間の容積が
減少して吸引解除状態となる。これにより、以降、フイ
ルムの給送動作を実行することができる。
【0183】カメラにフイルムを装填した時のイニシヤ
ル処理を開始し、イニシヤル処理の終了を待つ(ステツ
プP65、P66)。この間にはフイルムの第1駒を撮
影位置まで給送する動作が含まれるが、この時点では吸
引軸16は図23で左に移動して吸引動作は行われてい
ないので、フイルムの給送動作を容易に行うことができ
る。イニシヤル処理が終了したときはヒ−タSMAの加
熱を停止し、待機状態に入る(ステツプP67、P6
8)。このとき、ヒ−タSMAの加熱が停止され、吸引
軸16及びダイヤフラム104の中央部分は図23で右
に移動するから、吸引状態となり、フイルムは圧板に吸
引される。
【0184】図30に示すフロ−チヤ−トは、先に説明
した第7の実施の形態の構成の場合の制御動作のうち、
撮影後のフイルムの給送時、及び巻戻し時の処理を示
す。以下、図30及び図23、図24を参照しつつ制御
動作を説明する。
【0185】この時点では先に説明したイニシヤル処理
が終了し、フイルムの未撮影の駒が撮影位置に給送さ
れ、圧板に吸引されているものとする。シャッタ釦(レ
リ−ズスイツチS3 )のオンを検出し(ステツプP7
1)、オンの場合はAF回路による焦点制御及びAE回
路による露出制御を行ない露光を実行する(ステツプP
72)。
【0186】温度センサTSにより周囲温度を検出し
(ステツプP73)、周囲温度に基づいて電流値を決定
し(ステツプP74)、決定された電流値をヒ−タSM
A(図23のワイヤ120)に流す(ステツプP7
5)。これにより、吸引軸16は図23で左に移動し、
圧板103とダイヤフラム104との間の密閉空間の容
積が減少し、フイルムの圧板への吸引状態が解除され
る。
【0187】フイルムを1駒巻上げ(ステツプP7
6)、ヒ−タSMAへの電流を遮断し(ステツプP7
7)、次の撮影のため待機状態に入る(ステツプP7
8)。ヒ−タSMAへの電流を遮断するから、吸引軸1
6は図23で右に移動し、圧板103とダイヤフラム1
04との間の密閉空間の容積が増大して、再びフイルム
は圧板へ吸引された状態となる。
【0188】図31及び図32に示すフロ−チヤ−ト
は、先に説明した第8の実施の形態の構成の場合の制御
動作を示す。以下、図31及び図32、図25及び図2
6を参照しつつ制御動作を説明する。
【0189】まず、カメラにフイルムが装填され、裏蓋
が閉じられたことを検出し(ステップP81)、裏蓋が
閉じられたときは、カメラにフイルムを装填した時のイ
ニシヤル処理を開始し、イニシヤル処理の終了を待つ
(ステツプP82、P83)。この間にはフイルムの第
1駒を撮影位置まで給送する動作が含まれるが、この時
点ではフイルムの吸引動作は行われていないので、フイ
ルムの給送動作を容易に行うことができる。
【0190】温度センサTSにより周囲温度を検出し、
周囲温度に基づいて電流値を決定し(ステツプP8
4)、決定された電流値を所定時間ヒ−タSMA2 (図
25のワイヤ135)に流し(ステツプP64)、待機
状態に入る(ステツプP85)。これは、係止レバ−1
30の係止を外してフイルムの吸引動作を行う処理であ
り、図25に示す吸引状態になる。
【0191】フイルムの途中巻戻しか否か(巻戻しスイ
ッチのオン)を判定し(ステツプP87)、途中巻戻し
でない場合は、シャッタ釦(レリ−ズスイッチS3 )の
オンを待ち(ステツプP88)、AF回路による焦点制
御及びAE回路による露出制御を行ない露光を実行する
(ステツプP89)。
【0192】温度センサTSにより周囲温度を検出して
周囲温度に基づいて電流値を決定し(ステツプP9
0)、決定された電流値をヒ−タSMA1 (図25のワ
イヤ120)に流す(ステツプP91)。これにより、
吸引軸16は図25で左に移動し、フイルムの圧板への
吸引状態が解除されるから、フイルムを1駒巻上げる
(ステツプP92)。
【0193】最終駒の撮影終了か否かを判定し(ステツ
プP93)、最終駒の撮影終了の場合はフイルムを巻戻
し、待機状態に入る(ステツプP110、P111)。
最終駒の撮影終了でない場合は、周囲温度に基づいて決
定された電流値の電流を所定時間ヒ−タSMA2 (図2
5のワイヤ135)に流し、待機状態に入る(ステツプ
P94、P95)。
【0194】フイルムの途中巻戻しか否かを判定し(ス
テツプP96)、途中巻戻しでない場合は、ステツプP
88以降の処理に移る。途中巻戻しの場合は周囲温度に
基づいて電流値を決定し(ステツプP97)、決定され
た電流値をヒ−タSMA1 (図25のワイヤ120)に
流す(ステツプP98)。これにより、吸引軸16は図
