JPH11256321A - ZnO系焼結体 - Google Patents

ZnO系焼結体

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JPH11256321A
JPH11256321A JP10062778A JP6277898A JPH11256321A JP H11256321 A JPH11256321 A JP H11256321A JP 10062778 A JP10062778 A JP 10062778A JP 6277898 A JP6277898 A JP 6277898A JP H11256321 A JPH11256321 A JP H11256321A
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zno
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Shoji Takanashi
昌二 高梨
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透過率が高くて抵抗値が低く、DCスパッタ
リング中の異常放電の発生が長期にわたって少なく、特
性の優れた膜を効率よく成膜することが可能であり、か
つ、生産性に優れていて安価なスパッタリングターゲッ
ト用ZnO系焼結体を提供する。 【課題を解決するための手段】Inを3〜6原子%、そ
して、Al、B、Ga、Ge、Si、SnおよびTiか
らなる群より選ばれた1種以上の第3元素を0.3〜3
原子%含有し、実質的に亜鉛とインジウムと前記第3元
素の複合酸化物からなる。このZnO系焼結体は、焼結
密度が4.8g/cm3 以上であり、かつ、前記複合酸
化物の結晶平均粒径が4〜15μmであることが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリング法
によって透明導電性膜を形成する際に用いられるスパッ
タリング用ターゲットに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイや太陽電池の電極材と
して用いられる透明導電性膜には、比抵抗値の低いIn
23−SnO2(ITO)膜や ZnO−Al23(AZ
O)膜が使われるようになってきている。これらの膜
は、スパッタリング用ターゲットを原料としたスパッタ
リング法によって形成され、加熱した基板上に成膜する
ことにより、2×10-4Ω・cm程度の比抵抗値を達成
させることができる。
【0003】しかし、液晶ディスプレイや太陽電池の低
コスト化傾向にある現在では、ITOは、その主成分で
あるIn23が高価であるため、コスト面で問題があ
り、一方、AZOは、その原料粉末が安価であるのでコ
スト面では問題ないが、低抵抗な膜を得るための最適な
成膜条件の範囲が狭いため、安定して良好な膜特性が得
られないなどの問題を抱えている。また、最近の傾向と
して、基板温度が低めに設定されるために低温域で低抵
抗を得ることも重要な問題である。
【0004】これらの問題を解決するために、コスト
面、生産性に問題なく低抵抗かつ高透過率を有するZn
O−B23(BZO)膜が、ITOやAZOに代わっ
て、注目されつつある。BZO膜を得るために用いられ
るターゲット材には、結晶平均粒径を2μm以下とする
ために850〜1100℃にてホットプレスを行うBZ
O焼結体が特開平6−2130号公報に開示されてい
る。
【0005】しかし、このようにして得られたBZO焼
結体をターゲットとして用いてDCスパッタリング成膜
を行うと、基板温度を室温にして得た膜は、透過率(5
50nm)が80%と高いが、膜比抵抗は1×10-3Ω
・cm程度に達することができない。特に液晶ディスプ
レイや結晶系太陽電池の透明電極に用いる際には、抵抗
値をさらに低くする必要がある。また、BZO膜のター
ゲットはスパッタリング時に異常放電が多発する。異常
放電が頻繁に起こると、プラズマ放電状態が不安定とな
って、安定した成膜が行われない。このため、膜特性が
悪化するという問題が生じている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点を解決し、透過率が高くて抵抗値が低く、
DCスパッタリング中の異常放電の発生が長期にわたっ
て少なく、特性の優れた膜を効率よく成膜することが可
能であり、かつ、生産性に優れていて安価なスパッタリ
ングターゲット用ZnO系焼結体を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明のZnO系焼結
体は、Inを3〜6原子%、そして、Al、B、Ga、
Ge、Si、SnおよびTiからなる群より選ばれた1
種以上の第3元素を0.3〜3原子%含有し、実質的に
亜鉛とインジウムと前記第3元素の複合酸化物からな
る。このZnO系焼結体は、焼結密度が4.8g/cm
3 以上であり、かつ、前記複合酸化物の結晶平均粒径が
4〜15μmであることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のZnO系焼結体は、従来
公知の製法によって作製したBZO焼結体を用いて異常
放電発生原因について本発明者が検討を行った結果、得
たものである。すなわち、特開平6−2130号公報に
よれば、850〜1100℃の焼結温度でホットプレス
することより、容易にBZO焼結体を得ることができ
る。しかし、得られたBZO焼結体をターゲット材とし
て用いてDCスパッタリングにて成膜を行うと、異常放
電が多発し、長期的に安定な成膜ができないことがわか
った。
【0009】さらに、本発明者は、ZnO焼結体につい
て解析を行い、その結果、異常放電を抑制するには以下
のことが有効であることが分かった。
【0010】(1)焼結密度が4.8g/cm3 以上で
あって、亜鉛とインジウムと他の第3元素の複合酸化物
の結晶平均粒径が4〜15μmであること。
【0011】(2)硼素が存在するときは、その偏析径
が10μm以下であること。
【0012】(3)焼結体内部に存在する空孔の最大径
が5μm以下であること。
【0013】これらを達成することによって、異常放電
の発生が長期にわたって少ない焼結体を得ることでき
る。しかし、このような焼結体を作製するためには、以
下のことを留意して製造しなければならない。
【0014】なお、本発明において、結晶平均粒径、平
均一次粒子径および空孔径は、焼結体破断面を鏡面研磨
した後、熱腐食によって粒界を析出させ、SEM観察に
て測定する。また、抵抗値は、焼結体破断面を鏡面研磨
した後、焼結体中心付近の表面を四探針法によって測定
する。硼素の偏析径は、焼結体の断面を鏡面研磨したあ
と、EMPA線分析によって一定の長さを測定し、硼素
濃度の分布を見ることで判断される。
【0015】本願発明のZnO系焼結体に影響する各因
子について以下に説明する。
【0016】「焼結密度」ZnO粉末にB23粉末を添
加して焼成を行う場合の問題点として、B23の溶融に
よる欠陥の生成が挙げられる。Bは、融点が低いので、
焼結途中で液相を生成する。従って、Bがない場合は、
固相同士の反応で焼結が行われるが、Bが存在すると固
相と液相の間の反応で焼結が行われる。このため、B2
3が含まれると、主相との濡れ性に劣り、焼結途中で
揮発する問題がある。例えば、常圧焼成法の場合、HP
法に比べて高温域で焼成を行うために、B23の溶融に
よる焼結体内の欠陥は増加しやすい。つまり、B23
600℃近傍で溶融を開始し、B23同士による融着、
粗大化が行われ、焼結体内に偏析が生じる。そして10
00℃近傍から偏析は液相となる。液相の焼成による急
激な焼結収縮が行われて、体積は収縮する。一方、液相
となったB23は、焼結途中で蒸発しやすい。また、B
23相とZnO相は濡れ性が悪い。そのために、液相部
もしくは液相の周囲には空孔が生成し、焼結の進行と共
に空孔は粗大化を起こす。これが原因で異常放電が多発
するので、空孔を消滅させなければならない。また空孔
を制御しなければ4.8/cm3 以上の焼結密度を達成
することができない。
【0017】一方HP法の場合、圧力を掛けながら焼結
しているのでB23が液相になっても流動機構によって