25で左に移動し、フイルムの圧板への吸引状態が解除
されるから、フイルムの巻戻しが可能となるから、フイ
ルムを巻戻し、待機状態に入る(ステツプP99、P1
00)。ステツプP87の判定でフイルムの途中巻戻し
の場合も、ステツプP97以降の処理に移る。
【0195】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明はフイル
ムを支える圧板の背後にダイアフラムを配置し、ダイア
フラムを牽引して負圧を発生させてフイルムを圧板に吸
着させて平面に保持するカメラ等に使用されるフイルム
平面保持装置であり、ダイアフラムを牽引する駆動源に
形状記憶合金を使用するものであるから、形状記憶合金
に供給する電流を制御することで、フイルムを圧板に吸
着させたり、吸着状態を解除できるものであるから、少
ない部品で小型軽量に構成することができ、しかも吸着
及び吸着の解除を容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のフイルム平面保持装置の構
成の初期状態を示す断面図。
【図2】図1に示す構成の背面からみた正面図。
【図3】図1に示す構成の吸引動作状態を示す断面図。
【図4】第2の実施の形態のフイルム平面保持装置の構
成の初期状態を示す断面図。
【図5】図4に示す構成の吸引動作状態を示す断面図。
【図6】第3の実施の形態のフイルム平面保持装置の構
成の初期状態を示す断面図。
【図7】第4の実施の形態のフイルム平面保持装置の構
成の初期状態を示す断面図。
【図8】図7に示す構成の吸引動作状態を示す断面図。
【図9】第5の実施の形態のフイルム平面保持装置の構
成の初期状態を示す断面図。
【図10】図9に示す構成の吸引動作状態を示す断面
図。
【図11】第6の実施の形態のフイルム平面保持装置の
構成の初期状態を示す断面図。
【図12】図11に示す構成の背面からみた内側要部の
正面図。
【図13】形状記憶合金に張力負荷を与えたテストピ−
スを説明する図。
【図14】形状記憶合金に印加する電流と記憶形状の復
元状態を説明する図。
【図15】形状記憶合金に印加する電圧と記憶形状の復
元状態を説明する図。
【図16】カメラのフイルム巻上げ巻戻し機構を説明す
る図。
【図17】カメラのフイルム巻上げ巻戻し機構のフイル
ム給送経路を説明する図。
【図18】カメラの制御回路のブロック図。
【図19】第1の実施の形態の制御動作を説明するフロ
−チヤ−ト。
【図20】形状記憶合金に印加する電流値の決定処理を
説明するフロ−チヤ−ト。
【図21】第4の実施の形態の制御動作を説明するフロ
−チヤ−ト。
【図22】第4の実施の形態の制御動作の他の例を説明
するフロ−チヤ−ト。
【図23】第7の実施の形態のフイルム平面保持装置の
構成の吸引状態(初期状態)を示す断面図。
【図24】図23に示す構成の吸引解除状態を示す断面
図。
【図25】第8の実施の形態のフイルム平面保持装置の
構成の吸引状態(初期状態)を示す断面図。
【図26】図25に示す構成の吸引解除状態を示す断面
図。
【図27】第9の実施の形態のフイルム平面保持装置の
構成の吸引状態(初期状態)を示す断面図。
【図28】図27に示す構成の背面からみた内側要部の
正面図。
【図29】第7の実施の形態の制御動作のうち初期処理
を説明するフロ−チヤ−ト。
【図30】第7の実施の形態の制御動作のうちフイルム
給送処理を説明するフロ−チヤ−ト。
【図31】第8の実施の形態の制御動作を説明するフロ
−チヤ−ト。
【図32】第8の実施の形態の制御動作を説明するフロ
−チヤ−ト(続き)。
【図33】従来のカメラの光軸を含む断面図。
【図34】図33に示す従来のカメラの圧板附近の構成
を示す断面図。
【符号の説明】
11、51、101 フイルムレ−ル 12、52、102 圧板レ−ル 13、53、103 圧板 14、54、104 ダイアフラム 15、55、105 支持部材 16、26、46、56、106、141 吸引軸 18、58、108、142 吸引レバ− 20、35、60、64 形状記憶合金で形成されたワ
イヤ 120、135、145、147 形状記憶合金で形成
されたワイヤ 27、41 形状記憶合金で形成されたコイルばね 28 板ばね 31 発熱体 36、61、130、144 係止レバ− 42 コイルばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小坂 明 大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内 (72)発明者 谷井 純一 大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1以上の貫通孔を設けたフイルム圧板の