その周囲に空孔は発生しないが、やはり、硼素の偏析径
は増加する。偏析径が大きいとスパッタリング時に問題
が生じる。つまり、硼素濃度の高い偏析部は抵抗が高い
ため、偏析部で異常放電が発生し、その結果、局部的な
加熱によって偏析部は溶融して空洞化するなどの問題が
生じる。このためBZO膜の比抵抗は悪化する。
【0018】よって本発明では、上記問題点を解決する
ためにB23を使用するときは、B23をZnOやAl
23、Ga23、In23、GeO2、SiO2、TiO
2、SnO2 と複合化させて融点を高める方法を用い
る。その結果B23の焼結挙動は改善され、焼結中に偏
析、空孔が生じないため、スパッタリング時の異常放電
を制御することができる。B23を原料粉末の段階でZ
nOなどと複合化させておくとB23の融点が高くな
り、焼結におけるB23の溶融が防止され、ZnOなど
との濡れ性が改善されるため、空孔発生は制御される。
また、複合化以外の焼結密度増大方法として、焼結中に
酸素導入を行う方法が有効である。
【0019】「表面抵抗値」硼素を含有するZnO系焼
結体(BZO焼結体)がスパッタリング成膜に必要な導
電性を示すのは、主成分であるZnOの酸素欠損による
ものといわれている。In23やB23などの酸化物を
微量添加し、高温中で焼結することによって、In23
やB23などの酸化物はZnO相中に固溶され、Zn原
子との一部置換が行われたり、Zn原子の格子間への侵
入が行われたりする。これにより酸素空孔が増加する。
従って、酸素欠損を生じ、焼結体の体積抵抗率を低減で
きる。
【0020】体積抵抗率が低くなると、スパッタリング
時の投入電力が抑えられるために、ZnO膜へのダメー
ジが少なくなって、良好な比抵抗値のZnO膜が得られ
る。
【0021】一方、後述のように、焼結中もしくは焼結
終了後に無酸素処理を加えることによって、酸素欠損を
促進させ、一層の低抵抗化を図ることも可能である。
【0022】「結晶平均粒径」結晶平均粒径が大きいと
焼結体の抗折力が弱いために、成膜時に急激なパワーを
かけると割れが発生したり、結晶粒の脱落が生じたりす
る。この結果、局所的な異常放電が多発する。よって、
亜鉛とインジウムと第3元素の複合酸化物の結晶粒子
(化合物相、固溶相などを含む)の結晶平均粒径を4〜
15μmの範囲内にする。
【0023】「原料粉末」本願発明のZnO系焼結体を
得るための原料であるZnOやIn23などの酸化物
は、単体粉末、もしくは下記に示す複合化粉末として用
いる。単体で用いる際には平均一次粒子径が1μm以下
の粉末を用いる。前述したようにB23相は、融点が低
く、焼結途中で蒸発してしまうため、あらかじめB23
粉末をZnOやIn23などの粉末と複合化する。
【0024】「複合化方法」ZnOやIn23と第3元
素(Al23など)の酸化物との粉末を所望の組成とな
るように配合し、混合を行った後、仮焼を1100℃以
下にて行い、必要あればさらに粉砕を行えば平均一次粒
子径が5μm以下の複合化粉末が得られる。あるいは、
後述の共沈法等によって作製された水酸化物粉末を10
00℃以下にて仮焼すれば複合化粉末が容易に得られ
る。ただし、上記複合化粉末を用いて常圧焼結法にて焼
結体を得る場合には、複合化のための仮焼温度は500
〜800℃の範囲内が好ましい。800℃以上で行うと
複合化粉末は粗大化され、平均一次粒子径が5μmより
大きくなって焼結性が失われて、本発明で目的とする焼
結密度を達成することができなくなる。
【0025】この複合化粉末は、そのまま焼結原料とす
るか、あるいは、さらにZnOなどの粉末単体と合わせ
て所望の組成となるように配合し、混合を行って焼結原
料とすることもできる。
【0026】「水酸化物粉末の作製」多く用いられる共
沈法での水酸化物粉末の作製方法を以下に示す。まず、
硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を水に溶かして水溶液化するか、
もしくは硫酸、塩酸にて金属亜鉛を溶かした溶液を水で
希釈して水溶液化する。その後、水溶液中に硼酸塩、硼
酸、硼酸ナトリウム等を添加し、さらにpHを制御する
ためのアンモニア等のアルカリ類からなる沈殿剤を投入
して中和を行う。次に、固液分離を行い、得られた沈殿
物を濾過後、水洗、粉砕した後に乾燥して複合水酸化物
とする。
【0027】「混合」混合は湿式、または乾式によるボ
ールミル、振動ミル等を用いることができるが、均一微
細な結晶粒および空孔を得るには、凝集体の解砕効率が
高く、添加物の分散状態も良好となる湿式ボールミル混
合法が最も好ましい。ただしホットプレスを用いる場合
には、粉末への吸湿を避けるために、乾式ボールミル、
Vブレンダー等が適用される。湿式ボールミル混合時間
は12〜72時間、乾式ボールミル混合時間は8〜24
時間の範囲が好ましい。湿式混合時間が12時間未満で
あると、均一微細な結晶粒および空孔を得ることができ
ない。また、湿式混合時間が72時間を越えるのは、混
合粉末中に不純物が多く混入するため好ましくない。乾
式混合の場合も同様な理由から混合時間が規制される。
【0028】また、混合する際にはバインダーを任意量
だけ添加し、同時に混合を行う。バインダー種には、ポ
リビニルアルコール、酢酸ビニル等が用いられる。
【0029】「成形」上記湿式混合によって得られたス
ラリーは、乾燥造粒後、金型または冷間静水圧プレスに
て1ton/cm2 以上の圧力で成形を行う。乾式混合
によって得られた混合粉末は、そのまま、金型または冷
間静水圧プレスにて1ton/cm2以上の圧力で成形
を行う。
【0030】「焼結方法」本願発明のZnO系焼結体を
得る方法には、ホツトプレス・酸素加圧・熱間静水圧等
の焼結方法を用いることができるが、焼結法には常圧焼
結法を用いることが好ましい。なぜなら、常圧焼結法に
は、製造コストを低減しやすいうえ、容易に大型焼結体
を製造しやすいなどの利点があるからである。
【0031】「焼結雰囲気」常圧焼結法では、通常は、
成形体を大気中にて焼結を行う。
【0032】密度を一層高くしたい場合には、昇温過程
で酸素を導入して焼結を行うことも可能である。しか
し、酸素の導入により酸素欠損が抑制され、抵抗値が低
下する恐れがある。酸素を導入する場合の酸素流量とし
ては、2〜20リットル/分が好ましい。2リットル/
分未満であると、ZnOの蒸発抑制(密度増大)効果は
薄れ、20リットル/分を超えると、その流量によって
焼結炉内が冷却され、均熱性が低下してしまう。
【0033】また、逆に、焼結体内の酸素欠損を促進
し、表面抵抗を一層低下させたい場合には、焼結中に無
酸素処理を施すことも可能である。
【0034】焼結中の無酸素処理は、昇温中において水
素などの還元ガスやアルゴン、ヘリウム、窒素などの不
活性ガスを導入して達成される。しかし、無酸素雰囲気
にすると、ZnOの蒸発が活発化し、これらの蒸発で、
焼結密度が低下する。従って、1300℃より高い温度
での焼結中の無酸素処理は行えない。
【0035】「焼結温度」焼結温度は1000〜150
0℃、好ましくは1000〜1300℃が良い。この際
の焼結時間は15時間以下とする。1000℃未満であ
ると、4.8g/cm3 以上の焼結密度を得ることがで
きない。一方、1500℃を超えるか、または焼結時間
が15時間を超えると、ZnOの蒸発の活発化により焼
結密度が低下したり、著しい結晶粒成長により結晶粒
径、空孔の粗大化を来たし、異常放電発生の原因にな
る。
【0036】そして、焼結中の昇温速度においては、6
00〜1300℃の温度範囲の昇温速度を1〜10℃/
分にする必要がある。つまり、600〜1300℃間
は、特にZnOの焼結が最も活発化する温度範囲であ
り、この温度範囲での昇温速度が1℃/分より遅いと、
結晶粒成長が著しくなって、本発明の目的を達成するこ
とができない。また、昇温速度が10℃/分より速い
と、焼結炉内の均熱性が低下し、その結果、焼結中の収
縮量に分布が生じて、焼結体は割れてしまう。
【0037】ホットプレスを用いる場合の焼結温度は真
空中またはAr雰囲気中で900〜1300℃の範囲
内、その際のプレス圧は200〜400kg/cm2
好ましい。
【0038】「焼結終了後の無酸素処理」表面抵抗を一
層低下させたい場合には、焼結終了後に無酸素処理を施