    背後に、前記貫通孔を囲むように容積が可変の密閉空間
    を形成し、この密閉空間の容積を拡大することで負圧を
    発生させ、前記圧板の表面に位置するフイルムを圧板に
    吸着させるフイルム平面保持装置において、 前記密閉空間の一部を形成するダイアフラムと、 前記密閉空間の容積を変更するようにダイアフラムを変
    位させる形状記憶合金で構成された第1の駆動部材を含
    むダイアフラム駆動機構と、 形状記憶合金への通電により形状記憶合金の加熱を制御
    する制御手段とを備えることを特徴とするフイルム平面
    保持装置。
  2. 【請求項2】 前記ダイアフラム駆動機構は、前記圧板
    の背後に形成された密閉室内に配置されていることを特
    徴とする請求項1に記載のフイルム平面保持装置。
  3. 【請求項3】 前記ダイアフラム駆動機構は、形状記憶
    合金で構成された第1の駆動部材に通電して加熱すると
    き前記密閉空間の容積が増大する方向に前記ダイアフラ
    ムを変位させるダイアフラム駆動機構であることを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載のフイルム平面保持
    装置。
  4. 【請求項4】 前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前
    記第1の駆動部材への通電加熱により密閉空間の容積が
    増大する方向にダイアフラムを変位させたとき、該第1
    の駆動部材をその位置に保持する係止機構を備えること
    を特徴とする請求項3に記載のフイルム平面保持装置。
  5. 【請求項5】 前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前
    記係止機構による前記第1の駆動部材の係止を解除する
    形状記憶合金で構成された第2の駆動部材を含む係止解
    除機構を備えることを特徴とする請求項4に記載のフイ
    ルム平面保持装置。
  6. 【請求項6】 前記ダイアフラム駆動機構は、前記係止
    解除機構を作動させるときは、前記ダイアフラム駆動機
    構の形状記憶合金で構成された前記第1の駆動部材への
    通電加熱の後、前記係止解除機構の形状記憶合金で構成
    された前記第2の駆動部材への通電加熱を行うように前
    記制御手段により制御されることを特徴とする請求項5
    に記載のフイルム平面保持装置。
  7. 【請求項7】 前記ダイアフラム駆動機構は、形状記憶
    合金で構成された前記第1の駆動部材に通電して加熱す
    るとき前記密閉空間の容積が減少する方向に前記ダイア
    フラムを変位させる駆動機構であることを特徴とする請
    求項1又は請求項2に記載のフイルム平面保持装置。
  8. 【請求項8】 前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前
    記第1の駆動部材により密閉空間の容積が減少する方向
    にダイアフラムを変位させたとき、該駆動部材をその位
    置に保持する係止機構を備えることを特徴とする請求項
    7に記載のフイルム平面保持装置。
  9. 【請求項9】 前記ダイアフラム駆動機構は、更に、前
    記係止機構によるダイアフラム駆動部材の係止を解除す
    る形状記憶合金で構成された第2の駆動部材を含む係止
    解除機構を備えることを特徴とする請求項8に記載のフ
    イルム平面保持装置。
  10. 【請求項10】 前記ダイアフラム駆動機構は、前記係
    止解除機構を作動させるときは、前記ダイアフラム駆動
    機構の形状記憶合金で構成された部材への通電加熱の
    後、前記係止解除機構の形状記憶合金で構成された部材
    への通電加熱を行うように前記制御手段により制御され
    ることを特徴とする請求項9に記載のフイルム平面保持
    装置。
  11. 【請求項11】 少なくともフイルムを撮影位置に給送
    するフイルム給送機構と、撮影位置に給送されたフイル
    ムに露光するシャッタ機構を備えたカメラのフイルム平
    面保持装置において、 前記撮影位置に配置された1以上の貫通孔を設けたフイ
    ルム圧板と、 前記フイルム圧板の貫通孔を囲むように形成された容積
    が可変の密閉空間の一部を形成するダイアフラムと、 前記密閉空間の容積を変更するようにダイアフラムを変