すことでも目的は達成される。
【0039】焼結終了後に無酸素処理を施す場合、焼結
終了後、冷却したあとに、あるいは降温中に真空中にて
800℃以上の温度に加熱すれば目的を達成できる。具
体的には、以下の方法にて行うことができる。まず、焼
結終了後、そのまま炉内で900〜1300℃まで5〜
20℃/分にて降温し、該所定温度に30分〜5時間保
持しつつ、不活性ガスや還元ガスを2〜20リットル/
分の割合で導入する。1300℃以上で無酸素処理を行
うと、ZnOの蒸発が活発化して、焼結密度の低下、ま
たは組成ずれを来すばかりか、炉材やヒータの寿命を縮
めて生産性を悪化させる。900℃以下であると、無酸
素処理の効果が薄れ、表面抵抗値を大幅に低下させるこ
とができない。また導入ガス量が2リットル/分未満で
あると、無酸素処理の効果は薄れ、その導入量が多いほ
ど該効果が高いが、20リットル/分を超えると、その
流量によって焼結炉内が冷却され、均熱性が低下する。
【0040】
【実施例】本発明に関するZnO系焼結体の製造方法を
以下に説明する。
【0041】[実施例1]共沈法によって作製されたZ
nO−40重量%B23水酸化物を700℃3時間にて
仮焼して得た平均一次粒子径が0.5μmの複合化粉末
を、平均一次粒子径が0.1μmのZnO粉末中に、
0.5重量%添加し、さらに平均一次粒子径が0.1μ
mのIn23粉末を9.8重量%添加して原料粉末とし
た。
【0042】この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質
ZrO2 ボールを用いて湿式ボールミル混合を18時間
行った。なお、混合を行う際、バインダーとしてポリビ
ニルアルコールを1重量%添加した。
【0043】その後、スラリーを取り出して乾燥し造粒
した後、造粒粉を冷間静水圧プレスにて3トン/cm2
の圧力で成形し、直径100mm、厚さ8mmの円盤状
の成形体を得た。さらに得られた成形体を大気中にて8
00℃まで1℃/分にて昇温し、800〜1300℃ま
で3℃/分にて昇温した。その後1300℃にて5時間
保持を行った。
【0044】得られた焼結体の密度をアルキメデス法で
測定した。また、同試料を用いて熱腐食し、SEM観察
によって平均結晶粒径、空孔径を測定した。得られた結
果を表1に示す。
【0045】また、得られた焼結体を直径75mm、厚
さ6mmの円盤状に加工してスパッタリング用ターゲッ
トを作製し、このターゲットを用いてDCマグネトロン
スパッタリング法によって膜厚5000オングストロー
ムの成膜を行った。スパッタリング条件は投入電力20
0W、Arガス圧0.7Paに固定した。そして実験開
始から10時間経過後の10分間あたりに発生する異常
放電回数、さらに成膜初期における基板温度が室温時の
比抵抗値と、550、1000nm波長域における透過
率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0046】[実施例2]共沈法によって作製されたZ
nO−40重量%B23水酸化物を700℃3時間にて
仮焼して得た平均一次粒子径が0.5μmの複合化粉末
を1重量%、平均一次粒子径が0.1μmのZnO粉末
中に添加し、さらに平均一次粒子径が0.1μmのIn
23粉末を5重量%添加して原料粉末とした。
【0047】この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質
ZrO2 ボールを用いて湿式ボールミル混合を18時間
行った。なお、混合を行う際、バインダーとしてポリビ
ニルアルコールを1重量%添加した。
【0048】その後、スラリーを取り出して乾燥し造粒
した後、造粒粉を冷間静水圧プレスにて3トン/cm2
の圧力で成形し、直径100mm、厚さ8mmの円盤状
の成形体を得た。さらに得られた成形体を大気中にて8
00℃まで1℃/分にて昇温し、800〜1300℃ま
で3℃/分にて昇温した。その後1300℃にて5時間
保持を行った。
【0049】得られた焼結体について実施例1と同様の
測定および試験を行い、その結果を表1に示した。