    位させる形状記憶合金で構成された第1の駆動部材を含
    むダイアフラム駆動機構と、 制御手段とを備え、 前記制御手段は、前記ダイアフラム駆動機構の形状記憶
    合金で構成された第1の駆動部材に通電加熱して前記ダ
    イアフラムを変位させ、前記密閉空間の容積を変更して
    フイルム圧板へのフイルムの吸着状態を制御することを
    特徴とするカメラのフイルム平面保持装置。
  12. 【請求項12】 前記ダイアフラム駆動機構は、前記圧
    板の背後に形成された密閉室内に配置されていることを
    特徴とする請求項11に記載のカメラのフイルム平面保
    持装置。
  13. 【請求項13】 前記ダイアフラム駆動機構は、形状記
    憶合金で構成された第1の駆動部材に通電して加熱する
    とき前記密閉空間の容積が増大する方向に前記ダイアフ
    ラムを変位させるダイアフラム駆動機構であることを特
    徴とする請求項11又は請求項12に記載のカメラのフ
    イルム平面保持装置。
  14. 【請求項14】 前記ダイアフラム駆動機構は、更に、
    前記第1の駆動部材により密閉空間の容積が拡大する方
    向にダイアフラムを変位させたとき、該第1の駆動部材
    をその位置に保持する係止機構を備えることを特徴とす
    る請求項11に記載のカメラのフイルム平面保持装置。
  15. 【請求項15】 前記ダイアフラム駆動機構は、更に、
    前記係止機構による第1の駆動部材の係止を解除する形
    状記憶合金で構成された第2の駆動部材を含む係止解除
    機構を備えることを特徴とする請求項14に記載のカメ
    ラのフイルム平面保持装置。
  16. 【請求項16】 前記係止解除機構は、その作動の際は
    前記第1の駆動部材への通電加熱の後、前記係止解除機
    構の形状記憶合金で構成された前記第2の駆動部材への
    通電加熱を行うように前記制御手段により制御されるこ
    とを特徴とする請求項15に記載のカメラのフイルム平
    面保持装置。
  17. 【請求項17】 前記制御手段は、少なくとも前記シャ
    ッタ機構に設定されたシャッタ速度が所定の速度以下の
    場合に、前記係止機構によるダイアフラム駆動部材の係
    止を許可するように制御することを特徴とする請求項1
    4に記載のカメラのフイルム平面保持装置。
  18. 【請求項18】 前記制御手段は、前記フイルム給送機
    構にフイルムの給送が指令されたときは、フイルムの給
    送開始に先立つて前記密閉空間の容積が減少する方向に
    ダイアフラムを変位させるように前記形状記憶合金で構
    成された第1の駆動部材への通電加熱を行う制御を行う
    ことを特徴とする請求項11に記載のカメラのフイルム
    平面保持装置。
  19. 【請求項19】 前記制御手段は、露光用シャッタの開
    動作に先立つて、前記密閉空間の容積が拡大する方向に
    ダイアフラムを変位させるように前記形状記憶合金で構
    成された第1の駆動部材に通電加熱する制御を行うこと
    を特徴とする請求項11に記載のカメラのフイルム平面
    保持装置。
  20. 【請求項20】 前記制御手段は、露光動作の終了を示
    す信号の出力からフイルムの巻上げ開始までの期間内
    に、前記形状記憶合金で構成された第1の駆動部材への
    通電を遮断するように制御することを特徴とする請求項
    11に記載のカメラのフイルム平面保持装置。
  21. 【請求項21】 前記制御手段は、カメラ内部における
    フイルムの給送の終了が検出されたときは、前記駆動部
    材の形状記憶合金への通電を遮断することを特徴とする
    請求項11に記載のカメラのフイルム平面保持装置。
  22. 【請求項22】 前記ダイアフラム駆動機構は、形状記
    憶合金で構成された第1の駆動部材に通電して加熱する
    とき前記密閉空間の容積が減少する方向に前記ダイアフ
    ラムを変位させるダイアフラム駆動機構であることを特
    徴とする請求項11又は請求項12に記載のカメラのフ
    イルム平面保持装置。
  23. 【請求項23】 前記ダイアフラム駆動機構は、更に、
    前記第1の駆動部材により密閉空間の容積が減少する方
    向にダイアフラムを変位させたとき、該第1の駆動部材
    をその位置に保持する係止機構を備えることを特徴とす
    る請求項22に記載のカメラのフイルム平面保持装置。
  24. 【請求項24】 前記ダイアフラム駆動機構は、更に、
    前記係止機構による第1の駆動部材の係止を解除する形