【0050】[実施例3]共沈法によって作製されたZ
nO−40重量%B23水酸化物を700℃3時間にて
仮焼して得た平均一次粒子径が0.5μmの複合化粉末
を2重量%、平均一次粒子径が0.1μmのZnO粉末
中に添加し、平均一次粒子径が0.1μmのIn23
末を5重量%添加して原料粉末とした。
【0051】この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質
ZrO2 ボールを用いて湿式ボールミル混合を18時間
行った。なお、混合を行う際、バインダーとしてポリビ
ニルアルコールを1重量%添加した。
【0052】その後、スラリーを取り出して乾燥し造粒
した後、造粒粉を冷間静水圧プレスにて3トン/cm2
の圧力で成形し、直径100mm、厚さ8mmの円盤状
の成形体を得た。さらに得られた成形体を大気中にて8
00℃まで1℃/分にて昇温し、800〜1300℃ま
で3℃/分にて昇温した。その後、1300℃にて5時
間の保持を行った。
【0053】得られた焼結体について実施例1と同様の
測定および試験を行い、その結果を表1に示した。
【0054】[実施例4]平均一次粒子径0.1μmか
らなるZnO粉末中に平均一次粒子径0.1μmからな
るIn23粉末を5重量%、そして平均一次粒子径0.
1μmからなるGeO2 粉末を1.1重量%添加して原
料粉末とした。この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬
質ZrO2 ボールを用いて湿式ボールミル混合を18時
間行った。また混合を行う際、バインダーとしてポリビ
ニルアルコールを1重量%添加した。その後、スラリー
を取り出して、乾燥し造粒した後、造粒粉を冷間静水圧
プレスにて3トン/cm2 の圧力で成形し、直径100
mm厚さ8mmの円盤状の成形体を得た。さらに得られ
た成形体を大気中にて800℃まで1℃/分にて昇温
し、800〜1300℃まで3℃/分にて昇温した。そ
の後1300℃にて5時間の保持を行った。
【0055】得られた焼結体について実施例1と同様の
測定および試験を行い、その結果を表1に示した。
【0056】[実施例5]平均一次粒子径0.1μmか
らなるZnO粉末中に平均一次粒子径0.1μmからな
るIn23粉末を5重量%、そして平均粒径0.1μm
からなるGa23粉末を1.1重量%添加して原料粉末
とした。この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質Zr
2 ボールを用いて湿式ボールミル混合を18時間行っ
た。また混合を行う際、バインダーとしてポリビニルア
ルコールを1重量%添加した。その後、スラリーを取り
出して、乾燥し造粒した後、造粒粉を冷間静水圧プレス
にて3トン/cm2 の圧力で成形し、直径100mm厚
さ8mmの円盤状の成形体を得た。さらに得られた成形
体を大気中にて800℃まで1℃/分にて昇温し、80
0〜1300℃まで3℃/分にて昇温した。その後13
00℃にて5時間の保持を行った。
【0057】得られた焼結体について実施例1と同様の
測定および試験を行い、その結果を表1に示した。
【0058】[実施例6]平均一次粒子径0.1μmか
らなるZnO粉末中に平均一次粒子径0.1μmからな
るIn23粉末を5重量%、そして平均一次粒子径が
0.1μmのAl23を0.6重量%添加して原料粉末
とした。この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質Zr
2 ボールを用いて湿式ボールミル混合を18時間行っ
た。また混合を行う際、バインダーとしてポリビニルア
ルコールを1重量%添加した。その後、スラリーを取り
出して、乾燥し造粒した後、造粒粉を冷間静水圧プレス
にて3トン/cm2 の圧力で成形し、直径100mm厚
さ8mmの円盤状の成形体を得た。さらに得られた成形
体を大気中にて800℃まで1℃/分にて昇温し、80
0〜1300℃まで3℃/分にて昇温した。その後13
00℃にて5時間の保持を行った。得られた焼結体につ
いて実施例1と同様の測定および試験を行い、その結果
を表1に示した。