    状記憶合金で構成された第2の駆動部材を含む係止解除
    機構を備えることを特徴とする請求項23に記載のカメ
    ラのフイルム平面保持装置。
  25. 【請求項25】 前記係止解除機構は、その作動の際は
    前記第1の駆動部材への通電加熱の後、前記係止解除機
    構の形状記憶合金で構成された前記第2の駆動部材への
    通電加熱を行うように前記制御手段により制御されるこ
    とを特徴とする請求項24に記載のカメラのフイルム平
    面保持装置。
JP8056298A 1998-03-13 1998-03-13 フイルム平面保持装置 Pending JPH11258686A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8056298A JPH11258686A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 フイルム平面保持装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8056298A JPH11258686A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 フイルム平面保持装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11258686A true JPH11258686A (ja) 1999-09-24

Family

ID=13721789

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8056298A Pending JPH11258686A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 フイルム平面保持装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11258686A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010004993A1 (ja) * 2008-07-11 2010-01-14 セイコーインスツル株式会社 駆動モジュールおよびその組立方法、電子機器

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010004993A1 (ja) * 2008-07-11 2010-01-14 セイコーインスツル株式会社 駆動モジュールおよびその組立方法、電子機器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH11324896A (ja) 形状記憶合金を使用した駆動機構
JPH06230457A (ja) カメラ
US7806605B2 (en) Light amount adjustment apparatus and image pickup apparatus
WO2015071988A1 (ja) シャッタ装置およびシャッタ装置を備えた撮像装置
JPS6244250B2 (ja)
JPH11258686A (ja) フイルム平面保持装置
JP6862222B2 (ja) アダプタおよびカメラシステム
JPS6249789B2 (ja)
US5349414A (en) Aperture-priority lens shutter apparatus for a camera
JP2011157821A (ja) 駆動装置及び画像投影装置
JPH03267927A (ja) カメラ用チャージ装置
JPH06138515A (ja) モータ駆動シャッタ
JP3526530B2 (ja) カメラの加熱保温装置
JPH11174512A (ja) 像振れ補正装置、像振れ補正機能付きレンズ装置、及び、像振れ補正機能付きカメラ
JPH08179396A (ja) カメラの露光制御装置
JPH0731342B2 (ja) カメラの露出制御装置
JPS6037546Y2 (ja) カメラ用絞り装置
JP2855808B2 (ja) カメラのフィルム巻上げ装置
JPH073389Y2 (ja) レンズシャッタ
JP2586946Y2 (ja) カメラ用絞り装置
JP2805152B2 (ja) カメラ
JP2007086157A (ja) シャッタ制御装置
JP2009175448A (ja) シャッタ装置及びその制御方法、撮像装置
JP2001125165A (ja) カメラ用シャッタ
JPH04199137A (ja) 電子シヤツタ