【0059】[実施例7]平均一次粒子径0.1μmか
らなるZnO粉末中に平均一次粒子径0.1μmからな
るIn23粉末を5重量%、そして平均一次粒子径が
0.1μmのSiO2 を0.6重量%添加して原料粉末
とした。この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質Zr
2 ボールを用いて湿式ボールミル混合を18時間行っ
た。また混合を行う際、バインダーとしてポリビニルア
ルコールを1重量%添加した。その後、スラリーを取り
出して、乾燥し造粒した後、造粒粉を冷間静水圧プレス
にて3トン/cm2 の圧力で成形し、直径100mm厚
さ8mmの円盤状の成形体を得た。さらに得られた成形
体を大気中にて800℃まで1℃/分にて昇温し、80
0〜1300℃まで3℃/分にて昇温した。その後13
00℃にて5時間の保持を行った。得られた焼結体につ
いて実施例1と同様の測定および試験を行い、その結果
を表1に示した。
【0060】[実施例8]平均一次粒子径0.1μmか
らなるZnO粉末中に平均一次粒子径0.1μmからな
るIn23粉末を5重量%、そして平均一次粒子径が
0.1μmのTiO2 を1.0重量%添加して原料粉末
とした。この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質Zr
2 ボールを用いて湿式ボールミル混合を18時間行っ
た。また混合を行う際、バインダーとしてポリビニルア
ルコールを1重量%添加した。その後、スラリーを取り
出して、乾燥し造粒した後、造粒粉を冷間静水圧プレス
にて3トン/cm2 の圧力で成形し、直径100mm厚
さ8mmの円盤状の成形体を得た。さらに得られた成形
体を大気中にて800℃まで1℃/分にて昇温し、80
0〜1300℃まで3℃/分にて昇温した。その後13
00℃にて5時間の保持を行った。得られた焼結体につ
いて実施例1と同様の測定および試験を行い、その結果
を表1に示した。
【0061】[実施例9]平均一次粒子径0.1μmか
らなるZnO粉末中に平均一次粒子径0.1μmからな
るIn23粉末を5重量%、そして平均一次粒子径が
0.1μmのSnO2 を1.8重量%添加して原料粉末
とした。この原料粉末を樹脂製ポットに入れ、硬質Zr
2 ボールを用いて湿式ボールミル混合を18時間行っ
た。混合を行う際に、バインダーとしてポリビニルアル
コールを1重量%添加した。その後、スラリーを取り出
して、乾燥し造粒した後、造粒粉を冷間静水圧プレスに
て3トン・cm2 の圧力で成形し、直径100mm、厚
さ8mmの円盤状の成形体を得た。さらに、得られた成
形体を大気中にて800℃まで1℃/分にして昇温し、
800〜1300℃まで3℃/分にて昇温した。その
後、1300℃にて5時間の保持を行った。得られた焼
結体について実施例1と同様の測定および試験を行い、
その結果を表1に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明のZnO系焼結体は、以上のよう
に構成されているので、DCスパッタリング中の異常放
電の発生が長期にわたって少なく、特性のすぐれた透明
導電性膜を効率よく安価に成膜できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Inを3〜6原子%、および、Al、
    B、Ga、Ge、Si、SnおよびTiからなる群より
    選ばれた1種以上の第3元素を0.3〜3原子%含有
    し、実質的に亜鉛とインジウムと前記第3元素の複合酸
    化物からなることを特徴とするZnO系焼結体。
  2. 【請求項2】 焼結密度が4.8g/cm3 以上であ
    り、かつ、複合酸化物の結晶平均粒径が4〜15μmで
    あることを特徴とする請求項1に記載のZnO系焼結
    体。
  3. 【請求項3】 内部に存在する空孔の最大径が5μm以
    下であることを特徴とする請求項1に記載のZnO系焼
    結体。
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